説明

プラスチック選別方法およびプラスチック選別装置

【課題】プラスチックの形状による影響を抑制してプラスチックを厚さごとに選別することができるプラスチックの選別方法およびプラスチックの選別装置を提供する。
【解決手段】プラスチック選別方法は、以下の工程を備えている。帯電したプラスチック2を落下させるための落下領域7に向かい合う少なくとも1つの電極部材3により、落下領域7を落下する帯電したプラスチック2の落下軌道が変化される。落下軌道が変化された同じ極性に帯電したプラスチック21のうち厚さの厚いプラスチック21aと厚さの薄いプラスチック21bとが、落下領域7の下方に配置され、かつ一方の領域4bと他方の領域4cとを仕切る仕切り板4aを有する回収容器4に回収される際、回収容器4の一方の領域4bに厚いプラスチック21aが回収され、他方の領域4cに薄いプラスチック21bが回収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック選別方法およびプラスチック選別装置に関し、特に、帯電したプラスチックを選別するためのプラスチック選別方法およびプラスチック選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家電製品などの再資源化工程においては、一般に手作業にて回収容易な単一部材が取り除かれた後に、製品がシュレッダーで破砕される。シュレッダーで破砕された破砕片は、まず磁力または比重差を利用して金属片混合物とプラスチック片混合物とに選別される。
【0003】
プラスチック片混合物を家電製品の素材として再利用するためには、プラスチック片混合物からプラスチックを種類ごとに選別する必要がある。プラスチックを種類ごとに選別する方法として、比重差を用いた選別方法または静電気を用いた選別方法が知られている。これらの選別方法によりプラスチック片混合物からプラスチックが種類ごとに選別される。この選別されたプラスチックは製品を破砕して得られたものであるため、この選別されたプラスチックには厚さの異なるものが混在している。
【0004】
プラスチックが種類ごとに選別された後、たとえばX線を照射してプラスチック中の有害物質を検出することにより有害物質を含有するプラスチックが除去される。この際、プラスチックの厚みのばらつきは検出の精度を低下させる要因となるため、プラスチックは厚さごとに選別されていることが求められる。
【0005】
また、家電製品においては、厚いプラスチックと薄いプラスチックとでは成形方法の違いから同じ種類のプラスチックでも分子量などの異なるプラスチックが用いられている。プラスチックを厚さで選別することで厚いプラスチックと薄いプラスチックとのそれぞれの成形方法に合わせたリサイクルプラスチックを得ることが可能となる。そのため、この点からもプラスチックは厚さごとに選別されていることが求められる。
【0006】
プラスチックを厚さで選別する手法として、たとえば特表2006−505419号公報(特許文献1)に、スロット選別機を設けて、プラスチックをスロット選別機の溝穴を通るものと通らないものとに選別する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2006−505419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
家電製品などをシュレッダーで破砕して得られるプラスチックでは、破砕される製品の形状に由来して、またはシュレッダーの破砕力によって、折れ曲がった形状のものが多い。
【0009】
上記公報に記載された手法では、プラスチックがある厚さの長い溝穴を通るか否かでプラスチックの厚さが選別されている。しかし、厚いプラスチックに限らず、薄いプラスチックであっても折れ曲がった形状のものはこの溝穴を通らないことがあるため、上記公報に記載された手法ではプラスチックを厚さごとに選別することは困難である。
【0010】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、プラスチックの形状による影響を抑制してプラスチックを厚さごとに選別することができるプラスチックの選別方法およびプラスチックの選別装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一のプラスチック選別方法は、帯電したプラスチックを選別するためのプラスチック選別方法であって、以下の工程を備えている。帯電したプラスチックを落下させるための落下領域に向かい合う少なくとも1つの電極部材により、落下領域を落下する帯電したプラスチックの落下軌道が変化される。落下軌道が変化された同じ極性に帯電したプラスチックのうち厚さの厚いプラスチックと厚さの薄いプラスチックとが、落下領域の下方に配置され、かつ一方の領域と他方の領域とを仕切る仕切り板を有する回収容器に回収される際、回収容器の一方の領域に厚いプラスチックが回収され、他方の領域に薄いプラスチックが回収される。
【0012】
本発明の他のプラスチック選別方法は、帯電したプラスチックを選別するためのプラスチック選別方法であって、以下の工程を備えている。第1の搬送部材の一方側に電極部材を配置して、第1の搬送部材の他方側に帯電したプラスチックが電極部材により吸着された状態で第1の搬送部材で搬送される。帯電したプラスチックが第1の搬送部材から脱落されて回収される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一のプラスチック選別方法によれば、プラスチックの帯電に応じて、電極部材により落下領域を落下する帯電したプラスチックの落下軌道を変化させることにより、厚いプラスチックと薄いプラスチックとを仕切り板で仕切られた一方の領域と他方の領域とに別個に回収することができる。そのため、プラスチックの形状による影響を抑制してプラスチックを厚さごとに選別することができる。
【0014】
本発明の他のプラスチック選別方法によれば、プラスチックの帯電に応じて、電極部材により帯電したプラスチックを第1の搬送部材に吸着した状態で搬送し、第1の搬送部材から脱落させて回収することができる。そのため、プラスチックの形状による影響を抑制してプラスチックを厚さごとに選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1におけるプラスチック選別装置を用いたプラスチック選別方法を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態2におけるプラスチック選別装置を用いたプラスチック選別方法を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態3におけるプラスチック選別装置を用いたプラスチック選別方法を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態4におけるプラスチック選別装置を用いたプラスチック選別方法を示す概略図である。
【図5】本発明の実施の形態5におけるプラスチック選別装置を用いたプラスチック選別方法を示す概略図である。
【図6】本発明の実施の形態6におけるプラスチック選別装置を用いたプラスチック選別方法を示す概略図である。
【図7】本発明の実施の形態7におけるプラスチック選別装置を用いたプラスチック選別方法を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の形態8におけるプラスチック選別装置を用いたプラスチック選別方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に、本発明の実施の形態1のプラスチック選別方法について説明する。
【0017】
まず、本実施の形態のプラスチック選別装置について説明する。
図1を参照して、プラスチック選別装置1は、帯電したプラスチック2を選別するための装置である。プラスチック2は、プラス帯電プラスチック21と、マイナス帯電プラスチック22とを含んでいる。プラス帯電プラスチック21は、プラスに帯電している。プラス帯電プラスチック21は、同じ極性に帯電した厚さの厚いプラスチック21aと厚さの薄いプラスチック21bとを含んでいる。マイナス帯電プラスチック22はマイナスに帯電している。マイナス帯電プラスチック22は、同じ極性に帯電した厚さの厚いプラスチック22aと厚さの薄いプラスチック22bとを含んでいる。なお、プラス帯電プラスチック21はABS樹脂であってもよい。この場合、プラス帯電プラスチック21の厚いプラスチック21aの厚みは2mm以上であり、薄いプラスチック21bの厚みは1mm以下であってもよい。
【0018】
プラスチック選別装置1は、電極部材3と、回収容器4と、帯電装置5と、搬送部材6とを主に有している。
【0019】
電極部材3は、帯電したプラスチック2を落下させるための落下領域7に向かい合うように配置されている。電極部材3は、少なくとも1つ設けられていればよいが、接地電極3aと、プラス電極3bとを有していてもよい。電極部材3が接地電極3aとプラス電極3bとを有している場合、接地電極3aおよびプラス電極3bの双方から静電気力を受けてプラス帯電プラスチック21およびマイナス帯電プラスチック22がより正確に選別され得る。
【0020】
回収容器4は、落下領域7の下方に配置されている。回収容器4は、接地側回収容器41と、プラス側回収容器42とを有している。接地側回収容器41はプラス帯電プラスチック21を回収可能に設けられている。接地側回収容器41は落下領域7の下方において接地電極3a側に配置されている。プラス側回収容器42はマイナス帯電プラスチック22を回収可能に設けられている。プラス側回収容器42は落下領域7の下方においてプラス電極3b側に配置されている。
【0021】
回収容器4のうち接地側回収容器41は、仕切り板4aで仕切られた一方の領域4bと他方の領域4cとを有している。回収容器4のうち接地側回収容器41は、接地側回収容器41の一方の領域4bと他方の領域4cとを仕切る仕切り板4aを有している。仕切り板4aは、電極部材3の接地電極3aおよびプラス電極3bのそれぞれに沿う方向に延びるように設けられている。仕切り板4aは、電極部材3の接地電極3aおよびプラス電極3bのそれぞれが落下領域7に向かい合う方向と交差する方向に延びるように設けられている。
【0022】
回収容器4のうち接地側回収容器41は、同じ極性に帯電したプラス帯電プラスチック21の厚さの厚いプラスチック21aと厚さの薄いプラスチック21bとのうち厚いプラスチック21aを一方の領域4bに回収可能に構成されており、薄いプラスチック21bを他方の領域4cに回収可能に構成されている。
【0023】
仕切り板4aは、プラス帯電プラスチック21の厚いプラスチック21aの重量あたりの電荷平均値と、薄いプラスチック21bの重量あたりの電荷平均値との間に設定された基準値に基づいて位置が設定されている。
【0024】
なお、回収容器4のうちプラス側回収容器42は、仕切り板4aを有していないので、同じ極性に帯電したマイナス帯電プラスチック22の厚さの厚いプラスチック22aと厚さの薄いプラスチック22bとを分けて回収するようには構成されていない。
【0025】
帯電装置5は、図中矢印R1方向に回転可能に設けられている。帯電装置5は、回転することによりプラスチック2を攪拌して摩擦帯電可能に設けられている。帯電装置5は、吐出口5aから帯電したプラスチック2を搬送部材6上に吐出可能に構成されている。
【0026】
搬送部材6は、帯電装置5から吐出された帯電したプラスチック2を、搬送部材6の下方に設けられた落下領域7に搬送可能に構成されている。搬送部材6は、たとえばコンベア、振動フィーダなどが適用され得る。落下領域7は、図中一点鎖線で示す領域であって、搬送部材6から回収容器4までの間に設けられた帯電したプラスチック2を落下させるための領域である。
【0027】
続いて、本実施の形態のプラスチック選別装置1を用いたプラスチック選別方法について説明する。
【0028】
図1を参照して、プラスチック選別方法は帯電したプラスチック2を選別するための方法である。まず、摩擦帯電によりプラスに帯電するプラス帯電プラスチック21とマイナスに帯電するマイナス帯電プラスチック22とのプラスチック2の混合物が帯電装置5に投入される。帯電装置5中で攪拌されることで摩擦帯電によりプラス帯電プラスチック21はプラスに帯電され、マイナス帯電プラスチック22はマイナスに帯電される。帯電したプラス帯電プラスチック21およびマイナス帯電プラスチック22が帯電装置5から搬送部材6上に吐出される。
【0029】
搬送部材6上に吐出されたプラス帯電プラスチック21およびマイナス帯電プラスチック22は搬送部材6により落下領域7の上方に搬送される。プラス帯電プラスチック21およびマイナス帯電プラスチック22は、落下領域7の上方で搬送部材6から落下されることにより落下領域7に供給される。
【0030】
接地電極3aおよびプラス電極3bに図示しない電源から電圧が印加されることにより接地電極3aおよびプラス電極3bとの間に電界場が形成される。この電界場から受ける静電気力によって落下領域7を落下する帯電したプラスチック2の落下軌道が変化される。
【0031】
落下領域7を落下中に帯電したプラスチック2の落下軌道が変化されて、帯電したプラスチック2は落下領域7の下方に配置された回収容器4に回収される。帯電したプラスチック2のうちプラス帯電プラスチック21は、接地電極3a側に静電気力を受けて回収容器4のうち接地側回収容器41に回収され、マイナス帯電プラスチック22は、プラス電極3b側に静電気力を受けて回収容器4のうちプラス側回収容器42に回収される。
【0032】
接地側回収容器41に回収された同じ極性に帯電したプラス帯電プラスチック21のうち厚さの厚いプラスチック21aと厚さの薄いプラスチック21bとは仕切り板4aで仕切られた一方の領域4bと他方の領域4cとに別個に回収される。
【0033】
落下領域7を落下中に静電気力を受けて水平方向に帯電したプラスチック2が移動する移動量は、帯電したプラスチック2の重量あたりの帯電量によって決まり、重量あたりの帯電量が大きいほど落下領域7において水平方向(落下方向と交差する方向)の移動量が多くなる。
【0034】
プラスチック2の帯電においては、電荷がプラスチック2の表面に蓄積される。このため、プラス帯電プラスチック21のうち厚いプラスチック21aより薄いプラスチック21bのほうが重量あたりの電荷量が大きくなる。したがって、厚いプラスチック21aより薄いプラスチック21bの方が落下領域7において水平方向の移動量が大きくなる。
【0035】
厚いプラスチック21aおよび薄いプラスチック21bの落下領域7における水平方向の移動量にあわせて、回収容器4を仕切り板4aで一方の領域4bと他方の領域4cとに仕切ることで、プラス帯電プラスチック21が回収容器4に回収される際、回収容器4の一方の領域4bに厚いプラスチック21aが回収され、他方の領域4cに薄いプラスチック21bが回収される。
【0036】
また、厚いプラスチック21aの重量あたりの電荷平均値と、薄いプラスチック21bの重量あたりの電荷平均値との間に設定された基準値に基づいて仕切り板4aの位置が設定された状態で厚いプラスチック21aおよび薄いプラスチック21bの回収が行われてもよい。なお、厚いプラスチック21aおよび薄いプラスチック21bは、それぞれ多数あり、それぞれの厚さにばらつきがあるため、基準値に設定には、重量あたりの電荷平均値が用いられる。
【0037】
基準値相当の電荷を帯電したプラス帯電プラスチック21が落下する位置に仕切り板4aの位置が設定される。これにより、重量あたりの電荷平均値が基準値を超える薄いプラスチック21bと、重量あたりの電荷平均値が基準値未満の厚いプラスチック21aとに選別して回収することが可能になる。つまり、厚いプラスチック21aの重量あたりの電荷平均値と薄いプラスチック21bの重量あたりの電荷平均値との間に基準値を設定することで、仕切り板4aで仕切られた回収容器4の一方の領域4bに重量あたりの電荷平均値が基準値未満の厚いプラスチック21aが回収され、他方の領域4cに重量あたりの電荷平均値が基準値を超える薄いプラスチック21bが回収される。これにより、厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとが選別される。
【0038】
続いて、本実施の形態のプラスチック選別方法の一例についてさらに詳しく説明する。
家電製品などの再資源化工程において、シュレッダー破砕され得られるプラスチック混合物は、主にポリプロピレン(PP)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂により構成される。比重選別法で比重の軽いPP樹脂が選別回収された後、ABS樹脂、PS樹脂および残渣のPP樹脂よりなるプラスチック混合物が帯電装置5に投入される。帯電装置5で攪拌されてABS樹脂がプラスに帯電され、PS樹脂および残渣のPP樹脂がマイナスに帯電される。プラスに帯電したABS樹脂が落下領域7を落下して接地側回収容器41に回収され、マイナスに帯電したPS樹脂および残渣のPP樹脂が落下領域7を落下してプラス側回収容器42に回収される。
【0039】
家電製品から回収されるABS樹脂には、射出成形により成形される部品に由来する射出グレードのABS樹脂片と押出しシートを成形した部品に由来する押出しグレードのABS樹脂片とが含まれる。射出グレードに由来するABS樹脂片は、厚さが2mm程度であり、摩擦帯電による重量あたりの電荷平均値はおよそ20nC/gである。なお厚さが2mm程度とは、2mm±0.2mmである。押出しグレードに由来するABS樹脂片は、厚さが1mm以下で摩擦帯電による重量あたりの電荷平均値はおよそ50nC/gである。
【0040】
このため、基準値が20〜50nC/gの間のたとえば40nC/gに設定され、それに対応して接地側回収容器41の仕切り板4aの位置が設定されることにより、厚さ2mm程度の射出グレードに由来するABS樹脂片が一方の領域4bに回収され、厚さ1mm以下の押出しグレードに由来するABS樹脂片が他方の領域4cに回収される。これにより、厚さ2mm程度の射出グレードに由来するABS樹脂片と厚さ1mm以下の押出しグレードに由来するABS樹脂片とに分けることができる。このようにして、選別されたABS樹脂片は、射出グレードおよび押出しグレードそれぞれの用途に分けて再利用することが可能になる。
【0041】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、プラス帯電プラスチック21の帯電に応じて、電極部材3により落下領域7を落下するプラス帯電プラスチック21の落下軌道を変化させることにより、厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとを仕切り板4aで仕切られた一方の領域4bと他方の領域4cとに別個に回収することができる。そのため、プラスチック2の形状による影響を抑制してプラスチック2を厚さごとに選別することができる。
【0042】
ところで、プラスチック2を厚さごとに選別する場合、プラスチック2の厚さを計測して選別することは困難で大量処理に適さない。本実施の形態によれば、プラス帯電プラスチック21の帯電に応じて、電極部材3により落下領域7を落下するプラス帯電プラスチック21の落下軌道を変化させることにより、厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとを別個に回収することができる。つまり、本実施の形態では、プラスチック2の厚さを計測して選別していないため、プラスチック2を大量に選別することができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、厚いプラスチック21aの重量あたりの電荷平均値と、薄いプラスチック21bの重量あたりの電荷平均値との間に設定された基準値に基づいて仕切り板4aの位置が設定されている。そのため、仕切り板4aで仕切られた回収容器4の一方の領域4bに重量あたりの電荷平均値が基準値未満の厚いプラスチック21aを回収することができ、他方の領域4cに重量あたりの電荷平均値が基準値を超える薄いプラスチック21bを回収することができる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、プラス帯電プラスチック21がABS樹脂であり、プラス帯電プラスチック21の厚いプラスチック21aの厚みは2mm以上であり、薄いプラスチック21bの厚みは1mm以下である。そのため、厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとを別個に回収することにより、厚さ2mm以上の射出グレードに由来するABS樹脂片と厚さ1mm以下の押出しグレードに由来するABS樹脂片とに分けることができる。このようにして、選別されたABS樹脂片は、再度、射出グレードおよび押出しグレードのうち同じ用途に再利用することができる。
【0045】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2のプラスチック選別方法について説明する。本実施の形態のプラスチック選別方法は種別に選別されたプラスチックを厚さ別に選別する場合に適用され得る。まず、本実施の形態のプラスチック選別装置について説明する。
【0046】
図2を参照して、プラスチック選別装置1は、帯電したプラスチック2を選別するための装置である。以下、帯電したプラスチック2の一例としてのプラス帯電プラスチック21を厚さにより選別する場合について説明するため、プラスチック2はプラス帯電プラスチック21を含んでいる。なお、マイナス帯電プラスチック22を厚さにより選別する場合には、プラスチック2はマイナス帯電プラスチック22を含むことになる。なお、プラス帯電プラスチック21はABS樹脂であってもよい。この場合、プラス帯電プラスチック21の厚いプラスチック21aの厚みは2mm以上であり、薄いプラスチック21bの厚みは1mm以下であってもよい。
【0047】
プラスチック選別装置1は、電極部材3と、回収容器4と、第1の搬送部材11と、第2の搬送部材12と、電源13とを主に有している。
【0048】
第1の搬送部材11は、帯電したプラスチック2を搬送するためものである。第1の搬送部材11はたとえばコンベアである。電極部材3は、第1の搬送部材11の一方側に配置され、第1の搬送部材11の他方側にプラス帯電プラスチック21を吸着可能に構成されている。電極部材3は第1の搬送部材11に取り囲まれるように配置されている。
【0049】
電極部材3は、厚いプラスチック21aの重量あたりの電荷平均値と、薄いプラスチック21bの重量あたりの電荷平均値との間に設定された基準値以上の電荷平均値を有する薄いプラスチック21bを第1の搬送部材11の他方側に吸着可能に構成されている。
【0050】
電極部材3には電極部材3に電圧を印加可能な電源13が接続されている。電源13は基準値以上の電圧が印加可能に設けられている。プラス帯電プラスチック21を選別するため電極部材3には電源13によりマイナスの電圧が印加されている。
【0051】
回収容器4は、第1の搬送部材11に吸着されたプラス帯電プラスチック21を第1の搬送部材11から脱落させて回収可能に設けられている。回収容器4は、たとえば、第1の搬送部材11の下方に配置されており、第1の搬送部材11の他方側に吸着されたプラス帯電プラスチック21を図示しないスクレーパにより第1の搬送部材11から落下させて回収するように構成されている。
【0052】
第2の搬送部材12は、同じ極性に帯電したプラス帯電プラスチック21のうち厚さの厚いプラスチック21aと厚さの薄いプラスチック21bとを載置した状態で搬送するためのものである。第2の搬送部材12はたとえばコンベアである。
【0053】
第1の搬送部材11は、第2の搬送部材12の上方に配置されている。第1の搬送部材11は、第2の搬送部材12で搬送された厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bのうち薄いプラスチック21bを引き上げて吸着可能に構成されている。
【0054】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0055】
続いて、本実施の形態のプラスチック選別装置1を用いたプラスチック選別方法について説明する。
【0056】
図2を参照して、摩擦帯電により同じ極性に帯電したプラスチック2が選別される。この帯電したプラスチック2は、プラス帯電プラスチック21である。このプラス帯電プラスチック21は、たとえば実施の形態1において、仕切り板4aを設けずに接地側回収容器41に回収されたプラス帯電プラスチック21が適用され得る。
【0057】
プラスに帯電したプラス帯電プラスチック21のうち厚さの厚いプラスチック21aと厚さの薄いプラスチック21bとが第2の搬送部材12に載置された状態で第2の搬送部材12で図中矢印D2方向に搬送される。
【0058】
電極部材3に電源13によって電圧が印加されることにより厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとのうち薄いプラスチック21bが第2の搬送部材12の上方に配置された第1の搬送部材11へ引き上げられて吸着される。この際、薄いプラスチック21bは電極部材3により重力と反対方向に引き上げられる。
【0059】
厚いプラスチック21aの重量あたりの電荷平均値と、薄いプラスチック21bの重量あたりの電荷平均値との間に設定された基準値以上の電荷平均値を有する薄いプラスチック21bが電極部材3により第1の搬送部材11に引き上げられて吸着されてもよい。
【0060】
たとえばプラス帯電プラスチック21がABS樹脂の場合、電極部材3に第2の搬送部材12上の電極部材3方向の電界強度が250kV/mとなるように電源13によって電圧が印加されることにより、ABS樹脂片の基準値40nC/gを超える重量あたりの電荷平均値のABS樹脂片が第1の搬送部材11へ引き上げられて吸着される。
【0061】
したがって、重量あたりの電荷平均値がおよそ50nC/gの薄いプラスチック(ABS樹脂片)21bは第1の搬送部材11へ引き上げられて吸着される。この薄いプラスチック(ABS樹脂片)21bは厚さが1mm以下である。そのため、押出しグレードに由来する薄いプラスチック(ABS樹脂片)21bは第1の搬送部材11に吸着される。
【0062】
一方、重量あたりの電荷平均値がおよそ20nC/gの厚いプラスチック(ABS樹脂片)21aは、第1の搬送部材11へ引き上げられて吸着されず第2の搬送部材12上に載置されたまま搬送される。この厚いプラスチック(ABS樹脂片)21aは厚さが2mm程度である。そのため、射出グレードに由来する厚いプラスチック(ABS樹脂片)21aは第1の搬送部材11へ引き上げられて吸着されず第2の搬送部材12上に載置されたまま搬送される。
【0063】
第1の搬送部材11の一方側に配置された電極部材3により、第1の搬送部材11の他方側に薄いプラスチック21bが吸着される。この状態で薄いプラスチック21bは第1の搬送部材11により図中矢印D1方向に搬送される。基準値以上の電荷平均値を有する薄いプラスチック21bが電極部材3により第1の搬送部材11の他方側に吸着された状態で第1の搬送部材11による搬送が行われてもよい。
【0064】
第1の搬送部材11に吸着された薄いプラスチック21bは第1の搬送部材11から脱落されて回収容器4に回収される。薄いプラスチック21bは、たとえば図示しないスクレーパにより第1の搬送部材11から掃き落とされて回収される。このようにして、厚いプラスチック21aは第2の搬送部材12に残され、薄いプラスチック21bは回収容器4に回収される。これにより、厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとが選別される。
【0065】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、プラス帯電プラスチック21の帯電に応じて、電極部材3によりプラス帯電プラスチック21を第1の搬送部材11に吸着した状態で搬送し、第1の搬送部材11から脱落させて回収することができる。そのため、プラスチック2の形状による影響を抑制してプラスチック2を厚さごとに選別することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、帯電したプラスチック2を第1の搬送部材11に電極部材3により吸着させた状態で第1の搬送部材11で搬送し、第1の搬送部材11から脱落させて回収することができる。つまり、本実施の形態では、プラスチック2の厚さを計測して選別していないため、プラスチック2を大量に選別することができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、第2の搬送部材12により搬送された厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとのうち薄いプラスチック21bが第2の搬送部材12の上方に配置された第1の搬送部材11へ電極部材3により引き上げられて吸着される。
【0068】
この際、薄いプラスチック21bは第2の搬送部材12の上方に配置された第1の搬送部材11へ電極部材3により重力と反対方向に引き上げられる。厚いプラスチック21aは重量が大きいため重力と反対方向に引き上げ難いが、薄いプラスチック21bは重量が小さいため重力と反対方向に引き上げ易い。そのため、第1の搬送部材11に、厚いプラスチック21aを引き上げずに、薄いプラスチック21bを引き上げることが容易に実現できる。これにより、薄いプラスチック21bを第1の搬送部材11に精度よく引き上げることができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、厚いプラスチック21aの重量あたりの電荷平均値と、薄いプラスチック21bの重量あたりの電荷平均値との間に設定された基準値以上の電荷平均値を有する薄いプラスチック21bが電極部材3により第1の搬送部材11の他方側に吸着された状態で搬送が行われる。基準値以上の電荷平均値を有する薄いプラスチック21bを電極部材3により第1の搬送部材11に吸着させることで、薄いプラスチック21bを厚いプラスチック21aと選別して搬送することができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、プラス帯電プラスチック21がABS樹脂であり、プラス帯電プラスチック21の厚いプラスチック21aの厚みは2mm以上であり、薄いプラスチック21bの厚みは1mm以下である。これにより、厚さ2mm以上の射出グレードに由来するABS樹脂片と厚さ1mm以下の押出しグレードに由来するABS樹脂片とを選別して回収することにより、再度、射出グレードおよび押出しグレードのうち同じ用途に再利用することができる。
【0071】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3のプラスチック選別方法は、実施の形態2のプラスチック選別方法と比較して、第1の搬送部材の配置が主に異なっている。本実施の形態のプラスチック選別方法は種別に選別されたプラスチックを厚さ別に選別する場合に適用され得る。以下、本実施の形態のプラスチック選別方法について説明する。
【0072】
図3を参照して、第2の搬送部材12は、重力方向から見て第1の搬送部材11と重ならないように配置されている。重力方向から見て第1の搬送部材11と第2の搬送部材12との間には帯電したプラスチック2が落下可能な空間が配置されている。第1の搬送部材11は、第2の搬送部材12で搬送して、第2の搬送部材12から落下させた厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bのうち薄いプラスチック21bを引き寄せて吸着可能に配置されている。
【0073】
第1の搬送部材11は、第2の搬送部材12に対して、第2の搬送部材12の搬送方向(図中矢印D2方向)側に配置されている。第1の搬送部材11は、帯電したプラスチック2の落下方向に沿って第2の搬送部材12との距離が大きくなるように斜めに配置されている。第1の搬送部材11の他方側の少なくとも一部は、第2の搬送部材12の下方に配置されている。第1の搬送部材11の他方側の最も下側の下方に回収容器4が配置されている。
【0074】
同じ極性に帯電したプラス帯電プラスチック21のうち厚さの厚いプラスチック21aと厚さの薄いプラスチック21bとが第2の搬送部材12に載置された状態で図中矢印D2方向に搬送される。図中矢印D2方向に第2の搬送部材12の端部まで厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとが搬送されると、厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとは第2の搬送部材12の端部から落下される。
【0075】
第2の搬送部材12の端部から厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとが落下した後で、薄いプラスチック21bが重力方向からみて第2の搬送部材12と重ならないように配置された第1の搬送部材11へ電極部材3により引き寄せられて吸着される。この際、薄いプラスチック21bは第2の搬送部材12と第1の搬送部材11との間の空間を落下しつつ第1の搬送部材11へ引き寄せられる。
【0076】
厚いプラスチック21aの重量あたりの電荷平均値と、薄いプラスチック21bの重量あたりの電荷平均値との間に設定された基準値以上の電荷平均値を有する薄いプラスチック21bが電極部材3により第1の搬送部材11に引き寄せられて吸着されてもよい。
【0077】
第1の搬送部材11に吸着された薄いプラスチック21bは第1の搬送部材11から脱落されて回収容器4に回収される。一方、厚いプラスチック21aは第1の搬送部材11に吸着されず第1の搬送部材11と第2の搬送部材12との間を落下される。
【0078】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成および方法は上述した実施の形態2と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0079】
本実施の形態によれば、第2の搬送部材12から厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとが落下した後で、薄いプラスチック21aが重力方向からみて第2の搬送部材12と重ならないようにされた第1の搬送部材11へ電極部材により引き寄せられて吸着される。
【0080】
この際、薄いプラスチック21bは第2の搬送部材12と第1の搬送部材11との間の空間を落下しつつ第1の搬送部材11へ電極部材3により引き寄せられる。薄いプラスチック21bの水平方向の移動量は、厚いプラスチック21aの水平方向の移動量より大きくなる。そのため、厚いプラスチック21aを第1の搬送部材11に吸着させずに、薄いプラスチック21bを吸着させることが容易に実現できる。これにより、薄いプラスチック21bを第1の搬送部材11に精度よく吸着することができる。
【0081】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4のプラスチックの選別方法は、実施の形態2のプラスチックの選別方法と比較して、第2の搬送部材を有していない点で主に異なっている。本実施の形態のプラスチック選別方法は種別に選別されたプラスチックを厚さ別に選別する場合に適用され得る。以下、本実施の形態のプラスチックの選別方法について説明する。
【0082】
図4を参照して、プラスチック選別装置1は、電極部材3と、回収容器4と、第1の搬送部材11と、電源13とを主に有している。
【0083】
第1の搬送部材11は、電極部材3の両面側を取り囲むように連続して設けられている。第1の搬送部材11は、摩擦帯電により同じ極性に帯電したプラス帯電プラスチック21を上面側に載置した状態で搬送可能に構成されている。第1の搬送部材11は、一方端部において厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとが上面側から下面側に搬送される際に厚いプラスチック21aを上面側から落とし、薄いプラスチック21aを下面側に吸着した状態で搬送可能に構成されている。回収容器4は、第1の搬送部材11の一方端部と反対側の他方端部の下方に配置されている。
【0084】
プラス帯電プラスチック21が第1の搬送部材11の上面側に載置される。同じ極性に帯電したプラス帯電プラスチック21の厚さの厚いプラスチックと21aと厚さの薄いプラスチック21bとが第1の搬送部材11の上面側に載置された状態で一方端部に向かって図中矢印D1方向に第1の搬送部材11により搬送される。
【0085】
第1の搬送部材11の一方端部において、厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとが上面側から下面側に搬送される際に、厚いプラスチック21aが上面側から落とされる。薄いプラスチック21bは電極部材3により第1の搬送部材11の下面側に吸着された状態で他方端部に向かって図中矢印D2方向に第1の搬送部材11により搬送される。
【0086】
厚いプラスチック21aの重量あたりの電荷平均値と、薄いプラスチック21bの重量あたりの電荷平均値との間に設定された基準値以上の電荷平均値を有する薄いプラスチック21bが電極部材3により第1の搬送部材11の下面側に吸着されてもよい。
【0087】
第1の搬送部材の下面側に吸着された薄いプラスチック21bは他方端部において第1の搬送部材11の下面側から脱落されて回収容器4に回収される。
【0088】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成および方法は上述した実施の形態2と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0089】
本実施の形態によれば、厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとが第1の搬送部材11の上面側に載置した状態で搬送され、上面側から下面側に搬送される際に厚いプラスチック21aが上面側から落とされ、薄いプラスチック21bが下面側に吸着された状態で搬送される。
【0090】
プラス帯電プラスチック21が第1の搬送部材11の上面側から下面側に搬送される際に、重量の大きい厚いプラスチック21aは上面側から落とされ、重量の小さい薄いプラスチック21bは第1の搬送部材11の下面側に吸着される。そのため、第1の搬送部材11の下面側に、厚いプラスチック21aを吸着させずに、薄いプラスチック21bを吸着させることが容易に実現できる。これにより、薄いプラスチック21bを第1の搬送部材11に精度よく吸着することができる。
【0091】
また、第1の搬送部材11により厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとを搬送し、かつ厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとを選別できるため、厚いプラスチック21aと薄いプラスチック21bとを搬送するための他の搬送部材を設けなくてもよいため、省スペース化を図ることができる。また他の搬送部材を設けなくてよいため生産コストを含めた生産性を向上することができる。
【0092】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5のプラスチック選別方法は、実施の形態1のプラスチック選別方法と比較して、帯電したプラスチック、回収容器および帯電装置が主に異なっている。本実施の形態のプラスチック選別方法は種別に選別されたプラスチックを厚さ別に選別する場合に適用され得る。以下、本実施の形態のプラスチック選別方法について説明する。
【0093】
図5を参照して、本実施の形態の帯電したプラスチック2は、実施の形態1と異なり、プラス帯電プラスチック21の一種類である。以下、プラス帯電プラスチック21を厚さにより選別する場合について説明するが、マイナス帯電プラスチック22を厚さにより選別してもよい。この場合には、帯電したプラスチック2はマイナス帯電プラスチック22となる。
【0094】
回収容器4は、プラス帯電プラスチック21を回収可能な接地側回収容器41である。回収容器4(接地側回収容器41)は、厚いプラスチック21aが回収可能な一方の領域4bと薄いプラスチック21bが回収可能な他方の領域4cとを仕切る仕切り板4aを有している。回収容器4の一方の領域4bは落下領域7の下方においてプラス電極3b側に配置されている。回収容器4の他方の領域4c落下領域7の下方において接地電極3a側に配置されている。
【0095】
帯電装置51は、投入されるプラスチック2との摩擦によってプラスチック2と異なる極性に帯電する材質から構成されている。本実施の形態では帯電したプラスチック2がプラス帯電プラスチック21であるため、帯電装置51はプラス帯電プラスチック21との摩擦によってマイナスに帯電する材質から構成されている。帯電装置51は、プラス帯電プラスチック21を落下領域7に供給可能に構成されている。
【0096】
帯電装置51中でプラス帯電プラスチック21が図中矢印R1方向に回転されて攪拌されることにより、帯電装置51とプラス帯電プラスチック21とが摩擦される。帯電装置51とプラス帯電プラスチック21とが摩擦されることで、帯電装置51はマイナスに帯電する。プラスに帯電したプラス帯電プラスチック21は、搬送部材6上を介して、落下領域7に供給される。
【0097】
接地電極3aおよびプラス電極3bにより落下領域7を落下する帯電したプラス帯電プラスチック21の落下軌道が変化される。落下軌道が変化されたプラス帯電プラスチック21のうち厚いプラスチック21aが回収容器4(接地側回収容器41)の一方の領域4bに回収され、薄いプラスチック21bが回収容器4(接地側回収容器41)他方の領域4cに回収される。
【0098】
続いて、本実施の形態のプラスチック選別方法の一例についてさらに詳しく説明する。
プラス帯電プラスチック21がABS樹脂の場合、帯電装置51はPS樹脂またはPP樹脂で構成され得る。この場合、帯電装置51にプラス帯電プラスチック21が投入されて攪拌されると、帯電装置51の内壁が摩擦媒体となり、ABS樹脂からなるプラス帯電プラスチック21はプラスに帯電される。
【0099】
ABS樹脂からなるプラス帯電プラスチック21は帯電装置51から搬送部材6を経由して落下領域7に供給される。プラス帯電プラスチック21は落下領域7を落下する途中で接地電極3aおよびプラス電極3bにより静電気力を受けて回収容器4に回収される。仕切り板4aの位置が重量あたりの電荷基準値40nC/gに対応させて調整されることにより、実施の形態1と同様に、プラス帯電プラスチック21は、厚さ2mm程度の射出グレードに由来するABS樹脂片と厚さ1mm以下の押出しグレードに由来するABS樹脂片とに選別される
なお、本実施の形態のこれ以外の構成および方法は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0100】
本実施の形態によれば、帯電装置51をプラスチック2と摩擦させて、帯電装置51とは異なる極性にプラスチック2を帯電させるため、種別に静電選別された後に電荷量が減衰したプラスチック2を帯電させて厚さごとに選別することができる。また、静電選別以外の方法で種別に選別されたプラスチック2を帯電させて厚さごとに選別することができる。
【0101】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6のプラスチック選別方法は、実施の形態2のプラスチック選別方法と比較して、帯電装置を備えている点が主に異なっている。
【0102】
図6を参照して、帯電装置51は、投入されるプラスチック2との摩擦によってプラスチック2と異なる極性に帯電する材質から構成されている。本実施の形態では帯電したプラスチック2がプラス帯電プラスチック21であるため、帯電装置51はプラス帯電プラスチック21との摩擦によってマイナスに帯電する材質から構成されている。帯電装置51は、プラス帯電プラスチック21を第2の搬送部材12に供給可能に構成されている。
【0103】
帯電装置51中でプラス帯電プラスチック21が図中矢印R1方向に回転されて攪拌されることにより、帯電装置51とプラス帯電プラスチック21とが摩擦される。帯電装置51とプラス帯電プラスチック21とが摩擦されることで、帯電装置51はマイナスに帯電する。プラスに帯電したプラス帯電プラスチック21は、帯電装置51から第2の搬送部材12に供給される。
【0104】
続いて、本実施の形態のプラスチック選別方法の一例についてさらに詳しく説明する。
プラス帯電プラスチック21がABS樹脂の場合、帯電装置51はPS樹脂またはPP樹脂で構成され得る。帯電装置51にプラス帯電プラスチック21が投入されて攪拌されると、帯電装置51の内壁が摩擦媒体となり、ABS樹脂からなるプラス帯電プラスチック21はプラスに帯電される。ABS樹脂からなるプラス帯電プラスチック21は帯電装置51から第2の搬送部材12上に供給される。プラス帯電プラスチック21は第2の搬送部材12に載置された状態で第2の搬送部材12で図中矢印D2方向に搬送される。
【0105】
電極部材3に第2の搬送部材12上の電極部材3方向の電界強度が250kV/mとなるように電源13によって電圧が印加されることにより、ABS樹脂片の基準値40nC/gを超える重量あたりの電荷平均値のABS樹脂片が第1の搬送部材11へ引き上げられて吸着され、第1の搬送部材11に貼り付いた状態で回収容器4に搬送されて回収される。このようにして、プラス帯電プラスチック21は、厚さ2mm程度の射出グレードに由来するABS樹脂片と厚さ1mm以下の押出しグレードに由来するABS樹脂片とに選別され得る。
【0106】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成および方法は上述した実施の形態2と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0107】
本実施の形態によれば、帯電装置51をプラスチック2と摩擦させて、帯電装置51とは異なる極性にプラスチック2を帯電させるため、種別に静電選別された後に電荷量が減衰したプラスチック2を帯電させて厚さごとに選別することができる。また、静電選別以外の方法で種別に選別されたプラスチック2を帯電させて厚さごとに選別することができる。
【0108】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7のプラスチック選別方法は、実施の形態3のプラスチック選別方法と比較して、帯電装置を備えている点が主に異なっている。この帯電装置は、実施の形態6の帯電装置と同様のものである。
【0109】
図7を参照して、本実施の形態によれば、実施の形態6と同様に、帯電装置51をプラスチック2と摩擦させて、帯電装置51とは異なる極性にプラスチック2を帯電させるため、種別に静電選別された後に電荷量が減衰したプラスチック2を帯電させて厚さごとに選別することができる。また、静電選別以外の方法で種別に選別されたプラスチック2を帯電させて厚さごとに選別することができる。
【0110】
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8のプラスチック選別方法は、実施の形態4のプラスチック選別方法と比較して、帯電装置を備えている点が主に異なっている。この帯電装置は、実施の形態6の帯電装置と同様のものである。
【0111】
図8を参照して、帯電装置51中でプラス帯電プラスチック21が図中矢印R1方向に回転されて攪拌されることにより、帯電装置51とプラス帯電プラスチック21とが摩擦される。帯電装置51とプラス帯電プラスチック21とが摩擦されることで、プラスに帯電したプラス帯電プラスチック21は、帯電装置51から第1の搬送部材11の上面側に供給される。
【0112】
本実施の形態によれば、実施の形態6と同様に、帯電装置51をプラスチック2と摩擦させて、帯電装置51とは異なる極性にプラスチック2を帯電させるため、種別に静電選別された後に電荷量が減衰したプラスチック2を帯電させて厚さごとに選別することができる。また、静電選別以外の方法で種別に選別されたプラスチック2を帯電させて厚さごとに選別することができる。
【0113】
上記の各実施の形態は適宜組み合わせることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0114】
1 プラスチック選別装置、2 プラスチック、3 電極部材、3a 接地電極、3b プラス電極、4 回収容器、4a 仕切り板、4b 一方の領域、4c 他方の領域、5 帯電装置、5a 吐出口、6 搬送部材、7 落下領域、11 第1の搬送部材、12 第2の搬送部材、13 電源、21 プラス帯電プラスチック、21a 厚いプラスチック、21b 薄いプラスチック、22 マイナス帯電プラスチック、22a 厚いプラスチック、22b 薄いプラスチック、41 接地側回収容器、42 プラス側回収容器、51 帯電装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電したプラスチックを選別するためのプラスチック選別方法であって、
帯電した前記プラスチックを落下させるための落下領域に向かい合う少なくとも1つの電極部材により、前記落下領域を落下する帯電した前記プラスチックの落下軌道を変化させる工程と、
落下軌道が変化された同じ極性に帯電した前記プラスチックのうち厚さの厚いプラスチックと厚さの薄いプラスチックとを、前記落下領域の下方に配置され、かつ一方の領域と他方の領域とを仕切る仕切り板を有する回収容器に回収する際、前記回収容器の前記一方の領域に前記厚いプラスチックを回収し、前記他方の領域に前記薄いプラスチックを回収する工程とを備えた、プラスチック選別方法。
【請求項2】
前記回収する工程は、前記厚いプラスチックの重量あたりの電荷平均値と、前記薄いプラスチックの重量あたりの電荷平均値との間に設定された基準値に基づいて前記仕切り板の位置が設定された状態で回収が行われる、請求項1に記載のプラスチック選別方法。
【請求項3】
前記プラスチックとの摩擦によって前記プラスチックと異なる極性に帯電する材質から構成された帯電装置を前記プラスチックと摩擦させて、前記帯電装置とは異なる極性に帯電させた前記プラスチックを前記落下領域に供給する工程をさらに備えた、請求項1または2に記載のプラスチック選別方法。
【請求項4】
帯電したプラスチックを選別するためのプラスチック選別方法であって、
第1の搬送部材の一方側に電極部材を配置して、前記第1の搬送部材の他方側に帯電した前記プラスチックを前記電極部材により吸着させた状態で前記第1の搬送部材で搬送する工程と、
帯電した前記プラスチックを前記第1の搬送部材から脱落させて回収する工程とを備えた、プラスチック選別方法。
【請求項5】
同じ極性に帯電した前記プラスチックのうち厚さの厚いプラスチックと厚さの薄いプラスチックとを第2の搬送部材に載置した状態で前記第2の搬送部材で搬送する工程と、
前記第2の搬送部材により搬送された前記厚いプラスチックと前記薄いプラスチックとのうち前記薄いプラスチックを前記第2の搬送部材の上方に配置された前記第1の搬送部材へ前記電極部材により引き上げて吸着する工程をさらに備えた、請求項4に記載のプラスチック選別方法。
【請求項6】
同じ極性に帯電した前記プラスチックのうち厚さの厚いプラスチックと厚さの薄いプラスチックとを第2の搬送部材に載置した状態で搬送して前記第2の搬送部材から落下させる工程と、
前記厚いプラスチックと前記薄いプラスチックとが落下した後で、前記薄いプラスチックを重力方向から見て前記第2の搬送部材と重ならないように配置された前記第1の搬送部材へ前記電極部材により引き寄せて吸着するする工程とをさらに備えた、請求項4に記載のプラスチック選別方法。
【請求項7】
前記プラスチックとの摩擦によって前記プラスチックと異なる極性に帯電する材質から構成された帯電装置を前記プラスチックと摩擦させて、前記帯電装置とは異なる極性に帯電させた前記プラスチックを前記第2の搬送部材に供給する工程をさらに備えた、請求項5または6に記載のプラスチック選別方法。
【請求項8】
前記第1の搬送部材で搬送する工程は、
同じ極性に帯電した前記プラスチックの厚さの厚いプラスチックと厚さの薄いプラスチックとを前記電極部材の両面側を取り囲むように連続して設けられた前記第1の搬送部材の上面側に載置した状態で搬送し、かつ前記厚いプラスチックと前記薄いプラスチックとが前記上面側から下面側に搬送される際に前記厚いプラスチックを前記上面側から落とし、前記薄いプラスチックを前記下面側に吸着した状態で搬送が行われる、請求項4に記載のプラスチック選別方法。
【請求項9】
前記プラスチックとの摩擦によって前記プラスチックと異なる極性に帯電する材質から構成された帯電装置を前記プラスチックと摩擦させて、前記帯電装置とは異なる極性に帯電させた前記プラスチックを前記第1の搬送部材の上面側に供給する工程をさらに備えた、請求項8に記載のプラスチック選別方法。
【請求項10】
前記第1の搬送部材で搬送する工程は、前記厚いプラスチックの重量あたりの電荷平均値と、前記薄いプラスチックの重量あたりの電荷平均値との間に設定された基準値以上の電荷平均値を有する前記薄いプラスチックを前記電極部材により前記第1の搬送部材の他方側に吸着した状態で搬送が行われる、請求項5〜9のいずれかに記載のプラスチック選別方法。
【請求項11】
前記プラスチックはABS樹脂であり、
前記厚いプラスチックの厚みは2mm以上であり、
前記薄いプラスチックの厚みは1mm以下である、請求項1〜10のいずれかに記載のプラスチック選別方法。
【請求項12】
帯電したプラスチックを選別するためのプラスチック選別装置であって、
帯電した前記プラスチックを落下させるための落下領域に向かい合う少なくとも1つの電極部材と、
前記落下領域の下方に配置され、かつ一方の領域と他方の領域とを仕切る仕切り板を有し、かつ同じ極性に帯電した前記プラスチックの厚さの厚いプラスチックと厚さの薄いプラスチックとのうち前記厚いプラスチックを前記一方の領域に回収し、前記薄いプラスチックを前記他方の領域に回収可能な回収容器とを備えた、プラスチック選別装置。
【請求項13】
前記仕切り板は、前記厚いプラスチックの重量あたりの電荷平均値と、前記薄いプラスチックの重量あたりの電荷平均値との間に設定された基準値に基づいて位置が設定されている、請求項12に記載のプラスチック選別装置。
【請求項14】
前記プラスチックとの摩擦によって前記プラスチックと異なる極性に帯電する材質から構成された帯電装置をさらに備え、
前記帯電装置は、前記プラスチックとの摩擦により、前記帯電装置とは異なる極性に帯電させた前記プラスチックを前記落下領域に供給可能に構成されている、請求項12または13に記載のプラスチック選別装置。
【請求項15】
帯電したプラスチックを選別するためのプラスチック選別装置であって、
帯電した前記プラスチックを搬送するための第1の搬送部材と、
前記第1の搬送部材の一方側に配置され、前記第1の搬送部材の他方側に帯電した前記プラスチックを吸着可能な電極部材と、
前記第1の搬送部材に吸着された帯電した前記プラスチックを前記第1の搬送部材から脱落させて回収可能な回収容器とを備えた、プラスチック選別装置。
【請求項16】
同じ極性に帯電した前記プラスチックのうち厚さの厚いプラスチックと厚さの薄いプラスチックとを載置した状態で搬送するための第2の搬送部材をさらに備え、
前記第1の搬送部材は、前記第2の搬送部材の上方に配置されており、
前記第1の搬送部材は、前記第2の搬送部材で搬送された前記厚いプラスチックと前記薄いプラスチックとのうち前記薄いプラスチックを引き上げて吸着可能に構成されている、請求項15に記載のプラスチック選別装置。
【請求項17】
同じ極性に帯電した前記プラスチックのうち厚さの厚いプラスチックと厚さの薄いプラスチックとを載置した状態で搬送するための第2の搬送部材をさらに備え、
前記第2の搬送部材は、重力方向から見て前記第1の搬送部材と重ならないように配置されており、
前記第1の搬送部材は、前記第2の搬送部材で搬送して、前記第2の搬送部材から落下させた前記厚いプラスチックと前記薄いプラスチックのうち前記薄いプラスチックを引き寄せて吸着可能に配置されている、請求項15に記載のプラスチック選別装置。
【請求項18】
前記プラスチックとの摩擦によって前記プラスチックと異なる極性に帯電する材質から構成された帯電装置をさらに備え、
前記帯電装置は、前記プラスチックとの摩擦により、前記帯電装置とは異なる極性に帯電させた前記プラスチックを前記第2の搬送部材の他方側に供給可能に構成されている、請求項16または17に記載のプラスチック選別装置。
【請求項19】
前記電極部材は、前記厚いプラスチックの重量あたりの電荷平均値と、前記薄いプラスチックの重量あたりの電荷平均値との間に設定された基準値以上の電荷平均値を有する前記薄いプラスチックを前記第1の搬送部材の他方側に吸着可能に構成されている、請求項16〜18のいずれかに記載のプラスチック選別装置。
【請求項20】
前記プラスチックはABS樹脂であり、
前記厚いプラスチックの厚みは2mm以上であり、
前記薄いプラスチックの厚みは1mm以下である、請求項12〜19のいずれかに記載のプラスチック選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−110855(P2012−110855A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263314(P2010−263314)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】