説明

プリンタおよび印字方法

【課題】エラーが発生したときに通信回線にも不具合があっても、エラーの詳細情報を得られるプリンタを提供することを目的とする。
【解決手段】複数の印字部と、印字部にエラーがあるか否かを検出する検出部と、前記検出部でエラーを検出したならば、エラーを検出した印字部以外の印字部で前記エラーを検出した印字部のエラー情報を印字するエラー情報印字手段とを有するプリンタとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数の印字部を有するプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、一つの筐体内に2つの印字部を有するプリンタがある。このようなプリンタは、ホストからの印字指令を受けて、2つの印字部のいずれか一方を選択して、あるいは、必要により2つの印字部で同時に印字する。例えば、一方の印字部で郵便用の印紙(証紙)に印字し、もう一方の印字部で客へ渡すレシートを印字するプリンタが考えられる。
【0003】
このようなプリンタにおいて、印字部に不具合が発生した場合には、印字エラーとしてホストに通知を行なう。また、プリンタ自身のLCD(Liquid Crystal Display)表示器やLED(Light Emitting Diode)などにエラーが発生したことを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平02−15366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなプリンタにおいては、エラーが発生したときにプリンタに設けたLCD表示器にエラーが発生したことを表示することも可能であるが、一般のプリンタでは製品コストを抑えるために小さい画面のLCDが設けられるのみであり、この小さな画面に多くの情報を表示することは実質的にできない。
【0006】
ホストとの通信回線が正常であれば、エラーに関する各種の情報をホストに送って解析することも可能であるが、通信回線に不具合が発生していた場合には、ホストへエラー情報が送信できない。
【0007】
そこで、この実施の形態では、印字部でエラーが発生したときに通信回線に不具合があっても、エラーの詳細情報を得られるプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施例では、複数の印字部と、印字部にエラーがあるか否かを検出する検出部と、前記検出部でエラーを検出したならば、エラーを検出した印字部以外の印字部で前記エラーを検出した印字部のエラー情報を印字するエラー情報印字手段とを有するプリンタとした。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この実施の形態のプリンタのブロック図。
【図2】この実施の形態のプリンタが行なう処理を示すフローチャート。
【図3】この実施の形態のプリンタが行なう処理を示すフローチャート。
【図4】この実施の形態のプリンタが印字する例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1ないし図4を用いて、この実施の形態のプリンタ1を説明する。図1はこの実施の形態のプリンタのブロック図、図2はこの実施の形態のプリンタ1が行なう処理を示すフローチャート。図3はこの実施の形態のプリンタ1が行なう処理を示すフローチャート、図4はこの実施の形態のプリンタ1が印字する例を示す図である。
【0011】
このプリンタ1は、CPU2に、情報を固定的に記憶するROM(Read Only Memory)3、RAM(Random Access Memory)4、表示部5、キーボード6、通信部7と、第1印字制御部8、第2印字制御部9とがバスライン10によって接続されて形成される。表示部5はプリンタの状態を表示可能な小さなLCDから形成される。キーボード6は、用紙のフィードキー、オンライン/オフラインを切り替えるキーなど数個のキーからなる。通信部7は、例えばLAN(Local Area Network)回線でホストから印字データを受け取り、また印字終了したことをホストに通知する。第1印字制御部8は、サーマルヘッド11を有する第1印字部12を制御する。第2印字制御部9は、サーマルヘッド13を有する第2印字部14を制御する。第1印字部12は、例えばA4などの単票用紙に印字可能なプリンタである。第2印字部14は、例えばレシート用紙のような長尺状の用紙に印字するプリンタである。RAM4には、第1エラーフラグ4a、第2エラーフラグ4b、第1送信フラグ4c、第2送信フラグ4dを記憶する領域が設けられている。第1エラーフラグ4aは第1印字部12にエラーが発生したときに設定される。第2エラーフラグ4bは第2印字部14にエラーが発生したときに設定される。第1送信フラグ4cは第1印字部12のエラー情報を第2印字部14へ送信して印字するか否かを設定する。第2送信フラグ4dは、第2印字部14のエラー情報を第1印字部12へ送信して印字するか否かを設定する。
【0012】
このプリンタ1は、ホストから受けた第1印字部あるいは第2印字部への印字指令に基づいて、CPU2の制御によってサーマルヘッド11あるいはサーマルヘッド12で印字する。第1印字部12で印字するか第2印字部14のいずれで印字するかは、ホストから受けた印字指令に含まれる印字部を指定するデータによって判断される。印字に関する画像データ処理などは、一般に知られているものと変わりが無いため、詳細な説明は省略する。
【0013】
図2に示すフローチャートは、第1印字部12にエラーが発生したときの処理を示す。この処理は、単票用紙の搬送をステッピングモータで1ステップあるいは数ステップ搬送するごとに行なわれる。まず、第1印字部に異常があるか否かを判断する(Act1)。例えば、用紙搬送の不良が発生したなどの異常や、印字の実行中にプリンタの基板にノイズが進入したときである。ここで、異常が無ければこの処理を終了する。
【0014】
Act1で異常があったならば、第1印字フラグ4aにフラグを設定し(Act2)、表示部5にエラー表示を行い(Act3)、ホストと通信可能か否かを判断する(Act4)。ホストと通信可能か否かは、ホストに問い合わせを行った結果で判断できる。ホストと通信可能であれば、ホストにエラー情報を送信する(Act5)。Act5でエラー情報を送信したか、Act4でホストと通信できないと判断したときには、第2印字部14でエラー情報を印字する設定がなされているか否かを判断する(Act6)。エラー情報を第2印字部14で印字する設定がなされていなければ、この処理を終了する。エラー情報を第2印字部14で印字する設定がなされていれば、第2印字部14で印字が可能か否かを判断する(Act7)。印字可能でなければこの処理を終了し、印字可能であればエラーに関する情報を第2印字部14で印字する(Act8)。第2印字部でエラーに関する情報が印字されたら、この処理を終了する。
【0015】
図3は、第2印字部14にエラーが発生したときの処理を示す。この処理は、図2で説明した第1印字部12でエラーが発生したときとほぼ同じ処理であるため、簡単に説明する。また、この処理は第2印字部14のステッピングモータの搬送に同期して行なわれる。
【0016】
第2印字部14に異常があるか否かを判断し(Act11)、異常が無ければこの処理を終了し、異常があったならばこのプリンタ1の表示部5にエラー表示を行なう(Act13)。次にホストと通信可能か否かを判断し(Act14)、通信可能であればホストにエラー情報を送信し(Act15)、第1印字部12にエラー情報を送信する設定がなされているか否かを判断する(Act16)。エラー情報を送信する設定がなされていなければこの処理を終了し、設定がなされていれば第1印字部12が印字可能か否かを判断する(Act17)。印字可能でなければこの処理を終了し、印字可能であれば第1印字部12でエラー情報を印字して(Act18)、この処理を終了する。
【0017】
このようなプリンタ1において、通信部7を介してホストから印字指令を受けると、その指令が第1印字部12での印字か第2印字部14での印字であるかを印字指令に含まれるデータで判断する。そして、その印字指令に基づいて、第1印字部12あるいは第2印字部14で用紙に印字する。また、このプリンタ1は、印字の動作に同期して次の動作を定期的に行なう。印字の動作とは、例えば所定時間ごとに印字部に用いられているステッピングモータの駆動パルスを印加することである。なお、第1印字部12および第2印字部14の動作はほとんど同じであるため、第1印字部12について説明する。
【0018】
まず、第1印字部12に用紙ジャムなどの異常があるか否かを検出し、異常が無ければこの処理を終了する。異常があったならば、プリンタ1の表示部5にあるエラーを通知するLEDを点灯するか、あるいは表示部5が液晶表示機であるならば、エラー情報を表示する。次に、ホストと通信が可能か否かを判断し、ホストと通信ができればエラー情報をホストに送信する。ホストへの送信が終わったかホストと通信ができないとき、第1送信フラグ14cに第2印字部14にエラー情報を印字させる送信設定があるか否かを判断し、送信設定が無ければこの処理を終了する。送信設定があるなら、第2印字部14が印字可能か否かを第1エラーフラグ4aで判断し、印字可能であれば第2印字部14に対してエラーに関する情報を送信して、この処理を終了する。
【0019】
第2印字部14についても、所定時間ごとにエラーが発生したか否かを検出して、エラーが発生した場合には、第1印字部12で印字するか否かの第2送信フラグ14dの設定に基づいて、第1印字部12で印字を行なう。
【0020】
図4は第1印字部12でエラーが起きたときに、第2印字部14でレシート用紙にエラー情報を印字した例を示す。この実施の形態では、第1印字部12のバージョン情報、状態、設定と、コマンドタスクのダンプメモリ、通信タスクのダンプメモリ、イメージ編集タスクのダンプメモリ、メカ制御タスクのダンプメモリが印字される。
【0021】
このように、この実施の形態では、2つの印字部を有するプリンタにおいて、一方の印字部にエラーが発生したならば、他方の印字部に一方の印字部のエラーに関する詳細な情報を印字する。このため、ホストとの通信が途絶えたとしても、プリンタのエラーに関する詳細情報を簡単に知ることができるので、簡易なエラー発生時の対処が容易に行なえ、また簡単には復旧できない重大な問題を含んでいても、印字された情報を見ることでその対応をプリンタ1のメーカなどが迅速に行なえる。
【0022】
また、第1の印字部でエラーが発生したときに第2の印字部でエラー情報を印字するか否かを設定できるため、第2の印字部では用紙の枚数などを管理している場合や、高価な用紙を用いている場合には、自動的に印字されることが無いため、使い勝手の良いプリンタとなる。また、ホストに通信が行なえる場合には、印字部でのエラー印字を行なわないようにしてもよい。
【0023】
この実施の形態では、第1印字部で単票用紙に印字し第2印字部でレシート用紙に印字するものを示したが、例えば台紙の多数のラベルを貼り付けラベル用紙などに印字する場合も適用可能であり、このように用紙はどのようなものであっても良い。ラベルでエラー情報を印字する場合に、1枚のラベルにすべての情報が印字しきれないときには複数のラベルに印字するが、このときには図4に示したようなバージョン情報、状態、設定、コマンドタスクのダンプリスト、印字タスクのダンプリストなどのそれぞれの項目ごとに異なるラベルに印字するようにしてもよい。
【0024】
このように、上記の実施の形態例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0025】
1・・プリンタ
12・・第1印字部
14・・第2印字部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印字部と、
前記印字部にエラーがあるか否かを検出する検出部と、
前記検出部でエラーを検出したならば、エラーを検出した前記印字部以外の印字部で前記エラーを検出した前記印字部のエラー情報を印字するエラー情報印字手段と
を有するプリンタ。
【請求項2】
前記エラー情報印字手段は、エラーを検出した前記印字部以外でエラー情報を印字するか否かを設定可能な
請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記エラー情報印字手段は、エラーを検出した前記印字部以外の前記印字部が印字可能か否かを事前に判断し、印字可能であれば印字を行なう
請求項1記載のプリンタ。
【請求項4】
エラーを検出した前記印字部のエラー情報を上位機種に通知する通知手段をさらに有する請求項1記載のプリンタ。
【請求項5】
複数の印字部の一つで印字を実行し、
この印字を実行している印字部で異常があるか否かの情報を取得し、
異常があった前記印字部以外の印字部で異常があった印字部のエラー情報を印字する
印字方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−52571(P2013−52571A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191783(P2011−191783)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】