プラズモン電気
【課題】数十年間、蛍光ベース技術は、光子束をデジタル特徴に変換するのに光電子増倍管又は電荷結合素子(CCD)カメラなどの光検出器に依存してきた。ほぼすべてのそのような機器はこれらのタイプの1つ又は複数の検出器を包含している。しかし、そのような検出器は高価であり、追加の装置を必要とする。
【解決手段】
本発明は、蛍光、発光、化学発光、又は燐光の特徴を、金属含有表面から伝導及び放出される電気信号の形態で検出する検出システム及び方法に関する。したがって、本発明は、高価な検出器を必要とすることなく蛍光をデジタルで直接的に検出するのを可能にする。
【解決手段】
本発明は、蛍光、発光、化学発光、又は燐光の特徴を、金属含有表面から伝導及び放出される電気信号の形態で検出する検出システム及び方法に関する。したがって、本発明は、高価な検出器を必要とすることなく蛍光をデジタルで直接的に検出するのを可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年12月14日に出願された米国特許仮出願第61/286,331号の優先権を主張するものであり、その内容はあらゆる目的に対して参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電気エネルギーの流れを生成するシステムに関し、より詳細には、蛍光、発光、化学発光、又は燐光特徴を電気信号の形態で検出する検出システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
バイオアッセイを使用するタンパク質及び他の生体分子の同定及び定量化はバイオ医学及び生化学用途において非常に重要である。1−3蛍光はこれらの用途の大部分において主要な技術であり、注目する生体分子は蛍光体で標識された結合パートナーからの蛍光放出によって検出される。4,5平坦な表面で行われる蛍光ベースバイオアッセイは一般に感度を欠き、高価な光学機器を必要とする。6,7さらに、これらの分析のバイオ認識事象は本質的に遅い(数分〜数時間)。6,7蛍光ベースアッセイの感度は、これらのアッセイにプラズモン共振粒子(PSP)を組み込むことによって高級な光学機器を使用することなしに改善することができる。8,9感度の改善は、金属増強蛍光(MEF)と呼ばれる現象によって説明される、PSPに近接して配置された蛍光体の蛍光特徴の増加及び寿命の減少によって可能になる。8,10MEFベースバイオアッセイでは、PSP(一般に銀ナノ粒子)が平坦な表面上に堆積され、バイオアッセイがPSP上に構築される。8大部分の生体分子のサイズはPSP(20〜100nm)よりも小さいので、蛍光体は、その放出がPSPの表面プラズモンとの相互作用により増加される距離内に配置される。10
【0004】
近接した金属ナノ粒子と発光化学種の相互作用は広く研究されている。これらの近接場相互作用は大部分が非常に複雑であるが、金属中にミラー双極子を誘起する近接蛍光体に起因するものであり、その結果として放出の形態で結合量子を放射するものとして単純に現象学的に理解することができる(図1A)。この相互作用は以前より適宜に「金属増強蛍光」と呼ばれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
数十年間、蛍光ベース技術は、光子束をデジタル特徴に変換するのに光電子増倍管又は電荷結合素子(CCD)カメラなどの光検出器に依存してきた。ほぼすべてのそのような機器はこれらのタイプの1つ又は複数の検出器を包含している。しかし、そのような検出器は高価であり、追加の装置を必要とする。したがって、蛍光、発光、化学発光、生物発光、又は燐光特徴を、金属構造体によって伝導される電気信号の形態で検出することは有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、蛍光、発光、化学発光、又は燐光放出プローブから金属粒子の表面にエネルギーを転移することよって引き起こされ、金属構造体によって伝導される電気信号の形態の蛍光、発光、化学発光、又は燐光特徴などの放出信号を検出する検出システム及び方法に関する。したがって、本発明は、高価な検出器を必要とすることなく蛍光をデジタルで直接的に検出するのを可能にする。
【0007】
一般に、従来の蛍光体はエネルギーを放出する励起可能分子源として使用し、金属表面にミラー双極子モーメントを誘導することができる。さらに、プローブ又は標識が近接場内にある、すなわち金属構造体に接近しているときプラズモン電気を生成することになる誘導励起性プローブ又は標識源には、限定はしないが、量子ドット(Qdot)、化学発光アルカリホスファターゼ及び他の化学発光標識、蛍光スフェア、1つ又は複数の蛍光標識をドープした高分子ビーズ、蛍光ミクロスフェア、シリコンナノ粒子、シリカ及びシリケートドープ材料、半導体材料、Eタイプ蛍光発光団、Pタイプ蛍光発光団、フルオ−3及びフルオ−4カルシウム指示薬、カルシウムグリーン指示薬、フルオジン亜鉛指示薬、Cu2+、Cu+などを含む広範囲のイオンを検出するためのPhen Green、Zn2+を検出するためのNewport Green、鉛及びカドミウムを測定するためのLeadmium Green染料、遊離マグネシウムの電気検出のためのマグネシウムグリーン、マグネシウム検出のためのマグ−フラ−2及びマグ−インド−1、自由溶液及び細胞間の両方におけるカルシウム及びマグネシウムを共に検出するためのマグ−フルオ−4、フィコビリタンパク質(様々な形態)、バッキーボールやC60など、カーボンナノチューブ、カーディオグリーン/インドシアニングリーン蛍光指示薬、Ag、Au、Pt、Fe、Pd、Cu、Zn、Rh、Cr、Pbなどの金属のコロイド及び混合コロイド金属の組合せ、SNARF−1、SNARF−4F、SNARF−5F、デキストランBCECFなどのようなpH指示薬、ニトロ還元酵素及び硝酸還元酵素活性を検出するための6−クロロ−9−ニトロ−5−オキソ−5H−ベンゾ{a}フェノキサジン(CNOB)、SYTOXブルー、グリーン、オレンジ、レッドなどのSYTOX死細胞染色剤、DAPI及びプロピジウムアイオダイド標識、エチジウムブロマイド、Picogreen及びサイバーグリーンなどの二本鎖DNA検出用のプローブ、Alexa蛍光体系の染料、BODIPY及び関連構造染料、Cellular and Organelle lights(遺伝子によってコードされるタンパク質)、緑色蛍光タンパク質(GFP)及びその類似体、クマリン染料、プロダン及び関連構造染料、DisBAC4(3)及びCC2−DMPEなどの電圧感受性プローブ、及び/又はNcode miRNA標識化蛍光体を含めることができる。
【0008】
一態様では、本発明は、電流を生成するためのシステムに関し、このシステムは、
基板上に配置された、空間的に離間された固定化金属構造体を含む基板であって、金属構造体は、粒子、ナノ構造体、アイランド、又はコロイドとして形成され、極性溶液で少なくとも部分的に覆われる、基板と、
基板上に配置された金属構造体のうちの少なくとも2つと伝達的に接触する、1組の導電性電極と、
電磁エネルギーで励起されると、蛍光、発光、又は燐光特徴を放出する励起性プローブであり、そのような励起が励起性プローブから約5nm〜約50nmに配置された金属構造体にミラー双極子を誘起し、それによってプラズモン電流の流れを生じさせる、励起性プローブと、
を含む。
【0009】
重要なことには、電流は、励起性プローブの量が増加するにつれて増加し、それによって、標的物質に励起性プローブが結合する量に比例した電気信号を供給するアッセイが可能になる。
【0010】
上述の方法及びシステムは、限定はしないが、イムノアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、共鳴エネルギー転移アッセイ、分極/異方性ベースアッセイ、化学発光ベースアッセイ、発光ベースアッセイ、酵素結合免疫吸着測定法を含む多数の検出システムで使用することができる。
【0011】
別の態様では、
表面上に配置された導電性金属構造体であり、粒子、ナノ構造体、アイランド、又はコロイドとして形成される、導電性金属構造体と、
導電性金属構造体の近くに配置するための少なくとも1つの蛍光体であり、金属構造体にミラー双極子を誘起することができ、導電金属構造体から約5nm〜約50nmに配置される、蛍光体と、
少なくとも2つの導電性金属構造体に伝達的に接続された第1及び第2の電極であり、電流読取りデバイスに伝達的に接続される、第1及び第2の電極と、
蛍光体を励起し、プラズモン電流の流れを生じさせる金属材料にミラー双極子を誘起するための電磁エネルギー源であり、電流読取りデバイスによって検出されるべき電流を増加させるために第1又は第2の電極から離して配置される、電磁エネルギー源と、
を含む検出システムを本発明は可能にする。
【0012】
本発明は、紫外線(UV)から赤外線(IR)までの範囲の放射に接触したとき光エネルギーを放出する能力がある蛍光、発光、化学発光、又は燐光構成要素を含む。
【0013】
別の態様では、本発明は金属増強蛍光感知の方法に関し、この方法は、
検出システムで使用される表面に導電性金属構造体をつける工程であり、表面がガラス、セルロース、石英、又は高分子材料を含み、表面が第1及び第2の端部を有し、第1及び第2の端部並びに少なくともいくつかの金属構造体が第1及び第2の電極に伝達的に接続され、電極がその間に配置された電流測定デバイスを有する、工程と、
導電性金属構造体を覆うための極性溶液を供給する工程と、
導電性金属表面の近くに配置するための少なくとも1つの励起性プローブを導入する工程であり、励起により双極子モーメント及び/又は蛍光が生じるのを励起性プローブが可能にする、工程と、
双極子モーメント及び/又は蛍光を生じさせるために電磁気源で励起性プローブを励起し、それによって、そのような励起が金属構造体に双極子を誘起し、プラズモン電流の流れを生じさせる工程と、
電流計などの電流読取りデバイスによりプラズモン電流の流れを測定する工程と、
を含む。
【0014】
好ましくは、電極は最適電流読取りを行うために十分な距離だけ隔てられ、その離間は約5nm〜100nmである。
【0015】
さらなる別の態様では、本発明は、光検出器を使用することなくサンプル中の標的病原体を検出する方法を提供し、この方法は、
極性溶液中の表面基板上に配置された固定化金属構造体であり、基板が第1及び第2の端部を有し、基板の第1及び第2の端部が電極を含むか、又は少なくともいくつかの金属構造体が第1及び第2の電極に伝達的に接続され、標的病原体の既知のDNA配列に相補的な固定化捕捉DNA配列プローブを取り付けられている、固定化金属構造体と、
標的病原体の既知のDNA配列に相補的な遊離捕捉DNA配列プローブであり、蛍光体又はそれの等価物を取り付けられている、遊離捕捉DNA配列プローブと
を含むシステムを準備する工程と、
固定化捕捉DNA配列プローブにサンプルを接触させる工程であり、標的病原体の任意のDNA配列が固定化捕捉DNA配列プローブに結合する、工程と、
遊離捕捉DNA配列プローブに標的病原体の結合DNA配列を接触させる工程であり、標的病原体のDNA配列に遊離捕捉DNA配列プローブを結合することにより、金属材料に双極子を誘起するように蛍光体又はその等価物が固定化金属構造体から約5nm〜約50nmに配置される、工程と、
金属材料から所定の距離に配置された蛍光体又はその等価物を励起するためにUVからIRまでの範囲の電磁エネルギーでシステムを照射する工程と、
電極間に配置された電流検出器でプラズモン電流の流れを測定する工程であり、電流が蛍光体又はそれの等価物の量に比例する、工程と、
を含む。
【0016】
好ましくは、導電性金属材料は、ナノ構造体、アイランド、コロイドなどの金属粒子、多孔質マトリクス、又は半連続的金属表面の形態をとる。金属材料は、銀、金、白金、亜鉛、アルミニウム、インジウム、パラジウム、ロジウム、鉄、ニッケル、銅、及びそれらの組合せなどの金属の任意の形態を含むことができ、より好ましくは、金属材料は銀である。基板は、ガラス、石英、セルロース、及び/又は高分子材料を含むことができる。
【0017】
好ましくは、金属材料は粒子の形態をしており、最適電流を供給するようにある距離隔てられ、抵抗は連続的金属フィルムよりも高い。好ましくは、各金属粒子の少なくとも一部は、双極子モーメントを有し、誘導性である、水などの極性溶媒又は双極性非プロトン性溶媒、メタノール又は酢酸を含む他の極性溶媒、イオン食塩水及び/又はアセトン、エチレンアセテートと接触する。
【0018】
蛍光を発することができ、及び/又は電磁エネルギーによる励起の際に双極子モーメントを示す分子は、限定はしないが、蛍光体、発色団、発光団、生体分子、又は固有若しくは外因性発光活性を可能にする任意の分子若しくはデバイスを含む。
【0019】
一態様では、本発明は、金属表面の近くに配置された化学発光ベース反応の効果を強化するための金属表面を含むバイオアッセイシステムに関し、金属表面プラズモンが化学発光化学種の化学的誘起の電気的励起状態により励起され、化学発光反応からのエネルギーの転移により、電流デバイスで測定することができる金属構造体中のプラズモン電流の流れが誘起される。
【0020】
さらなる態様では、本発明はアッセイに関し、その方法は、
少なくとも1つの液体容器又は入れ物を準備する工程であり、第1及び第2の電極が液体容器内に配置されるか、又はそれに伝達的に接続される、工程と、
金属ナノ構造体を液体容器に導入する工程であり、液体容器が極性溶液を含み、金属ナノ構造体が溶液中で遊離することができるか、又は液体容器の表面に接続され、かつ第1及び第2の電極に伝達的に接続され得る、工程と、
励起に際して双極子活性を示す分子を導入し、そのような分子を金属ナノ構造体の近くに配置する工程であり、金属ナノ構造体にミラー双極子を誘起するように分子が金属ナノ構造体の所定の近隣に配置される、工程と、
電流の流れを測定する工程と
を含む。
【0021】
さらなる別の態様では、本発明は金属増強化学発光感知の方法に関し、この方法は、
検出システムで使用される表面に空間的に離間された金属構造体をつける工程であり、少なくとも2つの金属構造体が1組の電極に接続される、工程と、
金属構造体の近くに配置するための少なくとも1つの生体分子を含む溶液を導入する工程であり、生体分子が化学発光標識を含む、工程と、
金属構造体から約5nm〜約30nmの距離で化学的電子的励起状態を誘起するために化学発光標識をトリガし、それによって金属表面プラズモンを生成し、金属構造体にミラー双極子を誘起し、溶液中に電流の流れを生成する工程と、
を含む。
【0022】
別の態様では、本発明は、化学発光を測定するためのシステムに関し、このシステムは、
表面基板上に配置された部分的金属化表面であり、金属化表面が極性溶媒に接触し、基板又は部分的金属化表面が1組の電極に接続される、部分的金属化表面と、
試験サンプル中の所望の分子に結合するか又はそれを捕捉するために、部分的金属化表面に又は部分的金属化表面の近くに取り付けられるコネクタ分子と、
所望の分子に親和性を有する検出分子であり、化学発光標識を含む、検出分子と、
化学的誘起の電気的励起状態を生成するために化学発光標識と化学的に反応し、部分的金属表面にミラー双極子を誘起し、極性溶媒中に電流の流れを誘起するトリガリング構成要素であり、電流の流れが測定され、そのような流れが試験サンプル中の所望の分子の量に比例する、トリガリング構成要素と、
を含む。
【0023】
電流を伝導するためのシステムであって、このシステムは、
極性溶液中に分散された金属粒子であり、固有又は外因性蛍光体分子への接続に適応でき、固有又は外因性蛍光体分子から約5nm〜約20nmに配置される、金属粒子と、
UVからIRまでの範囲で、蛍光体又は標識源を励起するのに十分な量の放射を送り出す電磁エネルギーの供給源であり、そのような励起が金属粒子にミラー双極子を生じさせ、溶液中に電流の流れを誘起する、電磁エネルギーの供給源と、
を含む。
【0024】
さらにその上、本発明は、誘起プラズモン電流の流れの視覚画像及び直接デジタル読出しを提供することができる顕微鏡と組み合わせたプラズモン電気の本発明の概念を使用することに関し、このシステムは、基板上に堆積された金属粒子を有する基板を含み、基板は、顕微鏡で使用されるように構成されたスライドであり、基板又は金属粒子のうちの2つが電極に適応され、電流読取りデバイスに取り付けられる。
【0025】
本発明の他の態様及び利点は次の開示及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】金属増強蛍光の現在の解釈の図式表示の図である。
【図1B】励起蛍光体又は標識源と銀ナノ粒子の表面プラズモンとの結合によるプラズモン電流、電流を測定するための電流計をもつ電極セットアップ、F(蛍光体)、MEF(金属増強蛍光)、PC(プラズモン電流)、Ag(銀ナノ粒子)を示す図である。
【図2】(A)フルオレセインで標識化された付加的な抗IgGの濃度へのウサギIgGで覆われたSiFのプラズモン電流(PC)の依存性を示す図、及び(B)実験の図式解釈を与える図である。
【図3A】水中において、フルオレセインイソチオシアナート(FITC)によって覆われたSiF(R>>200MOhm/cm)にレーザ(473nm)によって誘起されたプラズモン電流(PC)を示す図である。電極間距離は10mmである。SiF上の励起スポットは左の電極から右の電極まで移動された。
【図3B】観測されたプラズモン電流の流れの方向が電極自体からの励起スポットの距離に非線形に依存することを示す図である。
【図4】Xeアークランプ、及びさらに473nmレーザの使用によるFITC−SiF(H2O)の照射を示す図である。
【図5】上部はSiF(乾燥サンプル)に誘起された電流を示し、中部は湿性SiF(H2O)によって誘起された電流を示し、下部は(FITC)で被覆されたSiF−水溶液を示す図である。スライドの照射はXeアークランプで行われた。手動の光遮断は約5秒の間隔で急峻に成し遂げられた。SiFは銀アイランドフィルムである。
【図6A】堆積されたFITC標識化ヒト血清アルブミン(HSA-FITC)又は溶媒(水)を含むSiFに光によって誘起された電流の励起波長への依存を示す図であり、観測された電流はレーザパワー偏差に関して補正されている。励起はレーザで行われた。光発生のパワーは中性フィルタ(NF)によって約20〜50mWに調整された。ある特定の波長の電流の補正は、46.5mWのパワーに正規化することによって行われた(473nm−レーザ(500mW)のパワーがN−フィルタ(OD473=1.04o.u.)で減衰された)。[HSA−FITC]=水中において0.65mM、pH5.5。
【図6B】堆積されたFITC標識化ヒト血清アルブミン(HSA-FITC)又は溶媒(水)を含むSiFに光によって誘起された電流の励起波長への依存を示す図であり、HSA−FITCの電流への寄与、SiF及びFITCの吸収を示す。励起はレーザで行われた。光発生のパワーは中性フィルタ(NF)によって約20〜50mWに調整された。ある特定の波長の電流の補正は、46.5mWのパワー(473nm−レーザ(500mW)のパワーがN−フィルタ(OD473=1.04o.u.)で減衰された)に正規化することによって行われた。[HSA−FITC]=水中において0.65mM、pH5.5。
【図7】473nmのレーザ照射の際にSiF−染料組織によって生成された電流の研究した染料の吸光係数への依存性を示す図である。観測された電流は150mMの濃度の染料によって誘起された電流に正規化されており、電流対染料濃度の線形依存性を呈する。
【図8】(A)20nm及び40nmの金複合化抗IgG(ラビット)の吸収スペクトルを示す図、並びに(B)光励起の際のプラズモン電流(PC)に基づいた模型免疫アッセイ(IgG−抗IgG)の図式表示の図である。Agは銀アイランドであり、Auは抗IgGに複合した金ナノ粒子である。
【図9】40nm金複合化抗IgGで覆われたSiF−IgGに誘起された電流を示す図である。lexは473nmであり、金−抗IgGの濃度は0.1nMであった。
【図10】SiF−IgGスライド中に473nmレーザによって誘起された電流の抗IgG複合体(20nm及び40nmの金、又はFITC)の濃度への依存性を示す図である。
【図11】20nm及び40nm金複合化抗IgGで被覆されたSiF−IgGスライドの電流の励起波長への依存性を示す図である。レーザパワーは約45mWに正規化された。
【図12】結合抗原を検出するための抗体の使用を示す図であり、結合抗原は双極子モーメントを示し、金属粒子中に双極子を誘起し、それによって電流の流れを生成する。
【図13】2つの抗体の使用を示す図であり、一方が標的抗原を捕らえ、他方は、励起の際に金属材料中に誘起双極子を生じさせる蛍光体標識を準備する。
【図14】プラズモン電流が溶液中の電解質の濃度に依存することを示す図である。SiF:溶媒中の電流は473nmレーザ照射によって誘起され、溶液のpHは7.4で一定であった。
【図15】様々な染料の溶液で覆われたSiFに、473nmレーザ放射によって誘起されたプラズモン電流を示す図である。染料は、水中、及び70mMのNaClに溶解された。
【図16】様々な溶媒がプラズモン電流の広がりを誘起できることを示す図である。溶媒の誘電率εは、水の80、DMSOの46、DMFの36、メタノールの32、エタノールの24、プロパノールの20、テトラヒドロフランの8、及びトルエンの2.3を含む。
【図17】プラズモン電流が入射励起強度と、さらに溶液中の染料の濃度との両方に依存することを示す図である。電流はレーザ(波長473nm及び500mW)によって誘起された。
【図18】金コロイドはイムノアッセイの励起可能プローブとして使用することができ、標的物質の量を決定する方法を提供することができることを示す図である。
【図19】ハイブリダイゼーションプロセスに引き続いて、プロセスの間に生成された電流を測定することができることを示す図である。
【図20】プラズモン電流は、金属構造体を含む表面の上部及び下部の両方からの励起を含めて、様々な実験形状で検出することができることを示す図である。
【図21】量子ドットは、金属構造体の近くに配置されると、プラズモン電流を同様に誘起することができることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、金属粒子の近くに蛍光体を配置することによって電流の流れを生成するためのシステム及び方法に関し、蛍光体の励起により、金属粒子に誘起ミラー双極子がもたらされ、かつ極性溶媒に伝達可能に接触する1つの金属粒子から隣接の金属粒子まで電流の流れがもたらされる。
【0028】
本発明は、薄い金属フィルム中の電気信号の形態で蛍光(発光、化学発光、燐光)特徴を検出することを説明する。通常、蛍光又は発光放出は、検出器、PMT(光電子増倍管)、CCD(電荷結合デバイス)カメラなどで検出される。しかし、金属に近接した蛍光体は金属中に電流を誘起することができ、それは図1Bに示されるような電流計を使用して検出することができる。
【0029】
蛍光の直接検出の概念は蛍光分光法及びその応用における非常に大きいブレークスルーである。この技術の可能性のある使用法には、携帯用デバイスに電力供給するのに使用することができる金属含有構造体を備えるイムノアッセイ、織物、及び布地が含まれ、外部検出器を必要とすることなく、図2に示されるように、今や抗原濃度を、直接に、最も重要なことにはデジタルで読むことができる。別の応用は太陽エネルギー変換にあり、昼光励起蛍光体は薄い金属フィルムに電流を生成することができる。
【0030】
本明細書で使用される「励起可能分子」は、電磁エネルギーによって励起し、金属構造体に近接した金属表面にミラー双極子を誘起することができる任意の物質を意味する。励起可能分子は、サンプル中の注目する分析物と明確に相互作用又は反応して1つ又は複数の光信号を供給することができる化学又は生化学の分子又はそれのフラグメントを包含するものである。
【0031】
その意味での励起可能分子は、限定はしないが、蛍光体、量子ドット(Qdot)、化学発光アルカリホスファターゼ及び他の化学発光標識、蛍光スフェア、すなわちfluospheres及びTransfluospheres、1つ又は複数の蛍光標識をドープした高分子ビーズ、蛍光ミクロスフェア、シリコンナノ粒子、シリカ及びシリケートドープ材料、半導体材料、Eタイプ蛍光発光団、Pタイプ蛍光発光団、フルオ−3及びフルオ−4カルシウム指示薬、カルシウムグリーン指示薬、フルオジン亜鉛指示薬、Cu2+、Cu+などを含む広範囲のイオンを検出するためのPhen Green、Zn2+を検出するためのNewport Green、鉛及びカドミウムを測定するためのLeadmium Green染料、遊離マグネシウムの電気検出のためのマグネシウムグリーン、マグネシウム検出のためのマグ−フラ−2及びマグ−インド−1、自由溶液及び細胞間の両方におけるカルシウム及びマグネシウムを共に検出するためのマグ−フルオ−4、フィコビリタンパク質(様々な形態)、バッキーボールやC60など、カーボンナノチューブ、カーディオグリーン/インドシアニングリーン蛍光指示薬、Ag、Au、Pt、Fe、Pd、Cu、Zn、Rh、Cr、Pbなどの金属のコロイド及び混合コロイド金属の組合せ、SNARF−1、SNARF−4F、SNARF−5F、デキストランBCECFなどのようなpH指示薬、ニトロ還元酵素及び硝酸還元酵素活性を検出するための6−クロロ−9−ニトロ−5−オキソ−5H−ベンゾ{a}フェノキサジン(CNOB)、SYTOXブルー、グリーン、オレンジ、レッドなどのSYTOX死細胞染色剤、DAPI及びプロピジウムアイオダイド標識、エチジウムブロマイド、Picogreen及びサイバーグリーンなどの二本鎖DNA検出用のプローブ、Alexa蛍光体系の染料、BODIPY及び関連構造染料、Cellular and Organelle lights(遺伝子によってコードされるタンパク質)、緑色蛍光タンパク質(GFP)及びその類似体、クマリン染料、プロダン及び関連構造染料、DisBAC4(3)及びCC2−DMPEなどの電圧感受性プローブ、及び/又はNcode miRNA標識化蛍光体を含むことができる。
【0032】
蛍光体は外因性蛍光体及び固有蛍光体を含むことができる。外因性蛍光体は別の物質に結合された蛍光体を指す。固有蛍光体は、蛍光体自体である物質を指す。例示的蛍光体は、限定はしないが、参照により本明細書に組み込まれるMolecular Probes Catalogueに列記されているものを含む。
【0033】
代表的な蛍光体は、限定はしないが、Alexa Fluor(登録商標)350、ダンシルクロリド(DNS−Cl)、5−(ヨードアセトアミド)フルオロセイン(5−IAF)、フルオロセイン5−イソチオシアナート(FITC)、テトラメチルローダミン5−(及び6−)イソチオシアナート(TRITC)、6−アクリロイル−2−ジメチルアミノナフタレン(アクリロダン)、7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3,−ジアゾール−4−イルクロリド(NBD−Cl)、エチジウムブロマイド、ルシファーイエロー、5−カルボキシローダミン6Gヒドロクロリド、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、Texas Red(商標)スルホニルクロリド、BODIPY(商標)、限定はしないが、1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸(ANS)及び6−(p−トルイジニル)ナフタレン−e−2−スルホン酸(TNS)を含むナフトールアミンスルホン酸、アントロイル脂肪酸、DPH、パリナリン酸、TMA−DPH、フルオレニル脂肪酸、フルオレセイン−ホスファチジルエタノールアミン、テキサスレッドホスファチジルエタノールアミン、ピレニル−ホスファチジルコリン、フルオレニル−ホスファチジルコリン、メロシアニン540、1−(3−スルホナトプロピル)−4−[−β−[2[(ジ−n−ブチルアミノ)−6ナフチル]ビニル]ピリジニウムベタイン(ナフチルスチリル)、3,3’ジプロピルチアジカルボシアニン(diS−C3−(5))、4−(p−ジペンチルアミノスリル)−1−メチルピリジニウム(di−5−ASP)、Cy−3ヨードアセトアミド、Cy−5−N−ヒドロキシスクシンイミド、Cy−7−イソチオシアナート、ローダミン800、IR−125、チアゾールオレンジ、アズールB、ナイルブルー、Alフタロシアニン、Oxaxine 1、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、Hoechst 33342、TOTO、アクリジンオレンジ、エチジウムホモダイマー、N(エトキシカルボニルメチル)−6−メトキシキノリニウム(MQAE)、Fura−2、カルシウムグリーン、カルボキシSNARF−6、BAPTA、クマリン、フィトフルオロ、コロネン、青色蛍光タンパク質、及び金属配位子錯体を含む。
【0034】
代表的な固有蛍光体は、限定はしないが、芳香環構造を有する有機化合物を含み、芳香環構造は、限定はしないが、NADH、FAD、チロシン、トリプトファン、プリン、ピリルミジン、脂質、脂肪酸、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオシド、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、砂糖、及びビタミンを含む。追加の好適な蛍光体には、酵素補因子、すなわちランタニド、青色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、又は突然変異体及びそれの誘導体が含まれる。
【0035】
本発明の実施形態は、トリガ剤又は補因子の存在下で発光反応に関与する化学発光標識又は部分に適用可能である。本出願では、限定ではなく例示のために、好ましい実施形態が化学発光標識及びトリガ剤に関して説明される。検出分子に付けられた標識は「標識」又は「標識剤」と呼ばれる。本明細書の目的のために、「トリガ剤又は補因子」は、反応に関与し、検出可能な応答を生成する化学発光標識以外の任意の化学種を記述するのに広く使用される。化学発光標識及びトリガ剤は光応答を生成する。
【0036】
好適な化学発光標識の例には、限定はしないが、ペルオキシダーゼ、バクテリアルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、官能化鉄ポルフィリン誘導体、ルミナール、イソルミノール、アクリジニウムエステル、スルホンアミドなどが含まれる。好ましい化学発光標識は、基質としてヒポキサンチンをもつキサンチンオキシダーゼを含む。トリガ剤は過ホウ酸塩、Fe−EDTA錯体、及びルミノールを含む。特定の化学発光標識の選択は、標識化要素を準備するコスト、検出分子に共有結合させるのに使用される方法、並びに検出分子及び/又は化学発光標識のサイズを含むいくつかの要因によって決まる。それに応じて、化学発光トリガ剤の選択は、使用される特定の化学発光標識によって決まることになる。
【0037】
化学発光反応は熱心に研究されており、文献に十分に文書化されている。例えば、ペルオキシダーゼは、化学発光として使用するために検出分子に付加するのに十分に適合する。次に、最初の反応で光放出を誘起するのに有効なトリガ剤は過酸化水素及びルミノールを含むであろう。ペルオキシダーゼの存在下で光応答を誘起するのに同様に使用することができる他のトリガ剤はイソブチルアルデヒド及び酸素を含む。
【0038】
ペルオキシダーゼにより抗体又は抗原などの検出分子を標識化する手順は当技術分野で知られている。例えば、ペルオキシダーゼ標識化抗体又は抗原を準備するために、ペルオキシダーゼ及び抗体又は抗原は各々別々にN−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロプリオナート(以下、SPDP)と反応させる。次に、SPDP標識化ペルオキシダーゼ、又はSPDP標識化抗原若しくは抗体は、チオール標識化ペルオキシダーゼ、又はチオール標識化抗原若しくは抗体を生成するためにジチオスレイトールと反応させる。次に、チオール誘導体は、SPDP標識化抗原若しくは抗体、又はSPDP標識化ペルオキシダーゼと結合することができる。
【0039】
固体基板に抗体又は抗原を取り付ける技法は同様に当技術分野でよく知られている。例えば、抗体は、グルタルアルデヒドを使用してホウケイ酸ガラスのシラン誘導体に共有結合で結合することができる。
【0040】
「生体分子」という用語は、自然界で生じるあらゆる分子又はそのような分子の誘導体を意味する。生体分子は活性又は不活性形態で存在することができる。「活性形態」とは、生体分子が、生物学的機能を行うことができる形態であることを意味する。「不活性形態」とは、生体分子が、生物学的機能を行うことができる前に自然に又は合成的に処理されなければならないことを意味する。好ましくは、生体分子は励起されると双極子モーメントを有し、それにより、近接する金属材料にミラー双極子を誘起することができる。例示的生体分子には、核酸、芳香族炭素環構造、NADH、FAD、アミノ酸、炭水化物、ステロイド、フラビン、タンパク質、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、ペプチド、核酸、脂肪酸、ミオグロビン、グルコースなどの糖類、ビタミン、補因子、プリン、ピリミジン、ホルマイシン、脂質、フィトクロム、フィトフルオロ、ペプチド、脂質、抗体、ビリルビン、トリプトファン、及びフィコビリンタンパク質が含まれる。
【0041】
直接読出し及び迅速動力学から直接的に利益を得ることができる多くの重要なアッセイがある。例えば、心臓発作患者、毒素ショック及び膵臓炎の患者のミオグロビン濃度。したがって、本発明は、アッセイ検出システムの反応速度を増加させるためのマイクロ波エネルギー又は音響エネルギーの使用を適宜含むことができる。そのため、本発明は、緊急処置室におけるポイントオブケア臨床的評価で使用することができる。
【0042】
本発明は、アッセイ検出システムの反応速度を増加させるためのマイクロ波エネルギー又は音響エネルギーの使用を適宜含むことができる。
【0043】
本発明のアッセイシステムは、励起エネルギーを供給するためにエネルギービームを任意の含有された蛍光体に誘導するための光源又はレーザ源をさらに備えることができる。レーザビームは、分子構成要素にビームを誘導するためにシステムに隣接して配置することができる。レーザは、励起のために固体又は液体源材料の特定の点にエネルギービームを合焦することができる任意のデバイスとすることができ、レーザはRF、赤外、マイクロ波からUVまでのエネルギーを送出することができる。
【0044】
光を放出するレーザなどの当業者に既知の任意の光源を使用することができ、ここで、光は広義に使用され、空間を伝搬し、可視光だけでなく赤外放射及び紫外放射も含む電磁放射を意味する。したがって、アッセイの表面の上に配置された単一の機器を使用して、蛍光分子を励起するためのエネルギーを生成することができる。光は、所望に応じてファイバから連続的に又は断続的に放出することができる。
【0045】
さらに、2光子励起は、連続又は短パルス幅(<50ps)、高繰返し率(>1MHz)のレーザダイオード源を使用して約375〜900nmで使用することができる。蛍光体に適合する様々なパルスレーザダイオード源は本発明で使用することができ、市販されている。
【0046】
さらにその上、本発明は波長可変Ti:サファイアレーザ励起及び多光子顕微で使用することができる。
【0047】
本発明は、楕円、球、三角形、棒様の形態の金属アイランドを備える。例示的な場合では、楕円アイランドは、3/2のアスペクト比を有し、球状コロイドは20〜60nmの直径を有する。しかし、本発明はいかなる特定の形状にも限定されない。既知の被覆技法を使用して、金属アイランドの配置は正確に制御して、10〜50nm程の近さであるが離れているようにすることができる。
【0048】
金属材料は多孔性3次元マトリクスの形態とすることができる。3次元マトリクスはナノ多孔性3次元マトリクスとすることができる。金属材料は金属コロイド粒子及び/又は金属−シリカ複合粒子を含むことができる。金属材料は凝結金属粒子及び/又は高分子マトリクス中の二成分連結粒子若しくは金属粒子を含むことができる。3次元マトリクスは、制御した細孔ガラスから、又は銀−シリカ合成物自体の集合体から構築されたマトリクスを使用して形成することができる。マトリクスは金属ナノ多孔性マトリクスとすることができ、そこを通して化学種は流れ、検出及び計数の両方がより効率的に行われることになる。
【0049】
励起分子から金属構造体へのミラー双極子の放出誘導は、検出されるべき励起性分子のタイプ及び金属のタイプに応じた距離で観察することができる。例えば、電流の誘起は、蛍光体が金属表面まで約5nm〜約200nmに配置される場合に観察することができる。好ましい距離は、金属表面まで約5nm〜約50nmであり、より好ましくは約10nm〜約30nmである。この尺度では、新しいレベルの感知、操作、及び制御の機会を与える現象はほとんどない。さらに、この尺度のデバイスは、サイズ、重さ、したがってコストの劇的な減少により性能、感度、及び信頼性を劇的に増強することができる。
【0050】
様々な表面増強蛍光効果が、ミラー、サブ波長若しくは半透明金属表面、銀アイランドフィルム、又は金属コロイドで期待される。より劇的な効果は、一般に、連続金属表面と比較してアイランド及びコロイドで観察される。銀アイランドは強度を5倍増加させ、一方、寿命を100分の1に減少させる著しい効果があった。そのような効果は、単に、放射減衰速度の増加によって説明することができる。
【0051】
銀金属アイランドの準備
アイランド粒子は清浄なビーカー中で様々な還元剤を使用して金属イオンを還元することよって準備される。例えば、迅速に撹拌された硝酸銀溶液に水酸化ナトリウムを加えて茶色の沈殿物を形成する。水酸化アンモニウムを加えて、沈殿物を再溶解する。溶液を冷却し、乾燥した石英スライドをビーカーに加え、それに続いてグルコースを加える。混合物を2分間撹拌した後、30℃に加温する。10〜15分後、混合物は黄緑色に変化し、濁ったようになる。銀粒子の薄膜がスライド上に形成されたことがそれらの緑褐色から分かる。スライドを純水ですすいだ後使用する。
【0052】
金属粒子を準備する代替手順も利用可能である。銀が主として使用されるが、それは銀のより長い表面プラズモン吸収からの色が見慣れているからである。
【0053】
銀コロイドの準備
コロイドはクエン酸塩還元金属によって懸濁液として準備することができる。好ましい金属は銀及び金である。やはり、金は、より短い波長の金の吸収のためのものとすることができる。しかし、金コロイドはより長い波長の赤及びNIR蛍光体で使用することができる。
【0054】
コロイドのサイズ及びそれらの均一性は、利用可能な金属粒子の光学的性質及びコロイドの光学的性質への界面化学の効果に関する広範な出版物によって決定することができる。
【0055】
金属粒子は、ガラス又は高分子の基板上に、シアニド(CN)、アミン(NH2)、又はチオール(SH)などの化学官能基を配置することによって表面に結合することができる。金属コロイドは高い親和力をもつそのような表面に自然に結合することが知られている。90,91,92
【0056】
金属コロイド(又は様々な他の非球状形状/粒子)は、さらに、有機高分子に共有結合又は非共有結合で組み込み、高分子マトリクスを形成することができ、拡散している化学種からの距離は放射減衰速度の増加、したがって量子収率の増加をもたらす。そのような高分子マトリクスは、低濃度化学種の検出/流動検出用途にとって理想的である。
【0057】
本発明の電極システムは、閉込め液体容器を含むことができ、閉込め液体容器は、その液体容器に取り付けられて、金属構造体に伝達的に接続される2つの電極、すなわちアノード及びカソード、又は溶液内に挿入することができる電極を含む。一般に、電極は任意の導電性金属から製作することができ、炭素、Pt、Pd、Ir、Au、Ruなどの貴金属又は合金、Ti又はTaなどの基板に堆積された貴金属又は合金を含むことができる。約10−4S/cmよりも大きい導電率を有する金属及び合金が好ましい。代替形態では、金属粒子のうちの2つにワイヤ電極を直接取り付けることができ、金属粒子及び取り付けられたワイヤは最適電流を検出するために十分に隔てられる。
【0058】
さらに、電極は、任意の導電性高分子、導電性セラミック、導電性ガラス、又はそれらの組合せから製作することができ、金属酸化物を含むことができ、スズ、鉛、バナジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、ロジウム、オスミウム、イリジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ニオブ、クロム、マンガン、ランタン、又はランタン系列金属或いはそれらの合金又は組合せから選択することができ、導電率を増加させるためにカルシウムのような添加物を含んでもよい。
【0059】
水溶液又は極性溶媒中の電解質は、電極間の電流の動きを増強するイオン導電性の水性若しくは非水性の溶液又は材料を含むことができる。電解質は、NaCl、KCl、NH4Cl、NaI、KI、NaAc、NaOH、AgNO3、CuSO4、LiClO4、NaClO4、KClO4、AgClO4、NaBrO4などを含むことができる。極性溶媒は水、エタノール、及びメタノールを含むことができる。
【0060】
本発明のこの実施形態は、さらに、臨床医学、環境モニタリング用途、直接及びデジタル読出しによる低濃度化学種の迅速な検出などの国土安全保障、工業プロセス、化学種のモニタなどの製薬産業、及びバイオハザードクリーンルームなどの還元雰囲気及び空間光で使用するためのセンサに広い用途を有することができる。
【0061】
蛍光体が銀金属構造体中にミラー双極子を誘起すると、近接場光誘起電流(光電流)が形成される。これらの小電流は銀被覆金属構造体を横切って移動することができる。興味深いことに、蛍光体の濃度が大きいほど、対応して誘起電流が増加する。図3は、銀アイランドフィルム上の2つの電極間に配置された水中のフルオレセイン(蛍光プローブ)の濃度に対する光誘起の電流の程度を示す。注目すべきことには、電流は、研究した蛍光プローブの3log10濃度に対して著しく増加する。この結果は、金属の近くに蛍光体が多く存在するほど、誘起電流が多く流れることを示唆している。従来の蛍光ベースイムノアッセイでは、検出される蛍光体の程度(通常、蛍光強度)は分析物濃度に直接関連し、アッセイで決定することができることに留意するのは興味深い。本明細書で示す結果が示唆するところによれば、蛍光ベースイムノアッセイは銀被覆表面に構成することができ、分析物(抗原)の濃度は、図1A及び図2によって示されるように、金属中の誘起電流によって決定することができる。注目すべきことには、読取りは純粋にデジタルであり、結合した蛍光の直接測定である。対照的に、現今の業界の蛍光ベースイムノアッセイは、アッセイからの蛍光を直接検出し、次にデジタルで表示することができる信号に変換する。その結果として、本手法は、蛍光を測定し、定量化する方法における重要なブレークスルーである。図3Aは、さらに、電流の流れの方向がサンプリング電極に対する励起スポットの位置によって決定され得ることを実証している。電流は、レーザスポット及び電極の位置に関して全く対称であり、すなわち正又は負の電流である。
【0062】
本技術の他の潜在的使用法
蛍光に基づく特徴の直接測定はそれ自体大きな分野(ビジネス)であるが、この技術の非常に有望な1つの用途は太陽エネルギー変換である可能性がある。蛍光体被覆銀基板は、太陽光照射の後、金属フィルム中に電流を誘起することができる(図4)ことも把握される。この図では、キセノンアークランプを使用して太陽光をシミュレートしている。図4の上部の装入図で分かるように、太陽光が断続的にゲート制御されるとき、電流は変調され、その効果は光によるSiF/蛍光体の直接照明によることを実証している。レーザ光も図4の下部の図に示されるようにプラズモン電流を引き起こす。
【0063】
プラズモン電流/電気の実証
図5の上部の示すところによれば、乾燥Sif(銀アイランドフィルム)は、外部光源によって照明されたときその中に電流が全くないかそれに近く、0nAの値が測定されている。しかし、水溶液がSiFの上に置かれると、5nAよりも大きい電流が生成される。興味深いことに、Xeアークランプ光源がオンオフで変調されるとき、電流は変調される。このバックグラウンド電流は金属SiFと水双極子の相互作用に起因する。しかし、蛍光体(蛍光性、燐光性、又は化学発光性の化学種)がSiFの水溶液に添加されると、かなり大きい電流がさらに観測され、30nAにも増加する。この電流は、図1Bに図式的に示したように、蛍光体双極子と金属との相互作用に起因する。この図から分かるように、Sif(及び実際に他の金属)の近くに蛍光体が存在すると電流が生じ、その電流は蛍光体の濃度に正比例し、それは蛍光の直接検出のための優れた技術になる。金属中の電流生成は、図6A及び6Bに示されるように、波長依存性であり、Sifの吸収スペクトルと金属の発光スペクトルとの両方に従うように思われる。
【0064】
図7は、様々なタイプの発色団、並びにさらに金及び銀のコロイドがプラズモン電流を誘起することができることを示す。プローブとして使用される励起可能分子では、プラズモン電気の程度は、溶液中のプローブ/蛍光体の濃度、蛍光体の吸光係数及び特定の遷移の振動子強度に依存する。さらに、誘起電流の大きさは、近接双極子のモル吸光係数に依存し(図7)、それは、他のプラズモンナノ構造がより大きい大きさの電流を誘起するのに優れていることを意味する(以下の図8〜11を参照)。
【0065】
誘起電流を引き起こすことができる蛍光体以外の他の標識
蛍光化学種に加えて、非蛍光化学種の使用を金属中に電流を誘起する標識と見なした。金、銀、銅、白金で構成されたものなどのナノ粒子は図8〜11に示されるように同様に作用する。図8は、SiF被覆表面上の固定化抗原に結合する、抗体に標識化した20nm及び40nmの両方の金コロイドを使用して構築された簡易なアッセイを示す。抗体金複合体のプラズモン吸収スペクトルが図8に示される。473nmレーザ線で励起されると、電流が図9に示されるようにSiFに誘起される。電流はレーザ源のオンオフゲーティングによりゲート制御され、それにより、この効果は金コロイド標識化抗体でインキュベートされたアッセイ基板上の光に起因することが実証される。注目すべきことには、誘起電流は、図10に示されるように、同じアッセイシステムで蛍光体により誘起される電流よりも著しく多い。これは、蛍光体標識と比較してコロイド標識により励起波長でより大きい双極子モーメントが観測されることによる。興味深いことに、及び蛍光体と同様に、電流の波長依存は、図11に示されるように、コロイド標識並びにSif(アイランドフィルム)自体の両方の吸収スペクトルの関数である。興味深いことに、波長が短いほど電流は多くなり、それはSiFプラズモン吸収極大の位置に起因すると考えられる。コロイドが大きいほど多くの電流が誘起され、水バックグラウンドはコロイドからの誘起電流と比べて低いことは明らかである。システムが表面、すなわち銀アイランド表面のプラズモン吸収最大で励起される場合、最大電流が観測される。大きい誘起電流のために、コロイドはプローブとして優れている。
【0066】
図12及び13は、双極子モーメントを有し、金属粒子にミラー双極子を誘起する能力がある抗体の使用を示す。特に、多くの抗原では、それに単一の抗体しか結合できず、そのため、これらの化学種を検出するのに蛍光を使用するのは難しい。抗体はそのような抗原を捕捉するために表面に結合することができ、抗原は、励起の際、金属材料に双極子を誘起し、それにより電流を誘起することができる双極子モーメントを有する。これは、1つの抗体だけが抗原を拘束できる用途に非常に有用になるはずである。蛍光体は図13に示されるように使用することもできる。
【0067】
図14は、プラズモン電流が溶液の塩濃度に依存し得ることを示す。図14に示されるように、NaCl濃度が増加すると共に銀アイランドフィルム中の電流が増加する。図15に示されるように、染料は、70mMのNaClを有する水溶液に溶解されることによってはるかに大きい電流を生成する。プラズモン電流は、バイオアッセイで非常に効果的になり得る塩溶液の存在下で容易に検出された。様々な溶媒は、図16A及びBに示されるように、様々なレベルのプラズモン電流を同様に誘起することができる。溶媒の誘電率が増加するにつれて、SiFスライドの観測電流も図16Bに示されるように増加する。明らかに、約80の誘電率を有する水は最高レベルの電流を誘起する。
【0068】
図17は、プラズモン電流が入射励起強度と、さらに溶液中の染料の濃度との両方に依存することを示す。空間的に隔てられた銀構造体を含む銀被覆スライドが準備され、FITCを励起可能分子として含んでいた。励起強度が増加するにつれて電流も増加することは明らかである。さらに、FITCが増加すると、電流が増加する。そのため、標的物質の結合が増加することに起因してFITCの結合がシステム中で増加するので、この方法及びシステムは標的物質の量を決定するのに使用することができ、ここで、電流の量は標的物質の結合量に比例する。
【0069】
図18は、金属の金プローブが、基板表面に固定された銀構造体と組み合わせて励起可能分子として使用されるシステムを示す。ウサギ抗体IgGが銀構造体に接続され、次に、遊離抗IgGが固定化抗体に結合するために導入される。遊離抗体は金コロイドに結合するか、又は金コロイドに結合する可能性がある。図18に示されるように、金コロイドの量が増加する(固定化IgGへの遊離抗IgGの結合が増加する)につれて、電流が増加し、やはり、この方法は標的物質を定量化するのに使用することができる。
【0070】
図19は、ハイブリダイゼーション反応が後に続くことができることを示す結果と、いつハイブリダイゼーションが完了するかに関する指標とを与える。このシステムは基板に固定された銀構造体を含み、基板はそのようなハイブリダイゼーション用のヌクレオチドプライマーを含む。遊離ヌクレオチドが固定化プライマーとハイブリッド化するとき、蛍光体は銀構造体から正確な距離に配置され、金属構造体中に電流を生じさせる。図19に示されるように、ハイブリダイゼーションプロセスが進行中であるとき、電流は増加し、ハイブリダイゼーションが完了するとき、電流は減少する。特に、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)は、さらに、プラズモン電気の低減を引き起こすことがある。
【0071】
図20は、プラズモン電流が473nmレーザによる照射によってSiF:ローダミン−B結合対に誘起されることを示す。この図は、電子を伝導できる溶液中で、ガラス基板に固定された銀金属構造体を使用するセットアップを示す。蛍光体ローダミン−Bは金属構造体に結合され、励起に際して、エネルギーは金属表面に転移され、電流が誘起される。励起はシステムの上部又は下部に与えることができる。
【0072】
図21は、励起可能分子として作用する量子ドットが金属構造体の近くに配置されると、プラズモン電流を同様に誘起することができることを示す。
【0073】
上記で示したように、本発明は、下記のものを含むプラズモン電気の多数の使用法を可能にする。
・蛍光、燐光、又は化学発光特徴の直接測定としての使用法
・追加のアナログ−デジタル変換プロセスを必要とすることなく上述のもののデジタル読出しを行う使用法
・イムノアッセイにおいて、蛍光又は別の発光特徴ではなく誘起電流を測定することによる表面分析物の直接測定としての使用法
・蛍光を電気に直接変換する新しい種類の検出器としての使用法
・太陽光発電デバイスにおいて、蛍光体又は他のナノ粒子標識を伴う又は伴わない使用法
・イムノアッセイを壁ソケットから離して自己電力供給させることができる使用法
・多重化及び高スループットのスクリーニング用途における使用法
・光を電子回路用の電気に変換するためのデバイスとしての使用法
・DNAアッセイにおいて、DNAハイブリダイゼーション事象の直接測定としての使用法
・RNAアッセイにおいて、ハイブリダイゼーションの後にRNAアッセイからの電流を直接測定する使用法
・化学発光アッセイにおいて、西洋わさびペルオキシダーゼ基質を利用する使用法
・金属基板からの蛍光(又は他の双極子)の距離を測定する技術としての使用法
・発光ダイオード構成物中での使用法
・蛍光ベースイムノアッセイにおいて蛍光検出光学系を除去する技術としての使用法、(単に誘起電流を測定し、様々な検出器、光学系、及びフィルタを使用して蛍光を測定する必要がない)
・ラジオ、アイポッド、及び通信デバイスなどの携帯用デバイスを充電する、又はそれに電力供給するのに使用される織物などの導電性材料としての使用法
・自己冷却デバイスに取り付けられる、又は織物の色変化を可能にする導電性織物としての使用法
【0074】
参照文献
ここに挙げられた総ての参照文献の内容は、あらゆる目的に対して参照により本明細書に組み込まれる。
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(17) Suslick, K. S.; Flannigan, D. J. Annu Rev Phys Chem 2008, 59, 659-683.
(18) Neppiras, E. A. Phys. Rep. 1980, 61, 159-251.
(19) Aslan, K.; Leonenko, Z.; Lakowicz, J. R.; Geddes, C. D. Journal of Fluorescence 2005, 15, 643-654.
(20) Lofas, S.; Malmqvist, M.; Ronnberg, I.; Stenberg, E.; Liedberg, B.; Lundstrom, I. Sensors and Actuators B-Chemical 1991, 5, 79-84.
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年12月14日に出願された米国特許仮出願第61/286,331号の優先権を主張するものであり、その内容はあらゆる目的に対して参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電気エネルギーの流れを生成するシステムに関し、より詳細には、蛍光、発光、化学発光、又は燐光特徴を電気信号の形態で検出する検出システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
バイオアッセイを使用するタンパク質及び他の生体分子の同定及び定量化はバイオ医学及び生化学用途において非常に重要である。1−3蛍光はこれらの用途の大部分において主要な技術であり、注目する生体分子は蛍光体で標識された結合パートナーからの蛍光放出によって検出される。4,5平坦な表面で行われる蛍光ベースバイオアッセイは一般に感度を欠き、高価な光学機器を必要とする。6,7さらに、これらの分析のバイオ認識事象は本質的に遅い(数分〜数時間)。6,7蛍光ベースアッセイの感度は、これらのアッセイにプラズモン共振粒子(PSP)を組み込むことによって高級な光学機器を使用することなしに改善することができる。8,9感度の改善は、金属増強蛍光(MEF)と呼ばれる現象によって説明される、PSPに近接して配置された蛍光体の蛍光特徴の増加及び寿命の減少によって可能になる。8,10MEFベースバイオアッセイでは、PSP(一般に銀ナノ粒子)が平坦な表面上に堆積され、バイオアッセイがPSP上に構築される。8大部分の生体分子のサイズはPSP(20〜100nm)よりも小さいので、蛍光体は、その放出がPSPの表面プラズモンとの相互作用により増加される距離内に配置される。10
【0004】
近接した金属ナノ粒子と発光化学種の相互作用は広く研究されている。これらの近接場相互作用は大部分が非常に複雑であるが、金属中にミラー双極子を誘起する近接蛍光体に起因するものであり、その結果として放出の形態で結合量子を放射するものとして単純に現象学的に理解することができる(図1A)。この相互作用は以前より適宜に「金属増強蛍光」と呼ばれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
数十年間、蛍光ベース技術は、光子束をデジタル特徴に変換するのに光電子増倍管又は電荷結合素子(CCD)カメラなどの光検出器に依存してきた。ほぼすべてのそのような機器はこれらのタイプの1つ又は複数の検出器を包含している。しかし、そのような検出器は高価であり、追加の装置を必要とする。したがって、蛍光、発光、化学発光、生物発光、又は燐光特徴を、金属構造体によって伝導される電気信号の形態で検出することは有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、蛍光、発光、化学発光、又は燐光放出プローブから金属粒子の表面にエネルギーを転移することよって引き起こされ、金属構造体によって伝導される電気信号の形態の蛍光、発光、化学発光、又は燐光特徴などの放出信号を検出する検出システム及び方法に関する。したがって、本発明は、高価な検出器を必要とすることなく蛍光をデジタルで直接的に検出するのを可能にする。
【0007】
一般に、従来の蛍光体はエネルギーを放出する励起可能分子源として使用し、金属表面にミラー双極子モーメントを誘導することができる。さらに、プローブ又は標識が近接場内にある、すなわち金属構造体に接近しているときプラズモン電気を生成することになる誘導励起性プローブ又は標識源には、限定はしないが、量子ドット(Qdot)、化学発光アルカリホスファターゼ及び他の化学発光標識、蛍光スフェア、1つ又は複数の蛍光標識をドープした高分子ビーズ、蛍光ミクロスフェア、シリコンナノ粒子、シリカ及びシリケートドープ材料、半導体材料、Eタイプ蛍光発光団、Pタイプ蛍光発光団、フルオ−3及びフルオ−4カルシウム指示薬、カルシウムグリーン指示薬、フルオジン亜鉛指示薬、Cu2+、Cu+などを含む広範囲のイオンを検出するためのPhen Green、Zn2+を検出するためのNewport Green、鉛及びカドミウムを測定するためのLeadmium Green染料、遊離マグネシウムの電気検出のためのマグネシウムグリーン、マグネシウム検出のためのマグ−フラ−2及びマグ−インド−1、自由溶液及び細胞間の両方におけるカルシウム及びマグネシウムを共に検出するためのマグ−フルオ−4、フィコビリタンパク質(様々な形態)、バッキーボールやC60など、カーボンナノチューブ、カーディオグリーン/インドシアニングリーン蛍光指示薬、Ag、Au、Pt、Fe、Pd、Cu、Zn、Rh、Cr、Pbなどの金属のコロイド及び混合コロイド金属の組合せ、SNARF−1、SNARF−4F、SNARF−5F、デキストランBCECFなどのようなpH指示薬、ニトロ還元酵素及び硝酸還元酵素活性を検出するための6−クロロ−9−ニトロ−5−オキソ−5H−ベンゾ{a}フェノキサジン(CNOB)、SYTOXブルー、グリーン、オレンジ、レッドなどのSYTOX死細胞染色剤、DAPI及びプロピジウムアイオダイド標識、エチジウムブロマイド、Picogreen及びサイバーグリーンなどの二本鎖DNA検出用のプローブ、Alexa蛍光体系の染料、BODIPY及び関連構造染料、Cellular and Organelle lights(遺伝子によってコードされるタンパク質)、緑色蛍光タンパク質(GFP)及びその類似体、クマリン染料、プロダン及び関連構造染料、DisBAC4(3)及びCC2−DMPEなどの電圧感受性プローブ、及び/又はNcode miRNA標識化蛍光体を含めることができる。
【0008】
一態様では、本発明は、電流を生成するためのシステムに関し、このシステムは、
基板上に配置された、空間的に離間された固定化金属構造体を含む基板であって、金属構造体は、粒子、ナノ構造体、アイランド、又はコロイドとして形成され、極性溶液で少なくとも部分的に覆われる、基板と、
基板上に配置された金属構造体のうちの少なくとも2つと伝達的に接触する、1組の導電性電極と、
電磁エネルギーで励起されると、蛍光、発光、又は燐光特徴を放出する励起性プローブであり、そのような励起が励起性プローブから約5nm〜約50nmに配置された金属構造体にミラー双極子を誘起し、それによってプラズモン電流の流れを生じさせる、励起性プローブと、
を含む。
【0009】
重要なことには、電流は、励起性プローブの量が増加するにつれて増加し、それによって、標的物質に励起性プローブが結合する量に比例した電気信号を供給するアッセイが可能になる。
【0010】
上述の方法及びシステムは、限定はしないが、イムノアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、共鳴エネルギー転移アッセイ、分極/異方性ベースアッセイ、化学発光ベースアッセイ、発光ベースアッセイ、酵素結合免疫吸着測定法を含む多数の検出システムで使用することができる。
【0011】
別の態様では、
表面上に配置された導電性金属構造体であり、粒子、ナノ構造体、アイランド、又はコロイドとして形成される、導電性金属構造体と、
導電性金属構造体の近くに配置するための少なくとも1つの蛍光体であり、金属構造体にミラー双極子を誘起することができ、導電金属構造体から約5nm〜約50nmに配置される、蛍光体と、
少なくとも2つの導電性金属構造体に伝達的に接続された第1及び第2の電極であり、電流読取りデバイスに伝達的に接続される、第1及び第2の電極と、
蛍光体を励起し、プラズモン電流の流れを生じさせる金属材料にミラー双極子を誘起するための電磁エネルギー源であり、電流読取りデバイスによって検出されるべき電流を増加させるために第1又は第2の電極から離して配置される、電磁エネルギー源と、
を含む検出システムを本発明は可能にする。
【0012】
本発明は、紫外線(UV)から赤外線(IR)までの範囲の放射に接触したとき光エネルギーを放出する能力がある蛍光、発光、化学発光、又は燐光構成要素を含む。
【0013】
別の態様では、本発明は金属増強蛍光感知の方法に関し、この方法は、
検出システムで使用される表面に導電性金属構造体をつける工程であり、表面がガラス、セルロース、石英、又は高分子材料を含み、表面が第1及び第2の端部を有し、第1及び第2の端部並びに少なくともいくつかの金属構造体が第1及び第2の電極に伝達的に接続され、電極がその間に配置された電流測定デバイスを有する、工程と、
導電性金属構造体を覆うための極性溶液を供給する工程と、
導電性金属表面の近くに配置するための少なくとも1つの励起性プローブを導入する工程であり、励起により双極子モーメント及び/又は蛍光が生じるのを励起性プローブが可能にする、工程と、
双極子モーメント及び/又は蛍光を生じさせるために電磁気源で励起性プローブを励起し、それによって、そのような励起が金属構造体に双極子を誘起し、プラズモン電流の流れを生じさせる工程と、
電流計などの電流読取りデバイスによりプラズモン電流の流れを測定する工程と、
を含む。
【0014】
好ましくは、電極は最適電流読取りを行うために十分な距離だけ隔てられ、その離間は約5nm〜100nmである。
【0015】
さらなる別の態様では、本発明は、光検出器を使用することなくサンプル中の標的病原体を検出する方法を提供し、この方法は、
極性溶液中の表面基板上に配置された固定化金属構造体であり、基板が第1及び第2の端部を有し、基板の第1及び第2の端部が電極を含むか、又は少なくともいくつかの金属構造体が第1及び第2の電極に伝達的に接続され、標的病原体の既知のDNA配列に相補的な固定化捕捉DNA配列プローブを取り付けられている、固定化金属構造体と、
標的病原体の既知のDNA配列に相補的な遊離捕捉DNA配列プローブであり、蛍光体又はそれの等価物を取り付けられている、遊離捕捉DNA配列プローブと
を含むシステムを準備する工程と、
固定化捕捉DNA配列プローブにサンプルを接触させる工程であり、標的病原体の任意のDNA配列が固定化捕捉DNA配列プローブに結合する、工程と、
遊離捕捉DNA配列プローブに標的病原体の結合DNA配列を接触させる工程であり、標的病原体のDNA配列に遊離捕捉DNA配列プローブを結合することにより、金属材料に双極子を誘起するように蛍光体又はその等価物が固定化金属構造体から約5nm〜約50nmに配置される、工程と、
金属材料から所定の距離に配置された蛍光体又はその等価物を励起するためにUVからIRまでの範囲の電磁エネルギーでシステムを照射する工程と、
電極間に配置された電流検出器でプラズモン電流の流れを測定する工程であり、電流が蛍光体又はそれの等価物の量に比例する、工程と、
を含む。
【0016】
好ましくは、導電性金属材料は、ナノ構造体、アイランド、コロイドなどの金属粒子、多孔質マトリクス、又は半連続的金属表面の形態をとる。金属材料は、銀、金、白金、亜鉛、アルミニウム、インジウム、パラジウム、ロジウム、鉄、ニッケル、銅、及びそれらの組合せなどの金属の任意の形態を含むことができ、より好ましくは、金属材料は銀である。基板は、ガラス、石英、セルロース、及び/又は高分子材料を含むことができる。
【0017】
好ましくは、金属材料は粒子の形態をしており、最適電流を供給するようにある距離隔てられ、抵抗は連続的金属フィルムよりも高い。好ましくは、各金属粒子の少なくとも一部は、双極子モーメントを有し、誘導性である、水などの極性溶媒又は双極性非プロトン性溶媒、メタノール又は酢酸を含む他の極性溶媒、イオン食塩水及び/又はアセトン、エチレンアセテートと接触する。
【0018】
蛍光を発することができ、及び/又は電磁エネルギーによる励起の際に双極子モーメントを示す分子は、限定はしないが、蛍光体、発色団、発光団、生体分子、又は固有若しくは外因性発光活性を可能にする任意の分子若しくはデバイスを含む。
【0019】
一態様では、本発明は、金属表面の近くに配置された化学発光ベース反応の効果を強化するための金属表面を含むバイオアッセイシステムに関し、金属表面プラズモンが化学発光化学種の化学的誘起の電気的励起状態により励起され、化学発光反応からのエネルギーの転移により、電流デバイスで測定することができる金属構造体中のプラズモン電流の流れが誘起される。
【0020】
さらなる態様では、本発明はアッセイに関し、その方法は、
少なくとも1つの液体容器又は入れ物を準備する工程であり、第1及び第2の電極が液体容器内に配置されるか、又はそれに伝達的に接続される、工程と、
金属ナノ構造体を液体容器に導入する工程であり、液体容器が極性溶液を含み、金属ナノ構造体が溶液中で遊離することができるか、又は液体容器の表面に接続され、かつ第1及び第2の電極に伝達的に接続され得る、工程と、
励起に際して双極子活性を示す分子を導入し、そのような分子を金属ナノ構造体の近くに配置する工程であり、金属ナノ構造体にミラー双極子を誘起するように分子が金属ナノ構造体の所定の近隣に配置される、工程と、
電流の流れを測定する工程と
を含む。
【0021】
さらなる別の態様では、本発明は金属増強化学発光感知の方法に関し、この方法は、
検出システムで使用される表面に空間的に離間された金属構造体をつける工程であり、少なくとも2つの金属構造体が1組の電極に接続される、工程と、
金属構造体の近くに配置するための少なくとも1つの生体分子を含む溶液を導入する工程であり、生体分子が化学発光標識を含む、工程と、
金属構造体から約5nm〜約30nmの距離で化学的電子的励起状態を誘起するために化学発光標識をトリガし、それによって金属表面プラズモンを生成し、金属構造体にミラー双極子を誘起し、溶液中に電流の流れを生成する工程と、
を含む。
【0022】
別の態様では、本発明は、化学発光を測定するためのシステムに関し、このシステムは、
表面基板上に配置された部分的金属化表面であり、金属化表面が極性溶媒に接触し、基板又は部分的金属化表面が1組の電極に接続される、部分的金属化表面と、
試験サンプル中の所望の分子に結合するか又はそれを捕捉するために、部分的金属化表面に又は部分的金属化表面の近くに取り付けられるコネクタ分子と、
所望の分子に親和性を有する検出分子であり、化学発光標識を含む、検出分子と、
化学的誘起の電気的励起状態を生成するために化学発光標識と化学的に反応し、部分的金属表面にミラー双極子を誘起し、極性溶媒中に電流の流れを誘起するトリガリング構成要素であり、電流の流れが測定され、そのような流れが試験サンプル中の所望の分子の量に比例する、トリガリング構成要素と、
を含む。
【0023】
電流を伝導するためのシステムであって、このシステムは、
極性溶液中に分散された金属粒子であり、固有又は外因性蛍光体分子への接続に適応でき、固有又は外因性蛍光体分子から約5nm〜約20nmに配置される、金属粒子と、
UVからIRまでの範囲で、蛍光体又は標識源を励起するのに十分な量の放射を送り出す電磁エネルギーの供給源であり、そのような励起が金属粒子にミラー双極子を生じさせ、溶液中に電流の流れを誘起する、電磁エネルギーの供給源と、
を含む。
【0024】
さらにその上、本発明は、誘起プラズモン電流の流れの視覚画像及び直接デジタル読出しを提供することができる顕微鏡と組み合わせたプラズモン電気の本発明の概念を使用することに関し、このシステムは、基板上に堆積された金属粒子を有する基板を含み、基板は、顕微鏡で使用されるように構成されたスライドであり、基板又は金属粒子のうちの2つが電極に適応され、電流読取りデバイスに取り付けられる。
【0025】
本発明の他の態様及び利点は次の開示及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】金属増強蛍光の現在の解釈の図式表示の図である。
【図1B】励起蛍光体又は標識源と銀ナノ粒子の表面プラズモンとの結合によるプラズモン電流、電流を測定するための電流計をもつ電極セットアップ、F(蛍光体)、MEF(金属増強蛍光)、PC(プラズモン電流)、Ag(銀ナノ粒子)を示す図である。
【図2】(A)フルオレセインで標識化された付加的な抗IgGの濃度へのウサギIgGで覆われたSiFのプラズモン電流(PC)の依存性を示す図、及び(B)実験の図式解釈を与える図である。
【図3A】水中において、フルオレセインイソチオシアナート(FITC)によって覆われたSiF(R>>200MOhm/cm)にレーザ(473nm)によって誘起されたプラズモン電流(PC)を示す図である。電極間距離は10mmである。SiF上の励起スポットは左の電極から右の電極まで移動された。
【図3B】観測されたプラズモン電流の流れの方向が電極自体からの励起スポットの距離に非線形に依存することを示す図である。
【図4】Xeアークランプ、及びさらに473nmレーザの使用によるFITC−SiF(H2O)の照射を示す図である。
【図5】上部はSiF(乾燥サンプル)に誘起された電流を示し、中部は湿性SiF(H2O)によって誘起された電流を示し、下部は(FITC)で被覆されたSiF−水溶液を示す図である。スライドの照射はXeアークランプで行われた。手動の光遮断は約5秒の間隔で急峻に成し遂げられた。SiFは銀アイランドフィルムである。
【図6A】堆積されたFITC標識化ヒト血清アルブミン(HSA-FITC)又は溶媒(水)を含むSiFに光によって誘起された電流の励起波長への依存を示す図であり、観測された電流はレーザパワー偏差に関して補正されている。励起はレーザで行われた。光発生のパワーは中性フィルタ(NF)によって約20〜50mWに調整された。ある特定の波長の電流の補正は、46.5mWのパワーに正規化することによって行われた(473nm−レーザ(500mW)のパワーがN−フィルタ(OD473=1.04o.u.)で減衰された)。[HSA−FITC]=水中において0.65mM、pH5.5。
【図6B】堆積されたFITC標識化ヒト血清アルブミン(HSA-FITC)又は溶媒(水)を含むSiFに光によって誘起された電流の励起波長への依存を示す図であり、HSA−FITCの電流への寄与、SiF及びFITCの吸収を示す。励起はレーザで行われた。光発生のパワーは中性フィルタ(NF)によって約20〜50mWに調整された。ある特定の波長の電流の補正は、46.5mWのパワー(473nm−レーザ(500mW)のパワーがN−フィルタ(OD473=1.04o.u.)で減衰された)に正規化することによって行われた。[HSA−FITC]=水中において0.65mM、pH5.5。
【図7】473nmのレーザ照射の際にSiF−染料組織によって生成された電流の研究した染料の吸光係数への依存性を示す図である。観測された電流は150mMの濃度の染料によって誘起された電流に正規化されており、電流対染料濃度の線形依存性を呈する。
【図8】(A)20nm及び40nmの金複合化抗IgG(ラビット)の吸収スペクトルを示す図、並びに(B)光励起の際のプラズモン電流(PC)に基づいた模型免疫アッセイ(IgG−抗IgG)の図式表示の図である。Agは銀アイランドであり、Auは抗IgGに複合した金ナノ粒子である。
【図9】40nm金複合化抗IgGで覆われたSiF−IgGに誘起された電流を示す図である。lexは473nmであり、金−抗IgGの濃度は0.1nMであった。
【図10】SiF−IgGスライド中に473nmレーザによって誘起された電流の抗IgG複合体(20nm及び40nmの金、又はFITC)の濃度への依存性を示す図である。
【図11】20nm及び40nm金複合化抗IgGで被覆されたSiF−IgGスライドの電流の励起波長への依存性を示す図である。レーザパワーは約45mWに正規化された。
【図12】結合抗原を検出するための抗体の使用を示す図であり、結合抗原は双極子モーメントを示し、金属粒子中に双極子を誘起し、それによって電流の流れを生成する。
【図13】2つの抗体の使用を示す図であり、一方が標的抗原を捕らえ、他方は、励起の際に金属材料中に誘起双極子を生じさせる蛍光体標識を準備する。
【図14】プラズモン電流が溶液中の電解質の濃度に依存することを示す図である。SiF:溶媒中の電流は473nmレーザ照射によって誘起され、溶液のpHは7.4で一定であった。
【図15】様々な染料の溶液で覆われたSiFに、473nmレーザ放射によって誘起されたプラズモン電流を示す図である。染料は、水中、及び70mMのNaClに溶解された。
【図16】様々な溶媒がプラズモン電流の広がりを誘起できることを示す図である。溶媒の誘電率εは、水の80、DMSOの46、DMFの36、メタノールの32、エタノールの24、プロパノールの20、テトラヒドロフランの8、及びトルエンの2.3を含む。
【図17】プラズモン電流が入射励起強度と、さらに溶液中の染料の濃度との両方に依存することを示す図である。電流はレーザ(波長473nm及び500mW)によって誘起された。
【図18】金コロイドはイムノアッセイの励起可能プローブとして使用することができ、標的物質の量を決定する方法を提供することができることを示す図である。
【図19】ハイブリダイゼーションプロセスに引き続いて、プロセスの間に生成された電流を測定することができることを示す図である。
【図20】プラズモン電流は、金属構造体を含む表面の上部及び下部の両方からの励起を含めて、様々な実験形状で検出することができることを示す図である。
【図21】量子ドットは、金属構造体の近くに配置されると、プラズモン電流を同様に誘起することができることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、金属粒子の近くに蛍光体を配置することによって電流の流れを生成するためのシステム及び方法に関し、蛍光体の励起により、金属粒子に誘起ミラー双極子がもたらされ、かつ極性溶媒に伝達可能に接触する1つの金属粒子から隣接の金属粒子まで電流の流れがもたらされる。
【0028】
本発明は、薄い金属フィルム中の電気信号の形態で蛍光(発光、化学発光、燐光)特徴を検出することを説明する。通常、蛍光又は発光放出は、検出器、PMT(光電子増倍管)、CCD(電荷結合デバイス)カメラなどで検出される。しかし、金属に近接した蛍光体は金属中に電流を誘起することができ、それは図1Bに示されるような電流計を使用して検出することができる。
【0029】
蛍光の直接検出の概念は蛍光分光法及びその応用における非常に大きいブレークスルーである。この技術の可能性のある使用法には、携帯用デバイスに電力供給するのに使用することができる金属含有構造体を備えるイムノアッセイ、織物、及び布地が含まれ、外部検出器を必要とすることなく、図2に示されるように、今や抗原濃度を、直接に、最も重要なことにはデジタルで読むことができる。別の応用は太陽エネルギー変換にあり、昼光励起蛍光体は薄い金属フィルムに電流を生成することができる。
【0030】
本明細書で使用される「励起可能分子」は、電磁エネルギーによって励起し、金属構造体に近接した金属表面にミラー双極子を誘起することができる任意の物質を意味する。励起可能分子は、サンプル中の注目する分析物と明確に相互作用又は反応して1つ又は複数の光信号を供給することができる化学又は生化学の分子又はそれのフラグメントを包含するものである。
【0031】
その意味での励起可能分子は、限定はしないが、蛍光体、量子ドット(Qdot)、化学発光アルカリホスファターゼ及び他の化学発光標識、蛍光スフェア、すなわちfluospheres及びTransfluospheres、1つ又は複数の蛍光標識をドープした高分子ビーズ、蛍光ミクロスフェア、シリコンナノ粒子、シリカ及びシリケートドープ材料、半導体材料、Eタイプ蛍光発光団、Pタイプ蛍光発光団、フルオ−3及びフルオ−4カルシウム指示薬、カルシウムグリーン指示薬、フルオジン亜鉛指示薬、Cu2+、Cu+などを含む広範囲のイオンを検出するためのPhen Green、Zn2+を検出するためのNewport Green、鉛及びカドミウムを測定するためのLeadmium Green染料、遊離マグネシウムの電気検出のためのマグネシウムグリーン、マグネシウム検出のためのマグ−フラ−2及びマグ−インド−1、自由溶液及び細胞間の両方におけるカルシウム及びマグネシウムを共に検出するためのマグ−フルオ−4、フィコビリタンパク質(様々な形態)、バッキーボールやC60など、カーボンナノチューブ、カーディオグリーン/インドシアニングリーン蛍光指示薬、Ag、Au、Pt、Fe、Pd、Cu、Zn、Rh、Cr、Pbなどの金属のコロイド及び混合コロイド金属の組合せ、SNARF−1、SNARF−4F、SNARF−5F、デキストランBCECFなどのようなpH指示薬、ニトロ還元酵素及び硝酸還元酵素活性を検出するための6−クロロ−9−ニトロ−5−オキソ−5H−ベンゾ{a}フェノキサジン(CNOB)、SYTOXブルー、グリーン、オレンジ、レッドなどのSYTOX死細胞染色剤、DAPI及びプロピジウムアイオダイド標識、エチジウムブロマイド、Picogreen及びサイバーグリーンなどの二本鎖DNA検出用のプローブ、Alexa蛍光体系の染料、BODIPY及び関連構造染料、Cellular and Organelle lights(遺伝子によってコードされるタンパク質)、緑色蛍光タンパク質(GFP)及びその類似体、クマリン染料、プロダン及び関連構造染料、DisBAC4(3)及びCC2−DMPEなどの電圧感受性プローブ、及び/又はNcode miRNA標識化蛍光体を含むことができる。
【0032】
蛍光体は外因性蛍光体及び固有蛍光体を含むことができる。外因性蛍光体は別の物質に結合された蛍光体を指す。固有蛍光体は、蛍光体自体である物質を指す。例示的蛍光体は、限定はしないが、参照により本明細書に組み込まれるMolecular Probes Catalogueに列記されているものを含む。
【0033】
代表的な蛍光体は、限定はしないが、Alexa Fluor(登録商標)350、ダンシルクロリド(DNS−Cl)、5−(ヨードアセトアミド)フルオロセイン(5−IAF)、フルオロセイン5−イソチオシアナート(FITC)、テトラメチルローダミン5−(及び6−)イソチオシアナート(TRITC)、6−アクリロイル−2−ジメチルアミノナフタレン(アクリロダン)、7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3,−ジアゾール−4−イルクロリド(NBD−Cl)、エチジウムブロマイド、ルシファーイエロー、5−カルボキシローダミン6Gヒドロクロリド、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、Texas Red(商標)スルホニルクロリド、BODIPY(商標)、限定はしないが、1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸(ANS)及び6−(p−トルイジニル)ナフタレン−e−2−スルホン酸(TNS)を含むナフトールアミンスルホン酸、アントロイル脂肪酸、DPH、パリナリン酸、TMA−DPH、フルオレニル脂肪酸、フルオレセイン−ホスファチジルエタノールアミン、テキサスレッドホスファチジルエタノールアミン、ピレニル−ホスファチジルコリン、フルオレニル−ホスファチジルコリン、メロシアニン540、1−(3−スルホナトプロピル)−4−[−β−[2[(ジ−n−ブチルアミノ)−6ナフチル]ビニル]ピリジニウムベタイン(ナフチルスチリル)、3,3’ジプロピルチアジカルボシアニン(diS−C3−(5))、4−(p−ジペンチルアミノスリル)−1−メチルピリジニウム(di−5−ASP)、Cy−3ヨードアセトアミド、Cy−5−N−ヒドロキシスクシンイミド、Cy−7−イソチオシアナート、ローダミン800、IR−125、チアゾールオレンジ、アズールB、ナイルブルー、Alフタロシアニン、Oxaxine 1、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、Hoechst 33342、TOTO、アクリジンオレンジ、エチジウムホモダイマー、N(エトキシカルボニルメチル)−6−メトキシキノリニウム(MQAE)、Fura−2、カルシウムグリーン、カルボキシSNARF−6、BAPTA、クマリン、フィトフルオロ、コロネン、青色蛍光タンパク質、及び金属配位子錯体を含む。
【0034】
代表的な固有蛍光体は、限定はしないが、芳香環構造を有する有機化合物を含み、芳香環構造は、限定はしないが、NADH、FAD、チロシン、トリプトファン、プリン、ピリルミジン、脂質、脂肪酸、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオシド、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、砂糖、及びビタミンを含む。追加の好適な蛍光体には、酵素補因子、すなわちランタニド、青色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、又は突然変異体及びそれの誘導体が含まれる。
【0035】
本発明の実施形態は、トリガ剤又は補因子の存在下で発光反応に関与する化学発光標識又は部分に適用可能である。本出願では、限定ではなく例示のために、好ましい実施形態が化学発光標識及びトリガ剤に関して説明される。検出分子に付けられた標識は「標識」又は「標識剤」と呼ばれる。本明細書の目的のために、「トリガ剤又は補因子」は、反応に関与し、検出可能な応答を生成する化学発光標識以外の任意の化学種を記述するのに広く使用される。化学発光標識及びトリガ剤は光応答を生成する。
【0036】
好適な化学発光標識の例には、限定はしないが、ペルオキシダーゼ、バクテリアルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、官能化鉄ポルフィリン誘導体、ルミナール、イソルミノール、アクリジニウムエステル、スルホンアミドなどが含まれる。好ましい化学発光標識は、基質としてヒポキサンチンをもつキサンチンオキシダーゼを含む。トリガ剤は過ホウ酸塩、Fe−EDTA錯体、及びルミノールを含む。特定の化学発光標識の選択は、標識化要素を準備するコスト、検出分子に共有結合させるのに使用される方法、並びに検出分子及び/又は化学発光標識のサイズを含むいくつかの要因によって決まる。それに応じて、化学発光トリガ剤の選択は、使用される特定の化学発光標識によって決まることになる。
【0037】
化学発光反応は熱心に研究されており、文献に十分に文書化されている。例えば、ペルオキシダーゼは、化学発光として使用するために検出分子に付加するのに十分に適合する。次に、最初の反応で光放出を誘起するのに有効なトリガ剤は過酸化水素及びルミノールを含むであろう。ペルオキシダーゼの存在下で光応答を誘起するのに同様に使用することができる他のトリガ剤はイソブチルアルデヒド及び酸素を含む。
【0038】
ペルオキシダーゼにより抗体又は抗原などの検出分子を標識化する手順は当技術分野で知られている。例えば、ペルオキシダーゼ標識化抗体又は抗原を準備するために、ペルオキシダーゼ及び抗体又は抗原は各々別々にN−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロプリオナート(以下、SPDP)と反応させる。次に、SPDP標識化ペルオキシダーゼ、又はSPDP標識化抗原若しくは抗体は、チオール標識化ペルオキシダーゼ、又はチオール標識化抗原若しくは抗体を生成するためにジチオスレイトールと反応させる。次に、チオール誘導体は、SPDP標識化抗原若しくは抗体、又はSPDP標識化ペルオキシダーゼと結合することができる。
【0039】
固体基板に抗体又は抗原を取り付ける技法は同様に当技術分野でよく知られている。例えば、抗体は、グルタルアルデヒドを使用してホウケイ酸ガラスのシラン誘導体に共有結合で結合することができる。
【0040】
「生体分子」という用語は、自然界で生じるあらゆる分子又はそのような分子の誘導体を意味する。生体分子は活性又は不活性形態で存在することができる。「活性形態」とは、生体分子が、生物学的機能を行うことができる形態であることを意味する。「不活性形態」とは、生体分子が、生物学的機能を行うことができる前に自然に又は合成的に処理されなければならないことを意味する。好ましくは、生体分子は励起されると双極子モーメントを有し、それにより、近接する金属材料にミラー双極子を誘起することができる。例示的生体分子には、核酸、芳香族炭素環構造、NADH、FAD、アミノ酸、炭水化物、ステロイド、フラビン、タンパク質、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、ペプチド、核酸、脂肪酸、ミオグロビン、グルコースなどの糖類、ビタミン、補因子、プリン、ピリミジン、ホルマイシン、脂質、フィトクロム、フィトフルオロ、ペプチド、脂質、抗体、ビリルビン、トリプトファン、及びフィコビリンタンパク質が含まれる。
【0041】
直接読出し及び迅速動力学から直接的に利益を得ることができる多くの重要なアッセイがある。例えば、心臓発作患者、毒素ショック及び膵臓炎の患者のミオグロビン濃度。したがって、本発明は、アッセイ検出システムの反応速度を増加させるためのマイクロ波エネルギー又は音響エネルギーの使用を適宜含むことができる。そのため、本発明は、緊急処置室におけるポイントオブケア臨床的評価で使用することができる。
【0042】
本発明は、アッセイ検出システムの反応速度を増加させるためのマイクロ波エネルギー又は音響エネルギーの使用を適宜含むことができる。
【0043】
本発明のアッセイシステムは、励起エネルギーを供給するためにエネルギービームを任意の含有された蛍光体に誘導するための光源又はレーザ源をさらに備えることができる。レーザビームは、分子構成要素にビームを誘導するためにシステムに隣接して配置することができる。レーザは、励起のために固体又は液体源材料の特定の点にエネルギービームを合焦することができる任意のデバイスとすることができ、レーザはRF、赤外、マイクロ波からUVまでのエネルギーを送出することができる。
【0044】
光を放出するレーザなどの当業者に既知の任意の光源を使用することができ、ここで、光は広義に使用され、空間を伝搬し、可視光だけでなく赤外放射及び紫外放射も含む電磁放射を意味する。したがって、アッセイの表面の上に配置された単一の機器を使用して、蛍光分子を励起するためのエネルギーを生成することができる。光は、所望に応じてファイバから連続的に又は断続的に放出することができる。
【0045】
さらに、2光子励起は、連続又は短パルス幅(<50ps)、高繰返し率(>1MHz)のレーザダイオード源を使用して約375〜900nmで使用することができる。蛍光体に適合する様々なパルスレーザダイオード源は本発明で使用することができ、市販されている。
【0046】
さらにその上、本発明は波長可変Ti:サファイアレーザ励起及び多光子顕微で使用することができる。
【0047】
本発明は、楕円、球、三角形、棒様の形態の金属アイランドを備える。例示的な場合では、楕円アイランドは、3/2のアスペクト比を有し、球状コロイドは20〜60nmの直径を有する。しかし、本発明はいかなる特定の形状にも限定されない。既知の被覆技法を使用して、金属アイランドの配置は正確に制御して、10〜50nm程の近さであるが離れているようにすることができる。
【0048】
金属材料は多孔性3次元マトリクスの形態とすることができる。3次元マトリクスはナノ多孔性3次元マトリクスとすることができる。金属材料は金属コロイド粒子及び/又は金属−シリカ複合粒子を含むことができる。金属材料は凝結金属粒子及び/又は高分子マトリクス中の二成分連結粒子若しくは金属粒子を含むことができる。3次元マトリクスは、制御した細孔ガラスから、又は銀−シリカ合成物自体の集合体から構築されたマトリクスを使用して形成することができる。マトリクスは金属ナノ多孔性マトリクスとすることができ、そこを通して化学種は流れ、検出及び計数の両方がより効率的に行われることになる。
【0049】
励起分子から金属構造体へのミラー双極子の放出誘導は、検出されるべき励起性分子のタイプ及び金属のタイプに応じた距離で観察することができる。例えば、電流の誘起は、蛍光体が金属表面まで約5nm〜約200nmに配置される場合に観察することができる。好ましい距離は、金属表面まで約5nm〜約50nmであり、より好ましくは約10nm〜約30nmである。この尺度では、新しいレベルの感知、操作、及び制御の機会を与える現象はほとんどない。さらに、この尺度のデバイスは、サイズ、重さ、したがってコストの劇的な減少により性能、感度、及び信頼性を劇的に増強することができる。
【0050】
様々な表面増強蛍光効果が、ミラー、サブ波長若しくは半透明金属表面、銀アイランドフィルム、又は金属コロイドで期待される。より劇的な効果は、一般に、連続金属表面と比較してアイランド及びコロイドで観察される。銀アイランドは強度を5倍増加させ、一方、寿命を100分の1に減少させる著しい効果があった。そのような効果は、単に、放射減衰速度の増加によって説明することができる。
【0051】
銀金属アイランドの準備
アイランド粒子は清浄なビーカー中で様々な還元剤を使用して金属イオンを還元することよって準備される。例えば、迅速に撹拌された硝酸銀溶液に水酸化ナトリウムを加えて茶色の沈殿物を形成する。水酸化アンモニウムを加えて、沈殿物を再溶解する。溶液を冷却し、乾燥した石英スライドをビーカーに加え、それに続いてグルコースを加える。混合物を2分間撹拌した後、30℃に加温する。10〜15分後、混合物は黄緑色に変化し、濁ったようになる。銀粒子の薄膜がスライド上に形成されたことがそれらの緑褐色から分かる。スライドを純水ですすいだ後使用する。
【0052】
金属粒子を準備する代替手順も利用可能である。銀が主として使用されるが、それは銀のより長い表面プラズモン吸収からの色が見慣れているからである。
【0053】
銀コロイドの準備
コロイドはクエン酸塩還元金属によって懸濁液として準備することができる。好ましい金属は銀及び金である。やはり、金は、より短い波長の金の吸収のためのものとすることができる。しかし、金コロイドはより長い波長の赤及びNIR蛍光体で使用することができる。
【0054】
コロイドのサイズ及びそれらの均一性は、利用可能な金属粒子の光学的性質及びコロイドの光学的性質への界面化学の効果に関する広範な出版物によって決定することができる。
【0055】
金属粒子は、ガラス又は高分子の基板上に、シアニド(CN)、アミン(NH2)、又はチオール(SH)などの化学官能基を配置することによって表面に結合することができる。金属コロイドは高い親和力をもつそのような表面に自然に結合することが知られている。90,91,92
【0056】
金属コロイド(又は様々な他の非球状形状/粒子)は、さらに、有機高分子に共有結合又は非共有結合で組み込み、高分子マトリクスを形成することができ、拡散している化学種からの距離は放射減衰速度の増加、したがって量子収率の増加をもたらす。そのような高分子マトリクスは、低濃度化学種の検出/流動検出用途にとって理想的である。
【0057】
本発明の電極システムは、閉込め液体容器を含むことができ、閉込め液体容器は、その液体容器に取り付けられて、金属構造体に伝達的に接続される2つの電極、すなわちアノード及びカソード、又は溶液内に挿入することができる電極を含む。一般に、電極は任意の導電性金属から製作することができ、炭素、Pt、Pd、Ir、Au、Ruなどの貴金属又は合金、Ti又はTaなどの基板に堆積された貴金属又は合金を含むことができる。約10−4S/cmよりも大きい導電率を有する金属及び合金が好ましい。代替形態では、金属粒子のうちの2つにワイヤ電極を直接取り付けることができ、金属粒子及び取り付けられたワイヤは最適電流を検出するために十分に隔てられる。
【0058】
さらに、電極は、任意の導電性高分子、導電性セラミック、導電性ガラス、又はそれらの組合せから製作することができ、金属酸化物を含むことができ、スズ、鉛、バナジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、ロジウム、オスミウム、イリジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ニオブ、クロム、マンガン、ランタン、又はランタン系列金属或いはそれらの合金又は組合せから選択することができ、導電率を増加させるためにカルシウムのような添加物を含んでもよい。
【0059】
水溶液又は極性溶媒中の電解質は、電極間の電流の動きを増強するイオン導電性の水性若しくは非水性の溶液又は材料を含むことができる。電解質は、NaCl、KCl、NH4Cl、NaI、KI、NaAc、NaOH、AgNO3、CuSO4、LiClO4、NaClO4、KClO4、AgClO4、NaBrO4などを含むことができる。極性溶媒は水、エタノール、及びメタノールを含むことができる。
【0060】
本発明のこの実施形態は、さらに、臨床医学、環境モニタリング用途、直接及びデジタル読出しによる低濃度化学種の迅速な検出などの国土安全保障、工業プロセス、化学種のモニタなどの製薬産業、及びバイオハザードクリーンルームなどの還元雰囲気及び空間光で使用するためのセンサに広い用途を有することができる。
【0061】
蛍光体が銀金属構造体中にミラー双極子を誘起すると、近接場光誘起電流(光電流)が形成される。これらの小電流は銀被覆金属構造体を横切って移動することができる。興味深いことに、蛍光体の濃度が大きいほど、対応して誘起電流が増加する。図3は、銀アイランドフィルム上の2つの電極間に配置された水中のフルオレセイン(蛍光プローブ)の濃度に対する光誘起の電流の程度を示す。注目すべきことには、電流は、研究した蛍光プローブの3log10濃度に対して著しく増加する。この結果は、金属の近くに蛍光体が多く存在するほど、誘起電流が多く流れることを示唆している。従来の蛍光ベースイムノアッセイでは、検出される蛍光体の程度(通常、蛍光強度)は分析物濃度に直接関連し、アッセイで決定することができることに留意するのは興味深い。本明細書で示す結果が示唆するところによれば、蛍光ベースイムノアッセイは銀被覆表面に構成することができ、分析物(抗原)の濃度は、図1A及び図2によって示されるように、金属中の誘起電流によって決定することができる。注目すべきことには、読取りは純粋にデジタルであり、結合した蛍光の直接測定である。対照的に、現今の業界の蛍光ベースイムノアッセイは、アッセイからの蛍光を直接検出し、次にデジタルで表示することができる信号に変換する。その結果として、本手法は、蛍光を測定し、定量化する方法における重要なブレークスルーである。図3Aは、さらに、電流の流れの方向がサンプリング電極に対する励起スポットの位置によって決定され得ることを実証している。電流は、レーザスポット及び電極の位置に関して全く対称であり、すなわち正又は負の電流である。
【0062】
本技術の他の潜在的使用法
蛍光に基づく特徴の直接測定はそれ自体大きな分野(ビジネス)であるが、この技術の非常に有望な1つの用途は太陽エネルギー変換である可能性がある。蛍光体被覆銀基板は、太陽光照射の後、金属フィルム中に電流を誘起することができる(図4)ことも把握される。この図では、キセノンアークランプを使用して太陽光をシミュレートしている。図4の上部の装入図で分かるように、太陽光が断続的にゲート制御されるとき、電流は変調され、その効果は光によるSiF/蛍光体の直接照明によることを実証している。レーザ光も図4の下部の図に示されるようにプラズモン電流を引き起こす。
【0063】
プラズモン電流/電気の実証
図5の上部の示すところによれば、乾燥Sif(銀アイランドフィルム)は、外部光源によって照明されたときその中に電流が全くないかそれに近く、0nAの値が測定されている。しかし、水溶液がSiFの上に置かれると、5nAよりも大きい電流が生成される。興味深いことに、Xeアークランプ光源がオンオフで変調されるとき、電流は変調される。このバックグラウンド電流は金属SiFと水双極子の相互作用に起因する。しかし、蛍光体(蛍光性、燐光性、又は化学発光性の化学種)がSiFの水溶液に添加されると、かなり大きい電流がさらに観測され、30nAにも増加する。この電流は、図1Bに図式的に示したように、蛍光体双極子と金属との相互作用に起因する。この図から分かるように、Sif(及び実際に他の金属)の近くに蛍光体が存在すると電流が生じ、その電流は蛍光体の濃度に正比例し、それは蛍光の直接検出のための優れた技術になる。金属中の電流生成は、図6A及び6Bに示されるように、波長依存性であり、Sifの吸収スペクトルと金属の発光スペクトルとの両方に従うように思われる。
【0064】
図7は、様々なタイプの発色団、並びにさらに金及び銀のコロイドがプラズモン電流を誘起することができることを示す。プローブとして使用される励起可能分子では、プラズモン電気の程度は、溶液中のプローブ/蛍光体の濃度、蛍光体の吸光係数及び特定の遷移の振動子強度に依存する。さらに、誘起電流の大きさは、近接双極子のモル吸光係数に依存し(図7)、それは、他のプラズモンナノ構造がより大きい大きさの電流を誘起するのに優れていることを意味する(以下の図8〜11を参照)。
【0065】
誘起電流を引き起こすことができる蛍光体以外の他の標識
蛍光化学種に加えて、非蛍光化学種の使用を金属中に電流を誘起する標識と見なした。金、銀、銅、白金で構成されたものなどのナノ粒子は図8〜11に示されるように同様に作用する。図8は、SiF被覆表面上の固定化抗原に結合する、抗体に標識化した20nm及び40nmの両方の金コロイドを使用して構築された簡易なアッセイを示す。抗体金複合体のプラズモン吸収スペクトルが図8に示される。473nmレーザ線で励起されると、電流が図9に示されるようにSiFに誘起される。電流はレーザ源のオンオフゲーティングによりゲート制御され、それにより、この効果は金コロイド標識化抗体でインキュベートされたアッセイ基板上の光に起因することが実証される。注目すべきことには、誘起電流は、図10に示されるように、同じアッセイシステムで蛍光体により誘起される電流よりも著しく多い。これは、蛍光体標識と比較してコロイド標識により励起波長でより大きい双極子モーメントが観測されることによる。興味深いことに、及び蛍光体と同様に、電流の波長依存は、図11に示されるように、コロイド標識並びにSif(アイランドフィルム)自体の両方の吸収スペクトルの関数である。興味深いことに、波長が短いほど電流は多くなり、それはSiFプラズモン吸収極大の位置に起因すると考えられる。コロイドが大きいほど多くの電流が誘起され、水バックグラウンドはコロイドからの誘起電流と比べて低いことは明らかである。システムが表面、すなわち銀アイランド表面のプラズモン吸収最大で励起される場合、最大電流が観測される。大きい誘起電流のために、コロイドはプローブとして優れている。
【0066】
図12及び13は、双極子モーメントを有し、金属粒子にミラー双極子を誘起する能力がある抗体の使用を示す。特に、多くの抗原では、それに単一の抗体しか結合できず、そのため、これらの化学種を検出するのに蛍光を使用するのは難しい。抗体はそのような抗原を捕捉するために表面に結合することができ、抗原は、励起の際、金属材料に双極子を誘起し、それにより電流を誘起することができる双極子モーメントを有する。これは、1つの抗体だけが抗原を拘束できる用途に非常に有用になるはずである。蛍光体は図13に示されるように使用することもできる。
【0067】
図14は、プラズモン電流が溶液の塩濃度に依存し得ることを示す。図14に示されるように、NaCl濃度が増加すると共に銀アイランドフィルム中の電流が増加する。図15に示されるように、染料は、70mMのNaClを有する水溶液に溶解されることによってはるかに大きい電流を生成する。プラズモン電流は、バイオアッセイで非常に効果的になり得る塩溶液の存在下で容易に検出された。様々な溶媒は、図16A及びBに示されるように、様々なレベルのプラズモン電流を同様に誘起することができる。溶媒の誘電率が増加するにつれて、SiFスライドの観測電流も図16Bに示されるように増加する。明らかに、約80の誘電率を有する水は最高レベルの電流を誘起する。
【0068】
図17は、プラズモン電流が入射励起強度と、さらに溶液中の染料の濃度との両方に依存することを示す。空間的に隔てられた銀構造体を含む銀被覆スライドが準備され、FITCを励起可能分子として含んでいた。励起強度が増加するにつれて電流も増加することは明らかである。さらに、FITCが増加すると、電流が増加する。そのため、標的物質の結合が増加することに起因してFITCの結合がシステム中で増加するので、この方法及びシステムは標的物質の量を決定するのに使用することができ、ここで、電流の量は標的物質の結合量に比例する。
【0069】
図18は、金属の金プローブが、基板表面に固定された銀構造体と組み合わせて励起可能分子として使用されるシステムを示す。ウサギ抗体IgGが銀構造体に接続され、次に、遊離抗IgGが固定化抗体に結合するために導入される。遊離抗体は金コロイドに結合するか、又は金コロイドに結合する可能性がある。図18に示されるように、金コロイドの量が増加する(固定化IgGへの遊離抗IgGの結合が増加する)につれて、電流が増加し、やはり、この方法は標的物質を定量化するのに使用することができる。
【0070】
図19は、ハイブリダイゼーション反応が後に続くことができることを示す結果と、いつハイブリダイゼーションが完了するかに関する指標とを与える。このシステムは基板に固定された銀構造体を含み、基板はそのようなハイブリダイゼーション用のヌクレオチドプライマーを含む。遊離ヌクレオチドが固定化プライマーとハイブリッド化するとき、蛍光体は銀構造体から正確な距離に配置され、金属構造体中に電流を生じさせる。図19に示されるように、ハイブリダイゼーションプロセスが進行中であるとき、電流は増加し、ハイブリダイゼーションが完了するとき、電流は減少する。特に、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)は、さらに、プラズモン電気の低減を引き起こすことがある。
【0071】
図20は、プラズモン電流が473nmレーザによる照射によってSiF:ローダミン−B結合対に誘起されることを示す。この図は、電子を伝導できる溶液中で、ガラス基板に固定された銀金属構造体を使用するセットアップを示す。蛍光体ローダミン−Bは金属構造体に結合され、励起に際して、エネルギーは金属表面に転移され、電流が誘起される。励起はシステムの上部又は下部に与えることができる。
【0072】
図21は、励起可能分子として作用する量子ドットが金属構造体の近くに配置されると、プラズモン電流を同様に誘起することができることを示す。
【0073】
上記で示したように、本発明は、下記のものを含むプラズモン電気の多数の使用法を可能にする。
・蛍光、燐光、又は化学発光特徴の直接測定としての使用法
・追加のアナログ−デジタル変換プロセスを必要とすることなく上述のもののデジタル読出しを行う使用法
・イムノアッセイにおいて、蛍光又は別の発光特徴ではなく誘起電流を測定することによる表面分析物の直接測定としての使用法
・蛍光を電気に直接変換する新しい種類の検出器としての使用法
・太陽光発電デバイスにおいて、蛍光体又は他のナノ粒子標識を伴う又は伴わない使用法
・イムノアッセイを壁ソケットから離して自己電力供給させることができる使用法
・多重化及び高スループットのスクリーニング用途における使用法
・光を電子回路用の電気に変換するためのデバイスとしての使用法
・DNAアッセイにおいて、DNAハイブリダイゼーション事象の直接測定としての使用法
・RNAアッセイにおいて、ハイブリダイゼーションの後にRNAアッセイからの電流を直接測定する使用法
・化学発光アッセイにおいて、西洋わさびペルオキシダーゼ基質を利用する使用法
・金属基板からの蛍光(又は他の双極子)の距離を測定する技術としての使用法
・発光ダイオード構成物中での使用法
・蛍光ベースイムノアッセイにおいて蛍光検出光学系を除去する技術としての使用法、(単に誘起電流を測定し、様々な検出器、光学系、及びフィルタを使用して蛍光を測定する必要がない)
・ラジオ、アイポッド、及び通信デバイスなどの携帯用デバイスを充電する、又はそれに電力供給するのに使用される織物などの導電性材料としての使用法
・自己冷却デバイスに取り付けられる、又は織物の色変化を可能にする導電性織物としての使用法
【0074】
参照文献
ここに挙げられた総ての参照文献の内容は、あらゆる目的に対して参照により本明細書に組み込まれる。
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(15) Suslick, K. S. Science 1990,247,1439-1445.
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(17) Suslick, K. S.; Flannigan, D. J. Annu Rev Phys Chem 2008, 59, 659-683.
(18) Neppiras, E. A. Phys. Rep. 1980, 61, 159-251.
(19) Aslan, K.; Leonenko, Z.; Lakowicz, J. R.; Geddes, C. D. Journal of Fluorescence 2005, 15, 643-654.
(20) Lofas, S.; Malmqvist, M.; Ronnberg, I.; Stenberg, E.; Liedberg, B.; Lundstrom, I. Sensors and Actuators B-Chemical 1991, 5, 79-84.
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流を生成するためのシステムであって、
基板上に配置され、空間的に離間された固定化金属構造体を含む基板であり、前記金属構造体及び当該基板が導電性溶媒で覆われる、基板と、
前記基板上に配置された少なくとも2つの前記金属構造体と伝達的に接触する、1組の導電性電極と、
前記金属構造体の近傍で約5nm〜約50nmの距離に配置された励起性プローブであり、電磁エネルギーによる励起性プローブの励起が、貯蔵するため又は電流読取りデバイスに誘導するためのプラズモン電流の流れを引き起こすミラー双極子を金属材料に誘起する、励起性プローブと、
を含むシステム。
【請求項2】
前記金属構造体が、粒子、ナノ構造体、アイランド、又はコロイドとして形成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記金属構造体が、銀、金、白金、亜鉛、アルミニウム、インジウム、パラジウム、ロジウム、鉄、ニッケル、銅、及びそれらの組合せからなる群から選択された材料から製作される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記電極が前記電流読取りデバイスに伝達的に接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記基板が、ガラス、石英、セルロース、高分子材料、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
電磁エネルギー源が、前記電流読取りデバイスによって検出されるべき電流を増加させるために前記第1又は第2の電極から離れて配置される、請求項6に記載のシステム。
【請求項7】
前記プラズモン電流の流れが結合蛍光体の量に比例する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
導電性溶媒が極性溶媒又は双極性非プロトン性溶媒である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記励起性プローブが蛍光、発光、又は燐光特徴を放出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
イムノアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、共鳴エネルギー転移アッセイ、分極/異方性ベースアッセイ、化学発光ベースアッセイ、発光ベースアッセイ、又は酵素結合免疫吸着測定法で使用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記電極が、約5nm〜100nmに及ぶ距離だけ離間される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記固定化金属構造体が、標的物質を捕捉するための結合受容体をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記基板が入れ物内にあり、前記電極が前記溶媒内に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記電流読取りデバイスが電流計である、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
金属増強蛍光感知の方法であって、
検出システムで使用される表面に導電性金属構造体をつける工程であり、前記表面が第1及び第2の端部を有し、前記金属構造体のうちの少なくともいくつかが第1及び第2の電極に伝達的に接続される、工程と、
前記導電性金属構造体を覆うための極性溶液を供給する工程と、
前記導電性金属構造体の近くに配置するための少なくとも1つの励起性プローブを導入する工程であり、励起により双極子モーメントが生じるのを前記励起性プローブが可能にする、工程と、
前記双極子モーメントを生じさせるために電磁気源で前記励起性プローブを励起し、それによって、この励起が前記金属構造体に双極子を誘起し、それによってプラズモン電流の流れを生じさせる工程と、
前記プラズモン電流の流れを測定する工程と、
を含む方法。
【請求項17】
前記金属構造体が、粒子、ナノ構造体、アイランド、又はコロイドとして形成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記金属構造体が、銀、金、白金、亜鉛、アルミニウム、インジウム、パラジウム、ロジウム、鉄、ニッケル、銅、及びそれらの組合せからなる群から選択された材料から製作される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記電極が電流読取りデバイスに伝達的に接続される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記基板が、ガラス、石英、セルロース、高分子材料、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記プラズモン電流の流れが結合蛍光体の量に比例する、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記電極が、約5nm〜100nmに及ぶ距離だけ離間される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
アッセイであって、その方法が
少なくとも1つの液体容器又は入れ物を準備する工程であり、第1及び第2の電極が前記液体容器内に配置されるか、又はそれに伝達的に接続される、工程と、
金属ナノ構造体を前記液体容器に導入する工程であり、前記液体容器が極性溶液を含み、前記金属ナノ構造体が溶液中で遊離することができるか、又は前記液体容器の表面に接続され、かつ前記第1及び第2の電極に伝達的に接続され得る、工程と、
励起に際して双極子活性を示す分子を導入し、そのような分子を前記金属ナノ構造体の近くに配置する工程であり、前記金属ナノ構造体にミラー双極子を誘起するように前記分子が前記金属ナノ構造体の所定の近隣に配置される、工程と、
前記電流の流れを測定する工程と、
を含む、アッセイ。
【請求項24】
電流を伝導するためのシステムであって、
極性溶液中に分散された金属粒子であり、固有又は外因性蛍光体分子への接続に適応でき、前記固有又は外因性蛍光体分子から約5nm〜約20nmに配置される、金属粒子と、
UVからIRまでの範囲で、前記蛍光体を励起するのに十分な量の放射を送り出す電磁エネルギーの供給源であり、そのような励起が前記金属粒子にミラー双極子を生じさせ、前記溶液中に電流の流れを誘起する、電磁エネルギーの供給源と、
を含むシステム。
【請求項1】
電流を生成するためのシステムであって、
基板上に配置され、空間的に離間された固定化金属構造体を含む基板であり、前記金属構造体及び当該基板が導電性溶媒で覆われる、基板と、
前記基板上に配置された少なくとも2つの前記金属構造体と伝達的に接触する、1組の導電性電極と、
前記金属構造体の近傍で約5nm〜約50nmの距離に配置された励起性プローブであり、電磁エネルギーによる励起性プローブの励起が、貯蔵するため又は電流読取りデバイスに誘導するためのプラズモン電流の流れを引き起こすミラー双極子を金属材料に誘起する、励起性プローブと、
を含むシステム。
【請求項2】
前記金属構造体が、粒子、ナノ構造体、アイランド、又はコロイドとして形成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記金属構造体が、銀、金、白金、亜鉛、アルミニウム、インジウム、パラジウム、ロジウム、鉄、ニッケル、銅、及びそれらの組合せからなる群から選択された材料から製作される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記電極が前記電流読取りデバイスに伝達的に接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記基板が、ガラス、石英、セルロース、高分子材料、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
電磁エネルギー源が、前記電流読取りデバイスによって検出されるべき電流を増加させるために前記第1又は第2の電極から離れて配置される、請求項6に記載のシステム。
【請求項7】
前記プラズモン電流の流れが結合蛍光体の量に比例する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
導電性溶媒が極性溶媒又は双極性非プロトン性溶媒である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記励起性プローブが蛍光、発光、又は燐光特徴を放出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
イムノアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、共鳴エネルギー転移アッセイ、分極/異方性ベースアッセイ、化学発光ベースアッセイ、発光ベースアッセイ、又は酵素結合免疫吸着測定法で使用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記電極が、約5nm〜100nmに及ぶ距離だけ離間される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記固定化金属構造体が、標的物質を捕捉するための結合受容体をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記基板が入れ物内にあり、前記電極が前記溶媒内に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記電流読取りデバイスが電流計である、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
金属増強蛍光感知の方法であって、
検出システムで使用される表面に導電性金属構造体をつける工程であり、前記表面が第1及び第2の端部を有し、前記金属構造体のうちの少なくともいくつかが第1及び第2の電極に伝達的に接続される、工程と、
前記導電性金属構造体を覆うための極性溶液を供給する工程と、
前記導電性金属構造体の近くに配置するための少なくとも1つの励起性プローブを導入する工程であり、励起により双極子モーメントが生じるのを前記励起性プローブが可能にする、工程と、
前記双極子モーメントを生じさせるために電磁気源で前記励起性プローブを励起し、それによって、この励起が前記金属構造体に双極子を誘起し、それによってプラズモン電流の流れを生じさせる工程と、
前記プラズモン電流の流れを測定する工程と、
を含む方法。
【請求項17】
前記金属構造体が、粒子、ナノ構造体、アイランド、又はコロイドとして形成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記金属構造体が、銀、金、白金、亜鉛、アルミニウム、インジウム、パラジウム、ロジウム、鉄、ニッケル、銅、及びそれらの組合せからなる群から選択された材料から製作される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記電極が電流読取りデバイスに伝達的に接続される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記基板が、ガラス、石英、セルロース、高分子材料、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記プラズモン電流の流れが結合蛍光体の量に比例する、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記電極が、約5nm〜100nmに及ぶ距離だけ離間される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
アッセイであって、その方法が
少なくとも1つの液体容器又は入れ物を準備する工程であり、第1及び第2の電極が前記液体容器内に配置されるか、又はそれに伝達的に接続される、工程と、
金属ナノ構造体を前記液体容器に導入する工程であり、前記液体容器が極性溶液を含み、前記金属ナノ構造体が溶液中で遊離することができるか、又は前記液体容器の表面に接続され、かつ前記第1及び第2の電極に伝達的に接続され得る、工程と、
励起に際して双極子活性を示す分子を導入し、そのような分子を前記金属ナノ構造体の近くに配置する工程であり、前記金属ナノ構造体にミラー双極子を誘起するように前記分子が前記金属ナノ構造体の所定の近隣に配置される、工程と、
前記電流の流れを測定する工程と、
を含む、アッセイ。
【請求項24】
電流を伝導するためのシステムであって、
極性溶液中に分散された金属粒子であり、固有又は外因性蛍光体分子への接続に適応でき、前記固有又は外因性蛍光体分子から約5nm〜約20nmに配置される、金属粒子と、
UVからIRまでの範囲で、前記蛍光体を励起するのに十分な量の放射を送り出す電磁エネルギーの供給源であり、そのような励起が前記金属粒子にミラー双極子を生じさせ、前記溶液中に電流の流れを誘起する、電磁エネルギーの供給源と、
を含むシステム。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2013−513806(P2013−513806A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543339(P2012−543339)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/060174
【国際公開番号】WO2011/081896
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(510237620)ユニバーシティ オブ メリーランド,ボルチモア カウンティ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/060174
【国際公開番号】WO2011/081896
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(510237620)ユニバーシティ オブ メリーランド,ボルチモア カウンティ (1)
【Fターム(参考)】
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