説明

プラント監視制御システム

【課題】監視用としての監視画面データを優れた内容で簡単に作成でき、しかも修正作業が容易で運転制御時の操作ミスを事前に防止し得る機能性の高い表示が可能なプラント監視制御システムを提供する。
【解決手段】このプラント監視制御システムにおけるオペレータ監視操作端末は、イメージスキャナからの画像データに応じて自動的にプラント機器の運転制御に係る監視画面データを作成する際、1種類の監視画面1に対応する1つの監視画面データを4つに分割して拡大された分割監視画面2、3、8、9上に再生成する。また、分割監視画面2、3、8、9に対応して分割された監視画面データとの間で相互の関連付けの紐付けを行った関連画面情報に基づいて、操作部の操作を対応させて関連画面移動表示用ボタン4〜7、10〜13を分割画面2、3、8、9上に表示させ、分割画面2、3、8、9の1つのものから他のものへ移動しての展開表示を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント機器を監視しての運転制御に用いられると共に、オペレータ監視操作端末の監視画面上に表示される監視画面データを簡易に作成するためのプラント監視制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のプラント監視制御システムにおいて、オペレータが監視操作を行うオペレータ監視操作端末であるPOC(Process Operator's Console)に付設される表示装置(モニタ)の表示画面上に監視画面としてプラント機器の状態を表示するため、監視画面のデータファイルである監視画面データが用いられている。
【0003】
このような監視画面データは、一般的にプラント監視制御システム向けの描画ソフトを用い、テンプレートとして用意された弁やポンプといったプラント機器に対応するシンボルとプラント機器の名称とをモニタの監視画面上に配置してシンボル同士の結線を行い、各シンボルにプラントデータを割付ける作業を経て作成される。その結果、モニタの監視画面上には監視対象となるプラント機器が複数配置される。また、監視画面データについては、監視対象となるプラント機器の設備数分作成する必要があるため、その作成には長時間を要する。
【0004】
そこで、監視画面データの作成を簡易化するための周知技術としては、例えば文字等が入り混じったりして複雑になった系統図面から系統を構成している図柄のみを抽出して、自動的に再編集を行う図面整形装置(特許文献1参照)や、系統図面をイメージリーダで読取って取り込まれた画像データの図柄と線やシンボル等とのマッチングを行い、一致した部分に監視制御に用いるシンボルを配置し、シンボル間の結線を行い、各シンボルにプラントデータの割当てを行うプラント系統状態表示装置(特許文献2)等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−240165号公報
【特許文献2】実開平4−73816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1及び特許文献2に係る技術では、何れもプラント機器に係る系統図面から監視画面データを作成するとき、マッチングした部分に決められた大きさで各プラント機器のテンプレートを配置するため、情報量が多い系統図面から運転制御用の監視画面データを作成した場合には1つの監視画面上に多数のシンボルが配置されることにより、監視対象が多くなってしまい、監視用として優れた内容で作成することができず、結果として、操作部の操作により監視用に運用制御するときの操作性が低下してしまうという問題がある。また、シンボルのテンプレートのサイズによってはシンボル同士やシンボルとプラント機器の説明として監視画面上に配置するプラント機器の名称が重なってしまうという表示機能面での不便があるため、オペレータが監視による運転制御を行う際に操作ミスを引き起こす危険性を回避できないという問題もある。更に、係る運転制御用の監視画面データが作成された場合に修正を行うためには、その都度描画ソフトを用いて手作業で修正を行う必要があるため、修正作業に長時間を要してしまうという問題もある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、監視用としての監視画面データを優れた内容で簡単に作成でき、しかも修正作業が容易で運転制御時の操作ミスを事前に防止し得る機能性の高い表示が可能なプラント監視制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するため、本発明の第1の手段は、プラント機器に係る系統図面の画像データを取得する画像データ取得手段と、画像データ取得手段からの画像データに応じて自動的にプラント機器の運転制御に係る監視画面データを作成して格納すると共に、付設される表示装置の表示画面上に当該監視画面データを監視画面として表示し、且つオペレータによる監視操作に供される操作部を有するオペレータ監視操作端末と、を備えたプラント監視制御システムにおいて、オペレータ監視操作端末は、監視画面データの作成時に監視画面上に配置されるプラント機器を表わすシンボル情報に含まれる座標を参照し、当該監視画面を複数に分割した際のそれぞれの画面領域について、当該座標の数が基準値よりも多い場合には、当該監視画面データを複数に分割して所定に拡大して割り付けることを特徴とする。
【0009】
第2の手段は、第1の手段において、オペレータ監視操作端末は、操作部における操作により分割された監視画面データについての拡大倍率を手動で指定すると、当該拡大倍率に従って当該分割された当該監視画面データをそれぞれ拡大することを特徴とする。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段において、オペレータ監視操作端末は、複数に分割された監視画面についての相互の関連付けを示す関連画面情報に基づいて、操作部の操作で指示することにより、当該分割された当該監視画面のうちの1つから他のものへ移動して当該監視画面に対応する監視画面データを自動的に表示する移動表示機能を有することを特徴とする。
【0011】
第4の手段は、第3の手段において、関連画面情報は、分割された監視画面における移動先の表示として当該監視画面上に付与されるプラント機器の主となる名称であることを特徴とする。
【0012】
第5の手段は、第1の手段において、オペレータ監視操作端末は、監視画面を複数に分割する際に基準となるシンボル情報についてのテンプレートとの大きさを比較した結果、当該シンボル情報が当該テンプレートよりも小さい場合に当該シンボル情報の大きさが基準値となるように分割された監視画面データをそれぞれ拡大する処理を行うと共に、1画面上に表示し切れない場合には更に画面分割を行うことを特徴とする。
【0013】
第6の手段は、第1の手段又は第5の手段において、オペレータ監視操作端末は、監視画面を複数に分割する際に基準となる監視画像データ中のプラント機器に係る名称の文字列の大きさを測定し、当該名称の文字列の大きさが基準値よりも小さい場合に分割された監視画面データをそれぞれ拡大する処理を行うと共に、1画面上に表示し切れない場合には更に画面分割を行うことを特徴とする。
【0014】
第7の手段は、第1の手段〜第6の手段の何れか1つの手段において、オペレータ監視操作端末は、複数に分割した監視画面のうち、現行で表示中の当該監視画面上の監視画面データに関連する非表示の監視画面に係るプラント機器について、警報発生する状態変動が生じた場合には自動的に当該プラント機器に係る監視画面に対応する監視画面データに変更して表示する関連画面表示切替え機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のプラント監視制御システムによれば、プラント機器に係る系統図面から運転制御用の監視画面データを作成するとき、監視画面データを複数に分割して所定に拡大して分割された複数の監視画面にそれぞれ割り付けて格納・表示に供するため、監視用としての監視画面データを優れた内容で簡単に作成でき、しかも修正が容易で運転制御時の操作ミスを事前に防止し得る機能性の高い表示が可能なる。これにより、従来のように1つの系統図面から1つの監視画面データを作成した場合に生じる操作性の低下、表示機能面での不便、修正作業の長期化の諸問題を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1に係るプラント監視制御システムの基本構成を示したシステム構成図である。
【図2】図1に示すプラント監視制御システムに備えられるオペレータ監視操作端末による監視画面データの作成を説明するため、分割した監視画面上に割り付けられるように分割されて拡大表示された監視画面データの様子を例示した模式図である。
【図3】図1に示すプラント監視制御システムに備えられるオペレータ監視操作端末に係る系統図面から監視画面データの作成に至るまでの処理フローに対応させて示した機能ブロック図である。
【図4】図3に示す機能ブロック図に含まれるテンプレートマッチング処理部により生成されてシンボル情報データファイルに格納されるテーブル形式の系統図面上のシンボル情報を例示した図である。
【図5】図3に示す機能ブロック図に含まれるテンプレートマッチング処理部により生成されて線情報データファイルに格納されるテーブル形式の系統図面上の線情報を例示した図である。
【図6】図3に示す機能ブロック図に含まれるテンプレートマッチング処理部により生成されて機器名称情報データファイルに格納されるテーブル形式の系統図面上のプラント機器名称情報を例示した図である。
【図7】図3に示す機能ブロック図に含まれる画面分割情報作成処理部により分割される監視画面のそれぞれについての画面領域におけるシンボル数を導出するときの画面領域区分けを例示した模式図である。
【図8】図3に示す機能ブロック図に含まれる画面分割処理部により監視画面を分割処理する際の動作処理を示したフローチャートである。
【図9】図3に示す機能ブロック図に含まれる画面分割処理部により生成されて関連画面情報データファイルに格納されるテーブル形式の関連画面情報を例示した図である。
【図10】図3に示す機能ブロック図に含まれる画面データ作成処理部により画面領域別のシンボル数を用いて分割された監視画面データを作成する際に適用される関連画面移動表示用ボタンの配置及びラベル割当ての動作処理を示したフローチャートである。
【図11】図3に示す機能ブロック図に含まれる画面分割処理部で生成されて画面データ作成処理部で参照されるプラント機器重要度定義ファイルに格納されるテーブル形式のプラント機器重要度定義を例示した図である。
【図12】図1に示すプラント監視制御システムに備えられるオペレータ監視操作端末による警報発生する状態変動が生じた場合の関連画面表示切替え機能の動作処理を示したフローチャートである。
【図13】図3に示す機能ブロック図に含まれる画面分割情報作成処理部及び画面分割処理部に係るシンボルのテンプレートに対する倍率を用いての分割された監視画面データの作成に必要な基準とする閾値線を例示した模式図である。
【図14】図3に示す機能ブロック図に含まれる画面分割情報作成処理部及び画面分割処理部に係るシンボルのテンプレートに対する倍率を用いての分割された監視画面データを作成する際の動作処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明のプラント監視制御システム(その特徴的機能)について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1に係るプラント監視制御システムの基本構成を示したシステム構成図である。
【0019】
このプラント監視制御システムは、オペレータが監視操作を行うオペレータ監視操作端末(POC)14に画像データを取込むためのイメージスキャナ15が接続されると共に、制御LAN16が接続されている。また、弁19a及びポンプ19bを含むプラント機器19には、その状態監視や操作のための各種信号の入出力を行うためのプロセスI/O装置18を介在してコントローラ17が接続され、コントローラ17がプラント機器19の制御を行う。更に、コントローラ17には、制御LAN16が接続され、制御LAN16を通信路としてオペレータ監視操作端末14との間で双方向通信が可能となっている。
【0020】
このうち、イメージスキャナ15は、プラント機器19に係る系統図面の画像データを取得する画像データ取得手段として働くもので、その他にデジタルカメラ、画面スクリーンショット、CAD(CADデータ)を代用させることができる。
【0021】
オペレータ監視操作端末14は、表示画面を有する表示装置(モニタ)が付設されている他、よく知られているように、本体内にCPU、主メモリ、補助記憶部(HDD)等による記憶装置を備えると共に、キーボード・マウス等の操作部となる入出力装置を備えて構成されるものである。操作部については、表示装置の表示画面(監視画面)に対して接触操作(タッチオペレーション)を行う構成を採用しても良い。何れにせよ、ここでのオペレータ監視操作端末14は、基本機能として、画像データ取得手段(イメージスキャナ15)からの画像データに応じて自動的にプラント機器19の運転制御に係る監視画面データを作成して記憶装置に格納すると共に、付設される表示装置(モニタ)の表示画面上に監視画面データを監視画面として表示し、且つオペレータによる監視操作に供される操作部を有する。
【0022】
また、オペレータ監視操作端末14は、特徴的機能として、監視画面データの作成時に監視画面上に配置されるプラント機器9を表わすシンボル情報に含まれる座標を参照し、監視画面を複数に分割した際のそれぞれの画面領域について、座標の数が基準値よりも多い場合には、監視画面データを複数に分割して所定に拡大して割り付ける機能を有する。また、オペレータ監視操作端末14は、操作部における操作により分割された監視画面データについての拡大倍率を手動で指定すると、その拡大倍率に従って分割された監視画面データをそれぞれ拡大する。更に、オペレータ監視操作端末14は、複数に分割された監視画面についての相互の関連付けを示す関連画面情報に基づいて、操作部の操作で指示することにより、分割された監視画面のうちの1つから他のものへ移動してその監視画面に対応する監視画面データを自動的に表示する移動表示機能を有する。但し、ここでの関連画面情報は、分割された監視画面における移動先の表示として監視画面上に付与されるプラント機器19の主となる名称であることが好ましい。
【0023】
その他、オペレータ監視操作端末14は、監視画面を複数に分割する際に基準となるシンボル情報についてのテンプレートとの大きさを比較した結果、シンボル情報がテンプレートよりも小さい場合にシンボル情報の大きさが基準値となるように分割された監視画面データをそれぞれ拡大する処理を行うと共に、1画面上に表示し切れない場合には更に画面分割を行う機能を持つこと、或いは、監視画面を複数に分割する際に基準となる監視画像データ中のプラント機器に係る名称の文字列の大きさを測定し、名称の文字列の大きさが基準値よりも小さい場合に分割された監視画面データをそれぞれ拡大する処理を行うと共に、1画面上に表示し切れない場合には更に画面分割を行う機能を持つことが好ましい。
【0024】
但し、このオペレータ監視操作端末14については、複数に分割した監視画面のうち、現行で表示中の監視画面上の監視画面データに関連する非表示の監視画面に係るプラント機器19について、警報発生する状態変動が生じた場合には自動的にプラント機器19に係る監視画面に対応する監視画面データに変更して表示する関連画面表示切替え機能を有することが好ましい。
【0025】
何れにしても、オペレータ監視操作端末14は、1つの系統図面から1種類の監視画面に対応する監視画面データを作成するのではなく、監視画面データを複数に分割して所定に拡大して分割された複数の監視画面にそれぞれ割り付けて格納・表示に供するものである。
【0026】
図2は、オペレータ監視操作端末14による監視画面データの作成を説明するため、分割した監視画面上に割り付けられるように分割されて拡大表示された監視画面データの様子を例示した模式図である。
【0027】
ここでは、既知のプラント機器19に係る1つの系統図面から1種類の監視画面1に対応する監視画面データを作成する手法に代えて、1つの監視画面データをそれぞれ4つに分割して所定に拡大された分割監視画面2、3、8、9上に再生成するものである。分割監視画面2は監視画面1における左上側部分に該当し、分割監視画面3は監視画面1における右上側部分に該当し、分割監視画面8は、監視画面1における左下側部分に該当し、分割監視画面9は、監視画面1における右下側部分に該当する。分割監視画面2、3、8、9のうちの1つに対して、その他のものは関連画面とみなすことができる。
【0028】
分割監視画面2、3、8、9を生成する際にはそれらに対応して分割された監視画面データとの間で相互の関連付けの紐付けを行って関連画面情報を得ておき、その関連画面情報に基づいて操作部の操作を対応させて関連画面移動表示用ボタン4〜7、10〜13を分割監視画面2、3、8、9上に表示させ、分割監視画面2、3、8、9の1つのものから他のものへ移動しての展開表示を行わせる。関連画面移動表示用ボタン4〜7、10〜13には、分割監視画面2、3、8、9の移動先となるものへの重要度の高いプラント機器19の名称を割当てる。
【0029】
例えば、分割監視画面2上における関連画面移動表示用ボタン4は、タンク4画面に関連するもので、これを操作部でクリックすると分割監視画面2からタンク4を主要表示する分割監視画面3へ移動表示される。分割監視画面2上における関連画面移動表示用ボタン6は、タンク3画面に関連するもので、これを操作部でクリックすると分割監視画面2からタンク3を主要表示する分割監視画面8へ移動表示される。
【0030】
また、分割監視画面3上における関連画面移動表示用ボタン5は、タンク1画面に関連するもので、これを操作部でクリックすると分割監視画面3からタンク1を主要表示する分割監視画面2へ移動表示される。分割監視画面3上における関連画面移動表示用ボタン7は、ポンプ3画面に関連するもので、これを操作部でクリックすると分割監視画面3からポンプ3を主要表示する分割監視画面9へ移動表示される。
【0031】
更に、分割監視画面8上における関連画面移動表示用ボタン10は、タンク1画面に関連するもので、これを操作部でクリックすると分割監視画面8からタンク1を主要表示する分割監視画面2へ移動表示される。分割監視画面8上における関連画面移動表示用ボタン12は、ポンプ3画面に関連するもので、これを操作部でクリックすると分割監視画面8からポンプ3を主要表示する分割監視画面9へ移動表示される。
【0032】
加えて、分割監視画面9上における関連画面移動表示用ボタン11は、タンク4画面に関連するもので、これを操作部でクリックすると分割監視画面9からタンク4を主要表示する分割監視画面3へ移動表示される。分割監視画面9上における関連画面移動表示用ボタン13は、タンク3画面に関連するもので、これを操作部でクリックすると分割監視画面9からタンク3を主要表示する分割監視画面8へ移動表示される。
【0033】
但し、何れの操作により分割監視画面2、3、8、9上でそれらに対応する分割されて拡大された監視画面データを表示している場合でも、分割監視画面2、3、8、9のうちの現行で表示中のものの監視画面データに関連する非表示の他のものに係るプラント機器について、警報発生する状態変動が生じた場合には、警報時変更表示機能が働いて自動的にそのプラント機器に係る監視画面に対応する監視画面データに変更して切り替え表示を行う。尚、ここでは監視画面1を最大4分割して分割監視画面2、3、8、9を得る場合を例示したが、画面分割処理を行う際に用いるパラーメータの定義を変更すれば、それ以上の画面に分割することも可能である。
【0034】
図3は、オペレータ監視操作端末14に係る系統図面から監視画面データの作成に至るまでの処理フローに対応させて示した機能ブロック図である。以下には、イメージスキャナ15で取り込んだ系統図面の画像データに基づいて監視画面データを作成する手順(オペレータ監視操作端末14のCPUで実行される描画ソフトの機能構成)について説明する。
【0035】
オペレータ監視操作端末14において、イメージスキャナ15により系統図面の画像データが取り込まれると、先ず画像データ作成処理部20が紙媒体の系統図面を画像データとして取込んで系統図面の画像データファイル21に格納する。次に、画像データ変換処理部22が画像データファイル21から取得した画像データをベクトルデータに変換した画像ベクトルデータを画像ベクトルデータファイル23に格納する。更に、テンプレートマッチング処理部24が画像ベクトルデータファイル23から取得した画像ベクトルデータについて、テンプレートファイル25から取得したテンプレートデータがあるか否かのマッチングを判定する。テンプレートファイル25には、線、シンボル、文字のテンプレートデータが格納されている。
【0036】
テンプレートマッチング処理部24では、シンボルのマッチングを判定して得られるシンボル情報をシンボル情報データファイル26に格納した後、線のマッチングを判定して得られる線情報を線情報データファイル27に格納し、最後にプラント機器名称のマッチングを判定して得られる機器名称情報を機器名称情報データファイル28に格納する。
【0037】
図4にはシンボル情報データファイル26に格納されるテーブル形式の系統図面上のシンボル情報を例示し、図5には線情報データファイル27に格納されるテーブル形式の系統図面上の線情報を例示し、図6には機器名称情報データファイル28に格納されるテーブル形式の系統図面上のプラント機器名称情報を例示している。
【0038】
シンボル情報データファイル26には、系統図面上に配置されているシンボルの種類、シンボルが配置されている中心座標、シンボルサイズ、画面一貫No.を整理番号No.に対応させて格納している。線情報データファイル27には、同じ線で結線されている接続シンボルNo.情報、シンボルが結線されているシンボル接続位置情報、画面一貫No.を整理番号No.に対応させて格納している。ここでの接続シンボルNo.情報には、シンボル情報データファイル26の各シンボル種類についての整理番号No.を用いる。機器名称情報データファイル28には、系統図面上に配置されているプラント機器名称、配置されている中心座標、文字列サイズ、画面一貫No.を整理番号No.に対応させて格納している。これらの各情報データファイル26〜28に格納される画面一貫No.については、後文で詳述する。
【0039】
引き続き、画面分割情報作成処理部29及び画面分割処理部34では、分割して拡大する監視画面データを作成する際に用いる手法により、参照するファイルや処理動作が異なるものであるが、ここでは分割する監視画面におけるシンボル数を基準とした場合の分割方法について説明する。
【0040】
画面分割情報作成処理部29では画面データの分割方法の選択を行った後、分割基準情報定義ファイル30に格納されているユーザが画面を最大何分割するかを設定する画面分割数情報を参照し、監視画面の分割数を決定する。因みに、分割基準情報定義ファイル30には画面分割処理部34で監視画面の分割を行う際に用いる分割基準値も格納されている。ここで、分割基準値とは監視画面の分割を行う際に基準となる各画面領域(エリア)毎のシンボル数を示すものである。
【0041】
図7は、画面分割情報作成処理部29により分割される監視画面のそれぞれについての画面領域A、B、C、Dにおけるシンボル数を導出するときの画面領域区分けを例示した模式図である。図7を参照すれば、監視画面を4分割した際に画面領域(エリア)A〜Dに属するシンボルの座標数をシンボル情報データファイル26の座標(中心座標)から導出し、導出した各画面領域A〜Dのシンボル数をエリア別シンボル数データファイル32に格納する。画面分割処理部34では、エリア別シンボル数データファイル32のシンボル数と分割基準情報定義ファイル30内の分割基準値とを読み込み、これらの値に従って監視画面の分割処理を行う。
【0042】
図8は、画面分割処理部34により監視画面を分割処理する際の動作処理を示したフローチャートである。画面分割処理部34では以下の(1)〜(4)の何れかの分割処理を行う。
【0043】
(1)各エリアシンボル数が全て基準値以上であるか否かを判定(ステップST101)した結果、基準値以上である場合に監視画面の4分割を行うものである。具体的には、各画面情報データファイル26〜28更新(画面4分割)の処理(ステップST104)として、各画面情報データファイル26〜28に各分割画面の画面一貫No.を格納した後、関連画面情報データファイル36更新(画面4分割)の処理(ステップST108)として、関連画面情報データファイル36に各分割画面の画面一貫No.、各画面一貫No.に対応した画面位置情報、画面分割数に「4」を格納するものである。
【0044】
(2)各エリアシンボル数が全て基準値以上であるか否かを判定(ステップST101)した結果、基準値未満である場合に左右エリアシンボル数が基準値以上であるか否かを判定(ステップST102)した結果、基準値以上である場合に監視画面の左右2分割を行うものである。即ち、ここでは左側の画面領域A、Bのシンボル数の和、或いは右側の画面領域C、Dのシンボル数の和が基準値以上の場合は監視画面の左右2分割を行う。具体的には、各画面情報データファイル26〜28更新(画面左右2分割)の処理(ステップST105)として、各画面情報データファイル26〜28に各分割画面の画面一貫No.を格納した後、関連画面情報データファイル36更新(画面左右2分割)の処理(ステップST109)として、関連画面情報データファイル36に各分割画面の画面一貫No.、各画面一貫No.に対応した画面位置情報、画面分割数に「左右2」を格納するものである。
【0045】
(3)左右エリアシンボル数が基準値以上であるか否かを判定(ステップST102)した結果、基準値未満である場合に上下エリアシンボル数が基準値以上であるか否かを判定(ステップST103)した結果、基準値以上である場合に監視画面の上下2分割を行うものである。即ち、ここでは上側の画面領域A、Cのシンボル数の和、或いは下側の画面領域B、Dのシンボル数の和が基準値以上の場合は監視画面の上下2分割を行う。具体的には、各画面情報データファイル26〜28更新(画面上下2分割)の処理(ステップST106)として、各画面情報データファイル26〜28に各分割画面の画面一貫No.を格納した後、関連画面情報データファイル36更新(画面上下2分割)の処理(ステップST110)として、関連画面情報データファイル36に各分割画面の画面一貫No.、各画面一貫No.に対応した画面位置情報、画面分割数に「上下2」を格納するものである。
【0046】
(4)上下エリアシンボル数が基準値以上であるか否かを判定(ステップST103)した結果、基準値未満である場合には上記(1)〜(3)の何れにも該当しないために画面分割を行わない。具体的には、各画面情報データファイル26〜28更新(画面分割なし)の処理(ステップST107)として、各画面情報データファイル(26〜28)に画面一貫No.を格納した後、関連画面情報データファイル36更新(画面分割なし)の処理(ステップST111)として、関連画面情報データファイル36に画面一貫No.を格納し、画面位置情報に「(1,1)」、画面分割数に「1」を格納するものである。
【0047】
図9は、画面分割処理部34により生成されて関連画面情報データファイル36に格納されるテーブル形式の関連画面情報を例示した図である。
【0048】
図9を参照し、画面一貫No.と画面位置情報、分割数との関係について説明する。分割される監視画面についての関連画面情報は、個々の一貫番号(画面一貫No.)を用いて管理するもので、ここでは図2に示した4分割した分割監視画面2、3、8、9についての画面一貫No.をそれぞれ100、101、102、103とし、それらに対応する監視画面データには系統図全体における位置を表わす画面位置情報を割当てる。画面位置情報は分割された監視画面の位置関係を表わすものである。
【0049】
例えば、図7中で画面領域Aの位置の監視画面データには画面位置情報(2,1)、画面領域Bの監視画面データには画面位置情報(1,1)、画面領域Cの監視画面データには画面位置情報(2,2)、画面領域Dの監視画面データには画面位置情報(1,2)を割当てる。因みに、監視画面の分割を上下2分割として行った場合には上側の分割監視画面の監視画面データには画面位置情報(2,1)、下側の分割監視画面の監視画面データには画面位置情報(1,1)を割当てる。
【0050】
更に、画面データ作成処理部38では、シンボル情報データファイル26からはシンボル情報、線情報データファイル27からは線情報、機器名称情報データファイル28からは機器名称情報を読み込むと共に、関連画面情報データファイル36からは関連画面情報(画面位置情報)を読み込んで監視画面データの分割についての実行可否の判別を行い、監視画面データの分割を行った場合にはそれらを分割監視画面2、3、8、9に割り付けるようにして監視画面データファイル39に格納する。
【0051】
監視画面データの分割を行う場合には、各情報データファイル26〜28の各座標を分割監視画面2、3、8、9の中央に配置するために座標変換を行い、各図柄のテンプレートを画面分割処理部34により格納したテンプレートイメージファイル35から取り出した図柄をシンボルサイズと同じ大きさで各座標に配置する。シンボルの配置を行った後、線情報データファイル27のシンボル接続位置情報を参照し、各シンボルの接続位置同士を直線、或いはかぎ型線で結合する。この際、各シンボルが分割監視画面2、3、8、9の別々のものに跨って配置されて線が分断される場合には、一方のシンボルからもう一方のシンボルに向けた線を配置する。分割された分割監視画面2、3、8、9には図2で説明したような関連画面移動表示用ボタン4〜7、10〜13を設けると共に、それらのラベルに分割監視画面2、3、8、9の1つから移動先となる他のものについての重要度の高いプラント機器名称を割当てる。
【0052】
図10は、画面データ作成処理部38により画面領域A、B、C、D別のシンボル数を用いて分割された監視画面データを作成する際に適用される関連画面移動表示用ボタン4〜7、10〜13の配置及びラベル割当ての動作処理を示したフローチャートである。
【0053】
この動作処理では、先ず画面データ作成処理38が関連画面情報データファイル36を参照し、上下左右に移動先画面があるか否かを判定(ステップST201)した結果、移動先画面がなければ動作処理を終了するが、移動先画面があれば移動ボタン配置(ステップST202)を行う。
【0054】
次に、配置された移動ボタンを選択した際にどの画面に移動するかの割当てるボタンの移動先割当て(ステップST203)を行う。例えば、図2中において分割監視画面2(画面一貫No.100)に関連画面移動表示用ボタン4、6を設ける場合には、下方向の関連画面移動表示用ボタン6の移動先に分割監視画面8(画面一貫No.102)、右方向の関連画面移動表示用ボタン4の移動先に分割監視画面3(画面一貫No.101)を設定する。
【0055】
更に、移動先画面のプラント機器名称からボタンラベル決定(ステップST204)を行った後、移動ボタンに機器名称割当て(ステップST205)する処理を行う。プラント機器名称の重要度は、図11に示すプラント機器重要度定義ファイル37に格納されたプラント機器重要度定義で管理されており、読み込んだプラント機器重要度定義の情報をキーにして機器名称情報データファイル28内のプラント機器名称の検索を行い、移動ボタンに機器名称を割当てる。例えば、図2中の分割監視画面2において、下方向の関連画面移動表示用ボタン6に機器名称を割当てる場合は、機器名称情報データファイル28から分割監視画面8(画面一貫No.102)に配置されている機器名称の検索を行う。図11のプラント機器重要度定義ファイル37に示されるプラント機器重要度定義の内容から分割監視画面8において最も重要度が高いのはタンク3となるため、関連画面移動表示用ボタン6には「タンク3」が割当てられる。これらの処理を全てのボタン及び分割監視画面の数分行うため、その後は全ボタン終了か否かを判定(ステップST206)し、その結果が終了でなければボタンの移動先割当て(ステップST203)の前にリターンしてそれ以降の処理を繰り返すようにし、更に全分割画面終了か否かを判定(ステップST206)した結果が終了であれば動作処理を終了し、終了でなければ移動ボタン配置(ステップST202)の前にリターンしてそれ以降の処理を繰り返すようにする。以上の動作処理を経て得られる分割された監視画像データを監視画面データファイル39に格納する。これにより、監視画面データが作成されるが、監視画面データファイル39の監視画面データにおけるプラント機器(例えば監視画面1中の弁1、弁2やポンプ1〜3)のシンボルに実際の監視対象のプラント機器19のデータ(例えば弁19a、ポンプ19b)を割当てればプラント機器19向けの運転制御用の監視画面データが完成する。
【0056】
図12は、オペレータ監視操作端末14による警報発生する状態変動が生じた場合の関連画面表示切替え機能の動作処理を示したフローチャートである。
【0057】
この関連画面表示切替え機能は、上述したように分割監視画面2、3、8、9のうちの現行で表示中のものの監視画面データに関連する非表示の他のものに係るプラント機器について、警報発生する状態変動が生じた場合にユーザの負担を軽減するため、自動的にそのプラント機器に係る監視画面に対応する監視画面データに変更して切り替え表示を行うものである。
【0058】
この動作処理では、先ずオペレータ監視操作端末14において、プラント機器19(弁19a、ポンプ19b)について警報発生する状態変動が生じた場合、制御LAN16経由でコントローラ17からプラントデータ取得(ステップST301)を行うと共に、表示中画面情報取得(ステップST302)の処理の実行として、現在表示されている監視画面データの一貫番号(画面一貫No.)を取得する。
【0059】
次に、オペレータ監視操作端末14は、分割監視画面の監視画面データに割当てられたプラント機器のデータの関係が格納されている監視画面データファイル39内に構築された分割監視画面・プラント機器データ関連情報ファイルを参照し、状態変動が発生しているプラント機器に係る監視画面データの画面一貫No.を取得することにより、警報発生したプラント機器に関係するアラーム発生画面情報取得(ステップST303)の処理を行った後、関連画面情報データファイル36を読み込んで状態変動が発生している監視画面データの画面一貫No.をキーにして関連画面情報データファイル36中の検索を行い、表示中画面に関連する画面か否かを判定(ステップST304)する。この判定の結果、表示中画面に関連しなければ動作処理を終了するが、表示中画面に関連していれば警報発生したプラント機器に関係する非表示の分割監視画面の監視画面データを表示するように表示画面切替え処理(ステップST305)を行ってから動作処理を終了する。
【0060】
以上、分割監視画面2、3、8、9を成す画面領域A、B、C、D毎のシンボル数を用いた分割処理について説明したが、監視画面1の分割を行うための他の方法としては、テンプレートの系統図面中のシンボルに対する倍率を求め、倍率が1以上の場合はテンプレートマッチング処理部24において作成された各座標を倍率分拡大する方法を適用することができる。
【0061】
図13は、画面分割情報作成処理部29及び画面分割処理部34に係るシンボルのテンプレートに対する倍率を用いての分割された監視画面データの作成に必要な基準とする閾値線を例示した模式図である。
【0062】
ここでは、拡大されたシンボル情報データファイル26、機器名称情報データファイル28の各座標のうち、図13中に示すx軸左方閾値線41、x軸右方閾値線42、y軸上方閾値線40、及びy軸下方閾値線43で囲まれる斜線部領域外にシンボル、プラント機器名称の何れかが配置される場合において、監視画面を分割してそれらに拡大された監視画面データを分割して割り付けるように作成するものである。
【0063】
図14は、画面分割情報作成処理部29及び画面分割処理部34に係るシンボルのテンプレートに対する倍率を用いての分割された監視画面データを作成する際の動作処理を示したフローチャートである。
【0064】
この動作処理では、先ず画面分割情報作成処理部29が分割方法の選択を行い、テンプレートの倍率を用いる方法であれば、系統図面上の倍率を求める対象となるシンボル情報(基準シンボルテンプレート定義)が格納されている基準シンボルテンプレート定義ファイル31を読込み、テンプレートのシンボルサイズとシンボル情報データファイル26内のシンボルサイズに対する倍率(基準シンボル倍率)とを求める基準シンボル倍率導出(ステップST401)の処理を行い、その結果を基準シンボル倍率データファイ33に格納する。
【0065】
次に、画面分割情報作成処理部29は、基準シンボル倍率が1以上であるか否かを判定(ステップST402)し、その判定結果が1未満であれば画面分割処理部34による1画面作成処理(ステップST408)にジャンプしてから動作処理を終了するが、1以上であれば、各情報データファイル26〜28に格納されている各座標データを基準シンボル倍(基準シンボル倍率分拡大)して更新(ステップST403)する。
【0066】
更に、画面分割処理部34では、系統図面上で小さく描かれているシンボルやプラント名称を拡大すると、シンボル同士が重なったり、シンボルとプラント機器名称とが重なる恐れがあるため、最初に重なるシンボル或いは機器名称があるか否かを判定(ステップST404)した結果、重なるシンボル或いは機器名称があれば各情報データファイル26〜28の座標データ変換(ステップST405)を行うことにより、座標データとシンボルサイズとから各シンボルと各プラント機器名称との間隔を導き、間隔が狭ければ中心座標を離して配置するようにする。
【0067】
この後は、先の重なるシンボル或いは機器名称があるか否かを判定(ステップST404)した結果、重なるシンボル或いは機器名称がない場合と同様に、分割基準情報定義ファイル30に格納されている監視画面1を分割する際に用いる各閾値線40〜43の情報を用い、シンボルと機器名称との座標データに閾値(閾値線)を越えるものがあるか否かの判定(ステップST406)を行う。この判定の結果、閾値を越える座標データがなければ1画面作成処理(ステップST408)を行ってから動作処理を終了するが、閾値を越える座標データがあれば監視画面を4分割する画面4分割処理(ステップST407)を行ってから動作処理を終了する。
【0068】
ここでの画面4分割処理(ステップST407と1画面作成処理(ステップST408)とは図8を用いて説明した画面領域A、B、C、D別のシンボル数を用いて分割する場合と同様な処理を行う。引き続く処理は、画面領域A、B、C、D別のシンボル数を用いて分割する場合と同様の処理を行えば良いもので、最終的に画面データ作成処理部38により分割されて拡大された監視画面データを作成して監視画面データファイル39に格納する。
【0069】
その他、上述した系統図面中のシンボルサイズとシンボルのテンプレートとの比率を用いる方法に加えるか、或いは独立してテンプレートマッチング処理部24により系統図面中のプラント機器名称のマッチングを行う際に文字のテンプレートとの比率を用いることにより、分割画面データの作成を行うことも可能である。何れの場合にも、1画面上に表示し切れない場合には更に画面分割を行うことが望ましい。また、オペレータ監視操作端末14において、ユーザが操作部における操作により分割された監視画面データについての拡大倍率を手動で指定すると、その拡大倍率に従って分割された監視画面データをそれぞれ拡大させるようにし、分割監視画面2、3、8、9の作成、分割された監視画面データの作成を行うことも可能である。更に、運転制御用の監視画面データを作成する際に用いる系統図面の画像データについては、対象となる系統図面が写っていれば良いため、デジタルカメラ等で撮影した画像データやCADデータ、或いは他社リプレース時に用いる監視画面のスクリーンショット等からも取得して利用することができる。
【0070】
上述した実施例1に係るプラント監視制御システムによれば、プラント機器に係る系統図面から運転制御用の監視画面データを作成するとき、監視画面データを複数に分割して所定に拡大して分割された複数の監視画面にそれぞれ割り付けて格納・表示に供する画面データ作成処理を行うため、監視用としての監視画面データを優れた内容で簡単に作成でき、しかも修正が容易で運転制御時の操作ミスを事前に防止し得る機能性の高い表示が可能なる。これにより、従来のように1つの系統図面から1つの監視画面データを作成した場合に生じる操作性の低下、表示機能面での不便、修正作業の長期化の諸問題を改善することができる。また、監視画面を単に分割するだけでは分割された各監視画面を表示する際に複数の操作が発生してしまうが、分割された監視画面についての相互の関連付けを示す関連画面情報に基づいて操作部の操作を対応させている(関連画面移動表示用ボタンを表示させる)ことにより、オペレータの操作性を向上させることができる。更に、分割された監視画面のうち、現行表示中の監視画面上の監視画面データに関連する非表示の監視画面に係るプラント機器について、警報発生する状態変動が生じた場合には自動的にそのプラント機器に係る監視画面に対応する監視画面データに変更して表示する表示切り替えを行うため、監視操作を行うオペレータに対する非常時の操作負担を軽減することができる。加えて、上記監視画面データ作成処理については専用の描画ソフトを用いれば容易に修正にも対応可能なものであり、監視画面の分割された監視画像データが拡大表示されて見易いため、修正作業についても作業量を低減化することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 監視画面
2、3、8、9 分割監視画面
4〜7、10〜13 関連画面移動表示用ボタン
14 オペレータ監視操作端末(POC)
15 イメージスキャナ
16 制御LAN
17 コントローラ
18 プロセスI/O装置
19 プラント機器
19a 弁
19b ポンプ
20 画像データ作成処理部
21 画像データファイル
22 画像データ変換処理部
23 画像ベクトルデータファイル
24 テンプレートマッチング処理部
25 テンプレートファイル
26 シンボル情報データファイル
27 線情報データファイル
28 機器名称情報データファイル
29 画面分割情報作成処理部
30 分割基準情報定義ファイル
31 基準シンボルテンプレート定義ファイル
32 エリア別シンボル数データファイル
33 基準シンボル倍率データファイル
34 画面分割処理部
35 テンプレートイメージファイル
36 関連画面情報データファイル
37 プラント機器重要度定義ファイル
38 画面データ作成処理部
39 監視画面データファイル
40 y軸上方閾値線
41 x軸左方閾値線
42 x軸右方閾値線
43 y軸下方閾値線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント機器に係る系統図面の画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データ取得手段からの前記画像データに応じて自動的に前記プラント機器の運転制御に係る監視画面データを作成して格納すると共に、付設される表示装置の表示画面上に当該監視画面データを監視画面として表示し、且つオペレータによる監視操作に供される操作部を有するオペレータ監視操作端末と、を備えたプラント監視制御システムにおいて、
前記オペレータ監視操作端末は、前記監視画面データの作成時に前記監視画面上に配置される前記プラント機器を表わすシンボル情報に含まれる座標を参照し、当該監視画面を複数に分割した際のそれぞれの画面領域について、当該座標の数が基準値よりも多い場合には、当該監視画面データを複数に分割して所定に拡大して割り付けることを特徴とするプラント監視制御システム。
【請求項2】
請求項1記載のプラント監視制御システムにおいて、前記オペレータ監視操作端末は、前記操作部における操作により前記分割された前記監視画面データについての拡大倍率を手動で指定すると、当該拡大倍率に従って当該分割された当該監視画面データをそれぞれ拡大することを特徴とするプラント監視制御システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載のプラント監視制御システムにおいて、前記オペレータ監視操作端末は、前記複数に分割された前記監視画面についての相互の関連付けを示す関連画面情報に基づいて、前記操作部の操作で指示することにより、当該分割された当該監視画面のうちの1つから他のものへ移動して当該監視画面に対応する前記監視画面データを自動的に表示する移動表示機能を有することを特徴とするプラント監視制御システム。
【請求項4】
請求項3記載のプラント監視制御システムにおいて、前記関連画面情報は、前記分割された前記監視画面における移動先の表示として当該監視画面上に付与される前記プラント機器の主となる名称であることを特徴とするプラント監視制御システム
【請求項5】
請求項1記載のプラント監視制御システムにおいて、前記オペレータ監視操作端末は、前記監視画面を複数に分割する際に基準となる前記シンボル情報についてのテンプレートとの大きさを比較した結果、当該シンボル情報が当該テンプレートよりも小さい場合に当該シンボル情報の大きさが基準値となるように前記分割された前記監視画面データをそれぞれ拡大する処理を行うと共に、1画面上に表示し切れない場合には更に画面分割を行うことを特徴とするプラント監視制御システム。
【請求項6】
請求項1又は5記載のプラント監視制御システムおいて、前記オペレータ監視操作端末は、前記監視画面を複数に分割する際に基準となる前記監視画像データ中の前記プラント機器に係る名称の文字列の大きさを測定し、当該名称の文字列の大きさが基準値よりも小さい場合に前記分割された前記監視画面データをそれぞれ拡大する処理を行うと共に、1画面上に表示し切れない場合には更に画面分割を行うことを特徴とするプラント監視制御システム。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項記載のプラント監視制御システムにおいて、前記オペレータ監視操作端末は、前記複数に分割した前記監視画面のうち、現行で表示中の当該監視画面上の前記監視画面データに関連する非表示の監視画面に係る前記プラント機器について、警報発生する状態変動が生じた場合には自動的に当該プラント機器に係る監視画面に対応する監視画面データに変更して表示する関連画面表示切替え機能を有することを特徴とするプラント監視制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−174128(P2012−174128A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37373(P2011−37373)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】