説明

プリンタシステム及びプリンタシステムの制御方法

【課題】ユーザが、言語を置き換えることを意識せずに、所望の言語で表示を行うことができ、ユーザの利便性が高いプリンタシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】所定の通信媒体を介して、情報処理装置と、表示手段を備え表示手段に表示するデータを記憶する記憶手段を有する画像形成装置とが通信可能なプリンタシステムにおいて、ホストコンピュータにプリンタドライバ等の制御プログラムをインストールする際に、制御プログラムが選択した言語に対応する表示データをプリンタへ転送し、プリンタ側に保持している言語のデータと置き換えるプリンタシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタシステムに関し、所定の通信媒体を介して、情報処理装置と通信可能であり、複数の言語を表示可能な表示部を具備する画像形成装置を有するプリンタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータや複写装置、ワードプロセッサ等のOA機器が広く普及され、これらの機器の画像形成(記録)装置の一種として、インクジェット方式によってデジタル画像記録を行う記録装置が急速に発展、普及している。特に、OA機器の高機能化とともに、それらの機器のカラー化が進み、これに伴って、様々なカラープリンタシステムが開発されている。
【0003】
一般に、プリンタシステムを構成する画像形成装置は、記録ヘッド及びインクタンクを搭載するキャリッジと、記録紙を搬送する搬送機構と、これらを制御する制御回路とを有する。
【0004】
このような記録装置では、インク液滴を吐出させる複数の吐出口を具備している記録ヘッドを、記録紙の搬送方向(副走査方向)と直行する方向(主走査方向)に、シリアル・スキャンさせながら、インクを吐出する。また、一方で、記録ヘッドからのインク吐出がない間に、記録紙を、記録ヘッドの記録幅に等しい量で、間欠的に搬送することによって、記録動作を実行する。さらには、カラー記録が可能な記録装置である場合、複数色の記録ヘッドから吐出されるインク液滴を重ねあわせることによって、カラー画像を形成する。
【0005】
画像形成装置において、インクを吐出させる方法として、次の(1)、(2)の2つの方法が知られている。
【0006】
(1)出口近傍に発熱素子(電気熱エネルギー変換体)を設け、この発熱素子に電気信号を印加することによって、インクを局所的に加熱し、圧力変化を起こさせ、インクを吐出口から吐出させる方法。
【0007】
(2)ピエゾ素子等の圧電素子を用い、インクに機械的圧力を付与し、インクを吐出する方法。
【0008】
これらのインクジェット記録方法は、記録信号に応じて、インクを微少な液滴として吐出口から記録媒体上に吐出することによって、文字や図形等を記録する方法である。インクジェット記録方法は、ノンインパクトであるので、騒音が少ないこと、ランニング・コストが低いこと、装置を小型化しやすいこと、及びカラー化が比較的容易であること等の利点を有する。
【0009】
このために、インクジェット記録装置は、コンピュータやワードプロセッサ等と併用され、又は単独で使用される複写機、プリンタ、ファクシミリ等の記録装置において、画像形成(記録)手段として広く用いられている。
【0010】
このようなプリンタシステムを構成する画像形成装置は、装置の状態や操作案内等をユーザに表示するために液晶画面を設け、ユーザの操作性向上を図っている。その中でも、近年、ロール紙交換、インクタンク交換等のメンテナンス作業を、効果的にユーザに行ってもらうために、メンテナンスの処理手順を示す図と説明文とを、順を追って、液晶画面に表示する。これによって、ユーザは、マニュアルを見ずに、作業することができる。
【0011】
プリンタシステムが使用される国の言語で上記説明文を表示することが望ましく、液晶画面の表示を各国語毎に対応させることが一般的である。特に、外資系企業向けや、複数の民族が混在する地域向けには、複数の言語の表示データを予め用意し、ユーザが、操作部から選択できるようにしてある。
【0012】
しかし、近年の国際化に伴い、対応すべき言語が増え続け、これに対応するためには、より多くのメモリ容量が必要である。
【0013】
これに対応するために、複数の言語の表示データを予めホストコンピュータに用意し、ユーザが、プリンタ側の操作部で選択した言語の表示データを、ホストコンピュータから取得し、現在の言語表示データと置き換える。これによって、プリンタ側のメモリ容量の増大を防ぐ装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−32669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、特許文献1記載の発明では、ユーザ毎に使用言語が異なる場合、その使用の度に、ユーザが、表示言語を切り替える操作を実行する必要があり、この切替操作が煩雑であるという問題がある。
【0015】
また、上記従来例では、少なくとも1つ以上の言語の表示データを事前に持っていることが前提であり、工場出荷時において、仕向け地毎に表示データを振り分ける作業が必要であるという問題がある。
【0016】
本発明は、ユーザが、表示言語を置き換えることを意識せずに(プリンタ側でユーザの操作を必要とせずに)、所望の言語で表示を行うことができ、ユーザの利便性が高いプリンタシステムを提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、表示データを持たない状態で出荷することができるので、工場出荷時において、仕向け地毎に表示データを振り分ける作業を削減することができるプリンタシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、ホストコンピュータにプリンタドライバ等の制御プログラムをインストールする際に、制御プログラムが選択した言語に対応する表示データをプリンタへ転送し、プリンタ側に保持している言語のデータと置き換えるプリンタシステムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、制御プログラムをインストールする際に、制御プログラムで使用されている言語の表示データを、ホストコンピュータから取得し、プリンタ側が保持している言語のデータと置き換える。したがって、ユーザは、言語の置き換えを意識せずに、所望の表示データを表示できるという効果を奏する。これによって、ユーザの利便性を図ることができる。
【0020】
また、本発明によれば、表示データを持たない状態で出荷を行うことができるので、工場出荷時において、仕向け地毎に表示データを振り分ける作業を削減することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
発明を実施するための最良の形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1であるプリンタシステムPS1を示すブロック図である。
【0023】
プリンタシステムPS1は、プリンタPR1(画像形成装置)と、ホストコンピュータHC1(情報処理装置)とを有する。
【0024】
CPU1は、入力インタフェース19を介して、ホストコンピュータHC1に接続されている。
【0025】
ROM3は、制御プログラムや、操作パネル22に表示する表示データ等を格納している。ここで、ROM3は、後述の説明でEEPROM4と混同することを避けるためにROM3という名称で説明するが、実際にはEEPROM等の書き替え可能なメモリを使用している。
【0026】
EEPROM4は、更新可能な制御プログラムや表示言語情報を含む各種定数データ等を格納している。表示言語情報は、表示データの有無、格納している表示データの言語、言語数等の情報で構成され、インストールプログラムから、プリンタドライバ等がインストールされる際に、プリンタPR1から読み出される。
【0027】
また、RAM2には、ホストコンピュータHC1から受信したコマンド信号や画像情報が格納されている。
【0028】
CPU1は、ROM3、EEPROM4、RAM2にアクセスし、これらのメモリに格納されている情報に基づいて、記録動作を制御する。
【0029】
操作パネル22のキーを介して入力される指示情報は、操作パネルインタフェース21を介して、CPU1に伝達される。また、CPU1からの命令によって、同様に、操作パネルインタフェース21を介して、操作パネル22におけるLED点灯やLCD表示が制御される。
【0030】
LCDには、プリンタPR1の各種の状態や、操作案内等を、ユーザに表示し、少なくとも1言語の画面を表示する。
【0031】
拡張インタフェース20は、無線LANやHDD等の拡張カードを接続し、機能拡張するインタフェースである。画像情報は、画像データ処理ブロック16によって、各インク色のドットデータに変換される。
【0032】
バンドメモリ制御部13は,プリントヘッドのデータ形式に変換した後に、RAM18に格納する。
【0033】
ヘッドデータ生成部12は、マルチパス、つなぎすじ、不吐ノズル等を考慮して、ヘッドに送るデータを生成する。
【0034】
また、クリーニングタイマ17が、プリントヘッド制御ブロック14に接続され、クリーニングタイマ17の値によって、印字に先立って行なわれるクリーニングの種類が決まる。
【0035】
複数のセンサユニット24は、各種カバー類の開閉、各種レバー類の設定、インクタンクの有無、紙の有無等プリンタPR1の各状態を示す。センサユニット24で検出された出力信号によって、センサ出力検出回路23は、プリンタPR1の状態を検出し、必要に応じて、CPU1に伝達する。
【0036】
出力ポート5とキャリッジモータ制御回路7とを介して、キャリッジモータ9を動作させ、キャリッジ15に搭載されているプリントヘッド11を移動させる。
【0037】
また、出力ポート5と紙搬送モータ制御回路6とを介して、紙送りモータ8を動作させ、搬送ローラ等の紙搬送機構10を動作させる。さらに、CPU1は、EEPROM4に格納されている各種情報に基づいて、プリントヘッド制御ブロック14を制御し、キャリッジ15に搭載されているプリントヘッド11を駆動することによって、記録媒体上に所望の画像を記録する。
【0038】
また、図示しない電源回路から、CPU1や各種制御回路を動作させるためのロジック駆動電圧Vcc(たとえば3.3V)、各種モータ駆動電圧Vm(たとえば24V)、記録ヘッドを駆動させるためのヒート電圧Vh(たとえば12V)等が出力される。
【0039】
ホストコンピュータHC1は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、ハードディスク34と、記憶媒体読取装置35と、インタフェース36と、ディスプレイ37とを有する。
【0040】
CPU31は、ソフトウエアプログラムに従い、ホストコンピュータHC1全体を制御するデバイスである。
【0041】
ROM32は、オペレーティングシステムの起動やハードウェアの設定を行うプログラムが書き込まれている。
【0042】
RAM33は、一時的に情報を保持可能なデバイスである。たとえば、ハードディスク34に保存されているオペレーティングシステムや文書や画像を作成、又は編集するための各種アプリケーションプログラムが、CPU31で実行する際に、一時的に情報を保持する領域として利用される。
【0043】
ハードディスク34は、オペレーティングシステムや文書や画像を作成、又は編集するための各種アプリケーションプログラムを記憶する。
【0044】
記憶媒体読取装置35は、CD−ROMやフロッピー(登録商標)ディスク等の記憶媒体に保存されている内容を読み取るものである。
【0045】
インタフェース36は、ホストコンピュータHC1から出力された印刷命令を、プリンタPR1に送信する。このインタフェース36は、ローカル接続するインタフェースであり、具体的には、パラレルインタフェース、USBインタフェース、赤外線通信等がある。また、インタフェース36は、LAN等のネットワークを介してプリンタPR1と接続してもよい。このように、ホストコンピュータHC1とプリンタPR1とを接続する通信媒体は、どんな通信媒体でもよく、適宜、所定の通信媒体で接続し、通信可能なように設定されていればよい。
【0046】
ディスプレイ37は、CRTや液晶等から成り、たとえばインストールプログラムの画面を表示し、言語選択等の設定画面を表示する。
【0047】
入力装置38は、マウスやキーボード等から成り、ディスプレイ37に表示したインストールプログラムの設定画面に、ユーザが設定を望む内容をするために利用される。
【0048】
図2は、プリンタシステムPS1の一例を示すブロック図である。
【0049】
プリンタドライバをインストールする場合、図2に示すように、インストールプログラムIP1が保存されたCD−ROMや、フロッピー(登録商標)ディスク等の記憶媒体M1を、ユーザが、記憶媒体読取装置35にセットする。
【0050】
次に、ホストコンピュータHC1のCPU31が、インストールプログラムIP1の内容をRAM33に一時保存し、また、インストールプログラムIP1の処理を開始する。以下、ホストコンピュータHC1のCPU31がインストールプログラムIP1を実行する際の処理の説明である。
【0051】
また、ホストコンピュータHC1は、アプリケーション63と、オペレーティングシステム61とを有している。
【0052】
プリンタドライバ60は、アプリケーション63の描画命令に対応する印刷データを、プリンタPR1が理解できるデータ形式に変換する。一般に、プリンタのメーカが製造し、プリンタPR1と共にユーザに提供され、ユーザが、オペレーティングシステム61内にインストールする。
【0053】
インストールプログラムIP1には、多言語に対応しているプリンタドライバ42〜45と、プリンタPR1の操作パネル22に表示するための表示データ46〜49とが含まれている。
【0054】
また、インストール処理部51が、初期設定ファイル(図示せず)等の内容を参照することによって、インストールプログラムIP1のインストールが行われる。
【0055】
言語選択部52は、プリンタドライバの言語を選択するものであり、ユーザが言語を選択するための言語選択画面をディスプレイ37に表示し、入力装置38を用いてユーザが言語を選択した言語を選択された言語として出力する。なお、言語選択は、手動だけでなく、オペレーティングシステム61の表示言語情報を参照し、最適な言語を自動的に選択するようにしてもよい。
【0056】
表示データ転送判別部54は、言語選択部52が選択した言語情報と、プリンタPR1のEEPROM4から読み出された表示言語情報65とによって、表示データ64を転送するかどうかを判別する。言語選択部52が選択したプリンタドライバは、セレクタ53を介して、ホストコンピュータHC1のオペレーティングシステム61にインストールされる。また、表示データ転送判別部54によって、転送することが決まると、選択されたプリンタドライバと同じ言語の表示データが、セレクタ55を介して、プリンタPR1のROM3に転送される。なお、ROM3は、複数の言語に対応する表示データを記憶する領域を有し、転送された表示データを記憶する。また、ROM3に記憶された表示データのうち、転送された表示データと置き換える領域と置き換えられない領域とを設定することが可能である。この設定は、操作パネル22から行う。
【0057】
次に、上記実施例における動作シーケンスについて、詳細に説明する。
【0058】
図3は、プリンタシステムPS1において、ホストコンピュータHC1からインストールプログラムIP1に含まれる表示データを転送する動作を示すフローチャートである。このフローチャートは、ホストコンピュータHC1のCPU31によって実行される。
【0059】
インストールプログラムIP1を使って、プリンタドライバ60をホストコンピュータHC1にインストールする際に、格納されている複数の言語の中から、言語選択部52で選択されたプリンタドライバを、インストールする(S1)。次に、プリンタPR1のEEPROM4から、操作パネル22の表示言語情報65を取得する(S2)。表示言語の有無を確認し(S5)、表示データ転送判別部54が、“有り”と判別すると、次のステップに進む。表示データ転送判別部54が、“無し”と判別すると、インストールされたプリンタドライバ60と同じ言語の表示データ64をプリンタPR1に送信し(S10)、プリンタPR1に、表示データ64をROM3へ保存させる(S11)。ここで、プリンタPR1は、出荷時の初期状態(初期出荷時)においてROM3には、表示データが書き込まれていない。よって、初期出荷時のプリンタPR1であれば、S5において、表示データ転送判別部54が、“無し”と判別される。
【0060】
そして、プリンタPR1に、表示言語情報を更新させ、更新した表示言語情報をEEPROM4に格納させる(S9)。表示言語情報65に示されている表示データの言語と、インストールしたプリンタドライバ60の言語とを比較し(S6)、“同じ”であると判別すると、処理を終了する。“異なっている”と判別すると、ユーザが、操作パネル22に表示したい言語である可能性が高い。したがって、インストールされたプリンタドライバ60と同じ言語の表示データ64を、プリンタPR1に送信し(S7)、プリンタPR1に、表示データ64を、ROM3に元々格納されていた表示データと置き換えさせる(S8)。
【0061】
なお、この置き換えを、自動的に行うだけでなく、ディスプレイ37に置き換えてよいかどうかを問う置き換え許可画面を表示し、ユーザ承認のもとで、手動で置き換えを行うようにしてもよい。その後に、プリンタPR1に、表示言語情報を更新させ、EEPROM4に格納させた(S9)後に、処理を終了する。
【0062】
さらに、上記記憶手段は、少なくとも1言語に対応する表示データを記憶する領域を有し、初期出荷時において上記領域には表示データが書き込まれていない。
【実施例2】
【0063】
実施例2において、実施例1と同一の部分については、同一の符号を付加して説明を省略する。
【0064】
図4は、本発明の実施例2であるプリンタシステムPS2を示す図である。
【0065】
プリンタシステムPS2は、複数のホストコンピュータHC1〜HC3とプリンタPR1とが、ネットワークで接続されているシステムである。
【0066】
プリンタシステムPS2では、複数のホストコンピュータと通信可能であるため、各ホストコンピュータのユーザであれば誰でも、表示データをプリンタPR1へ転送できる可能性が出る。しかし、プリンタPR1の管理者のみが表示データをプリンタPR1へ転送できることが、望ましい。
【0067】
図5は、プリンタシステムPS2におけるインストールプログラムIP2の構成の一例を示すブロック図である。
【0068】
インストールプログラムIP2には、多言語に対応したプリンタドライバ42〜45と、プリンタPR1の操作パネル22に表示するための表示データ46〜49とが含まれている。
【0069】
以下、ホストコンピュータHC1のCPU31がインストールプログラムIP2を実行する際の処理の説明である。
【0070】
また、インストール処理部51が、初期設定ファイル等の内容を参照することによって、インストールプログラムIP2をインストールする。言語選択部52は、ディスプレイに言語選択画面を表示し、ユーザに言語を選択させ、入力装置38から入力された言語を選択言語として出力することによって、プリンタドライバの言語を選択する。なお、言語選択は、手動だけでなく、オペレーティングシステム61の表示言語情報を参照し、最適な言語を自動的に選択するようにしてもよい。
【0071】
管理者プログラム情報57は、記憶媒体に格納されているインストールプログラムが、プリンタPR1の管理者用のものであるかどうかを示す情報である。管理者用のインストールプログラムIP2は、プリンタPR1のIPアドレス等のネットワーク設定やファームウェアの更新等、一般ユーザに行ってもらいたくない処理を許可されているプログラムである。
【0072】
表示データ転送判別部56は、言語選択部52が選択した言語情報と、プリンタPR1のEEPROM4から読み出された表示言語情報65と、管理者プログラム情報57とによって、表示データ64を転送するかどうかを判別する。言語選択部52で選択されたプリンタドライバは、セレクタ53を介して、ホストコンピュータHC1のオペレーティングシステム61上にインストールされる。
【0073】
また、表示データ転送判別部56で転送することが決まった場合、選択されたプリンタドライバと同じ言語の表示データが、セレクタ55を介して、プリンタPR1のROM3に転送される。なお、ROM3は、複数の言語に対応する表示データを記憶する領域を有し、転送された表示データを記憶する。また、ROM3に記憶された表示データのうち、転送された表示データと置き換える領域と置き換えられない領域とを設定することが可能である。この設定は、操作パネル22から行う。
【0074】
次に、実施例における動作シーケンスについて詳細に説明する。
【0075】
図6は、実施例2であるプリンタシステムPS2において、ホストコンピュータHC1からインストールプログラムIP2に含まれる表示データを転送する方法を示すフローチャートである。
【0076】
インストールプログラムIP2を使って、プリンタドライバ60をホストコンピュータHC1にインストールする際に、格納されている複数の言語の中から、言語選択部52で選択されたプリンタドライバをインストールする(S21)。表示データ転送判別部56は、管理者プログラム情報57から、管理者プログラム情報を読み出す(S22)。表示データ転送判別部56が、インストールプログラムIP2が管理者用であるかどうかを判断する(S23)。
【0077】
“管理者用でない”と判別された場合、処理を終了し、“管理者用である”と判別された場合、次のステップに進む。プリンタPR1のEEPROM4から、操作パネル22の表示言語情報65を取得する(S24)。表示言語の有無を確認し(S25)、表示データ転送判別部56が“有り”であると判別した場合、次のステップに進む。表示データ転送判別部56が、“無し”であると判別すると、インストールされたプリンタドライバ60と同じ言語の表示データ64を、プリンタPR1に送信し(S30)、プリンタPR1に、表示データ64をROM3へ保存させる(S31)。ここで、プリンタPR1は、出荷時の初期状態(初期出荷時)においてROM3には、表示データが書き込まれていない。よって、初期出荷時のプリンタPR1であれば、S25において、表示データ転送判別部56が、“無し”と判別される。
【0078】
そして、プリンタPR1に、表示言語情報を更新させ、更新した表示言語情報をEEPROM4に格納させる(S29)。表示言語情報65に示されている表示データの言語と、インストールしたプリンタドライバ60の言語とを比較し(S26)、“同じ”であると判別された場合、処理を終了する。“異なっている”と判別された場合、ユーザが操作パネル22に表示したい言語である可能性が高い。したがって、インストールされたプリンタドライバ60と同じ言語の表示データ64を、プリンタPR1に送信し(S27)、プリンタPR1に、表示データ64を、ROM3に元々あった表示データと置き換えさせる(S28)。
【0079】
なお、置き換えは自動で行うだけでなく、ディスプレイ37に置き換えていいかどうかを問う置き換え許可画面を表示し、ユーザ承認のもとで、手動で置き換えるようにしてもよい。その後に、プリンタPR1に、表示言語情報を更新させ、EEPROM4に格納させた(S29)後に、処理を終了する。
【実施例3】
【0080】
実施例3において、実施例1または実施例2と同じ部分については同一の符号を付加して説明を省略する。
【0081】
本発明の実施例3は、図4に示すように、複数のホストコンピュータHC1〜HC3と、プリンタPR1とがネットワーク接続されたときに、管理者用プログラムを使用せずに、実施する実施例である。
【0082】
図7は、本発明の実施例3であるプリンタシステムPS3のインストールプログラム構成の一例を示すブロック図である。以下、ホストコンピュータHC1のCPU31がインストールプログラムIP3を実行する際の処理の説明である。
【0083】
インストールプログラムIP3には、多言語に対応しているプリンタドライバ42〜45と、プリンタPR2の操作パネル22に表示する表示データ46〜49とが含まれている。
【0084】
また、インストール処理部51が、初期設定ファイル等の内容を参照することによって、インストールプログラムIP3のインストールが行われる。言語選択部52は、ディスプレイに言語選択画面を表示し、ユーザに言語を選択させ、入力装置38から入力された言語を選択言語として出力することによって、プリンタドライバの言語を選択する。なお、言語選択は、手動だけでなく、オペレーティングシステム61の表示言語情報を参照し、最適な言語を自動的に選択するようにしてもよい。
【0085】
表示データ転送判別部54は、言語選択部52が選択した言語情報と、プリンタPR2のEEPROM4aから読み出された表示言語情報65と、管理者情報66と、表示データ64とを、転送するかどうかを判別する。管理者情報66には、プリンタPR2の管理者ナンバー、更新日、更新内容等の情報が記述され、インストールプログラムから、プリンタドライバ等がインストールされる際に、表示言語情報65と共に、プリンタPR2から読み出される。
【0086】
言語選択部52で選択されたプリンタドライバは、セレクタ53を介して、ホストコンピュータHC1のオペレーティングシステム61上に、インストールされる。また、表示データ転送判別部54が転送すると判断した場合、選択されたプリンタドライバと同じ言語の表示データが、セレクタ55を介して、プリンタPR2のROM3に転送される。
【0087】
なお、ROM3は、複数の言語に対応する表示データを記憶する領域を有し、転送された表示データを記憶する。また、ROM3に記憶された表示データのうち、転送された表示データと置き換える領域と置き換えられない領域とを設定することが可能である。この設定は、操作パネル22から行う。
【0088】
次に、動作シーケンスについて、詳細に説明する。
【0089】
図8は、プリンタシステムPS3において、ホストコンピュータHC1からインストールプログラムIP3に含まれる表示データを転送する動作を示すフローチャートである。
【0090】
インストールプログラムIP3を使って、プリンタドライバ60をホストコンピュータHC1にインストールする際に、格納されている複数の言語の中から、言語選択部52で選択されたプリンタドライバをインストールする(S41)。プリンタPR2のEEPROM4aから、管理者情報66と操作パネル22の表示言語情報65とを取得する(S42)。
【0091】
表示データ転送判別部54は、管理者情報66に基づいて、インストールしているユーザが管理者かどうかを判断し(S43)、“管理者でない”と判別された場合、処理を終了し、“管理者である”と判別された場合、次のステップに進む。ユーザがインストールする際に入力する管理者ナンバーと、プリンタPR2から読み出された管理者情報66に記述されている管理者ナンバーとを比較することによって、管理者が判別される。
【0092】
次に、表示データ転送判別部54は、表示言語情報65から、表示言語の有無を確認する(S45)。表示データ転送判別部54が、“有り”であると判別すると、次のステップに進む。表示データ転送判別部54が、“無し”であると判別すると、インストールされたプリンタドライバ60と同じ言語の表示データ64を、プリンタPR2に送信し(S50)、表示データ64を、ROM3へ保存させる(S51)。そして、プリンタPR2に、表示言語情報65を更新させ、EEPROM4aに格納させる(S49)。ここで、プリンタPR2は、出荷時の初期状態(初期出荷時)においてROM3には、表示データが書き込まれていない。よって、初期出荷時のプリンタであれば、S45において、表示データ転送判別部54が、“無し”と判別される。
【0093】
表示言語情報65に示されている表示データの言語と、インストールしたプリンタドライバ60の言語とを比較し(S46)、“同じ”であると判別すると、処理を終了する。“異なっている”と判別すると、ユーザが操作パネル22に表示したい言語である可能性が高いので、インストールされたプリンタドライバ60と同じ言語の表示データ64を、プリンタPR2に送信する(S47)。そして、プリンタPR2において、表示データ64を、ROM3に元々あった表示データと置き換えさせる(S48)。なお、置き換えは、自動で行うだけではなく、ディスプレイ37に置き換えていいかどうかを問う置き換え許可画面を表示し、ユーザ承認のもとで、手動で置き換えするようにしてもよい。その後に、プリンタPR2に、表示言語情報を更新させ、EEPROM4aに格納させた(S49)後に、処理を終了する。
【0094】
以上説明した実施例1から3のプリンタシステムPS1、PS2、PS3は、記録ヘッドの動作原理や構成によって制限されるものではない。すなわち、記録ヘッドは、吐出口近傍に発熱素子(電気/熱エネルギー変換素子)を設け、この発熱素子に電気信号を印加することによって、インクを局所的に加熱し、圧力変化を起こさせ、インクを吐出口から吐出させるサーマル方式であってもよい。また、ピエゾ素子等の電気/圧力変換手段を用い、インクに機械的圧力を付与し、インクを吐出させるピエゾ方式であってもよい。
【0095】
また、上記実施例は、1言語の表示データを持つプリンタPR1、PR2であるが、複数の言語の表示データを持つ構成でもよい。たとえば、複数の言語の表示データのうちで、置き換え可能な言語と、置き換え不可の言語とに分けて、置き換え可能な表示データについて、実施例を常時適用することができる。
【0096】
上記実施例において、記憶媒体に格納されているインストールプログラムの例を説明した。インストールプログラムは、記憶媒体に限定されたものではなく、ハードウエアベンダーが提供するWebサーバ、又はFTPサーバ等から転送して実行するようにしてもよい。
【0097】
なお、上記インストールプログラムは、上記情報処理装置を、上記制御プログラムの言語を選択する言語選択手段と、上記記憶手段に記憶されている表示データの言語情報を取得する記憶言語情報取得手段として動作させるプログラムである。また、上記インストールプログラムは、上記情報処理装置を、上記言語選択手段が選択した言語と、上記記憶言語情報取得手段が取得した言語情報とを比較し、上記表示データを転送するかどうかを判断する転送判断手段として動作させるプログラムである。
【0098】
さらに、上記記憶手段に転送する表示データは、上記情報処理装置を制御するシステムプログラムにおける言語データと同じ言語のデータである。
【0099】
しかも、上記インストールプログラムは、上記情報処理装置を、管理情報に基づいて、管理者用であるかどうかを判別する管理者プログラム判別手段と、上記制御プログラムの言語を選択する言語選択手段として動作させるプログラムである。そして、上記インストールプログラムは、上記情報処理装置を、上記画像形成装置の記憶手段に記憶されている表示データの言語情報を取得する記憶言語情報取得手段として動作させるプログラムである。
【0100】
また、上記インストールプログラムは、上記情報処理装置を、判別手段として動作させるプログラムである。この判別手段は、上記管理者プログラム判別手段が、管理者プログラムであると判別した場合に、上記言語選択手段が選択した言語と上記記憶言語情報取得手段が取得した言語情報とを比較し、上記表示データを転送するかどうかを判別する。
【0101】
さらに、上記インストールプログラムは、上記画像形成装置と上記情報処理装置とがネットワーク接続された際に、上記画像形成装置の管理者情報を取得する管理者情報取得手段を実現する。また、上記インストールプログラムは、上記管理者情報に基づいて、管理者かどうかを判別し、表示データの転送を許可するかどうかを決定する決定手段を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0102】
上記実施例は、プリンタシステムで実現する実施例であるが、電子写真、熱転写方式等の記録装置において適用することができる。さらに、印刷用の版を作成してその印刷用の版によりインクを記録媒体へ転写する印刷機において適用することができる。また、画像処理装置としてプリンタを記載したが、読取装置と組み合わせた複写装置や、通信機能を有するファクシミリ装置等において適用することができる。また、プリンタ機能に加えコピー機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能持つ複合機において適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施例1であるプリンタシステムPS1を示すブロック図である。
【図2】プリンタシステムPS1の一例を示すブロック図である。
【図3】プリンタシステムPS1の表示データを転送する動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例2であるプリンタシステムPS2を示す図である。
【図5】プリンタシステムPS2におけるインストールプログラムIP2の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】実施例2であるプリンタシステムPS2において、表示データを転送する方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例3であるプリンタシステムPS3のインストールプログラム構成の一例を示すブロック図である。
【図8】プリンタシステムPS3において、表示データを転送する動作を示すフローチャートである
【符号の説明】
【0104】
1…CPU、
3…ROM、
4…EEPROM、
21…操作パネルインタフェース、
22…操作パネル、
PR1…プリンタ、
HC1…ホストコンピュータ、
35…記憶媒体読取装置、
52…言語選択部、
54…表示データ転送判別部、
60…プリンタドライバ、
61…オペレーティングシステム、
64…表示データ、
65…表示言語情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信媒体を介して、情報処理装置と、表示手段を備え表示手段に表示するデータを記憶する記憶手段を有する画像形成装置とが通信可能なプリンタシステムにおいて、
上記画像形成装置を制御する複数の言語に対応する制御プログラムと複数の言語に対応する上記表示するデータを具備するインストールプログラムとにより、情報処理装置は、上記制御プログラムを、上記情報処理装置にインストールする際に、複数の言語の表示データの中から、インストールされる上記制御プログラムの言語に対応している表示データを、上記記憶手段に転送する転送手段と;
を有する装置であることを特徴とするプリンタシステム
【請求項2】
請求項1において、
上記インストールプログラムは、上記情報処理装置を、
上記制御プログラムの言語を選択する言語選択手段と;
上記記憶手段に記憶されている表示データの言語情報を取得する記憶言語情報取得手段と;
上記言語選択手段が選択した言語と、上記記憶言語情報取得手段が取得した言語情報とを比較し、上記表示データを転送するかどうかを判断する転送判断手段と;
して動作させるプログラムであることを特徴とするプリンタシステム。
【請求項3】
請求項1において、
上記記憶手段に転送する表示データは、上記情報処理装置を制御するシステムプログラムにおける言語データと同じ言語のデータであることを特徴とするプリンタシステム。
【請求項4】
請求項1において、
上記記憶手段に転送する表示データは、ユーザが選択した言語のデータであることを特徴とするプリンタシステム。
【請求項5】
請求項1において、
上記記憶手段は、少なくとも1言語に対応する表示データを記憶する領域を有し、初期出荷時において上記領域には表示データが書き込まれていないことを特徴とするプリンタシステム。
【請求項6】
請求項1において、
上記記憶手段は、複数の言語に対応する表示データを記憶する領域を有し、転送された表示データを置き換える領域と置き換えられない領域とを有することを特徴とするプリンタシステム。
【請求項7】
請求項1において、
上記画像形成装置と上記情報処理装置とがローカル接続され、転送できるユーザを限定したことを特徴とするプリンタシステム。
【請求項8】
請求項1において、
上記インストールプログラムは、上記情報処理装置を、
管理情報に基づいて、管理者用であるかどうかを判別する管理者プログラム判別手段と;
上記制御プログラムの言語を選択する言語選択手段と;
上記画像形成装置の記憶手段に記憶されている表示データの言語情報を取得する記憶言語情報取得手段と;
上記管理者プログラム判別手段が、管理者プログラムであると判別した場合に、上記言語選択手段が選択した言語と上記記憶言語情報取得手段が取得した言語情報とを比較し、上記表示データを転送するかどうかを判別する判別手段と;
して動作させるプログラムであることを特徴とするプリンタシステム。
【請求項9】
請求項1において、
上記インストールプログラムは、
上記画像形成装置と上記情報処理装置とがネットワーク接続された際に、上記画像形成装置の管理者情報を取得する管理者情報取得手段と;
上記管理者情報に基づいて、管理者かどうかを判別し、表示データの転送を許可するかどうかを決定する決定手段と;
を有することを特徴とするプリンタシステム。
【請求項10】
所定の通信媒体を介して、情報処理装置と、表示手段を備え表示手段に表示するデータを記憶する記憶手段を有する画像形成装置とが通信可能なプリンタシステムの制御方法において、
上記画像形成装置を複数の言語に対応する制御プログラムと複数の言語に対応する上記表示するデータを具備するインストールプログラムにより、上記制御プログラムを上記情報処理装置にインストールする際に、情報処理装置は、複数の言語の表示データの中から、インストールされる上記制御プログラムの言語に対応している表示データを、記憶手段に転送する転送工程と;
を実行することを特徴とするプリンタシステムにおける制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−152665(P2010−152665A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330380(P2008−330380)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】