プラズマディスプレイパネルの製造方法
【課題】封着中の放電遅れの増大を抑制できるPDPの製造方法を提供する。
【解決手段】
表面に走査電極22と維持電極23とが設けられた前面板20と、表面に複数のリブ34とアドレス電極32とリング状の封着部材39とが設けられた背面板30とを、互いに対面させた状態で、真空槽内に配置する配置工程と、真空槽内を真空排気しながら、封着部材39を加熱して軟化させた後、冷却して固化させ、前面板20と背面板30とを固定する封着工程とを有するPDPの製造方法であって、配置工程の後、封着工程の前に、真空槽内に放電ガスとは異なる不活性ガスを導入して、前面板20と背面板30との間の放電空間50の圧力を増大させる不活性ガス導入工程が設けられ、封着工程の後に、放電空間50を真空排気して放電空間50の圧力を減少させた後、放電空間50に放電ガスを導入する封止工程が設けられている。
【解決手段】
表面に走査電極22と維持電極23とが設けられた前面板20と、表面に複数のリブ34とアドレス電極32とリング状の封着部材39とが設けられた背面板30とを、互いに対面させた状態で、真空槽内に配置する配置工程と、真空槽内を真空排気しながら、封着部材39を加熱して軟化させた後、冷却して固化させ、前面板20と背面板30とを固定する封着工程とを有するPDPの製造方法であって、配置工程の後、封着工程の前に、真空槽内に放電ガスとは異なる不活性ガスを導入して、前面板20と背面板30との間の放電空間50の圧力を増大させる不活性ガス導入工程が設けられ、封着工程の後に、放電空間50を真空排気して放電空間50の圧力を減少させた後、放電空間50に放電ガスを導入する封止工程が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)は表示装置の分野で広く用いられており、近年では、大画面で高品質かつ低価格のPDPが要求されている。
一般にPDPはガラス基板上に維持電極と走査電極とが形成されたフロントパネル(前面板)と、ガラス基板上にアドレス電極が形成されたリアパネル(背面板)とが貼り合わされて構成された3電極面放電型が主流となっている。
【0003】
前面板と背面板との間には放電ガスが封入されており、走査電極とアドレス電極との間に電圧を印加して放電を発生させ、走査電極と維持電極との間に維持電圧を印加して封入された放電ガスをプラズマ化させると、プラズマから紫外線が放射される。紫外線が蛍光体に照射されると、蛍光体は励起して可視光を放出する。
【0004】
維持電極上と走査電極上には、誘電体膜が形成され、誘電体膜上には、保護膜が形成されている。従来、この保護膜にはMgOが用いられている。
放電を維持するために、走査電極と維持電極に交流電圧を印加すると、放電ガスのプラズマ化により発生した陽イオンが走査電極側と維持電極側に入射するが、走査電極と維持電極とそれらの電極上の誘電体膜は保護膜によって陽イオンから保護されている。
【0005】
PDPの放電時の電圧(放電電圧)は、保護膜の二次電子放出係数に依存することが知られており、保護膜の二次電子放出係数が大きいほど(仕事関数が小さく電子を放出しやすいほど)、放電電圧が低電圧化することが知られている。
【0006】
特許文献1では、仕事関数がMgOよりも小さいアルカリ土類金属の酸化物を保護膜に用いて、放電電圧を低電圧化することが提案されている。
しかし、アルカリ土類金属酸化物はH2O、CO、CO2等の不純物ガスに対して極めて活性であり、パネルを大気に曝すと、大気中に含まれるこれらの不純物ガスと容易に反応し、水酸化物、炭酸塩が形成されてしまう。
そのため、エージング工程が非常に長くなってしまい、もしくはエージングしても放電電圧が低下しないという問題が知られている(非特許文献1参照)。
【0007】
特許文献2、3では、保護膜形成後にパネルを加熱して、保護膜から不純物ガスを脱離させる技術が開示されている。
特許文献4、5では、保護膜形成後封着前まで、パネルを大気に曝さずに不活性ガス雰囲気中に置き、放電ガス雰囲気中で封着する技術が開示されている。しかし、不活性ガス雰囲気の圧力が具体的に開示されておらず、不活性ガス雰囲気の圧力を高くすると、不活性ガス雰囲気に含まれる不純物ガスの分圧も高くなり、保護膜に不純物ガスが吸着してしまうという問題があった。また、封着工程ではパネルが収容された真空槽内に高価な放電ガスを充満させるため、コストが高いという問題があった。
【0008】
特許文献6では、パネルを大気に曝さず、一貫して真空雰囲気中に置いて、PDPを製造する真空一貫装置が提案されている。この装置によってPDPを製造すれば、保護膜を大気に曝す必要がないため、保護膜表面への不純物ガスの吸着を最小限に抑えることができ、活性化工程を行わなくても、エージング時間を非常に短くできることが報告されている(非特許文献2参照)。
【0009】
また、真空一貫装置を用いて作成したPDPの特性としては、CaO、SrO、BaOといったアルカリ土類金属を保護膜として用いたものは、MgOを保護膜として用いたものよりも放電電圧が低下し、Xe分圧を高くすることで高発光効率を得られることが報告されている。
【0010】
ところで、PDPの画像表示には、1フィールドの映像を複数のサブフィールド(S.F.)に分割する階調表現方式(例えばフィールド内時分割表示方式)が用いられている。
時分割表示方式の重要な研究課題には「放電遅れ」の防止・抑制が挙げられる。ここで「放電遅れ」とは、駆動パルスの幅を狭くして高速駆動を行う際に、パルスの立ち上がりから遅れて放電が行われる現象を指す。「放電遅れ」が顕著になると、印加されたパルス幅内で放電が終了する確率が低くなり、本来点灯すべきセルに書き込み等ができずに点灯不良が生じてしまう。高精細なセル構造において、放電遅れの問題は高速駆動を行う場合に特に顕在化するおそれがあり、早急な対策が望まれている。
【0011】
放電遅れ特性に関しては、真空一貫装置を用いて10-6Pa〜10-5Paの真空雰囲気中で封着したMgO保護膜のPDPは、従来の大気中で封着した、同じMgO保護膜のPDPと比較して、放電遅れを約半分程度に短縮できることが報告されている(非特許文献3参照)。
しかしながら、真空雰囲気で封着したPDPであっても、封着後に測定した放電遅れは、保護膜成膜直後封着前に測定した放電遅れよりも増大してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−231129号公報
【特許文献2】特開2000−11888号公報
【特許文献3】特開2006−261047号公報
【特許文献4】特開2006−278148号公報
【特許文献5】特開2007−317488号公報
【特許文献6】特開2000−156160号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】T.Shinoda,H.Uchiike and S.Andoh、”Low−voltage operated AC plasma−display panels”、IEEE Transactions on Electron Devices、1979、vol.ED−26、p.1163
【非特許文献2】K.Uchida,G.Uchida,H.Kajiyama,T.Shinoda、”PDP Manufacturing System under Vacuum Condition”、15th International Display Workshops予稿集、2008、PDP5−3
【非特許文献3】T.Yano,G.Uchida,K.Uchida,N.Awaji,T.Shinoda and H.Kajiyama,9th Int.meeting on Information Display予稿集、2009、pp.28−30
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、封着中の放電遅れの増大を抑制できるPDPの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、放電遅れ増大の原因は保護膜表面の汚染であると考え、真空雰囲気中で封着すると、空気中のH2OやCO2の吸着を低減でき、大気中で封着するよりは保護膜表面の汚染を低減できるものの、封着部材(低融点ガラス)からの放出ガスが多くなり、また圧力が低いために保護膜表面が放出ガスの影響を強く受けることになると推測し、封着時に不活性ガスを導入し、封着中の圧力を高くすることにより、上記目的を達成できることを見出した。
【0016】
係る知見に基づいて成された本発明は、表面に走査電極と維持電極とが互いに平行に離間して設けられた前面板と、表面に複数のリブが設けられ、前記リブ間の凹部の底面にはアドレス電極が設けられ、複数の前記リブの周囲を取り囲んでリング状の封着部材が設けられた背面板とを、互いに対面させた状態で、真空槽内に配置する配置工程と、前記真空槽内を真空排気しながら、前記封着部材を加熱して軟化させた後、冷却して固化させ、前記前面板と前記背面板とを固定する封着工程とを有し、前記凹部のうち、所望の前記凹部を、前記アドレス電極と前記走査電極との間に印加するアドレス電圧によって放電領域として選択し、前記走査電極と前記維持電極との間に維持電圧を印加して前記放電領域に放電を発生させ、放電ガスをプラズマ化し、プラズマから放出された紫外線を、前記凹部に配置された蛍光体に入射させて、前記蛍光体を発光させるプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記配置工程の後、前記封着工程の前に、前記真空槽内に前記放電ガスとは異なる不活性ガスを導入して、前記前面板と前記背面板との間の放電空間の圧力を増大させる不活性ガス導入工程が設けられ、前記封着工程の後に、前記放電空間を真空排気して前記放電空間の圧力を減少させた後、前記放電空間に前記放電ガスを導入する封止工程が設けられたプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
本発明はプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記封着工程では、前記真空槽内への前記不活性ガスの導入を継続して、前記真空槽内の圧力を10-2Pa以上102Pa以下に維持するプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
本発明はプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記配置工程の前に、前記前面板の前記走査電極上と前記維持電極上に、前記プラズマから前記走査電極と前記維持電極とを保護する保護膜を形成する保護膜形成工程が設けられ、
前記保護膜形成工程の後、前記配置工程の前までは、前記前面板を100Pa以下の不活性ガス雰囲気中に保持するプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
本発明はプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記不活性ガス導入工程の前に、前記真空槽内の圧力を10-3Pa以下に真空排気する封着前排気工程が設けられたプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
本発明はプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記封着工程では、前記真空槽内のH2O、CO2の分圧をそれぞれ0.1Pa以下に維持するプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
保護膜の成膜直後の放電遅れ特性を封着後も維持することができるので、保護膜材料の特性を最大限に発揮することができる。
また、保護膜材料によっては、従来、放電遅れを小さくするために、初期電子放出特性が高い微粒子を保護膜表面に散布する方法が用いられていたが、この方法を用いなくても、放電遅れの増大を抑制できるため、高精細なセル構造のPDPを駆動できる可能性があり、PDPの製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】PDPの内部構成図
【図2】PDPの製造装置の内部構成図
【図3】(a)蒸着室内に搬入される処理対象物の内部側面図 (b)前面板の内部側面図
【図4】背面板の内部側面図
【図5】(a)、(b):前面板と背面板とが位置合わせされた状態を説明するための図
【図6】前面板と背面板とが封着された状態を説明するための図
【図7】放電遅れの測定に用いた波形を説明するための図
【図8】放電遅れの測定に用いたPDPの製造装置の内部構成図
【図9】実施例1と比較例1の測定結果を示すグラフ
【図10】比較例1と比較例2の測定結果を示すグラフ
【図11】実施例2で測定した封着圧力と放電遅れとの関係を示すグラフ
【図12】実施例2で測定した封着室内のN2、H2O、CO2の分圧の関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0019】
<PDPの構造>
まず、PDPの構造を説明する。図1はPDP10の内部構成図である。
PDP10は、前面板20と背面板30とを有している。
【0020】
前面板20は、第一のガラス基板21を有している。第一のガラス基板21の表面には、帯状の走査電極22と維持電極23とが、互いに平行に向けられて、交互に離間して配置されている。
【0021】
走査電極22の表面と維持電極23の表面は第一の誘電体膜24によって覆われており、第一の誘電体膜24の表面には保護膜25が配置されている。
背面板30は、第二のガラス基板31を有している。第二のガラス基板31上には、帯状のアドレス電極32が互いに平行に離間して配置されており、隣り合う二つのアドレス電極32の間は、第二の誘電体膜37によって覆われている。
【0022】
第二の誘電体膜37の表面のうち隣り合う二つのアドレス電極32の間の位置には、アドレス電極32と平行に細長い絶縁性材料の凸状であるリブ34が一本ずつ配置されており、隣り合う二つのリブ34の間に形成された直線状の凹部36には、蛍光体35が配置されている。
【0023】
前面板20と背面板30とは、走査電極22と維持電極23の延びる方向が、アドレス電極32の延びる方向に対して直角に向けられた状態で、走査電極22と維持電極23とが形成された面と、アドレス電極32が形成された面とが互いに平行に対面して配置されている。
【0024】
前面板20と背面板30との間の放電空間50には放電ガスが封入されており、アドレス電極32と走査電極22との間に初期電圧を印加し、アドレス電極32と走査電極22とで挟まれた部分に初期放電を発生させ、次いで、一本の走査電極22に対して点灯すべき箇所を通るアドレス電極32にアドレス電圧を印加し、リブ34間の凹部36の点灯すべき箇所にアドレス放電を発生させることで、凹部36内のアドレス放電が発生した位置を、放電領域として選択する。
【0025】
次に、走査電極22と維持電極23の間に維持電圧を印加すると、凹部36内の放電領域、即ち、アドレス電極32で選択された点灯すべき箇所で放電が発生してプラズマが形成される。プラズマから紫外線が放射され、蛍光体35に入射すると、選択された場所の蛍光体35が可視光で発光する。赤色、緑色、又は青色のうちの一色で発光する蛍光体35を、別々の凹部36に一色ずつ配置すると、カラー表示を行うことができる。
保護膜25は走査電極22上と維持電極23上に配置され、プラズマによって惹起されるスパッタリング現象から走査電極22と維持電極23とを保護している。
【0026】
<PDPの製造方法>
次に、本発明のPDPの製造方法を説明する。
図2はPDPの製造装置40の内部構成図である。
【0027】
PDPの製造装置40は、蒸着室42と、前面板冷却室43と、プリベーク室44と、背面板冷却室45と、搬送室46と、位置合わせ室47と、封着室48と、封止室49とを有している。
蒸着室42は前面板冷却室43に接続され、プリベーク室44は背面板冷却室45に接続されている。
前面板冷却室43と背面板冷却室45と位置合わせ室47と封着室48は搬送室46にそれぞれ接続されており、封止室49は封着室48に接続されている。
【0028】
各室42〜49にはそれぞれ真空排気装置62〜69が接続されており、各室42〜49の間に設けられた真空バルブを閉じて真空排気装置62〜69を動作させると、各室42〜49内はそれぞれ独立に真空排気され、真空雰囲気が形成されるようになっている。
【0029】
ここでは、各室42〜49内は真空雰囲気にされ、真空排気装置62〜69が動作して継続して真空排気されている。
なお、各室42〜49の間で、基板等を移動させる場合には、真空バルブは開けられ、移動後に閉じられる。
【0030】
(保護膜形成工程)
図3(a)の符号12は、蒸着室42内に搬入される処理対象物を示している。走査電極22と維持電極23とは、第一のガラス基板21上に設けられた帯状の透明導電膜からなる透明配線27と、透明配線27上の一部領域に、透明配線27と平行に設けられた線状のバス電極28とで構成されている。走査電極22の表面と、維持電極23の表面と、走査電極22と維持電極23との間には、第一の誘電体膜24が形成されている。第一の誘電体膜24は処理対象物12の表面に露出している。
【0031】
図2を参照し、蒸着室42内の真空雰囲気を維持しながら、処理対象物12を蒸着室42内に搬入する。蒸着室42内には、保護膜材料が充填されたハース(材料容器)が配置されている。ここでは保護膜材料にMgOが用いられるが、保護膜材料はMgOに限定されず、CaO又はSrCaOを用いることもできる。
【0032】
ハース内の保護膜材料に電子銃から電子線を照射して加熱し、蒸気を発生させ、図3(b)に示すように、第一の誘電体膜24の表面に蒸気を到達させて保護膜25(ここではMgO膜)を形成すると、前面板20が得られる。
次いで、得られた前面板20を前面板冷却室43内に移動させ、前面板冷却室43内で冷却する。
【0033】
搬送室46内には不図示の基板搬送ロボットが配置されている。基板搬送ロボットを動作させて、冷却された前面板20を前面板冷却室43内から搬送室46内を通って、位置合わせ室47内に移動させる。
【0034】
(プリベーク工程)
図4は、プリベーク室44内に搬入される背面板30の内部側面図である。第二のガラス基板31上には、リブ34の周囲を取り囲んで、リング状の封着部材39が配置されている。封着部材39の材質は低融点ガラスであり、低融点ガラスの軟化する温度はここでは470℃である。
第二のガラス基板31のうち、封着部材39のリングの内側には貫通孔38が設けられている。
【0035】
図2を参照し、プリベーク室44内の真空雰囲気を維持しながら、背面板30をプリベーク室44内に搬入する。プリベーク室44には、背面板30を加熱するプリベーク用加熱装置が設けられている。
プリベーク室44内を真空排気しながら、プリベーク用加熱装置を動作させて、背面板30を加熱し、封着部材39の脱ガスを行う。
【0036】
脱ガスをされた背面板30を背面板冷却室45内に移動させ、背面板冷却室45内で冷却する。
次いで、基板搬送ロボットを動作させて、冷却された背面板30を背面板冷却室45内から搬送室46内を通って、位置合わせ室47内に移動させる。
【0037】
(位置合わせ工程)
位置合わせ室47には前面板20と背面板30とを位置合わせする位置合わせ装置が設けられている。図5(a)に示すように、前面板20の保護膜25が露出する表面と、背面板30のリブ34や封着部材39が配置された面とを対面させた状態で、前面板20と背面板30との位置合わせを行った後、位置合わせされた状態を維持しながら、前面板20と背面板30とを互いに近接させ、封着部材39の先端を前面板20に密着させる(図5(b)参照)。
【0038】
ここでは、位置合わせされた状態では、保護膜25は、封着部材39のリングの内側に配置されており、封着部材39の先端は、保護膜25の周囲に露出する第一のガラス基板21の表面に接触する。
【0039】
(配置工程)
次いで、基板搬送ロボットを動作させて、密着された前面板20と背面板30とを、互いに位置合わせされた状態を維持しながら、位置合わせ室47内から搬送室46内を通って、封着室48内に搬入する。
封着室48には、内部に放電ガスとは異なる不活性ガスを導入する不活性ガス導入装置71と、封着部材39を加熱する不図示の封着用加熱装置とが設けられている。
【0040】
(封着前排気工程)
封着室48の真空排気装置68は、内部に気体分子を吸着する気体溜め込み式ポンプ(ここではクライオポンプ)68aと、吸気口から気体分子を吸い込み、排気口から外部に押し出す気体輸送式ポンプ(ここではターボ分子ポンプ)68bとを有している。
【0041】
封着室(真空槽)48内にはあらかじめ真空雰囲気が形成され、クライオポンプ68aとターボ分子ポンプ68bとを動作させて、真空排気が継続されている。不活性ガス導入前の封着室48内の圧力は10-3Pa以下の圧力が好ましい。封着室48内の圧力が10-3Paより大きいと、不活性ガス導入後の不純物ガスの分圧制御が困難だからである。
なお、封着前排気工程は、後述する不活性ガス導入工程の前であれば、配置工程の前でもよいし、配置工程の後でもよい。
【0042】
(不活性ガス導入工程)
クライオポンプ68aを停止させ、ターボ分子ポンプ68bの動作を継続しながら、不活性ガス導入装置71から、封着室48内に不活性ガスを導入すると、導入された不活性ガスは封着室48内に拡散し、封着室48内の圧力が上昇する。
【0043】
ここでは不活性ガスにN2ガスを用いるが、不活性ガスは保護膜25と反応しないガスであればN2ガスに限定されず、N2ガスとO2ガスとの混合ガス(乾燥空気)やArガスでもよい。不活性ガスに放電ガスよりも安価なガスを用いれば、放電ガスを用いるよりもコストを低減できるため好ましい。
以後、不活性ガスの導入を継続して、封着室48内を10-3Paより大きい所定の圧力に維持する。
【0044】
後述するように、封着室48内の圧力を増加させると、封着部材39からの不純物ガスの放出量を低減できる一方、不活性ガスに含まれるH2O、CO2等の分圧も増加するため、不活性ガス導入中の封着室48内の圧力は10-2Pa以上102Pa以下が好ましい。
また、封着室48内のH2O、CO2の分圧は0.1Pa以下に維持するのが好ましい。
【0045】
クライオポンプ68aを停止させる理由は、クライオポンプ68aはターボ分子ポンプ68bより排気コンダクタンスが大きく、封着室48内を10-2Pa以上102Pa以下の圧力に制御することが困難だからである。
【0046】
図5(b)を参照し、前面板20と背面板30との間の放電空間50は、不活性ガス導入前は真空雰囲気にされており、封着室48内に拡散した不活性ガスは、封着部材39が溶けて前面板20と背面板30とが互いに接着するまでは、重ねられた前面板20と背面板30との間の隙間55と、背面板30の貫通孔38を通って、放電空間50に流入し、放電空間50の圧力が増大する。
【0047】
(封着工程)
次いで、図6を参照し、先端に環状のチップ管用接着部材52が設けられたチップ管51の先端を、第二のガラス基板31の封着部材39が配置された面とは逆側の面(以下裏面と呼ぶ)に向かって押しつけ、チップ管用接着部材52を、第二のガラス基板31の裏面に、貫通孔38の開口の周囲を取り囲んで接触させる。
チップ管用接着部材52の材質はここでは封着部材39と同じ低融点ガラスである。
【0048】
前面板20と背面板30とを密着させる方向に押圧し、チップ管51を第二のガラス基板31の裏面に向かって押圧しながら、第一、第二のガラス基板21、31を加熱する。ここでは470℃まで1時間で加熱後、470℃で20分間保持する。
封着部材39は第一、第二のガラス基板21、31からの熱伝導により加熱されて軟化する。またチップ管用接着部材52は第二のガラス基板31からの熱伝導により加熱されて軟化する。
【0049】
前面板20と背面板30との間の放電空間50は不活性ガスで満たされて、真空雰囲気中より圧力が高くされており、加熱された封着部材39とチップ管用接着部材52とから放電空間50へは不純物ガスが放出されにくくなっている。また、封着部材39とチップ管用接着部材52から放電空間50に不純物ガスが放出されても、保護膜25の表面は不活性ガスで覆われており、保護膜25表面に向かう不純物ガスの分子は不活性ガスの分子と衝突して跳ね返され、保護膜25表面に到達しにくくなっている。
【0050】
封着室48内の真空排気と不活性ガスの導入とは継続されており、封着部材39とチップ管用接着部材52とから封着室48内に放出された不純物ガスは、不活性ガスに押し流されて封着室48の外側に真空排気される。そのため、封着室48内の不純物ガスの分圧は増加しない。
【0051】
封着部材39とチップ管用接着部材52とを軟化させたのち、加熱を停止すると、熱伝導又は熱輻射により熱が失われて、封着部材39とチップ管用接着部材52の温度は低下する。
【0052】
(封止工程)
封着部材39とチップ管用接着部材52の温度がここでは350℃まで低下し、封着部材39とチップ管用接着部材52とが固化したら、図2を参照し、封着室48内への不活性ガスの導入を停止し、クライオポンプ68aの動作を再開して、封着室48内の不活性ガスを真空排気する。ここでは封着室48内を10-6Paの圧力まで真空排気する。
【0053】
図6を参照し、前面板20と背面板30との間の放電空間50内の不活性ガスは、貫通孔38とチップ管51とを通って、封着室48内に放出され、放電空間50には真空雰囲気が形成される。封着室48内に放出された不活性ガスは、真空排気装置68により真空排気される。
【0054】
封着部材39とチップ管用接着部材52とが固化した後は、封着部材39とチップ管用接着部材52とから不純物ガスは放出されない。そのため、真空排気された放電空間50に不純物ガスが入ることはなく、保護膜25が汚染されることはない。
【0055】
固化した封着部材39の接着力によって、前面板20と背面板30とが互いに固定される。また、固化したチップ管用接着部材52の接着力によって、第二のガラス基板31とチップ管51とが互いに固定される。
【0056】
互いに固定された前面板20と背面板30とチップ管51とを封止室49内に移動させる。封止室49では、チップ管51を通って放電空間50に放電ガス(ここではXeガスのモル分率が20%のNeとXeの混合ガス)を導入する。
【0057】
放電ガスを所定の圧力まで導入した後、チップ管51の途中を加熱して封じ切り、放電空間50を外部空間から遮断すると、図1に示すようなPDP10が得られる。
図2を参照し、封着室48と封止室49との間の真空バルブを閉じた状態で、封止室49内を大気圧力にして、PDP10を大気中に取り出す。
【0058】
(PDPの製造方法の別例)
上述のPDPの製造方法では、蒸着室42内で保護膜25を形成して前面板20を得てから、前面板20と背面板30とを位置合わせした状態で封着室48内に搬入するまでの間、前面板20を真空雰囲気中に保持したが、前面板20を100Pa以下の不活性ガス雰囲気中に保持してもよい。
この場合には、前面板冷却室43と、搬送室46と、位置合わせ室47とに、不活性ガス導入装置71と同じ装置を設ければよい。
【0059】
前面板20を100Pa以下の不活性ガス中に保持すると、真空雰囲気中に保持する場合に比べて、封着部材39や蛍光体35からの不純物ガスの放出量を減少でき、また不純物ガスと保護膜25との反応を防ぐことができる。
【実施例】
【0060】
<成膜直後の放電遅れと、封着後の放電遅れとの比較>
(放電遅れの測定方法)
放電遅れの測定には、下記非特許文献4を参考にし、図7に示すような波形を用いた。
【0061】
(非特許文献4)JOURNAL OF APPLIED PHYSICS、2009、105、113304
測定を簡単に説明すると、まず走査電極22と維持電極23に矩形波形を250回印加して放電を繰り返し起こし、電極に電荷をためる。次いで、アドレス期間を想定して2msの休止期間を置いた後、維持パルスVLを印加して放電を起こす。この放電のときに発生するXeの発光(赤外線)をフォトダイオードで検出した。ここまでの流れを1000回繰り返し、1000回の発光のバラつきから、放電遅れを測定した。図7の符号Lは、フォトダイオードの出力を示しており、維持パルスVLを印加してから放電が起こるまでの時間は一定ではなく、バラつきが生じていることが分かる。
【0062】
一般に電極間に放電開始電圧を超過する電位差を印加してから放電が形成されるまでには、ある一定の時間がかかり、この時間を放電遅れという。
遅れの機構から放電遅れは形成遅れと統計遅れの2成分に分類され、形成遅れは、初電子が発生してから放電が形成されるまでの時間と定義され、統計遅れは、電極間に放電開始電圧を超過する電位差を印加してから電子が発生するまでの時間と定義されている。
【0063】
具体的には、維持パルスVLを印加してから最も早く放電が起こったときの放電が起こるまでの時間が形成遅れ(tf)であり、最も早く放電が起こってから、もっとも遅く放電が起こるまでの時間が統計遅れ(ts)である。
以下、「放電遅れ」とは形成遅れ(tf)と統計遅れ(ts)の和(tf+ts)を言う。
【0064】
通常放電遅れは休止時間が長いほど大きくなることが知られている。実際のPDPの駆動では、走査電極22とアドレス電極32の間で放電を起こすアドレス期間の間は、維持電極23と走査電極22では放電が起こらず、休止期間となる。走査電極22とアドレス電極32との間の放電は、走査電極22ごとに順次行っていく。走査電極22が768本ある場合(XGA)には、PDP全体では、1本の走査電極22にかかる時間の768倍の時間がかかることになる。
【0065】
1本の走査電極22に電圧を印加する時間は、目的のセルがすべて点灯するまでの時間が必要であり、放電遅れ以上の時間、電圧を印加する必要がある。これまでのXGA規格のPDPでは、走査電極22の1本あたり2μs程度必要であり、PDP全体では1.5ms(2μs×768)程度であったことが知られている。このことから、今回の測定では休止時間を少し長めに2msとした。
【0066】
また、同様に1本の走査電極22ごとに2μsずつかけると、FHDシングルスキャンでは、1サブフィールドあたり2.2ms(2μs×1080)必要となる。アドレスに要する時間が長くなると、表示にかける時間が減ることになるため、十分な階調が取れなくなってしまう。このため、より高精細なパネルでは、短時間で確実にアドレス放電を起こす必要があり、すなわち放電遅れが小さくなければならない。
【0067】
(PDP製造装置の構造)
図8は放電遅れの測定に用いたPDPの製造装置80の内部構成図である。
このPDPの製造装置80は、蒸着室42と、位置合わせ室47と、封着室48と、封止室49と、第一、第二の搬送室84、85と、第一、第二の搬入出室81、82と、放電評価室83とを有している。
蒸着室42と、位置合わせ室47と、封着室48と、封止室49の構造は、上述の符号40のPDPの製造装置と同じであり、同じ符号を付して示す。
【0068】
第一の搬入出室81と、蒸着室42と、放電評価室83とは、第一の搬送室84に接続され、第二の搬入出室82と、封着室48と、封止室49とは、第二の搬送室85に接続されている。第一、第二の搬送室84、85は位置合わせ室47に接続されている。
各室42、47〜49、81〜85内は真空雰囲気にされ、継続して真空排気されている。
【0069】
(実施例1)
図3(a)に示すような処理対象物12を第一の搬入出室81内に搬入し、第一の搬送室84内を通って蒸着室42内に搬入し、第一の誘電体膜24の表面にMgO保護膜25を形成して、前面板20を得た後、前面板20を第一の搬送室84内を通って位置合わせ室47内に移動させた。
また図4に示すような背面板30を第二の搬入出室82内に搬入し、第二の搬送室85内を通って位置合わせ室47内に移動させた。
【0070】
位置合わせ室47内で前面板20と背面板30とを重ねて、位置合わせした後、位置合わせした状態を維持しながら、前面板20と背面板30とを第二の搬送室85内を通って封着室48内に移動させた。
【0071】
封着室48内を真空排気しながら、封着室48内にN2ガスを導入し、圧力を10Paにした。真空排気とN2ガスの導入を継続して、10Paの圧力を維持しながら、前面板20と背面板30とを470℃まで1時間で加熱した後、470℃で20分保持した。次いで、加熱を停止して、350℃まで冷却した後、N2ガスの導入を停止し、封着室48内を10-6Paの圧力まで真空排気した。
【0072】
次いで、封着した前面板20と背面板30とを第二の搬送室85内を通って封止室49内に移動し、前面板20と背面板30との間の放電空間50に放電ガスを導入して封止し、PDP10を完成させた。
【0073】
完成したPDP10を、第二の搬送室85内と位置合わせ室47内と第一の搬送室84内を順に通って、放電評価室83内に移動させ、上述の測定方法により、放電遅れを測定した。測定結果を図9の符号A1に示す。
【0074】
また、保護膜25をCaO膜又はSrCaO膜に変更して、上述の工程を繰り返し、CaO保護膜、SrCaO保護膜のPDP10の放電遅れを測定した。CaO保護膜、SrCaO保護膜の測定結果を図9の符号A2、A3にそれぞれ示す。
【0075】
(比較例1)
実施例1と同じ工程で保護膜25を形成して前面板20を得た後、前面板20を第一の搬送室84を通って放電評価室83内に移動させ、放電遅れを測定した。MgO保護膜、CaO保護膜、SrCaO保護膜の測定結果を図9、図10の符号B1、B2、B3にそれぞれ示す。
【0076】
図9を参照し、実施例1の測定結果(A1〜A3)を比較例1の測定結果(B1〜B3)と比較すると、N2ガス雰囲気中で封着した場合には、封着後に、MgO保護膜では放電遅れはほとんど増大しなかったことが分かる。またCaO保護膜では放電遅れは0.2μs増大しただけであり、SrCaO保護膜では0.4μs増大しただけであることが分かる。
【0077】
(比較例2)
封着室48では、N2ガスを導入せずに、10-6Pa〜10-5Paの真空雰囲気を維持しながら前面板20と背面板30とを封着し、他の工程は実施例1と同じにして、PDP10を完成させ、放電遅れを測定した。MgO保護膜、CaO保護膜、SrCaO保護膜の測定結果を図10の符号C1、C2、C3にそれぞれ示す。
【0078】
図10を参照し、比較例2の測定結果(C1〜C3)を比較例1の測定結果(B1〜B3)と比較すると、真空雰囲気中で封着した場合には、付着後にMgO保護膜では放電遅れが0.4μs増大し、CaO、SrCaO保護膜では放電遅れが0.7μs増大したことが分かる。
図9、10からは、真空雰囲気中で封着した場合(比較例2)の放電遅れの増加量に比べて、N2ガス雰囲気中で封着した場合(実施例1)の放電遅れの増加量は少ないことが分かる。
【0079】
<封着圧力と放電遅れとの関係>
(実施例2)
実施例1と同じ工程で、SrCaO保護膜25のPDP10を完成させた後、放電遅れを測定することを、封着室48内の封着中の圧力(以下、封着圧力という)を10-6Pa〜104Paの範囲で変更して繰り返した。
なお、10-6Paは、封着室48内にN2ガスを導入しなかったときの圧力であり、上述の比較例2に対応する。
【0080】
図11に測定結果を示す。N2ガスを導入せずに封着圧力を10-6Paにした場合、放電遅れは2.3μsであったが、N2ガスを導入して封着圧力を高くするに従って、PDP10の放電遅れは徐々に低下した。封着圧力が10-2Pa〜102Paで最小になり、その後圧力の上昇に伴って放電遅れは増大したことが分かる。
【0081】
<封着雰囲気中の不純物ガスの分圧>
実施例2において、封着中の封着室48内のN2、H2O、CO2の分圧を四重極質量分析装置(Q−mass)で測定した。
測定したN2、H2O、CO2のイオン電流値を図12に示す。封着圧力が10-2Pa以上ではQ−massでは測定できないため、10-2Pa以下の測定結果を線形近似し、近似値として示した。
【0082】
この測定結果から、N2ガスを導入し、封着圧力を上げていった場合、H2O、CO2の分圧はN2の分圧の1000分の1であったことが分かる。
これにより、実施例2では、封着圧力が10-2Pa〜102Paのとき、H2O、CO2の分圧はそれぞれ10-2Pa以下であったことが分かる。
【0083】
また、封着圧力が102Paより大きいときに、放電圧力の上昇に伴って放電遅れが増大した理由は、封着室48内のH2O、CO2の分圧が10-2Paより大きくなり、H2O、CO2と保護膜25との反応が生じたためであると考えられる。
【符号の説明】
【0084】
10……プラズマディスプレイパネル(PDP)
20……前面板
21……走査電極
22……維持電極
30……背面板
32……アドレス電極
34……リブ
35……蛍光体
36……凹部
39……封着部材
50……放電空間
48……封着室(真空槽)
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)は表示装置の分野で広く用いられており、近年では、大画面で高品質かつ低価格のPDPが要求されている。
一般にPDPはガラス基板上に維持電極と走査電極とが形成されたフロントパネル(前面板)と、ガラス基板上にアドレス電極が形成されたリアパネル(背面板)とが貼り合わされて構成された3電極面放電型が主流となっている。
【0003】
前面板と背面板との間には放電ガスが封入されており、走査電極とアドレス電極との間に電圧を印加して放電を発生させ、走査電極と維持電極との間に維持電圧を印加して封入された放電ガスをプラズマ化させると、プラズマから紫外線が放射される。紫外線が蛍光体に照射されると、蛍光体は励起して可視光を放出する。
【0004】
維持電極上と走査電極上には、誘電体膜が形成され、誘電体膜上には、保護膜が形成されている。従来、この保護膜にはMgOが用いられている。
放電を維持するために、走査電極と維持電極に交流電圧を印加すると、放電ガスのプラズマ化により発生した陽イオンが走査電極側と維持電極側に入射するが、走査電極と維持電極とそれらの電極上の誘電体膜は保護膜によって陽イオンから保護されている。
【0005】
PDPの放電時の電圧(放電電圧)は、保護膜の二次電子放出係数に依存することが知られており、保護膜の二次電子放出係数が大きいほど(仕事関数が小さく電子を放出しやすいほど)、放電電圧が低電圧化することが知られている。
【0006】
特許文献1では、仕事関数がMgOよりも小さいアルカリ土類金属の酸化物を保護膜に用いて、放電電圧を低電圧化することが提案されている。
しかし、アルカリ土類金属酸化物はH2O、CO、CO2等の不純物ガスに対して極めて活性であり、パネルを大気に曝すと、大気中に含まれるこれらの不純物ガスと容易に反応し、水酸化物、炭酸塩が形成されてしまう。
そのため、エージング工程が非常に長くなってしまい、もしくはエージングしても放電電圧が低下しないという問題が知られている(非特許文献1参照)。
【0007】
特許文献2、3では、保護膜形成後にパネルを加熱して、保護膜から不純物ガスを脱離させる技術が開示されている。
特許文献4、5では、保護膜形成後封着前まで、パネルを大気に曝さずに不活性ガス雰囲気中に置き、放電ガス雰囲気中で封着する技術が開示されている。しかし、不活性ガス雰囲気の圧力が具体的に開示されておらず、不活性ガス雰囲気の圧力を高くすると、不活性ガス雰囲気に含まれる不純物ガスの分圧も高くなり、保護膜に不純物ガスが吸着してしまうという問題があった。また、封着工程ではパネルが収容された真空槽内に高価な放電ガスを充満させるため、コストが高いという問題があった。
【0008】
特許文献6では、パネルを大気に曝さず、一貫して真空雰囲気中に置いて、PDPを製造する真空一貫装置が提案されている。この装置によってPDPを製造すれば、保護膜を大気に曝す必要がないため、保護膜表面への不純物ガスの吸着を最小限に抑えることができ、活性化工程を行わなくても、エージング時間を非常に短くできることが報告されている(非特許文献2参照)。
【0009】
また、真空一貫装置を用いて作成したPDPの特性としては、CaO、SrO、BaOといったアルカリ土類金属を保護膜として用いたものは、MgOを保護膜として用いたものよりも放電電圧が低下し、Xe分圧を高くすることで高発光効率を得られることが報告されている。
【0010】
ところで、PDPの画像表示には、1フィールドの映像を複数のサブフィールド(S.F.)に分割する階調表現方式(例えばフィールド内時分割表示方式)が用いられている。
時分割表示方式の重要な研究課題には「放電遅れ」の防止・抑制が挙げられる。ここで「放電遅れ」とは、駆動パルスの幅を狭くして高速駆動を行う際に、パルスの立ち上がりから遅れて放電が行われる現象を指す。「放電遅れ」が顕著になると、印加されたパルス幅内で放電が終了する確率が低くなり、本来点灯すべきセルに書き込み等ができずに点灯不良が生じてしまう。高精細なセル構造において、放電遅れの問題は高速駆動を行う場合に特に顕在化するおそれがあり、早急な対策が望まれている。
【0011】
放電遅れ特性に関しては、真空一貫装置を用いて10-6Pa〜10-5Paの真空雰囲気中で封着したMgO保護膜のPDPは、従来の大気中で封着した、同じMgO保護膜のPDPと比較して、放電遅れを約半分程度に短縮できることが報告されている(非特許文献3参照)。
しかしながら、真空雰囲気で封着したPDPであっても、封着後に測定した放電遅れは、保護膜成膜直後封着前に測定した放電遅れよりも増大してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−231129号公報
【特許文献2】特開2000−11888号公報
【特許文献3】特開2006−261047号公報
【特許文献4】特開2006−278148号公報
【特許文献5】特開2007−317488号公報
【特許文献6】特開2000−156160号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】T.Shinoda,H.Uchiike and S.Andoh、”Low−voltage operated AC plasma−display panels”、IEEE Transactions on Electron Devices、1979、vol.ED−26、p.1163
【非特許文献2】K.Uchida,G.Uchida,H.Kajiyama,T.Shinoda、”PDP Manufacturing System under Vacuum Condition”、15th International Display Workshops予稿集、2008、PDP5−3
【非特許文献3】T.Yano,G.Uchida,K.Uchida,N.Awaji,T.Shinoda and H.Kajiyama,9th Int.meeting on Information Display予稿集、2009、pp.28−30
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、封着中の放電遅れの増大を抑制できるPDPの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、放電遅れ増大の原因は保護膜表面の汚染であると考え、真空雰囲気中で封着すると、空気中のH2OやCO2の吸着を低減でき、大気中で封着するよりは保護膜表面の汚染を低減できるものの、封着部材(低融点ガラス)からの放出ガスが多くなり、また圧力が低いために保護膜表面が放出ガスの影響を強く受けることになると推測し、封着時に不活性ガスを導入し、封着中の圧力を高くすることにより、上記目的を達成できることを見出した。
【0016】
係る知見に基づいて成された本発明は、表面に走査電極と維持電極とが互いに平行に離間して設けられた前面板と、表面に複数のリブが設けられ、前記リブ間の凹部の底面にはアドレス電極が設けられ、複数の前記リブの周囲を取り囲んでリング状の封着部材が設けられた背面板とを、互いに対面させた状態で、真空槽内に配置する配置工程と、前記真空槽内を真空排気しながら、前記封着部材を加熱して軟化させた後、冷却して固化させ、前記前面板と前記背面板とを固定する封着工程とを有し、前記凹部のうち、所望の前記凹部を、前記アドレス電極と前記走査電極との間に印加するアドレス電圧によって放電領域として選択し、前記走査電極と前記維持電極との間に維持電圧を印加して前記放電領域に放電を発生させ、放電ガスをプラズマ化し、プラズマから放出された紫外線を、前記凹部に配置された蛍光体に入射させて、前記蛍光体を発光させるプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記配置工程の後、前記封着工程の前に、前記真空槽内に前記放電ガスとは異なる不活性ガスを導入して、前記前面板と前記背面板との間の放電空間の圧力を増大させる不活性ガス導入工程が設けられ、前記封着工程の後に、前記放電空間を真空排気して前記放電空間の圧力を減少させた後、前記放電空間に前記放電ガスを導入する封止工程が設けられたプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
本発明はプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記封着工程では、前記真空槽内への前記不活性ガスの導入を継続して、前記真空槽内の圧力を10-2Pa以上102Pa以下に維持するプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
本発明はプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記配置工程の前に、前記前面板の前記走査電極上と前記維持電極上に、前記プラズマから前記走査電極と前記維持電極とを保護する保護膜を形成する保護膜形成工程が設けられ、
前記保護膜形成工程の後、前記配置工程の前までは、前記前面板を100Pa以下の不活性ガス雰囲気中に保持するプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
本発明はプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記不活性ガス導入工程の前に、前記真空槽内の圧力を10-3Pa以下に真空排気する封着前排気工程が設けられたプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
本発明はプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記封着工程では、前記真空槽内のH2O、CO2の分圧をそれぞれ0.1Pa以下に維持するプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
保護膜の成膜直後の放電遅れ特性を封着後も維持することができるので、保護膜材料の特性を最大限に発揮することができる。
また、保護膜材料によっては、従来、放電遅れを小さくするために、初期電子放出特性が高い微粒子を保護膜表面に散布する方法が用いられていたが、この方法を用いなくても、放電遅れの増大を抑制できるため、高精細なセル構造のPDPを駆動できる可能性があり、PDPの製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】PDPの内部構成図
【図2】PDPの製造装置の内部構成図
【図3】(a)蒸着室内に搬入される処理対象物の内部側面図 (b)前面板の内部側面図
【図4】背面板の内部側面図
【図5】(a)、(b):前面板と背面板とが位置合わせされた状態を説明するための図
【図6】前面板と背面板とが封着された状態を説明するための図
【図7】放電遅れの測定に用いた波形を説明するための図
【図8】放電遅れの測定に用いたPDPの製造装置の内部構成図
【図9】実施例1と比較例1の測定結果を示すグラフ
【図10】比較例1と比較例2の測定結果を示すグラフ
【図11】実施例2で測定した封着圧力と放電遅れとの関係を示すグラフ
【図12】実施例2で測定した封着室内のN2、H2O、CO2の分圧の関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0019】
<PDPの構造>
まず、PDPの構造を説明する。図1はPDP10の内部構成図である。
PDP10は、前面板20と背面板30とを有している。
【0020】
前面板20は、第一のガラス基板21を有している。第一のガラス基板21の表面には、帯状の走査電極22と維持電極23とが、互いに平行に向けられて、交互に離間して配置されている。
【0021】
走査電極22の表面と維持電極23の表面は第一の誘電体膜24によって覆われており、第一の誘電体膜24の表面には保護膜25が配置されている。
背面板30は、第二のガラス基板31を有している。第二のガラス基板31上には、帯状のアドレス電極32が互いに平行に離間して配置されており、隣り合う二つのアドレス電極32の間は、第二の誘電体膜37によって覆われている。
【0022】
第二の誘電体膜37の表面のうち隣り合う二つのアドレス電極32の間の位置には、アドレス電極32と平行に細長い絶縁性材料の凸状であるリブ34が一本ずつ配置されており、隣り合う二つのリブ34の間に形成された直線状の凹部36には、蛍光体35が配置されている。
【0023】
前面板20と背面板30とは、走査電極22と維持電極23の延びる方向が、アドレス電極32の延びる方向に対して直角に向けられた状態で、走査電極22と維持電極23とが形成された面と、アドレス電極32が形成された面とが互いに平行に対面して配置されている。
【0024】
前面板20と背面板30との間の放電空間50には放電ガスが封入されており、アドレス電極32と走査電極22との間に初期電圧を印加し、アドレス電極32と走査電極22とで挟まれた部分に初期放電を発生させ、次いで、一本の走査電極22に対して点灯すべき箇所を通るアドレス電極32にアドレス電圧を印加し、リブ34間の凹部36の点灯すべき箇所にアドレス放電を発生させることで、凹部36内のアドレス放電が発生した位置を、放電領域として選択する。
【0025】
次に、走査電極22と維持電極23の間に維持電圧を印加すると、凹部36内の放電領域、即ち、アドレス電極32で選択された点灯すべき箇所で放電が発生してプラズマが形成される。プラズマから紫外線が放射され、蛍光体35に入射すると、選択された場所の蛍光体35が可視光で発光する。赤色、緑色、又は青色のうちの一色で発光する蛍光体35を、別々の凹部36に一色ずつ配置すると、カラー表示を行うことができる。
保護膜25は走査電極22上と維持電極23上に配置され、プラズマによって惹起されるスパッタリング現象から走査電極22と維持電極23とを保護している。
【0026】
<PDPの製造方法>
次に、本発明のPDPの製造方法を説明する。
図2はPDPの製造装置40の内部構成図である。
【0027】
PDPの製造装置40は、蒸着室42と、前面板冷却室43と、プリベーク室44と、背面板冷却室45と、搬送室46と、位置合わせ室47と、封着室48と、封止室49とを有している。
蒸着室42は前面板冷却室43に接続され、プリベーク室44は背面板冷却室45に接続されている。
前面板冷却室43と背面板冷却室45と位置合わせ室47と封着室48は搬送室46にそれぞれ接続されており、封止室49は封着室48に接続されている。
【0028】
各室42〜49にはそれぞれ真空排気装置62〜69が接続されており、各室42〜49の間に設けられた真空バルブを閉じて真空排気装置62〜69を動作させると、各室42〜49内はそれぞれ独立に真空排気され、真空雰囲気が形成されるようになっている。
【0029】
ここでは、各室42〜49内は真空雰囲気にされ、真空排気装置62〜69が動作して継続して真空排気されている。
なお、各室42〜49の間で、基板等を移動させる場合には、真空バルブは開けられ、移動後に閉じられる。
【0030】
(保護膜形成工程)
図3(a)の符号12は、蒸着室42内に搬入される処理対象物を示している。走査電極22と維持電極23とは、第一のガラス基板21上に設けられた帯状の透明導電膜からなる透明配線27と、透明配線27上の一部領域に、透明配線27と平行に設けられた線状のバス電極28とで構成されている。走査電極22の表面と、維持電極23の表面と、走査電極22と維持電極23との間には、第一の誘電体膜24が形成されている。第一の誘電体膜24は処理対象物12の表面に露出している。
【0031】
図2を参照し、蒸着室42内の真空雰囲気を維持しながら、処理対象物12を蒸着室42内に搬入する。蒸着室42内には、保護膜材料が充填されたハース(材料容器)が配置されている。ここでは保護膜材料にMgOが用いられるが、保護膜材料はMgOに限定されず、CaO又はSrCaOを用いることもできる。
【0032】
ハース内の保護膜材料に電子銃から電子線を照射して加熱し、蒸気を発生させ、図3(b)に示すように、第一の誘電体膜24の表面に蒸気を到達させて保護膜25(ここではMgO膜)を形成すると、前面板20が得られる。
次いで、得られた前面板20を前面板冷却室43内に移動させ、前面板冷却室43内で冷却する。
【0033】
搬送室46内には不図示の基板搬送ロボットが配置されている。基板搬送ロボットを動作させて、冷却された前面板20を前面板冷却室43内から搬送室46内を通って、位置合わせ室47内に移動させる。
【0034】
(プリベーク工程)
図4は、プリベーク室44内に搬入される背面板30の内部側面図である。第二のガラス基板31上には、リブ34の周囲を取り囲んで、リング状の封着部材39が配置されている。封着部材39の材質は低融点ガラスであり、低融点ガラスの軟化する温度はここでは470℃である。
第二のガラス基板31のうち、封着部材39のリングの内側には貫通孔38が設けられている。
【0035】
図2を参照し、プリベーク室44内の真空雰囲気を維持しながら、背面板30をプリベーク室44内に搬入する。プリベーク室44には、背面板30を加熱するプリベーク用加熱装置が設けられている。
プリベーク室44内を真空排気しながら、プリベーク用加熱装置を動作させて、背面板30を加熱し、封着部材39の脱ガスを行う。
【0036】
脱ガスをされた背面板30を背面板冷却室45内に移動させ、背面板冷却室45内で冷却する。
次いで、基板搬送ロボットを動作させて、冷却された背面板30を背面板冷却室45内から搬送室46内を通って、位置合わせ室47内に移動させる。
【0037】
(位置合わせ工程)
位置合わせ室47には前面板20と背面板30とを位置合わせする位置合わせ装置が設けられている。図5(a)に示すように、前面板20の保護膜25が露出する表面と、背面板30のリブ34や封着部材39が配置された面とを対面させた状態で、前面板20と背面板30との位置合わせを行った後、位置合わせされた状態を維持しながら、前面板20と背面板30とを互いに近接させ、封着部材39の先端を前面板20に密着させる(図5(b)参照)。
【0038】
ここでは、位置合わせされた状態では、保護膜25は、封着部材39のリングの内側に配置されており、封着部材39の先端は、保護膜25の周囲に露出する第一のガラス基板21の表面に接触する。
【0039】
(配置工程)
次いで、基板搬送ロボットを動作させて、密着された前面板20と背面板30とを、互いに位置合わせされた状態を維持しながら、位置合わせ室47内から搬送室46内を通って、封着室48内に搬入する。
封着室48には、内部に放電ガスとは異なる不活性ガスを導入する不活性ガス導入装置71と、封着部材39を加熱する不図示の封着用加熱装置とが設けられている。
【0040】
(封着前排気工程)
封着室48の真空排気装置68は、内部に気体分子を吸着する気体溜め込み式ポンプ(ここではクライオポンプ)68aと、吸気口から気体分子を吸い込み、排気口から外部に押し出す気体輸送式ポンプ(ここではターボ分子ポンプ)68bとを有している。
【0041】
封着室(真空槽)48内にはあらかじめ真空雰囲気が形成され、クライオポンプ68aとターボ分子ポンプ68bとを動作させて、真空排気が継続されている。不活性ガス導入前の封着室48内の圧力は10-3Pa以下の圧力が好ましい。封着室48内の圧力が10-3Paより大きいと、不活性ガス導入後の不純物ガスの分圧制御が困難だからである。
なお、封着前排気工程は、後述する不活性ガス導入工程の前であれば、配置工程の前でもよいし、配置工程の後でもよい。
【0042】
(不活性ガス導入工程)
クライオポンプ68aを停止させ、ターボ分子ポンプ68bの動作を継続しながら、不活性ガス導入装置71から、封着室48内に不活性ガスを導入すると、導入された不活性ガスは封着室48内に拡散し、封着室48内の圧力が上昇する。
【0043】
ここでは不活性ガスにN2ガスを用いるが、不活性ガスは保護膜25と反応しないガスであればN2ガスに限定されず、N2ガスとO2ガスとの混合ガス(乾燥空気)やArガスでもよい。不活性ガスに放電ガスよりも安価なガスを用いれば、放電ガスを用いるよりもコストを低減できるため好ましい。
以後、不活性ガスの導入を継続して、封着室48内を10-3Paより大きい所定の圧力に維持する。
【0044】
後述するように、封着室48内の圧力を増加させると、封着部材39からの不純物ガスの放出量を低減できる一方、不活性ガスに含まれるH2O、CO2等の分圧も増加するため、不活性ガス導入中の封着室48内の圧力は10-2Pa以上102Pa以下が好ましい。
また、封着室48内のH2O、CO2の分圧は0.1Pa以下に維持するのが好ましい。
【0045】
クライオポンプ68aを停止させる理由は、クライオポンプ68aはターボ分子ポンプ68bより排気コンダクタンスが大きく、封着室48内を10-2Pa以上102Pa以下の圧力に制御することが困難だからである。
【0046】
図5(b)を参照し、前面板20と背面板30との間の放電空間50は、不活性ガス導入前は真空雰囲気にされており、封着室48内に拡散した不活性ガスは、封着部材39が溶けて前面板20と背面板30とが互いに接着するまでは、重ねられた前面板20と背面板30との間の隙間55と、背面板30の貫通孔38を通って、放電空間50に流入し、放電空間50の圧力が増大する。
【0047】
(封着工程)
次いで、図6を参照し、先端に環状のチップ管用接着部材52が設けられたチップ管51の先端を、第二のガラス基板31の封着部材39が配置された面とは逆側の面(以下裏面と呼ぶ)に向かって押しつけ、チップ管用接着部材52を、第二のガラス基板31の裏面に、貫通孔38の開口の周囲を取り囲んで接触させる。
チップ管用接着部材52の材質はここでは封着部材39と同じ低融点ガラスである。
【0048】
前面板20と背面板30とを密着させる方向に押圧し、チップ管51を第二のガラス基板31の裏面に向かって押圧しながら、第一、第二のガラス基板21、31を加熱する。ここでは470℃まで1時間で加熱後、470℃で20分間保持する。
封着部材39は第一、第二のガラス基板21、31からの熱伝導により加熱されて軟化する。またチップ管用接着部材52は第二のガラス基板31からの熱伝導により加熱されて軟化する。
【0049】
前面板20と背面板30との間の放電空間50は不活性ガスで満たされて、真空雰囲気中より圧力が高くされており、加熱された封着部材39とチップ管用接着部材52とから放電空間50へは不純物ガスが放出されにくくなっている。また、封着部材39とチップ管用接着部材52から放電空間50に不純物ガスが放出されても、保護膜25の表面は不活性ガスで覆われており、保護膜25表面に向かう不純物ガスの分子は不活性ガスの分子と衝突して跳ね返され、保護膜25表面に到達しにくくなっている。
【0050】
封着室48内の真空排気と不活性ガスの導入とは継続されており、封着部材39とチップ管用接着部材52とから封着室48内に放出された不純物ガスは、不活性ガスに押し流されて封着室48の外側に真空排気される。そのため、封着室48内の不純物ガスの分圧は増加しない。
【0051】
封着部材39とチップ管用接着部材52とを軟化させたのち、加熱を停止すると、熱伝導又は熱輻射により熱が失われて、封着部材39とチップ管用接着部材52の温度は低下する。
【0052】
(封止工程)
封着部材39とチップ管用接着部材52の温度がここでは350℃まで低下し、封着部材39とチップ管用接着部材52とが固化したら、図2を参照し、封着室48内への不活性ガスの導入を停止し、クライオポンプ68aの動作を再開して、封着室48内の不活性ガスを真空排気する。ここでは封着室48内を10-6Paの圧力まで真空排気する。
【0053】
図6を参照し、前面板20と背面板30との間の放電空間50内の不活性ガスは、貫通孔38とチップ管51とを通って、封着室48内に放出され、放電空間50には真空雰囲気が形成される。封着室48内に放出された不活性ガスは、真空排気装置68により真空排気される。
【0054】
封着部材39とチップ管用接着部材52とが固化した後は、封着部材39とチップ管用接着部材52とから不純物ガスは放出されない。そのため、真空排気された放電空間50に不純物ガスが入ることはなく、保護膜25が汚染されることはない。
【0055】
固化した封着部材39の接着力によって、前面板20と背面板30とが互いに固定される。また、固化したチップ管用接着部材52の接着力によって、第二のガラス基板31とチップ管51とが互いに固定される。
【0056】
互いに固定された前面板20と背面板30とチップ管51とを封止室49内に移動させる。封止室49では、チップ管51を通って放電空間50に放電ガス(ここではXeガスのモル分率が20%のNeとXeの混合ガス)を導入する。
【0057】
放電ガスを所定の圧力まで導入した後、チップ管51の途中を加熱して封じ切り、放電空間50を外部空間から遮断すると、図1に示すようなPDP10が得られる。
図2を参照し、封着室48と封止室49との間の真空バルブを閉じた状態で、封止室49内を大気圧力にして、PDP10を大気中に取り出す。
【0058】
(PDPの製造方法の別例)
上述のPDPの製造方法では、蒸着室42内で保護膜25を形成して前面板20を得てから、前面板20と背面板30とを位置合わせした状態で封着室48内に搬入するまでの間、前面板20を真空雰囲気中に保持したが、前面板20を100Pa以下の不活性ガス雰囲気中に保持してもよい。
この場合には、前面板冷却室43と、搬送室46と、位置合わせ室47とに、不活性ガス導入装置71と同じ装置を設ければよい。
【0059】
前面板20を100Pa以下の不活性ガス中に保持すると、真空雰囲気中に保持する場合に比べて、封着部材39や蛍光体35からの不純物ガスの放出量を減少でき、また不純物ガスと保護膜25との反応を防ぐことができる。
【実施例】
【0060】
<成膜直後の放電遅れと、封着後の放電遅れとの比較>
(放電遅れの測定方法)
放電遅れの測定には、下記非特許文献4を参考にし、図7に示すような波形を用いた。
【0061】
(非特許文献4)JOURNAL OF APPLIED PHYSICS、2009、105、113304
測定を簡単に説明すると、まず走査電極22と維持電極23に矩形波形を250回印加して放電を繰り返し起こし、電極に電荷をためる。次いで、アドレス期間を想定して2msの休止期間を置いた後、維持パルスVLを印加して放電を起こす。この放電のときに発生するXeの発光(赤外線)をフォトダイオードで検出した。ここまでの流れを1000回繰り返し、1000回の発光のバラつきから、放電遅れを測定した。図7の符号Lは、フォトダイオードの出力を示しており、維持パルスVLを印加してから放電が起こるまでの時間は一定ではなく、バラつきが生じていることが分かる。
【0062】
一般に電極間に放電開始電圧を超過する電位差を印加してから放電が形成されるまでには、ある一定の時間がかかり、この時間を放電遅れという。
遅れの機構から放電遅れは形成遅れと統計遅れの2成分に分類され、形成遅れは、初電子が発生してから放電が形成されるまでの時間と定義され、統計遅れは、電極間に放電開始電圧を超過する電位差を印加してから電子が発生するまでの時間と定義されている。
【0063】
具体的には、維持パルスVLを印加してから最も早く放電が起こったときの放電が起こるまでの時間が形成遅れ(tf)であり、最も早く放電が起こってから、もっとも遅く放電が起こるまでの時間が統計遅れ(ts)である。
以下、「放電遅れ」とは形成遅れ(tf)と統計遅れ(ts)の和(tf+ts)を言う。
【0064】
通常放電遅れは休止時間が長いほど大きくなることが知られている。実際のPDPの駆動では、走査電極22とアドレス電極32の間で放電を起こすアドレス期間の間は、維持電極23と走査電極22では放電が起こらず、休止期間となる。走査電極22とアドレス電極32との間の放電は、走査電極22ごとに順次行っていく。走査電極22が768本ある場合(XGA)には、PDP全体では、1本の走査電極22にかかる時間の768倍の時間がかかることになる。
【0065】
1本の走査電極22に電圧を印加する時間は、目的のセルがすべて点灯するまでの時間が必要であり、放電遅れ以上の時間、電圧を印加する必要がある。これまでのXGA規格のPDPでは、走査電極22の1本あたり2μs程度必要であり、PDP全体では1.5ms(2μs×768)程度であったことが知られている。このことから、今回の測定では休止時間を少し長めに2msとした。
【0066】
また、同様に1本の走査電極22ごとに2μsずつかけると、FHDシングルスキャンでは、1サブフィールドあたり2.2ms(2μs×1080)必要となる。アドレスに要する時間が長くなると、表示にかける時間が減ることになるため、十分な階調が取れなくなってしまう。このため、より高精細なパネルでは、短時間で確実にアドレス放電を起こす必要があり、すなわち放電遅れが小さくなければならない。
【0067】
(PDP製造装置の構造)
図8は放電遅れの測定に用いたPDPの製造装置80の内部構成図である。
このPDPの製造装置80は、蒸着室42と、位置合わせ室47と、封着室48と、封止室49と、第一、第二の搬送室84、85と、第一、第二の搬入出室81、82と、放電評価室83とを有している。
蒸着室42と、位置合わせ室47と、封着室48と、封止室49の構造は、上述の符号40のPDPの製造装置と同じであり、同じ符号を付して示す。
【0068】
第一の搬入出室81と、蒸着室42と、放電評価室83とは、第一の搬送室84に接続され、第二の搬入出室82と、封着室48と、封止室49とは、第二の搬送室85に接続されている。第一、第二の搬送室84、85は位置合わせ室47に接続されている。
各室42、47〜49、81〜85内は真空雰囲気にされ、継続して真空排気されている。
【0069】
(実施例1)
図3(a)に示すような処理対象物12を第一の搬入出室81内に搬入し、第一の搬送室84内を通って蒸着室42内に搬入し、第一の誘電体膜24の表面にMgO保護膜25を形成して、前面板20を得た後、前面板20を第一の搬送室84内を通って位置合わせ室47内に移動させた。
また図4に示すような背面板30を第二の搬入出室82内に搬入し、第二の搬送室85内を通って位置合わせ室47内に移動させた。
【0070】
位置合わせ室47内で前面板20と背面板30とを重ねて、位置合わせした後、位置合わせした状態を維持しながら、前面板20と背面板30とを第二の搬送室85内を通って封着室48内に移動させた。
【0071】
封着室48内を真空排気しながら、封着室48内にN2ガスを導入し、圧力を10Paにした。真空排気とN2ガスの導入を継続して、10Paの圧力を維持しながら、前面板20と背面板30とを470℃まで1時間で加熱した後、470℃で20分保持した。次いで、加熱を停止して、350℃まで冷却した後、N2ガスの導入を停止し、封着室48内を10-6Paの圧力まで真空排気した。
【0072】
次いで、封着した前面板20と背面板30とを第二の搬送室85内を通って封止室49内に移動し、前面板20と背面板30との間の放電空間50に放電ガスを導入して封止し、PDP10を完成させた。
【0073】
完成したPDP10を、第二の搬送室85内と位置合わせ室47内と第一の搬送室84内を順に通って、放電評価室83内に移動させ、上述の測定方法により、放電遅れを測定した。測定結果を図9の符号A1に示す。
【0074】
また、保護膜25をCaO膜又はSrCaO膜に変更して、上述の工程を繰り返し、CaO保護膜、SrCaO保護膜のPDP10の放電遅れを測定した。CaO保護膜、SrCaO保護膜の測定結果を図9の符号A2、A3にそれぞれ示す。
【0075】
(比較例1)
実施例1と同じ工程で保護膜25を形成して前面板20を得た後、前面板20を第一の搬送室84を通って放電評価室83内に移動させ、放電遅れを測定した。MgO保護膜、CaO保護膜、SrCaO保護膜の測定結果を図9、図10の符号B1、B2、B3にそれぞれ示す。
【0076】
図9を参照し、実施例1の測定結果(A1〜A3)を比較例1の測定結果(B1〜B3)と比較すると、N2ガス雰囲気中で封着した場合には、封着後に、MgO保護膜では放電遅れはほとんど増大しなかったことが分かる。またCaO保護膜では放電遅れは0.2μs増大しただけであり、SrCaO保護膜では0.4μs増大しただけであることが分かる。
【0077】
(比較例2)
封着室48では、N2ガスを導入せずに、10-6Pa〜10-5Paの真空雰囲気を維持しながら前面板20と背面板30とを封着し、他の工程は実施例1と同じにして、PDP10を完成させ、放電遅れを測定した。MgO保護膜、CaO保護膜、SrCaO保護膜の測定結果を図10の符号C1、C2、C3にそれぞれ示す。
【0078】
図10を参照し、比較例2の測定結果(C1〜C3)を比較例1の測定結果(B1〜B3)と比較すると、真空雰囲気中で封着した場合には、付着後にMgO保護膜では放電遅れが0.4μs増大し、CaO、SrCaO保護膜では放電遅れが0.7μs増大したことが分かる。
図9、10からは、真空雰囲気中で封着した場合(比較例2)の放電遅れの増加量に比べて、N2ガス雰囲気中で封着した場合(実施例1)の放電遅れの増加量は少ないことが分かる。
【0079】
<封着圧力と放電遅れとの関係>
(実施例2)
実施例1と同じ工程で、SrCaO保護膜25のPDP10を完成させた後、放電遅れを測定することを、封着室48内の封着中の圧力(以下、封着圧力という)を10-6Pa〜104Paの範囲で変更して繰り返した。
なお、10-6Paは、封着室48内にN2ガスを導入しなかったときの圧力であり、上述の比較例2に対応する。
【0080】
図11に測定結果を示す。N2ガスを導入せずに封着圧力を10-6Paにした場合、放電遅れは2.3μsであったが、N2ガスを導入して封着圧力を高くするに従って、PDP10の放電遅れは徐々に低下した。封着圧力が10-2Pa〜102Paで最小になり、その後圧力の上昇に伴って放電遅れは増大したことが分かる。
【0081】
<封着雰囲気中の不純物ガスの分圧>
実施例2において、封着中の封着室48内のN2、H2O、CO2の分圧を四重極質量分析装置(Q−mass)で測定した。
測定したN2、H2O、CO2のイオン電流値を図12に示す。封着圧力が10-2Pa以上ではQ−massでは測定できないため、10-2Pa以下の測定結果を線形近似し、近似値として示した。
【0082】
この測定結果から、N2ガスを導入し、封着圧力を上げていった場合、H2O、CO2の分圧はN2の分圧の1000分の1であったことが分かる。
これにより、実施例2では、封着圧力が10-2Pa〜102Paのとき、H2O、CO2の分圧はそれぞれ10-2Pa以下であったことが分かる。
【0083】
また、封着圧力が102Paより大きいときに、放電圧力の上昇に伴って放電遅れが増大した理由は、封着室48内のH2O、CO2の分圧が10-2Paより大きくなり、H2O、CO2と保護膜25との反応が生じたためであると考えられる。
【符号の説明】
【0084】
10……プラズマディスプレイパネル(PDP)
20……前面板
21……走査電極
22……維持電極
30……背面板
32……アドレス電極
34……リブ
35……蛍光体
36……凹部
39……封着部材
50……放電空間
48……封着室(真空槽)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に走査電極と維持電極とが互いに平行に離間して設けられた前面板と、表面に複数のリブが設けられ、前記リブ間の凹部の底面にはアドレス電極が設けられ、複数の前記リブの周囲を取り囲んでリング状の封着部材が設けられた背面板とを、互いに対面させた状態で、真空槽内に配置する配置工程と、
前記真空槽内を真空排気しながら、前記封着部材を加熱して軟化させた後、冷却して固化させ、前記前面板と前記背面板とを固定する封着工程と
を有し、
前記凹部のうち、所望の前記凹部を、前記アドレス電極と前記走査電極との間に印加するアドレス電圧によって放電領域として選択し、前記走査電極と前記維持電極との間に維持電圧を印加して前記放電領域に放電を発生させ、放電ガスをプラズマ化し、プラズマから放出された紫外線を、前記凹部に配置された蛍光体に入射させて、前記蛍光体を発光させるプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記配置工程の後、前記封着工程の前に、前記真空槽内に前記放電ガスとは異なる不活性ガスを導入して、前記前面板と前記背面板との間の放電空間の圧力を増大させる不活性ガス導入工程が設けられ、
前記封着工程の後に、前記放電空間を真空排気して前記放電空間の圧力を減少させた後、前記放電空間に前記放電ガスを導入する封止工程が設けられたプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項2】
前記封着工程では、前記真空槽内への前記不活性ガスの導入を継続して、前記真空槽内の圧力を10-2Pa以上102Pa以下に維持する請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項3】
前記配置工程の前に、前記前面板の前記走査電極上と前記維持電極上に、前記プラズマから前記走査電極と前記維持電極とを保護する保護膜を形成する保護膜形成工程が設けられ、
前記保護膜形成工程の後、前記配置工程の前までは、前記前面板を100Pa以下の不活性ガス雰囲気中に保持する請求項1又は請求項2のいずれか1項記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項4】
前記不活性ガス導入工程の前に、前記真空槽内の圧力を10-3Pa以下に真空排気する封着前排気工程が設けられた請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項5】
前記封着工程では、前記真空槽内のH2O、CO2の分圧をそれぞれ0.1Pa以下に維持する請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項1】
表面に走査電極と維持電極とが互いに平行に離間して設けられた前面板と、表面に複数のリブが設けられ、前記リブ間の凹部の底面にはアドレス電極が設けられ、複数の前記リブの周囲を取り囲んでリング状の封着部材が設けられた背面板とを、互いに対面させた状態で、真空槽内に配置する配置工程と、
前記真空槽内を真空排気しながら、前記封着部材を加熱して軟化させた後、冷却して固化させ、前記前面板と前記背面板とを固定する封着工程と
を有し、
前記凹部のうち、所望の前記凹部を、前記アドレス電極と前記走査電極との間に印加するアドレス電圧によって放電領域として選択し、前記走査電極と前記維持電極との間に維持電圧を印加して前記放電領域に放電を発生させ、放電ガスをプラズマ化し、プラズマから放出された紫外線を、前記凹部に配置された蛍光体に入射させて、前記蛍光体を発光させるプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記配置工程の後、前記封着工程の前に、前記真空槽内に前記放電ガスとは異なる不活性ガスを導入して、前記前面板と前記背面板との間の放電空間の圧力を増大させる不活性ガス導入工程が設けられ、
前記封着工程の後に、前記放電空間を真空排気して前記放電空間の圧力を減少させた後、前記放電空間に前記放電ガスを導入する封止工程が設けられたプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項2】
前記封着工程では、前記真空槽内への前記不活性ガスの導入を継続して、前記真空槽内の圧力を10-2Pa以上102Pa以下に維持する請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項3】
前記配置工程の前に、前記前面板の前記走査電極上と前記維持電極上に、前記プラズマから前記走査電極と前記維持電極とを保護する保護膜を形成する保護膜形成工程が設けられ、
前記保護膜形成工程の後、前記配置工程の前までは、前記前面板を100Pa以下の不活性ガス雰囲気中に保持する請求項1又は請求項2のいずれか1項記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項4】
前記不活性ガス導入工程の前に、前記真空槽内の圧力を10-3Pa以下に真空排気する封着前排気工程が設けられた請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項5】
前記封着工程では、前記真空槽内のH2O、CO2の分圧をそれぞれ0.1Pa以下に維持する請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−30443(P2013−30443A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167699(P2011−167699)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
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