説明

プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法、加圧装置

【課題】プラズマディスプレイパネルの前面板の実用的な誘電体保護膜を安価な塗布形成方法で実現することを目的とする。
【解決手段】プラズマディスプレイパネルの製造方法であって、誘電体保護膜の構成材料の微結晶を含む溶媒を前面板に塗布する塗布ステップと、前記前面板を乾燥する乾燥ステップと、乾燥後、ローラを用いて、前記微結晶を含む膜の表面の凹凸に液体を介して圧力をかける加圧ステップと、前記微結晶を含む膜を焼成する焼成ステップと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示デバイスなどに用いるプラズマディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネルの製造方法およびその製造に用いる加圧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年ハイビジョンをはじめとする高品位、大画面テレビの分野が大きく成長し、薄型の表示装置である、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイが一般化してきた。成長に伴い、さらなる低価格化が求められている。プラズマディスプレイパネルにおいても、価格を低くするために従来真空装置(電子ビーム蒸着)を用いて形成してきた薄膜を、塗布によって置き換える検討がなされている。真空製膜工程では高価な真空装置を必要とするため、設備投資が高くなりかつ装置にかかる維持経費が大きくなるためである。そこで、真空製膜装置を使わず、塗布(あるいは印刷)で成膜する方法が検討されている。一部はすでに実用化されているが、プラズマディスプレイパネル前面板の誘電体保護膜はまだ実用化されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−129161号公報
【特許文献2】特開平11−157832号公報
【特許文献3】特許第3267247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
誘電体保護膜(以下、保護膜と表現する)は、一般的には MgO(酸化マグネシウム、マグネシア)を主成分としており、単結晶の密度が3.85 g/cmに対し、電子ビーム蒸着ではおよそ3.0 g/cmと近い値になるのに対し、塗布(印刷)では、焼成後おおよそ1.0 g/cm程度の密度しかない。保護膜は、プラズマから誘電体を保護するのが目的であるから、密度が低いとプラズマによって容易にスパッタリングされてしまうためプラズマディスプレイパネルの寿命が1/2から1/4と極端に短くなってしまうためである。保護膜の膜厚を厚くすることで見かけの寿命は長くなるが、膜厚が厚くなる分透過率が低下するため、取り出せる光量が低下し、印加電圧を増加させるなどプラズマ生成条件が厳しくなり、かえって寿命が短くなることさえあるなど有効な解決策にはならない。
【0005】
本発明は、前述の課題を解決するための手段と装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのプラズマディスプレイパネルの製造方法は、
誘電体保護膜の構成材料の微結晶を含む溶媒を前面板に塗布する塗布ステップと、
前記前面板を乾燥する乾燥ステップと、
乾燥後、ローラを用いて、前記微結晶を含む膜の表面の凹凸に液体を介して圧力をかける加圧ステップと、
前記微結晶を含む膜を焼成する焼成ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前面板誘電体層の保護膜として、塗布による膜形成であっても、密度の比較的高い、平坦な膜が得られるので、蒸着膜を使う場合に比べて、低コストで形成することができる。その結果としてプラズマディスプレイパネルを従来よりも安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係る加圧ローラ表面の構造を説明する図
【図2】第2の実施の形態に係る加圧ローラ表面の構造を説明する図
【図3】実施の形態における加圧ローラの数および動かし方を説明する図
【図4】実施の形態における工程の流れを説明する図
【図5】実施の形態における従来例との違いを説明する図
【図6】プラズマディスプレイ装置の概略構成を示す断面斜視図
【図7】蒸着膜および塗布膜の表面の電子顕微鏡での観察結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
(プラズマディスプレイパネルの概要)
図6は、従来の交流型(AC型)のプラズマディスプレイパネルの要部斜視図を示したものである。図6において、51は、フロート法による硼硅酸ナトリウム系ガラスよりなるガラス基板(フロントカバープレート)であり、前面板と呼ばれる。前面板51上に銀電極およびITO(Indium−Tin Oxide)などを主成分とする透明電極とからなる表示電極52が存在し、この電極間で面放電を行うように構成される。この上をコンデンサの働きをする誘電体層53と酸化マグネシウム(MgO)を主体とした誘電体の保護膜54が覆っている。55は背面ガラス基板(バックプレート)であり、背面板と呼ばれる。この背面板55上にアドレス電極(表示電極と同様にITOと銀から構成される電極)56,誘電体ガラス層57が設けられ、その上に隔壁(リブ)58、蛍光体層59が設けられており、隔壁58間が放電ガスを封入する放電空間60となっている。
【0011】
前面板51と背面板55の外周部にはフリットガラス(低融点ガラス)を材料とする封止部材を各々塗布し、表示電極52とアドレス電極56とを互いに直交するように対向させ、前面板51と背面板55の相互の位置合わせを行う。この状態で封止部材を焼成し、溶融固着して前面板51と背面板55とを封止する。最後にチップ管(図示せず)より放電空間60を真空排気した後、40kPa〜70kPaのキセノンを含む放電ガスを封入して、チップ管をチップオフし、プラズマディスプレイパネルを完成させる。
【0012】
このプラズマディスプレイパネルでは、前面板51と背面板55の間において、蛍光体層59および隣接する2つの隔壁58で仕切られた空間部が放電空間60となっている。また、隣り合う一対の表示電極52と一本のアドレス電極56が放電空間60をはさんで交叉する領域が、画面表示に係わるセル(図示せず)となる。プラズマディスプレイパネルの駆動時には各セルにおいて、アドレス電極56と、表示電極52の間で放電が開始され、一対の表示電極52同士のグロー放電によって短波長の紫外線(キセノンの共鳴線、波長約147nm)が発生し、蛍光体層59が発光して画面表示がなされる。
【0013】
(保護膜の塗布成膜の検討)
誘電体の保護膜54は、グロー放電によって生ずるキセノンイオンによる誘電体の損傷を防ぐために設けられており、スパッタ耐性がよいMgO(酸化マグネシウム、マグネシア)を主成分としており、電子ビーム蒸着法により形成されている。一般に真空装置を使って成膜する方法にくらべ、塗布(印刷)により成膜する方法は、用いる装置の値段や維持費用が安価になるためコストダウンの有効な手段になる。プラズマディスプレイパネルの誘電体の保護膜54の場合も以前より、導入が試みられてきたが、主に、蒸着膜に比べて密度が低い、膜質が安定しないという理由などから導入が見送られてきた。
【0014】
MgO(酸化マグネシウム、マグネシア)を塗布(印刷)により膜形成する場合は、これまで大きな単結晶を砕いて(削って)小さな粒子にする方法が使われてきたが、粒子サイズのばらつきが大きいという課題があった。近年微細結晶を粒子サイズを揃えて成長させることができるようになり(ナノ粒子10−100nm程度の粒径)、材料としての微細結晶粒子を確保できるようになった。この材料を用い、塗布し、焼成した場合、以前の結晶を砕いた材料を用いる場合にくらべ、格段に平坦性(表面の細かなでこぼこ)や、再現性は向上したが、それでも膜密度は、1.0 g/cm程度と、蒸着膜の3.0 g/cm、単結晶の3.85 g/cmに比べ極端に低い値のままである。実際にプラズマディスプレイパネルを試作した場合の推定寿命は、塗布膜は蒸着膜の1/2−1/4程度に過ぎない。プラズマディスプレイパネルの前面板誘電体の保護膜として塗布膜を実用化するためには、さらなる膜密度の向上が必要である。
【0015】
蒸着膜の断面をSEM(電子顕微鏡)で観察すると、柱状の構造になっていて隙間は比較的少ないが、塗布膜の表面および断面を観察すると、小さな粒子がランダムに重なっていて、隙間が非常に多いことがわかる。図7にこの様子を示す。図7は電子顕微鏡で、蒸着膜、塗布膜の表面を観察したものである。隙間が多く残る状態では、膜密度の向上を期待することは無理である。また、平坦度に関しても蒸着膜にくらべ劣っている。
【0016】
本実施形態は、前述の課題を解決するための手段と装置を提供するものである。プラズマディスプレイパネルに関し、放電電極を被覆する誘電体層の保護層として用いられるMgOを主成分とする保護膜を、塗布(印刷)法を用いて形成する場合に、塗布乾燥後、塗布された保護膜に対し加圧することによって、密度や平坦度を蒸着膜に近いものにする。
【0017】
加圧するとは言っても、一般的に知られる薄膜フィルムのローラによるロールプレス加圧方法をプラズマディスプレイパネルにそのまま適用することは、以下の理由によりできない。すなわち、
・ガラス基板上に形成した薄膜であるため、圧力をかけすぎるとガラスが破損する。圧力が不足しては効果がない。
・下地電極、誘電体によって保護膜の膜厚より大きな凹凸が生じており、通常の方法では一様に圧力をかけることができない。
・MgO微結晶粒子は、各粒子表面間のクーロン力による反発が強く、ただ圧力をかけただけでは隙間なく充填されにくい。
・MgO微結晶粒子は、結晶結合力が強く、外部から力を受けても結晶が壊れにくく変形するのみ。微小化して充填率をあげる仕組みは使えない。
・大面積ではあるが、1回のみ圧力をかけただけでは効果が少ない。
【0018】
従って、以下の構造、仕組みを考案した。
・凹凸があっても圧力を一様にかけられる構造 液体を介して圧力をかける
・圧力を細かく調整できる機構(ガラス基板の破損防止) 液体を使って圧力調整
・粒子を少し移動させて充填率をあげる仕組み 超音波などの振動を利用
・複数のローラを組み合わせて動かす 充填率向上効果を高める
・ローラの動かす方向を複数にする 均一性の向上
(具体例)
以下、「凹凸があっても圧力を一様にかけられる構造」について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施例の1つを説明する図で、ロールプレス加圧を行なうローラ表面の部分を拡大したものである。凹凸があっても圧力を一様にかけるために薄い伸縮性素材(たとえば天然ゴム、シリコンゴム、テフロン(登録商標)など)を用い、内部に充填された液体10(たとえば水)を介して圧力が伝わるように工夫したものである。液体が詰まった小さなゴム風船をいくつもつなげたような構造になっている。保護膜に接するのは薄い膜(たとえば 50−800μm)であるため、保護膜表面の凹凸(おおよそ5−10μm程度)に応じて変形しながら圧力を伝えることができる。加える圧力は、液体の種類や粘度にもよるが、300−2000g/cm程度である。
【0019】
表面は一様ではなく、おおよそ0.5−2mm□程度の細かな凹凸11が形成されている。一様な面を使ってそのまま圧力をかけてしまうと、前面板のガラスに対し直接圧力が伝わりやすく、破損につながりやすい。凹凸を設けることで、保護膜中の粒子の移動を促す目的もある。凹凸11を大面積で形成すると圧力にムラ(周辺と中央部で圧力のかかり方が異なる)を生ずるので、一定面積(たとえば10−100mm□)で強度を確保するためのセル12を構成する。セル12の側面は強度を高めるために膜厚が厚く(たとえば0.5−1.5mm)なっている。セル12は一列に並ぶのではなく、ずらしながら配置される(平面図)。これは、セルの境目部分では実質的に加圧されないので、すべての領域で加圧を行なうためには、セルの境目部分が重複しない構造が必要になるためである。
【0020】
図2は、本発明の2番目の実施例である。図2では、ロールプレス加圧を行なうローラ表面の部分に、凹凸があっても圧力を一様にかけるために、薄い伸縮性素材(たとえば天然ゴム、シリコンゴム、テフロン(登録商標)など)を用いへら14(断面が長方形の板状のもの)を多数集積している。一様な面を使ってそのまま圧力をかけてしまうと、前面板のガラスに対し直接圧力が伝わりやすく、破損につながりやすい。図2では、保護膜に接するのはへらであるため、直接的に圧力が伝わるのではなく、適度な圧力となって前面板保護膜に圧力がかかる。また、その際に、凸凹があってもその凸凹に応じて圧力がかかることになる。へらの寸法は、断面が100−300μmx500−1500μm、長さが1−5mm程度である。
【0021】
へら14を大面積で形成すると圧力にムラ(周辺と中央部で圧力のかかり方が異なる)を生ずるので、一定面積(たとえば10−100mm□)で強度を確保するためのセル12を構成する。セル12の側面は強度を高めるために膜厚が厚く(たとえば0.5−1.5mm)なっている。セル12は一列に並ぶのではなく、ずらしながら配置される(平面図)。これは、セルの境目部分では実質的に加圧されないので、すべての領域で加圧を行なうためには、セルの境目部分が重複しない構造が必要になるためである。
【0022】
引き続き「圧力を細かく調整できる機構」について説明する。同じく図1において、ロールプレス加圧を行なうローラ表面の部分には、蛇腹13が設けられている。蛇腹13があることにより、凹凸11やセル12に過大な圧力がかかることを防止しつつ、前面板に対する距離を圧力で調整する機構を実現している。すなわち、内部に充填された液体の圧力が高くなると、蛇腹13は伸び、前面板に対し、凹凸11はより密着することになる。
【0023】
もうひとつの実施例である図2についても、蛇腹13の仕組みはまったく同様に機能する。図2において、ロールプレス加圧を行なうローラ表面の部分には、蛇腹13が設けられている。蛇腹13があることにより、へら14やセル12に過大な圧力がかかることを防止しつつ、前面板に対する距離を圧力で調整する機構を実現している。すなわち、内部に充填された液体の圧力が高くなると、蛇腹13は伸び、前面板に対し、へら14はより密着することになる。
【0024】
引き続き「粒子を少し移動させて充填率をあげる仕組み」について説明する。図1および図2において、ロールプレス加圧を行なうローラ表面に充填された液体10を介して、超音波、音波などの振動を加えることによって、保護膜中の粒子の移動を促進する。振動周波数、振動強度は、密度がより大きくなる領域を選択するのが効果的である。
【0025】
引き続き「複数のローラを組み合わせて動かす」、「ローラの動かす方向を複数にする」ことについて説明する。図3は、本発明のロールプレス加圧を行なうローラをどのように動かすのかを説明する図で、前面板31と加圧ローラ32が図示されている。セル12構造を採用しているため、セルとセルの境界部分によって、1回ローラを動かしただけでは加圧されない領域ができてしまうため、複数回の加圧が必要になる。また回転方向による依存性を解消すうためには、少なくとも2方向で動かす必要がある。
【0026】
加圧ローラの寸法は、部品点数や在庫管理を考えれば、縦用と横用、パネルサイズなどで異なる寸法を用意するのではなく、1つで済ます方が経済的である。したがって、本実施の形態では、複数の加圧ローラを組み合わせて加圧ローラの数を増やすことで、縦用と横用、異なるパネルサイズに対応している。
【0027】
通常、加圧ローラは、直接前面板に接するように配置されるが、塗布された保護膜は乾燥しただけなので、脱落しやすく、加圧作業中にローラに付着することがある。いったん脱落、付着した粒子は、表面の凸凹の原因にもなるし、パターン不良の原因にもなりかねないので、付着を防止する方法が必要になる場合がある。本実施の形態では、前面板と加圧ローラの間に、薄いテフロン(登録商標)シート(厚さ20−200μm程度)を、前面板全面に引いてその上から加圧ローラを用いて加圧することも可能である。その場合は、圧力が伝わりにくくなるので、シートを使わない場合に比べて、液体の圧力を高く設定する必要がある。液体の種類や粘度にもよるが、500−5000g/cm程度である。
【0028】
通常、加圧ローラ表面で圧力をかけるために用いられる液体は常温で用いるが、液体を加熱することによって、加圧効果を高めることができる。もちろん加圧ローラ表面などに用いられている材料の耐熱温度を超えることはできないので、耐熱材料を用いる必要がある。一般的には、焼成温度より十分低い50から150℃程度が扱いやすく、効果が見込める。
【0029】
次に、本発明の実施の形態の製造工程の流れについて説明する。図4は、本発明の実施の形態の工程の流れを説明する図である。保護膜形成工程は、
ステップ1 絶縁性結晶微粒子を含む流動性材料を作成
ステップ2 流動性材料を基板上に塗布し塗膜形成
ステップ3 塗膜を乾燥
ステップ4 塗膜に圧力をかける
ステップ5 焼成(400から500℃)
という順番になる。すでに説明したのは、ステップ4の「塗膜に圧力をかける」工程である。ステップ2「流動性材料を基板上に塗布し塗膜形成」の工程においても、流動性材料に超音波などの振動を加えることによって、最終的な膜密度の向上を図ることができる。ただし、流動性材料によって効果の度合いが異なる。
【0030】
なお、本発明では、前後のステップの内容について、限定を設ける必要はなく、ここに記載したステップの内容に、ステップが追加されたり、削除されたとしても、「塗膜に圧力をかける」という工程としてなんら制限を受けることなく適用可能である。
【0031】
最後にまとめとして、従来例と本実施の形態の違いを、図5を用いて説明する。従来例では、10から100nm程度の粒径サイズの単結晶 MgOを用いて、塗布法により形成した保護膜を形成したものであるが、表面に凹凸が多く、膜密度が0.8から1.3g/cm程度と低いのに対し、本発明の実施例では、まったく同じ粒径サイズを使用した塗布液を用いても、保護膜表面の平坦性が向上し、加圧処理を行なわない場合と比べて膜密度もおおよそ1.2から1.8倍ほど高くなる。膜密度と寿命の関係はそれほど単純ではないが、製造方法や原材料がほぼ同じ、平坦度もほぼ同等という場合には、膜密度が高くなるほど寿命が長くなると言う関係があることを実験的に確認している。蒸着膜(密度 およそ3.0g/cm)と同等の寿命を、同じ膜厚の塗布膜で実現するために必要な密度は、推定によりおおよそ2.5−3.0g/cmが必要になるが、この程度の膜密度を塗布方法により実現するのは極めて困難である。しかし、膜厚を1.5から2倍ほど厚くする場合は、1.8から2.5g/cmで同等な寿命にすることができた。単純に加圧処理を行なわない場合行なう場合とを比較すると加圧処理により、おおよそ2から3倍ほどの寿命向上が見込まれる。
【0032】
(実施の形態の特徴)
上記実施の形態において特徴的な部分を以下に列記する。なお、上記実施形態に含まれる発明は、以下に限定されるものではない。
【0033】
[F1]
誘電体保護膜の構成材料の微結晶を含む溶媒を前面板に塗布する塗布ステップと、
前記前面板を乾燥する乾燥ステップと、
乾燥後、ローラを用いて、前記微結晶を含む膜の表面の凹凸に液体を介して圧力をかける加圧ステップと、
前記微結晶を含む膜を焼成する焼成ステップと、
を備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【0034】
[F2]
前記塗布ステップに用いる微結晶の平均粒径が、10nmから100nmである、
F1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【0035】
[F3]
1回の塗布ステップ直後の前記微結晶を含む膜の膜厚が3μmから10μmである、
F2に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【0036】
[F4]
前記塗布ステップにおいて、塗布する際に振動を溶媒に印加する
F1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【0037】
[F5]
加圧ステップに用いる液体の温度は、周辺の温度よりも高い、
F1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【0038】
[F6]
前記ローラの表面に、微細な凹凸が形成されている、
F1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【0039】
[F7]
前記ローラの表面に、微細なへらが形成されている、
F1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【0040】
[F8]
前記加圧ステップにおいて、前記微細な凹凸を介して前記膜に振動が伝えられる、
F6に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【0041】
[F9]
前記加圧ステップにおいて、前記微細なへらを介して前記膜に振動が伝えられる、
F7に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【0042】
[F10]
前記加圧ステップにおいて、シートを介して加圧する、
F6に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【0043】
[F11]
前記加圧ステップにおいて、シートを介して加圧する、
F7に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【0044】
[F12]
交流型ガス放電パネルの前面板に形成された誘電体保護膜が、焼成後、粒径10から
100nmの微細結晶粒子からなり、膜密度が1.2から2.5g/cm、膜厚が1.5から3.0μmであるプラズマディスプレイパネル。
【0045】
[F13]
ローラ本体と、
前記ローラ本体の表面に形成された微細な凹凸と、
前記微細な凹凸の内部に充填された液体と、
を備える加圧装置。
【0046】
[F14]
ローラ本体と、
前記ローラ本体の表面に形成された微細なへらと、
前記微細なへらの根元部分の内部に充填された液体と、
を備える加圧装置。
【0047】
[F15]
ローラ本体と、
前記ローラ本体の表面に形成された液体を内部に充填する機構及び蛇腹構造と、
前記機構の内部に充填された液体と、
前記ローラ本体の表面に形成され、前記液体の圧力によって伸び縮み可能な蛇腹構造と、
を備える加圧装置。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法、加圧装置等に適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 液体
11 凹凸
12 セル
13 蛇腹
14 へら
31 前面板
32 加圧ローラ
51 前面ガラス
52 表示電極
53 誘電体層
54 誘電体保護層
55 背面ガラス基板
56 アドレス電極
57 誘電体ガラス層
58 隔壁(リブ)
59 蛍光体層
60 放電空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体保護膜の構成材料の微結晶を含む溶媒を前面板に塗布する塗布ステップと、
前記前面板を乾燥する乾燥ステップと、
乾燥後、ローラを用いて、前記微結晶を含む膜の表面の凹凸に液体を介して圧力をかける加圧ステップと、
前記微結晶を含む膜を焼成する焼成ステップと、
を備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項2】
前記塗布ステップに用いる微結晶の平均粒径が、10nmから100nmである、
請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項3】
1回の塗布ステップ直後の前記微結晶を含む膜の膜厚が3μmから10μmである、
請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項4】
前記塗布ステップにおいて、塗布する際に振動を溶媒に印加する
請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項5】
加圧ステップに用いる液体の温度は、周辺の温度よりも高い、
請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項6】
前記ローラの表面に、微細な凹凸が形成されている、
請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項7】
前記ローラの表面に、微細なへらが形成されている、
請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項8】
前記加圧ステップにおいて、前記微細な凹凸を介して前記膜に振動が伝えられる、
請求項6に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項9】
前記加圧ステップにおいて、前記微細なへらを介して前記膜に振動が伝えられる、
請求項7に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項10】
前記加圧ステップにおいて、シートを介して加圧する、
請求項6に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項11】
前記加圧ステップにおいて、シートを介して加圧する、
請求項7に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項12】
交流型ガス放電パネルの前面板に形成された誘電体保護膜が、焼成後、粒径10か
ら100nmの微細結晶粒子からなり、膜密度が1.2から2.5 g/cm、膜厚が1.5から3.0μmであるプラズマディスプレイパネル。
【請求項13】
ローラ本体と、
前記ローラ本体の表面に形成された微細な凹凸と、
前記微細な凹凸の内部に充填された液体と、
を備える加圧装置。
【請求項14】
ローラ本体と、
前記ローラ本体の表面に形成された微細なへらと、
前記微細なへらの根元部分の内部に充填された液体と、
を備える加圧装置。
【請求項15】
ローラ本体と、
前記ローラ本体の表面に形成された液体を内部に充填する機構及び蛇腹構造と、
前記機構の内部に充填された液体と、
前記ローラ本体の表面に形成され、前記液体の圧力によって伸び縮み可能な蛇腹構造と、
を備える加圧装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図1】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−159520(P2011−159520A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20862(P2010−20862)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】