説明

プランジャ−形叩き出しジグ

【課題】 合成樹脂成形物に、直径2ミリ程度の極めて小径な打ち抜きをおこなう抜型において、使用の過程で磨耗した刃型を簡易的に修復させる、これまでに存在ない専用工具の提供。
【解決手段】 従来から、磨耗した刃型を再生させる手段としておこなわれている、叩き出しと称呼される修復方法において、ハンマーに介して使用する先行技術の考案品である叩き出しジグを参考に、本件の課題を解決しうる形態に創作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
食品容器やトレ−などの合成樹脂成形物に貫通穴を開ける抜型を構成する部品の内、使用の過程で磨耗する刃型を修復させる作業に使用する工具に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂成形物の弁当容器や惣菜トレ−に嵌合させる蓋体には、その天面いっぱいに小径の貫通穴が複数箇所開けられているものがあるが、この貫通穴は当該抜型の打ち抜きによって開けられているものである。
【0003】
貫通穴は容器に充填した食品から発生する蒸気を逃がす用途を成すものであり、異物混入を防ぐことを考慮し小径であることが望ましく、直径2ミリ程度の目視では確認しにくい極めて小さい径で開けられることもある。
【0004】
しかし、このような小径の打ち抜きをおこなう抜き型においては、磨耗した刃型を修復させる作業に使用できる専用工具が存在しないことより、修復は容易におこなうことのできない困難なものとなるのである。
【0005】
磨耗した刃型を修複させる方法は、通常は先行技術文献に記載されている叩き出しと称呼する熟練を要す方法でおこなわれており、これは磨耗した刃型周辺の適正位置をハンマーで打撃し、塑性変形させた組織を追い込んで刃型を再生させる修復方法である。
【0006】
又、同文献の考案品である叩き出しジグは、修復させる刃型にジグと一体化した習い板を沿わせてジグの打撃先を適正位置にかまえさせるものであり、これをハンマーに介すことで熟練を要さずとも容易に修復をおこなうことを可能とさせた工具である。
【0007】
尚、抜型は貫通穴の刃型であるダイに、荷重をかけて凸形のパンチを噛み合わせることで、間に挟んだ成形物に打ち抜きをおこなうものであるが、ダイはパンチより低い硬度で作製することで、使用の過程で生じる磨耗の発生をダイに留め、修復はダイにのみ行えば足るよう画策されているものである。
【先行技術文献】

【実用新案文献】
登録実用新案第3152307号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先行技術文献の修復方法である叩き出しは、直径2ミリ程度の目視では位置を確認し難い刃型の修復作業においても、振り下ろすハンマーによって適正な位置を打撃する必要があり、高い熟練度を要すこの方法は適正な修復方法であるとは言い難い。
【0009】
又、同文献の考案品であり、ハンマーに介して使用する叩き出しジグは、刃型に習い板を沿わすことで、ジグの打撃先を適正位置にかまえさせるものであるが、直径2ミリ程度となる刃型に沿わせる習い板は、細径で強度の弱いものとなり、打撃の衝撃によって容易に変形又は破壊することより、適正な工具であるとは言い難い。
【0010】
上記内容に鑑み、本件は直径2ミリ程度の極めて小径の打ち抜きをおこなう抜型において、磨耗した刃型周辺の適正箇所を正確且つ簡易的に打撃し、刃型の修復を容易なものとさせる専用工具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以降ジグと記載する本件発明品の工具は、叩き出しジグと名称づけられている先行技術の考案品と同様に、外形形状は特定せず円筒形または長方形でも良く、打撃先は、かかる荷重を集中させるため先細りとした形態のジグ(1)内部より、スプリング(4)の力を利用して、先端を半球体形状としたガイドピン(3)の、その先端を反復可能な圧送状態で突き出させ、この部分を修正する刃型に沿わせることで、打撃先(2)を叩き出しに適した位置にかまえさせる。
【0012】
ガイドピン(3)はジグ(1)内部からスプリング(4)の力により、反復可能な圧送状態にあることで、先端の半球体形状部分を修正する刃型に沿わせた状態から、叩き出しの衝撃に対応してジグ(1)内部に反複することが可能であり、よってガイドピン(3)は自体に受ける衝撃を緩和し、変形または破壊するような事態を回避する。
【0013】
更にガイドピン(3)は、ダイ(7)よりも硬度の低い材料で作製することで、修復させる刃型周辺の見当位置から先端を突き当てた状態のまま、なぞるように移動させてもダイ(7)に傷を付ける事無く修復する刃型に合致させることができ、目視では容易に位置を確認し難い、極めて小径な刃型への誘導体としての機能が付加されている。
【0014】
ジグ先端の、打撃先の平面形状(5)は特定せず、真円または任意な半円でも良く、修正する刃型からの打撃先の距離においても、任意に作製できるものとする。
【0015】
本件発明品は、先端面から突き出させたガイドピンが内部より反復可能な圧送状態にあることで、一般的にはプランジャーと称呼される形態に属すことより、プランジャー形叩き出しジグと名称づけ、関連性のない名称にて用途の難解を避けることとした。
【引用文献】
三省堂大辞林による所、プランジャーとは、シリンダー内を往復して流体を圧送する円筒形のものと記載されている。
【発明の効果】
【0016】
プランジャー形叩き出しジグは、先端から突き出させたガイドピンを修復させる刃型に合致させることで、ジグの打撃先を適正位置に沿わせる機能を負荷したが、更に刃型周辺の見当位置からガイドピンの先端を突き当てたまま移動させても、ダイに傷付けることがないことより、目視では容易に位置を確認し難い極めて小径な刃型への誘導体としての機能が付加された。
【0017】
ガイドピンは叩き出しの衝撃に対応してジグ内部に反複することが可能であり、自体に受ける衝撃を緩和し、変形または破壊するような事態を回避する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本件発明品のプランジャー形叩き出しジグの打撃先面から突き出させたガイドピン(3)を突き当てたまま、修復する刃型周辺の見当位置よりダイ(7)の上面を移動させて刃型に合致させた後、叩き出しに適切な位置に打撃先(2)をかまえたジグ(1)の打ち付け先(6)をハンマーで打撃し、塑性変形させた組織を追い込んで磨耗した刃型を再生させる、叩き出しと称呼する修復作業をおこなう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本件発明品の断面図
【図2】本件発明品を打撃先から見た図
【図3】本件発明品をダイの刃型に沿わせ、打ち付け先をハンマーで打撃する状態図
【符号の説明】
【0020】
1 ジグ
2 打撃先
3 ガイドピン
4 スプリング
5 打撃先の平面形状
6 打ち付け先
7 ダイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打ち抜型における、磨耗した刃型を再生させる叩き出しと称呼する修復方法において、磨耗箇所の刃型周辺を打撃するハンマーに介して使用する工具であり、打撃先(2)を先細りの形態としたジグ(1)内部より、先端を半球体形状としたガイドピン(3)をスプリング(4)の力を利用して反復可能な圧送状態におき、ジグ(1)の打撃先より突き出させたその先端部分を、修正する刃型に沿わせてジグ(1)の打撃先(2)を叩き出しに適切な位置にかまえさせる工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−35116(P2013−35116A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184129(P2011−184129)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(500302231)バキュームモールド工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】