説明

プラスチック製スペーサ

【課題】 軽量かつ製造が容易であり、しかも、簡単な操作で迅速かつ確実に連結することができて、様々な隙間サイズに対応させることができ、スラブと床板材との隙間を精度良く埋めて支持することができるプラスチック製スペーサを提供すること。
【解決手段】 各々の係止突起12・12…を他のスペーサ板1の係止孔部15・15…にそれぞれ挿通して、かつ、周方向に回転することによりバヨネット式に嵌合させ、これら両部材を一体に結合して、複数のスペーサ板1を積み重ねて連結可能にする一方、
スペーサ板本体11の底面側には、略中心に枢支凹部14を形成して、かつ、当該スペーサ板本体11の上面側には、略中心に枢支凸部13を形成して、前記枢支凹部14に他のスペーサ板1の枢支凸部13を合致させることによって、バヨネット嵌合の回転操作の軌道をガイドするという技術的手段を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用資材の改良、更に詳しくは、軽量かつ製造が容易であり、しかも、簡単な操作で迅速かつ確実に連結することができて、様々な隙間サイズに対応させることができ、スラブと床板材との隙間を精度良く埋めて支持することができるプラスチック製スペーサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、スロープやベランダなどはコンクリートで作製されており、このコンクリート製のスラブにおいては、その上に断熱材や歩行用の床下地材のパネルを敷設することが多い。
【0003】
従来、このようなスラブと敷設パネルとの間には、スラブに傾斜があったりパネルの反りがあったりして不可避的に隙間が生じてしまうため、敷設した部材が不陸によりガタついてしまうという問題があった。
【0004】
そして、この隙間を埋めるためには、木っ端やブロック片などを挟んだりしていたが(例えば、特許文献1参照)、定型部材では厚みの調節がうまくできないために不陸を修正することができず、また、見栄えが悪いという不満もあった。
【0005】
また、隙間に合わせて厚みを調節する際に、複数のスペーサとなる部材を積み重ねて使用することも考えられるが、設置中にこれらの部材がバラバラに分離してしまうおそれがあり、部材がズレてしまっては、結局、不陸やガタつきを解消することができないという問題があった。
【0006】
また、かかるスペーサは、建築現場において多くの数量を使用することがあるため、各個体について厚さ調節のための組み立て作業の労力負担を軽減するために、特別な技巧を要しなくとも、迅速かつ確実に使用できる使い勝手の良さが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−247410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の低床用のスペーサに上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、軽量かつ製造が容易であり、しかも、簡単な操作で迅速かつ確実に連結することができて、様々な隙間サイズに対応させることができ、スラブと床板材との隙間を精度良く埋めて支持することができるプラスチック製スペーサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0010】
即ち、本発明は、隙間に設置するためのプラスチック製のスペーサ部材であって、
スペーサ板1のスペーサ板本体11の上側面には、同一円周上に所定の角度配分をもって複数の係止突起12・12…を形成して、かつ、当該スペーサ板本体11におけるこれらの係止突起12・12…の間には、同一円周上に沿って弧形の係止孔部15・15…をで複数形成して、
前記各々の係止突起12・12…を他のスペーサ板1の係止孔部15・15…にそれぞれ挿通して、かつ、周方向に回転することによりバヨネット式に嵌合させ、これら両部材を一体に結合して、複数のスペーサ板1を積み重ねて連結可能にする一方、
前記スペーサ板本体11の底面側には、略中心に枢支凹部14を形成して、かつ、当該スペーサ板本体11の上面側には、略中心に枢支凸部13を形成して、前記枢支凹部14に他のスペーサ板1の枢支凸部13を合致させることによって、バヨネット嵌合の回転操作の軌道をガイドするという技術的手段を採用したことによって、プラスチック製スペーサを完成させた。
【0011】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、スペーサ板1の枢支凹部14の内周面にはロック凸部14aを設ける一方、枢支凸部13の外周面にロック突起13aを形成し、これら両突起を掛合して両スペーサ板1・1を止着するという技術的手段を採用した。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、スペーサ板1の枢支凸部13の先端部を先割れ状に形成して、弾性変形可能にするという技術的手段を採用した。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、スペーサ板1のスペーサ板本体11の底面には、同心円上に弧状のガイド突条17・17…を複数形成する一方、当該スペーサ板本体11の上面側にはガイド突起16を形成して、このガイド突起16を前記ガイド突条17間に介挿して、バヨネット式回転操作の軌道をガイドするという技術的手段を採用した。
【0014】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、スペーサ板1のスペーサ板本体11に、開口部18を形成するという技術的手段を採用した。
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ベース板2と支持板3とを螺合可能に構成して、かつ、このベース板2の底面側に少なくとも一枚のスペーサ板1を着脱自在に装着可能に構成し、
前記支持板3の支持板本体31の裏側には螺合筒部32を突成して、この螺合筒部32の内側面または外側面にはネジ山32aを形成する一方、
前記ベース板2のベース板本体21の上面側には、前記支持板3の螺合筒部32のネジ山32aと螺合可能なネジ山22aを内側面または外側面に形成した受け筒部22を突成して、かつ、当該ベース板本体21の同一円周上に沿って弧形の係止孔部23・23…を複数形成するとともに、
前記スペーサ板1のスペーサ板本体11の上側面には、同一円周上に所定の角度配分をもって複数の係止突起12・12…を形成して、これらの係止突起12・12…を前記ベース板2の係止孔部23・23…にそれぞれ挿通して、かつ、周方向に回転することによりバヨネット式に嵌合させ、これら両部材を一体に結合できるように構成して、
前記ベース板2と支持板3との螺合回転操作によりこれら両板体の距離を無段階的に調節可能にする一方、スペーサ板1の付加により段階的な間隔調節を可能にするという技術的手段を採用した。
【0016】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ベース板2のベース板本体21の底面側には、略中心に枢支凹部24を形成する一方、スペーサ板1の上面側には、略中心に枢支凸部13を形成して、ベース板2の枢支凹部24にスペーサ板1の枢支凸部13を合致させることによって、バヨネット嵌合の回転操作の軌道をガイドするという技術的手段を採用した。
【0017】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ベース板2の枢支凹部24の内周面にはロック凸部24aを設ける一方、スペーサ板1の枢支凸部13の外周面にロック突起13aを形成し、これら両突起を掛合して両部材を止着するという技術的手段を採用した。
【0018】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ベース板体2のベース板本体21の底面には、同心円上に弧状のガイド突条25・25…を複数形成する一方、スペーサ板1の上面側にはガイド突起16を形成して、このガイド突起16を前記ガイド突条25間に介挿して、バヨネット式回転操作の軌道をガイドするという技術的手段を採用した。
【0019】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、支持板3の支持板本体31の周縁に切欠凹部31aを形成するという技術的手段を採用した。
【0020】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、支持板3の支持板本体31の周縁の側端面に掛止突起31bを形成するという技術的手段を採用した。
【0021】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、支持板3の支持板本体31の表面に、複数の螺入孔31cを形成するという技術的手段を採用した。
【0022】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ベース板体2のベース板本体21に、開口部26を形成するという技術的手段を採用した。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、スペーサ板のスペーサ板本体の上側面には、、同一円周上に所定の角度配分をもって複数の係止突起を形成して、かつ、当該スペーサ板本体におけるこれらの係止突起の間には、同一円周上に沿って弧形の係止孔部を複数形成して、
前記各々の係止突起を他のスペーサ板の係止孔部にそれぞれ挿通して、かつ、周方向に回転することによりバヨネット式に嵌合させてこれら両部材を一体に結合して、複数のスペーサ板を積み重ねて連結可能にする一方、
前記スペーサ板本体の底面側には、略中心に枢支凹部を形成して、かつ、当該スペーサ板本体の上面側には、略中心に枢支凸部を形成したことによって、前記枢支凹部に他のスペーサ板の枢支凸部を合致させることによって、バヨネット嵌合の回転操作の軌道をガイドすることができる。
【0024】
したがって、本発明のプラスチック製スペーサによれば、プラスチック材料を使用したことにより、軽量かつ製造が容易である。しかも、スペーサ板同士は、簡単な操作で迅速かつ確実に連結することができて、様々な隙間サイズに対応させることができ、スラブと床板材との隙間を精度良く埋めて支持することができる。
【0025】
また、必要に応じて、ベース板を支持板による無段階調節式のスペーサ部材を適宜付加することにより、更に高精度に隙間を埋めることもできることから、建築用資材としての実用的利用価値は頗る高いものがあると云える。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態のスペーサ板を表わす斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態のスペーサ板を表わす斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態のスペーサ板を重ねた状態を表わす斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態のスペーサの枢支部を表わす拡大断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態のベース板を表わす斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態のベース板を表わす斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態の支持板を表わす斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態の支持板を表わす斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態のスペーサを組み立てた状態を表わす斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態のスペーサを組み立てた状態を表わす断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態のスペーサの枢支部を表わす拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態を、具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0028】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図4に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものはスペーサ板であり、このスペーサ板1はプラスチック製の円形板体であって、本実施形態では、成形性や軽量性、強度の観点から、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂を射出成形して作製する。
【0029】
しかして、本発明は、建築現場等において、コンクリートスラブとパネル板との隙間等を埋めるために設置するプラスチック製のスペーサ部材であって、構成するにあっては、まず、スペーサ板1のスペーサ板本体11の上側面には、同一円周上に所定の角度配分をもって複数の係止突起12・12…を形成する。
【0030】
本実施形態では、60度間隔で6箇所の係止突起12を形成するとともに、この係止突起12の先端をT字形状に突出させて形成する。
【0031】
そして、当該スペーサ板本体11におけるこれらの係止突起12・12…の間には、同一円周上に沿って弧形の係止孔部15・15…を複数形成する。本実施形態では、6箇所の係止孔部15を形成するとともに、この係止孔部は、長孔の端部に挿入部15aおよび其処から側方に狭幅に延成するスロット部15bを有しており、これらの係止孔部15における挿入部15aが設けられた端部の向きは揃っている(図1および図2参照)。
【0032】
そして、前記各々の係止突起12・12…を他のスペーサ板1の係止孔部15・15…(挿入部15a・15a…)にそれぞれ挿通して、かつ、スロット部15bに沿って周方向に回転することによりバヨネット式に嵌合させ、これら両部材を一体に結合して、複数のスペーサ板1を積み重ねて連結することができる(図3参照)。
【0033】
また、本実施形態では、前記スペーサ板本体11の底面側には、略中心に枢支凹部14を形成して、かつ、当該スペーサ板本体11の上面側には、略中心に枢支凸部13を形成し、前記枢支凹部14に他のスペーサ板1の枢支凸部13を合致させることによって、この中心の枢支部を中心軸として、バヨネット嵌合の回転操作の軌道をガイドすることができ、使い勝手を向上させることができる。
【0034】
この際、スペーサ板1の枢支凹部14の内周面にはロック凸部14aを設ける一方、枢支凸部13の外周面にロック突起13aを形成し、これら両突起を掛合して両スペーサ板1・1を止着することができる。こうすることにより、部材の脱落を防止することができるとともに、掛合時にカチッと嵌まった感触を得ることができて、容易に確認することができる(図4参照)。
【0035】
また、スペーサ板1の枢支凸部13の先端部を先割れ状に形成することもでき、この先割れした溝部が狭くなるように収縮して弾性変形することができ、使用による摩耗を防止することができる。
【0036】
更にまた、本実施形態では、スペーサ板1のスペーサ板本体11の底面には、同心円上に弧状のガイド突条17・17…を複数形成する一方、当該スペーサ板本体11の上面側にはガイド突起16を形成して、このガイド突起16を前記ガイド突条17間に介挿することによって、バヨネット式回転操作の軌道をガイドするとともに、スペーサ板同士が不意に外れるのを防止することも可能である。また、このようにガイド突起16がガイド突条17間に互いに嵌まり込んでいるので、横ズレがなく鉛直方向の耐荷重性を向上させることができる。
【0037】
更にまた、本実施形態では、スペーサ板1のスペーサ板本体11に、開口部18を形成することができ、本発明のスペーサを設置した後に接着剤等で固定する際に、この開口部18から染み出した接着剤が硬化することにより、アンカー効果を発揮できるようにすることができる。また、上記のように、ガイド突起16がガイド突条17間に互いに嵌まり込んでいる状態で、これらの部材間に接着剤を流入させて硬化させることによって、よりアンカー効果を向上させることもできる。
【0038】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態を図5から図11に基づいて説明する。図中、符号2で指示するものはベース板であり、更にまた、符号3で指示するものは支持板である。これらの部材はプラスチック製であって、本実施形態では、前記スペーサ板1と同様、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂を射出成形して作製する。
【0039】
本実施形態では、ベース板2と支持板3とを螺合可能に構成して、かつ、このベース板2の底面側に少なくとも一枚のスペーサ板1を着脱自在に装着可能に構成したものであって、支持距離の段階的調節機能と無段階調節機能とを具備するものである。
【0040】
具体的には、まず、前記支持板3の支持板本体31の裏側には螺合筒部32を突成して、この螺合筒部32の内側面または外側面にはネジ山32aを形成する(図7および図8参照)。本実施形態では、円形の支持板本体31の裏側において、円筒状の螺合筒部32の外側面にネジ山32aを形成する。
【0041】
次に、前記ベース板2のベース板本体21の上面側には、前記支持板3の螺合筒部32のネジ山32aと螺合可能なネジ山22aを内側面または外側面に形成した受け筒部22を突成する(図5および図6参照)。本実施形態では、円筒状の受け筒部22の内側面にネジ山22aを形成する。
【0042】
また、当該ベース板本体21には同一円周上に沿って弧形の係止孔部23・23…を複数形成する。本実施形態では、6箇所の係止孔部23を形成するとともに、この係止孔部は、長孔の端部に挿入部23aおよび其処から側方に狭幅に延成するスロット部23bを有しており、これらの係止孔部23における挿入部23aが設けられた端部の向きは揃っている(図5および図6参照)。
【0043】
そして、前記スペーサ板1のスペーサ板本体11の上側面には、同一円周上に所定の角度配分をもって複数の係止突起12・12…を形成する。本実施形態では、6箇所の係止突起12を形成するとともに、この係止突起12の先端をT字形状に突出させて形成する。
【0044】
次いで、これらの係止突起12・12…を前記ベース板2の係止孔部23・23…(挿入部23a・23a…)にそれぞれ挿通して、かつ、スロット部23bに沿って周方向に回転することによりバヨネット式に嵌合させ、これら両部材を一体に結合することができる。なお、前記スロット部23bの延成方向は、脱落防止のために、支持板3の螺入回転方向と一致させる(完全に螺入した際に係止突起12がスロット部12bの奥に撞止する)ことが好ましい。
【0045】
本実施形態は、このように構成したことにより、前記支持板3とベース板2との螺合回転操作によりこれら両板体の距離を無段階的に調節可能である一方(本実施形態では、幅15〜20mm程度)、スペーサ板1の枚数を調節して選択的に付加することにより、段階的な間隔調節(本実施形態では、5mm単位)が可能である(図9および10参照)。
【0046】
なお、本実施形態では、前記第1実施形態におけるスペーサ板1と同様に、ベース板2のベース板本体21の底面側には、略中心に枢支凹部24を形成する一方、スペーサ板1の上面側には、略中心に枢支凸部13を形成して、ベース板2の枢支凹部24にスペーサ板1の枢支凸部13を合致させることによって、この中心の枢支部を中心軸として、バヨネット嵌合の回転操作の軌道をガイドすることができ、使い勝手を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、ベース板2の枢支凹部24の内周面にはロック凸部24aを設ける一方、スペーサ板1の枢支凸部13の外周面にロック突起13aを形成して、これら両突起を掛合して両部材を止着することもできる。こうすることにより、部材の脱落を防止することができるとともに、掛合時にカチッと嵌まった感触を得ることができて、容易に確認することができる(図11参照)。
【0048】
更にまた、本実施形態においても、ベース板体2のベース板本体21の底面には、同心円上に弧状のガイド突条25・25…を複数形成する一方、スペーサ板1の上面側にはガイド突起16を形成して、このガイド突起16を前記ガイド突条25・25間に介挿することによって、バヨネット式回転操作の軌道をガイドして、スペーサ板1とベース板2とが不意に外れるのを防止することも可能であり、また、鉛直方向の耐荷重性を向上することもできる。
【0049】
また、本実施形態では、支持板3の支持板本体31の周縁に切欠凹部31aを形成することができ、回転操作を行う際に、作業者が掴み易くすることによって作業性を向上させることができる。更に、本実施形態では、支持板3の支持板本体31の周縁の側端面に掛止突起31bを形成することもできる。これらの技術事項は、掴み易さに資するほか、例えば、本発明のスペーサをスラブとパネルの間に挟んだ後に、間隔の微調整が必要になった場合において、支持板3を回転させるのを容易にすることができるものである。
【0050】
更にまた、本実施形態では、支持板3の支持板本体31の表面に、複数の螺入孔31cを形成することができ、本スペーサを設置して、パネルの上からビス等を打ち込んで止着する際に、ビス受けになるとともに、プラスチックのバリの発生を抑えることができるので、パネルの浮き上がりなどを防止することができる。
【0051】
更にまた、本実施形態では、ベース板体2のベース板本体21に、開口部26を形成することができ、本発明のスペーサを設置した後に接着剤等で固定する際に、この開口部26から染み出した接着剤が硬化することにより、アンカー効果を発揮できるようにすることができる。なお、この開口部26の一部を大きめに形成することにより、この開口部26に指を差し込むことによって、ベース板体2と支持板3との螺合回転作業をスムーズに行うことができる。
【0052】
本発明は概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、スペーサ板1、ベース板2、支持板3の形状は円形に限らず、方形や多角形などの形状にすることができるし、また、プラスチックの使用材料も適宜変更することができ、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0053】
1 スペーサ板
11 スペーサ板本体
12 係止突起
13 枢支凸部
13a ロック突起
14 枢支凹部
15 係止孔部
15a 挿入部
15b スロット部
16 ガイド突起
17 ガイド突条
18 開口部
2 ベース板
21 ベース板本体
22 受け筒部
22a ネジ山
23 係止孔部
23a 挿入部
23b スロット部
24 枢支凹部
24a ロック凸部
25 ガイド突条
26 開口部
3 支持板
31 支持板本体
31a 切欠凹部
31b 掛止突起
31c 螺入孔
32 螺合筒部
32a ネジ山

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隙間に設置するためのプラスチック製のスペーサ部材であって、
スペーサ板1のスペーサ板本体11の上側面には、同一円周上に所定の角度配分をもって複数の係止突起12・12…が形成されており、かつ、当該スペーサ板本体11におけるこれらの係止突起12・12…の間には、同一円周上に沿って弧形の係止孔部15・15…が複数形成されており、
前記各々の係止突起12・12…を他のスペーサ板1の係止孔部15・15…にそれぞれ挿通して、かつ、周方向に回転することによりバヨネット式に嵌合させ、これら両部材を一体に結合して、複数のスペーサ板1を積み重ねて連結可能である一方、
前記スペーサ板本体11の底面側には、略中心に枢支凹部14が形成され、かつ、当該スペーサ板本体11の上面側には、略中心に枢支凸部13が形成されており、前記枢支凹部14に他のスペーサ板1の枢支凸部13を合致させることによって、バヨネット嵌合の回転操作の軌道をガイドしていることを特徴とするプラスチック製スペーサ。
【請求項2】
スペーサ板1の枢支凹部14の内周面にはロック凸部14aが設けられている一方、枢支凸部13の外周面にはロック突起13aが形成されており、これら両突起が掛合して両スペーサ板1・1が止着されることを特徴とする請求項1記載のプラスチック製スペーサ。
【請求項3】
スペーサ板1の枢支凸部13の先端部が先割れ状に形成されており、弾性変形可能であることを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック製スペーサ。
【請求項4】
スペーサ板1のスペーサ板本体11の底面には、同心円上に弧状のガイド突条17・17…が複数形成されている一方、当該スペーサ板本体11の上面側にはガイド突起16が形成されており、このガイド突起16が前記ガイド突条17間に介挿して、バヨネット式回転操作の軌道をガイドしていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のプラスチック製スペーサ。
【請求項5】
スペーサ板1のスペーサ板本体11に、開口部18が形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載のプラスチック製スペーサ。
【請求項6】
ベース板2と支持板3とが螺合可能に構成され、かつ、このベース板2の底面側に少なくとも一枚のスペーサ板1を着脱自在に装着可能に構成されており、
前記支持板3の支持板本体31の裏側には螺合筒部32が突成され、この螺合筒部32の内側面または外側面にはネジ山32aが形成されている一方、
前記ベース板2のベース板本体21の上面側には、前記支持板3の螺合筒部32のネジ山32aと螺合可能なネジ山22aが内側面または外側面に形成された受け筒部22が突成され、かつ、当該ベース板本体21には、同一円周上に沿って弧形の係止孔部23・23…が複数形成されているとともに、
前記スペーサ板1のスペーサ板本体11の上側面には、同一円周上に所定の角度配分をもって複数の係止突起12・12…が形成されており、これらの係止突起12・12…を前記ベース板2の係止孔部23・23…にそれぞれ挿通して、かつ、周方向に回転することによりバヨネット式に嵌合させ、これら両部材を一体に結合できるように構成され、
前記ベース板2と支持板3との螺合回転操作によりこれら両板体の距離を無段階的に調節可能である一方、スペーサ板1の付加により段階的な間隔調節が可能であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載のプラスチック製スペーサ。
【請求項7】
ベース板2のベース板本体21の底面側の略中心に枢支凹部24が形成されている一方、スペーサ板1の上面側の略中心に枢支凸部13が形成されており、ベース板2の枢支凹部24にスペーサ板1の枢支凸部13を合致させることによって、バヨネット嵌合の回転操作の軌道をガイドしていることを特徴とする請求項6記載のプラスチック製スペーサ。
【請求項8】
ベース板2の枢支凹部24の内周面にはロック凸部24aが設けられている一方、スペーサ板1の枢支凸部13の外周面にロック突起13aが形成されており、これら両突起が掛合して両部材が止着されることを特徴とする請求項6または7記載のプラスチック製スペーサ。
【請求項9】
ベース板体2のベース板本体21の底面には、同心円上に弧状のガイド突条25・25…が複数形成されている一方、スペーサ板1の上面側にはガイド突起16が形成されており、このガイド突起16が前記ガイド突条25間に介挿して、バヨネット式回転操作の軌道をガイドしていることを特徴とする請求項6〜8の何れか一つに記載のプラスチック製スペーサ。
【請求項10】
支持板3の支持板本体31の周縁に切欠凹部31aが形成されていることを特徴とする請求項6〜9の何れか一つに記載のプラスチック製スペーサ。
【請求項11】
支持板3の支持板本体31の周縁の側端面に掛止突起31bが形成されていることを特徴とする請求項6〜10の何れか一つに記載のプラスチック製スペーサ。
【請求項12】
支持板3の支持板本体31の表面に、複数の螺入孔31cが形成されていることを特徴とする請求項6〜11の何れか一つに記載のプラスチック製スペーサ。
【請求項13】
ベース板体2のベース板本体21に、開口部26が形成されていることを特徴とする請求項6〜12の何れか一つに記載のプラスチック製スペーサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−1787(P2011−1787A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147152(P2009−147152)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)
【出願人】(390014029)株式会社八木熊 (31)
【Fターム(参考)】