説明

プリズムシート、それを用いたバックライトユニットおよび液晶表示装置

【課題】液晶表示装置に用いられるバックライトユニット用のプリズムシートとして、プリズム列の側を導光板の光出射面に向けて配置して用いられたときに、正面輝度の大幅な低下を来すことなく輝度の不均一性を効果的に抑制し、かつ従来のバックライトユニットよりも部品点数を減らして、液晶表示装置の薄型化を実現することが可能なプリズムシートを提供すること。
【解決手段】プリズムシートの、プリズム列とは反対側の面上で、シート端部の少なくとも一辺に沿った部分に、光遮蔽層を有し、該光遮蔽層はプリズム列に面した層として、波長400nm〜760nmにおける拡散反射率の最小値が30%以上、かつ正反射率の最大値が15%以下の拡散反射層を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ装置(LCD)等のバックライトユニットの構成部品として用いられる、プリズムシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ等に装備されている液晶ディスプレイ装置において、その液晶表示面を背面側から照明するための装置として、バックライトユニットが組み込まれている。液晶ディスプレイ装置の、従来一般的な構成の一例を図1に示す。該構成のバックライトユニット2においては、冷陰極管(CCFL)・発光ダイオード(LED)などの光源3から発せられた光は、導光板5に入射し、反射シート6などで反射されながら該導光板5の上面から出射する。導光板からの出射光は、導光板の出射面法線方向よりも光源から遠くなる方向に指向した出射特性を有しているため、光拡散フィルム(下拡散フィルム)7を通して法線方向寄りに偏向され、プリズム列が形成されたプリズムシート8のプリズム列の形成されていない面(非プリズム面)から入射され、プリズム列の形成されている面(プリズム面)から出射され、これによりさらに法線方向へと偏向される。こうしてプリズム面からバックライトユニット正面方向へ出射された光は、液晶表示面を有する液晶モジュール1の下面より入射され、背面側からの照明として利用される。プリズムシート8と液晶ユニット1との間に、プリズム面の保護や出射光の強度分布の均一化などの目的で、光拡散フィルム(上拡散フィルム)9が配置される場合もある。
【0003】
このように、プリズムシート8には、光拡散フィルム(下拡散フィルム)からの出射光を、透明基体面上に形成したプリズム斜面で屈折させ、バックライトユニット正面方向に偏向させることによって、液晶ディスプレイの観察者から見た正面方向の輝度を高める働きがある。このときプリズムシート8を光路に配置する向きとしては、非プリズム面を導光板の出射面に向けて配置してもよいし、逆にプリズム面を導光板の出射面に向けて配置してもよい。しかし前記一般的な構成のバックライトユニットにおいては、非プリズム面を導光板の出射面に向けて配置し、導光板とプリズムシートとの間に光拡散フィルム(下拡散フィルム)7を使用するのみで、特にプリズムシートへの入射角の調整を行う必要がないため、多くのバックライトユニットでこの配置方法が用いられている。
これに対して、プリズムシートのプリズム列の稜を導光板の出射面側に向けて配置する方法においては、光路を正面方向に偏向させる最大の効果を発揮させるために、プリズムシートと導光板相互の形状や、相互の配置を最適化し、プリズムへの入射角を制御する必要があり、精密な調整が重要となる。このため未だほとんど実用化はされていない。しかし最近、液晶表示装置を薄型化することへの要請が高まっているため、バックライトユニット自体もその構成部品の薄膜化、削減により全体の厚さを低減する重要性が増加している。プリズムの稜を導光板の出射面側に向けて配置する方法は、プリズムによる入射光の偏向角度が大きいため下拡散フィルムを省略でき、プリズムシートを一枚に出来るなど、バックライトユニットの構成を単純化して、その厚さを低減することができるため、前記一般的な構成のバックライトユニットと同等の実用特性が達成できれば、今後の液晶表示装置の高機能化、高品質化への寄与は極めて大きいと考えられる。
【0004】
片面にプリズム列を有するプリズムシートを、光路に挿入する際、非プリズム面を導光板の出射面に向けて配置するか、またはプリズムの稜を導光板の出射面に向けて配置するかによる、集光効果の違いを以下に説明する。
プリズムシートの非プリズム面を導光板の出射面に向けて配置した、一般的なバックライトユニットの各光学素子の配置を図2及び図3に示す。図2には一般的なバックライトユニットにおけるプリズムシートの配置を示した斜視図、図3には一般的なバックライトユニットにおける光路の一例を示している。導光板15上面より、導光板の出斜面の法線方向よりも光源から遠くなる方向に指向して出射した光は、光拡散フィルム(下拡散フィルム)17の拡散作用により、法線方向寄りに偏向され、かつ出射角分布に広がりをもった出射光となって、プリズムシート18の非プリズム面から入射する。そして、プリズムシート基体を経てプリズム列から出射されるまでの間に、プリズム単位を構成する材料と空気との間の屈折率差によって屈折し、さらに正面方向に偏向されて出射される。仮に光拡散フィルム(下拡散フィルム)17が無く、プリズム出射面における屈折だけでは、導光板から出射された光を必ずしも図3に示すように正面方向へと充分に曲げきれず、バックライト面領域の正面輝度分布のうち光源に近い側の輝度が不充分となる場合が多い。このため、バックライト正面方向の輝度分布を高くかつ均一にするためには、一旦、角度分布を広げかつ法線方向寄りに偏向させた光をプリズムシートに入射させる必要があり、光拡散フィルム(下拡散フィルム)17が必須であった。一方、光拡散フィルム17で拡散されて角度分布が広がった光に対して、プリズムシート18の屈折作用を十分に発揮させ、導光板からの出射光をバックライト正面方向へ効率良く偏向させるためには、プリズムシート18を2枚重ねとし、プリズム列がほぼ直交するように配置させる必要があり、光拡散フィルム(下拡散フィルム)1枚とプリズムシート2枚、合わせて少なくとも3枚の光学シートが必要であった。
【0005】
一方、プリズムシートのプリズム面を導光板の出射面に向けて配置したバックライトユニットの各光学素子の配置を、図4に示す。導光板25上面から出射した光は、空気層を経てプリズム列に進み、プリズム列32中のプリズム単位の一方の斜面から稜内部へ入射後、臨界角より大きい入射角で他方の斜面に入射した光は、この斜面によって全反射作用を受け、大きく方向を変えてバックライト正面方向へ偏向され出射される。従って、導光板の出射光方向等の特性と互いに合致するようにプリズム列の設計を行うことにより、導光板出射直後の光拡散フィルム(下拡散フィルム)を用いることなく、1枚のプリズムシートだけで、光源光をほぼ無駄なく利用することができ、バックライト正面方向への、高くかつ均一な輝度分布の実現が可能である。
【0006】
このように、上記のようなプリズムシートの配置をとることにより、部品点数を減らすことができ、バックライトユニットの薄型化が可能となり、しかも生産性が向上するという利点があった。プリズム列の稜を導光板の出射側に向けて配置する構成においては、部品点数が少ないため光透過時の損失も少なく、基本的に良好な輝度が得られると考えられる。しかしその分、光拡散要素が少ないため、輝度の均一性が低下しやすい問題がある。特に下拡散シートを有していないため、バックライトユニットの側面に配置された光源が、より直接的に端面の輝度を上昇させ、輝度の不均一性を発生させる大きな原因となっている。特に近年採用され始めた発光ダイオードアレイ光源を用いた場合は、発光ダイオードの位置に対応して、目玉状の輝度上昇部分を、バックライトユニットの光源に沿った液晶表示面の周辺端部に発生させるため、広範な実用化への大きな妨げとなっていた。
ここで上記プリズムシート配置の出射面側に光拡散フィルム(上拡散フィルム)を配置すれば、バックライト正面方向への輝度の不均一性を緩和させる作用はあるが、その効果は限定的であり、上記目玉状の輝度上昇部分の発生を防止するには不十分である
【0007】
従来より、バックライトユニットの側面に設置された光源に起因する輝度の不均一性を抑制する手段として、下拡散フィルムの周辺端部に光遮蔽層を設置することが行われている。特に近年、発光ダイオード等の光源の発光効率が向上し、高輝度化が進むに伴い、光源近傍に目玉状の輝度ムラが発生するという問題が顕在化してきた。図5に、プリズム列の稜の反対面を導光板の出射側に配置する従来のバックライトユニットの構成における、公知の輝度ムラ防止技術の一例を示す。光拡散シート7の裏面に、光遮蔽性を有する黒色インキ等を、スクリーン印刷機等で部分的に印刷して光遮蔽層10を形成する。あるいは光遮蔽層をインクジェットプリンターで印刷することにより印刷精度を向上させる試みも行われている(特許文献1参照)。光拡散シートの裏面に印刷された光遮蔽層10は、導光板5上面の光源近傍領域を覆うように配置され、余分な光を吸収することで光源近傍の高輝度部分を遮蔽し、発光ダイオードのアレイパターンに起因して、光源近傍に発生する目玉状の輝度ムラを改善するものである。さらに輝線防止層(光遮蔽層)を、顔料等の光拡散剤を含むインクで印刷してグラデュエーションをつけて作製したり(特許文献2、特許文献5参照)、さらにこれらグラデュエーションパターンよりも輝度ムラ抑制効果を向上させ、輝度自体も向上させるために、印刷を、バインダー中に分散した光拡散剤を含有する透明インクを用いたドットパターンによる輝線防止層を形成したり(特許文献3、特許文献4参照)することが行われている。
一方、プリズム列の稜を導光板の出射側に向けて配置する構成においては、プリズムシートのプリズム列とは反対側の面の周辺端部に、灰色の光遮蔽剤を設置することが行われている。(特許文献6)
しかしながら上述の方法のうち、光源からの出射光の一部を顔料を含んだ光遮蔽層で吸収する形式のものは、導光板上面からの出射光量が減り、結果的にバックライトユニット正面方向の平均輝度が低下するという問題があった。
【0008】
また、上述の輝度低下を抑制するため、光拡散剤を分散した透明インクを用いた輝線防止層を印刷する形式のものは、液晶表示面の平均輝度の低下は避けられるが、光拡散のみで輝度ムラを効果的に防止することは困難であった。しかもこれら透明インクは全光線透過率が顔料を用いた光遮蔽層に比べて高いため、光拡散材の量、光源の強度によっては、光源からの透過光が直接輝度ムラを発生させることもあった。これら光拡散剤を分散した透明インクによる輝線防止層は、光源からの光線が最初に輝線防止層に入射し、その後、下拡散フィルム、2枚のプリズムシート、上拡散フィルム等、多くの拡散要素を通過する従来構成のバックライトユニットにおいては、輝度ムラの防止手段として機能しうる(図1、図2、図3、図5参照)。しかし下拡散フィルムを用いずにプリズムシートのプリズム面を導光板側に向けて配置した構成のバックライトユニットにおいては、もともと光拡散要素が少ない上、光源からの光線は仮に光遮蔽層を通過するとその後はほとんど他の光学要素を通過せず、そのまま出射する。このため輝度ムラを防止し輝度の均一性を向上させる手段としては、これら輝線防止層では不十分である。
このようにこれらの方法では、平均輝度を低下させずに輝度ムラを効果的に防止することはできなかった。特に部品点数を減少させた、プリズム面を導光板の出射側に配置する構成においては、輝度の不均一性が発生し易く、中でも光源に発光ダイオードアレイを用いたときに発生する目玉状の輝度不均一部分の発生を、全体輝度を低下させずに抑制することは困難であった。
【0009】
このように、従来よりバックライトユニットの光拡散層やプリズムシートに用いられている光遮蔽層は、その多くが導光板の側面に設置された光源から直接入射する光、あるいは、導光板の周辺部を介して入射する光を吸収して、より完璧に遮蔽することで均一な輝度を得ようとしている。このため、輝度の均一化は達成できても輝度そのものが低下することが避けられなかった。一方これら光源からの光をより積極的に拡散することで均一な輝度を得る試みも行われている。しかし拡散だけで輝度の均一化をはかることは困難な場合もあり、輝度の均一化が不十分となることもあった。
特に光源が発光ダイオードアレイのように不連続な点光源から形成されている場合には、輝度の不均一性がより発生し易くまたその均一化も一層困難である。
またプリズムシートのプリズム面を導光板の出射側に向けて配置する構成で、プリズムシートを用いる場合、下拡散シートを使用しないで、光源からの光を直接プリズムに入射させるため、さらに一層光源による輝度の不均一性が発生しやすく、その均一化が困難となる。従来、このような場合には輝度を犠牲にして低下させてでも、その均一化を図るしか方法がなく、バックライトユニットやそれを用いた液晶表示装置の液晶表示面の輝度を落とさずに、その均一性を向上させることはできなかった。
【特許文献1】特開2002−22908(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2001−174609(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2001−297615(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2002−22909(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開2002−214407(特許請求の範囲)
【特許文献6】特開平11−265612
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、液晶表示装置に用いられるバックライトユニット用のプリズムシートとして用いられたときに、正面輝度の大幅な低下を来すことなく輝度の不均一性を効果的に抑制し、かつ従来のバックライトユニットよりも部品点数を減らして、液晶表示装置の薄型化を実現することが可能なプリズムシート、さらに該プリズムシートを用いたバックライトユニット、また該バックライトユニットを用いた液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
既述のように、従来、拡散フィルムやプリズムシート等の拡散要素で均一化しきれない光源に近接した領域の輝度分布は、拡散フィルムやプリズムシートの光源に沿った外縁部分に光遮蔽層を設けることで対処されてきた。光遮蔽層は透過率の低い光遮蔽剤の使用によって外縁部分の透過光量を大幅減衰させたり、透過光量を減衰させた上で外縁部分のヘイズ値を高くして輝度の均一化を図るもので有る。これら方法は基本的に外縁部分の輝度上昇を光遮蔽層の光吸収によって低下させるものであって、外縁部分への入射光の大部分は吸収によって損失されバックライトユニットの輝度向上には用いられなかった。
しかし発明者らは吸収ではなく反射を主体とした光遮蔽層を用いることにより、外縁部分への入射光量を有効に輝度向上へと利用することを考え、そのための最適な光遮蔽層、光遮蔽剤の特性について検討を行った。
その結果本発明者らは、液晶表示装置に用いられるバックライトユニット用のプリズムシートにおいて、特定の特性を有する光遮蔽層を備えたプリズムシートを用いることによって、上記課題を解決するに至った。すなわち本発明は、一方の面にプリズム列を有するプリズムシートの、前記プリズム列を有する面とは反対側の面上で、前記プリズムシートの端部の少なくとも一辺に沿った部分に、1層または2層以上の構成の光遮蔽層を有し、かつ前記光遮蔽層は前記プリズム列の側に面した層として拡散反射層を有し、前記拡散反射層の前記プリズム列側の面での波長400nm〜760nmにおける拡散反射率の最小値が30%以上、かつ正反射率の最大値が15%以下であることを特徴とするプリズムシートを提供する。
本発明のプリズムシートの拡散反射層は、プリズム列側の面での波長400nm〜760nmにおける拡散反射率の最小値が30%以上であるため、光源からの光を効果的に散乱光として反射させ、液晶表示面の正面輝度を向上させる。さらに正反射率の最大値が15%以下であるため、光源の輝度分布がそのまま反射像となって液晶表示面に輝度の不均一性をもたらすことがない。
また本発明は、導光板の端部に発光ダイオードアレイを配置してなるバックライトユニットの、前記導光板の光出射面側に、上記プリズムシートがプリズム列の側を向けて配置され、かつ前記プリズムシートの前記光遮蔽層は、前記導光板の光出射面側で、前記発光ダイオードランプアレイに沿った端部を、プリズム列を挟んで覆うように配置されているバックライトユニットを提供する。
本発明のバックライトユニットは、上記プリズムシートを用いているため、高輝度でかつ均一な輝度を有する面光源を形成し、液晶表示装置に用いられたときに、均一で高い液晶表示面の輝度を実現することができる。さらに上記プリズムシートにおけるプリズム面を導光板の出射側に向けて配置し、導光板からの光を下拡散シートを経ずに入射させるため、バックライトユニット全体の厚さ(図6、図7参照)を低減させることができ、薄型の液晶表示装置の実現を容易にすることができる。
さらに本発明は上記バックライトユニットを用いた液晶表示装置を提供する。
本発明の液晶表示装置は、本発明のプリズムシートを用いて構成された上記バックライトユニットを用いているので、全厚が薄く、表示面の輝度が高くかつ均一な表示の可能な液晶表示装置とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のプリズムシートは、バックライトユニットの構成部品として、プリズム面を導光板の出射側に向けて配置されたとき、高輝度でかつ均一な輝度を有する面光源を形成する。特に液晶表示装置用のバックライトユニットに用いられたときは、該バックライトユニットは、液晶表示面の輝度を高く保ちつつ、かつ均一な液晶表示面の輝度を実現することができる。このようなプリズムシートを用いてバックライトユニットを作製することにより、該バックライトユニットを用いた液晶表示装置は、バックライトユニットの光源に不連続な発光ダイオードアレイを用いているときでも、目玉状の不連続な高輝度部分を生じることが無く、均一で高輝度な液晶表示面を形成することができる。さらにプリズム面を導光板の出射面側に向けて配置するプリズムシートの構成は、下拡散フィルムを必要とせず、またプリズムシートも1枚で適用できるため、バックライトユニットの構成部品を削減でき、バックライトユニット全体の厚さを低減することができる。そしてこのようなバックライトユニットを用いることにより液晶表示装置全体を薄型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のプリズムシートは一方の面にプリズム列を有し、前記プリズム列を有する面とは反対側の面上で、前記プリズムシートの端部のうちの少なくとも一方に沿った部分に、1層または2層以上の構成の光遮蔽層を有し、かつ前記光遮蔽層は前記プリズム列の側に面した層として拡散反射層を有し、前記拡散反射層のプリズム列側の面での波長400nm〜760nmにおける拡散反射率の最小値が30%以上、かつ正反射率の最大値が15%以下である。
光遮蔽層は一層構成でも多層構成でもよいが、プリズム列に最も近い層、すなわちプリズム面から出た光が最初に入射する拡散反射層のプリズム列側の面が、上記反射率の範囲であることが必要である。拡散反射層の拡散反射率と正反射率を上記特定の範囲内に調整するためには、正反射率の高い反射材を用いた反射面の表面加工により、その表面粗さや表面形状を調整して拡散反射層を形成したり、正反射率の高い反射面を覆って拡散層を設けそのヘイズ値を調整することによって行うことができる。また金属粉の組成、形状を調整し、これを含有させた塗料によって拡散反射層の塗膜を形成することで行うこともできる。中でも、拡散反射層が、バインダー樹脂及び該バインダー樹脂中に分散された金属薄膜細片又はリン片状金属粉末を含有する層であることが好ましい。光遮蔽層は全て前記拡散反射層から構成されていてもよいが、バイダー樹脂及びバインダー樹脂に中に分散された顔料を有する裏打ち層と、該裏打ち層のさらにプリズム列に近い側に前記拡散反射層が形成された2層構成、あるいはこれら裏打ち層と拡散反射層を有する3層以上の構成を有することが、上記反射率の調整のし易さの点で好ましい。
プリズムシートのプリズム列を有する面とは反対側の略全面には光拡散層を有していることが好ましい。該光拡散層と光遮蔽層との位置関係は、光拡散層がプリズム列を有する面とは反対側の全面に形成されて、その上に光遮蔽層が形成されていても良いし、プリズム面とは反対側の面のうち、該プリズムシート端部の少なくとも一辺に沿った部分に光遮蔽層が形成され、光遮蔽層上を含む全面に光拡散層が形成されていてもよい。また、プリズム面とは反対側の面の該プリズムシートの端部のうちの、少なくとも一辺に沿った部分に光拡散層の未形成部分を形成して光拡散層が形成され、該未形成部分に光遮蔽層が形成されていてもよい。このときは、光拡散層と光遮蔽層とが略同一平面を形成することが好ましい。
光拡散層がプリズム列を有する面とは反対側の全面に形成されて、その上に光遮蔽層が形成されるときは(図8参照)、光源からプリズム列を通過して光遮蔽層に向かう光は、まず光拡散層を通過してから光遮蔽層の拡散反射面へと入射する。このため光拡散層の光遮蔽層に接する端部は、光遮蔽層のプリズム列側で光遮蔽層と一緒になり全体として光遮蔽の機能を果たしていると考えられる。この場合は前記拡散反射率や正反射率は、光遮蔽層の設置された位置における、光拡散層のプリズム列側の面での拡散反射率や正反射率で表すものとする。
以下に本発明における各反射率の説明を行う。本発明において用いている各反射率は、可視域の各波長領域における測定値を想定しており、積分球ユニットを備えた分光光度計を用いて測定される分光反射率である。その中で、各波長領域における反射の総量に係わる(分光)全反射率は特定波長の光に対して測定された被測定面における全反射光量をもとに、(分光)全反射率や(分光)拡散反射率等が既知の標準反射板(例えば硫酸バリウム標準反射板)の特定の波長領域における全反射光量を基準として算出される。また(分光)拡散反射率は、全反射光から正反射光(鏡面反射光)を光トラップにより除いた反射光量について、同様に測定を行い、拡散反射率が既知の標準拡散板からの拡散光量をもとに得られるものである。また、(分光)正反射率とは、(分光)全反射率から(分光)拡散反射率を差し引いて求められる。本発明において、実際に測定している反射率は全て各種の分光反射率であるが、測定波長領域を400〜760nmと規定して、最大値、最小値を規定している以上そのことは明らかであるから以下には特に明記しない。
上記各種の分光反射率は例えば積分球ユニットを備えた市販の紫外可視近赤外分光光度計によって測定される。
【0014】
以下、上記の好ましい態様における本発明のプリズムシートの各部分について、順に詳細に説明するとともに、上記プリズムシートの性能を維持しつつ、プリズムシートの各部分に施すことの出来る可能な構成の変形例についても説明を行う。
まず本発明のプリズムシートの基本的な構成及び、該プリズムシートを用いたバックライトユニットの基本的な構成を概略図で図6、図7に示す。
光遮蔽層や光拡散層を除くプリズムシートの基本構成としては、透明基板または透明フィルムを基体としてその片面にプリズム列を形成する2層構成のものであってもよいし、プリズム列を有する層自体が基体の役割を担っている1層構成のものであってもよい。しかし独立した透明基板、または透明フィルム等の光透過性基体を用いる2層構成のものの方が、塗布工程を通じてプリズム列を形成でき、形状等も制御し易いことから好ましい。
【0015】
本発明の光遮蔽層34は前記プリズム列32とは反対側の面上で、前記プリズムシートの端部のうちの少なくとも一辺に沿った部分に形成される。光遮蔽層34の形成される端部は、プリズム列の稜に平行な端部であることが光遮蔽効果の点で好ましいが、プリズムシートのいずれの端部にもプリズム列32の稜が平行でなく、一定の角度を有している場合には、光遮蔽効果を考慮して光遮蔽層を形成する端部の位置を決定することができる。
光遮蔽層34は一層構成のものでも良いし、図6、図7、図8に示すように裏打ち層を有する二層以上の構成のものでも良い。しかし光遮蔽層34のプリズム列の側に面した層としては拡散反射層35を有しており、光遮蔽層のプリズム列側の面、すなわち拡散反射層のプリズム列側の面での波長400nm〜760nmにおける拡散反射率の最小値は30%以上、かつ正反射率の最大値は15%以下である。拡散反射率の最小値は35%以上が好ましく、40%以上がさらに好ましい。また80%以下であることが、輝度の均一性の点で光源に隣接した端部のみの輝度が高くなりすぎない点で好ましい。正反射率の最大値は12%以下がさらに好ましい。また光源に隣接した端部の輝度を維持する点で1%以上であることが好ましい。光遮蔽層34に向かう光は、プリズム列32がその上に形成されている光透過性基体31と、光遮蔽層34すなわち拡散反射層35との界面を経て光遮蔽層へ入射する。このように光遮蔽層に入射する光は、実際はプリズムシートの基体である光透過性基体31と光遮蔽層34との界面で反射されるが、本発明において用いる各種反射率は、特に説明がなければ、全て光遮蔽層すなわち拡散反射層35の想定している入射面が空気中に露出している場合の反射率を用いるものとする。光遮蔽層の拡散反射率や正反射率の値は、例えばプラスティックフィルム等の透明基体の平滑平面上に形成された光遮蔽層の、拡散反射率や正反射率を空気中で測定することで得ることができる。
拡散反射率の最小値を30%以上とすることにより、バックライトユニットの正面輝度や、これを用いた液晶表示装置の正面輝度を光遮蔽層が無いときと比べて低下させることがなく、むしろ増加させることができる。また正反射率の最大値を15%以下とすることにより、光源23の反射像による輝度の不均一発生を抑制することができる。
さらに光遮蔽層の400nmから760nmにおける全反射率の最大値が80%以下であることが好ましい。光遮蔽層の全反射率の最大値が80%を超えると、拡散反射率と正反射率との比率にかかわらず光源23からの反射光の寄与が増えるため、バックライトユニットに用いている拡散要素によっては輝度を均一化することが困難になる傾向がある。特に光源に不連続な発光ダイオードアレイ光源を用いた場合には、目玉状の輝度集中部分がバックライトユニットによる発光や、これを用いた液層表示装置の表示面上に発生し易くなる傾向にある。光遮蔽層34は全光線透過率が5%以下、より好ましくは3%以下であることが好ましい。全光線透過率が5%を超えると、光源からの透過光が直接不均一な輝度分布を発生させる傾向がある。
【0016】
光遮蔽層34としては、プリズムシートのプリズム列とは反対側の端面に、拡散反射層、あるいは拡散反射層と裏打ち層とを塗布工程により形成することで作製できるが、結果的に光源からの光を有効に遮蔽し、また正反射率の最大値が15%以下と少なく、拡散反射率の高い光遮蔽材として機能するものであれば使用可能であって、着色剤で着色された拡散反射率の高いシート状の光遮蔽材を、プリズムシートのプリズム面とは反対側の面上で、光源からの直接光、もしくは導光板を介しての間接光の入射しやすいプリズムシート端部、好ましくは光源に近い側の端部に光源に沿って設置して光遮蔽層として用いることが出来、この場合光遮蔽材が同時に拡散反射層となる。このように単層構造の光遮蔽材を用い、その一方の面を導光板から出射した光が入射する拡散反射面として用いても良い。
あるいはそのような光遮蔽材の一方または両方の面に印刷を施すことで、光遮蔽材と新たに印刷した層とのいずれかを、拡散反射層、もう一方を裏打ち層として用いても良い。さらには図8に示すように、光透過性支持体上に拡散反射層を形成、または裏打ち層等を介してその上に拡散反射層を形成し、適切な大きさに裁断した光遮蔽材を、拡散反射層の側が入射面側となるようにプリズムシートのしかるべき設置箇所に固定して、光遮蔽層とすることができる。またプリズムシートのプリズム面とは反対側の面上、光源に沿った端部に、各種着色剤、バインダー樹脂を含有する塗料を用いた印刷によって拡散反射層35、裏打ち層36をこの順で作製し、光遮蔽層34を形成することができる。あるいは、ここで拡散反射層35、裏打ち層36の形成は転写用仮支持体上に、最も表面に近い側に拡散反射層35、その上に裏打ち層36を有する光遮蔽層の積層体を作製しておき、プリズムシート上の光遮蔽層を設置する位置に転写工程を経て形成してもよい。
【0017】
バックライトユニットによって白色の面光源を形成し、これを用いて白色の液晶表示面を形成するためには、光遮蔽層の各層に用いる着色剤は無彩色が好ましく、光照射による黄色化、褪色化を防止するために着色剤は顔料であることが好ましい。しかし黒色顔料を用いたシート、あるいは黒色顔料を用いたインクの印刷によって形成した光遮蔽層では、ほとんどの波長の可視領域の光を吸収してしまうため、正反射率は低いが拡散反射率も低く、本発明の拡散反射率の範囲を満たすことはできない。このため光源の反射像が輝度の不均一を発生させる可能性は無いが、バックライトユニットの正面輝度の低下が著しい。一方光遮蔽層の拡散反射層部分を、白色顔料を用いた白色PETフィルムを設置したり、白色顔料を用いた白色インクをプリズムシートのプリズム列を有する面とは反対側の面に印刷して作製し、本発明の拡散反射率の範囲を実現することができる。しかし、通常白色顔料を用いたこれら光遮蔽層は、拡散反射率は高いものの正反射率も高くなり、本発明の正反射率の範囲を超えてしまう。また結果的に全反射率も高くなる。また、全光線透過率も10〜20%有している。正反射率を本発明で規定した15%以下に抑える手段としては、例えば機械的な手段によって光遮蔽層の表面粗さを大きくしたり、光沢を小さくしたりする粗面化を行うことができる。あるいは白色顔料に、可視域に吸収波長を有する無彩色の吸収剤を少量添加することにより、拡散反射率も低下するが、正反射率を15%以下に抑えることができる。または光拡散材が透明樹脂に分散された光拡散層を、拡散反射率が30%以上かつ正反射率が15%以下となるよう、光拡散材の種類や配合を調整して、形成することができる。
また全光線透過率を低下させる手段としては、黒インクを裏打ち層として光遮蔽層の拡散反射層部分のプリズム列とは反対側の面に印刷してもよい。
下拡散シートを有し、非プリズム面を導光板の出射側に向けて配置し、上向きプリズムシートを用いる通常のバックライトユニットでは、拡散要素が多いため輝度の均一化に有利であって、例えば正反射率が15%を超える白色PETフィルムでも、これを遮蔽材として用いることができる場合が多い。しかし、下拡散シートを用いず、プリズム列の稜を導光板の出射側に向けて配置する構成のバックライトユニットでは、拡散要素が少なく、そのような白色PETフィルムをプリズムシートの非プリズム面表面に固定して光遮蔽層として用いると、光源の反射像による輝度の不均一化が発生する。
【0018】
このように光遮蔽層の入射面側の層、すなわち拡散反射層のプリズム列側の面での拡散反射率の適正範囲と、正反射率の適正範囲を両方満たすためには、上記種々の方法がある。
ここで本発明の光遮蔽層においては、バインダー樹脂及び該バインダー樹脂中に分散された金属薄膜細片または鱗片状金属粉末を含有する拡散反射層を、前記光遮蔽層中で前記プリズム列側に面し、かつプリズム列に最も近い層として有している光遮蔽層を用いることが好ましい。
このような光遮蔽層は金属薄膜細片または鱗片状金属粉末とバインダー樹脂を用いた拡散反射層を用いているため、遮蔽層のプリズム列側の面が光源あるいは導光板からの出射光に対して高い反射率を有してはいても、蒸着によって形成された光遮蔽層の場合と異なり正反射率が高くない。このため全反射率に対する拡散反射率の割合が高く、極めて有効な拡散反射面として機能する。また金属薄膜細片の良好な光遮蔽性のために、膜厚当たりの光遮蔽力が高く、薄膜であっても良好な光遮蔽効果を有する。
【0019】
これら拡散反射層35は金属薄膜細片またはリン片状金属粉末、樹脂バインダー、及び溶剤を含有する拡散反射層形成用塗料を塗布工程によって塗布及び乾燥することにより形成することが好ましい。拡散反射層形成用塗料中には、少なくとも金属薄膜細片、または鱗片状金属粉末、並びにバインダー樹脂、並びに有機溶剤を含有する。本発明の金属薄膜細片とは蒸着、スパッタリング、展延等により得られる金属の薄膜を粉砕し、細かな片としたものである。薄膜表面が平滑なため、該金属薄膜細片をバインダー樹脂中に分散した塗料を塗布して光反射層を形成すると、特に良好な光反射効果が得られ好ましい。また鱗片状金属粉末とは、不定形の金属粉末をボールミルによる処理等の機械的加工によって扁平形状に変形させたものである。とくに金属薄膜細片は薄膜面の表面粗さが小さく平滑であるため、これを使用することにより液晶表示面の輝度を向上させやすく好ましい。
【0020】
前記金属薄膜細片及び鱗片状金属粉末の金属としては、アルミニウム、金、銀、銅、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等を使用することができる。リン片状金属粉の場合はボールミル等でリン片状に展延されて形成されるが、金属薄膜細片の金属を薄片にする方法としては、アルミニウムのように融点の低い場合は蒸着、アルミニウム、金、銀、銅などの展性を有する場合は箔、融点が高く展性もない金属の場合はスパッタリング等を挙げることができる。これらのなかでも蒸着金属薄膜から得られた金属薄膜細片が好ましく用いられる。これらリン片状金属粉末や金属薄膜細片は遮蔽力が高く、薄い膜厚で遮蔽が可能である。リン片状金属粉末や金属薄膜細片の金属薄膜の厚さは、0.01〜0.1μmが好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.08μmである。一方バインダー樹脂中に分散させるリン片状金属粉末や金属薄膜細片の面の大きさは、長軸で5〜25μmが好ましく、さらに好ましくは10〜15μmである。大きさが5μm未満の場合は、塗膜の光反射効果が不十分となり、25μmを超えると金属薄膜細片が配向しにくくなるので光反射効果が低下する。
金属薄膜細片を用いたインクとしてはファインラップスーパーメタリックシルバー、ファインラップスーパーメタリック608シルバー(ともにDIC社製)等の鏡面インキがある。
【0021】
鱗片状金属粉末を用いたインクとして、例えば、鱗片状アルミニウム粒子を分散させた市販のアルミニウムペーストに、必要に応じて、樹脂バインダー、硬化剤、硬化触媒、分散剤、帯電防止剤、表面光沢調整剤、滑剤、有機溶剤等の溶媒を加え、分散機で混練処理した後、塗液配合に調整し、撹拌混合して調製したものを用いることができる。
【0022】
光遮蔽層34は、バインダー樹脂及び該バインダー樹脂中に分散された顔料を含有する裏打ち層36と、該裏打ち層上の前記プリズム列に近い側に積層された前記拡散反射層35を有することが好ましい。高い拡散反射率を得るための拡散反射層は、拡散反射層単独では全光線透過率を必ずしも低く抑えることが出来ないことが多い。拡散反射層を厚くすれば全光線透過率を実用上問題のない値にまで低下させることはできるが、プリズムシート全体の膜厚が厚くなり、バックライトユニットの薄型化の要請を考慮したとき好ましくない。特に金属薄膜細片を含む拡散反射層を形成したときは、膜厚を厚くし過ぎると、薄膜細片を扁平な面を向かい合わせて積み重ねた形で、バインダー樹脂中に分散された金属薄膜細片により形成された塗膜が、剥離を起こしやすい。拡散反射層35に加えてバインダー樹脂と、樹脂中に顔料が分散された裏打ち層36を拡散反射層のプリズム列側とは反対側に積層した光遮蔽層34とすることにより、拡散反射層側から入射する光に対して十分に全光線透過率を低下させることができる。
前記顔料は、塗膜にしたときに拡散反射層35とともに十分な光遮蔽性を有する塗膜を形成する顔料であれば特に限定されず、例えば酸化チタン等の白色顔料、その他着色顔料が使用できる。薄膜で良好な光遮蔽性が得られる点、波長依存性を有さない点でカーボンブラックが好ましいが、拡散反射層35の拡散反射率をさらに上昇させる点、波長依存性を有さない点では白色顔料が好ましい。これら裏打ち層36は拡散反射層35と併用されたとき拡散反射層のプリズム列側の面での、拡散反射率、正反射率及び全光線透過率等を考慮し、拡散反射層35との組み合わせで使用顔料や膜厚を決定することができる。
光遮蔽層34の各種反射率は光遮蔽層の拡散反射層に用いる顔料の種類と含有量で調整可能であるが、さらに、裏打ち層36を用い、裏打ち層36中に使用する顔料やその含有量を調整してその反射率や光吸収率を変化することにより、拡散反射層のプリズム列側の面での各種反射率と全光線透過率とを同時に調整することができる。
【0023】
裏打ち層36上に拡散反射層35が形成されていない領域があると導光板の光出射面からその部分に入射した光は裏打ち層に吸収されるのみで、液晶表示面の明るさを向上させることには寄与しない。したがって裏打ち層上の面には全て拡散反射層が積層されていることが好ましく、また拡散反射層上の面全てに裏打ち層が積層されていることが好ましく、ふたつの層は互いに全面でお互いに接して積層されていることが好ましい。
裏打ち層36に積層される拡散反射層も光遮蔽効果を有するが、拡散反射層は反射率調整のため膜厚を薄くしたときなど、一部入射光が透過するため、裏打ち層との組み合わせで充分な遮蔽作用を有することが好ましい。このため拡散反射層と裏打ち層との組み合わせとしては、拡散反射層側から測定光を入射したときの全光線透過率で1%以下が好ましい。全光線透過率が1%を越えると、裏打ち層の背面へ漏れる光量が大きくなり、輝度を不均一化させる原因となりやすく、また拡散反射層で反射される光量にロスが生じる傾向にある。
【0024】
プリズムシートのプリズム列を有する面と反対側の面には、ほぼ全面にわたって光拡散層33を形成することができる。このような構成とすることにより、従来のバックライトユニットに用いられていたモアレ縞抑制用の上拡散フィルムと、プリズムシートが一体化した構成となるため、バックライトユニットの部品数を低減できるとともに、その総厚を薄くすることが可能である。光拡散層を形成することによりプリズム列より出射した光が散乱し、バックライトユニットの輝度分布や、該バックライトユニットを用いた液晶表示装置の液晶表示面の輝度分布をより均一にすることができる。さらにプリズムシートのプリズム列の稜のパターンと、液晶セルパターンとの間で発生するモアレ縞を有効に抑制することができる。プリズムシートのプリズム列の稜を導光板の出射側に向けて配置する構成のバックライトユニットにおいては、下拡散シートを経ずに光源から直接光が入射するため、モアレが発生し易くなっている。このため、これら光拡散層の設置は液晶表示画像の画質を向上させる上で好ましい。光拡散層33は、樹脂バインダーと樹脂バイダー中に分散された光拡散粒子を含有した構成とすることができ、樹脂バインダーと光拡散粒子を含有する光拡散層用塗料をプリズムシートのプリズム列を有する面の反対側に塗布、乾燥して形成することができる。
【0025】
光拡散粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料、炭酸カルシウム、タルク等の無機粒子、アクリル粒子、アクリルウレタン粒子等の有機粒子等の透明または白色の粒子を用いることが出来る。あるいはは無機−有機ハイブリッド材料粒子を含有してもよいが、輝度分布を効率よく均一化し、モアレ縞を効果的に抑制するためには、多孔質粒子を光拡散粒子として含有する光拡散層を形成することが好ましい。
このような構成とすることにより、導光板25を出てプリズムシートのプリズム列32を有する面に入射した光は、プリズム部分で液晶表示面の正面方向に集光されつつ光拡散層33で拡散される。光拡散層33に含有される多孔質粒子は多くの細孔を含有し、かつ該細孔は空気を含んでいるため、光拡散層33に入射した光はこれら細孔とそれらを保持するバインダー、及び細孔内の空気を通過する間に極めて多数回にわたって反射、屈折を繰り返す。結果として通常の樹脂粒子と比較すると、比較的少ない含有量の多孔質粒子、比較的膜厚の薄い光拡散層によっても良好に拡散することになる。このためプリズムシートへの入射光を良好に散乱してモアレ縞の発生を抑制しつつ、プリズムシート透過時の光損失を低減することができ、全光線透過率を高い値に維持できるため、液晶表示面の輝度を高く保ちつつ、モアレ縞の発生を抑制することができる。
【0026】
該多孔質粒子の特性は細孔容積や平均細孔径で表されるが、粒子内部に細孔を有する多孔質性の微粒子であれば特に制限されることなく使用できる。該平均細孔径は1〜50nmの範囲で、該細孔容積は0.1〜3ml/gの範囲のものを好適に用いることができる。有機微粒子、無機微粒子共に使用可能であるが、中でも、多孔質シリカ、多孔質アルミナ、多孔質酸化チタン、多孔質ガラス等の無機材料が、バインダー樹脂との屈折率差を大きく取りやすく、粒子表面における反射率を高くしやすいため、拡散反射光を効率良く得られる点で好ましい。さらに光拡散層の表面硬度を向上させやすい点においても好ましい。その中でも多孔質シリカの粒子がより好ましい。
光拡散層33の形成は上記多孔質粒子等とバインダー樹脂、及び溶剤を含有する光拡散層用塗料を基体上に塗布、乾燥させることによって行うことができるが、基体と拡散層を一体化させることもできる。例えば多孔質粒子の分散したバインダー樹脂を用いて、押出法等の通常のシート製造方法により、基体シートであってかつ全体が光拡散層となるものを作製し、プリズムシート全体の膜厚を薄くすることができる。但し、多孔質粒子の含有量が多いときにはシート自体の力学的特性が脆弱となる可能性があり、強度確保のためには、プリズムシートの光拡散機能と支持体機能を分離して、透明基体、透明フィルムを光拡散層およびプリズム列の支持体として用いることが好ましい。
【0027】
光拡散層33に使用するバインダー樹脂としては、前記光拡散粒子を樹脂中に均一に分散でき、シート状に成形できるもの、或いはさらに溶剤を添加して塗料を作製し、光透過性基体上に塗布し塗膜を積層できるものであれば特に限定されず、一般的な成形用樹脂、塗料用樹脂等が使用できる。例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
塗布により光拡散層を形成するときの光拡散層用塗料に用いる溶剤としては、バインダー樹脂の溶解性、多孔質粒子等の分散性、形成する拡散層の膜厚、及び塗膜乾燥性等を考慮して、通常、塗料に使用される公知の溶剤のなかから適宜選択して使用することができる。
【0028】
本発明のプリズムシートの支持体として使用する光透過性基体31としては、支持体として十分な物理的強度と光透過性を有するものであれば特に限定されないが、透明性基体であることが好ましい。表面の平滑性や機械的強度から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、アクリルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネート、シクロオレフィン、アクリル等の透明または半透明樹脂シート又はフィルムから選ばれる。なかでもPETフィルムまたはPENフィルムが、その機械的強度の面から特に好ましい。基体の厚さは、5〜300μmであることが好ましく、10〜100μmの範囲であることがさらに好ましい。5μmより薄い場合、取り扱いが困難となるばかりでなく、熱収縮に起因するカールが発生して作業性を著しく低下させたりするなど、加工性を低下する傾向にある。300μmより厚い場合、プリズムシートの全厚が厚くなって薄型の電子装置等には使用できなくなってしまうとともに、基体そのものの可視光透過率が低下しやすく、バックライトユニットの正面輝度が低下する傾向にある。特にプリズムシート30の全厚を薄くしてバックライトユニットの薄型化、特に携帯電話用の液晶表示装置の薄型化を目的とするときは7〜50μmとすることが好ましい。
基体31の表面のうち少なくとも一方の面には、プリズム列32および/または光拡散層33との密着性を向上させるため、易接着処理層が塗布されている、あるいはコロナ処理が施されているなど、易接着処理がなされていることが好ましく、前記処理が両面とも成されていることが一層好ましい。
【0029】
本発明のプリズムシートのプリズム列32を有する層は、頂角を有する断面形状が三角形のプリズムを配列したものであって、平行かつ等間隔に形成された稜を有するプリズム列を有することが好ましい。プリズム列の表面は、断面が同形の二等辺三角形である直線状の単位プリズムが並行に隙間無く配列した形状であることが好ましく、プリズム列の断面二等辺三角形の頂角は50°〜80°が好ましく、60°〜70°であることがさらに好ましい。断面を同形の二等辺三角形とすることによって、プリズム列の製造が容易となるとともに、プリズムシートを薄くしつつ、かつプリズム機能を確実に発揮させることができる。プリズムの頂角を50°以上、80°以下の範囲とすることにより、本発明のプリズムシートの、プリズム列の稜を導光板の出射面側へ向けて配置したとき、プリズム列の斜面における全反射現象により、LCD正面方向への高い集光性が得られる。また隣接するプリズム列の間隔は、プリズム列部分の厚さの薄膜化の程度、プリズム列の製造の容易さ、モアレ縞の発生し易さ等を考慮して適宜決めることができるが、5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。プリズム列の高さはプリズム列の間隔にも影響するが、プリズムシートの全厚を薄くしてバックライトユニットの薄型化、特に携帯電話用の液晶表示装置の薄型化を目的とするときは7〜50μmとすることが好ましい。
【0030】
本発明のプリズムシート30におけるプリズム列32の形成は、支持体と一体化して形成してもよいし支持体上に別途積層して形成してもよい。これらについては公知の形成方法を用いることができる。それらプリズムシートの製造方法の一例について以下に説明する。
例えば、特開平11−171941号公報に開示されているように、連続基体を押し圧ロールにて型ロールへ押し付け、押し付けられた基体と型ロールとの接触開始部分に、液状の紫外線硬化型樹脂を供給し、紫外線を照射して形状を固定し、型ロールから剥離する方法を用いることができる。
または、特開2002−258410号公報に開示されているように、液状の紫外線硬化樹脂を型ロールに付着させ、その後に連続基体と接触させ、紫外線を照射して形状を固定し、型ロールから剥離する方法を用いることができる。
または、透明な基体に紫外線硬化樹脂を、公知の塗工方式により塗布し、紫外線硬化樹脂面を未硬化状態で型ロールに接触させて押し付け、紫外線を照射して形状を固定し、型ロールから剥離する方法を用いることができる。
【0031】
例えば上記の形成方法に応じて、本発明のプリズムシートにおけるプリズム列の形成に用いられる材料としては、透明であり、当初流動性をもち紫外線などの光により硬化し固体化する材料、または、加熱することで軟化して流動性となり冷却することで再び固体化する材料であれば、特に制限無く用いることができる。例えば紫外線硬化性樹脂組成物、熱可塑性樹脂などを使用することができる。
紫外線硬化性樹脂組成物としては、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコーンアクリレート、アルキルアクリレートなどのアクリレート系、不飽和ポリエステル系、ビニルエーテル系、マレイミド系、エポキシ系、ポリエン−ポリチオール化合物系など各種の紫外線硬化型オリゴマー・モノマーを主成分とし、反応性希釈剤、重合開始剤、重合促進剤、重合禁止剤、消泡剤、可塑剤、非反応性ポリマー,有機溶剤などを、必要に応じ配合し混合してなるものを用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリエステル、ポリカーボネートなど、加熱によって流動性となる汎用の熱可塑性樹脂を用いることができる。
なかでも紫外線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。その理由は、熱可塑性樹脂を基体のガラス転移温度より高温まで加熱した場合、熱による基体の変形を起こし不具合が発生する可能性があること、紫外線硬化性樹脂を用いた方が、熱可塑性樹脂を用いた場合に比べて加熱・冷却時間を各段に短くできるため、生産効率上有利であることである。
【0032】
次に、本発明におけるプリズムシートの製造方法の例についてより詳細に説明する。
該プリズムシート30は、例えば光透過性基体の一方の面に光遮蔽層34を形成した後、他方の面に上記プリズム列32を形成することが出来る。また例えば、上記プリズム列32を一方の面に有するシートを形成した後、該シートのプリズム面とは反対側に光遮蔽層34を形成して行うことが出来る。光拡散層33を形成する場合には、プリズムシート30のプリズム面とは反対側の面の略全面上に光拡散層33を形成させ、面上の一部に光遮蔽層34を形成させることができる。あるいはプリズム面とは反対側の面を、光拡散層形成部分と光遮蔽層形成部分とに分けて被覆してもよい。この場合両形成部分が一部重なってもよいが、両形成部分の間には隙間である未被覆部分の無いことが好ましい。
【0033】
光遮蔽層34は、プリズム列32が形成された面とは反対側の面上で、プリズムシートの端部周辺の少なくとも一辺に、拡散反射層35のみ、または拡散反射層35、裏打ち層36の順で積層させて形成させてもよいし、また他の支持体上に、拡散反射層35のみ、または裏打ち層36、拡散反射層35の順で積層させたものを、プリズム列32が形成された面とは反対側の面上の少なくとも一辺に沿った端部に、拡散反射層35をプリズム列の側に向けて密着の後転写させて形成させてもよい。拡散反射層と裏打ち層は既存の光遮蔽性シートを、本発明の拡散反射率、正反射率の範囲を満たすよう選択し、プリズム列32が形成された面とは反対側の面上で、プリズムシートの端部の少なくとも一辺に固定して光遮蔽層34とすることができる。あるいは拡散反射層または裏打ち層のどちらか一方を既存の光遮蔽性シートとして、もう一方を該光遮蔽性シートに塗布等の手段で形成してもよい。例えば裏打ち層として白色フィルムを用い、この上に拡散反射層を形成してもよい。拡散反射層、裏打ち層の形成は、各層を形成するための塗料を塗布することによって行っても良いが、転写用仮支持体上に、拡散反射層のみ、または裏打ち層と拡散反射層をこの順で積層させ、必要に応じてそれらの上にさらに接着剤層を積層したものを、プリズム列が形成された面とは反対側の面上の少なくとも一辺に沿った端部に、拡散反射層を接して密着させたのち、前記転写用仮支持体を剥がし去ることで拡散反射層、または裏打ち層と拡散反射層とを必要に応じて接着剤層を介して転写させてもよい。
【0034】
拡散反射層用塗料は、前記金属薄膜細片または鱗片状金属粉末と前記拡散反射層用塗料に使用するバインダー樹脂と有機溶剤を加え、必要に応じて、硬化剤、硬化触媒、分散剤、帯電防止剤、滑剤等を加え、ロールミル、ボールミル、ビーズミル、あるいはサンドミル等を使用して練肉することにより、前記金属薄膜細片または鱗片状金属粉末を分散して作製することができる。
【0035】
裏打ち層用塗料は、顔料及び前記光遮蔽層用塗料に用いられるバインダー樹脂と、必要に応じて、硬化剤、硬化触媒、分散剤、帯電防止剤、滑剤、有機溶剤等の溶媒を加え、分散機で混練処理した後、塗液配合に調整し、撹拌混合して調製する。
【0036】
裏打ち層用塗料および拡散反射層用塗料を塗布する方法には一般的な塗工又は印刷方式が利用できる。例えば、グラビア、小径グラビア、リバースロール、ダイ、リップ、スクリーン、ブレード、ナイフ、キャスト、スピン、エアドクター、スプレー、カーテン、キスなどの塗工又は印刷方式が利用できる。塗膜の乾燥には、一般的な乾燥方式が利用できる。例えば、熱風、赤外線、マイクロ波、誘導加熱、紫外線硬化、電子線硬化などの乾燥方式が利用できる。乾燥後、必要に応じ、所定の温度および時間にて熱硬化を行う。
【0037】
拡散反射層の厚みは、光反射性が得られる範囲で薄い方が好ましく、0.01〜2μmがより好ましい。拡散反射層の反射面は、反射率が適度に高い方が好ましいが、鏡面では例えば発行ダイオード光源が用いられているとき、目玉状の輝度ムラが解消しにくくなる傾向にある。このため拡散反射層用塗料を用いて塗布工程によって拡散反射層を形成する方が好ましい。この様にすることによって、一貫して塗布工程によって光拡散シートが形成できる点特に好ましい。
拡散反射層用塗料を用いて拡散反射層を形成する場合には、蒸着法と異なり膜厚による拡散反射率、正反射率、全光線透過率の制御が容易である。実際には拡散反射層の膜厚は液晶表示面の明るさと、輝度ムラを測定しながらその最適な数値に調整を行うことができる。
【0038】
裏打ち層の厚みは、光遮蔽性が得られる範囲内で薄い方が好ましく、拡散反射層との組み合わせによる全光線透過率を1%以下にするためにも膜厚は1〜60μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
【0039】
転写用仮支持体上に拡散反射層または、裏打ち層および拡散反射層を有する光遮蔽層を形成した場合は、導光板の光出射面で光源に沿った周辺端部を被うのに適当な幅および形状に、光遮蔽層の形成された転写用仮支持体を切り抜き、プリズムシートのプリズム列を形成した面とは反対側の面の端部の少なくとも一辺に密着後、光遮蔽層を転写させる。
【0040】
本発明の光拡散層の形成には、光拡散粒子、樹脂バイダー、及び溶剤を含有する光拡散層形成用塗料を、基材上のプリズム列を形成する面とは反対側の面に、光拡散層用塗料を塗布して乾燥させ、光拡散層を形成させる。塗布する方法には一般的な塗工方式が利用できる。例えば、ブレード、ナイフ、キャスト、浸漬、含浸機、スクリーン、スピン、リバースロール、エアドクター、グラビア、スプレー、カーテン、押出、ファウンテン、キス、ロッド、スクイズ、正回転ロール、キスロールなどの各塗工方式が利用できる。
塗膜の乾燥には、一般的な乾燥方式が利用でき、例えば、熱風、赤外線、マイクロ波、誘導加熱、紫外線硬化、電子線硬化などの乾燥方式が利用できる。
【0041】
このようにして製造されたプリズムシートは全厚が20〜500μmであるが、20〜100μmであることがバックライトユニットを薄型化できる点において好ましい。特に薄型化の要請の強い携帯電話用の液晶表示装置に用いられるバックライトユニットの場合、全厚を100μm未満、より好ましくは20〜70μmとすることが出来るため携帯電話の表示部等の液晶表示装置、ひいては携帯電話の薄型化に大きく貢献することになる。
【0042】
以上のようにしてプリズム列を有する層32、光拡散層33、裏打ち層36及び拡散反射層35が形成されたプリズムシート30を用いてバックライトユニット22を形成するときは、プリズム面を導光板の出射面側に向けて、かつ裏打ち層36及び拡散反射層35が形成された部分を、導光板25の光出射面で光源23に沿った周辺端部を被うように配置する。
さらにこのように作製したバックライトユニット22の出射面を液晶表示面の背面側に、従来公知の方法で配置、固定することにより、本願発明の液晶表示装置を作製することができる。特に光源が発光ダイオードランプアレイの場合には、アレイのパターンに伴う輝度ムラが効果的に抑制できより大きな効果を発揮することができる。
【実施例】
【0043】
以下に、実施例を用いて本発明を説明する。
<光拡散層用塗料の調製>
トルエン 150 質量部
MEK 150 質量部
多孔質シリカ「サイリシア430」 10 質量部
〔平均細孔径:17nm、細孔容積:1.25ml/g、
体積平均粒径(レーザー法による):4.1μm、富士シリシア化学社製〕
アクリル樹脂溶液「アクリディック52−666」 130 質量部
〔固形分50%、固形分の水酸基価75、DIC社製〕
帯電防止剤「ノプコスタットSN A−2」 1 質量部
〔イミダゾリン型カチオン性帯電防止剤、サンノプコ社製〕
ポリイソシアネート溶液「コロネートHL」 44 質量部
〔固形分75%、HDI系、固形分中の有効NCO含量17%、日本ポリウレタン工業社製〕
以上を分散攪拌機で攪拌混合し、光拡散層用塗料を得た。このとき、樹脂バインダーの固形分に対する多孔質シリカの添加量は、10%(質量比)であった。
【0044】
<黒色遮光層(裏打ち層)用塗料調製>
カーボンブラック「REGAL 99I」 100 質量部
〔キャボット社製〕
塩化ビニル樹脂「MR−110」 40 質量部
〔日本ゼオン社製〕
ポリウレタン樹脂「T―5206」 40 質量部
〔DIC社製〕
ポリイソシアネート溶液「ハードナーNO.10」 20 質量部
〔固形分38%、HDI系、DIC社製〕
トルエン 330 質量部
メチルエチルケトン 330 質量部
酢酸エチル 130 質量部
上記の配合比率において、先ず、カーボンブラック100質量部と塩ビ樹脂30質量部を、3本ロールを使って混練し、固形混練物を形成した後に残りの材料を加えて溶解、攪拌混合して、光遮蔽層用塗料を得た。
【0045】
<拡散反射層(a)用塗料の調整>
・鏡面インキ 「ファインラップ スーパーメタリックシルバー」 12 質量部
〔固形分7.5%、DIC社製〕
・鏡面インキ用レジューサー 「ファインラップ スーパーメタリックシルバー用レジューサー No.2」〔DIC社製〕 3 質量部


・ポリイソシアネート溶液「ハードナーNO.10」 1 質量部
〔固形分38%、HDI系、DIC社製〕
以上を分散攪拌機で攪拌混合し、拡散反射層(a)用塗料を得た。
【0046】
<拡散反射層(b)用塗料の調整>
多孔質シリカ「サイリシア430」 70 質量部
〔体積平均細孔径:17nm、細孔容積:1.25ml/g、
平均粒径(レーザー法による):4.1μm、富士シリシア化学社製〕
塩化ビニル樹脂「MR−110」〔DIC社製〕 40 質量部
ポリウレタン樹脂「パンデックスT−5206」〔DIC社製〕 40 質量部
ポリイソシアネート溶液「コロネートHL」 27 質量部
〔固形分75%、HDI系、日本ポリウレタン工業社製〕
メチルエチルケトン 350 質量部
トルエン 350 質量部
以上を分散攪拌機で攪拌混合し、拡散反射層(b)用塗料を得た。
【0047】
<拡散反射層(c)用塗料の調整>
アクリル樹脂粒子「MBX−15」 125 質量部
〔体積平均粒子径約13μm、積水化成品工業社製〕
アクリル樹脂溶液「アクリディックWDU−938」 100 質量部
〔固形分50%、DIC社製〕
ポリイソシアネート溶液「コロネートHL」 15 質量部
〔固形分75%、HDI系、日本ポリウレタン工業社製〕
トルエン 250 質量部
シクロヘキサノン 40 質量部
以上を分散攪拌機で攪拌混合し、拡散反射層(c)用塗料を得た。
【0048】
<プリズムシートの作製>
基体として、厚さ38又は25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した。基体の一方の面に、紫外線硬化性樹脂組成物を、約80℃に加熱して粘度を下げ、ダイコート法により厚さ30μmに塗布した。紫外線硬化性樹脂組成物には、ユニディックRC27−960(不飽和ポリエステル、アクリレートモノマー、光開始剤、等の混合物、DIC社製)を用いた。次に、プリズムピッチ:12.4μm、プリズム高さ:10μm、頂角64度のプリズム列の版が形成された平板状金型を、上記の未硬化樹脂層が形成された基体とともに、110℃、2分間加熱した。基体上の未硬化樹脂層面を、金型面に重ね、基体の背面からローラーで軽く押し付けた。紫外線を基体の背面側から照射して、未硬化樹脂を硬化・固定した。紫外線ランプには高圧水銀ランプを使用し、照射エネルギーは積算値で600mJ/cm(紫外線照度計「UVPF−36」〔アイグラフィクス社製〕にて測定)であった。金型、樹脂、基体の積層物を室温付近まで冷却し、基体を金型から剥離させたところ、所定のプリズムが基体表面に形成されたものが得られた。他方の面には、上記光拡散層用塗料を乾燥膜厚約5μmになるように塗布し、熱風乾燥させて拡散層の乾燥塗膜を得たものをプリズムシートとした。プリズムシートの光拡散層の硬化反応を促進するため、40℃恒温室中に48時間保管した。プリズムシートは、評価時に市販の液晶表示装置におけるバックライトユニットに組み込んで各種測定ができるように、適切な大きさに裁断して使用した。
【0049】
<輝度ムラ改善用黒色光遮蔽層付きテープの作製>
透明PETフィルムとして、「A4300(50μm)」〔東洋紡績社製〕の一方の面に、上記黒色遮光層用塗料を塗布・乾燥させて厚さ2μmの遮光層を形成することで、黒色遮光層付きテープを得た。該テープは評価に用いる液晶表示装置及び上記プリズムシートに合わせて適宜裁断して使用する。
【0050】
<輝度ムラ改善用裏打ち黒色層/拡散反射層(a)付きテープの作製>
「A4300(50μm)」の一方の面に、上記黒色遮光層用塗料を塗布・乾燥させて厚さ2μmの裏打ち層を形成、その上に上記拡散反射層用塗料(a)を塗布・乾燥させて厚さ0.3μmの拡散反射層を形成し、全体を所定幅にスリットすることで、裏打ち黒色層/拡散反射層(a)付きテープを得た。該テープは評価に用いる液晶表示装置及び上記プリズムシートに合わせて適宜裁断して使用する。
【0051】
<輝度ムラ改善用裏打ち白色層/拡散反射層(a)付きテープの作製>
白色PETフィルムとして、「ルミラー50E63S(50μm)」〔東レ社製〕の易接着処理面側に、上記拡散反射層用塗料(a)を塗布・乾燥させて厚さ0.3μmの拡散反射層を形成することで、裏打ち白色層/拡散反射層(a)付きテープを得た。該テープは評価に用いる液晶表示装置及び上記プリズムシートに合わせて適宜裁断して使用する。
【0052】
<輝度ムラ改善用裏打ち黒色層/拡散反射層(b)付きテープの作製>
「A4300(50μm)」の一方の面に、上記黒色遮光層用塗料を塗布・乾燥させて厚さ2μmの裏打ち層を形成、その上に上記拡散反射層(b)用塗料を塗布・乾燥させて厚さ13μmの拡散反射層(b)を形成し、全体を所定幅にスリットすることで、裏打ち黒色層/拡散反射層(b)付きテープを得た。該テープは評価に用いる液晶表示装置及び上記プリズムシートに合わせて適宜裁断して使用する。
【0053】
<輝度ムラ改善用裏打ち黒色層/拡散反射層(c)付きテープの作製>
「A4300(50μm)」の一方の面に、上記黒色遮光層用塗料を塗布・乾燥させて厚さ2μmの裏打ち層を形成、その上に上記拡散反射層(c)用塗料を塗布・乾燥させて厚さ29μmの拡散反射層(c)を形成し、全体を所定幅にスリットすることで、裏打ち黒色層/拡散反射層(c)付きテープを得た。該テープは評価に用いる液晶表示装置及び上記プリズムシートに合わせて適宜裁断して使用する。
【0054】
(実施例1)
上記プリズムシートの光拡散層面側で、プリズム列の稜に平行な一方の端部に沿って、上記裏打ち白色層/拡散反射層(a)付きテープを、プリズム列に近い側が拡散反射層となるような向きに配置し、該プリズムシートのプリズム列を導光板に向けて配置して、バックライトユニットを構成した。このとき光遮蔽層が導光板の光出射面で光源近傍の端部の上部領域を覆うような位置関係となるようした(図8参照)。白色層/拡散反射層付きテープは、幅約7mmのテープの一方の辺に、長さ約5mm、幅約2mmの凸部を一定間隔で設けた形状として、該凸部が発光ダイオードの上部を被うようにした。したがって該テープ幅の狭い部分は約7mm、広い部分は約9mmとなる。該テープをプリズムシートの光出射面上にせり出すように移動することにより、該光出射面の発光ダイオードに近い部分がより多く被われるので、輝度ムラは減少するが輝度自体も低下する。どれだけプリズムシートの光出射面を被うかは、評価に用いる市販の携帯電話のバックライトユニットにおいて、下拡散フィルムに予め設置されている光遮蔽層の位置を基準とした。
(実施例2)
裏打ち白色層/拡散反射層(a)付きテープに換えて、同様な形状に裁断された輝度ムラ改善用裏打ち黒色層/拡散反射層(a)付きテープを、プリズム列に近い側が拡散反射層となるような向きに配置する他は実施例1と同様にしてバックライトユニットを構成した。
(実施例3)
裏打ち白色層/拡散反射層(a)付きテープに換えて、同様な形状に裁断された輝度ムラ改善用裏打ち黒色層/拡散反射層(b)付きテープを、プリズム列に近い側が拡散反射層(b)となるような向きに配置する他は実施例1と同様にしてバックライトユニットを構成した。
(実施例4)
裏打ち白色層/拡散反射層(a)付きテープに換えて、厚さ約0.2mmのアルミニウム板の一方の面を、サンドペーパー(#280)で摩擦することで粗面化し、幅約9mmの長方形に裁断して作製した、輝度ムラ改善用拡散反射材を、プリズム列に近い側が粗面(拡散反射面)となるような向きに配置する他は実施例1と同様にしてバックライトユニットを構成した。このとき、アルミニウム板粗面の光沢(60°)は、21(「光沢計 VGS−1D」,日本電色工業社製,にて測定)であった。
【0055】
(比較例1)
実施例1の裏打ち白色層/拡散反射層(a)付きテープに換えて、同様な形状に裁断された「ルミラー50E63S」を用いる他は実施例1と同様にしてバックライトユニットを構成した。
(比較例2)
実施例1の裏打ち白色層/拡散反射層(a)付きテープに換えて、同様な形状に裁断された反射フィルム「ESR」(3M社製)を、プリズム列に近い側が銀蒸着状高反射面となるように配置する他は、実施例1と同様にしてバックライトユニットを構成した。
(比較例3)
実施例1の裏打ち白色層/拡散反射層(a)付きテープに換えて、同様な形状に裁断された輝度ムラ改善用黒色光遮蔽層付きテープを、プリズム列に近い側が黒色光遮蔽層となるように配置する他は、実施例1と同様にしてバックライトユニットを構成した。
(比較例4)
実施例1の裏打ち白色層/拡散反射層(a)付きテープに換えて、同様な形状に裁断された灰色シートを用いる他は、実施例1と同様にしてバックライトユニットを構成した。
(比較例5)
実施例1の裏打ち白色層/拡散反射層(a)付きテープに換えて、同様な形状に裁断された裏打ち黒色層/拡散反射層(c)付きテープを、プリズム列に近い側が拡散反射層(c)となるように配置する他は、実施例1と同様にしてバックライトユニットを構成した。
(比較例6)
実施例1の裏打ち白色層/拡散反射層付きテープに換えて、厚さ約0.2mmのアルミニウム板を、一方の面が光沢面のまま、幅約9mmの長方形に裁断して作製した反射材を、プリズム列に近い側が光沢面となるような向きに配置する他は実施例1と同様にしてバックライトユニットを構成した。このとき、アルミニウム板粗面の光沢(60°)は、203(「光沢計 VGS−1D」,日本電色工業社製,にて測定)であった。
(比較例7)
光遮蔽層を何も配置しない構成を比較例6のバックライトユニットの構成とした。
【0056】
(参考例1)
上記プリズムシートの代わりに、バックライトユニットの標準構成である4枚の光学シート(下光拡散フィルム、プリズムシート2枚、上光拡散フィルム)を使用し、下用光拡散フィルムの光拡散層面側の端部に、導光板の光出射面の光源近傍領域を覆うように、比較例1で用いた「ルミラー50E63S」を部分的に配置した構成を参考例1のバックライトユニットの構成とした(図1、図3、図5に記載の配置参照)。
【0057】
《光学特性の評価》
市販の携帯電話のバックライトユニットを分解し、組み込まれている4枚のフィルム(下光拡散フィルム、プリズムシート2枚、上光拡散フィルム)を取り去り、実施例1〜4、比較例1〜7に記載されたプリズムシートを、プリズム面が導光板出射面側になるように、かつプリズム列の稜が光源の配列の方向と平行となるように、またバックライトユニットにおける遮蔽層が、導光板の端部に配列されている光源の上部を覆うような方向でバックライトユニット中に組み込んだ。また参考例1については、もとのバックライトユニットの構成をそのままにして、光遮蔽層を組み込んだ。このようにして、実施例1〜4、比較例1〜7、参考例1のバックライトユニットの構成を形成し、それぞれのバックライトユニットの正面輝度を測定した。測定装置は多点輝度計EyeScale2(アイ・システム社製)を用いた。測定領域はバックライトユニット発光面において、全横幅の15%の幅を、それぞれのバックライトユニット発光面の左右端から除外し、かつ全縦幅の15%の幅をそれぞれのバックライトユニット発光面の上下端から除外した中心部分の矩形の領域である。この測定領域を3×3で9分割し、それぞれの領域の輝度を測定してからこれらを平均し輝度平均値を測定した。
【0058】
《輝度ムラの測定》
配列した発光ダイオードの位置を取り囲み、その近傍に目玉状に見える高輝度部分の状態を目視評価した。
輝度ムラ評価値1・・・画面の中央部分に比較して輝度が極めて高い部分が目玉状(真円状)にはっきりと見える。
輝度ムラ評価値2・・・画面の中央部分に比較して輝度が極めて高い部分が半円状ではあるがはっきりと見える。
輝度ムラ評価値3・・・画面の中央部分に比較して輝度がやや高い部分が目玉状(真円状)にうっすらと見える。
輝度ムラ評価値4・・・画面の中央部分に比較して輝度がやや高い部分が半円状にうっすらと見える。
輝度ムラ評価値5・・・画面の中央部分に比較して輝度が高い部分がほとんど見えない。
輝度ムラ評価値が4以上であれば、液晶表示装置における表示画面上の輝度の不均一は問題の無いレベルであった。
【0059】
《分光全反射率、分光拡散反射率、分光正反射率の測定》
実施例、比較例で光遮蔽層として使用した光遮蔽用の各フィルム又は各テープの拡散反射層上に、既述の光拡散層用塗料を用いて、乾燥膜厚5μmの光拡散層をさらに積層した構成のテープを作製した。これらテープを、遮蔽用の各テープと光拡散層がプリズム端部で重なって光遮蔽効果を発揮しているときの、対応する拡散反射率や正反射を測定するための測定用テープとして使用し、各測定用テープの光拡散層側の表面における波長400〜760nmの範囲の分光全反射率、分光拡散反射率、分光正反射率を測定した。測定には積分球を用い硫酸バリウムの各反射率を標準とした。分光拡散反射率は、正反射光を光トラップにより除いた残りの成分を受光することにより測定した。分光正反射率は、全反射光成分から拡散反射光成分を差し引くことにより算出した。測定装置は、紫外可視近赤外分光光度計「V−650」(日本分光社製)に専用の積分球ユニット「ISV−722」を備えた装置を使用した。
【0060】
本発明においては、バックライトユニットや液晶表示装置の表示面の正面輝度を低下させずに、光源である発光ダイオード近傍の輝度ムラの発生を防ぐことができるが、正面輝度の向上と、発光ダイオード近傍の輝度ムラの発生はトレードオフの関係にあることに変わりがない。輝度ムラがほとんど発生しない状態の輝度ムラ評価値は4以上であることから、実用上問題のないレベルを4以上とした。
【0061】
モアレの評価については、携帯電話の液晶ユニットを、上記輝度を測定したバックライトユニット上に被せ、目視で確認し、以下の5段階の評価基準で評価を行った。
(モアレ縞評価値)
評価値 1・・・モアレ縞の発生が明確に確認でき、輝度均一性も低い。
評価値 2・・・輝度均一性は向上するが、モアレ縞の発生が明確に確認できる。
評価値 3・・・ぼんやりではあるがモアレ縞の存在が容易に確認できる。
評価値 4・・・注視することによりモアレ縞の確認が可能である。
(評価値 4.5・・モアレ縞の確認に困難を伴う。)
評価値 5・・・モアレ縞が全く確認できない。
【0062】
モアレ縞については、モアレ縞評価値が4以上であれば実用上は問題の無いレベルである。
以上の測定項目について実施例1〜4、比較例1〜7、参考例1の構成のバックライトユニットについて行った測定結果を以下に示す。
【0063】

【0064】
表1からわかるように、光遮蔽層のうち、導光板に近い側を金属薄膜細片または鱗片状金属粉末を含有する拡散反射層とした実施例1及び実施例2では、波長400nmから760nmにおける拡散反射率の最小率が30%以上、かつ正反射率の最大値が15%以下であり、正面輝度を大きく低下させることなく、輝度ムラの発生を防ぐことが可能であり、裏打ち層を白色層とすることで、より高い正面輝度を確保することができる。拡散反射層を多孔質シリカを含有するより膜厚の厚い層とした実施例3では、高い拡散反射率が得られ、輝度ムラ、モアレ評価の小ささ、正面輝度の大きさの点で良好であるが、拡散反射層の膜厚をより薄くできる点で、プリズム列を導光板に向けて配置したときのバックライトユニットの有する、薄膜化という長所を打ち消さない点を考慮すると、実施例1、実施例2の方が好ましい。また、アルミニウム板の表面を粗面化した反射材を用いた実施例4についても良好な結果が得られているが、アルミニウム板表面の粗面化程度を再現性良く制御して行うことの困難さを考慮すると、性能の安定性の点で実施例1、実施例2の方が好ましい。これに対して、光遮蔽層として、白色PETフィルム、銀蒸着状高反射テープを使用した比較例1、2では、高い正面輝度は得られるが、正反射率の最大値が15%を越え、輝度ムラの発生を十分に防ぐことができない。一方、光遮蔽層として、黒色遮光テープを使用した比較例3、灰色シートを使用した比較例4では、輝度ムラの発生を防ぐことは可能であるが、拡散反射率の最小値が30%未満であり正面輝度が低下してしまう。したがって白色PETや灰色シート、黒色遮光テープ等をそのまま光遮蔽材として用いて光遮蔽層を形成したのでは、輝度分布を均一化しつつ高輝度を維持するのは困難であることがわかる。比較例5では光遮蔽層を、裏打ち黒色層/光拡散材としてアクリルウレタン樹脂ビーズを配合した拡散反射層の2層としたが、輝度ムラを緩和する効果はあるものの、黒色遮光テープの場合と同様に正面輝度が低下する。比較例6では金属板光沢面を拡散反射面としたが、高い正面輝度は得られるが、輝度ムラの発生を十分に防ぐことができない。参考例1では、輝度ムラの発生防止と高輝度の両立が可能である。しかし、4枚の光学シートを使用する必要があるため、バックライトユニットの薄型化を達成することができない。また白色PET自体の全反射率は高いものの、多くの光学シートを用いた事による光損失のため、実施例1〜4よりも正面輝度が低下する。このように白色PETフィルム(50E63S)は、下拡散フィルムを用いる従来のバックライトユニットの構成においては、光遮蔽層として良好に使用可能であるが、本発明のプリズムシートを用いる構成においては、輝度ムラの発生原因となるため、そのまま使用することは好ましくない。このようにバックライトユニットの構成によって、光遮蔽層に求められる特性が大きく異なっている。
またすべての実施例、比較例で光拡散層を用いているので、モアレ縞の発生は良好に抑制されている。参考例1においても上下拡散シートの効果によりモアレ縞の抑制は良好である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】液晶ディスプレイ装置の一般的な構成の一例を示した分解図である。
【図2】プリズムシートの非プリズム面を、導光板の出射面側に配置したバックライトユニットの構成を示す斜視図。
【図3】図2に示したバックライトユニットにおける光源からの光路の一部を示した概念図。
【図4】プリズムシートのプリズム面を、導光板の出射面側に配置したバックライトユニットの構成と光源からの光路の一部を示した概念図。
【図5】光拡散フィルムに上に公知技術の光遮蔽層を形成する従来の輝度ムラ抑制法を示す概念図。
【図6】プリズム列を有する面とは反対側の面の、端部一辺に沿った部分に拡散反射層・裏打ち層を有する光遮蔽層、それ以外の部分に光拡散層を有し、光遮蔽層と光拡散層とが略同一平面をなす、本発明のプリズムシートと、該プリズムシートを用いてプリズム列の稜を導光板の出射側に向けて配置したバックライトユニットの断面概念図。
【図7】拡散反射層・裏打ち層を有する光遮蔽層と、光拡散層とを、プリズム列をとは反対側の面に有する図6に示したプリズムシートと、該プリズムシートを用いてプリズム列の稜を導光板の出射側に向けて配置したバックライトユニットの斜視概念図。
【図8】プリズム列とは反対側の面の全面に光拡散層を有し、光透過性支持体・裏打ち層・拡散反射層よりなる光遮蔽材を、光拡散層上の端部一辺に沿った部分に固定した本発明のプリズムシートと、該プリズムシートを用いてプリズム列の稜を導光板の出射側に向けて配置したバックライトユニットの断面概念図。
【符号の説明】
【0066】
1 液晶モジュール
2 バックライトユニット
3,23 光源
4 反射フィルム
5,25 導光版
6 反射シート
7,17 光拡散フィルム(下拡散フィルム)
8 プリズムシート
9 光拡散フィルム(上拡散フィルム)
10 光拡散フィルム上に形成された光遮蔽層
12 従来の一般的なバックライトユニット
13,23 光源
15,25 導光板
18 従来の一般的なプリズムシート
19,31 基体
20,32 プリズム列
22 本発明のプリズムシートを用いたバックライトユニット
30 本発明のプリズムシート
33 本発明のプリズムシートにおける光拡散層
34 本発明のプリズムシートにおける光遮蔽層
35 本発明のプリズムシートにおける拡散反射層
36 本発明のプリズムシートにおける裏打ち層
37 本発明のプリズムシートにおける光遮蔽材
38 本発明のプリズムシートにおける光遮蔽材の光透過性支持体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面にプリズム列を有するプリズムシートの、前記プリズム列とは反対側の面上で、前記プリズムシートの端部の少なくとも一辺に沿った部分に、1層または2層以上の構成の光遮蔽層を有し、かつ前記光遮蔽層は前記プリズム列の側に面した層として拡散反射層を有し、前記拡散反射層の前記プリズム列側の面での波長400nm〜760nmにおける拡散反射率の最小値が30%以上、かつ正反射率の最大値が15%以下であることを特徴とするプリズムシート。
【請求項2】
前記拡散反射層は、バインダー樹脂及び該バインダー樹脂中に分散された金属薄膜細片または鱗片状金属粉末を含有する請求項1に記載のプリズムシート。
【請求項3】
前記光遮蔽層は、バインダー樹脂及び該バインダー樹脂中に分散された顔料を含有する裏打ち層と、該裏打ち層上の前記プリズム列に近い側に積層された前記拡散反射層を有する請求項1又は2に記載のプリズムシート。
【請求項4】
前記顔料は白色顔料である請求項3に記載のプリズムシート。
【請求項5】
前記顔料は黒色顔料である請求項3に記載のプリズムシート。
【請求項6】
前記プリズム列とは反対側の略全面上に光拡散層を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリズムシート。
【請求項7】
前記光遮蔽層は、前記光拡散層の上に形成される請求項6に記載のプリズムシート。
【請求項8】
前記プリズム列とは反対側の面上で、前記プリズムシートの端部の少なくとも一辺に沿った部分に光拡散層の未形成部分を有し、前記光拡散層の未形成部分に前記光遮蔽層が形成される請求項6に記載のプリズムシート。
【請求項9】
前記光拡散層と前記光遮蔽層が略同一平面を形成する請求項8に記載のプリズムシート。
【請求項10】
前記光拡散層は多孔質粒子を含有する請求項6〜9のいずれか1項に記載のプリズムシート。
【請求項11】
前記プリズムシートは、導光板の端部に発光ダイオードアレイを配置してなるバックライトユニットの、前記導光板の光出射面側に、前記プリズムシートのプリズム列の側を向けて配置され、かつ前記プリズムシートの前記光遮蔽層は、前記導光板の光出射面側で、前記発光ダイオードランプアレイに沿った端部を覆うように配置される請求項1〜10のいずれか1項に記載のプリズムシート。
【請求項12】
発光ダイオードランプアレイと、該発光ダイオードランプアレイの側方に配置されて前記ランプアレイから発せられる光線を一方の側に導く導光板と、該導光板の光出射側に配置される請求項11に記載のプリズムシートを有することを特徴とする液晶表示装置用のバックライトユニット。
【請求項13】
請求項12に記載のバックライトユニットを有することを特徴とする液晶表示装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−163240(P2009−163240A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318673(P2008−318673)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】