プラスチック樹脂発泡体の製造方法
【課題】 安全性、衛生性、爆発の危険性、オゾン層の破壊等において問題が無く、しかも、微細な気泡セルを均一に形成することができるプラスチック樹脂発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】 ホッパー20に投入されたプラスチック樹脂は、第1ステージにおいて、添加された酸性化合物と炭酸塩とが中和反応を起こして、反応物を生成するとともに、炭酸ガスを生成する。第2ステージにおいて、窒素ガスが圧入される。したがって、微細な反応生成物が均一に分散されるとともに、炭酸ガス及び窒素ガスが溶解された状態となっている。プラスチック樹脂は、リップ71からプラスチック樹脂がチューブ状に吐出されるが、この時、リップの先端が大気圧下に開放されているので、臨界条件が破れて炭酸ガス及び窒素ガスが気体となり、反応生成物を発泡核剤として発泡し、微細な発泡セルを形成する。
【解決手段】 ホッパー20に投入されたプラスチック樹脂は、第1ステージにおいて、添加された酸性化合物と炭酸塩とが中和反応を起こして、反応物を生成するとともに、炭酸ガスを生成する。第2ステージにおいて、窒素ガスが圧入される。したがって、微細な反応生成物が均一に分散されるとともに、炭酸ガス及び窒素ガスが溶解された状態となっている。プラスチック樹脂は、リップ71からプラスチック樹脂がチューブ状に吐出されるが、この時、リップの先端が大気圧下に開放されているので、臨界条件が破れて炭酸ガス及び窒素ガスが気体となり、反応生成物を発泡核剤として発泡し、微細な発泡セルを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱カップ、破ビン防止包装材料等に用いられるプラスチック樹脂発泡体の製造方法に関し、更に詳しくは、炭酸ガスと窒素ガスとを発泡させることにより、微細で均一な発泡セルを形成できるようにしたプラスチック樹脂発泡体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発泡フイルム、発泡シート等の発泡体は断熱性やクッション性に優れているので多方面に利用されており、断熱カップ、破ビン防止包装材料、果物の包装材料、自動車の天井やドア内面材等に広く利用されている。
【0003】
このような発泡体を発泡させる方法としては、化学的発泡と物理的発泡の2つの方法があり、化学的発泡は、炭酸水素ナトリウム、アゾジカルボンアミドのようなアゾ化合物、P−トルエンスホニルアジドのようなアジド化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンのようなニトロソ化合物等の加熱されることによって分解ガスを発生する化学的発泡剤を用い、これらの化学的発泡剤を練り込んだ樹脂を押出機を用いてシート状に成形し、その後、加熱炉で加熱することにより発泡させるものであった(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
物理的発泡は、ブタン、イソブタンジクロロジフロロメタン等の低沸点有機物からなる物理的発泡剤を用いるもので、所定の樹脂を押出機により溶融・混練した高温高圧下で物理的発泡剤を圧入し、発泡最適温度に調節した後、押出して低圧帯(大気圧)に置くことにより発泡させるものであった(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
しかしながら、化学的発泡においては、化学発泡剤の残渣が必ず残り好ましくなく、さらに、アゾ化合物、アジド化合物、ニトロソ化合物等の場合は、発癌性のあるアミン化合物を生成する危険性があるので、安全・衛生上好ましくないものであった。また、物理的発泡においては、ブタン、イソブタンは爆発の危険性があり、ジクロロジフロロメタン等のフロン系ガスはオゾン層を破壊する問題があった。
【0006】
そこで、爆発の危険性がなく安全・衛生性に優れた炭酸ガスや窒素ガスを用いる方法が提案されており、この方法によれば、連続可塑化装置内で、溶融した熱可塑性樹脂と超臨界状態の二酸化炭素又は窒素の相溶状態の溶融樹脂組成物を形成し、この溶融樹脂組成物を連続可塑化装置先端部に接続したダイスから吐出することにより熱可塑性樹脂発泡体を製造するものであり、また、発泡を均一にするために、発泡核剤としてタルク等の無機微粉末や、ステアリン酸亜鉛を用いるものであった(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−41589号公報
【特許文献2】特開2000−158537号公報
【特許文献3】特開平10−76560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、気泡を均一にするために微粉末のタルク等を用いるものであるが、タルクの径が大きいため大量に投入しなければならなかった。すなわち、発泡核剤は、溶解しているCO2やN2が気体となる時にその刺激となるものであり、1個の発泡核剤から1個の気泡を作ると考えると、微細な気泡を多く作るためには多数の発泡核剤を添加する必要がある。したがって、タルクの径が大きいと、当然重量も大きくなるので、タルクを大量に投入しなければならないものである。さらに、タルクの径が大きいと、形成される発泡セルも大きくなるので、破泡しやすいものであった。また、タルクの数が少ないと、溶解している気体が少ないタルクを核として発泡するので、発泡セルの数が少なくなることにより発泡セル自体の大きさが大きくなるので、破泡しやすいものである。
【0009】
本発明は、以上の問題点を解決し、安全性、衛生性、爆発の危険性、オゾン層の破壊等において問題が無く、しかも、微細な気泡セルを均一に形成することができるプラスチック樹脂発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上述した課題を達成すべく鋭意検討し、発泡核剤として、タルク等の無機微粉末や、熱分解型発泡剤を用いることなく、炭酸塩と酸性化合物とをプラスチック樹脂に混練し、これらをプラスチック樹脂内で中和反応させることにより反応生成物と炭酸ガスとを生成させ、これらが発泡核剤としての機能を奏することを見出し、さらに、これらの発泡核剤により形成された発泡セルが微細かつ均一であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
請求項1に係るプラスチック樹脂発泡体の製造方法は、押出機のシリンダーにプラスチック樹脂と共に炭酸塩及び酸性化合物を投入して炭酸ガスの臨界温度及び臨界圧力以上に維持した状態で溶融・混練するとともに、シリンダーの中間部において窒素ガスを該溶融プラスチック樹脂に圧入し、その後、溶融プラスチック樹脂をダイスより押出すことを特徴として構成されている。
【0012】
請求項2に係るプラスチック樹脂発泡体の製造方法は、炭酸塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム又はこれらの混合物であり、前記酸性化合物がクエン酸であることを特徴として構成されている。
【0013】
請求項3に係るプラスチック樹脂発泡体の製造方法は、前記プラスチック樹脂がポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂であることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係るプラスチック樹脂発泡体の製造方法においては、押出機のシリンダーにプラスチック樹脂と共に炭酸塩と酸性化合物とを投入して溶融・混練する。したがって、炭酸塩と酸性化合物とはシリンダー内で中和反応し、微細な反応物を生成する。そして、この微細な反応生成物は、シリンダー内で溶融プラスチック樹脂と混練してプラスチック樹脂中に均一に分散し、発泡核剤となる。すなわちアルカリ性である炭酸塩と酸性化合物とは押出機の中で中和反応を起すが、炭酸塩と酸性化合物とはプラスチック樹脂中に溶融・混練しているので、中和反応は炭酸塩の分子と酸性化合物の分子とが分子レベルで反応し、反応生成物も分子レベルのものが生成される。したがって、微細な反応生成物がプラスチック樹脂中に均一に分散した状態で存在し、この均一に分散した微細な反応生成物が発泡核剤としての性質を有することになる。
【0015】
ところで、1モルの生成物には、アボガドロ数から6.02×1023個の分子が含まれており、生成した単分子の生成物はそのまま単分子のままではなく、集まって生成物の集合体を作るか、又は結晶に成長すると考えられる。しかしながら、炭酸塩と酸性化合物とは溶融プラスチック樹脂に混練した状態で中和反応を起こしているので、反応生成物は大きな集合体又は結晶になることなく、微細な状態を維持することとなり、タルクのような固体を物理的に粉砕して作る発泡核剤より、遥かに微細で均一に分散されたものとなる。
【0016】
また、炭酸塩と酸性化合物との中和反応により炭酸ガスが発生するが、この炭酸ガスは、溶融プラスチック樹脂に均一に分散した溶解状態となっている。すなわち、炭酸ガスは臨界温度31.1℃、臨界圧力7.39MPaであり、これらの臨界温度及び臨界圧力以上の条件になると液体でもなく気体でもない超臨界流体となるが、シリンダー内は上記臨界温度及び臨界圧力以上に設定されているので、炭酸ガスは溶融プラスチック樹脂に溶解した状態となっている。
【0017】
以上のような微細な反応生成物が均一に分散するとともに、炭酸ガスが溶解したプラスチック樹脂は、シリンダーの中間部において加圧窒素ガスが圧入され、この窒素ガスはプラスチック樹脂に溶解状態となっている。すなわち、窒素ガスは臨界温度−147.0℃、臨界圧力3.39MPaであり、上述した炭酸ガスと同様に、臨界温度及び臨界圧力以上の条件になると溶解した状態となる。
【0018】
以上のように、炭酸ガス及び窒素ガスを超臨界流体にする必要があるので、シリンダー内は臨界温度及び臨界圧力以上としなければならない。したがって、炭酸ガスの臨界点を採用し、臨界温度31.1℃以上の温度、臨界圧力7.39MPa以上の圧力に設定する。また、反応生成物が溶解又は分解しない温度に設定するものである。
【0019】
以上のように炭酸ガス及び窒素ガスが溶解するとともに、微細な反応生成物が均一に分散した状態の溶融プラスチック樹脂は、ダイスから押出される。すると、プラスチック樹脂は大気圧下に置かれることとなるので、溶融した炭酸ガス及び窒素ガスの圧力は臨界圧力以下になり、気体となる。その際、微細反応生成物を核剤として気体となるので、プラスチック樹脂中に微細な気泡が均一に形成され、発泡プラスチック樹脂シートが形成される。
【0020】
すなわち、溶融したプラスチック樹脂は、押出機内において7.39MPa以上の圧力下にあり、炭酸ガス及び窒素ガスはプラスチック樹脂に溶解しており、この状態でダイスより大気圧下に押出される。すると、溶融プラスチック樹脂の圧力低下し、炭酸ガスの臨界圧力である7.39MPaより低下した時、炭酸ガスは微細反応生成物を核剤として微細な気泡となる。次いで、溶融プラスチック樹脂の圧力がさらに低下し、窒素ガスの臨界圧力である3.39MPaより低下した時、窒素ガスは、既に形成されている炭酸ガスの微細な気泡を核として発泡する。その結果、炭酸ガスと窒素ガスとから成る微細な気泡で構成される微細な発泡セルが形成される。なお、プラスチック樹脂の圧力低下は、ダイスのリップ部の吐出口近傍から始まっていると考えられるので、実際は、リップ部の先端近傍において、発泡セルが形成され始めていると考えられる。
【0021】
請求項2に係るプラスチック樹脂発泡体の製造方法においては、炭酸塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム又はこれらの混合物であり、酸性化合物がクエン酸であるので、反応生成物がクエン酸ナトリウムである。クエン酸ナトリウムの融点は300℃であり、シリンダーの樹脂温度は最高250℃であるので、クエン酸ナトリウムは固体の状態を維持し、発泡核剤として充分な役割を果たすことが出来る。また、クエン酸の融点は150℃であるので、シリンダーにおいて液体状態となっており、炭酸塩とむら無く接触し、温度とも相まって容易に中和反応を起こすことが出来る。
【0022】
請求項3に係るプラスチック樹脂発泡体の製造方法においては、プラスチック樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂であるので、量産されて汎用されている樹脂であるので安価に製造することができる。
【0023】
請求項4に係るプラスチック樹脂発泡体の製造方法においては、ダイスとして丸ダイスが用いられているので、インフレーション法により安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法を実施する押出機の概略図
【図2】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法を実施する押出機のシリンダーの概略図
【図3】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法を実施する押出機のリップの概略図
【図4】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法を実施する押出機のリップの概略図
【図5】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法を実施する押出機のリップの概略図
【図6】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図7】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図8】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図9】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図10】従来のプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図11】従来のプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図12】従来のプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図13】従来のプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図14】従来のプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のプラスチック樹脂発泡体の製造方法は、押出機のシリンダーにプラスチック樹脂と共に炭酸塩及び酸性化合物を投入して炭酸ガスの臨界温度及び臨界圧力以上に維持した状態で溶融・混練するとともに、シリンダーの中間部において加圧窒素ガスを該溶融プラスチック樹脂に圧入し、その後、溶融プラスチック樹脂をダイスより押出すものである。プラスチック樹脂としては、特殊な樹脂である必要は無く、最も一般的に使われているポリエチレン樹脂、ポリプラスチック樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂を用いることができるが、MFRが0.1〜5.0であることが好ましく、0.1〜3.0がより好ましい。すなわち、MFRが小さい程、溶融樹脂の溶融張力が大きいので、安定した発泡セルを得るためにはMFRが小さい方が好ましい。
【0026】
炭酸塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、又はこれらの混合物を用いることが出来る。酸性化合物としては、クエン酸を用いることが出来る。
【0027】
炭酸塩と酸性化合物のプラスチック樹脂への添加方法は、例えば、プラスチック樹脂のペレットに流動パラフィンを0.05〜0.20重量%ヘンシェルミキサー等でまぶした後、炭酸塩と酸性化合物の粉末を添加し、ヘンシェルミキサー等でミキシングして混合付着させる。また、市販の炭酸塩と酸性化合物(クエン酸)のマスターバッチを所定量、プラスチック樹脂のペレットとドライブレンドして添加しても良い。炭酸塩と酸性化合物との配合は、中和反応により反応生成物と炭酸ガスとを発生させるものであるので、当量関係になるように配合することが無駄が無く好ましい。
【0028】
押出機のシリンダーは、基端側から、第1ステージ、第2ステージとなっており、第1ステージは、炭酸塩と酸性化合物との中和反応により生成反応物及び炭酸ガスが生成され、生成反応物が均一に分散混練されるとともに、炭酸ガスが溶融混練されるものである。したがって、第1ステージにおいては、生成反応物が溶解又は分解しない温度以下に設定するとともに、また、炭酸ガスの臨界温度及び臨界圧力以上に設定するものである。第2ステージは、第1ステージの生成反応物及び炭酸ガスの状態を維持しつつ、窒素ガスが圧入され、溶融混練されるものである。したがって、窒素ガスの臨界温度及び臨界圧力以上に設定するものであるが、臨界圧力は炭酸ガスより小さいので、炭酸ガスの臨界圧力を基準とし、また臨界温度は炭酸ガスより低いので、炭酸ガスの臨界温度を基準とすればよい。
【0029】
したがって、第1ステージにおける温度は、樹脂が溶ける温度、PP樹脂であれば160℃以上、PE、PS、PU樹脂であれば120℃以上が好ましく、圧力は7.4MPa以上、10MPa以上がより好ましい。第2ステージにおいては温度も圧力も第1ステージの状態を維持すれば良く、ほぼ同等である。
本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、プラスチック樹脂発泡体を製造する押出機の概略図、図2は、同上押出機のシリンダー部分の概略図、図3は、押出機に用いられる丸ダイスのリップの断面図である。
【0031】
図1において、10はシリンダーで、このシリンダー10の基端部にはホッパー20が設けられるとともに、先端部にはヘッド30が設けられ、中間部にはシリンダー10内に窒素ガスを圧入する窒素ガス圧入機構40が設けられている。この窒素ガス圧入機構40は、窒素ボンベ41が窒素供給管42を介してシリンダー10に連結されており、窒素供給管42には、窒素加圧装置43、流量計44及び弁45が順次設けられている。ヘッド30には、ジョイント50、ダイス温調部60を介して丸ダイス70が連結されている。また、丸ダイス70の上方には、安定板80及びピンチロール90が設けられる共に、側方に巻取り機100が設けられている。また、シリンダー10の外周には、シリンダー10を加熱するための加熱ジャケット17が設けられている。
【0032】
前記シリンダー10は、図2に示すように、内部にスクリュー11が設けられており、このスクリュー11は、基端部側(ホッパー20側)から、加圧圧縮部12、ニーダー部13、加圧圧縮部12となっており、加圧圧縮部12は通常の溝巾で形成されたもので、ニーダー部13は溝巾が狭く形成されたものである。したがって、ニーダー部13においては、溝の間を溶融樹脂が満たしており加圧圧縮部12の背圧を10〜20Mpaにまで昇圧出来ると共に、発泡核剤(生成された反応生成物)を十分に混練することが出来る。シリンダー10の基端部には、ホッパー20が連結されるプラスチック樹脂投入口14が設けられ、ニーダー部13の樹脂搬送方向の近傍には、窒素供給管42が連結される窒素圧入口15が設けられ、また先端部には溶融プラスチック樹脂を送り出し排出口16が設けられている。
【0033】
以上のようなシリンダー10において、プラスチック樹脂投入口14からニーダー部13までの間が第1ステージであり、炭酸塩と酸性化合物との中和反応により反応物と炭酸ガスとが生成され、反応生成物のプラスチック樹脂への混練を行なうとともに、炭酸ガスをプラスチック樹脂内に溶解するものである。すなわち、発生した炭酸ガスは、シリンダー10内が炭酸ガスの臨界点(臨界温度:31。1℃、臨界圧力:7.39MPa)以上に設定されているので、超臨界流体となってプラスチック樹脂に溶解する。
【0034】
ニーダー部13の搬送方向の端面から排出口16までの間が第2ステージとなっており、第1ステージにおける反応生成物及び炭酸ガスの状態を維持したまま、窒素ガスが圧注入され、この加圧窒素ガスをプラスチック樹脂内に溶解するものである。すなわち、シリンダー10内が窒素ガスの臨界点(臨界温度:−147℃、臨界圧力:3.39MPa)以上に設定されているので、超臨界流体となりプラスチック樹脂に溶解している。
【0035】
丸ダイス70のリップ71は、図3に示すように、中央に吐出流路72が形成され先端から吐出される。この先端近傍が第3ステージとなっている。第3ステージは、プラスチック樹脂の圧力が小さくなり溶解した炭酸ガス及び窒素ガスが発泡して発泡セルを形成するものである。
【0036】
以上のような押出機でプラスチック樹脂発泡体を製造するには、まず、炭酸塩と酸性化合物とを添加したプラスチック樹脂をホッパー20に投入する。ホッパー20に投入されたプラスチック樹脂は、まず、第1ステージにおいて、溶融されると共に、添加された酸性化合物(例えば、クエン酸:融点150℃)が液体となり炭酸塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム)の中に浸入して、中和反応を起こして、反応物(例えば、クエン酸ナトリウム)を生成するとともに、炭酸ガスを生成する。反応生成物は微細な塊となってプラスチック樹脂中に均一分散されるとともに、炭酸ガスは超臨界流体となってプラスチック樹脂に溶解される。
【0037】
次に、第2ステージにおいて、窒素ガスが圧入され、圧入された窒素ガスは超臨界流体となってプラスチック樹脂に溶解される。したがって、第2ステージにおいては、微細な反応生成物が均一に分散されるとともに、炭酸ガス及び窒素ガスが溶解された状態となっている。このようなプラスチック樹脂は、シリンダー10からヘッド30、ジョイント50、ダイス温調部60を介して丸ダイス70に送られる。
【0038】
丸ダイス70においては、リップ71からプラスチック樹脂がチューブ状に吐出されるが、この時、リップの先端が大気圧下に開放されているので、先端に近づくにつれて圧力が低下する。したがって、先ず炭酸ガスの臨界圧力(7.39Mpa)に低下した時、臨界条件が破れて炭酸ガスが気体となり、反応生成物を発泡核剤として一次発泡し、微細な発泡セルを形成する。次いで、更にプラスチック樹脂が進み、圧力が窒素ガスの臨界圧力(3.39Mpa)まで低下した時、臨界条件が破れて窒素ガスが気体となり、既に形成されている微細な炭酸ガスの発泡セルを発泡核として二次発泡する。窒素ガスの発泡の際、窒素ガスは新たに発泡セルを形成するよりは、既に形成されている微細な炭酸ガスの発泡セルを大きくすると考える方が自然であり、後述する実施例により確認されている。
【0039】
ダイス70のリップ71からチューブ状に押出されたプラスチック樹脂フィルムは、チューブの中に空気が吹き込まれるので、その圧力で横方向に膨らみバブルとなり、また同時に、ピンチロール90の引き取り力によって縦方向に伸ばされるので、縦(MD)、横(TD)同時に延伸されながらインフレーション製膜が行なわれ、このバブルは、案内板80で平坦にされつつピンチロール90で2枚にたたまれ、巻取り機100によって巻き取られる。
【0040】
図4は、丸ダイスのリップの他の実施形態を示す断面図である。この図に示すリップ71は、吐出流路72が先端行くに従って広くなるようにテーパー状に形成されている。したがって、テーパーが広がるにつれて圧力が低下するので炭酸ガスの一次発泡と窒素ガスの二次発泡の間に時間差を取ることができ、一次、二次発泡を確実にすることができる。このテーパーの角度は、5〜15度が好ましい。
【0041】
図5も、丸ダイスのリップの他の実施形態を示す断面図である。この図に示すリップ71は、吐出流路72が途中から巾広に形成されている。したがって、2倍に広げれば樹脂圧15MPaの圧力が1/2の7.5MPaに、3倍に広げれば樹脂圧15MPaの圧力が1/3の5MPaに低下し、炭酸ガスの一次発泡、窒素ガスの二次発泡を確実にすることができる。これらのリップの流路形状はテストしながら最適の設計を行なう。
【0042】
次に、シリンダー内で行なわれている反応について説明する。
第1ステージにおいては。炭酸塩と酸性化合物との中和反応が行なわれており、例えば、化1又は化2に示す中和反応が行なわれている。
炭酸水素ナトリウムとクエン酸の場合:
【0043】
【化1】
【0044】
3モルの炭酸水素ナトリウムと1モルのクエン酸とが反応して、1モルのクエン酸ナトリウムと3モルの炭酸ガス(体積;3×22400ml=67200ml)と4モルの水とが生成される。当量関係は3モルの炭酸水素ナトリウム=1モルのクエン酸=1モルのクエン酸ナトリウム=3モルの炭酸ガスである。
炭酸ナトリウムとクエン酸の場合:
【0045】
【化2】
【0046】
3モルの炭酸ナトリウムと2モルのクエン酸とが反応して、2モルのクエン酸ナトリウムと3モルの炭酸ガス(体積;3×22400ml=67200ml)と5モルの水が生成される。当量関係は3モルの炭酸ナトリウム=2モルのクエン酸=2モルのクエン酸ナトリウム=3モルの炭酸ガスである。
【0047】
シリンダー10内における中和反応は、炭酸塩の分子とクエン酸の分子とが反応して分子サイズのクエン酸ナトリウムが生成される。1モルのクエン酸ナトリウム(258g)にはアボガドロ数から6.02×1023個の分子が存在する。生成されたクエン酸ナトリウムは単独の分子で存在するわけではなく、いくつか集まって集合体を作るか又は結晶まで成長すると考えられる。
【0048】
しかし、生成されたクエン酸ナトリウムは、大きな集合体又は大きな結晶に成長する前に、シリンダー10のニーダー部13によってプラスチック樹脂と混練されるので、微細な集合体又は結晶のままプラスチック樹脂中に均一に分散される。なお、クエン酸ナトリウムは、融点が300℃でありシリンダー10内の温度より高温であるので、固体状態を維持している。したがって、プラスチック樹脂中に均一に微細なクエン酸ナトリウムの固体が分散された状態となっており、発泡核剤として有効に働くものである。
【0049】
クエン酸ナトリウムは、どの位の分子が集まって集合体又は結晶を作るかは定かではないが、後述する実施例1のテスト1(発泡剤0.06重量%添加)、テスト2(発泡剤0.18重量%添加)、テスト3(発泡剤0.36重量%添加)から、1個の集合体又は結晶から1個の発泡セルができると仮定して推定すると、テスト1では前記反応式と当量関係から、0.06重量%(炭酸水素ナトリウム0.033重量%+クエン酸0.027重量%)の発泡剤から0.034重量%のクエン酸ナトリウムが生成される。クエン酸ナトリウム0.034g中にはアボガドロ数から、6.02×1023×(0.034/258)であるので、7.9×1019個の分子が存在する。
【0050】
テスト1では発泡フイルムの比重が0.73、発泡セル密度が5.3×107個/cm3であるので、これを樹脂100g当たりのセル数に換算すると、5.3×107×(1/0.73)×100=7.3×109個/100gである。したがって、上記クエン酸ナトリウム(0.034g)の分子数(7.9×1019個)を、上記プラスチック樹脂100g当たりのセル数(7.3×109個)で除すると(7.9×1019÷7.3×109)、約1.1×1010個の分子が集まって1個の集合体又は結晶を形成していると推定できる。
【0051】
同様にテスト2のクエン酸ナトリウムの生成量0.102重量%、発泡フイルムの比重0.69、発泡セル密度が1.5×108個/cm3から、クエン酸ナトリウム0.102g中にはアボガドロ数から、6.02×1023×(0.102/258)であるので、2.4×1020個の分子が存在する。
【0052】
発泡フイルムの比重が0.69、発泡セル密度が1.5×108個/cm3であるので、これを樹脂100g当たりのセル数に換算すると、1.5×108×(1/0.69)×100=2.2×1010個/100gである。したがって、上記クエン酸ナトリウム(0.102g)の分子数(2.4×1020個)を、上記プラスチック樹脂100g当たりのセル数(2.2×1010個)で除すると(2.4×1020÷2.2×1010)、約1.1×1010個の分子が集まって1個の集合体又は結晶を形成していると推定できる。
【0053】
同様にテスト3のクエン酸ナトリウムの生成量0.204重量%、発泡フイルムの比重0.60、発泡セル密度が2.8×108個/cm3から、クエン酸ナトリウム0.204g中にはアボガドロ数から、6.02×1023×(0.204/258)であるので、4.8×1020個の分子が存在する。
【0054】
発泡フイルムの比重が0.60、発泡セル密度が1.5×108個/cm3であるので、これを樹脂100g当たりのセル数に換算すると、2.8×1018×1/0.60×100=4.7×1010個/100gである。したがって、上記クエン酸ナトリウム(0.204g)の分子数(4.8×1020個)を、上記プラスチック樹脂100g当たりのセル数(4.7×1010個)で除すると(4.8×1020÷4.7×1010)、約1.0×1010個の分子が集まって1個の集合体又は結晶を形成していると推定できる。
【0055】
以上の結果より、炭酸塩と酸性化合物との添加量を変えても、発泡に寄与する1個の集合体又は結晶の分子数は1×1010個と一定の値となり、反応生成物の集合体又は結晶が均一に分散し、発泡核剤として有効であることが解る。
【0056】
また、炭酸塩と酸性化合物との添加量を変化させると、その変化量に比例して発泡セルの密度も変化するので、炭酸塩と酸性化合物との添加量をコントロールすることにより発泡セルの密度を制御することができる。
【0057】
なお、炭酸塩と酸性化合物の反応により水も発生するが、シリンダー10内は水の臨界点(臨界温度374.2℃、臨界圧力22.12MPa)には達していないので、水は超臨界流体とはなっておらずプラスチック樹脂には溶解しない。したがって、蒸気となって第1ステージにおいてプラスチック樹脂投入口14からホッパーへ逃げたり、高圧力のため熱水となってダイス70のリップ71から大気圧下になった時に蒸気になる。
【実施例】
【0058】
[実施例1]
MFRが0.3g/10min、密度0.92、融点が111℃であるLDPE樹脂ペレットの表面に、流動パラフィン0.15重量%をヘンシェルミキサーを用いて均一に付着させた。次いで炭酸水素ナトリウム252重量部とクエン酸210重量部とを混合した発泡剤を0.06重量%(テスト1)、0.18重量%(テスト2)、0.36重量%(テスト3)添加し、同様にヘンシェルミキサーで混合付着させた。
【0059】
この発泡剤を添加したLDPE樹脂ペレットを用い、図1、図2、図3に示す押出機により発泡フィルムをインフレーション法により作製した。押出機の各種設定を以下に示す。
<シリンダーサイズ> 65mmΦ、L/D=25
<第1及び2ステージの圧力> 17MPa
<第1ステージの温度> 140〜190℃
<第2ステージの温度> 180℃
<加圧窒素ガス注入量> 29ml(大気圧換算)
<ヘッド部温度> 170℃
<ジョイント温度> 170℃
<ダイス温調部温度> 160〜150℃
<丸ダイスサイズ> 200mmΦ
<バブル引取速度> 6m/min
<リップギャップ> 0.8mm
得られた発泡フィルムの評価結果を表1に、電子顕微鏡写真を図6(断面)、図7(断面)、図8(断面)、図9(平面)に示す。
【0060】
[比較例1]
MFRが0.3g/10min、密度0.92g/cm3、融点が111℃である実施例1と同じLDPE樹脂ペレットを用い、タルク(核剤)の添加0(テスト4)、平均粒径12μmのタルク70重量%含有したLDPEマスターバッチをドラブレドで混合し、タルク分として2.5重量%(テスト5)、5.0重量%(テスト6)、7.0重量%(テスト7)を添加した。その他の条件は、実施例1と全く同様に行なって、発泡フイルムを作製した。
【0061】
得られた発泡フイルムの評価結果を表1に、電子顕微鏡写真を図10(断面)、図11(断面)、図12(断面)、図13(断面)、図14(平面)に示す。
[評価方法]
評価方法を以下に示す。
<発泡核剤(クエン酸ナトリウム)の生成量> 添加した炭酸水素ナトリウム及びクエン酸の添加量より算出した。すなわち、当量関係より、炭酸水素ナトリウム3モルとクエン酸1モルから、クエン酸ナトリウムは1モル生成されるので、252gの炭酸水素ナトリウムと210gのクエン酸とから、258gのクエン酸ナトリウムが生成されることになり、炭酸水素ナトリウムとクエン酸との添加量(0.06重量%)より算出(×258/(252+210))する。
【0062】
<厚み;(μm)> 電子顕微鏡写真の断面から概略推定
<比重> 発泡フイルムを10cm角の正方形に裁断して試験片を作製する。試験片の4辺の厚みをマイクロメーターで測定するとともに、その厚みの平均値と表面積とから体積を算出する。試験片の重量を測定し、この重量を前記体積で除して比重を算出する。なお、試験片は3枚作製し、その平均値より求めた。
<発泡倍率> プラスチック樹脂の密度(0.92)を比重で除して算出する。
<発泡セル密度;(個/cm3)> 発泡フイルムをミクロトームで断面方向と平面方向に裁断し、拡大写真より夫々方向のセル数を測定し、断面方向における単位面積(1cm2)当りのセル数と、平面方向における単位面積(1cm2)当りのセル数を乗じて求める。
<発泡セルサイズ;(μm)> 電子顕微鏡写真の断面から平均的な平面方向と厚み方向を概略測定。
【0063】
【表1】
【0064】
以上の結果より、以下の点が確認できる。
A.発泡剤からの生成核剤(テスト1、2、3、図6、7、8)は、タルク核剤(テスト5、6、7、図11、12、13)に比べ、はるかに少ない添加量で大きな発泡セル密度を得ることができる。例えば、テスト1の生成核剤の量(0.034重量%)は、テスト7のタルク添加量(7.0重量%)の約1/200(7.0/0.034=205)の量であるが、発泡セル密度は10倍以上(5.3×107/3.2×106)である。
B.テスト1〜3の結果より、発泡セル密度は、発泡剤(生成核剤)の添加量に略正比例しているので、生成核剤がプラスチック樹脂中に均一に分散していることが解る。
C.生成核剤(テスト3)の表面電子顕微鏡写真図9は平滑であるが、タルク核剤(テスト7)の表面電子顕微鏡写真図14は破泡が見受けられる。
D.核剤のないN2ガスのみでは(テスト4、図10)発泡フイルムを得ることはできない。
E.以上のような結果から、本実施例においては、極めて少ない発泡剤の添加量で、均一かつ微細な発泡セルを形成することが出来、また、発泡セルが破泡することもない。
【0065】
実施例1のテスト1、2、3の結果から、プラスチック樹脂に溶解させたガス量(炭酸ガス及び窒素ガス)と発泡に寄与したガス量とを計算し、その差から有効に使用されたガス量を求めた。結果を表2に示す。
【0066】
【数1】
【0067】
【表2】
【0068】
発泡に寄与したガス量は溶解させたガス量の約70%前後であり、約30%前後のガスの大部分は、第1ステージで樹脂が溶ける前か樹脂圧が昇圧する前に生成された炭酸ガスが投入口から逃げたものと考えられる。したがって発泡倍率を変える場合は、安定している窒素ガスでコントロールした方が良いと考えられる。
【0069】
[実施例2]
MFRが0.8g/10min、密度が0.90g/cm3、融点が162℃のポリプロピレン樹脂ペレットを用い、実施例1と同様に発泡剤を0.36重量%添加し、押出機の設定条件を下記の通り変更した他は、実施例1と全く同様に行なって発泡フイルムを作製した。
<第1ステージの温度> 180〜240℃
<第2ステージの温度> 225℃
<ヘッド部温度> 220℃
<ジョイント温度> 210℃
<ダイス温調部温度> 200〜190℃
得られた発泡フイルムの発泡セル密度と発泡倍率を実施例1と同様にして求めた。結果を以下に示す。
発泡セル密度; 2.0×108個/cm3
発泡倍率; 1.51倍
【0070】
[実施例3]
MFRが2.2g/10min、密度が1.05g/cm3、ビカット軟化点が103℃のポリスチレン樹脂ペレットを用い、実施例1と同様に発泡剤を0.36重量%添加し、押出機の設定条件を下記の通り変更した他は、実施例1と全く同様に行なって発泡フイルムを作製した。
<第1ステージの温度> 165〜200℃
<第2ステージの温度> 180℃
<ヘッド部温度> 170℃
<ジョイント温度> 170℃
<ダイス温調部温度> 160〜150℃
得られた発泡フイルムの発泡セル密度と発泡倍率を実施例1と同様にして求めた。結果を以下に示す。
発泡セル密度; 2.5×108個/cm3
発泡倍率; 1.52倍
【0071】
[実施例4]
溶解温度が30000ポアズ、硬度64D、比重が1.17のポリウレタン樹脂ペレットを用い、実施例1と同様に発泡剤を0.36重量%添加し、押出機の設定条件を下記の通り変更した他は、実施例1と全く同様に行なって発泡フイルムを作製した。
<第1ステージの温度> 145〜180℃
<第2ステージの温度> 170℃
<ヘッド部温度> 170℃
<ジョイント温度> 165℃
<ダイス温調部温度> 160〜150℃
得られた発泡フイルムの発泡セル密度と発泡倍率を実施例1と同様にして求めた。結果を以下に示す。
発泡セル密度; 3.0×108個/cm3
発泡倍率; 1.60倍
【符号の説明】
【0072】
10 シリンダー
11 スクリュー
12 加圧圧縮部
13 ニーダー部
20 ホッパー
30 ヘッド
40 窒素ガス圧入機構
50 ジョイント
60 ダイス温調部
70 丸ダイス
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱カップ、破ビン防止包装材料等に用いられるプラスチック樹脂発泡体の製造方法に関し、更に詳しくは、炭酸ガスと窒素ガスとを発泡させることにより、微細で均一な発泡セルを形成できるようにしたプラスチック樹脂発泡体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発泡フイルム、発泡シート等の発泡体は断熱性やクッション性に優れているので多方面に利用されており、断熱カップ、破ビン防止包装材料、果物の包装材料、自動車の天井やドア内面材等に広く利用されている。
【0003】
このような発泡体を発泡させる方法としては、化学的発泡と物理的発泡の2つの方法があり、化学的発泡は、炭酸水素ナトリウム、アゾジカルボンアミドのようなアゾ化合物、P−トルエンスホニルアジドのようなアジド化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンのようなニトロソ化合物等の加熱されることによって分解ガスを発生する化学的発泡剤を用い、これらの化学的発泡剤を練り込んだ樹脂を押出機を用いてシート状に成形し、その後、加熱炉で加熱することにより発泡させるものであった(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
物理的発泡は、ブタン、イソブタンジクロロジフロロメタン等の低沸点有機物からなる物理的発泡剤を用いるもので、所定の樹脂を押出機により溶融・混練した高温高圧下で物理的発泡剤を圧入し、発泡最適温度に調節した後、押出して低圧帯(大気圧)に置くことにより発泡させるものであった(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
しかしながら、化学的発泡においては、化学発泡剤の残渣が必ず残り好ましくなく、さらに、アゾ化合物、アジド化合物、ニトロソ化合物等の場合は、発癌性のあるアミン化合物を生成する危険性があるので、安全・衛生上好ましくないものであった。また、物理的発泡においては、ブタン、イソブタンは爆発の危険性があり、ジクロロジフロロメタン等のフロン系ガスはオゾン層を破壊する問題があった。
【0006】
そこで、爆発の危険性がなく安全・衛生性に優れた炭酸ガスや窒素ガスを用いる方法が提案されており、この方法によれば、連続可塑化装置内で、溶融した熱可塑性樹脂と超臨界状態の二酸化炭素又は窒素の相溶状態の溶融樹脂組成物を形成し、この溶融樹脂組成物を連続可塑化装置先端部に接続したダイスから吐出することにより熱可塑性樹脂発泡体を製造するものであり、また、発泡を均一にするために、発泡核剤としてタルク等の無機微粉末や、ステアリン酸亜鉛を用いるものであった(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−41589号公報
【特許文献2】特開2000−158537号公報
【特許文献3】特開平10−76560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、気泡を均一にするために微粉末のタルク等を用いるものであるが、タルクの径が大きいため大量に投入しなければならなかった。すなわち、発泡核剤は、溶解しているCO2やN2が気体となる時にその刺激となるものであり、1個の発泡核剤から1個の気泡を作ると考えると、微細な気泡を多く作るためには多数の発泡核剤を添加する必要がある。したがって、タルクの径が大きいと、当然重量も大きくなるので、タルクを大量に投入しなければならないものである。さらに、タルクの径が大きいと、形成される発泡セルも大きくなるので、破泡しやすいものであった。また、タルクの数が少ないと、溶解している気体が少ないタルクを核として発泡するので、発泡セルの数が少なくなることにより発泡セル自体の大きさが大きくなるので、破泡しやすいものである。
【0009】
本発明は、以上の問題点を解決し、安全性、衛生性、爆発の危険性、オゾン層の破壊等において問題が無く、しかも、微細な気泡セルを均一に形成することができるプラスチック樹脂発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上述した課題を達成すべく鋭意検討し、発泡核剤として、タルク等の無機微粉末や、熱分解型発泡剤を用いることなく、炭酸塩と酸性化合物とをプラスチック樹脂に混練し、これらをプラスチック樹脂内で中和反応させることにより反応生成物と炭酸ガスとを生成させ、これらが発泡核剤としての機能を奏することを見出し、さらに、これらの発泡核剤により形成された発泡セルが微細かつ均一であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
請求項1に係るプラスチック樹脂発泡体の製造方法は、押出機のシリンダーにプラスチック樹脂と共に炭酸塩及び酸性化合物を投入して炭酸ガスの臨界温度及び臨界圧力以上に維持した状態で溶融・混練するとともに、シリンダーの中間部において窒素ガスを該溶融プラスチック樹脂に圧入し、その後、溶融プラスチック樹脂をダイスより押出すことを特徴として構成されている。
【0012】
請求項2に係るプラスチック樹脂発泡体の製造方法は、炭酸塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム又はこれらの混合物であり、前記酸性化合物がクエン酸であることを特徴として構成されている。
【0013】
請求項3に係るプラスチック樹脂発泡体の製造方法は、前記プラスチック樹脂がポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂であることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係るプラスチック樹脂発泡体の製造方法においては、押出機のシリンダーにプラスチック樹脂と共に炭酸塩と酸性化合物とを投入して溶融・混練する。したがって、炭酸塩と酸性化合物とはシリンダー内で中和反応し、微細な反応物を生成する。そして、この微細な反応生成物は、シリンダー内で溶融プラスチック樹脂と混練してプラスチック樹脂中に均一に分散し、発泡核剤となる。すなわちアルカリ性である炭酸塩と酸性化合物とは押出機の中で中和反応を起すが、炭酸塩と酸性化合物とはプラスチック樹脂中に溶融・混練しているので、中和反応は炭酸塩の分子と酸性化合物の分子とが分子レベルで反応し、反応生成物も分子レベルのものが生成される。したがって、微細な反応生成物がプラスチック樹脂中に均一に分散した状態で存在し、この均一に分散した微細な反応生成物が発泡核剤としての性質を有することになる。
【0015】
ところで、1モルの生成物には、アボガドロ数から6.02×1023個の分子が含まれており、生成した単分子の生成物はそのまま単分子のままではなく、集まって生成物の集合体を作るか、又は結晶に成長すると考えられる。しかしながら、炭酸塩と酸性化合物とは溶融プラスチック樹脂に混練した状態で中和反応を起こしているので、反応生成物は大きな集合体又は結晶になることなく、微細な状態を維持することとなり、タルクのような固体を物理的に粉砕して作る発泡核剤より、遥かに微細で均一に分散されたものとなる。
【0016】
また、炭酸塩と酸性化合物との中和反応により炭酸ガスが発生するが、この炭酸ガスは、溶融プラスチック樹脂に均一に分散した溶解状態となっている。すなわち、炭酸ガスは臨界温度31.1℃、臨界圧力7.39MPaであり、これらの臨界温度及び臨界圧力以上の条件になると液体でもなく気体でもない超臨界流体となるが、シリンダー内は上記臨界温度及び臨界圧力以上に設定されているので、炭酸ガスは溶融プラスチック樹脂に溶解した状態となっている。
【0017】
以上のような微細な反応生成物が均一に分散するとともに、炭酸ガスが溶解したプラスチック樹脂は、シリンダーの中間部において加圧窒素ガスが圧入され、この窒素ガスはプラスチック樹脂に溶解状態となっている。すなわち、窒素ガスは臨界温度−147.0℃、臨界圧力3.39MPaであり、上述した炭酸ガスと同様に、臨界温度及び臨界圧力以上の条件になると溶解した状態となる。
【0018】
以上のように、炭酸ガス及び窒素ガスを超臨界流体にする必要があるので、シリンダー内は臨界温度及び臨界圧力以上としなければならない。したがって、炭酸ガスの臨界点を採用し、臨界温度31.1℃以上の温度、臨界圧力7.39MPa以上の圧力に設定する。また、反応生成物が溶解又は分解しない温度に設定するものである。
【0019】
以上のように炭酸ガス及び窒素ガスが溶解するとともに、微細な反応生成物が均一に分散した状態の溶融プラスチック樹脂は、ダイスから押出される。すると、プラスチック樹脂は大気圧下に置かれることとなるので、溶融した炭酸ガス及び窒素ガスの圧力は臨界圧力以下になり、気体となる。その際、微細反応生成物を核剤として気体となるので、プラスチック樹脂中に微細な気泡が均一に形成され、発泡プラスチック樹脂シートが形成される。
【0020】
すなわち、溶融したプラスチック樹脂は、押出機内において7.39MPa以上の圧力下にあり、炭酸ガス及び窒素ガスはプラスチック樹脂に溶解しており、この状態でダイスより大気圧下に押出される。すると、溶融プラスチック樹脂の圧力低下し、炭酸ガスの臨界圧力である7.39MPaより低下した時、炭酸ガスは微細反応生成物を核剤として微細な気泡となる。次いで、溶融プラスチック樹脂の圧力がさらに低下し、窒素ガスの臨界圧力である3.39MPaより低下した時、窒素ガスは、既に形成されている炭酸ガスの微細な気泡を核として発泡する。その結果、炭酸ガスと窒素ガスとから成る微細な気泡で構成される微細な発泡セルが形成される。なお、プラスチック樹脂の圧力低下は、ダイスのリップ部の吐出口近傍から始まっていると考えられるので、実際は、リップ部の先端近傍において、発泡セルが形成され始めていると考えられる。
【0021】
請求項2に係るプラスチック樹脂発泡体の製造方法においては、炭酸塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム又はこれらの混合物であり、酸性化合物がクエン酸であるので、反応生成物がクエン酸ナトリウムである。クエン酸ナトリウムの融点は300℃であり、シリンダーの樹脂温度は最高250℃であるので、クエン酸ナトリウムは固体の状態を維持し、発泡核剤として充分な役割を果たすことが出来る。また、クエン酸の融点は150℃であるので、シリンダーにおいて液体状態となっており、炭酸塩とむら無く接触し、温度とも相まって容易に中和反応を起こすことが出来る。
【0022】
請求項3に係るプラスチック樹脂発泡体の製造方法においては、プラスチック樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂であるので、量産されて汎用されている樹脂であるので安価に製造することができる。
【0023】
請求項4に係るプラスチック樹脂発泡体の製造方法においては、ダイスとして丸ダイスが用いられているので、インフレーション法により安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法を実施する押出機の概略図
【図2】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法を実施する押出機のシリンダーの概略図
【図3】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法を実施する押出機のリップの概略図
【図4】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法を実施する押出機のリップの概略図
【図5】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法を実施する押出機のリップの概略図
【図6】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図7】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図8】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図9】本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図10】従来のプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図11】従来のプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図12】従来のプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図13】従来のプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【図14】従来のプラスチック樹脂発泡体の製造方法で製造された発泡フイルムの電子顕微鏡写真
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のプラスチック樹脂発泡体の製造方法は、押出機のシリンダーにプラスチック樹脂と共に炭酸塩及び酸性化合物を投入して炭酸ガスの臨界温度及び臨界圧力以上に維持した状態で溶融・混練するとともに、シリンダーの中間部において加圧窒素ガスを該溶融プラスチック樹脂に圧入し、その後、溶融プラスチック樹脂をダイスより押出すものである。プラスチック樹脂としては、特殊な樹脂である必要は無く、最も一般的に使われているポリエチレン樹脂、ポリプラスチック樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂を用いることができるが、MFRが0.1〜5.0であることが好ましく、0.1〜3.0がより好ましい。すなわち、MFRが小さい程、溶融樹脂の溶融張力が大きいので、安定した発泡セルを得るためにはMFRが小さい方が好ましい。
【0026】
炭酸塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、又はこれらの混合物を用いることが出来る。酸性化合物としては、クエン酸を用いることが出来る。
【0027】
炭酸塩と酸性化合物のプラスチック樹脂への添加方法は、例えば、プラスチック樹脂のペレットに流動パラフィンを0.05〜0.20重量%ヘンシェルミキサー等でまぶした後、炭酸塩と酸性化合物の粉末を添加し、ヘンシェルミキサー等でミキシングして混合付着させる。また、市販の炭酸塩と酸性化合物(クエン酸)のマスターバッチを所定量、プラスチック樹脂のペレットとドライブレンドして添加しても良い。炭酸塩と酸性化合物との配合は、中和反応により反応生成物と炭酸ガスとを発生させるものであるので、当量関係になるように配合することが無駄が無く好ましい。
【0028】
押出機のシリンダーは、基端側から、第1ステージ、第2ステージとなっており、第1ステージは、炭酸塩と酸性化合物との中和反応により生成反応物及び炭酸ガスが生成され、生成反応物が均一に分散混練されるとともに、炭酸ガスが溶融混練されるものである。したがって、第1ステージにおいては、生成反応物が溶解又は分解しない温度以下に設定するとともに、また、炭酸ガスの臨界温度及び臨界圧力以上に設定するものである。第2ステージは、第1ステージの生成反応物及び炭酸ガスの状態を維持しつつ、窒素ガスが圧入され、溶融混練されるものである。したがって、窒素ガスの臨界温度及び臨界圧力以上に設定するものであるが、臨界圧力は炭酸ガスより小さいので、炭酸ガスの臨界圧力を基準とし、また臨界温度は炭酸ガスより低いので、炭酸ガスの臨界温度を基準とすればよい。
【0029】
したがって、第1ステージにおける温度は、樹脂が溶ける温度、PP樹脂であれば160℃以上、PE、PS、PU樹脂であれば120℃以上が好ましく、圧力は7.4MPa以上、10MPa以上がより好ましい。第2ステージにおいては温度も圧力も第1ステージの状態を維持すれば良く、ほぼ同等である。
本発明によるプラスチック樹脂発泡体の製造方法の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、プラスチック樹脂発泡体を製造する押出機の概略図、図2は、同上押出機のシリンダー部分の概略図、図3は、押出機に用いられる丸ダイスのリップの断面図である。
【0031】
図1において、10はシリンダーで、このシリンダー10の基端部にはホッパー20が設けられるとともに、先端部にはヘッド30が設けられ、中間部にはシリンダー10内に窒素ガスを圧入する窒素ガス圧入機構40が設けられている。この窒素ガス圧入機構40は、窒素ボンベ41が窒素供給管42を介してシリンダー10に連結されており、窒素供給管42には、窒素加圧装置43、流量計44及び弁45が順次設けられている。ヘッド30には、ジョイント50、ダイス温調部60を介して丸ダイス70が連結されている。また、丸ダイス70の上方には、安定板80及びピンチロール90が設けられる共に、側方に巻取り機100が設けられている。また、シリンダー10の外周には、シリンダー10を加熱するための加熱ジャケット17が設けられている。
【0032】
前記シリンダー10は、図2に示すように、内部にスクリュー11が設けられており、このスクリュー11は、基端部側(ホッパー20側)から、加圧圧縮部12、ニーダー部13、加圧圧縮部12となっており、加圧圧縮部12は通常の溝巾で形成されたもので、ニーダー部13は溝巾が狭く形成されたものである。したがって、ニーダー部13においては、溝の間を溶融樹脂が満たしており加圧圧縮部12の背圧を10〜20Mpaにまで昇圧出来ると共に、発泡核剤(生成された反応生成物)を十分に混練することが出来る。シリンダー10の基端部には、ホッパー20が連結されるプラスチック樹脂投入口14が設けられ、ニーダー部13の樹脂搬送方向の近傍には、窒素供給管42が連結される窒素圧入口15が設けられ、また先端部には溶融プラスチック樹脂を送り出し排出口16が設けられている。
【0033】
以上のようなシリンダー10において、プラスチック樹脂投入口14からニーダー部13までの間が第1ステージであり、炭酸塩と酸性化合物との中和反応により反応物と炭酸ガスとが生成され、反応生成物のプラスチック樹脂への混練を行なうとともに、炭酸ガスをプラスチック樹脂内に溶解するものである。すなわち、発生した炭酸ガスは、シリンダー10内が炭酸ガスの臨界点(臨界温度:31。1℃、臨界圧力:7.39MPa)以上に設定されているので、超臨界流体となってプラスチック樹脂に溶解する。
【0034】
ニーダー部13の搬送方向の端面から排出口16までの間が第2ステージとなっており、第1ステージにおける反応生成物及び炭酸ガスの状態を維持したまま、窒素ガスが圧注入され、この加圧窒素ガスをプラスチック樹脂内に溶解するものである。すなわち、シリンダー10内が窒素ガスの臨界点(臨界温度:−147℃、臨界圧力:3.39MPa)以上に設定されているので、超臨界流体となりプラスチック樹脂に溶解している。
【0035】
丸ダイス70のリップ71は、図3に示すように、中央に吐出流路72が形成され先端から吐出される。この先端近傍が第3ステージとなっている。第3ステージは、プラスチック樹脂の圧力が小さくなり溶解した炭酸ガス及び窒素ガスが発泡して発泡セルを形成するものである。
【0036】
以上のような押出機でプラスチック樹脂発泡体を製造するには、まず、炭酸塩と酸性化合物とを添加したプラスチック樹脂をホッパー20に投入する。ホッパー20に投入されたプラスチック樹脂は、まず、第1ステージにおいて、溶融されると共に、添加された酸性化合物(例えば、クエン酸:融点150℃)が液体となり炭酸塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム)の中に浸入して、中和反応を起こして、反応物(例えば、クエン酸ナトリウム)を生成するとともに、炭酸ガスを生成する。反応生成物は微細な塊となってプラスチック樹脂中に均一分散されるとともに、炭酸ガスは超臨界流体となってプラスチック樹脂に溶解される。
【0037】
次に、第2ステージにおいて、窒素ガスが圧入され、圧入された窒素ガスは超臨界流体となってプラスチック樹脂に溶解される。したがって、第2ステージにおいては、微細な反応生成物が均一に分散されるとともに、炭酸ガス及び窒素ガスが溶解された状態となっている。このようなプラスチック樹脂は、シリンダー10からヘッド30、ジョイント50、ダイス温調部60を介して丸ダイス70に送られる。
【0038】
丸ダイス70においては、リップ71からプラスチック樹脂がチューブ状に吐出されるが、この時、リップの先端が大気圧下に開放されているので、先端に近づくにつれて圧力が低下する。したがって、先ず炭酸ガスの臨界圧力(7.39Mpa)に低下した時、臨界条件が破れて炭酸ガスが気体となり、反応生成物を発泡核剤として一次発泡し、微細な発泡セルを形成する。次いで、更にプラスチック樹脂が進み、圧力が窒素ガスの臨界圧力(3.39Mpa)まで低下した時、臨界条件が破れて窒素ガスが気体となり、既に形成されている微細な炭酸ガスの発泡セルを発泡核として二次発泡する。窒素ガスの発泡の際、窒素ガスは新たに発泡セルを形成するよりは、既に形成されている微細な炭酸ガスの発泡セルを大きくすると考える方が自然であり、後述する実施例により確認されている。
【0039】
ダイス70のリップ71からチューブ状に押出されたプラスチック樹脂フィルムは、チューブの中に空気が吹き込まれるので、その圧力で横方向に膨らみバブルとなり、また同時に、ピンチロール90の引き取り力によって縦方向に伸ばされるので、縦(MD)、横(TD)同時に延伸されながらインフレーション製膜が行なわれ、このバブルは、案内板80で平坦にされつつピンチロール90で2枚にたたまれ、巻取り機100によって巻き取られる。
【0040】
図4は、丸ダイスのリップの他の実施形態を示す断面図である。この図に示すリップ71は、吐出流路72が先端行くに従って広くなるようにテーパー状に形成されている。したがって、テーパーが広がるにつれて圧力が低下するので炭酸ガスの一次発泡と窒素ガスの二次発泡の間に時間差を取ることができ、一次、二次発泡を確実にすることができる。このテーパーの角度は、5〜15度が好ましい。
【0041】
図5も、丸ダイスのリップの他の実施形態を示す断面図である。この図に示すリップ71は、吐出流路72が途中から巾広に形成されている。したがって、2倍に広げれば樹脂圧15MPaの圧力が1/2の7.5MPaに、3倍に広げれば樹脂圧15MPaの圧力が1/3の5MPaに低下し、炭酸ガスの一次発泡、窒素ガスの二次発泡を確実にすることができる。これらのリップの流路形状はテストしながら最適の設計を行なう。
【0042】
次に、シリンダー内で行なわれている反応について説明する。
第1ステージにおいては。炭酸塩と酸性化合物との中和反応が行なわれており、例えば、化1又は化2に示す中和反応が行なわれている。
炭酸水素ナトリウムとクエン酸の場合:
【0043】
【化1】
【0044】
3モルの炭酸水素ナトリウムと1モルのクエン酸とが反応して、1モルのクエン酸ナトリウムと3モルの炭酸ガス(体積;3×22400ml=67200ml)と4モルの水とが生成される。当量関係は3モルの炭酸水素ナトリウム=1モルのクエン酸=1モルのクエン酸ナトリウム=3モルの炭酸ガスである。
炭酸ナトリウムとクエン酸の場合:
【0045】
【化2】
【0046】
3モルの炭酸ナトリウムと2モルのクエン酸とが反応して、2モルのクエン酸ナトリウムと3モルの炭酸ガス(体積;3×22400ml=67200ml)と5モルの水が生成される。当量関係は3モルの炭酸ナトリウム=2モルのクエン酸=2モルのクエン酸ナトリウム=3モルの炭酸ガスである。
【0047】
シリンダー10内における中和反応は、炭酸塩の分子とクエン酸の分子とが反応して分子サイズのクエン酸ナトリウムが生成される。1モルのクエン酸ナトリウム(258g)にはアボガドロ数から6.02×1023個の分子が存在する。生成されたクエン酸ナトリウムは単独の分子で存在するわけではなく、いくつか集まって集合体を作るか又は結晶まで成長すると考えられる。
【0048】
しかし、生成されたクエン酸ナトリウムは、大きな集合体又は大きな結晶に成長する前に、シリンダー10のニーダー部13によってプラスチック樹脂と混練されるので、微細な集合体又は結晶のままプラスチック樹脂中に均一に分散される。なお、クエン酸ナトリウムは、融点が300℃でありシリンダー10内の温度より高温であるので、固体状態を維持している。したがって、プラスチック樹脂中に均一に微細なクエン酸ナトリウムの固体が分散された状態となっており、発泡核剤として有効に働くものである。
【0049】
クエン酸ナトリウムは、どの位の分子が集まって集合体又は結晶を作るかは定かではないが、後述する実施例1のテスト1(発泡剤0.06重量%添加)、テスト2(発泡剤0.18重量%添加)、テスト3(発泡剤0.36重量%添加)から、1個の集合体又は結晶から1個の発泡セルができると仮定して推定すると、テスト1では前記反応式と当量関係から、0.06重量%(炭酸水素ナトリウム0.033重量%+クエン酸0.027重量%)の発泡剤から0.034重量%のクエン酸ナトリウムが生成される。クエン酸ナトリウム0.034g中にはアボガドロ数から、6.02×1023×(0.034/258)であるので、7.9×1019個の分子が存在する。
【0050】
テスト1では発泡フイルムの比重が0.73、発泡セル密度が5.3×107個/cm3であるので、これを樹脂100g当たりのセル数に換算すると、5.3×107×(1/0.73)×100=7.3×109個/100gである。したがって、上記クエン酸ナトリウム(0.034g)の分子数(7.9×1019個)を、上記プラスチック樹脂100g当たりのセル数(7.3×109個)で除すると(7.9×1019÷7.3×109)、約1.1×1010個の分子が集まって1個の集合体又は結晶を形成していると推定できる。
【0051】
同様にテスト2のクエン酸ナトリウムの生成量0.102重量%、発泡フイルムの比重0.69、発泡セル密度が1.5×108個/cm3から、クエン酸ナトリウム0.102g中にはアボガドロ数から、6.02×1023×(0.102/258)であるので、2.4×1020個の分子が存在する。
【0052】
発泡フイルムの比重が0.69、発泡セル密度が1.5×108個/cm3であるので、これを樹脂100g当たりのセル数に換算すると、1.5×108×(1/0.69)×100=2.2×1010個/100gである。したがって、上記クエン酸ナトリウム(0.102g)の分子数(2.4×1020個)を、上記プラスチック樹脂100g当たりのセル数(2.2×1010個)で除すると(2.4×1020÷2.2×1010)、約1.1×1010個の分子が集まって1個の集合体又は結晶を形成していると推定できる。
【0053】
同様にテスト3のクエン酸ナトリウムの生成量0.204重量%、発泡フイルムの比重0.60、発泡セル密度が2.8×108個/cm3から、クエン酸ナトリウム0.204g中にはアボガドロ数から、6.02×1023×(0.204/258)であるので、4.8×1020個の分子が存在する。
【0054】
発泡フイルムの比重が0.60、発泡セル密度が1.5×108個/cm3であるので、これを樹脂100g当たりのセル数に換算すると、2.8×1018×1/0.60×100=4.7×1010個/100gである。したがって、上記クエン酸ナトリウム(0.204g)の分子数(4.8×1020個)を、上記プラスチック樹脂100g当たりのセル数(4.7×1010個)で除すると(4.8×1020÷4.7×1010)、約1.0×1010個の分子が集まって1個の集合体又は結晶を形成していると推定できる。
【0055】
以上の結果より、炭酸塩と酸性化合物との添加量を変えても、発泡に寄与する1個の集合体又は結晶の分子数は1×1010個と一定の値となり、反応生成物の集合体又は結晶が均一に分散し、発泡核剤として有効であることが解る。
【0056】
また、炭酸塩と酸性化合物との添加量を変化させると、その変化量に比例して発泡セルの密度も変化するので、炭酸塩と酸性化合物との添加量をコントロールすることにより発泡セルの密度を制御することができる。
【0057】
なお、炭酸塩と酸性化合物の反応により水も発生するが、シリンダー10内は水の臨界点(臨界温度374.2℃、臨界圧力22.12MPa)には達していないので、水は超臨界流体とはなっておらずプラスチック樹脂には溶解しない。したがって、蒸気となって第1ステージにおいてプラスチック樹脂投入口14からホッパーへ逃げたり、高圧力のため熱水となってダイス70のリップ71から大気圧下になった時に蒸気になる。
【実施例】
【0058】
[実施例1]
MFRが0.3g/10min、密度0.92、融点が111℃であるLDPE樹脂ペレットの表面に、流動パラフィン0.15重量%をヘンシェルミキサーを用いて均一に付着させた。次いで炭酸水素ナトリウム252重量部とクエン酸210重量部とを混合した発泡剤を0.06重量%(テスト1)、0.18重量%(テスト2)、0.36重量%(テスト3)添加し、同様にヘンシェルミキサーで混合付着させた。
【0059】
この発泡剤を添加したLDPE樹脂ペレットを用い、図1、図2、図3に示す押出機により発泡フィルムをインフレーション法により作製した。押出機の各種設定を以下に示す。
<シリンダーサイズ> 65mmΦ、L/D=25
<第1及び2ステージの圧力> 17MPa
<第1ステージの温度> 140〜190℃
<第2ステージの温度> 180℃
<加圧窒素ガス注入量> 29ml(大気圧換算)
<ヘッド部温度> 170℃
<ジョイント温度> 170℃
<ダイス温調部温度> 160〜150℃
<丸ダイスサイズ> 200mmΦ
<バブル引取速度> 6m/min
<リップギャップ> 0.8mm
得られた発泡フィルムの評価結果を表1に、電子顕微鏡写真を図6(断面)、図7(断面)、図8(断面)、図9(平面)に示す。
【0060】
[比較例1]
MFRが0.3g/10min、密度0.92g/cm3、融点が111℃である実施例1と同じLDPE樹脂ペレットを用い、タルク(核剤)の添加0(テスト4)、平均粒径12μmのタルク70重量%含有したLDPEマスターバッチをドラブレドで混合し、タルク分として2.5重量%(テスト5)、5.0重量%(テスト6)、7.0重量%(テスト7)を添加した。その他の条件は、実施例1と全く同様に行なって、発泡フイルムを作製した。
【0061】
得られた発泡フイルムの評価結果を表1に、電子顕微鏡写真を図10(断面)、図11(断面)、図12(断面)、図13(断面)、図14(平面)に示す。
[評価方法]
評価方法を以下に示す。
<発泡核剤(クエン酸ナトリウム)の生成量> 添加した炭酸水素ナトリウム及びクエン酸の添加量より算出した。すなわち、当量関係より、炭酸水素ナトリウム3モルとクエン酸1モルから、クエン酸ナトリウムは1モル生成されるので、252gの炭酸水素ナトリウムと210gのクエン酸とから、258gのクエン酸ナトリウムが生成されることになり、炭酸水素ナトリウムとクエン酸との添加量(0.06重量%)より算出(×258/(252+210))する。
【0062】
<厚み;(μm)> 電子顕微鏡写真の断面から概略推定
<比重> 発泡フイルムを10cm角の正方形に裁断して試験片を作製する。試験片の4辺の厚みをマイクロメーターで測定するとともに、その厚みの平均値と表面積とから体積を算出する。試験片の重量を測定し、この重量を前記体積で除して比重を算出する。なお、試験片は3枚作製し、その平均値より求めた。
<発泡倍率> プラスチック樹脂の密度(0.92)を比重で除して算出する。
<発泡セル密度;(個/cm3)> 発泡フイルムをミクロトームで断面方向と平面方向に裁断し、拡大写真より夫々方向のセル数を測定し、断面方向における単位面積(1cm2)当りのセル数と、平面方向における単位面積(1cm2)当りのセル数を乗じて求める。
<発泡セルサイズ;(μm)> 電子顕微鏡写真の断面から平均的な平面方向と厚み方向を概略測定。
【0063】
【表1】
【0064】
以上の結果より、以下の点が確認できる。
A.発泡剤からの生成核剤(テスト1、2、3、図6、7、8)は、タルク核剤(テスト5、6、7、図11、12、13)に比べ、はるかに少ない添加量で大きな発泡セル密度を得ることができる。例えば、テスト1の生成核剤の量(0.034重量%)は、テスト7のタルク添加量(7.0重量%)の約1/200(7.0/0.034=205)の量であるが、発泡セル密度は10倍以上(5.3×107/3.2×106)である。
B.テスト1〜3の結果より、発泡セル密度は、発泡剤(生成核剤)の添加量に略正比例しているので、生成核剤がプラスチック樹脂中に均一に分散していることが解る。
C.生成核剤(テスト3)の表面電子顕微鏡写真図9は平滑であるが、タルク核剤(テスト7)の表面電子顕微鏡写真図14は破泡が見受けられる。
D.核剤のないN2ガスのみでは(テスト4、図10)発泡フイルムを得ることはできない。
E.以上のような結果から、本実施例においては、極めて少ない発泡剤の添加量で、均一かつ微細な発泡セルを形成することが出来、また、発泡セルが破泡することもない。
【0065】
実施例1のテスト1、2、3の結果から、プラスチック樹脂に溶解させたガス量(炭酸ガス及び窒素ガス)と発泡に寄与したガス量とを計算し、その差から有効に使用されたガス量を求めた。結果を表2に示す。
【0066】
【数1】
【0067】
【表2】
【0068】
発泡に寄与したガス量は溶解させたガス量の約70%前後であり、約30%前後のガスの大部分は、第1ステージで樹脂が溶ける前か樹脂圧が昇圧する前に生成された炭酸ガスが投入口から逃げたものと考えられる。したがって発泡倍率を変える場合は、安定している窒素ガスでコントロールした方が良いと考えられる。
【0069】
[実施例2]
MFRが0.8g/10min、密度が0.90g/cm3、融点が162℃のポリプロピレン樹脂ペレットを用い、実施例1と同様に発泡剤を0.36重量%添加し、押出機の設定条件を下記の通り変更した他は、実施例1と全く同様に行なって発泡フイルムを作製した。
<第1ステージの温度> 180〜240℃
<第2ステージの温度> 225℃
<ヘッド部温度> 220℃
<ジョイント温度> 210℃
<ダイス温調部温度> 200〜190℃
得られた発泡フイルムの発泡セル密度と発泡倍率を実施例1と同様にして求めた。結果を以下に示す。
発泡セル密度; 2.0×108個/cm3
発泡倍率; 1.51倍
【0070】
[実施例3]
MFRが2.2g/10min、密度が1.05g/cm3、ビカット軟化点が103℃のポリスチレン樹脂ペレットを用い、実施例1と同様に発泡剤を0.36重量%添加し、押出機の設定条件を下記の通り変更した他は、実施例1と全く同様に行なって発泡フイルムを作製した。
<第1ステージの温度> 165〜200℃
<第2ステージの温度> 180℃
<ヘッド部温度> 170℃
<ジョイント温度> 170℃
<ダイス温調部温度> 160〜150℃
得られた発泡フイルムの発泡セル密度と発泡倍率を実施例1と同様にして求めた。結果を以下に示す。
発泡セル密度; 2.5×108個/cm3
発泡倍率; 1.52倍
【0071】
[実施例4]
溶解温度が30000ポアズ、硬度64D、比重が1.17のポリウレタン樹脂ペレットを用い、実施例1と同様に発泡剤を0.36重量%添加し、押出機の設定条件を下記の通り変更した他は、実施例1と全く同様に行なって発泡フイルムを作製した。
<第1ステージの温度> 145〜180℃
<第2ステージの温度> 170℃
<ヘッド部温度> 170℃
<ジョイント温度> 165℃
<ダイス温調部温度> 160〜150℃
得られた発泡フイルムの発泡セル密度と発泡倍率を実施例1と同様にして求めた。結果を以下に示す。
発泡セル密度; 3.0×108個/cm3
発泡倍率; 1.60倍
【符号の説明】
【0072】
10 シリンダー
11 スクリュー
12 加圧圧縮部
13 ニーダー部
20 ホッパー
30 ヘッド
40 窒素ガス圧入機構
50 ジョイント
60 ダイス温調部
70 丸ダイス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機にプラスチック樹脂と共に炭酸塩及び酸性化合物を投入して炭酸ガスの臨界温度及び臨界圧力以上に維持した状態で溶融・混練するとともに、押出機の中間部において窒素ガスを該溶融プラスチック樹脂に圧入し、その後、溶融プラスチック樹脂をダイスより押出すことを特徴とするプラスチック樹脂発泡体の製造方法。
【請求項2】
炭酸塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム又はこれらの混合物であり、前記酸性化合物がクエン酸であることを特徴とする請求項1記載のプラスチック樹脂発泡体の製造方法。
【請求項3】
前記プラスチック樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂又はこれらの混合樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載のプラスチック樹脂発泡体の製造方法。
【請求項4】
前記ダイスが丸ダイスであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のプラスチック樹脂発泡体の製造方法。
【請求項1】
押出機にプラスチック樹脂と共に炭酸塩及び酸性化合物を投入して炭酸ガスの臨界温度及び臨界圧力以上に維持した状態で溶融・混練するとともに、押出機の中間部において窒素ガスを該溶融プラスチック樹脂に圧入し、その後、溶融プラスチック樹脂をダイスより押出すことを特徴とするプラスチック樹脂発泡体の製造方法。
【請求項2】
炭酸塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム又はこれらの混合物であり、前記酸性化合物がクエン酸であることを特徴とする請求項1記載のプラスチック樹脂発泡体の製造方法。
【請求項3】
前記プラスチック樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂又はこれらの混合樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載のプラスチック樹脂発泡体の製造方法。
【請求項4】
前記ダイスが丸ダイスであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のプラスチック樹脂発泡体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−172075(P2012−172075A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35913(P2011−35913)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(594050821)日生化学株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(594050821)日生化学株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
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