説明

プラテンローラを着脱できるプリンタ

【課題】 プラテンローラが着脱自在なプリンタであって、ヘッド本体を付勢するばね部材とプラテンローラの軸部を規制するばね部材とを、狭い領域内で、十分な変形長さを確保して配置できるようにしたプリンタを提供する。
【解決手段】 フレーム2の後方に設けられた付勢領域30内に、第1の板ばね31と第2の板ばね35が取り付けられている。第1の板ばね31と第2の板ばね35は湾曲部32,36が重ねられて、支持軸15を囲むようにして取り付けられる。第1の板ばね31の付勢片34によってヘッドユニット20がプラテンローラ5に押し付けられ、第2の板ばね35の付勢片38によって規制部材16が付勢されて、プラテンローラ5がフレーム2から抜け止めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字用紙をセットするときなどにプラテンローラを着脱できるプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
キャッシュレジスターや各種機器のレシート発行部などに小型プリンタが使用されている。特許文献1および特許文献2などに記載されているように、この種の小型プリンタはサーマルヘッドを備えたラインプリンタであり、ヘッドユニットとこのヘッドユニットが押し付けられるプラテンローラとを有している。プラテンローラは取り外し自在であり、プラテンローラを取り外してヘッドユニットの前に印字用紙をセットし、プラテンローラを装着することで、ヘッドユニットとプラテンローラとの間に印字用紙が挟まれる。
【0003】
特許文献1に記載されたプリンタは、プラテンローラの軸部がフレームに形成された凹部に装着される。フレームには、プラテンローラの軸方向の両側に配置されたフック要素が互いに連結されて回動自在に支持されている。プラテンローラの軸部が前記凹部に装着された後に、2つのフック要素を一緒に回動させることで、軸部が前記凹部から抜け出さないように規制される。
【0004】
特許文献2に記載されたプリンタは、フレームに形成された凹部にプラテンローラの軸部が装着されると、コイルスプリングで付勢されているリリースアームによって、軸部が凹部の上縁部に押し付けられて、プラテンローラがフレームから離脱するのが規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−118247号公報
【特許文献2】特開2008−179079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたプリンタは、フレームの凹部にプラテンローラの軸部が装着された後に、回動させたフック要素を凹部の開放部に対向させることで、軸部の凹部からの外れを規制するものであるため、軸部の規制が不安定である。
【0007】
特許文献2に記載されたプリンタは、リリースアームがコイルスプリングで付勢されているとともに、さらにこれとは別のコイルスプリングによって、ヘッドユニットがプラテンローラに押し付けられる。コイルスプリングは設置されたときの長さを短くすることに限界があるため、2つのコイルスプリングを配置するための広いスペースが必要になり、プリンタの小型化に限界がある。
【0008】
また、特許文献2に記載されたプリンタは、フレームに形成された凹部がヘッドユニットに向けて開放されており、プラテンローラの軸部をヘッドユニットが設けられている側から前記凹部に向けて横向きに挿入することが必要である。しかもコイルスプリングで付勢されているリリースアームを強制的に乗り越えるようにして軸部を凹部に向けて挿入することが必要であるために、プラテンローラを装着する作業が難しい。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、最小のスペースで2種のばねを配置でき、小型化を実現できるプリンタを提供することを目的としている。
【0010】
また、本発明は、プラテンローラの着脱を容易にすることが可能なプリンタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、フレームに形成された支持部に着脱自在に支持されるプラテンローラと、前記フレームに支持されて前記プラテンローラに圧接する向きに移動できるヘッドユニットとが設けられたプリンタにおいて、
前記フレームに規制部材が移動自在に支持され、前記規制部材は、前記プラテンローラの軸部が前記支持部から外れるのを規制する規制部と、前記ヘッドユニットを挟んで前記規制部と逆の側に配置された押圧部とを有しており、
前記ヘッドユニットを挟んで前記プラテンローラとは逆側の領域に、前記ヘッドユニットを前記プラテンローラに押圧する第1の板ばねと、前記押圧部を押圧して前記規制部が前記軸部を規制できる向きに前記規制部材を付勢する第2の板ばねとが設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明のプリンタは、ヘッドユニットと規制部材が共に板ばねで付勢されている。第1の板ばねと第2の板ばねは同じ領域に収納されているために、プリンタを小型化することが可能である。
【0013】
例えば、本発明は、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは、別々に形成されており、前記領域で、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねが重ねられて配置されているものである。
【0014】
同じ領域に、別々に形成された第1の板ばねと第2の板ばねが配置されているが、この2つの板ばねが重ねられているため、狭いスペース内に配置しやすい。
【0015】
この場合に、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは、共に湾曲部および前記湾曲部から一方に延びる掛止片と他方に延びる付勢片を有しており、
前記第1の板ばねの前記湾曲部と前記第2の板ばねの前記湾曲部が重ねられて、それぞれの湾曲部が、前記規制部材を回動自在に支持する支持軸を囲むように配置されて、前記掛止片が前記フレームに掛止され、前記第1の板ばねの前記付勢片が前記ヘッドユニットを押圧し、前記第2の板ばねの前記付勢片が前記押圧部を押圧している構造にできる。
【0016】
2つの板ばねを重ねて、規制部材の支持軸を囲むように配置することで、2つの板ばねの変形部の長さを十分に確保でき、しかも狭いスペース内に配置できる。
【0017】
あるいは、本発明は、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは、ひとつの本体板ばねから分岐されて一体に形成されているものとして構成できる。
【0018】
ヘッドユニットを付勢する板ばねと、規制部材を付勢する板ばねをひとつの板ばねで構成できるため、部品数を削減できる。
【0019】
この場合に、前記本体板ばねの前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは、それぞれ湾曲部および前記湾曲部から一方に延びる掛止片と、他方に延びる付勢片を有しており、
前記湾曲部が、前記規制部材を回動自在に支持する支持軸を囲むように配置されて、前記掛止片が前記フレームに掛止され、前記第1の板ばねの前記付勢片が前記ヘッドユニットを押圧し、前記第2の板ばねの前記付勢片が前記押圧部を押圧しているものとして構成できる。
【0020】
上記発明では、板ばねの変形部の長さを十分に確保でき、且つ板ばねを狭いスペースに配置できる。
【0021】
また、本発明は、前記領域において、前記ヘッドユニットと前記押圧部が、互いに逆向きに付勢されているものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、板ばねを狭いスペースに配置し、しかも変形のための長さを十分に確保して、ヘッドユニットを付勢でき、且つ規制部材を付勢できるようになる。また、付勢されている規制部材によって、プラテンローラの軸部がフレームから外れるのを防止しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態のプリンタを示す分解斜視図、
【図2】第1の実施の形態のプリンタの断面図、
【図3】本発明の第2の実施の形態のプリンタを示す分解斜視図、
【図4】第2の実施の形態のプリンタの断面図、
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1と図2に示す第1の実施の形態のプリンタ1は、キャッシュレジスターやその他の機器のレシート発行部などに使用される。
【0025】
プリンタ1はフレーム2を有している。フレーム2は板金材料で折り曲げ形成されている。フレーム2は、底板部2aと背板部2bが同じ金属板から直角に折り曲げられている。また、背板部2bの両側部から右側板部2cと左側板部2dが共に直角に折り曲げられている。よって、右側板部2cと左側板部2dは互いに平行である。
【0026】
フレーム2の右側板部2cに支持凹部3aが形成され、左側板部2dに支持凹部3bが形成されている。支持凹部3a,3bはプラテンローラ5の両端部を支持する支持部である。右側板部2cに形成された支持凹部3aと左側板部2dに形成された支持凹部3bは、背板部2bから同じ距離離れており、その開口形状が同一である。支持凹部3a,3bは、背板部2bと平行な向きに窪んでおり、共に上方向に向けて開口している。
【0027】
プラテンローラ5は、合成ゴム材料などで形成された丸棒形状のプラテン本体6と、プラテン本体6の右側端部に設けられた軸部7aおよび左側端部に設けられた軸部7bを有している。右側の軸部7aでは、プラテン本体6に固定された軸8aの外周にスリーブ9aが回転自在に装着されている。そしてスリーブ9aから突出している軸8aの先部に従動歯車11が固定されている。左側の軸部7bでは、プラテン本体6に軸8bが固定され、軸8bの外周にスリーブ9bが回転自在に装着されている。
【0028】
フレーム2の右側板部2cの外側にはモータブラケット4が固定されている。モータブラケット4は金属板で形成されており、右側板部2cの外面に溶接されて固定されているとともに、その一部が右側板部2cよりも下側へ延びている。フレーム2の底板部2aの下側に紙送り用のモータMが設けられ、モータMは前記モータブラケット4に固定されている。
【0029】
モータMの出力軸にピニオン歯車12が固定されている。モータブラケット4には、ピニオン歯車12の回転力を減速して伝達する減速歯車列13と、減速歯車列13で減速された動力で駆動される駆動歯車14が設けられている。プラテンローラ5の軸部7aが支持凹部3aに装着され、軸部7bが支持凹部3bに装着されると、軸8aに固定されている従動歯車11が駆動歯車14に噛み合う。
【0030】
フレーム2の右側板部2cと左側板部2dとの間に金属製の支持軸15の両端部がそれぞれ固定されている。フレーム2の内側には規制部材16が設けられている。規制部材16は金属板を折り曲げて形成されており、右側可動部16aと左側可動部16bおよび、前記両可動部16a,16bを連結する押圧部16cが一体に形成されている。右側可動部16aと左側可動部16bに挿通穴が開口し、この挿通穴が支持軸15に挿通されて、右側可動部16aと左側可動部16bが支持軸15を支点として回動自在に支持されている。
【0031】
規制部材16の右側可動部16aは、フレーム2の右側板部2cの内側にほぼ密着した位置で回動し、左側可動部16bは、左側板部2dの内側にほぼ密着した位置で回動する。図2に示すように、規制部材16の押圧部16cはフレーム2の背板部2bの内側に距離を空けた位置で回動する。
【0032】
規制部材16の右側可動部16aには凹部17aが形成されており、その先部に規制部18aが形成されている。また左側可動部16bには凹部17bが形成されており、その先部に規制部18bが形成されている。
【0033】
規制部材16がα1方向へ回動すると、右側可動部16aに形成された凹部17aが、フレーム2の右側板部2cに形成された支持凹部3aとほぼ一致して、凹部17aが支持凹部3aと共に上方に向けて開放される。同様に、左側の凹部17bが支持凹部3bに一致して、凹部17bが支持凹部3bと共に上方に向けて開放される。規制部材16がα2方向へ回動すると、右側可動部16aに形成された規制部18aによって支持凹部3aの開放部の少なくとも一部が塞がれ、左側可動部16bに形成された規制部18bによって支持凹部3bの開放部の少なくとも一部が塞がれる。
【0034】
規制部材16には、右側可動部16aの前方に折曲げ片16dが直角に折り曲げられ、折曲げ片16dの上端がさらに前方に向けて直角に折り曲げられて、摘み部19が形成されている。摘み部19を押すことで、規制部材16をα1方向へ回動させることができる。
【0035】
フレーム2の内側にはヘッドユニット20が取り付けられる。ヘッドユニット20には、ヘッド支持部材21が設けられている。ヘッド支持部材21は金属板を折り曲げて形成されている。ヘッド支持部材21には、右側支持板部21aと左側支持板部が折り曲げられて形成されている。右側支持板部21aに支持穴22aが開口し、左側支持板にも同様に支持穴が開口している。図2に示すように、それぞれの支持穴が支持軸15に挿通され、ヘッド支持部材21が支持軸15を支点としてβ1−β2方向へ回動自在に支持されている。
【0036】
図1に示すように、ヘッド支持部材21には、右側の上部に右側ストッパ23aが一体に形成され、左側の上部に左側ストッパ23bが一体に形成されている。フレーム2の右側板部2cの上部には規制凹部2eが形成され、左側板部2dの上部には規制凹部2fが形成されている。図2に示すように、ヘッド支持部材21が支持軸15に回動自在に支持されると、右側ストッパ23aが規制凹部2eの内部に入り、左側ストッパ23bが規制凹部2fの内部に入る。ヘッド支持部材21は、右側ストッパ23aと左側ストッパ23bが、規制凹部2eと規制凹部2fの内部で動ける範囲内において回動できるようになる。
【0037】
図1と図2に示すように、ヘッド支持部材21の前面にヘッド本体25が固定されている。ヘッド本体25は、耐熱性のセラミック材料や合成樹脂材料で形成され、その前面の上方に、発熱部26が設けられている。発熱部26は複数の発熱点を有しており、この発熱点は、ヘッド本体25の長手方向に向けて一定のピッチで一列に並んで配列している。
【0038】
図2に示すように、ヘッドユニット20と、フレーム2の背板部2bとの間の空間が付勢領域30であり、規制部材16の押圧部16cは、付勢領域30内に位置している。すなわち、規制部材16の押圧部16cは、ヘッドユニット20を挟んで規制部18a,18bが形成されている側とは逆の側に配置されている。また、押圧部16cは、支持軸15を挟んで規制部18a,18bが形成されている側とは逆の側に配置され、且つ押圧部16cは、支持軸15を挟んでヘッドユニット20と逆の側に配置されている。
【0039】
前記付勢領域30には、第1の板ばね31と第2の板ばね35が設けられている。第1の板ばね31と第2の板ばね35は、ばね性のステンレススチール板やリン青銅板で形成されている。
【0040】
第1の板ばね31は、湾曲部32と、湾曲部32から後方に連続して延びる掛止片33と、湾曲部32から前方へ連続して延びる付勢片34とが一体に形成されている。掛止片33には一対の位置決め穴33aが開口している。図2に示すように、フレーム2の背板部2bには、前方へ隆起形成された位置決め突起2gが2箇所に形成されており、それぞれの位置決め穴33aが位置決め突起2gと嵌合して、掛止片33が背板部2bの前面に位置決めされて設置される。付勢片34の上縁部には前方へ曲げられた突条部34aが一体に形成されている。
【0041】
第1の板ばね31は、掛止片33と付勢片34が互いに接近するように強制的に収縮変形力を与えた状態で、付勢領域30内において、湾曲部32が支持軸15を囲むように取り付けられる。前記収縮変形力を解除すると、弾性復元力によって、突条部34aがヘッドユニット20のヘッド支持部材21の背面を押圧し、これにより、ヘッドユニット20が支持軸15を支点としてβ1方向へ回動させられて、ヘッド本体25の発熱部26がプラテン本体6に押し付けられる。
【0042】
第2の板ばね35は、湾曲部36と、湾曲部36から後方に連続して延びる掛止片37と、湾曲部36から前方に連続して延びる付勢片38とが一体に形成されている。掛止片37は、フレーム2の背板部2bに設けられた一対の位置決め突起2gの間に挟まれて、背板部2bの前面で位置決めされて設置される。図2に示すように、掛止片37の上縁部37aは、背板部2bに形成された係止部2hに背面側から係止される。また、付勢片38の上縁部には後方に曲げられた突条部38aが形成されている。
【0043】
図2に示すように、第2の板ばね35は第1の板ばね31の内側に重ねられて配置され、第2の板ばね35の湾曲部36が第1の板ばね31の湾曲部32の内側に重ねられる。よって、第2の板ばね35の掛止片37と付勢片38は、第1の板ばね31の掛止片33と付勢片34の内側に位置する。
【0044】
第2の板ばね35は、掛止片37と付勢片38とが互いに離れるように強制的に拡開変形させた状態で、湾曲部36が、支持軸15を囲むように取り付けられる。前記拡開変形力を解除すると、弾性復元力によって、付勢片38の突条部38aが押圧部16cを背板部2bに向けて押圧し、規制部材16がα2方向へ付勢される。
【0045】
図2に示すように、プリンタ1が組み立てられた状態では、プラテンローラ5の一方の軸部7aが、フレーム2の右側板部2cに形成された支持凹部3a内に挿入され、他方の軸部7bが、左側板部2dに形成された支持凹部3b内に挿入されている。第2の板ばね35の付勢片38から押圧部16cに後方への付勢力が与えられているため、規制部材16が支持軸15を支点としてα2方向へ付勢されている。この付勢力によって、規制部材16に設けられた規制部18aがプラテンローラ5の軸部7aを押圧し、軸部7aのスリーブ9aが、支持凹部3aと規制部18aとで保持される。同様に、他方の軸部7bのスリーブ9bが、左側の支持凹部3bと規制部18bとで保持される。
【0046】
プラテンローラ5の軸部7aと軸部7bは、フレーム2の支持凹部3aと支持凹部3b内に動かないように保持され、軸部7aに設けられた従動歯車11が、フレーム2に設けられた駆動歯車14に噛み合せられる。
【0047】
ヘッドユニット20は、右側ストッパ23aと左側ストッパ23bが規制凹部2e内と規制凹部2f内で動ける範囲で支持軸15を支点として回動でき、第1の板ばね31の付勢片34の押圧力を受けて、ヘッドユニット20がβ1方向へ回動し、ヘッド本体25の発熱部26がプラテン本体6に押し付けられている。
【0048】
図2に示すように、プラテン本体6とヘッド本体25との間で印字用紙Pが挟まれた状態で、紙送り用のモータMが回転すると、プラテンローラ5が回転し、印字用紙Pが送り出され、ヘッド本体25の発熱部26の発熱点を選択することで、感熱性の印字用紙Pに印字が行われる。このときの印字用紙には一行ずつ文字列が印字される。
【0049】
印字用紙Pを交換し、または新たな印字用紙Pを装填するときは、規制部材16に一体に形成された摘み部19を押圧し、規制部材16を第2の板ばね35の付勢力に対抗させてα1方向へ回動させる。規制部材16に形成された規制部18aと規制部18bが、同時に軸部7aと軸部7bから外れるため、プラテンローラ5をフレーム2から取り外すことができる。
【0050】
このとき、プラテンローラ5は、背板部2bと平行な方向である上方へ向けて垂直に持ち上げるだけで、フレーム2から取り出すことができる。プラテンローラ5が取り外されると、第1の板ばね31で付勢されているヘッドユニット20が、図2の姿勢よりもさらにα1方向へ回動するが、右側ストッパ23aと左側ストッパ23bが、規制凹部2eと規制凹部2fで規制される。よって、ヘッドユニット20が、図2に示す姿勢よりもややβ1方向へ回動した姿勢で安定する。よって、その後にプラテンローラ5を上方から下向きに容易に装着することができる。
【0051】
このプリンタ1は、ヘッドユニット20と規制部材16が共通の支持軸15に回動自在に支持されており、第1の板ばね31の内側に第2の板ばね35が重ねられて、湾曲部32と湾曲部36が支持軸15を囲むようにして、付勢領域30に設置されている。そのために、第1の板ばね31と第2の板ばね35が狭い領域内で弾性変形部を十分に長く確保して配置できる。よって、プリンタ1を小型に構成でき、且つ第1の板ばね31と第2の板ばね35の弾性力を適度な大きさに設定しやすくなる。
【0052】
図3と図4に示す第2の実施の形態のプリンタ101は、図1と図2に示すプリンタ1の第1の板ばね31と第2の板ばね35の代わりに1つの本体板ばね130が使用されている。プリンタ101の板ばね以外の構造は、第1の実施の形態のプリンタ1と同じであるため、図1および図2と同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0053】
図3と図4に示す本体板ばね130は、ステンレススチールの板ばね材料やリン青銅板で一体に形成されている。本体板ばね130は、左右両側にそれぞれ第1の板ばね131が形成され、中央部に第2の板ばね135が形成されている。
【0054】
第1の板ばね131は、湾曲部132と掛止片133および付勢片134が一体に形成されている。左右それぞれの第1の板ばね131に形成された掛止片133に位置決め穴133aが形成されている。第2の板ばね135は、湾曲部136と掛止片137および付勢片138が一体に形成されている。
【0055】
図4に示すように、本体板ばね130は、ヘッドユニット20と背板部2bとの間の付勢領域30内に取り付けられる。このとき、湾曲部132と湾曲部136が支持軸15を下側から囲むように取り付けられる。また、第1の板ばね131の掛止片133に形成された位置決め穴133aが、背板部2bに形成された位置決め突起2gに嵌合して本体板ばね130が位置決めされる。
【0056】
2つの第1の板ばね131に形成された突条部134aによって、ヘッドユニット20がプラテンローラ5に押し付けられる。また、第2の板ばね135の掛止片137の上縁部137aが、背板部2bに形成された係止部2hの背面に掛止され、付勢片138の突条部138aが規制部材16の押圧部16cに弾圧されて、規制部材16がα2方向へ付勢されている。
【0057】
第2の実施の形態のプリンタ101は、板ばねが1枚で形成されているため部品点数を少なくでき、また狭い付勢領域30内に配置でき、第1の板ばね131と第2の板ばね135のそれぞれの弾性変形部を長く確保することができる。
【0058】
なお、各実施の形態は、ヘッド本体25がサーマルヘッドであるが、本発明は、サーマルヘッド以外に印字手段を有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 プリンタ
2 フレーム
2a 底板部
2b 背板部
2c 右側板部
2d 左側板部
2e,2f 規制凹部
3a,3b 支持凹部(支持部)
5 プラテンローラ
6 プラテン本体
7a,7b 軸部
8a,8b 軸
9a,9b スリーブ
11 従動歯車
14 駆動歯車
15 支持軸
16 規制部材
16a 右側可動部
16b 左側可動部
16c 押圧部
17a,17b 凹部
18a,18b 規制部
20 ヘッドユニット
21 ヘッド支持部材
25 ヘッド本体
30 付勢領域
31 第1の板ばね
32 湾曲部
33 掛止片
34 付勢片
35 第2の板ばね
36 湾曲部
37 掛止片
38 付勢片
101 プリンタ
130 本体板ばね
131 第1の板ばね
132 湾曲部
133 掛止片
134 付勢片
135 第2の板ばね
136 湾曲部
137 掛止片
138 付勢片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに形成された支持部に着脱自在に支持されるプラテンローラと、前記フレームに支持されて前記プラテンローラに圧接する向きに移動できるヘッドユニットとが設けられたプリンタにおいて、
前記フレームに規制部材が移動自在に支持され、前記規制部材は、前記プラテンローラの軸部が前記支持部から外れるのを規制する規制部と、前記ヘッドユニットを挟んで前記規制部と逆の側に配置された押圧部とを有しており、
前記ヘッドユニットを挟んで前記プラテンローラとは逆側の領域に、前記ヘッドユニットを前記プラテンローラに押圧する第1の板ばねと、前記押圧部を押圧して前記規制部が前記軸部を規制できる向きに前記規制部材を付勢する第2の板ばねとが設けられていることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは、別々に形成されており、前記領域で、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねが重ねられて配置されている請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは、共に湾曲部および前記湾曲部から一方に延びる掛止片と他方に延びる付勢片を有しており、
前記第1の板ばねの前記湾曲部と前記第2の板ばねの前記湾曲部が重ねられて、それぞれの湾曲部が、前記規制部材を回動自在に支持する支持軸を囲むように配置されて、前記掛止片が前記フレームに掛止され、前記第1の板ばねの前記付勢片が前記ヘッドユニットを押圧し、前記第2の板ばねの前記付勢片が前記押圧部を押圧している請求項2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは、ひとつの本体板ばねから分岐されて一体に形成されている請求項1記載のプリンタ。
【請求項5】
前記本体板ばねの前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは、それぞれ湾曲部および前記湾曲部から一方に延びる掛止片と、他方に延びる付勢片を有しており、
前記湾曲部が、前記規制部材を回動自在に支持する支持軸を囲むように配置されて、前記掛止片が前記フレームに掛止され、前記第1の板ばねの前記付勢片が前記ヘッドユニットを押圧し、前記第2の板ばねの前記付勢片が前記押圧部を押圧している請求項4記載のプリンタ。
【請求項6】
前記領域において、前記ヘッドユニットと前記押圧部が、互いに逆向きに付勢されている請求項1ないし5のいずれかに記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−73290(P2011−73290A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227300(P2009−227300)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】