説明

プラズマ発生装置

【課題】冷却水を流している配管部分からの漏水を防ぐプラズマ発生装置の提供。
【解決手段】ケース15の一方の端部に碍子20を介して筒状の第1アノード21Aが配置され、ケース15の他方の端部に碍子25A´,25B´を介してフランジ26A,26Bがそれぞれ取り付けられ、フランジ26A,26B各々に接続された配管27,31、ケース15内部に設けられた流路28,30及び第1アノード21A内部に形成された流路29が空間的に繋がる様に成し、冷却水が流れる様にする。碍子20側に同心状の溝M7a,M7bが形成された交換フランジ30Cを第1アノード21Aと碍子20との間に設け、碍子側25A´,25B´各々に同心状の溝M1a,M1b、M2a,M2bが形成された交換フランジ30A,30Bをそれぞれフランジ26A,26Bと碍子25A´,25B´との間に設け、各溝内にシール部材を入れた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内部で発生したプラズマから電子を外部に導くように成したプラズマ発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イオンプレーティング装置やプラズマCVD装置等の薄膜形成装置にプラズマ発生装置が利用される。
【0003】
図1はプラズマ発生装置を備えたイオンプレーティング装置の一概略例を示している。
【0004】
図中1はイオンプレーティング装置の真空容器で、この真空容器の底部には被蒸発材料2を収容した坩堝3、該被蒸発材料に電子ビームを照射するための電子銃4が設けられている。
【0005】
一方、前記真空容器1の上部には、基板電源5から負の電圧が印加されている基板6が取り付けられている。
【0006】
図中7は前記真空容器1の底部に支持台8に支持されたプラズマ発生装置で、この詳細は後述するが、該プラズマ発生装置からの電子ビームが、前記基板6と前記坩堝2の間に照射されるように成されている。
【0007】
図中9は前記真空容器1内を排気するための真空ポンプ、10は前記真空容器1内に反応ガスを供給するための反応ガスボンベ、11は前記プラズマ発生装置7内に放電ガスを供給するための放電ガスボンベ、12,13,14はバルブである。
【0008】
図2は前記プラズマ発生装置7の一概略例を示している。
【0009】
図中15は放電室を形成するケースで、該ケース内にはカソード16が配置されており、該カソードは加熱電源17に接続されていると共に放電電源18にも接続されている。 該ケースには放電ガス供給管19が設けられており、前記放電ガスボンベ11から該放電ガス供給管を介して、例えばアルゴンガスの如き不活性ガスがケース内に導入される。
該ケースの一方の端部には該ケースに碍子20を介してリング状の第1アノード21Aが設けられている。この第1アノード21Aは、例えばステンレスなど環状に形成されており、該第1アノードを含めケース15の他の部品の熱に依る損傷を防止するため、該第1アノード内には冷却水が流されている。また、この第1アノード21Aの反カソード側には高融点材料(例えばモリブデン)製でリング状の第2アノード21Bが接続されている。この第1アノード21Aと第2アノード21Bの接続は、互いの間の熱抵抗が大きくなるように、互いの一部同士が繋がれることにより行われる。また、各アノード21A、21Bの内側には前記カソード16からの電子が該各アノード21A、21Bに直接照射されないようにシールド電極22が配置されている。尚、該シールド電極の先端部は電子ビームを通過させるオリフィスを成している。
【0010】
前記ケース15は抵抗R1を介して前記放電電源18に接続され、前記アノード21Aは抵抗R2を介して該放電電源に接続されている。更に、前記真空容器1は抵抗R3を介して前記放電電源18に接続されている。
【0011】
尚、これらの抵抗の抵抗値は、通常、R1≫R3>R2とされており、前記放電電源18に流れる電流の大部分は、前記アノード21A、21Bとカソード16との間での放電電流となる。図中23は前記ケース15内のプラズマ中から電子が引き出される方向と平行な磁場形成する電磁石を構成するコイルで、前記ケース15の外側に設けられている。
【0012】
前記ケース15は内部を冷却水が循環する流路が設けられた構造となっており、その底面部の180度離れた位置にそれぞれ前記空間部に通じる孔が開けられている。該底面の各孔部分には、円環形状の碍子25A,25Bを介して円環形状のフランジ26A,26Bが取り付けられている。この円環形状のフランジ26Aの孔内にプラズマ発生装置7内で発生する熱による前記ケース15及び第1アノード21A等の損傷を防止するための冷却水を流す配管27が接続されている。
【0013】
この配管27は、流路28に繋がっている。この流路28は、前記碍子20を介して前記第1アノード21Aの内部を一回り半するように形成された流路29に繋がっている。該流路29は前記碍子20を介して,前記ケース15の流路30に繋がっている。該流路30は,円環形状の碍子25Bを介して円環形状のフランジ26Bと接続された配管31に繋がっている。該配管31は前記コイル23の外面に巻かれる様に配設されている。
【0014】
尚、前記フランジ26A,26Bが前記碍子25A、25Bにそれぞれ接する面、前記ケース15が前記碍子25A,25Bにそれぞれ接する面、前記ケース15が前記碍子20に接する面、前記第1アノード21Aが前記碍子20に接する面には、各々、リング状の溝M1,M2、M3,M4、M5,M6、M7、M8が形成さえており、該各溝にはOリングが嵌め込まれている。
【0015】
又、前記各配管及び各流路の内、供給側端部の配管27と排出側端部の配管31の間には冷却水循環装置(図示せず)が取り付けられている。
【0016】
このような構成のプラズマ発生装置を備えたイオンプレーティング装置において、先ず、バルブ12を開き、真空容器1とケース15内を真空ポンプ9により所定の圧力になるまで排気する。
【0017】
そして、バルブ14を開き、前記ケース15内に放電ガス供給管19を介して放電ガスボンベ11から放電ガス(例えばアルゴンガス)を所定量導入し、前記ケース15内の圧力を高め、カソード16を加熱電源17により熱電子放出可能な温度にまで加熱する。
【0018】
次に、コイル23に所定の電流を流し、プラズマの点火と安定なプラズマを維持するに必要な磁場を電子ビームの光軸方向Oに発生させる。
【0019】
この状態において、前記カソード16と第1及び第2アノード21A、21Bに放電電源18から所定の電圧を印加すると、前記カソード16とケース15との間に初期放電が発生する。この初期放電がトリガとなって前記ケース15内にプラズマが発生する。この放電プラズマ中の電子は前記コイル23が形成する磁場の影響で、電子ビームの光軸方向(O)に集束を受け、シールド電極22の第2アノード21Bに近い側の先端近傍に発生する加速電界により真空容器1内に引き出される。
【0020】
一方、真空容器1内においては、被蒸発材料2に向けて電子銃4から電子ビームが照射され、該被蒸発材料は加熱されて蒸発させられる。
【0021】
また、前記真空容器1内にはバルブ13が開かれることにより、反応ガスボンベ10から反応ガス(例えば酸素ガス)が導入される。前記プラズマ発生装置7から引き出された電子ビームは、前記真空容器1内に導入された反応ガスや蒸発粒子と衝突し、それらを励起、イオン化させて前記真空容器1内にプラズマPを形成する。該プラズマ中のイオン化された蒸発粒子と反応ガスは基板6に引き寄せられて付着し、前記基板6上には蒸発粒子の成膜が形成される。尚、前記プラズマ発生装置7から真空容器1内に引き出された電子及びプラズマP中の電子は、前記真空容器1や第1及び第2アノード21A、21Bに流れ込み、安定な放電が維持される。
【0022】
また、プラズマPの強さは、放電ガスの流量や前記カソード16の加熱温度によって制御することが出来る。
【0023】
また、抵抗R2と抵抗R3について、これらの抵抗値の関係を、R3>R2としたが、この抵抗値の関係を、R3=R2、R3>R2、R3<R2、R3≫R2と任意に変えることにより、前記アノード21A、21Bと真空容器1に流れる電流量を自由に選択することができる。
【0024】
【特許文献1】特開2005−293866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
さて、この様なイオンプレーティング装置においては、前記した様に、前記プラズマ発生装置7内で発生する熱によるケース15及び第1アノード21A等の損傷を防ぐために、ケース15,第1アノード21A,ケース15に流路を巡らし、前記フランジ26A,碍子25A,ケース15,碍子20,第1アノード21A,碍子20,ケース15,碍子25B,フランジ26B,コイル23の順に冷却水を流しているが、前記碍子25A,25Bにそれぞれ接するフランジ26A,26B側、及び、前記碍子20に接する第1アノード21A側が腐食する現象が発生している。
【0026】
しかし、この様な腐食が、前記フランジ26A,26B,第1アノード21Aに設けられた溝M1,M2,M7,M8まで広がると、該各溝に嵌め込まれているOリングによるシール性が低下し、水漏れが起きてしまう。
【0027】
本発明は、この様な問題を解決するために成されたもので新規なプラズマ発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明のプラズマ発生装置は、放電室、該放電室内に配置されたカソード、該放電室の一方の端部にアノード側絶縁体を介して配置された筒状のアノード、前記カソードと前記アノードとの間に放電電圧を印加するための放電電源、及び、前記放電室に放電用ガスを供給するための手段を備え、前記放電室内で形成されたプラズマ中の電子を前記放電室外の真空容器中に照射させる様に成した装置であって、前記放電室の他方の端部にフランジ側絶縁体を介して固定フランジが取り付けられ、該固定フランジに接続された流路,前記放電室壁に設けられた流路,及び前記アノード内部に設けられた流路が空間的に繋がる様に成し、これらの流路中に水が流れる様に成したプラズマ発生装置において、前記アノード側絶縁体側に同心状の複数の溝が形成された交換可能な交換フランジを前記アノードと前記アノード側絶縁体との間に設け、前記フランジ側絶縁体側に同心状の複数の溝が形成された交換可能な交換フランジを前記固定フランジと前記フランジ側絶縁体との間に設け、前記各溝内にシール部材を入れた事を特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、高電位部材Aと低電位部材Bの間に、前記高電位配材Aと前記低電位部材Bに繋がった孔を有する絶縁部材Cを挟んだ接続体に、前記絶縁部材Cと前記高電位部材Aとの間に交換可能な交換フランジ部材Eを設けて、該交換フランジ部材の前記絶縁部材C側の端面部に複数のリング状の溝を形成させ、該溝にシール部材を嵌め込んだことにより、前記交換フランジ部材Eで腐食が内部に進行しても水が流路外に漏水するのを防止することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
さて、本発明者は、前記冷却機構を備えたプラズマ発生装置における腐食の発生について考察した。
【0031】
その結果、腐食が発生している場所(フランジ26A,26B、第1アノード21A)は、何れも、絶縁部材(フランジ26Aの場合は碍子25A、フランジ26Bの場合は碍子25B、第1アノード21Aの場合は碍子20)を高電位部材と低電位部材(フランジ26Aの場合は該フランジ26Aが高電位部材でケース15が低電位部材、フランジ26Bの場合は該フランジ26Bが高電位部材でケース15が低電位部材、第1アノード21Aの場合は該第1アノード21Aが高電位部材でケース15が低電位部材)が挟み、これらの三部材に沿って水が流れている構成系において、高電位部材側であることが分かった。
【0032】
即ち、
図3に示すように、絶縁部材Cを高電位部材Aと低電位部材Bで挟み、これらの三部材の中心孔に水Wが流れていると(尚、高電位部材Aが絶縁部材Cと接触する面、及び、低電位部材Bが絶縁部材Cと接触する面にはそれぞれ溝Ma,Mbが形成されており、該各溝内にはシール部材としてOリングOa,Obが嵌入されており、図中、Ta,Tbは高電位部材側の配管、低電位部材側の流路を表す。)、高電位部材Aの絶縁部材Cとの境目部分から腐食が起こり、且つ、該境目部分の内側から外側へと広がっていく現象を本発明者はつきとめた。
【0033】
そこで、本発明者は、図4に示す様に、前記絶縁部材Cと高電位部材Aとの間に、該高電位部材と同様な導電体材料からなり、前記絶縁部材Cと接する面に複数のリング溝Mp,Mqが形成され、該各溝にシール部材(Op,Oq)が嵌入された交換可能な交換フランジ部材Eを設けることを考えた。尚、交換フランジ部材E内に配管は配設されていない。
【0034】
この様に成せば、腐食が始まっても、先ず、前記交換フランジ部材Eと絶縁部材Cの境目部分の内側が腐食し、該腐食は漸次外側へ進行して行くが、その際、この様な腐食が内側の溝部Mpに達して該内側のシール部材Opのシール性が低下しても、外側のシール部材Oqによりシール性が保たれているので、暫くの間、水が外部へ漏れることはなく、該腐食が外側の溝部Mqに達する前に前記交換フランジEを新しいものに交換すれば、この様な腐食による外側への水漏れは防止することが可能になる。
【0035】
本発明は、この様な原理に基づいて成されたものである。以下に図面に沿って本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0036】
図5は本発明のプラズマ発生装置の一概略例を示したもので、前記図2にて使用した記号と同一記号の付されたものは同一構成要素を示す。
【0037】
図5においては、絶縁部材である碍子25A´を該絶縁部材から見て低電位部材であるケース15と該絶縁部材から見て高電位部材であるフランジ26Aとで挟む構造において、前記碍子25A´と前記フランジ26Aとの間に、該フランジと同様な導電材料から成り、前記碍子25A´と接する面に同心円状に二つのリング溝M1a,M1bが形成され、該各溝にOリングが嵌め込まれた交換フランジ30Aが設けられている。
【0038】
又、絶縁部材である碍子25B´を該絶縁部材から見て低電位部材であるケース15と該絶縁部材から見て高電位部材であるフランジ26Bとで挟む構造において、前記碍子25B´と前記フランジ26Bとの間に、該フランジと同様な導電材料から成り、前記碍子25B´と接する面に同心円状に二つのリング溝M2a,M2bが形成され、該各溝にOリングが嵌め込まれた交換フランジ30Bが設けられている。
【0039】
又、絶縁部材である碍子20を該絶縁部材から見て低電位部材であるケース15と該絶縁部材から見て高電位部材である第1アノード21Aとで挟む構造において、前記碍子20と前記第1アノード21Aとの間に、該第1アノードと同様な導電材料から成り、前記碍子20と接する面に同心円状に二つのリング溝M7a,M7bが形成され、該各溝にOリングが嵌め込まれた交換フランジ30Cが設けられている。尚、前記碍子20と前記第1アノード21Aとの間で、前記交換フランジ30Cの配置位置から180度隔てた箇所にも、同様な二つのリング溝M8a,M8bが形成され、該各溝にOリングが嵌め込まれた交換フランジ30Dが設けられている。
【0040】
このような構成のプラズマ発生装置7において、予め真空排気されたケース15内に放電ガスボンベ11より放電ガス供給管19通してアルゴンガスを導入する。加熱電源17によりカソード16を加熱し、熱電子を放出させ、同様に、コイル23に所定の電流を流し、プラズマの点火と安定なプラズマを維持するのに必要な磁場を電子ビームの光軸方向Oに発生させる。
【0041】
この状態において、前記カソード16と第1及び第2アノード21A、21Bに放電電源18から所定の電圧を印加すると、前記カソード16とケース15との間に初期放電が発生する。この初期放電がトリガとなって前記ケース15内にプラズマが発生する。この放電プラズマ中の電子は前記コイル23が形成する磁場の影響で、電子ビームの光軸方向Oに集束を受け、シールド電極22の第2アノード21Bに近い側の先端近傍に発生する加速電界により真空容器1内に引き出される。
【0042】
さて、この様なプラズマ発生装置においては、前記プラズマ発生装置7内で発生する熱によるケース15及び第1アノード21Aなどの損傷を防ぐために、冷却水循環装置(図示せず)により、フランジ26A,ケース15,第1アノード21A,ケース15,フランジ26B,コイルに巡らした配管27,31及び流路28,30を通して冷却水を循環させている。
【0043】
この様な冷却水の循環が長期間行われると、前述した様に、絶縁部材を高電位部材と低電位部材で挟む構成において、高電位部材の絶縁部材との境目部分から冷却水の水質悪化に起因して腐食が起こり、該境目部分の内側から外側へ広がっていく。即ち、図5に示す装置においては、交換フランジ30Aの碍子25A´との境目部分、交換フランジ30Bの碍子25B´との境目部分、交換フランジ30C、30Dの碍子20との境目部分に腐食が発生する可能性がある。
【0044】
この様な腐食が前記交換フランジ30A,30B,30C,30Dの何れかに発生した場合、その腐食は内側から外側へと進んで行くので、先ず、前記交換フランジの内側の溝(M1a,M2a,M7a,M8a)に達して、そこに接続されたOリングのシール性が低下する。しかし、前記腐食が外側の溝(M1b,M2b,M7b,M8b)に達するまでのかなり暫くの間、前記各境目部分のシール性は保たれているので、冷却水が漏れることはない。
【0045】
従って、前記腐食が外側の溝に達する前に、一旦冷却水の循環を停止させ、前記交換フランジ(M1b,M2b,M7b,M8b)を新しいものに交換する。尚、交換フランジの内側の溝部分に水検出センサーを設けておき、センサーが作動することで交換時期を知らせ、特定の交換フランジのみ新しいものに交換する様にしても良い。
【0046】
尚、前記図5に示すプラズマ発生装置においては、冷却水循環装置(図示せず)に接続されているフランジ26Aの配管27、交換フランジ30Aの中心孔、碍子25A´の中心孔、ケース15の空間内において内管の周囲を取り巻く様に配設された流路28、碍子20の中心孔、交換フランジ30Cの中心孔、第1アノード21Aの内部を一回り半する様に形成された流路29、交換フランジ30Dの中心孔、碍子20の中心孔、ケース15を上部から下部にストレートに配設された流路30、碍子25B´の中心孔、交換フランジ30Bの中心孔、及び、フランジ26Bに接続されコイル23の外面を巻いて冷却水循環装置(図示せず)に接続された配管31を繋ぎ、各配管,各流路及び各中心孔内に冷却水が循環される様に成していが、前記交換フランジ30Cや30Dを交換する場合には、前記第1アノード21Aや第2アノード21Bを取り外したり、取り付けたりしなければならない。そこで、図6に示す様な構成にしても良い。
【0047】
即ち、ケース15の内部に下から上へストレートに伸び上部で一回転し、上から下へと内管の周囲を取り巻く様に流路28´を配設し、碍子25A´の中心孔,交換フランジ30Aの中心孔,フランジ26Aを介して冷却水循環装置(図示せず)に接続されているフランジ26Aの配管27に繋ぐ。
【0048】
フランジ26Bに接続され、ケース15の外周に沿って下から上へとストレートに伸び、碍子20´とフランジ26Cの孔内に接続された配管29´と、第1アノード21Aの内部を一回り半する様に形成された流路30´があり、前記流路28´に、碍子25B´の中心孔、交換フランジ30Bの中心孔を介して前記配管29´を繋ぎ、更に、該配管と前記流路30´を繋ぐ。
【0049】
前記碍子20´とフランジ26Dに接続され、前記ケース15の外面に沿って上から下へとストレートに伸びフランジ26Eの中心孔に接続する配管31´、フランジ26Fに接続され、コイル23の外面の一部に渦巻き状に這わされ、該コイルの上部で一回り半し、該コイルの上部から下部へとストレートに伸びる配管32´を配設し、前記配管30´に、フランジ26Dの中心孔と碍子20´の中心孔を介して前記配管31´を繋ぎ、該配管31´に、交換フランジ30Eの中心孔と碍子25E´の中心孔を介して前記配管32´に繋ぐ。尚、該配管32´は冷却水循環装置(図示せず)に接続される。
【0050】
この様な各配管,各流路と各中心孔の接続構成においては、前記碍子25E´により前記第1アノード21A´(高電位側)と前記フランジ26Fに接続された配管32´(低電位側)とを絶縁し、高電位側のフランジ26E側の前記碍子25E´との間に、同心円状の二つの溝差M9a,M9bを有する交換フランジ25E´を設ける様に成し、前記第1アノード21Aや第2アノード21Bの取り外し、取り付けなしに、前記交換フランジ25E´が楽に交換できる様にしている。
【0051】
尚、前記交換フランジ部材(30A,30B,30C,30D,30E)の端面部の溝(M1a,M1b,M2a,M2b,M7a,M7b,M8a,M8b, ,M9a,M9b)には円錐台上の筒体から成る樹脂状のシール部材を配置させても良い。
【0052】
また、前記交換フランジ部材(30A,30B,30C,30D)の端面部に直径が異なるリング状の溝を複数形成させて、該複数の溝に合うシール部材を配置させても良い。
【0053】
また、前記シール材は可塑性の重合体からなるガスケットを使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】プラズマ発生装置を備えたイオンプレーティング装置の一概略例を示したものである。
【図2】従来のプラズマ発生装置の一概略例を示したものである。
【図3】図2に示すプラズマ発生装置の一部詳細を示す。
【図4】本発明の原理の説明に用いた図である。
【図5】本発明のプラズマ発生装置の一概略例を示したものである。
【図6】本発明のプラズマ発生装置の他の一概略例を示したものである。
【符号の説明】
【0055】
1…真空容器
2…被蒸発材料
3…坩堝
4…電子銃
5…基板電源
6…基板
7…プラズマ発生装置
8…支持台
9…真空ポンプ
10…反応ガスボンベ
11…放電ガスボンベ
12、13、14…バルブ
15…ケース
16…カソード
17…加熱電源
18…放電電源
19…放電ガス供給管
20、20´…碍子
21A…第1アノード
21B…第2アノード
22…シールド電極
23…コイル
25A、25B、25A´、25B´、25E´…絶縁碍子
M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8…溝
26A、26B、26C、26D、26E、26F…フランジ
27、29´、30´、31、31´…配管
30A、30B、30C、30D、30E…交換フランジ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電室、該放電室内に配置されたカソード、該放電室の一方の端部にアノード側絶縁体を介して配置された筒状のアノード、前記カソードと前記アノードとの間に放電電圧を印加するための放電電源、及び、前記放電室に放電用ガスを供給するための手段を備え、前記放電室内で形成されたプラズマ中の電子を前記放電室外の真空容器中に照射させる様に成した装置であって、前記放電室の他方の端部にフランジ側絶縁体を介して固定フランジが取り付けられ、該固定フランジに接続された流路,前記放電室壁に設けられた流路,及び前記アノード内部に設けられた流路が空間的に繋がる様に成し、これらの流路中に水が流れる様に成したプラズマ発生装置において、前記アノード側絶縁体側に同心状の複数の溝が形成された交換可能な交換フランジを前記アノードと前記アノード側絶縁体との間に設け、前記フランジ側絶縁体側に同心状の複数の溝が形成された交換可能な交換フランジを前記固定フランジと前記フランジ側絶縁体との間に設け、前記各溝内にシール部材を入れた事を特徴とするプラズマ発生装置。
【請求項2】
放電室、該放電室内に配置されたカソード、該放電室の一方の端部にアノード側絶縁体を介して配置された筒状のアノード、前記カソードと前記アノードとの間に放電電圧を印加するための放電電源、及び、前記放電室に放電用ガスを供給するための手段を備え、前記放電室内で形成されたプラズマ中の電子を前記放電室外の真空容器中に照射させる様に成した装置であって、前記放電室の他方の端部に第1フランジ側絶縁体を介して第1固定フランジが取り付けられ、該第1固定フランジに接続された流路,前記放電室壁に設けられた流路,前記アノード内部に設けられた流路,及び前記放電室の外側に第2フランジ側絶縁体を介して第2固定フランジが取り付けられ、該第2固定フランジに一端が接続され、前記アノード側絶縁体中に他端が接続された流路が空間的に繋がる様に成し、これらの流路中に水が流れる様に成したプラズマ発生装置において、前記アノード側絶縁体と前記アノードとの間にアノード側フランジを設け、前記第1フランジ側絶縁体側に同心状の複数の溝が形成された交換可能な交換フランジを前記第1固定フランジと前記第1フランジ側絶縁体との間に設け、前記第2フランジ側絶縁体側に同心状の複数の溝が形成された交換可能な交換フランジを前記第2固定フランジと前記第2フランジ側絶縁体との間に設け、前記各溝内にシール部材を入れた事を特徴とするプラズマ発生装置。
【請求項3】
前記シール部材はOリングである請求項1又は2記載のプラズマ発生装置。
【請求項4】
前記シール部材はガスケットである請求項1又は2記載のプラズマ発生装置。
【請求項5】
前記全てのフランジは導電性材料から成る請求項1又は2記載のプラズマ発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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