プリプレグの製造方法及びその装置
【課題】基材に含浸した樹脂内に空気溜まりを生ずることのないプリプレグの製造方法及びその装置を提供する。
【解決手段】基材3に重ね合わされた樹脂シート2に、基材3の搬送方向下流側に傾斜をなすように配列された複数の圧接ブレード11を樹脂シート2の幅方向中央側から両端側に亘って圧接するようにしたので、樹脂シート2及び基材3間の空気を幅方向中央側から両端側に向かって押し出すことができ、樹脂シート2及び基材3間の空気溜まりによるプリプレグ1の品質の低下を確実に防止することができる。
【解決手段】基材3に重ね合わされた樹脂シート2に、基材3の搬送方向下流側に傾斜をなすように配列された複数の圧接ブレード11を樹脂シート2の幅方向中央側から両端側に亘って圧接するようにしたので、樹脂シート2及び基材3間の空気を幅方向中央側から両端側に向かって押し出すことができ、樹脂シート2及び基材3間の空気溜まりによるプリプレグ1の品質の低下を確実に防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば航空機の内装部品や、ゴルフシャフト、釣り竿、ラケット等の運動用具の材料に用いられるプリプレグの製造方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、航空機の内装部品や運動用具の材料に用いられるプリプレグは、熱可塑性の樹脂をシート状の離型材に担持してなる樹脂シートを、強化繊維材を縦方向及び横方向に配列してなるシート状の基材に重ね合わせるとともに、樹脂シート及び基材を加熱しながら所定方向に搬送し、加圧ローラによって厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させ、基材から樹脂シートの離型材を剥離することにより製造される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−268038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記製造方法においては、加熱により粘度の低下した樹脂を加圧ローラの加圧によって基材の繊維間に圧入することにより基材に含浸させるようにしているが、樹脂シートの樹脂は離型材によって覆われているため、加圧ローラによって加圧する際に樹脂シートと基材との間の空気が外部に完全に排出されず、基材に含浸した樹脂内に空気溜まりが生じてプリプレグの品質を低下させるという問題点があった。
【0004】
また、樹脂シートを加圧する際、加圧ローラの圧力が高いと、繊維が位置ずれを生じて繊維の配列が不均一になる。また、加圧ローラの圧力を低くすると、繊維の位置ずれは少なくなるが、圧力が低い分だけ基材への樹脂の含浸が不十分になるとともに、繊維の交差部分を十分に圧潰することができず、基材に含浸された樹脂の表面に凹凸を生じ易くなる。従って、加圧ローラによって樹脂シートを加圧する場合、高加圧及び低加圧の何れの場合もプリプレグの品質を低下させる要因があった。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基材に含浸した樹脂内に空気溜まりを生ずることのない高品質なプリプレグを製造することのできるプリプレグの製造方法及びその装置を提供することにある。また、他の目的とするところは、前記目的に加え、基材に樹脂を十分に含浸させることができ、繊維の位置ずれや表面の凹凸の少ない高品質なプリプレグを製造することのできるプリプレグの製造方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造方法において、前記基材に重ね合わされた樹脂シートに、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材を樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接するようにしている。
【0007】
これにより、基材に重ね合わされた樹脂シートに、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接することから、樹脂シート及び基材間の空気が幅方向中央側から両端側に向かって押し出される。
【0008】
また、本発明では、シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造方法において、前記基材に一枚目の樹脂シートを重ね合わせ、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材を樹脂シートに幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材が圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧した後、ネジ送り方向が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に向かうように回転する螺旋ローラを樹脂シートに圧接し、樹脂シート及び基材を高加圧用ローラによって低加圧用ローラよりも高い圧力で厚さ方向に加圧する第1の含浸工程と、一枚目の樹脂シートの離型材を基材から剥離して二枚目の樹脂シートを基材に重ね合わせ、樹脂シート及び基材に搬送方向下流側に傾斜をなすように延びる圧接部材を樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材を圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧する第2の含浸工程とを含むようにしている。
【0009】
これにより、第1の含浸工程においては、一枚目の樹脂シートの樹脂が低加圧で基材に含浸させるとともに、基材の強化繊維が高加圧で圧潰され、第2の含浸工程においては、二枚目の樹脂シートの樹脂が低加圧で基材に含浸されることから、基材に樹脂が十分に含浸するとともに、強化繊維の位置ずれや表面の凹凸が少なくなる。
【0010】
また、本発明では、シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造装置において、前記基材の搬送方向下流側に傾斜をなすように設けられ、基材に重ね合わされた樹脂シートに樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接する圧接部材を備えている。
【0011】
これにより、基材に重ね合わされた樹脂シートに、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接することから、樹脂シート及び基材間の空気が幅方向中央側から両端側に向かって押し出される。
【0012】
また、本発明では、シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造装置において、前記基材に一枚目の樹脂シートを重ね合わせ、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材を樹脂シートに幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材が圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧した後、ネジ送り方向が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に向かうように回転する螺旋ローラを樹脂シートに圧接し、樹脂シート及び基材を高加圧用ローラによって低加圧用ローラよりも高い圧力で厚さ方向に加圧する第1の含浸処理部と、一枚目の樹脂シートの離型材を基材から剥離して二枚目の樹脂シートを基材に重ね合わせ、樹脂シート及び基材に搬送方向下流側に傾斜をなすように延びる圧接部材を樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材を圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧する第2の含浸処理部とを備えている。
【0013】
これにより、第1の含浸処理部においては、一枚目の樹脂シートの樹脂が低加圧で基材に含浸されるとともに、基材の強化繊維が高加圧で圧潰され、第2の含浸処理部においては、二枚目の樹脂シートの樹脂が低加圧で基材に含浸されることから、基材に樹脂が十分に含浸するとともに、強化繊維の位置ずれや表面の凹凸が少なくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、樹脂シート及び基材間の空気を幅方向中央側から両端側に向かって押し出すことができるので、樹脂シート及び基材間の空気溜まりを確実に防止することができ、品質の高いプリプレグを製造することができる。
【0015】
また、本発明によれば、基材に樹脂を十分に含浸させることができるとともに、強化繊維の位置ずれや表面の凹凸を少なくすることができるので、高品質なプリプレグを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1乃至図10は本発明の一実施形態を示すもので、図1はプリプレグ製造装置の概略図、図2は製造過程のプリプレグを示す側面断面図、図3は第1の圧接装置の平面図、図4はその要部正面断面図、図5は第1の低加圧装置の正面図、図6はその一部断面側面図、図7は第2の圧接装置の正面図、図8はその要部側面図、図9は高加圧装置の側面図、図10は第2の低加圧装置の側面図である。
【0017】
同図に示すプリプレグ1は、熱可塑性の樹脂2aをシート状の離型材2bに担持してなる一枚目の樹脂シート2を、図2(a) に示すように炭素繊維等の強化繊維材3aを縦方向及び横方向に配列してなるシート状の基材3の両面に重ね合わせるとともに、樹脂シート2及び基材3を所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、図2(c) に示すように樹脂シート2の樹脂2aを基材3に転移して基材3に樹脂2aを含浸させ、基材3から樹脂シート2の離型材2bを剥離した後、図2(c) に示すように二枚目の樹脂シート2を基材3の両面に重ね合わせ、一枚目と同様に基材3に含浸させることにより製造される。
【0018】
本実施形態のプリプレグ製造装置は、上下一対の第1の巻出軸4からそれぞれ巻き出された一枚目の樹脂シート2を基材3の両面に含浸させ、各樹脂シート2の離型材2bを上下一対の第1の巻取軸5にそれぞれ巻き取る第1の含浸処理部Aと、上下一対の第2の巻出軸6からそれぞれ巻き出された二枚目の樹脂シート2を基材3に含浸させ、各樹脂シート2の離型材2bを上下一対の第2の巻取軸7にそれぞれ巻き取る第2の含浸処理部Bとから構成されている。
【0019】
第1の含浸処理部Aは、第1の圧接装置10、第1の低加圧装置20、第2の圧接装置30及び高加圧装置40を基材3の搬送方向に順次配置してなり、第1の巻出軸4と第1の圧接装置10との間、第1の圧接装置10と第1の低加圧装置20との間、高加圧装置40と第1の巻取軸5との間にはそれぞれガイドローラ50が上下一対ずつ配置されている。また、第1の圧接装置10及び第1の低加圧装置20の下方にはそれぞれ加熱プレート60が設けられ、高加圧装置40の下流側の下方には冷却プレート70が設けられている。
【0020】
第1の圧接装置10は、樹脂シート2の表面に圧接する圧接部材としての複数の圧接ブレード11と、各圧接ブレード11を上下方向に移動自在に支持する支持板12とからなる。各圧接ブレード11は幅方向に延びるブロック状の部材からなり、その上面には上方に延びる延出部11aが設けられている。延出部11aの上方には複数の錘板11bが積み重ねられており、各錘板11bはボルト11cによって延出部11aの上面に固定されている。即ち、錘板11bの枚数を変更することにより、圧接ブレード11の圧力を任意に調整できるようになっている。支持板12は樹脂シート2の幅方向中央側から両端側に向かって延びる一対の第1の支持部12aと、樹脂シート2の幅方向中央側から搬送方向上流側に向かって延びる第2の支持部12bとからなり、各第1の支持部12aはそれぞれ搬送方向下流側に傾斜をなすように形成されている。各支持部12a,12bには圧接ブレード11の延出部11aが上下方向に移動自在に挿入される複数の挿入部12cが設けられ、各挿入部12cは圧接ブレード11の幅方向一部が他の圧接ブレード11と前後方向に重なり合うように配置されている。この場合、各第1の支持部12aの圧接ブレード11は支持部12aの傾斜方向に順次位置がずれるように配置され、第2の支持部12bの圧接ブレード11は幅方向に一つずつ互い違いに位置がずれるように配置されている。また、各第1の支持部12aの圧接ブレード11は支持部12aと同一方向に傾斜するように配置されている。
【0021】
第1の低加圧装置20は、基材搬送方向に配列された3つの低加圧ローラ21と、各低加圧ローラ21を下方に押圧する一対の第1のシリンダ22と、各低加圧ローラ21の軸方向複数箇所をそれぞれ下方に押圧可能な複数の押圧ローラ23と、各押圧ローラ23にそれぞれ押圧力を付与する複数の第2のシリンダ24と、各低加圧ローラ21を基材搬送方向に往復移動させる移動機構25とから構成されている。各低加圧ローラ21はその両端を第1の支持部材21aによって回動自在に支持され、第1の支持部材21aと共に基材搬送方向に移動するようになっている。各第1のシリンダ22は第1の支持部材21aの幅方向両端側にそれぞれ配置された一対の第2の支持部材22aの下面側に取付けられ、その駆動ロッド22bは第1の支持部材21aの上面両端側にそれぞれ連結されている。各第2の支持部材22aは基材搬送方向に延びる左右一対のレール22cに摺動自在に係合しており、各レール22cは上方の固定部材22dに固定されている。各押圧ローラ23は低加圧ローラ21の上方に基材搬送方向に一対ずつ配置され、それぞれ第3の支持部材23aによって回動自在に支持されている。この場合、各押圧ローラ23は互いに低加圧ローラ21の軸方向に等間隔で配置され、両端側の押圧ローラ23は低加圧ローラ21の軸方向端部から他の押圧ローラ23との間隔とほぼ同等の間隔をおいて配置されている。各第2のシリンダ24は第1の支持部材21aの下面側に取付けられ、その駆動ロッド24aは各第3の支持部材23aの上面側にそれぞれ連結されている。移動機構25は、図示しないモータによって回転する回転板25aと、回転板25aの周方向所定位置と第1の支持部材21aの一端とを連結する連結部材25bとからなり、回転板25aの回転により第1の支持部材21aを往復動させるようになっている。この場合、各低加圧用ローラ21を基材搬送方向の下流側に向かって移動させるときは、各低加圧用ローラ21を第1のシリンダ22によって所定の圧力で加圧し、各低加圧用ローラ21を基材搬送方向の上流側に向かって移動させるときは、第1のシリンダ22の圧力を減じて各低加圧用ローラ21を上流側に移送するときよりも低い圧力で加圧するようになっている。
【0022】
また、第1の低加圧装置20では、樹脂シート2及び基材3への圧力が幅方向両端側よりも幅方向中央側が高くなるように設定されている。即ち、各低加圧用ローラ21の軸方向両端側には第1のシリンダ22の圧力が付与されるが、軸方向両端側から2番目の押圧ローラ23を第2のシリンダ24によって加圧し、軸方向中央の押圧ローラ23を第2のシリンダ24によって更に高い圧力で加圧することにより、各低加圧用ローラ21の軸方向両端側から中央側に亘って順次圧力が高くなるようになっている。
【0023】
第2の圧接装置30は、基材3の上下に配置される一対の螺旋ローラ31と、各螺旋ローラ31を回転させるモータ32と、各螺旋ローラ31を傾動させるシリンダ33とから構成され、各螺旋ローラ31は基材搬送経路の幅方向両側に設けられた一対の側板34間に配置されている。各螺旋ローラ31は外周面の軸方向中央から両端側に亘ってそれぞれ螺旋部31aを有し、各螺旋部31aはネジ送り方向が互いに逆向きに形成されている。各螺旋ローラ31は軸方向両端を一対の支持板31bによって回動自在に支持され、各支持板31bは各螺旋ローラ31の中間位置を支軸31cを介して各側板34に回動自在に支持されている。モータ32は一方の側板34に取付けられ、下方の螺旋ローラ31の一端側の回転軸に取付けたプーリ32aにベルト32bを介して連結されている。各螺旋ローラ31の他端側の回転軸には互いに噛み合う一対の第1の歯車32cが取付けられ、モータ32によって下方の螺旋ローラ31が回転すると、各第1の歯車32cによって上方の螺旋ローラ31が反対方向に回転するようになっている。この場合、図8(a) に示すように各螺旋ローラ31は基材搬送方向の反対方向にそれぞれ高速で回転するようになっている。シリンダ33は他方の側板34に取付けられ、その駆動ロッド33aは側板34に取付けられた一方の第2の歯車33bの周方向所定位置に連結されている。また、一方の支持板31bの回転軸には他方の第2の歯車33bが取付けられ、他方の第2の歯車33bは一方の第2の歯車33bに噛み合っている。これにより、シリンダ33によって一方の第2の歯車33bを回動すると、図8(b) に示すように他方の第2の歯車33bによって各螺旋ローラ31が支持板31bの支軸31cを中心に傾動し、各樹脂シート2との圧接を解除されるようになっている。
【0024】
高加圧装置40は上下一対の高加圧用ローラ41,42と、下方の高加圧用ローラ41の下方に配置された補助ローラ43と、補助ローラ43を上方に押圧するシリンダ44と、各ローラ41,42,43を回動自在に支持する一対の側板45とからなり、樹脂シート2及び基材3を各高加圧用ローラ41,42との間で加圧するようになっている。この場合、下方の高加圧用ローラ42及び補助ローラ43は上下方向に移動自在に設けられ、シリンダ44の押圧力が補助ローラ43及び下方の高加圧用ローラ42を介して樹脂シート2及び基材3に付与されるようになっている。
【0025】
第2の含浸処理部Bは、第1の圧接装置10及び第2の低加圧装置80を基材搬送方向に順次配置してなり、第2の巻出軸6と第1の圧接装置10との間、第2の低加圧装置80と第2の巻取軸7との間にはそれぞれガイドローラ50が上下一対ずつ配置されている。また、第1の圧接装置10の下方には加熱プレート60が設けられ、第2の低加圧装置80の下流側の下方には冷却プレート70が設けられている。尚、第1の圧接装置10は第1の含浸処理部Aにおける第1の圧接装置10と同等の構成のものである。
【0026】
第2の低加圧装置80は上下一対の低加圧用ローラ81,82と、上方の低加圧用ローラ81を下方に押圧するシリンダ83と、各低加圧用ローラ81,82を回動自在に支持する一対の側板84とからなり、樹脂シート2及び基材3を各低加圧用ローラ81,82間で加圧するようになっている。この場合、上方の低加圧用ローラ81は上下方向に移動自在に設けられ、シリンダ83の押圧力が上方の低加圧用ローラ81を介して樹脂シート2及び基材3に付与されるようになっている。
【0027】
以上のように構成されたプリプレグ製造装置の第1の含浸処理部Aにおいては、一枚目の樹脂シート2が基材3の両面にそれぞれ含浸される。即ち、図示しない基材供給源から搬送された基材3の両面に、第1の巻出軸4からそれぞれ巻き出された一枚目の樹脂シート2が一番目のガイドローラ50によって圧着された後、樹脂シート2及び基材3は加熱プレート60によって加熱されながら第1の圧接装置10の各圧接ブレード11が圧接する。その際、圧接ブレード11は幅方向中央側から両端側に向かって基材搬送方向下流側に傾斜をなすように配列されていることから、樹脂シート2及び基材3間の空気が幅方向中央側から両端側に向かって押し出される。次に、樹脂シート2及び基材3は二番目のガイドローラ50を通過した後、加熱プレート60によって加熱されながら第1の低加圧装置20によって所定の圧力で加圧される。その際、樹脂シート2及び基材3は複数の低加圧ローラ21によって加圧されるとともに、各低加圧ローラ21が基材搬送方向に往復移動することから、樹脂シート2及び基材3が各低加圧ローラ21によって同じ箇所を各低加圧ローラ21の往復回数分ずつ加圧され、樹脂シート2の樹脂2aが基材3に転移して基材3に樹脂2aが徐々に含浸する。樹脂シート2及び基材3が第1の低加圧装置20で加圧された後は、基材3の両面の樹脂シート2に第2の圧接装置30の各螺旋ローラ31が回転しながら圧接する。その際、各螺旋ローラ31の各螺旋部31aはネジ送り方向が軸方向中央側から両端側に逆方向に向かうように回転することから、各螺旋ローラ31によって樹脂シート2及び基材3間の空気が幅方向中央側から両端側に向かって押し出されるとともに、樹脂シート2の皺が解消される。次に、樹脂シート2及び基材3は高加圧装置40の各高加圧用ローラ41,42によって第1の低加圧装置20よりも高い圧力で加圧される。これにより、基材3の縦方向及び横方向に配列された強化繊維材3aの交差部分が圧潰される。そして、高加圧装置40で加圧された樹脂シート2及び基材3は冷却プレート70で冷却されながら3番目のガイドローラ50を通過し、各樹脂シート2の離型材2bが基材3から剥離されて各第1の巻取軸5にそれぞれ巻き取られる。
【0028】
次に、第2の含浸処理部Bにおいては、第1の含浸処理部Aで一枚目の樹脂シート2から樹脂2aを含浸された基材3の両面に二枚目の樹脂シート2の樹脂2aがそれぞれ含浸される。即ち、第1の含浸処理部Aから搬送された基材3の両面には、第2の巻出軸6からそれぞれ巻き出された二枚目の樹脂シート2が一番目のガイドローラ50によって圧着された後、樹脂シート2及び基材3には加熱プレート60によって加熱されながら第1の圧接装置10の各圧接ブレード11が圧接する。その際、圧接ブレード11はそれぞれ幅方向中央側から両端側に向かって基材搬送方向下流側に傾斜をなすように配列されていることから、第1の含浸処理部Aの場合と同様、樹脂シート2及び基材3間の空気が幅方向中央側から両端側に向かって押し出される。次に、樹脂シート2及び基材3は、第2の低加圧装置80の各低加圧用ローラ81,82によって第1の低加圧装置20とほぼ同等の圧力で加圧される。これにより、樹脂シート2の樹脂2aが基材3に転移して基材3に樹脂2aが含浸される。この後、第2の低加圧装置80によって加圧された樹脂シート2及び基材3は二番目のガイドローラ50を通過し、各樹脂シート2の離型材2bが基材3から剥離されて各第2の巻取軸7にそれぞれ巻き取られる。
【0029】
このように、本実施形態によれば、基材3に重ね合わされた樹脂シート2に、基材3の搬送方向下流側に傾斜をなすように配列された複数の圧接ブレード11を樹脂シート2の幅方向中央側から両端側に亘って圧接するようにしたので、樹脂シート2及び基材3間の空気を幅方向中央側から両端側に向かって押し出すことができ、樹脂シート2及び基材3間の空気溜まりによるプリプレグ1の品質の低下を確実に防止することができる。
【0030】
この場合、圧接ブレード11が圧接された後の樹脂シート2及び基材3を複数の低加圧用ローラ21によって厚さ方向に所定の圧力で加圧した後、高加圧用ローラ41,42によって低加圧用ローラ21よりも高い圧力で厚さ方向に加圧するようにしたので、樹脂シート2の樹脂2aを低加圧用ローラ21によって基材3に徐々に含浸させることができ、高加圧用ローラ41,42によって強化繊維材3aの交差部分を確実に圧潰することができる。これにより、基材3に樹脂2aを十分に含浸させることができるとともに、強化繊維材3aの位置ずれや表面の凹凸の少ない高品質なプリプレグ1を製造することができる。
【0031】
また、各低加圧用ローラ21を基材3の搬送方向に移動させながら樹脂シート2及び基材3を加圧するようにしたので、各低加圧用ローラ21が移動する分だけ樹脂シート2及び基材3への加圧量を増やすことができ、基材3に樹脂2aをより確実に含浸させることができる。
【0032】
この場合、各低加圧用ローラ21を前記所定圧力で搬送方向下流側に向かって移動させ、前記圧力よりも低い圧力で搬送方向上流側に向かって移動させるようにしたので、樹脂シート2及び基材3との相対速度の大きい方向での圧力を低くすることができ、各低加圧用ローラ21の移動速度の増大による樹脂溜まりの発生を確実に防止することができる。尚、各低加圧用ローラ21を搬送方向上流側に向かって移動させるときには、各第1のシリンダ22によって各低加圧用ローラ21を所定位置まで上昇させて無加圧にするようにしてもよい。
【0033】
また、樹脂シート2及び基材3への各低加圧用ローラ21の圧力が基材3の幅方向両端側よりも中央側が高くなるようにしたので、各低加圧用ローラ21によって加圧する際にも樹脂シート2及び基材3間の空気を幅方向中央側から両端側に向かって押し出すことができ、樹脂シート2及び基材3間の空気溜まりを確実に解消することができる。
【0034】
更に、樹脂シート2及び基材3を各低加圧用ローラ21で加圧した後、各高加圧用ローラ41,42で加圧する前に、ネジ送り方向が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に向かうように回転する一対の螺旋ローラ31を樹脂シート2の両面に圧接するようにしたので、各高加圧用ローラ41,42によって加圧する前にも樹脂シート2及び基材3間の空気を幅方向中央側から両端側に向かって押し出すことができ、樹脂シート2及び基材3間の空気溜まりを確実に解消することができる。
【0035】
また、本実施形態では、第1の含浸処理部Aにおいて、基材3に一枚目の樹脂シート2を重ね合わせ、樹脂シート2及び基材3に各圧接ブレード11を圧接し、各圧接ブレード11が圧接された後の樹脂シート2及び基材3を各低加圧用ローラ21によって加圧した後、樹脂シート2に螺旋ローラ31を圧接し、樹脂シート2及び基材3を各高加圧用ローラ41,42によって加圧するとともに、第2の含浸処理部Bにおいて、一枚目の樹脂シート2の離型材2bを基材3から剥離して二枚目の樹脂シート2を基材3に重ね合わせ、樹脂シート2及び基材3に各圧接ブレード11を圧接し、各圧接ブレード11が圧接された後の樹脂シート2及び基材3を低加圧用ローラ81によって加圧するようにしているので、一枚目の樹脂シート2の樹脂2aを低加圧で基材3に含浸させるとともに、基材3の強化繊維材3aを高加圧で圧潰した後、二枚目の樹脂シート2の樹脂2aを低加圧で基材3に含浸させることができ、より品質の高いプリプレグ1を製造することができる。
【0036】
尚、前記実施形態では、第1の含浸処理部Aで基材3に一枚目の樹脂シート2を重ね合わせた後、第2の含浸処理部Bで基材3に二枚目の樹脂シート2を重ね合わせるようにしたものを示したが、二枚分の厚さを有する樹脂を担持した樹脂シートを一つの含浸処理部のみで含浸させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態を示すプリプレグ製造装置の概略図
【図2】製造過程のプリプレグを示す側面断面図
【図3】第1の圧接装置の平面図
【図4】第1の圧接装置の要部正面断面図
【図5】第1の低加圧装置の正面図
【図6】第1の低加圧装置の一部断面側面図
【図7】第2の圧接装置の正面図
【図8】第2の圧接装置の要部側面図
【図9】高加圧装置の側面図
【図10】第2の低加圧装置の側面図
【符号の説明】
【0038】
1…プリプレグ、2…樹脂シート、2a…樹脂、2b…離型材、3…基材、3a…強化繊維材、11…圧接ブレード、21…低加圧用ローラ、31…螺旋ローラ、41,42…高加圧用ローラ、81,82…低加圧用ローラ、A…第1の含浸処理部、B…第2の含浸処理部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば航空機の内装部品や、ゴルフシャフト、釣り竿、ラケット等の運動用具の材料に用いられるプリプレグの製造方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、航空機の内装部品や運動用具の材料に用いられるプリプレグは、熱可塑性の樹脂をシート状の離型材に担持してなる樹脂シートを、強化繊維材を縦方向及び横方向に配列してなるシート状の基材に重ね合わせるとともに、樹脂シート及び基材を加熱しながら所定方向に搬送し、加圧ローラによって厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させ、基材から樹脂シートの離型材を剥離することにより製造される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−268038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記製造方法においては、加熱により粘度の低下した樹脂を加圧ローラの加圧によって基材の繊維間に圧入することにより基材に含浸させるようにしているが、樹脂シートの樹脂は離型材によって覆われているため、加圧ローラによって加圧する際に樹脂シートと基材との間の空気が外部に完全に排出されず、基材に含浸した樹脂内に空気溜まりが生じてプリプレグの品質を低下させるという問題点があった。
【0004】
また、樹脂シートを加圧する際、加圧ローラの圧力が高いと、繊維が位置ずれを生じて繊維の配列が不均一になる。また、加圧ローラの圧力を低くすると、繊維の位置ずれは少なくなるが、圧力が低い分だけ基材への樹脂の含浸が不十分になるとともに、繊維の交差部分を十分に圧潰することができず、基材に含浸された樹脂の表面に凹凸を生じ易くなる。従って、加圧ローラによって樹脂シートを加圧する場合、高加圧及び低加圧の何れの場合もプリプレグの品質を低下させる要因があった。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基材に含浸した樹脂内に空気溜まりを生ずることのない高品質なプリプレグを製造することのできるプリプレグの製造方法及びその装置を提供することにある。また、他の目的とするところは、前記目的に加え、基材に樹脂を十分に含浸させることができ、繊維の位置ずれや表面の凹凸の少ない高品質なプリプレグを製造することのできるプリプレグの製造方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造方法において、前記基材に重ね合わされた樹脂シートに、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材を樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接するようにしている。
【0007】
これにより、基材に重ね合わされた樹脂シートに、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接することから、樹脂シート及び基材間の空気が幅方向中央側から両端側に向かって押し出される。
【0008】
また、本発明では、シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造方法において、前記基材に一枚目の樹脂シートを重ね合わせ、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材を樹脂シートに幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材が圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧した後、ネジ送り方向が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に向かうように回転する螺旋ローラを樹脂シートに圧接し、樹脂シート及び基材を高加圧用ローラによって低加圧用ローラよりも高い圧力で厚さ方向に加圧する第1の含浸工程と、一枚目の樹脂シートの離型材を基材から剥離して二枚目の樹脂シートを基材に重ね合わせ、樹脂シート及び基材に搬送方向下流側に傾斜をなすように延びる圧接部材を樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材を圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧する第2の含浸工程とを含むようにしている。
【0009】
これにより、第1の含浸工程においては、一枚目の樹脂シートの樹脂が低加圧で基材に含浸させるとともに、基材の強化繊維が高加圧で圧潰され、第2の含浸工程においては、二枚目の樹脂シートの樹脂が低加圧で基材に含浸されることから、基材に樹脂が十分に含浸するとともに、強化繊維の位置ずれや表面の凹凸が少なくなる。
【0010】
また、本発明では、シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造装置において、前記基材の搬送方向下流側に傾斜をなすように設けられ、基材に重ね合わされた樹脂シートに樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接する圧接部材を備えている。
【0011】
これにより、基材に重ね合わされた樹脂シートに、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接することから、樹脂シート及び基材間の空気が幅方向中央側から両端側に向かって押し出される。
【0012】
また、本発明では、シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造装置において、前記基材に一枚目の樹脂シートを重ね合わせ、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材を樹脂シートに幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材が圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧した後、ネジ送り方向が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に向かうように回転する螺旋ローラを樹脂シートに圧接し、樹脂シート及び基材を高加圧用ローラによって低加圧用ローラよりも高い圧力で厚さ方向に加圧する第1の含浸処理部と、一枚目の樹脂シートの離型材を基材から剥離して二枚目の樹脂シートを基材に重ね合わせ、樹脂シート及び基材に搬送方向下流側に傾斜をなすように延びる圧接部材を樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材を圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧する第2の含浸処理部とを備えている。
【0013】
これにより、第1の含浸処理部においては、一枚目の樹脂シートの樹脂が低加圧で基材に含浸されるとともに、基材の強化繊維が高加圧で圧潰され、第2の含浸処理部においては、二枚目の樹脂シートの樹脂が低加圧で基材に含浸されることから、基材に樹脂が十分に含浸するとともに、強化繊維の位置ずれや表面の凹凸が少なくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、樹脂シート及び基材間の空気を幅方向中央側から両端側に向かって押し出すことができるので、樹脂シート及び基材間の空気溜まりを確実に防止することができ、品質の高いプリプレグを製造することができる。
【0015】
また、本発明によれば、基材に樹脂を十分に含浸させることができるとともに、強化繊維の位置ずれや表面の凹凸を少なくすることができるので、高品質なプリプレグを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1乃至図10は本発明の一実施形態を示すもので、図1はプリプレグ製造装置の概略図、図2は製造過程のプリプレグを示す側面断面図、図3は第1の圧接装置の平面図、図4はその要部正面断面図、図5は第1の低加圧装置の正面図、図6はその一部断面側面図、図7は第2の圧接装置の正面図、図8はその要部側面図、図9は高加圧装置の側面図、図10は第2の低加圧装置の側面図である。
【0017】
同図に示すプリプレグ1は、熱可塑性の樹脂2aをシート状の離型材2bに担持してなる一枚目の樹脂シート2を、図2(a) に示すように炭素繊維等の強化繊維材3aを縦方向及び横方向に配列してなるシート状の基材3の両面に重ね合わせるとともに、樹脂シート2及び基材3を所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、図2(c) に示すように樹脂シート2の樹脂2aを基材3に転移して基材3に樹脂2aを含浸させ、基材3から樹脂シート2の離型材2bを剥離した後、図2(c) に示すように二枚目の樹脂シート2を基材3の両面に重ね合わせ、一枚目と同様に基材3に含浸させることにより製造される。
【0018】
本実施形態のプリプレグ製造装置は、上下一対の第1の巻出軸4からそれぞれ巻き出された一枚目の樹脂シート2を基材3の両面に含浸させ、各樹脂シート2の離型材2bを上下一対の第1の巻取軸5にそれぞれ巻き取る第1の含浸処理部Aと、上下一対の第2の巻出軸6からそれぞれ巻き出された二枚目の樹脂シート2を基材3に含浸させ、各樹脂シート2の離型材2bを上下一対の第2の巻取軸7にそれぞれ巻き取る第2の含浸処理部Bとから構成されている。
【0019】
第1の含浸処理部Aは、第1の圧接装置10、第1の低加圧装置20、第2の圧接装置30及び高加圧装置40を基材3の搬送方向に順次配置してなり、第1の巻出軸4と第1の圧接装置10との間、第1の圧接装置10と第1の低加圧装置20との間、高加圧装置40と第1の巻取軸5との間にはそれぞれガイドローラ50が上下一対ずつ配置されている。また、第1の圧接装置10及び第1の低加圧装置20の下方にはそれぞれ加熱プレート60が設けられ、高加圧装置40の下流側の下方には冷却プレート70が設けられている。
【0020】
第1の圧接装置10は、樹脂シート2の表面に圧接する圧接部材としての複数の圧接ブレード11と、各圧接ブレード11を上下方向に移動自在に支持する支持板12とからなる。各圧接ブレード11は幅方向に延びるブロック状の部材からなり、その上面には上方に延びる延出部11aが設けられている。延出部11aの上方には複数の錘板11bが積み重ねられており、各錘板11bはボルト11cによって延出部11aの上面に固定されている。即ち、錘板11bの枚数を変更することにより、圧接ブレード11の圧力を任意に調整できるようになっている。支持板12は樹脂シート2の幅方向中央側から両端側に向かって延びる一対の第1の支持部12aと、樹脂シート2の幅方向中央側から搬送方向上流側に向かって延びる第2の支持部12bとからなり、各第1の支持部12aはそれぞれ搬送方向下流側に傾斜をなすように形成されている。各支持部12a,12bには圧接ブレード11の延出部11aが上下方向に移動自在に挿入される複数の挿入部12cが設けられ、各挿入部12cは圧接ブレード11の幅方向一部が他の圧接ブレード11と前後方向に重なり合うように配置されている。この場合、各第1の支持部12aの圧接ブレード11は支持部12aの傾斜方向に順次位置がずれるように配置され、第2の支持部12bの圧接ブレード11は幅方向に一つずつ互い違いに位置がずれるように配置されている。また、各第1の支持部12aの圧接ブレード11は支持部12aと同一方向に傾斜するように配置されている。
【0021】
第1の低加圧装置20は、基材搬送方向に配列された3つの低加圧ローラ21と、各低加圧ローラ21を下方に押圧する一対の第1のシリンダ22と、各低加圧ローラ21の軸方向複数箇所をそれぞれ下方に押圧可能な複数の押圧ローラ23と、各押圧ローラ23にそれぞれ押圧力を付与する複数の第2のシリンダ24と、各低加圧ローラ21を基材搬送方向に往復移動させる移動機構25とから構成されている。各低加圧ローラ21はその両端を第1の支持部材21aによって回動自在に支持され、第1の支持部材21aと共に基材搬送方向に移動するようになっている。各第1のシリンダ22は第1の支持部材21aの幅方向両端側にそれぞれ配置された一対の第2の支持部材22aの下面側に取付けられ、その駆動ロッド22bは第1の支持部材21aの上面両端側にそれぞれ連結されている。各第2の支持部材22aは基材搬送方向に延びる左右一対のレール22cに摺動自在に係合しており、各レール22cは上方の固定部材22dに固定されている。各押圧ローラ23は低加圧ローラ21の上方に基材搬送方向に一対ずつ配置され、それぞれ第3の支持部材23aによって回動自在に支持されている。この場合、各押圧ローラ23は互いに低加圧ローラ21の軸方向に等間隔で配置され、両端側の押圧ローラ23は低加圧ローラ21の軸方向端部から他の押圧ローラ23との間隔とほぼ同等の間隔をおいて配置されている。各第2のシリンダ24は第1の支持部材21aの下面側に取付けられ、その駆動ロッド24aは各第3の支持部材23aの上面側にそれぞれ連結されている。移動機構25は、図示しないモータによって回転する回転板25aと、回転板25aの周方向所定位置と第1の支持部材21aの一端とを連結する連結部材25bとからなり、回転板25aの回転により第1の支持部材21aを往復動させるようになっている。この場合、各低加圧用ローラ21を基材搬送方向の下流側に向かって移動させるときは、各低加圧用ローラ21を第1のシリンダ22によって所定の圧力で加圧し、各低加圧用ローラ21を基材搬送方向の上流側に向かって移動させるときは、第1のシリンダ22の圧力を減じて各低加圧用ローラ21を上流側に移送するときよりも低い圧力で加圧するようになっている。
【0022】
また、第1の低加圧装置20では、樹脂シート2及び基材3への圧力が幅方向両端側よりも幅方向中央側が高くなるように設定されている。即ち、各低加圧用ローラ21の軸方向両端側には第1のシリンダ22の圧力が付与されるが、軸方向両端側から2番目の押圧ローラ23を第2のシリンダ24によって加圧し、軸方向中央の押圧ローラ23を第2のシリンダ24によって更に高い圧力で加圧することにより、各低加圧用ローラ21の軸方向両端側から中央側に亘って順次圧力が高くなるようになっている。
【0023】
第2の圧接装置30は、基材3の上下に配置される一対の螺旋ローラ31と、各螺旋ローラ31を回転させるモータ32と、各螺旋ローラ31を傾動させるシリンダ33とから構成され、各螺旋ローラ31は基材搬送経路の幅方向両側に設けられた一対の側板34間に配置されている。各螺旋ローラ31は外周面の軸方向中央から両端側に亘ってそれぞれ螺旋部31aを有し、各螺旋部31aはネジ送り方向が互いに逆向きに形成されている。各螺旋ローラ31は軸方向両端を一対の支持板31bによって回動自在に支持され、各支持板31bは各螺旋ローラ31の中間位置を支軸31cを介して各側板34に回動自在に支持されている。モータ32は一方の側板34に取付けられ、下方の螺旋ローラ31の一端側の回転軸に取付けたプーリ32aにベルト32bを介して連結されている。各螺旋ローラ31の他端側の回転軸には互いに噛み合う一対の第1の歯車32cが取付けられ、モータ32によって下方の螺旋ローラ31が回転すると、各第1の歯車32cによって上方の螺旋ローラ31が反対方向に回転するようになっている。この場合、図8(a) に示すように各螺旋ローラ31は基材搬送方向の反対方向にそれぞれ高速で回転するようになっている。シリンダ33は他方の側板34に取付けられ、その駆動ロッド33aは側板34に取付けられた一方の第2の歯車33bの周方向所定位置に連結されている。また、一方の支持板31bの回転軸には他方の第2の歯車33bが取付けられ、他方の第2の歯車33bは一方の第2の歯車33bに噛み合っている。これにより、シリンダ33によって一方の第2の歯車33bを回動すると、図8(b) に示すように他方の第2の歯車33bによって各螺旋ローラ31が支持板31bの支軸31cを中心に傾動し、各樹脂シート2との圧接を解除されるようになっている。
【0024】
高加圧装置40は上下一対の高加圧用ローラ41,42と、下方の高加圧用ローラ41の下方に配置された補助ローラ43と、補助ローラ43を上方に押圧するシリンダ44と、各ローラ41,42,43を回動自在に支持する一対の側板45とからなり、樹脂シート2及び基材3を各高加圧用ローラ41,42との間で加圧するようになっている。この場合、下方の高加圧用ローラ42及び補助ローラ43は上下方向に移動自在に設けられ、シリンダ44の押圧力が補助ローラ43及び下方の高加圧用ローラ42を介して樹脂シート2及び基材3に付与されるようになっている。
【0025】
第2の含浸処理部Bは、第1の圧接装置10及び第2の低加圧装置80を基材搬送方向に順次配置してなり、第2の巻出軸6と第1の圧接装置10との間、第2の低加圧装置80と第2の巻取軸7との間にはそれぞれガイドローラ50が上下一対ずつ配置されている。また、第1の圧接装置10の下方には加熱プレート60が設けられ、第2の低加圧装置80の下流側の下方には冷却プレート70が設けられている。尚、第1の圧接装置10は第1の含浸処理部Aにおける第1の圧接装置10と同等の構成のものである。
【0026】
第2の低加圧装置80は上下一対の低加圧用ローラ81,82と、上方の低加圧用ローラ81を下方に押圧するシリンダ83と、各低加圧用ローラ81,82を回動自在に支持する一対の側板84とからなり、樹脂シート2及び基材3を各低加圧用ローラ81,82間で加圧するようになっている。この場合、上方の低加圧用ローラ81は上下方向に移動自在に設けられ、シリンダ83の押圧力が上方の低加圧用ローラ81を介して樹脂シート2及び基材3に付与されるようになっている。
【0027】
以上のように構成されたプリプレグ製造装置の第1の含浸処理部Aにおいては、一枚目の樹脂シート2が基材3の両面にそれぞれ含浸される。即ち、図示しない基材供給源から搬送された基材3の両面に、第1の巻出軸4からそれぞれ巻き出された一枚目の樹脂シート2が一番目のガイドローラ50によって圧着された後、樹脂シート2及び基材3は加熱プレート60によって加熱されながら第1の圧接装置10の各圧接ブレード11が圧接する。その際、圧接ブレード11は幅方向中央側から両端側に向かって基材搬送方向下流側に傾斜をなすように配列されていることから、樹脂シート2及び基材3間の空気が幅方向中央側から両端側に向かって押し出される。次に、樹脂シート2及び基材3は二番目のガイドローラ50を通過した後、加熱プレート60によって加熱されながら第1の低加圧装置20によって所定の圧力で加圧される。その際、樹脂シート2及び基材3は複数の低加圧ローラ21によって加圧されるとともに、各低加圧ローラ21が基材搬送方向に往復移動することから、樹脂シート2及び基材3が各低加圧ローラ21によって同じ箇所を各低加圧ローラ21の往復回数分ずつ加圧され、樹脂シート2の樹脂2aが基材3に転移して基材3に樹脂2aが徐々に含浸する。樹脂シート2及び基材3が第1の低加圧装置20で加圧された後は、基材3の両面の樹脂シート2に第2の圧接装置30の各螺旋ローラ31が回転しながら圧接する。その際、各螺旋ローラ31の各螺旋部31aはネジ送り方向が軸方向中央側から両端側に逆方向に向かうように回転することから、各螺旋ローラ31によって樹脂シート2及び基材3間の空気が幅方向中央側から両端側に向かって押し出されるとともに、樹脂シート2の皺が解消される。次に、樹脂シート2及び基材3は高加圧装置40の各高加圧用ローラ41,42によって第1の低加圧装置20よりも高い圧力で加圧される。これにより、基材3の縦方向及び横方向に配列された強化繊維材3aの交差部分が圧潰される。そして、高加圧装置40で加圧された樹脂シート2及び基材3は冷却プレート70で冷却されながら3番目のガイドローラ50を通過し、各樹脂シート2の離型材2bが基材3から剥離されて各第1の巻取軸5にそれぞれ巻き取られる。
【0028】
次に、第2の含浸処理部Bにおいては、第1の含浸処理部Aで一枚目の樹脂シート2から樹脂2aを含浸された基材3の両面に二枚目の樹脂シート2の樹脂2aがそれぞれ含浸される。即ち、第1の含浸処理部Aから搬送された基材3の両面には、第2の巻出軸6からそれぞれ巻き出された二枚目の樹脂シート2が一番目のガイドローラ50によって圧着された後、樹脂シート2及び基材3には加熱プレート60によって加熱されながら第1の圧接装置10の各圧接ブレード11が圧接する。その際、圧接ブレード11はそれぞれ幅方向中央側から両端側に向かって基材搬送方向下流側に傾斜をなすように配列されていることから、第1の含浸処理部Aの場合と同様、樹脂シート2及び基材3間の空気が幅方向中央側から両端側に向かって押し出される。次に、樹脂シート2及び基材3は、第2の低加圧装置80の各低加圧用ローラ81,82によって第1の低加圧装置20とほぼ同等の圧力で加圧される。これにより、樹脂シート2の樹脂2aが基材3に転移して基材3に樹脂2aが含浸される。この後、第2の低加圧装置80によって加圧された樹脂シート2及び基材3は二番目のガイドローラ50を通過し、各樹脂シート2の離型材2bが基材3から剥離されて各第2の巻取軸7にそれぞれ巻き取られる。
【0029】
このように、本実施形態によれば、基材3に重ね合わされた樹脂シート2に、基材3の搬送方向下流側に傾斜をなすように配列された複数の圧接ブレード11を樹脂シート2の幅方向中央側から両端側に亘って圧接するようにしたので、樹脂シート2及び基材3間の空気を幅方向中央側から両端側に向かって押し出すことができ、樹脂シート2及び基材3間の空気溜まりによるプリプレグ1の品質の低下を確実に防止することができる。
【0030】
この場合、圧接ブレード11が圧接された後の樹脂シート2及び基材3を複数の低加圧用ローラ21によって厚さ方向に所定の圧力で加圧した後、高加圧用ローラ41,42によって低加圧用ローラ21よりも高い圧力で厚さ方向に加圧するようにしたので、樹脂シート2の樹脂2aを低加圧用ローラ21によって基材3に徐々に含浸させることができ、高加圧用ローラ41,42によって強化繊維材3aの交差部分を確実に圧潰することができる。これにより、基材3に樹脂2aを十分に含浸させることができるとともに、強化繊維材3aの位置ずれや表面の凹凸の少ない高品質なプリプレグ1を製造することができる。
【0031】
また、各低加圧用ローラ21を基材3の搬送方向に移動させながら樹脂シート2及び基材3を加圧するようにしたので、各低加圧用ローラ21が移動する分だけ樹脂シート2及び基材3への加圧量を増やすことができ、基材3に樹脂2aをより確実に含浸させることができる。
【0032】
この場合、各低加圧用ローラ21を前記所定圧力で搬送方向下流側に向かって移動させ、前記圧力よりも低い圧力で搬送方向上流側に向かって移動させるようにしたので、樹脂シート2及び基材3との相対速度の大きい方向での圧力を低くすることができ、各低加圧用ローラ21の移動速度の増大による樹脂溜まりの発生を確実に防止することができる。尚、各低加圧用ローラ21を搬送方向上流側に向かって移動させるときには、各第1のシリンダ22によって各低加圧用ローラ21を所定位置まで上昇させて無加圧にするようにしてもよい。
【0033】
また、樹脂シート2及び基材3への各低加圧用ローラ21の圧力が基材3の幅方向両端側よりも中央側が高くなるようにしたので、各低加圧用ローラ21によって加圧する際にも樹脂シート2及び基材3間の空気を幅方向中央側から両端側に向かって押し出すことができ、樹脂シート2及び基材3間の空気溜まりを確実に解消することができる。
【0034】
更に、樹脂シート2及び基材3を各低加圧用ローラ21で加圧した後、各高加圧用ローラ41,42で加圧する前に、ネジ送り方向が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に向かうように回転する一対の螺旋ローラ31を樹脂シート2の両面に圧接するようにしたので、各高加圧用ローラ41,42によって加圧する前にも樹脂シート2及び基材3間の空気を幅方向中央側から両端側に向かって押し出すことができ、樹脂シート2及び基材3間の空気溜まりを確実に解消することができる。
【0035】
また、本実施形態では、第1の含浸処理部Aにおいて、基材3に一枚目の樹脂シート2を重ね合わせ、樹脂シート2及び基材3に各圧接ブレード11を圧接し、各圧接ブレード11が圧接された後の樹脂シート2及び基材3を各低加圧用ローラ21によって加圧した後、樹脂シート2に螺旋ローラ31を圧接し、樹脂シート2及び基材3を各高加圧用ローラ41,42によって加圧するとともに、第2の含浸処理部Bにおいて、一枚目の樹脂シート2の離型材2bを基材3から剥離して二枚目の樹脂シート2を基材3に重ね合わせ、樹脂シート2及び基材3に各圧接ブレード11を圧接し、各圧接ブレード11が圧接された後の樹脂シート2及び基材3を低加圧用ローラ81によって加圧するようにしているので、一枚目の樹脂シート2の樹脂2aを低加圧で基材3に含浸させるとともに、基材3の強化繊維材3aを高加圧で圧潰した後、二枚目の樹脂シート2の樹脂2aを低加圧で基材3に含浸させることができ、より品質の高いプリプレグ1を製造することができる。
【0036】
尚、前記実施形態では、第1の含浸処理部Aで基材3に一枚目の樹脂シート2を重ね合わせた後、第2の含浸処理部Bで基材3に二枚目の樹脂シート2を重ね合わせるようにしたものを示したが、二枚分の厚さを有する樹脂を担持した樹脂シートを一つの含浸処理部のみで含浸させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態を示すプリプレグ製造装置の概略図
【図2】製造過程のプリプレグを示す側面断面図
【図3】第1の圧接装置の平面図
【図4】第1の圧接装置の要部正面断面図
【図5】第1の低加圧装置の正面図
【図6】第1の低加圧装置の一部断面側面図
【図7】第2の圧接装置の正面図
【図8】第2の圧接装置の要部側面図
【図9】高加圧装置の側面図
【図10】第2の低加圧装置の側面図
【符号の説明】
【0038】
1…プリプレグ、2…樹脂シート、2a…樹脂、2b…離型材、3…基材、3a…強化繊維材、11…圧接ブレード、21…低加圧用ローラ、31…螺旋ローラ、41,42…高加圧用ローラ、81,82…低加圧用ローラ、A…第1の含浸処理部、B…第2の含浸処理部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造方法において、
前記基材に重ね合わされた樹脂シートに、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材を樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接する
ことを特徴とするプリプレグの製造方法。
【請求項2】
前記圧接部材が圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧し、
低加圧用ローラによって加圧された樹脂シート及び基材を高加圧用ローラによって低加圧用ローラよりも高い圧力で厚さ方向に加圧する
ことを特徴とする請求項1記載のプリプレグの製造方法。
【請求項3】
前記低加圧用ローラを基材の搬送方向に移動させながら低加圧用ローラによって樹脂シート及び基材を加圧する
ことを特徴とする請求項2記載のプリプレグの製造方法。
【請求項4】
前記低加圧用ローラを基材の搬送方向下流側に向かって移動させるときは樹脂シート及び基材を前記所定圧力で加圧し、低加圧用ローラを基材の搬送方向上流側に向かって移動させるときは前記圧力よりも低い圧力で加圧または無加圧にする
ことを特徴とする請求項3記載のプリプレグの製造方法。
【請求項5】
前記樹脂シート及び基材を低加圧用ローラの圧力が基材の幅方向両端側よりも中央側が高くなるように加圧する
ことを特徴とする請求項2、3または4記載のプリプレグの製造方法。
【請求項6】
前記低加圧用ローラによって加圧された樹脂シート及び基材に、ネジ送り方向が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に向かうように回転する螺旋ローラを圧接する
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のプリプレグの製造方法。
【請求項7】
シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造方法において、
前記基材に一枚目の樹脂シートを重ね合わせ、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材を樹脂シートに幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材が圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧した後、ネジ送り方向が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に向かうように回転する螺旋ローラを樹脂シートに圧接し、樹脂シート及び基材を高加圧用ローラによって低加圧用ローラよりも高い圧力で厚さ方向に加圧する第1の含浸工程と、
一枚目の樹脂シートの離型材を基材から剥離して二枚目の樹脂シートを基材に重ね合わせ、樹脂シート及び基材に搬送方向下流側に傾斜をなすように延びる圧接部材を樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材を圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧する第2の含浸工程とを含む
ことを特徴とするプリプレグの製造方法。
【請求項8】
シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造装置において、
前記基材の搬送方向下流側に傾斜をなすように設けられ、基材に重ね合わされた樹脂シートに樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接する圧接部材を備えた
ことを特徴とするプリプレグの製造装置。
【請求項9】
前記圧接部材が圧接された後の樹脂シート及び基材を厚さ方向に所定の圧力で加圧する少なくとも一つの低加圧用ローラと、
低加圧用ローラによって加圧された樹脂シート及び基材を低加圧用ローラよりも高い圧力で厚さ方向に加圧する高加圧用ローラとを備えた
ことを特徴とする請求項8記載のプリプレグの製造装置。
【請求項10】
前記低加圧用ローラを樹脂シート及び基材を加圧しながら基材の搬送方向に移動するように構成した
ことを特徴とする請求項9記載のプリプレグの製造装置。
【請求項11】
前記低加圧用ローラを、基材の搬送方向下流側に向かって移動するときは樹脂シート及び基材を前記所定圧力で加圧し、基材の搬送方向上流側に向かって移動するときは前記圧力よりも低い圧力で加圧または無加圧にするように構成した
ことを特徴とする請求項10記載のプリプレグの製造装置。
【請求項12】
前記低加圧用ローラを樹脂シート及び基材への圧力が基材の幅方向両端側よりも中央側が高くなるように構成した
ことを特徴とする請求項9、10または11記載のプリプレグの製造装置。
【請求項13】
ネジ送り方向が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に向かうように回転し、低加圧用ローラによって加圧された樹脂シート及び基材に圧接する螺旋ローラを備えた
ことを特徴とする請求項9、10、11または12記載のプリプレグの製造装置。
【請求項14】
シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造装置において、
前記基材に一枚目の樹脂シートを重ね合わせ、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材を樹脂シートに幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材が圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧した後、ネジ送り方向が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に向かうように回転する螺旋ローラを樹脂シートに圧接し、樹脂シート及び基材を高加圧用ローラによって低加圧用ローラよりも高い圧力で厚さ方向に加圧する第1の含浸処理部と、
一枚目の樹脂シートの離型材を基材から剥離して二枚目の樹脂シートを基材に重ね合わせ、樹脂シート及び基材に搬送方向下流側に傾斜をなすように延びる圧接部材を樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材を圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧する第2の含浸処理部とを備えた
ことを特徴とするプリプレグの製造装置。
【請求項1】
シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造方法において、
前記基材に重ね合わされた樹脂シートに、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材を樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接する
ことを特徴とするプリプレグの製造方法。
【請求項2】
前記圧接部材が圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧し、
低加圧用ローラによって加圧された樹脂シート及び基材を高加圧用ローラによって低加圧用ローラよりも高い圧力で厚さ方向に加圧する
ことを特徴とする請求項1記載のプリプレグの製造方法。
【請求項3】
前記低加圧用ローラを基材の搬送方向に移動させながら低加圧用ローラによって樹脂シート及び基材を加圧する
ことを特徴とする請求項2記載のプリプレグの製造方法。
【請求項4】
前記低加圧用ローラを基材の搬送方向下流側に向かって移動させるときは樹脂シート及び基材を前記所定圧力で加圧し、低加圧用ローラを基材の搬送方向上流側に向かって移動させるときは前記圧力よりも低い圧力で加圧または無加圧にする
ことを特徴とする請求項3記載のプリプレグの製造方法。
【請求項5】
前記樹脂シート及び基材を低加圧用ローラの圧力が基材の幅方向両端側よりも中央側が高くなるように加圧する
ことを特徴とする請求項2、3または4記載のプリプレグの製造方法。
【請求項6】
前記低加圧用ローラによって加圧された樹脂シート及び基材に、ネジ送り方向が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に向かうように回転する螺旋ローラを圧接する
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のプリプレグの製造方法。
【請求項7】
シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造方法において、
前記基材に一枚目の樹脂シートを重ね合わせ、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材を樹脂シートに幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材が圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧した後、ネジ送り方向が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に向かうように回転する螺旋ローラを樹脂シートに圧接し、樹脂シート及び基材を高加圧用ローラによって低加圧用ローラよりも高い圧力で厚さ方向に加圧する第1の含浸工程と、
一枚目の樹脂シートの離型材を基材から剥離して二枚目の樹脂シートを基材に重ね合わせ、樹脂シート及び基材に搬送方向下流側に傾斜をなすように延びる圧接部材を樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材を圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧する第2の含浸工程とを含む
ことを特徴とするプリプレグの製造方法。
【請求項8】
シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造装置において、
前記基材の搬送方向下流側に傾斜をなすように設けられ、基材に重ね合わされた樹脂シートに樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接する圧接部材を備えた
ことを特徴とするプリプレグの製造装置。
【請求項9】
前記圧接部材が圧接された後の樹脂シート及び基材を厚さ方向に所定の圧力で加圧する少なくとも一つの低加圧用ローラと、
低加圧用ローラによって加圧された樹脂シート及び基材を低加圧用ローラよりも高い圧力で厚さ方向に加圧する高加圧用ローラとを備えた
ことを特徴とする請求項8記載のプリプレグの製造装置。
【請求項10】
前記低加圧用ローラを樹脂シート及び基材を加圧しながら基材の搬送方向に移動するように構成した
ことを特徴とする請求項9記載のプリプレグの製造装置。
【請求項11】
前記低加圧用ローラを、基材の搬送方向下流側に向かって移動するときは樹脂シート及び基材を前記所定圧力で加圧し、基材の搬送方向上流側に向かって移動するときは前記圧力よりも低い圧力で加圧または無加圧にするように構成した
ことを特徴とする請求項10記載のプリプレグの製造装置。
【請求項12】
前記低加圧用ローラを樹脂シート及び基材への圧力が基材の幅方向両端側よりも中央側が高くなるように構成した
ことを特徴とする請求項9、10または11記載のプリプレグの製造装置。
【請求項13】
ネジ送り方向が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に向かうように回転し、低加圧用ローラによって加圧された樹脂シート及び基材に圧接する螺旋ローラを備えた
ことを特徴とする請求項9、10、11または12記載のプリプレグの製造装置。
【請求項14】
シート状の離型材に樹脂を担持してなる樹脂シートをシート状の強化繊維からなる基材に重ね合わせるとともに、基材及び樹脂シートを所定方向に搬送しながら厚さ方向に加圧することにより、樹脂シートの樹脂を基材に転移して基材に樹脂を含浸させるプリプレグの製造装置において、
前記基材に一枚目の樹脂シートを重ね合わせ、基材の搬送方向下流側に傾斜をなす圧接部材を樹脂シートに幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材が圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧した後、ネジ送り方向が樹脂シートの幅方向中央側から両端側に向かうように回転する螺旋ローラを樹脂シートに圧接し、樹脂シート及び基材を高加圧用ローラによって低加圧用ローラよりも高い圧力で厚さ方向に加圧する第1の含浸処理部と、
一枚目の樹脂シートの離型材を基材から剥離して二枚目の樹脂シートを基材に重ね合わせ、樹脂シート及び基材に搬送方向下流側に傾斜をなすように延びる圧接部材を樹脂シートの幅方向中央側から両端側に亘って圧接するとともに、圧接部材を圧接された後の樹脂シート及び基材を少なくとも一つの低加圧用ローラによって厚さ方向に所定の圧力で加圧する第2の含浸処理部とを備えた
ことを特徴とするプリプレグの製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−152573(P2007−152573A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346822(P2005−346822)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
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