説明

プランター付水槽装置

【目的】 水槽本体内に、水中ポンプにより該水槽内の水を循環濾過するようにした濾過装置を設けると共に陸上植物を育成するためのプランターを設けてなるプランター付水槽装置において、濾過装置から水槽本体内を流れる水の流れを良好にして、水槽本体内の水の浄化作用を高めると共に、プランターに植え付けられる陸上植物の育成を良好にする。
【構成】 水槽本体Vの開放上面に着脱可能に設けられるプランターPの底壁14を水平面に対して水中ポンプ2より噴出する水の流れ方向に沿い上り勾配に傾斜する傾斜面に形成し、その傾斜面に、プランターP内と水槽本体V内とを連通する複数の小孔20を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱帯魚、金魚などの観賞魚や水草を育成するための水槽に、陸上植物を育成するためのプランターを併設したプランター付水槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、共通の容器に水槽とプランターとを纏めて設備した、プランター付水槽装置は公知である(後記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3802632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の上記水槽装置では、容器内を、鉛直な仕切り壁により水槽ゾーンとプランターゾーンとに区画し、その仕切り壁に開口した複数の小孔を通して容器内の水が両ゾーン間を行き来するように構成されている。
【0005】
ところで、プランターゾーンに植え込まれる観葉植物、ハーブなどの陸上植物を根腐れなどで枯らさずに長く良好に育成させるには、そのプランターゾーンに常に積極的に綺麗な水を流通させることが要求されるが、前記従来のものでは、そのような対策がなされていないないため、前記要求を充足させることができないという問題があった。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、前記問題を解決した、新規なプランター付水槽装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、水槽本体内に、水中ポンプにより該水槽本体内の水を循環濾過するようにした濾過装置を備えると共に陸上植物を育成するためのプランターを備えてなるプランター付水槽装置において、
前記水槽本体の開放上面に前記プランターを着脱可能に設け、このプランターの底壁を水平面に対して前記水中ポンプより噴出する水の流れ方向に沿い上り勾配に傾斜する傾斜面に形成し、その傾斜面に、プランター内と水槽本体内とを連通する複数の小孔を穿設したことを特徴としている。
【0008】
上記目的を達成するため、請求項2の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記プランターの底壁に穿設される複数の小孔は、前記水中ポンプからの水の流れ方向に沿って細長く形成されていることを特徴としている。
【0009】
上記目的を達成するため、請求項3の発明は、前記請求項1または2記載のものにおいて、前記水槽本体およびプランターは、いずれも透明に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
各請求項の発明によれば、濾過装置から水槽本体内を流れる水の流れを良好にして、水槽本体内の水の浄化作用を高めると共に、プランターに植え付けられる陸上植物の育成を良好にすることができる。
【0011】
また、特に請求項2の発明によれば、プランターの底壁に水中ポンプからの水の流れ方向に沿って細長く形成される複数の小孔は、水を流れを底壁の傾斜面に沿って誘導してプランター内への新しい水の循環を一層促進することができる。
【0012】
さらに、特に請求項3の発明によれば、水槽本体とプランター内を流れる水の流れ状態を外部から観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明水槽装置の全体斜視図
【図2】図1の2矢視図
【図3】プランターの全体斜視図
【図4】本発明水槽装置の使用状態を示す一部破断側面図
【図5】図4の5−5線に沿う断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0015】
先ず、図1,2において、プランター付水槽装置は、上面を開放した直方体の水槽本体Vと、その水槽本体V内に設置される内部式濾過装置Fと、水槽本体Vの開放上面に着脱可能に設けられるプランターPとを備えている。
【0016】
前記水槽本体Vは、透明な、アクリル等の硬質の合成樹脂材またはガラス材より、一体に形成されている。
【0017】
前記内部式濾過装置Fは、従来公知のもので、三角筒状の濾過本体1上部に水中ポンプ2が設けらており、この水中ポンプ2の吐出口には、複数の噴水ノズル4を設けた噴出管3が接続されている。水槽本体V内の一つの隅角部に、水槽水内に没するように吸盤5により取り付けられる。濾過本体1の外面には、水中ポンプ2の吸込側に通じる吸込口6が開口され、また、その内部に図示しない濾材が収容されており、水中ポンプ2の駆動によれば、吸込口6より濾過本体1内に吸い込まれた水槽水は、濾材により濾過された後、前記複数の噴水ノズル4より水槽本体V内に噴出される。
【0018】
なお、内部式濾過装置Fは、従来公知のものなので、その詳細な説明を省略する。
【0019】
前記プランターPは、図1,3に示すように、透明な、アクリル等の硬質の合成樹脂材またはガラス材より、その平面面積が、水槽本体Vの開口上面の略半分を占める大きさを有して、平面長方形の皿状に形成されており、その長手方向の前後側壁10,11と、これと直交する方向の左右側壁12,13と、底壁14とよりなり、その開放上面の長手方向の両側縁に、水槽本体Vの上縁に着座し得る外向きの受けフランジ15,16が一体に張り出している。プランターPの底壁14は、その長手方向の後側壁11から前側壁10に向かって上り勾配に傾斜する傾斜面に形成されており、この底壁14の上り側の端部と前側壁10の下部および底壁14の下り側の端部と後側壁11の下部とは、それぞれ外側に凸の円弧面17,18により滑らかに接続されている。
【0020】
また、前記底壁14には、その全面に亘り、その長手方向に沿って複数列の小孔20が穿設され、相隣合う列の複数の小孔20は、その列方向に互いに齟齬されていて平面視千鳥状に形成されている。複数の小孔20は、プランターPの長手方向と直交する方向に細長い長孔に形成され、複数列の小孔のうち、底壁14の前後端側にあるものは、前記円弧面17,18に跨がっている。また、プランターPの長手方向の後側壁11および長手方向と直交する方向の右側壁13には、前記水中ポンプ2に接続される電気コード2Cを選択的に挿通するための凹溝21,22が形成されている。
【0021】
図4,5に示すように、前記プランターPには、用土30が収容される。この用土30の粒径は、前記複数の小孔20の横幅よりも大きい。そして、用土30には、観葉植物、ハーブなどの陸上植物31を植え込んだ後、このプランターPを、水槽本体V1内に、その開放上面より組み込み、その受けフランジ15,16を水槽本体V1の上縁に着座させる。これにより、プランターPは、水槽本体Vの上部に取り付けられる。この取付状態では、プランターPは、水槽本体Vの開放上面の略半分を占めるようにされ、その残りの略半分は、アクリル板あるいはガラス板よりなる蓋板24により覆うようにする。
【0022】
プランターPの上下方向に傾斜する傾斜面よりなる底壁14は、その上り側が水槽本体1の中央側に、その下り側が水槽本体Vの壁面に沿うように、水平線に対して傾斜角θ(図4)をもって配置される。これにより、図4矢印aに示すように、水槽本体V内に設置される濾過装置Fの噴出管3の噴出ノズル14より噴出する濾過された新しい水は、プランターPの底壁14の上り勾配に傾斜する傾斜面に沿うように流れたのち、プランターPの長手方向の前側壁10に沿って上昇する。このとき、その水は、長孔よりなる複数の小孔20により誘導されて乱れることなく底壁14に沿って流れる。そして、噴出ノズル4からの噴流水は、複数の小孔20を通ってプランターP内に滞留する水を吸引して引き出すと共にそれらの小孔20を通ってプランターP内に流入する。これにより、プランターP内には、絶えず噴出ノズル4から噴出する新しい水を循環、流通させることができ、プランターP内に古い水が滞留したままになることがなく、プランターPに植え付けられる陸上植物31の根腐れを防止して、その良好な育成が促進され、また、水槽水の浄化が一層促進される。また、濾過装置Fから水槽本体V内を流れる水の流れを良好にして、水槽本体V内の水の浄化作用を高めることができる。また、水槽本体VおよびプランターPはいずれも透明であるので、前記水の流れを外部から観察することができる。
【0023】
なお、濾過装置Fの水中ポンプ2に連なる電線コード2Cは、プランターPの形成した凹溝21,22に選択的に挿通されて水槽本体Vの外に引き出される。
【0024】
以上、本発明の第1〜第3実施例について説明したが、本発明はこの実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。たとえば、前記実施例では、プランターの大きさは、その平面面積が、水槽本体の開口面積の略半分とされているが、その大きさを問わない。
【符号の説明】
【0025】
F・・・・内部式濾過装置
P・・・・プランター
V・・・・水槽本体
2・・・・水中ポンプ
14・・・底壁
20・・・小孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽本体(V)内に、水中ポンプ(2)により該水槽本体(V)内の水を循環濾過するようにした濾過装置(F)を備えると共に陸上植物(31)を育成するためのプランター(P)を備えてなるプランター付水槽装置において、
前記水槽本体(V)の開放上面に前記プランター(P)を着脱可能に設け、このプランター(P)の底壁(14)を水平面に対して前記水中ポンプ(2)より噴出する水の流れ方向に沿い上り勾配に傾斜する傾斜面に形成し、その傾斜面に、プランター(P)内と水槽本体(V)内とを連通する複数の小孔(20)を穿設したことを特徴とする、プランター付水槽装置。
【請求項2】
前記プランター(P)の底壁に穿設される複数の小孔(20)は、前記水中ポンプ(2)からの水の流れ方向に沿って細長く形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のプランター付水槽装置。
【請求項3】
前記水槽本体(V)およびプランター(P)は、いずれも透明に形成されていることを特徴とする、前記請求項1または2記載のプランター付水槽装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−177070(P2011−177070A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42893(P2010−42893)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000193313)水作株式会社 (17)
【Fターム(参考)】