説明

プリンター、印刷制御装置、プリンターの印刷制御方法およびプログラム

【課題】顧客要望に応じた印刷処理のカスタマイズを、低工数且つ低コストで実現する。
【解決手段】フォーマットを用いて印刷データを生成し、印刷を行うプリンター10であって、使用対象となるフォーマットの所在を示す指示情報を取得する指示情報取得部110と、指示情報を記憶しておく指示情報記憶部120と、入力装置によって入力された入力データを取得する入力データ取得部130と、入力データを取得したとき、指示情報記憶部120に記憶されている指示情報に従って、フォーマットの所在から、レンダリング処理済みのフォーマットを取得するフォーマット取得部140と、取得したフォーマットに、入力データを挿入することで、印刷データを生成する印刷データ生成部150と、生成した印刷データを印刷媒体に印刷する印刷部160と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フォーマットを用いて印刷データを生成し、印刷を行うプリンター、印刷制御装置、プリンターの印刷制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ホスト装置と、当該ホスト装置からの印刷指令に基づいて印刷を行うプリンターと、から成る印刷システムが知られている(例えば、特許文献1)。この種の印刷システムでは、一般に、ホスト装置で作成された画像データや文書データをそのままプリンターで印刷することができないため、プリンターに適したプリントデータ(プリンターの制御コード)に変換して印刷を行う。このようなプリントデータへの変換処理は、レンダリング処理と称され、一般的なインクジェットプリンタにあっては、ホスト装置に組み込まれたプリンタードライバによって処理が実行される。また、一般的なレーザプリンターにあっては、ホスト装置側で、一旦PDL(Page Description Language)などの中間言語に変換された後、プリンター側でその処理が実行される。
【0003】
ところが、このようなレンダリング処理は処理負荷が大きく、印刷処理に時間がかかるといった不都合がある。特に、カラー画像等のデータ容量の大きい印刷データの場合や、プリンターの処理能力が低い場合、このような不都合が顕著である。そこで、頻繁に使用するフォーマット(罫線やロゴなどの書式、テンプレート)を予めプリンター内に記憶しておき、ホスト装置からフォーマットを指定することで、データ転送量を削減し、印刷処理時間を短縮する方法が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−144994号公報
【特許文献2】特開平9−39312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2のように、予めプリンター内にフォーマットを記憶しておくためには、記憶容量の大きいメモリを搭載する必要がある。そのため、記憶できるフォーマットの数が限られ、多様な印刷結果を得ることができないといった不都合も生じる。また、プリンター内にフォーマットを記憶しておく場合であっても、印刷ごとにレンダリング処理が必要となるため、印刷処理時間の短縮効果は不十分である。
【0006】
また、近年、小売店などの店舗で使用されるレシートプリンターにおいては、フォーマットの多様化のみならず、フォーマットに種々の情報を挿入したいなどの顧客要望がある。例えば、顧客名や割引金額が記載されたクーポンを発行したい、商品金額や商品名が記載されたタグ(値札)を発行したい、回数券の残回数が記載された印刷物を発行したい、などの要望である。ところが、このような要望に答えるためには、プリンターにホスト装置を別途付属させたり、特別にカスタマイズしたプリンターを開発したりなど、多くの工数や多額のコストがかかってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑み、顧客要望に応じた印刷処理のカスタマイズを、低工数且つ低コストで実現可能なプリンター、印刷制御装置、プリンターの印刷制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプリンターは、フォーマットを用いて印刷データを生成し、印刷を行うプリンターであって、使用対象となるフォーマットの所在を示す指示情報を取得する指示情報取得部と、指示情報を記憶しておく指示情報記憶部と、入力装置によって入力された入力データを取得する入力データ取得部と、入力データを取得したとき、指示情報記憶部に記憶されている指示情報に従って、フォーマットの所在から、レンダリング処理済みのフォーマットを取得するフォーマット取得部と、取得したフォーマットに、入力データを挿入することで、印刷データを生成する印刷データ生成部と、生成した印刷データを印刷媒体に印刷する印刷部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明のプリンターの印刷制御方法は、フォーマットを用いて印刷データを生成し、印刷を行うプリンターの印刷制御方法であって、プリンターが、使用対象となるフォーマットの所在を指示する指示情報を取得し、当該指示情報を指示情報記憶部に記憶しておくステップと、入力装置によって入力された入力データを取得するステップと、入力データを取得したとき、指示情報記憶部に記憶されている指示情報に従って、使用対象となるフォーマットの所在から、レンダリング処理済みのフォーマットを取得するステップと、取得したフォーマットに、入力データを挿入することで、印刷データを生成するステップと、生成した印刷データを印刷媒体に印刷するステップと、を実行することを特徴とする。
【0010】
これらの構成によれば、プリンター内に、使用対象となるフォーマットの所在(WebサーバーのURL、記憶装置のアドレスなど)を示す指示情報を記憶しておくため、外部から適宜フォーマットを取得することができ、全てのフォーマットを必ずしもプリンター内部に記憶しておく必要がない。また、プリンター内に記憶される指示情報の書き換えによって種々のフォーマットを使用可能であるため、パーソナルコンピューターなどのホスト装置を必要とすることなく、多様な印刷を行うことができる。また、フォーマットの所在からはレンダリング処理済みのフォーマットを取得するため、レンダリング処理に要する処理負荷を軽減できる。さらに、入力データの取得に伴って印刷データを生成するため、印刷開始を指示するための印刷指示手段が不要となると共に、入力データをフォーマットに挿入して印刷データを生成するため、汎用性の高い印刷物を得ることができる。
なお、「使用対象となるフォーマットの所在」は、プリンター外部のみならず、プリンター内部にあっても良い。すなわち、プリンター内部の所定の記憶領域を、「使用対象となるフォーマットの所在」として指示しても良い。
また、レンダリング処理済みのフォーマットとは、プリンター固有の印刷形式で表されたフォーマットを指す。一般に、プリントデータ(プリンターの制御コード)は、メーカーや機種によって異なるが、本発明では、プリンター固有の印刷形式に至るまでの変換済み(半処理済み)のフォーマットを取得して印刷データを生成する構成であるため、印刷処理に要する処理負荷を大幅に軽減できる。
【0011】
上記に記載のプリンターにおいて、指示情報は、テキストデータであることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、指示情報が実行形式のファイルではないため、プリンターを起動状態としたままで書き換えを行うことができ、書き換え操作に伴う業務中断を必要としない。また、一般に、プリンターソフトウェアの開発業者は、プリンターメーカーから、実行形式のファイルを作成するための特別な開発環境の提供を受ける必要があるが、指示情報がテキストデータであるため、特別なツールを必要とすることなく、顧客要望に応じた印刷処理のカスタマイズを容易に行うことができる。
【0013】
上記に記載のプリンターにおいて、指示情報は、入力データの編集内容を指示する情報を含み、印刷データ生成部は、指示情報に従って入力データを編集し、印刷データを生成することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、指示情報の書き換えによって、入力データの編集内容(書式、フォントの変更、該当データの削除など)をカスタマイズできる。
【0015】
上記に記載のプリンターにおいて、入力装置が複数台接続されている場合、指示情報は、使用対象となる入力装置を指示する情報を含み、入力データ取得部は、指示情報記憶部に記憶されている指示情報によって指示された入力装置から入力データを取得することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、入力データを入力するための入力装置についても、顧客要望によって可変することができる。
【0017】
上記に記載のプリンターにおいて、入力装置が、複数種類の入力データを入力可能である場合、指示情報は、複数種類の入力データの中から、取得対象となる入力データを指示する情報を含み、入力データ取得部は、入力された複数種類の入力データの中から、指示情報記憶部に記憶されている指示情報によって指示された入力データを抽出して取得することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、入力装置から複数種類の入力データが入力される場合であっても、その中から必要なデータのみを抽出して、フォーマットに挿入することができる。複数種類の入力データとしては、入力装置が会員カードの読取装置である場合、会員カードから読み取った「会員番号」、「氏名」、「ポイント数」、「有効期限」などが挙げられる。また、抽出方法としては、その○○文字目から××文字目までを「氏名」のデータとして抽出する、などが挙げられる。
【0019】
上記に記載のプリンターにおいて、指示情報は、フォーマットの結合、フォーマットの選択方法、入力データ以外の所定情報の挿入、印刷データ生成処理の繰返し条件、のうち、少なくとも1を指示するための情報を含み、フォーマット取得部および印刷データ生成部は、指示情報に従って、フォーマットの取得および印刷データの生成を行うことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、指示情報の書き換えによって、フォーマットの結合、フォーマットの選択方法、入力データ以外の所定情報(連続番号、日時情報、会計処理結果情報など)の挿入、印刷データ生成処理の繰返し条件(条件に該当する入力データの数だけフォーマット取得処理および印刷データ生成処理を繰り返すなど)を設定できる。
【0021】
本発明の印刷制御装置は、上記に記載のプリンターにおける指示情報取得部、指示情報記憶部、入力データ取得部、フォーマット取得部および印刷データ生成部を備え、印刷部を備えたプリンター本体に接続されて用いられることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、プリンター本体を変更することなく、印刷制御装置の接続によって、本発明を実現することができる。なお、印刷制御装置を、プリンター本体に着脱可能なインターフェース装置によって実現しても良い。
【0023】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記に記載のプリンターの印刷制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0024】
このプログラムを実行することにより、顧客要望に応じた印刷処理のカスタマイズを、低工数且つ低コストで実現可能なプリンターの印刷制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷システムのシステム構成図である。
【図2】プリンターの機能ブロック図である。
【図3】プリンターの印刷処理を示すフローチャートである。
【図4】指示情報の一例を示す図である。
【図5】印刷データの生成処理を示す概念図である。
【図6】指示情報により指示可能な情報の説明図である。
【図7】印刷システムの変形例を示すシステム構成図である。
【図8】図7とは異なる、印刷システムの変形例を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係るプリンター、印刷制御装置、プリンターの印刷制御方法およびプログラムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、小売店の会計レジ等で用いられるプリンターを例示する。また、本実施形態に係るプリンターは、予め用意されたフォーマット(テンプレート)に、入力データを挿入するといった簡易な処理で、クーポンなど各種印刷物を発行可能となっている。
【0027】
図1は、本発明のプリンターを適用した印刷システムSYのシステム構成図である。同図に示すように、印刷システムSYは、プリンター10と、当該プリンター10の周辺機器として接続されるバーコードリーダー21および磁気カードリーダー22と、必要時のみ当該プリンター10に接続される指示情報書き換え用PC30と、ネットワークNTを介して当該プリンター10と接続されるフォーマットサーバー40およびXMLサーバー50と、を備えている。
【0028】
指示情報書き換え用PC30は、プリンターソフトウェアの開発業者が設定変更(指示情報の書き換え)のために用いるものであり、パーソナルコンピューターまたは専用装置によって実現される。ここで、「指示情報」とは、印刷データの生成処理に関する指示内容を示す情報であり、当該指示情報の書き換えによって、顧客(小売店)の要望に応じた印刷処理のカスタマイズが可能となっている。詳細については後述するが、例えば「指示情報」の書き換えによって、使用対象となるフォーマット(フォーマットの所在)、入力データの編集内容、使用対象となる入力装置、取得対象となる入力データなどのカスタマイズが可能である。
【0029】
フォーマットサーバー40は、多種多様なフォーマットをプリンター10に提供するためのサーバーである。フォーマットサーバー40には、レンダリング処理済みのフォーマットが記憶されている。ここで、「レンダリング処理済みのフォーマット」とは、プリンター固有の印刷形式で表されたフォーマット、すなわちプリンター10のメーカーや機種に応じた制御コードを含むフォーマットを指す。このように、フォーマットとして、レンダリング処理済みのものを用意しておくことで、プリンター10が印刷データを生成する際、レンダリング処理に要する処理が不要となるため、印刷処理に要する時間を大幅に短縮できる。なお、図1では、フォーマットサーバー40を1台のみ備えた印刷システムSYを例示しているが、フォーマットサーバー40を複数台備えた構成としても良い。また、各フォーマットサーバー40は、ネットワークNTを介して複数台のプリンター10と接続され、これら複数台のプリンター10に対して、フォーマットを提供可能としても良い。
【0030】
XMLサーバー50は、入力データを入力するための入力装置として機能する。XMLサーバー50は、マークアップ言語の一種であるXML(Extensible Markup Language)言語で表されたキーワードを入力する。なお、XML言語のキーワードを入力するための入力装置としては、携帯型情報処理端末を採用しても良い。また、携帯型情報処理端末からは、ブルートゥースや赤外線通信により入力データを入力しても良い。また、XMLサーバー50は、携帯型情報処理端末であっても良い。
【0031】
プリンター10は、主なハードウェア構成として、第1通信部11、第2通信部12、CPU13、RAM14、フラッシュROM15、周辺機器用I/F16、フォーマットDB(Data Base)17、印刷機構18、並びにこれら各構成要素を接続するバス19を備えている。
【0032】
第1通信部11は、指示情報書き換え用PC30と通信を行うための通信手段であり、設定ツールの受け口として機能する。また、第2通信部12は、インターネットやイントラネット等のネットワークNTを介して、各種サーバー40,50と通信を行うための通信手段である。なお、通信部11,12としては、無線LAN、USB(Universal Serial Bus)インターフェース、パラレルインターフェース、ブルートゥース、赤外線通信などの通信手段を採用しても良い。
【0033】
CPU13、RAM14およびフラッシュROM15は、制御手段として機能する。CPU13は中央処理装置であり、RAM14はワークエリアとして用いられる。また、フラッシュROM15は、制御プログラムや制御データを不揮発に記憶する。制御プログラムとしては、指示情報の書き換え(設定)を行うための書き換えプログラム、印刷データを生成するための印刷データ生成プログラム、印刷を行うための印刷実行プログラム、などを記憶している。さらに、フラッシュROM15は、指示情報書き換え用PC30から取得した指示情報を記憶するための記憶領域15aを有している。
【0034】
周辺機器用I/F16は、バーコードリーダー21や磁気カードリーダー22などの入力装置を接続するためのインターフェースであり、実際には、装置ごとに独立したインターフェースが設けられる。なお、周辺機器用I/F16として、上記の通信部11,12と同様に、各種通信手段を採用しても良い。ここで、バーコードリーダー21とは、商品に貼付または印刷された商品バーコードを読み取るための装置である。また、磁気カードリーダー22とは、会計時に顧客から提示される会員専用磁気カード(以下、単に「会員カード」と称する)を読み取るための装置である。これらの入力装置によって読み取った商品バーコードおよび磁気データは、フォーマットに挿入するための入力データとしてプリンター10に入力される。
【0035】
フォーマットDB17は、上記のフォーマットサーバー40と同様に、レンダリング処理済みの各種フォーマットを記憶する。本実施形態では、記憶領域15aに記憶された指示情報に従って、フォーマットDB17およびフォーマットサーバー40のいずれかから、フォーマットを取得する。
【0036】
印刷機構18は、用紙送り機構、印刷ヘッド、用紙切断機構などを含み、CPU13の制御下で印刷動作を行う。なお、本実施形態では、印刷媒体として、長尺状のレシート用紙を想定しているが、短冊状にカットされた用紙を用いても良いし、印刷層、粘着層および剥離層が積層されたラベル用紙等を用いても良い。また、印刷方式も、インクジェット方式やレーザー方式(電子写真方式)など、その種類を問わない。
【0037】
次に、図2を参照し、プリンター10の機能構成について説明する。プリンター10は、主な機能構成として、指示情報取得部110、指示情報記憶部120、入力データ取得部130、フォーマット取得部140、印刷データ生成部150および印刷部160を備えている。
【0038】
指示情報取得部110は、指示情報を取得するものであり、CPU13および第1通信部11を主要部とする。本実施形態では、指示情報としてテキストデータを取得する(図3参照)。これにより、指示情報を書き換えるプリンターソフトウェアの開発業者が、特別なツールを必要とすることなく、容易に印刷処理のカスタマイズを行うことができる。
【0039】
指示情報記憶部120は、指示情報取得部110が取得した指示情報を不揮発に記憶するものであり、フラッシュROM15の記憶領域15aを主要部とする。なお、指示情報を揮発性のメモリに記憶させても良い。この場合は、電源投入ごとにメモリが初期化されるため、指示情報設定用のサーバーを、ネットワークNTを介して接続し、当該サーバーから、電源投入時などに自動的に指示情報をダウンロードし、揮発性のメモリに格納する構成とすることが好ましい。また、指示情報記憶部120を、USBメモリやSDカードなど、プリンター10に着脱可能な外部記憶媒体で実現しても良い。
【0040】
入力データ取得部130は、各種入力データを取得するものであり、CPU13、第2通信部12および周辺機器用I/F16を主要部とする。上記の通り、本実施形態では、XMLサーバー50から入力されたXML言語のキーワード、バーコードリーダー21から入力された商品バーコード、磁気カードリーダー22から入力された磁気データを、入力データとして取得可能である。なお、入力データ取得部130は、指示情報記憶部120に記憶されている指示情報によって指示された入力装置からの入力データを取得する構成となっている。したがって、指示情報が、使用対象となる入力装置としてXMLサーバー50を指示している場合、他の入力装置(バーコードリーダー21および磁気カードリーダー22)から入力された入力データは無効となる。また、入力データ取得部130は、複数種類の入力データが入力された場合、当該複数種類の入力データの中から、指示情報によって指示された入力データのみを抽出して取得する構成となっている。したがって、磁気カードリーダー22から、会員カードの情報として「会員番号」、「氏名」、「ポイント数」、「有効期限」が入力された場合、指示情報で指示された情報(例えば、「氏名」のデータ)のみを抽出して取得する。
【0041】
フォーマット取得部140は、レンダリング処理済みのフォーマットを取得するものであり、CPU13および第2通信部12を主要部とする。上記の通り、フォーマット取得部140は、指示情報記憶部120に記憶されている指示情報に従って、フォーマットDB17およびフォーマットサーバー40のいずれかから、フォーマットを取得する。なお、印刷処理実行時には、フォーマットDB17からのみフォーマットを取得する構成としても良い。この場合、指示情報の設定時(指示情報記憶部120に指示情報が記録されたとき)に、当該指示情報で指示されたフォーマットを、予めフォーマットサーバー40からダウンロードしてフォーマットDB17に記憶しておく。そして、フォーマット取得部140は、入力データを取得した際、当該フォーマットDB17からのみフォーマットを取得する、といった構成でも良い。
【0042】
印刷データ生成部150は、フォーマット取得部140が取得したフォーマットに、入力データ取得部130が取得した入力データを挿入することで、印刷データを生成する。また、指示情報が、入力データの編集内容を指示する内容を含む場合、入力データを編集し、編集後の入力データをフォーマットに挿入する。なお、上記の通り、フォーマット取得部140が取得するフォーマットは、レンダリング処理済みのデータであるため、印刷データ生成部150では、レンダリング処理を行わない。一方、印刷部160は、印刷データ生成部150によって生成された印刷データを、レシート用紙に印刷し、クーポン等の印刷物を発行する。
【0043】
次に、図3のフローチャートを参照し、プリンター10の印刷処理について説明する。プリンター10(CPU13)は、電源ON操作または指示情報書き換え用PCからの指示情報読読み出し指令をトリガとして、フラッシュROM15の記憶領域15aから指示情報を読み出す(S01)。また、読み出した当該指示情報に従って、使用対象となる入力装置(本実施形態の場合、XMLサーバー50、バーコードリーダー21および磁気カードリーダー22のうち1以上の装置)を有効にする(S02)。
【0044】
その後、プリンター10は、有効化された入力装置から入力データを取得したか否かを判別し(S03)、取得しない場合は(S03:No)、S03の判別を繰り返す。また、取得した場合は(S03:Yes)、指示情報に従って、取得対象となる入力データ(以下、「取得対象データ」と称する)を抽出する(S04)。なお、指示情報に、取得対象データに関する情報が含まれない場合、S04は省略する。また、プリンター10は、指示情報に従って、使用対象となるフォーマット(以下、「使用対象フォーマット」と称する)を取得する(S05)。ここでは、指示情報に含まれるフォーマットの所在を示す情報に基づいて、フォーマットDB17およびフォーマットサーバー40のいずれかから、フォーマットを取得する。
【0045】
さらに、プリンター10は、指示情報に従って、入力データを編集し、取得したフォーマットに当該入力データを挿入して、印刷データを生成する(S06)。S06の具体例については、後述する。その後、生成した印刷データをレシート用紙に印刷し、印刷済み領域の後端をレシート用紙の幅方向に切断することにより、クーポン等の印刷物を発行する(S07)。
【0046】
次に、図4および図5を参照し、プリンター10による印刷データ生成処理の具体例について説明する。図4は、指示情報の一例を示す図である。同図に示すように、指示情報は、実行形式ではなく、テキスト形式で記述されている。また、同図の例では、指示情報として以下の内容が記述されている。
「磁気カードリーダー22から入力データを取得する(情報201)。フォーマットサーバー40(Webサーバー)からフォーマットAを取得する(情報202)。フォーマットAに入力データを挿入し、パートAを生成する(情報203)。フォーマットサーバー40(Webサーバー)からフォーマットBを取得する(情報204)。フォーマットBに日付情報を挿入し、パートBを生成する(情報205)。パートAとパートBを連結して印刷データ(ジョブデータ)を生成する(情報206)。印刷データを印刷する(情報207)。」
【0047】
図5は、図4に示した指示情報に基づく、印刷データの生成処理を示す概念図である。同図において、符号211は、フォーマットAを示している。また、符号212は、フォーマットAに入力データ(“山田太郎”)を挿入した挿入結果(パートAの生成結果)を示している。一方、符号221は、フォーマットBを示している。また、符号222は、フォーマットBに日付情報(“2010/8/10”)を挿入した挿入結果(パートBの生成結果)を示している。なお、当該日付情報は、プリンター10内に備えられたRTC(Real Time Clock,図示省略)の計時結果から得られる情報である。さらに、符号230は、パートAとパートBを結合したことによる、印刷データの生成結果を示している。このように、本実施形態では、テキスト形式で記述された指示情報に従って、使用対象となるフォーマットの取得、取得対象となる入力データの取得、並びに取得したフォーマットへの入力データの挿入等を行う。これにより、指示情報を書き換えるだけで、顧客の要望に応じた印刷物の発行を容易に実現できる。
【0048】
なお、指示情報としてはさらに多様な情報を含めることができる。図6は、指示情報により指示可能な情報の一覧を示した図である。例えば、「A1.使用対象となるフォーマット」は、フォーマットIDやフォーマットの所在を指し、図4に示した情報202および情報204に相当する。また、「A2.入力データの編集内容」は、入力データの変換(商品バーコードのデコード、XML言語からテキストデータへの変換など)、書式(下線を付す、四角枠で囲むなど)、フォントの指定(フォントサイズ、太字、斜体、文字色の指定など)、該当データ(複数の入力データを取得する場合は取得対象データ)の削除などを指す。
【0049】
また、「A3.使用対象となる入力装置」は、入力装置の識別コードや入力装置が接続される入力ポートなどを指し、図4に示した情報201に相当する。また、「A4.取得対象となる入力データ」は、入力装置から複数の入力データが入力された場合に、取得対象となる入力データを特定する情報を指す。例えば、全入力データの何文字目から何文字目までの情報、タグが付された情報、予め用意されたテーブル内に登録されている情報などである。
【0050】
また、「A5.入力データ以外の所定情報の挿入」は、予め用意された情報や日時情報の挿入を指し、図4に示した情報205に相当する。なお、所定情報として連続番号(挿入ごとに、1ずつインクリメントされて挿入される数字や文字)を挿入しても良い。また、「A6.フォーマットの結合」は、フォーマットの結合の有無およびその結合パターンを指し、図4に示した情報206に相当する。結合パターンとしては、例えば、上下の結合、左右の結合、マトリクス状の結合などが挙げられ、これら予め用意された幾つかの結合パターンの中からいずれか1の結合パターンを指示する。
【0051】
また、「A7.フォーマットの選択方法」は、A1に示した例のように使用対象となるフォーマットを直接指示しない場合、フォーマットを自動選択させる方法を指す。フォーマットを自動選択させる方法としては、無作為選択、順序性に従った選択(フォーマットID順など)が挙げられる。また、「A8.印刷データ生成処理の繰返し条件」は、印刷データを繰り返す(クーポン等を複数枚連続して発行する)ための条件を指す。印刷データ生成処理を繰り返す例としては、入力データに取得対象データが複数個含まれる場合にそのデータ数だけクーポンを発行する、取得対象データが所定の基準を満たす場合に複数枚のクーポンを発行する、などが挙げられる。これらの場合、繰返し条件は、「複数の取得対象データを取得したこと」、「取得対象データが所定の基準を満たすこと」となる。また、印刷データの生成ごとに異なるフォーマットを取得しても良い。つまり、取得した入力データに応じて、フォーマットの取得と印刷データの生成を複数回繰り返しても良い。
【0052】
以上説明したとおり、本実施形態の印刷システムSYは、プリンター10内に、使用対象となるフォーマットの所在等を指示するための指示情報を記憶しておくため、外部のサーバー等から適宜フォーマットを取得する。これにより、全てのフォーマットを必ずしもプリンター10内部に記憶しておく必要がないため、フォーマットDB17の記憶容量を小型化できる。また、プリンター10内に記憶される指示情報の書き換えによって、入力データの編集内容やフォーマットの結合パターンを可変するため、パーソナルコンピューターなどのホスト装置がなくても、多様な印刷を行うことができる。また、指示情報によって指示されたフォーマットの所在からはレンダリング処理済みのフォーマットを取得するため、レンダリング処理に要する処理負荷を軽減できる。さらに、入力データの取得に伴って印刷データを生成するため、印刷開始を指示するための印刷指示手段が不要となり、ユーザーの手間を軽減できる。
【0053】
なお、上記の実施形態では、本発明をプリンター10で実現する場合について例示したが(図1参照)、図7に示すように、プリンター70に接続可能な印刷制御装置60によって実現しても良い。この場合、印刷制御装置60は、印刷制御装置側I/F68およびプリンター側I/F71を介して、プリンター70と接続される。また、周辺機器21,22、指示情報書き換え用PC30およびサーバー40,50も、印刷制御装置60に接続される。一方、プリンター70は、プリンター側I/F71を介して印刷データを取得し、印刷制御部72により印刷機構73を制御する。なお、図7において、符号61〜67,69は、図1の符号11〜17,19として機能する。このように、本発明を印刷制御装置60によって実現することで、新たなプリンター70を導入したりプリンター70に変更を加えたりすることなく、印刷処理のカスタマイズを低コストで実現できる。
【0054】
また、図8に示すように、印刷制御装置60を、プリンター本体90に着脱可能なインターフェースボード80として構成しても良い。この場合、インターフェースボード80とプリンター本体90とによって、プリンター100が構成される。また、インターフェースボード80内の符号81〜87,89は、図1の符号11〜17,19として機能する。また、プリンター本体90の符号91〜93は、図7の符号71〜73として機能する。このように、本発明をプリンター本体90に着脱可能なインターフェースボード80によって実現することで、印刷制御装置60の設置場所が不要となり、省スペース化を図ることができる。
【0055】
また、上記の実施形態で示したプリンター10(印刷制御装置60、インターフェースボード80)の機能を、会計レシート印刷用のレシートプリンターに搭載しても良い。一般に、レシートプリンターは、ホスト装置(POS(Point Of Sales)端末)から印刷データを取得して会計レシートを印刷する。したがって、本発明の機能を搭載したレシートプリンターは、ホスト装置から印刷データを取得した場合、会計レシートを印刷し、入力装置から入力データを取得した場合、指示情報に基づいてクーポン等を発行する、といった構成となる。
【0056】
さらに、上記のレシートプリンターに、バーコードリーダー21によって読み取った商品バーコードをホスト装置に転送する機能を追加しても良い。この場合、ホスト装置は、レシートプリンターから転送された商品バーコードに基づいて、会計レシートを発行するための印刷データを生成し、レシートプリンターに返信する。レシートプリンターは、返信された印刷データに基づいて会計レシートを印刷すると共に、取得した商品バーコードを入力データとしてクーポンを発行する。さらに変形例としては、ホスト装置を入力装置とみなし、会計レシートに含まれる情報(顧客氏名、会員番号、会計金額など)を取得対象データとして取得することにより、クーポンを発行しても良い。
【0057】
また、上記に示した印刷システムSY(プリンター10、印刷制御装置60、インターフェースボード80)の各構成要素をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを印刷システムSYの各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれる。
【0058】
また、上記の実施形態では、小売店に導入される印刷システムSYを例示したが、小売店以外の環境で用いても良い。また、入力装置としても、RFID(Radio Frequency Identification)読み取り装置や、スキャナー装置、キーボード装置など、他の情報入力装置を用いても良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
10…プリンター 11…第1通信部 12…第2通信部 13…CPU 14…RAM 15…フラッシュROM 15a…記憶領域 17…フォーマットDB 18…印刷機構 19…バス 21…バーコードリーダー 22…磁気カードリーダー 40…フォーマットサーバー 50…XMLサーバー 60…印刷制御装置 70…プリンター 72…印刷制御部 73…印刷機構 80…インターフェースボード 90…プリンター本体 100…プリンター NT…ネットワーク SY…印刷システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーマットを用いて印刷データを生成し、印刷を行うプリンターであって、
使用対象となる前記フォーマットの所在を指示する指示情報を取得する指示情報取得部と、
前記指示情報を記憶しておくための指示情報記憶部と、
入力装置によって入力された入力データを取得する入力データ取得部と、
前記入力データを取得したとき、前記指示情報記憶部に記憶されている前記指示情報に従って、使用対象となる前記フォーマットの所在から、レンダリング処理済みの前記フォーマットを取得するフォーマット取得部と、
取得した前記フォーマットに、前記入力データを挿入することで、印刷データを生成する印刷データ生成部と、
生成した前記印刷データを印刷媒体に印刷する印刷部と、を備えたことを特徴とするプリンター。
【請求項2】
前記指示情報は、テキストデータであることを特徴とする請求項1に記載のプリンター。
【請求項3】
前記指示情報は、前記入力データの編集内容を指示する情報を含み、
前記印刷データ生成部は、前記指示情報に従って前記入力データを編集し、前記印刷データを生成することを特徴とする請求項1または2に記載のプリンター。
【請求項4】
前記入力装置が複数台接続されている場合、
前記指示情報は、使用対象となる前記入力装置を指示する情報を含み、
前記入力データ取得部は、前記指示情報記憶部に記憶されている前記指示情報によって指示された前記入力装置から前記入力データを取得することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプリンター。
【請求項5】
前記入力装置が、複数種類の入力データを入力可能である場合、
前記指示情報は、前記複数種類の入力データの中から、取得対象となる入力データを指示する情報を含み、
前記入力データ取得部は、入力された複数種類の入力データの中から、前記指示情報記憶部に記憶されている前記指示情報によって指示された前記入力データを抽出して取得することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプリンター。
【請求項6】
前記指示情報は、前記フォーマットの結合、前記フォーマットの選択方法、前記入力データ以外の所定情報の挿入、印刷データ生成処理の繰返し条件、のうち、少なくとも1を指示するための情報を含み、
前記フォーマット取得部および前記印刷データ生成部は、前記指示情報に従って、前記フォーマットの取得および前記印刷データの生成を行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプリンター。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のプリンターにおける前記指示情報取得部、前記指示情報記憶部、前記入力データ取得部、前記フォーマット取得部および前記印刷データ生成部を備え、前記印刷部を備えたプリンター本体に接続されて用いられることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項8】
フォーマットを用いて印刷データを生成し、印刷を行うプリンターの印刷制御方法であって、
前記プリンターが、
使用対象となる前記フォーマットの所在を指示する指示情報を取得し、当該指示情報を指示情報記憶部に記憶しておくステップと、
入力装置によって入力された入力データを取得するステップと、
前記入力データを取得したとき、前記指示情報記憶部に記憶されている前記指示情報に従って、使用対象となる前記フォーマットの所在から、レンダリング処理済みの前記フォーマットを取得するステップと、
取得した前記フォーマットに、前記入力データを挿入することで、印刷データを生成するステップと、
生成した前記印刷データを印刷媒体に印刷するステップと、を実行することを特徴とするプリンターの印刷制御方法。
【請求項9】
コンピューターに、請求項8に記載のプリンターの印刷制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−76393(P2012−76393A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224689(P2010−224689)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】