説明

プラスティックケーシングを備えたアンテナ

本発明は、金属から成る基体(2)とプラスティックから成るアンテナケーシング(3)とを備えた車両面(4)に取り付けられる車両用アンテナ(1)に関する。アンテナケーシング(3)は基体(2)上に配置されるアンテナエレメントを包囲する。本発明によれば、基体(2)は少なくとも1つのプラスティックから成る部分領域(2.2)を有する。アンテナケーシング(3)はアンテナエレメントの取り付け後にこのプラスティックから成る部分領域(2.2)に解離不能に接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の上位概念記載の車両面(特に車両ルーフ)に取り付けられる車両用アンテナに関する。
【0002】
従来の技術
この種のアンテナは独国実用新案第29500961号から公知である。このアンテナは基体、すなわち金属から成るベースプレートを有しており、このベースプレート上に必要なアンテナエレメント、例えばストリップ導体路が配置されている。ベースプレート上に配置されたアンテナエレメントを保護するために、これは非導電性材料、例えばプラスティックから成るアンテナケーシングによって包囲されている。アンテナ全体は車両面の開口部に嵌合するベースプレートのボルトねじによって車両面に固定されている。
【0003】
独国実用新案第29500961号のベースプレートはアンテナケーシングの下面の収容部へはめ込まれる。アンテナケーシングをベースプレート上に固定するために、ベースプレートの角に4つの孔が設けられている。この4つの孔を通してねじが挿入され、相応のねじ孔によってアンテナケーシングへ嵌合する。つまりアンテナケーシングとベースプレートとの相互の接合は解離可能であり、確実な封止作用は得られない。これにより汚染物粒子、特に湿分がアンテナケーシング内へ侵入し、アンテナの機能を損なうことがある。同様に、とにかくベースプレートに孔を設け、相応にアンテナケーシングにねじ部を設けなければならないので、これに関する部材の準備と取り付けとに手間がかかる。さらに4つのねじを用いてベースプレートとアンテナケーシングとの接合も行わなければならない。またその後にも、ねじをアンテナケーシングに確実に固定し、車両の運転中に振動によってこれが解離したり失われたりしないようにするための措置を講じる必要が生じる。
【0004】
本発明の概要
したがって本発明の基礎とする課題は、車両面、特に車両ルーフに取り付けられる車両用アンテナにおいて、上述の欠点を回避することである。この課題は請求項1記載の特徴、つまり基体(ベースプレート)は少なくとも1つのプラスティックから成る部分領域を有し、アンテナケーシングはアンテナエレメントの取り付け後にこのプラスティックから成る部分領域に解離不能に接合される構成により解決される。
【0005】
これは取り付けが簡単化され、部材を少なくできるという利点につながる。解離不能な接合は例えば接着剤または超音波溶接によって行われるが、アンテナエレメントの取り付け後に自動で行うことができる。アンテナケーシングとベースプレートとが接合される領域では、2つの部材は同じ材料から成るかまたは相互に問題なく接合可能な2種類の材料から成るので、接合は簡単かつ迅速に低コストで行うことができる。解離不能な接合がいちど形成されれば、アンテナケーシングの内部スペースの絶対的な封止が保証され、アンテナ機能の損傷が効果的に回避される。なぜなら汚染物粒子または湿分が内部スペースへ侵入できないからである。
【0006】
本発明の有利な実施形態では、アンテナケーシングは接合領域でプラスティックから成る部分領域に適合化されている。これによりアンテナケーシングを基体上に正確に位置決めおよび固定し、さらに簡単に自動的に解離不能に接合することができる。
【0007】
本発明の別の有利な実施形態では、プラスティックから成る部分領域は基体の金属から成る部分領域の周縁に配置される。プラスティックから成る部分領域が金属から成る部分領域の周縁に配置される場合、特にプラスティック材料を一体に射出成形(Anspritzen)することにより構成し、アンテナエレメントの取り付け表面を最大限まで利用することができる。さらにアンテナケーシングは基体の縁部領域に接合されるので、光学的に許容されうるイメージが得られる。
【0008】
図面の簡単な説明
本発明を限定するものではないが、本発明を実施例に則して詳細に説明する。
【0009】
本発明の実施例
アンテナ1はベースプレート2を有しており、ベースプレート2はアンテナ1の機能に必須の金属から成る部分領域2.1を有する。本発明によれば、ベースプレート2はさらに少なくとも1つのプラスティックから成る部分領域2.2を有し、これはこの実施例では金属から成る部分領域2.1の周縁に位置する。この場合、例えばプラスティックから成る部分領域2.2が少なくとも部分的に金属から成る部分領域2.1の上方に平面的に延在する。ベースプレート2の上方にはプラスティックから成るケーシング3が載置され、これによりベースプレート2上に配置されたアンテナエレメントおよび場合により増幅器などの電子回路が包囲および保護される。アンテナエレメントはアンテナ1の使用目的に応じて変更可能であり、簡単化のために図示していない。ケーシング3の内部スペースの封止のために、ケーシング3とベースプレート2の部分領域2.2とが相互に接する領域は解離不能に接合される。このためにケーシング3と部分領域2.2とが接する領域は相互に適合化され、図示のように部分領域2.2に例えば段部が設けられる。また例えば部分領域2.2が周囲に溝を有し、ここにケーシング3の下方エッジがはめ込まれるようにしてもよい。このような構成に加えて、例えばケーシング3と部分領域2.2とを接着することもできる。ケーシング3と部分領域2.2との解離不能の接合部Vは図中に示してある。
【0010】
アンテナ1は車両面4に取り付けられる。車両面4は開口部5(車両ボディの孔)を有し、ここにねじの付いた突起部6がはめ込まれる。突起部6はベースプレート2の一部である。アンテナ1を車両面4に固定するために、例えば突起部6に六角ナット7が嵌め込まれる。アンテナ1およびベースプレート2を車両面4およびその下方の車両キャビンに対して封止するためにシール8が設けられる。これは特に開口部5が侵入してくる汚染物粒子や湿分に対して、外部へ向かって封止されるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のアンテナの概略図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属から成る基体(2)とプラスティックから成るアンテナケーシング(3)とを備えており、該アンテナケーシングは基体(2)上に配置されるアンテナエレメントを包囲する、
車両面(4)に取り付けられる車両用アンテナ(1)において、
基体(2)は少なくとも1つのプラスティックから成る部分領域(2.2)を有し、
アンテナケーシング(3)はアンテナエレメントの取り付け後に該プラスティックから成る部分領域(2.2)に解離不能に接合される
ことを特徴とする車両用アンテナ。
【請求項2】
前記アンテナケーシング(3)は接合領域で前記プラスティックから成る部分領域(2.2)に適合化されている、請求項1記載のアンテナ。
【請求項3】
前記プラスティックから成る部分領域(2.2)は基体(2)の金属から成る部分領域(2.1)の周縁に位置する、請求項1記載のアンテナ。
【請求項4】
前記プラスティックから成る部分領域(2.2)は前記金属から成る部分領域(2.1)に一体に成形されている、請求項3記載のアンテナ。
【請求項5】
接合は接着剤によって行われる、請求項1から4までのいずれか1項記載のアンテナ。
【請求項6】
接合は超音波溶接によって行われる、請求項1から5までのいずれか1項記載のアンテナ。
【請求項7】
前記基体(2)と前記車両面(4)とのあいだにシール(8)が配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のアンテナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属から成る平面状の基体(2)とプラスティックから成るアンテナケーシング(3)とを備えており、該アンテナケーシングは基体(2)上に配置される複数のアンテナエレメントを包囲する、
車両面(4)に取り付けられる車両用アンテナ(1)において、
基体(2)は少なくとも1つのプラスティックから成る部分領域(2.2)を有し、
アンテナケーシング(3)はアンテナエレメントの取り付け後に該プラスティックから成る部分領域(2.2)に解離不能に接合され
該プラスティックから成る部分領域(2.2)は基体(2)の金属から成る部分領域(2.1)の周縁に位置する
ことを特徴とする車両用アンテナ。
【請求項2】
前記アンテナケーシング(3)は接合領域で前記プラスティックから成る部分領域(2.2)に適合化されている、請求項1記載のアンテナ。
【請求項3】
前記プラスティックから成る部分領域(2.2)は前記金属から成る部分領域(2.1)に一体に成形されている、請求項記載のアンテナ。
【請求項4】
接合は接着剤によって行われる、請求項1からまでのいずれか1項記載のアンテナ。
【請求項5】
接合は超音波溶接によって行われる、請求項1からまでのいずれか1項記載のアンテナ。
【請求項6】
前記基体(2)と前記車両面(4)とのあいだにシール(8)が配置されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のアンテナ。

【公表番号】特表2006−515493(P2006−515493A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518645(P2005−518645)
【出願日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000486
【国際公開番号】WO2004/084342
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(593084683)ヒルシュマン エレクトロニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (7)
【Fターム(参考)】