説明

プッシュロック式スイッチ

【課題】押圧操作に連動して、押圧操作方向に対して垂直方向へ構成部品を動かす機構を必要とすることなく、インジケータ窓付近が太陽光などの外光で照らされたとしても、インジケータ窓の表示状態を明確に認識できるプッシュロック式スイッチを提供すること。
【解決手段】スイッチボディ30に対するスイッチノブ20の相対位置に応じてスイッチのオン、オフを切り替えるプッシュロック式スイッチにおいて、スイッチのオン、オフ状態を表示するインジケータ窓21と、スイッチがオン状態のとき、インジケータ窓21に光を照射する光源31と、スイッチノブ20に対して固定され、光の伝播方向を変更する第1の光学系40と、スイッチボディ30に対して固定され、光の伝搬方向を変更する第2の光学系50とを備える。第1の光学系40と、第2の光学系50とは、スイッチがオン状態のとき、インジケータ窓21へ入射した外光をインジケータ窓21に結像する光路を形成し、スイッチがオフ状態のとき、光路の形成を解除する構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチボディに対するスイッチノブの相対位置に応じてスイッチのオン、オフを切り替えるプッシュロック式スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定動作のオン、オフ表示を行うインジケータ窓と、このインジケータ窓の背面側に配設された光源と、インジケータ窓がオン表示のときには、インジケータ窓と光源とを結ぶ光路内に挿入された状態となり、インジケータ窓がオフ表示のときには、インジケータ窓と光源とを結ぶ光路内から退避された状態となる再帰性導光体とを備える照光機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記従来の構成の照光機構は、インジケータ窓がオン表示のときには、再帰性導光体がインジケータ窓と光源とを結ぶ光路内に挿入された状態となるので、再帰性導光体の表面に入射した太陽光などの外光を入射方向に反射する。このため、インジケータ窓付近が太陽光などの外光で照らされたとしても、再帰性導光体の表面で反射した光と、再帰性導光体を透過した光源からの光とが相乗して、操作者はインジケータ窓が照光されていることを明確に認識できる。それ故、インジケータ窓付近が強い外光で照らされたときに光源の輝度を上げ、外光が弱まったときに光源の輝度を下げるというような複雑な制御は必要なくなる。また、インジケータ窓がオフ表示のときには、光源が消灯すると共に、再帰性導光体がインジケータ窓と光源とを結ぶ光路内から退避した状態となるので、再帰性導光体による外光の反射は関与しなくなり、操作者はインジケータ窓が照光されていると誤認しなくなる。
【特許文献1】特開2006−196266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成の照光機構では、プッシュロック式スイッチの押圧操作に連動して、再帰性導光体をインジケータ窓と光源とを結ぶ光路内に挿入し、退避するための機構が必要となる。すなわち、上記従来の構成の照光機構では、押圧操作に連動して、押圧操作方向に対して垂直方向へ再帰性導光体を動かす機構が必要となる。このため、機構が複雑になり、繰り返し使用すると再帰性導光体を動かす機構が破損する恐れがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、押圧操作に連動して、押圧操作方向に対して垂直方向へ構成部品を動かす機構を必要とすることなく、インジケータ窓付近が太陽光などの外光で照らされたとしても、インジケータ窓の表示状態を明確に認識できるプッシュロック式スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、スイッチボディに対するスイッチノブの相対位置に応じてスイッチのオン、オフを切り替えるプッシュロック式スイッチにおいて、
スイッチのオン、オフ状態を表示するインジケータ窓と、
スイッチがオン状態のとき、前記インジケータ窓に光を照射する光源と、
前記スイッチノブに対して固定され、光の伝播方向を変更する第1の光学系と、
前記スイッチボディに対して固定され、光の伝搬方向を変更する第2の光学系とを備え、
前記第1の光学系と、前記第2の光学系とは、スイッチがオン状態のとき、前記インジケータ窓へ入射した外光を前記インジケータ窓に結像する光路を形成し、スイッチがオフ状態のとき、前記光路の形成を解除する構成を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プッシュロック式スイッチの押圧操作に連動して、第1の光学系と、第2の光学系とが、外部からインジケータ窓へ入射した外光をインジケータ窓へ結像する光路を形成し、解除する。このため、押圧操作の押圧力を押圧力の作用方向に対して垂直方向へ伝達する機構を必要とすることなく、インジケータ窓付近が太陽光などの外光で照らされたとしても、インジケータ窓の表示状態を明確に認識できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。尚、光の伝播方向を変更するとは、光の伝播方向を第1の方向から第2の方向へ変更することだけでなく、光の伝播方向を第1の方向から不特定の方向へ散乱することも含む。
【0009】
図1は、本発明のプッシュロック式スイッチの構成の一実施例を示した図で、(a)は断面図、(b)は斜視図である。このプッシュロック式スイッチは、例えば、車両用空調システムのスイッチとして用いられる。実際の車両に搭載される空調システムでは、複数のプッシュロック式スイッチが、運転者の操作しやすいコンソール等に一列に並設される。運転者等の操作者は、これら複数のプッシュロック式スイッチをオン、オフすることで、空調システムの空気の吹き出し口を選択することができる。
【0010】
プッシュロック式スイッチは、図1に示すように、スイッチの機能を表示する機能表示部11と、機能表示部11へ光を照射する第1の光源12とを備えてよい。第1の光源12は、運転者が車両の前照灯のライトスイッチをオンに操作すると、点灯し、機能表示部11へ光を照射する。この機能表示部11は、第1の光源12からの光を透過する窓11aを有し、窓11aは、スイッチの機能に応じた形状に形成されている。このため、操作者は、夜間やトンネル内でも、窓11aから漏れる光で、空調システムのスイッチの位置、機能、配列を確認することができる。
【0011】
また、本実施例のプッシュロック式スイッチは、図1に示すように、スイッチノブ20と、スイッチノブ20を第1の位置P1と第2の位置P2との間で移動可能に支持するスイッチボディ30と、スイッチノブ20に対して固定された第1の光学系40と、スイッチボディ30に対して固定された第2の光学系50とを備える。プッシュロック式スイッチは、スイッチボディ30に対するスイッチノブ20の相対位置に応じて、つまり押圧操作に連動して、オン、オフを切り替える。以下、各構成について詳説する。
【0012】
スイッチノブ20は、スイッチのオン、オフ状態を表示するインジケータ窓21と、スイッチボディ30に対して摺接するガイド部23とを備える。スイッチノブ20は、例えば、黒色等の不透明樹脂で形成され、インジケータ窓21は、白色等の透明樹脂で成形され、インジケータ窓21で光が透過する構造になっている。
【0013】
スイッチボディ30は、インジケータ窓21に光を照射する第2の光源31と、第2の光源31に電力を供給するプリント配線板33と、スイッチノブ20を第1の位置P1へ付勢する付勢手段(図示せず)と、スイッチノブ20を第2の位置P2でロックするロック機構(図示せず)と、スイッチボディ30に対するスイッチノブ20の相対位置に応じて、つまり押圧操作に連動して、オン、オフされる電気回路(図示せず)とを備える。
【0014】
スイッチノブ20が第1の位置P1にあるとき、付勢手段の付勢力に抗して、運転者がスイッチノブ20を押圧操作すると、スイッチノブ20が第1の位置P1から第2の位置P2へ移動し、第2の位置P2でロックされる。このとき、プリント配線板33は、第2の光源31へ電力を供給し、第2の光源31が点灯し、第2の光源31から出射した光がインジケータ窓21から外部へ透過する。このとき、電気回路は、押圧操作に連動して、オンに操作される。
【0015】
スイッチノブ20が第2の位置P2にあるとき、運転者がスイッチノブ20を押圧操作すると、ロックが解除され、付勢手段の付勢力により、スイッチノブ20が第2の位置P2から第1の位置P1へ戻る。このとき、プリント配線板33は、第2の光源31への電力の供給を解除し、第2の光源31を消灯する。このとき、電気回路は、押圧操作に連動して、オフに操作される。
【0016】
このため、操作者は、インジケータ窓21から外部へ透過する光の有無を確認すれば、スイッチノブ20の位置を確認することなく、電気回路のオン、オフ状態を判別することができる。つまり、操作者は、スイッチノブ20の正面側からでも、インジケータ窓21の表示状態で、電気回路のオン、オフ状態を判別することができる。
【0017】
第2の光源31には、例えば、LEDを用いることができ、LEDの光の色には、インジケータ窓21の色と異なる色を用いることができる。例えば、白色透明のインジケータ窓21と、緑色の光を出射する第2の光源31とを組み合わせることで、インジケータ窓21の表示状態の識別性を向上することができる。
【0018】
本実施例のプッシュロック式スイッチは、その特徴的な構成として、スイッチノブ20に対して固定され、光の伝播方向を変更する第1の光学系40と、スイッチボディ30に対して固定され、光の伝播方向を変更する第2の光学系50とを備える。第1の光学系40、第2の光学系50は、それぞれ、スイッチノブ20、スイッチボディ30に対して固定されているため、押圧操作に連動して、その相対位置を変えることができる。
【0019】
第1の光学系40は、図1に示すように、インジケータ窓21へ入射した太陽光等の外光を導光する導光板41と、光の伝播方向を変更する第1の反射ミラー43とを備える。
【0020】
図2は、導光板41、第1の反射ミラー43の構成の一例を示した図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【0021】
導光板41は、図1に示すように、インジケータ窓21に隣接して設置され、インジケータ窓21へ入射した外光を第1の反射ミラー43へ導光すると共に、第2の光源31から出射した光をインジケータ窓21へ導光する。導光板41には、例えば、アクリル樹脂を用いることができ、その外周面41a、41b、41c、41dには、アクリル樹脂内を伝播する光を内側へ全反射すべく、反射シートが設置されていてもよい。尚、外周面41aに設置されている反射シートには、開口部が設置され、その開口部上には第1の反射ミラー43で反射された外光を第2の光学系50へ導光するための構造41eが設置されている。
【0022】
導光板41では、図2(c)に示すように、インジケータ窓21と第1の反射ミラー43とを結ぶ光路L1が、第2の光源31とインジケータ窓21とを結ぶ光路L2に対して所定量オフセットされている。このため、第2の光源31から出射した光は、第1の反射ミラー43を通過することなく、インジケータ窓21へ照射される。したがって、第2の光源31から出射した光は、その強度を実質的に減衰することなく、インジケータ窓21へ照射される。この結果、比較的少ない消費電力で第2の光源31を点灯しても、インジケータ窓21に照射される光の輝度を確保することができる。
【0023】
尚、本実施例では、光路L1と光路L2とを所定量オフセットしたが、第2の光源31から出射した光が第1の反射ミラー43を通過できる限り、光路L1と光路L2とを所定量オフセットせずともよい。この場合、第1の反射ミラー43には、ハーフミラーを用いることができるが、ハーフミラーは、第2の光源31から出射した光の強度を減衰する。
【0024】
第1の反射ミラー43は、図1に示すように、導光板41の端面に金属反射膜を設置して、形成されている。この第1の反射ミラー43は、インジケータ窓21へ入射した外光の伝播方向を略90°変更すべく、外光の入射方向に対して略45°傾斜して設置されている。第1の反射ミラー43で略90°伝播方向を変更された外光は、ガイド部23に設置された開口部23aを通過して、後述の第2の光学系50へ照射される。
【0025】
第2の光学系50は、図1に示すように、光の伝播方向を変更する第2の反射ミラー51を備える。
【0026】
第2の反射ミラー51は、図1に示すように、スイッチボディ30に金属反射膜を設置して、形成されている。この第2の反射ミラー51は、第1の反射ミラー43で反射された外光を第1の反射ミラー43へ再帰させるべく、第1の反射ミラー43で反射された外光の伝播方向に対して略垂直な反射面を有する。
【0027】
第2の反射ミラー51は、スイッチノブ20が第1の位置P1にあるとき、つまりスイッチがオフ状態のとき、第1の反射ミラー43で反射された外光を受光しない構成を有する。したがって、第1の反射ミラー43で反射された外光は、スイッチボディ30で散乱される。
【0028】
第2の反射ミラー51は、スイッチノブ20が第2の位置P2にあるとき、つまりスイッチがオン状態のとき、第1の反射ミラー43で反射された外光を受光し、第1の反射ミラー43へ再帰させる。第1の反射ミラー43へ再帰された外光は、第1の反射ミラー43で反射され、導光板41を経由して、インジケータ窓21へ結像される。
【0029】
このように、第1の光学系40と、第2の光学系50とは、スイッチがオン状態のとき、インジケータ窓21へ入射した外光をインジケータ窓21へ結像する光路を形成し、スイッチがオフ状態のとき、その光路の形成を解除する。
【0030】
したがって、インジケータ窓21の背面には、スイッチがオン状態のとき、第2の光源31からの光と共に、第1の光学系40と第2の光学系50とが形成する光路を経た外光が照射される。このインジケータ窓21に背面側から照射される光の強度は、外光の光の強度に比例する。
【0031】
このため、押圧操作方向に対して垂直方向へ構成部品を動かす機構を必要とすることなく、インジケータ窓21付近が太陽光などの外光で照らされたとしても、操作者はインジケータ窓21が照光されていることを明確に認識できる。それ故、インジケータ窓21付近が強い外光で照らされたときに第2の光源31の輝度を上げ、外光が弱まったときに第2の光源31の輝度を下げるというような複雑な制御は必要なくなる。また、インジケータ窓21がオフ表示のときには、第2の光源31が消灯すると共に、第1の光学系40と第2の光学系50とによる光路の形成が解除されるため、操作者はインジケータ窓21が照光されていると誤認しなくなる。
【0032】
図3は、プッシュロック式スイッチの構成の別の例を示した断面図である。以下、各構成について説明するが、図1と同一の構成については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0033】
プッシュロック式スイッチは、図3に示すように、第1の光学系40と、第2の光学系50とが形成する光路に、特定の波長の光を通すカラーフィルター25を備えてよい。カラーフィルター25は、例えば、ガイド部23の開口部23aに設置される。カラーフィルター25には、第2の光源31から出射される光と略同じ波長の光を通すものを用いることができる。
【0034】
このため、第1の光学系40と第2の光学系50とが形成する光路を経た外光の色と、第2の光源31からの光の色とを一致させることができ、インジケータ窓21の表示状態の識別性を向上することができる。
【0035】
図4は、プッシュロック式スイッチの構成の別の例を示した断面図である。以下、各構成について説明するが、図1と同一の構成については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0036】
プッシュロック式スイッチは、図4に示すように、第2の反射ミラー51として、反射面51aに凹面を備える反射ミラーを用いることができる。凹面を備えることで、光を集光することができ、インジケータ窓21へ結像する光を集光することができる。
【0037】
このため、インジケータ窓21の照射領域の輝度を向上することができ、インジケータ窓21の表示状態の識別性を向上することができる。
【0038】
図5は、プッシュロック式スイッチの構成の別の例を示した断面図である。以下、各構成について説明するが、図1と同一の構成については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0039】
プッシュロック式スイッチは、その特徴的な構成として、スイッチノブ20に対して固定され、光の伝播方向を変更する第1の光学系60と、スイッチボディ30に対して固定され、光の伝播方向を変更する第2の光学系70とを備える。第1の光学系60、第2の光学系70は、それぞれ、スイッチノブ20、スイッチボディ30に対して固定されているため、押圧操作に連動して、その相対位置を変えることができる。
【0040】
第2の光学系70は、図5に示すように、インジケータ窓21へ入射した外光を導光する導光板71と、光の伝播方向を変更する第1の反射ミラー73とを備える。
【0041】
導光板71は、光源31に隣接して設置され、インジケータ窓21へ入射した外光を第1の反射ミラー73へ導光すると共に、第2の光源31から出射した光をインジケータ窓21へ導光する。
【0042】
第1の反射ミラー73は、導光板71の端面に金属反射膜を設置して、形成されている。この第1の反射ミラー73は、インジケータ窓21へ入射した外光の伝播方向を略90°変更すべく、外光の入射方向に対して略45°傾斜して設置されている。第1の反射ミラー73で略90°伝播方向を変更された外光は、後述の第1の光学系60へ照射される。
【0043】
第1の光学系60は、図5に示すように、光の伝播方向を変更する第2の反射ミラー61を備える。
【0044】
第2の反射ミラー61は、図5に示すように、スイッチノブ20のガイド部23に金属反射膜を設置して、形成されている。この第2の反射ミラー61は、第1の反射ミラー73で反射された外光を第1の反射ミラー73へ再帰させるべく、第1の反射ミラー73で反射された外光の伝搬方向に対して略垂直な反射面を有する。
【0045】
第2の反射ミラー61は、スイッチノブ20が第1の位置P1にあるとき、つまりスイッチがオフ状態のとき、第1の反射ミラー73で反射された外光を受光しない構成を有する。したがって、第1の反射ミラー73で反射された外光は、スイッチノブ20のガイド部23で散乱される。
【0046】
第2の反射ミラー61は、スイッチノブ20が第2の位置P2にあるとき、つまりスイッチがオン状態のとき、第1の反射ミラー73で反射された外光を受光し、第1の反射ミラー73へ再帰させる。第1の反射ミラー73へ再帰された外光は、第1の反射ミラー73で反射され、導光板71を経由して、インジケータ窓21へ結像される。
【0047】
このように、第1の光学系60と、第2の光学系70とは、スイッチがオン状態のとき、インジケータ窓21へ入射した外光をインジケータ窓21へ結像する光路を形成し、スイッチがオフ状態のとき、その光路の形成を解除する。
【0048】
したがって、インジケータ窓21の背面には、スイッチがオン状態のとき、第2の光源31からの光と共に、第1の光学系60と第2の光学系70とが形成する光路を経た外光が照射される。このインジケータ窓21に背面側から照射される光の強度は、外光の光の強度に比例する。
【0049】
このため、押圧操作方向に対して垂直方向へ構成部品を動かす機構を必要とすることなく、インジケータ窓21付近が太陽光などの外光で照らされたとしても、操作者はインジケータ窓21が照光されていることを明確に認識できる。それ故、インジケータ窓21付近が強い外光で照らされたときに第2の光源31の輝度を上げ、外光が弱まったときに第2の光源31の輝度を下げるというような複雑な制御は必要なくなる。また、インジケータ窓21がオフ表示のときには、第2の光源31が消灯すると共に、第1の光学系60と第2の光学系70とによる光路の形成が解除されるため、操作者はインジケータ窓21が照光されていると誤認しなくなる。
【0050】
図6は、プッシュロック式スイッチの構成の別の変形例を示した断面図である。以下、各構成について説明するが、図1と同一の構成については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0051】
プッシュロック式スイッチは、その特徴的な構成として、スイッチノブ20に対して固定され、光の伝播方向を変更する第1の光学系80と、スイッチボディ30に対して固定され、光の伝播方向を変更する第2の光学系90とを備える。第1の光学系80、第2の光学系90は、それぞれ、スイッチノブ20、スイッチボディ30に対して固定されているため、押圧操作に連動して、その相対位置を変えることができる。
【0052】
第2の光学系90は、図6に示すように、インジケータ窓21へ入射した外光を導光する導光板91と、光の伝播方向を変更する第1の反射ミラー93と、光の伝播方向を変更する第2の反射ミラー95とを備える。
【0053】
導光板91は、光源31に隣接して設置され、インジケータ窓21へ入射した外光を第1の反射ミラー93へ導光すると共に、第2の光源31から出射した光をインジケータ窓21へ導光する。
【0054】
第1の反射ミラー93は、導光板91の端面に金属反射膜を設置して、形成されている。この第1の反射ミラー93は、外部からインジケータ窓21へ入射した外光の伝播方向を略90°変更すべく、外光の入射方向に対して略45°傾斜して設置されている。
【0055】
第2の反射ミラー95は、図6に示すように、スイッチボディ30に金属反射膜を設置して、形成されている。この第2の反射ミラー95は、第1の反射ミラー93で反射された外光を第1の反射ミラー93へ再帰させるべく、第1の反射ミラー93で反射された外光の伝播方向に略直交する反射面を有している。第1の反射ミラー93へ再帰された外光は、第1の反射ミラー93で反射され、導光板91を経由して、インジケータ窓21へ結像される。
【0056】
このように、第2の光学系90は、インジケータ窓21へ入射した外光を、導光板91、第1の反射ミラー93、第2の反射ミラー95、第1の反射ミラー93、導光板91を経由して、インジケータ窓21へ結像する光路を形成する。
【0057】
第1の光学系80は、図6に示すように、開口部81aを有する遮光板81を備える。遮光板81は、スイッチノブ20のガイド部23としての機能も有している。
【0058】
遮光板81は、スイッチノブ20が第1の位置P1にあるとき、つまりスイッチがオフ状態のとき、第1の反射ミラー93と第2の反射ミラー95とを結ぶ光路から、開口部81aを退避する。したがって、第1の反射ミラー93で反射された外光は、遮光板81で散乱される。
【0059】
遮光板81は、スイッチノブ20が第2の位置P2にあるとき、つまりスイッチがオン状態のとき、第1の反射ミラー93と第2の反射ミラー95とを結ぶ光路へ、開口部81aを挿入する。したがって、第1の反射ミラー93で反射された外光は、開口部81aを通過し、第2の反射ミラー95、開口部81a、第1の反射ミラー93、導光板91を経由して、インジケータ窓21へ結像される。
【0060】
このように、第1の光学系80と、第2の光学系90とは、スイッチがオン状態のとき、インジケータ窓21へ入射した外光をインジケータ窓21へ結像する光路を形成し、スイッチがオフ状態のとき、その光路の形成を解除する。
【0061】
したがって、インジケータ窓21の背面には、スイッチがオン状態のとき、第2の光源31からの光と共に、第1の光学系80と第2の光学系90とが形成する光路を経た外光が照射される。このインジケータ窓21に背面側から照射される光の強度は、外光の光の強度に比例する。
【0062】
このため、押圧操作方向に対して垂直方向へ構成部品を動かす機構を必要とすることなく、インジケータ窓21付近が太陽光などの外光で照らされたとしても、操作者はインジケータ窓21が照光されていることを明確に認識できる。それ故、インジケータ窓21付近が強い外光で照らされたときに第2の光源31の輝度を上げ、外光が弱まったときに第2の光源31の輝度を下げるというような複雑な制御は必要なくなる。また、インジケータ窓21がオフ表示のときには、第2の光源31が消灯すると共に、第1の光学系80と第2の光学系90とによる光路の形成が解除されるため、操作者はインジケータ窓21が照光されていると誤認しなくなる。
【0063】
図7は、プッシュロック式スイッチの構成の別の変形例を示した図である。以下、各構成について説明するが、図1と同一の構成については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0064】
プッシュロック式スイッチは、その特徴的な構成として、スイッチノブ20に対して固定され、光の伝播方向を変更する第1の光学系100と、スイッチボディ30に対して固定され、光の伝播方向を変更する第2の光学系110とを備える。第1の光学系100、第2の光学系110は、それぞれ、スイッチノブ20、スイッチボディ30に対して固定されているため、押圧操作に連動して、その相対位置を変えることができる。
【0065】
第1の光学系100は、図7に示すように、インジケータ窓21へ入射した外光を導光する導光板101と、光の伝播方向を変更する第1の反射ミラー103と、光の伝播方向を変更する第2の反射ミラー105とを備える。
【0066】
導光板101は、インジケータ窓21に隣接して設置され、インジケータ窓21へ入射した外光を第1の反射ミラー103へ導光すると共に、第2の光源31から出射した光をインジケータ窓21へ導光する。
【0067】
第1の反射ミラー103は、導光板101の端面に金属反射膜を設置して、形成されている。この第1の反射ミラー103は、インジケータ窓21へ入射した外光の伝播方向を略90°変更すべく、外光の入射方向に対して略45°傾斜して設置されている。
【0068】
第2の反射ミラー105は、図7に示すように、スイッチノブ20のガイド部23に金属反射膜を設置して、形成されている。この第2の反射ミラー105は、第1の反射ミラー103で反射された外光を第1の反射ミラー103へ再帰させるべく、第1の反射ミラー103で反射された外光の伝播方向に略直交する反射面を有している。第1の反射ミラー103へ再帰された外光は、第1の反射ミラー103で反射され、導光板101を経由して、インジケータ窓21へ結像される。
【0069】
このように、第1の光学系100は、インジケータ窓21へ入射した外光を、導光板101、第1の反射ミラー103、第2の反射ミラー105、第1の反射ミラー103、導光板101を経由して、インジケータ窓21へ結像する光路を形成している。
【0070】
第2の光学系110は、図7に示すように、開口部111aを有する遮光板111を備える。遮光板111は、スイッチボディ30からガイド部23に対して略平行に延設されている。
【0071】
遮光板111は、スイッチノブ20が第1の位置P1にあるとき、つまりスイッチがオフ状態のとき、第1の反射ミラー103と第2の反射ミラー105とを結ぶ光路から、開口部111aを退避する。したがって、第1の反射ミラー103で反射された外光は、遮光板111で散乱される。
【0072】
遮光板111は、スイッチノブ20が第2の位置P2にあるとき、つまりスイッチがオン状態のとき、第1の反射ミラー103と第2の反射ミラー105とを結ぶ光路へ、開口部111aを挿入する。したがって、第1の反射ミラー103で反射された外光は、開口部111aを通過し、第2の反射ミラー105、開口部111a、第1の反射ミラー103、導光板101を経由して、インジケータ窓21へ結像される。
【0073】
このように、第1の光学系100と、第2の光学系110とは、スイッチがオン状態のとき、インジケータ窓21へ入射した外光をインジケータ窓21へ結像する光路を形成し、スイッチがオフ状態のとき、その光路の形成を解除する。
【0074】
したがって、インジケータ窓21の背面には、スイッチがオン状態のとき、第2の光源31からの光と共に、第1の光学系100と第2の光学系110とが形成する光路を経た外光が照射される。このインジケータ窓21に背面側から照射される光の強度は、外光の光の強度に比例する。
【0075】
このため、押圧操作方向に対して垂直方向へ構成部品を動かす機構を必要とすることなく、インジケータ窓21付近が太陽光などの外光で照らされたとしても、操作者はインジケータ窓21が照光されていることを明確に認識できる。それ故、インジケータ窓21付近が強い外光で照らされたときに第2の光源31の輝度を上げ、外光が弱まったときに第2の光源31の輝度を下げるというような複雑な制御は必要なくなる。また、インジケータ窓21がオフ表示のときには、第2の光源31が消灯すると共に、第1の光学系100と第2の光学系110とによる光路の形成が解除されるため、操作者はインジケータ窓21が照光されていると誤認しなくなる。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0077】
例えば、図4に示したプッシュロック式スイッチは、第2の反射ミラー51の反射面51aに凹面を設定したが、インジケータ窓21の背面に外光を集光できる限り、第1の反射ミラー43の反射面に凹面を設定して良い。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明のプッシュロック式スイッチの構成の一実施例を示した図である。
【図2】導光板41、第1の反射ミラー43の構成の一例を示した図である。
【図3】プッシュロック式スイッチの構成の別の例を示した断面図である。
【図4】プッシュロック式スイッチの構成の別の例を示した断面図である。
【図5】プッシュロック式スイッチの構成の別の例を示した断面図である。
【図6】プッシュロック式スイッチの構成の別の例を示した断面図である。
【図7】プッシュロック式スイッチの構成の別の例を示した断面図である。
【符号の説明】
【0079】
20 スイッチノブ
21 インジケータ窓
25 カラーフィルター
30 スイッチボディ
31 第2の光源
40、60、80、100 第1の光学系
43、73、93、103 第1の反射ミラー
50、70、90、110 第2の光学系
51、61、95、105 第2の反射ミラー
51a 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチボディに対するスイッチノブの相対位置に応じてスイッチのオン、オフを切り替えるプッシュロック式スイッチにおいて、
スイッチのオン、オフ状態を表示するインジケータ窓と、
スイッチがオン状態のとき、前記インジケータ窓に光を照射する光源と、
前記スイッチノブに対して固定され、光の伝播方向を変更する第1の光学系と、
前記スイッチボディに対して固定され、光の伝搬方向を変更する第2の光学系とを備え、
前記第1の光学系と、前記第2の光学系とは、スイッチがオン状態のとき、前記インジケータ窓へ入射した外光を前記インジケータ窓に結像する光路を形成し、スイッチがオフ状態のとき、前記光路の形成を解除する構成を有するプッシュロック式スイッチ。
【請求項2】
前記第1の光学系と前記第2の光学系とが形成する前記光路は、前記光源と前記インジケータ窓とを結ぶ光路に対して、所定量オフセットされる請求項1又は2に記載のプッシュロック式スイッチ。
【請求項3】
前記第1の光学系と前記第2の光学系とが形成する前記光路に、特定の波長の光を通すカラーフィルターを設置した請求項1〜3いずれか一項に記載のプッシュロック式スイッチ。
【請求項4】
前記第1の光学系、及び前記第2の光学系の少なくともいずれか1つの光学系は、光の伝播方向を変更する反射ミラーを備え、
前記反射ミラーは、反射面に凹面を備える請求項1〜4いずれか一項に記載のプッシュロック式スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−21193(P2009−21193A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184934(P2007−184934)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】