説明

プラスチック材料又は紙で作られた密封バッグのための片手で迅速に開く閉鎖装置

片手で、2本の指で作る圧縮力で2枚の並置したシートを曲げることによって口を破るようにして開けることのできる、密封バッグのための迅速に開く閉鎖装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
プラスチック材料や紙で作られた密封バッグは、幾つかの包装工程で用いられている。このバッグの内容物としては、種々の小物、小さな予備部品、工業用粉末、例えば砂糖やスパイス、ハーブのような食料品粉末、薬などがある。これらの小さなパッケージに共通した欠点は、作業に必要な時間のロスをカウントすることを除いても、パッケージの口を破るために両手が必要であることと、内容物をこぼさないようにしながら内容物を空にするのに特別な注意が必要であることである。本発明が提供する解決策は、これらの欠点を同時に解決するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
同様の開封技術は、ずっと以前から市場で既に利用可能であり、指で両端に圧力を加えて曲げることによって開ける2枚の可撓性鋼板を備えた小さな財布などを開けるための装置である。本発明に係る装置は、上記技術とはバッグ2を構成するシート1の形状と材料に関して異なり、また、シート1の鋭い角を備えた外側境界部分の開放動作中の特定の破る機能に関しても、密封バッグ2を開放するために具体的に用いられる問題に関しても異なる。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の原理は、可撓性材料好ましくはプラスチック高分子からなる2枚のシート1が閉じた状態で並置されてバッグ2を構成し、その長さ方向に沿って可変の断面を有することがあっても、バッグ2の口の周辺の半分に等しい長さを各シートが有し、圧縮力Cが2本の指によって端部に加わった時に、2枚のシート1がその中央部で屈曲して分離し、同時にバッグ2の口の境界部が破れるようなシート1の高さと厚さを有していることである。このような2枚のシート1は、一般的に溶着又は接着され、好ましくはバック2の端部6の内側が開放される。端部6の外側に適用することが有用な場合もある。また、弾力性のあるシート1に沿った直交断面を、異なるものにすることによって、初期的に互いに離れるように動かすことを容易にし、また、下に示すように、バッグ2の口の二つの閉じた境界を的確に破くことができる。これらの動作は、例えば親指と人さし指の間で、2枚のシート1の全長にわたって単純な圧縮力Cを作用することによって容易に達成できる。必要であれば、開放するために用いたのと同じ手を、その後、バッグ2の中身を注ぐために用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】人さし指と親指でシート1に加えた圧縮力Cによって、バッグの口の境界部分3を破ったことにより開かれた本発明に係る典型的なバッグ2を保持する手の図である。
【図2】2枚の予め曲げられたシート1の、2枚が並置された上面図(バッグ2が密封された状態)と、2枚の湾曲したシート(内部応力の無い状態)を示す上面図と、下に矩形断面図を備えた側面図である。
【図3】厚みを変化させた2枚のシート1(中央部が厚い)の、2枚が並置された上面図と、フィルム4によって2枚が端部で結合し反対方向がわずかに開いた図と、台形断面図を備えた側面図である。
【図4】それぞれ溝5を有する2枚のシート1が並置された上面図と、平行四辺形状に開いた上面図と、平行四辺形断面を備えた2枚のシート1の内部を示す側面図である。
【図5】本発明の適切な操作に適合した5種類の断面形状を示す図である。
【図6】2枚の隣接したシート1が、適切な材料7からなる細長いストリップ上に直角に設けられ、切断線L.t.と180度の折り曲げ線L.p.が表わされ、接着又は溶着される端部6が示された図である。
【図7】一連の2枚の平行なシート1が、最適な材料7からなる細長いストリップ上に厚さの2倍と等しい距離2sだけ離れて設けられ、各1対のシート1は、隣接する2枚のシート1とバッグ2の長さh.s.の2倍に等しい距離だけ離れており、切断線L.t.と180度の折り曲げ線L.p.が表わされ、接着又は溶着される端部6が示された図である。
【図8】一連の各対になった平行なシート1が、最適な材料7からなる細長いストリップ上に厚さの2倍と等しい距離2sだけ離れて設けられ、二つの隣接する対の間の距離は二つの端部6の幅と等しく、切断線L.t.と180度の折り曲げ線L.p.が表わされ、接着又は溶着される端部6が示され、切断線間の距離はバッグ2の幅と等しく、バッグの長さはストリップの幅の半分の長さに等しい図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
2枚の柔軟なシート1を、互いに離れる方向に移動させてバッグの口を破く間に、シート1が曲がることを許容するために、それらを予備屈曲させ、そして、2枚のシート1の直交する断面とその最大寸法(全長)に沿って異なる形状であって、指の圧縮力Cと直交する外向きのコンポーネントを形成するための形状を有するようにすることができる。本発明によれば、問題となっているシート1にこのような結果を達成するための、少なくとも3つの基本的な方法があり、それらは概念的に同等の変形例も明らかに備えており、以下のようなものである。
1)バッグが閉じた時に2枚のシート1(図2)の凹部が合致するように縦方向に予備屈曲させる方法であって、それらの内部構造は、指で作用させる圧縮力Cとの組み合わせで曲げ張力状態であるようにし、バッグの開放時に作用して、2枚の屈曲自在のシート1が外側に曲がることを許容している。この場合、この弾性的シート1の直交断面は、あらゆる機械的に有効な断面を取ることができ、また、互いに等しい。これらのシートの2つの上部境界の少なくとも一つは、鋭い角を有して、口を破くのを容易にしている。2つの面の一つは、円筒状表面の上に乗っており、バッグ2の端部6が、より容易に接着又は溶着されるようになっている。
2)2枚のシート(図3)が、平坦面を有し、中央部が遠端部よりも厚くなっているようにする方法である。従って、屈曲時に、中立面は2つの遠端部よりも中央部の共通の接触平坦面のほうがより遠くなっている。中央部から2つの縁端部に向かって減少する膜厚を有する断面は、最適化されている。変形した構成の別のタイプとして、シートに沿って適切に慣性モーメントを変化させたものが得られる(例えば矩形断面の場合で、I=bh3/12)。シートに圧縮力Cが加えられると、それぞれの断面に初期モーメントMが生成され、その大きさは調査によれば断面の膜厚の半分を圧縮力Cに掛けたものであり、即ちC×1/2sである。このような初期モーメントは、常に外向きに屈曲する力を生成し、変形した構成の局所半径Rは、E×I/Mに等しい。ここで、Eは材料の弾性係数であり、Iは、上述の慣性モーメントである。
3)好ましくは一定の、又は一定でない断面を有する2枚のシート(図4)であって、バッグが閉じた状態で合致するその内面が、屈曲時に抵抗モーメントを局所的に弱めるような、シート1の長さ方向と垂直な2つの一定の溝5(例えば、矩形断面の場合で、既知の抵抗モーメントがb.h2/6である)を有していることを特徴とする方法。各シート1に一つずつ設けられたこれら2つの溝5は、共通の長手方向の中心から相互に対称的に設けられ、2本の指が圧縮力Cを加えた時に、それぞれ平行四辺形形状を有する2本の折れ線を備えた所定の変形形状を得るようになっている。このような配置は、2本の溝5のところでバッグの口の境界を破くのを容易にしている。
【0006】
上記3つの配置とその変形によるこの操作を容易にするために、2枚のシート1の遠端部を短くて薄い接続フィルム4によって予め結合させて、1枚のシートにしておくことができる。このように、2枚のシートを180度折り曲げることで、接着又は溶着された一片と共に、それらは容易に並置することができる。断面形状に依存して、型成形や押出し成形によって、長手方向と平行な後続のL.t.に沿った切断と共に、シートは容易に生産できる。鋭角の鋭い角を形成するために、このL.t.に沿った切断は傾斜を持って形成することもできる。
【0007】
充填すべきバッグ2の迅速な開放のための最も簡単な配置(図6)は、紙又はプラスチック材料から成る一片を用意して、2枚の柔軟なシート1をその一片の長さ方向と垂直に、等間隔で次々と貼り付けるか、又はそれらの端部を結合することである。様々な適用方法があるが、最も簡単な方法は、紙の場合に接着し、プラスチック材料の場合に溶着することである。従って、一片はその長さ方向中心線L.p.に沿って180度折り曲げることができ、そして、その2つの自由側端部に沿って接着又は溶着することができる。次に、2枚のシート1は互いに並置されて、場合によってはべたつきの無い接着剤によって接着される。
【0008】
最終的に、この方法で折り曲げられた一片は、バッグの所望の長さにL.t.に沿って切断され、その後接着又は溶着されるか、或いはL.t.に沿って切断と同時に2枚のシート1が接着又は溶着されて、各バッグ2の底と口が閉じられる。市販の一般的な充填装置によって、横方向に充填された後に、2つの自由側端6は接着又は溶着することができる。このような方法は、2枚のシートがべたつきの無い接着剤によって互いに接着され並置されたバッグ2に手作業で充填する場合にも適している。この場合、屈曲することによって紙又はプラスチック材料は破られずに、2枚のシート1の接着剤が剥がれて、圧縮力Cが開放された後に、再度接着される。
【0009】
上記第一のプロセスと同じ結果が得られるバッグ2を作るための第二のプロセス(図7)は、例えば請求項5に記載のように、隣接した又はすでに接合した2枚のシート1を用い、続いて別の等しく隣接した2枚のシート1を最初の2枚から距離2sだけ離して一片と直角に配置し、その幅はバッグと横方向の接着又は溶着を意図した2つの端部6からなる幅の2倍である。一片に沿った2枚の2重のシート1は、バッグの底の最終的な接着又は溶着のために、それに続く2枚のシート1から、バッグと2つの端部6を足した長さの2倍だけ離して設けられている。このプロセスにおいて、一片はL.t.に沿って切断され、2枚の連続した2重シート1の距離の半分のところで、シート1と平行になるように溶着又は接着される。この方法で得られる一片部分は、2枚の2重に隣接したシート1の間でL.p.に沿って180度折り曲げられ、その結果、後者は並置されている。続いて、側端部6が接着又は溶着される。底面開口部は、バッグ2を充填した後に、接着又は溶着される。この方法は、封止バッグ2に適しており、封止バッグ2は、常に破く動作によって開放される。
【0010】
第三のプロセス(図8)は、一片の幅がバッグ2と溶着又は接着される二つの端部6を足した長さの2倍であり、シート1の厚さの2倍2sを有し、シート1の厚さの2倍2sだけ離間して隣接する2列の平行なシート1が、一片の全長にわたっている。2枚の2重の対になったシート1は、水平方向に接着又は溶着される端部6の2倍の距離で、一片の縦方向に互いに離間している。次に、一片は、対のシート1の2列と同じ距離を有する中心線に沿って180度折り曲げられ、次に、一片の長さと直角なL.t.に沿って、2枚の2重の対の隣接しているシート1の端部間と同じ長さで切断される。このような一片部分は、次にバッグの二つの端部6のところで接着又は溶着され、充填された後に、バッグ2の底が封止される。このプロセスは、容易に自動化ラインに適用できる。この場合においても、破く動作によって、手動開放がなされる。
【0011】
明らかに、バッグ2を製造するためのこれら3つの手作りの又は部分的に手作りの方法は、充填後に溶着又は接着するものであるが、容易に高速で封止バッグ2を連続生産できる自動機械化プロセスに変換することができ、プロセス途中で、バッグ2は充填される。
【0012】
一般的に、これらの場合において、バッグ2は散薬や例えば砂糖のような食品粉末を収容するために用いられる。従って、パッケージの数やその内容物のコストが、選択すべきパッケージング方法を決定し、数的、商業的、そして経済的要請によって、多かれ少なかれ自動化される。市場において、自動的に充填し、バッグを製造するためにいくつかの方法が利用可能であり、これら既知のプロセスのいずれも、本発明の本質的な要素である2枚の柔軟なシート1からバッグ2を作るためのプロセスに容易に変形することができる。
【0013】
本発明に係るバッグ2を迅速に開放するために、バッグ2には2本の指のみ、好ましくは人さし指と親指が必要であり、2本の指先を閉じたバッグの2つの並置された柔軟なシート1の遠心端に置くだけでよい。2本の指による単純な圧縮力Cによって、2枚のシート1は外向きに屈曲して、上部境界近傍の鋭い角を備えた接着又は溶着された紙又はプラスチック材料からなる端部6が破れる。接着又は溶着された閉鎖部分は、破くための2本の指による圧縮力に対し、適切な抵抗力を発揮する。実際には、誰でも開けることができるように、抵抗力は2本の指でコーヒーカップを掴むのに必要な力に略等しい。従って、閉鎖部分は容易に開くようになっているが、同時に十分に強く安定している。3つの種類のシート1の中で、このような効果を達成するためには、3番目の方法が最も適しており、シート1の角が平行四辺形状に変形するための2つの溝5を有し、圧力が非常に迅速に上昇して、破れが必ず始まるようになっている。
【0014】
ひとたびバッグ2が開放されると、同じ2本の指が、バッグ2の保持状態を開放することなく、必要であれば内容物を注ぐために用いられる。
【0015】
2枚のシート1の中央部から等間隔に、一方と他方に2つの溝5をそれぞれ配置することによって、閉鎖部分が片側に意図せず屈曲することを避けるのに必要な剛性を有する迅速に開放するアセンブリが提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙又はプラスチック材料からなる密封バッグのための迅速に開放する閉鎖装置であって、
幅と厚さより大きな長さを有する伸張形状の2枚の真直ぐな又は湾曲した可撓性シート(1)で構成され、
前記シート(1)の断面は可変の又は一定の形状を有し、前記シート(1)の幅と厚さは所望の慣性モーメントIの大きさに依存して決まり、
前記バッグ(2)が閉じた状態において、前記シート(1)は前記バッグ(2)の口の縁(3)の内側又は外側で接着又は溶着されながらも、
例えば親指と人さし指によって、前記シート(1)の先端に圧縮力Cを加えることによって、前記シート(1)は外側に屈曲して互いに分離することができるようになっており、
具体的には、前記バッグ(2)を閉じている2枚の前記シート(1)の接着した紙又は溶着したプラスチックの境界部分(3)を引き裂く動作によって、前記バック(2)が迅速に開放される
ことを特徴とする閉鎖装置。
【請求項2】
2枚の前記可撓性シート(1)が予め屈曲されてあり、前記バッグ(2)を閉じた時に2枚の面が接触するが、手の圧縮力Cを両端に加えることによって前記バッグ(2)の口が破れるように、2枚の前記可撓性シート(1)の中央部分が分離するような応力が材料の内側に生成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の密封バック(2)のための迅速に開放する閉鎖装置。
【請求項3】
2枚の前記可撓性シート(1)が、互いに対して接する面を有しており、前記シート(1)の中央部分で厚く、端部で薄く形成されており、内部の構造的応力無しで、前記シート(1)の中立面の共通の平坦面からの距離が、端部よりも中央部分で離れており、
圧縮力Cが前記シート(1)の両端に加わった時に、外向き曲げモーメントMが生成されるようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載の密封バック(2)のための迅速に開放する閉鎖装置。
【請求項4】
2枚の前記シート(1)のそれぞれの前記口を画定する部分が、その前記口の長さ方向と垂直な溝(5)を有し、その前記口の前記溝が対向する境界部分が接着又は溶着され、
モーメント抵抗が局所的に小さくなるように各溝(5)は2枚のシート(1)の共通の中央部分から等距離に設けられて、
2枚の前記シート(1)が圧縮されると、前記バッグ(2)の前記境界部分を破るように屈曲して、平行四辺形状の開口部を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の密封バック(2)のための迅速に開放する閉鎖装置。
【請求項5】
2枚の前記シート(1)のそれぞれの前記口を画定する部分が結合され、その端部がそれぞれ同一材料の短い薄膜(4)で形成されて、
前記シート(1)を180度折り曲げても、互いに並置される
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の密封バック(2)のための迅速に開放する閉鎖装置。
【請求項6】
前記可撓性シート(1)の固定又は可変の断面が三角形状を有しており、
紙又はプラスチック材料で作られた前記バッグ(2)の一辺で、前記口の境界部が接着又は接合されている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の密封バック(2)のための迅速に開放する閉鎖装置。
【請求項7】
前記可撓性シート(1)の固定又は可変の断面が直角台形状を有しており、
紙又はプラスチック材料で作られた前記バッグ(2)の一辺で、前記口の境界部が接着又は接合されている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の密封バック(2)のための迅速に開放する閉鎖装置。
【請求項8】
前記バッグ(2)の内壁に使われている材料(7)が、湿気や光や他の内容物に損傷を与える要素からの保護のために、異なる材料からなる幾つかの層を有している
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の密封バック(2)のための迅速に開放する閉鎖装置。
【請求項9】
前記バッグ(2)の内壁に使われている材料(7)が、調剤用途又は他の工業用用途で使われる特定の技術的材料である
ことを特徴とする請求項1に記載の密封バック(2)のための迅速に開放する閉鎖装置。
【請求項10】
密封が、接着又は溶着によって達成されるのではなく、
2枚の前記可撓性シート(1)が重ねられる領域を閉鎖する前記境界部分(3)に、べたつきの無い接着剤を塗布することによって達成される
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の密封バック(2)のための迅速に開放する閉鎖装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−529406(P2012−529406A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514470(P2012−514470)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058113
【国際公開番号】WO2010/142744
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(511301854)
【Fターム(参考)】