説明

プリンター装置の制御方法

【課題】印刷媒体の印刷対象面にかかるテンション変動を軽減させて印刷画質の向上を図る。
【解決手段】この制御方法は、印刷媒体Mの搬送方向と直交して延び、上下方向に移動自在なテンションバー91、121と、印刷媒体Mの弛みに応じて前記テンションバーの自重により下方に移動して前記テンションバーを印刷媒体Mの中途部内側に抱持させて屈曲させるテンション付与手段90、120と、前記テンションバーの位置を検出する位置検出手段94、124とを有するプリンター装置Pにおいて、コントロールユニット70が、メディア移動機構30によって印刷媒体Mを搬送する工程と、前記位置検出手段によって印刷媒体Mの搬送に伴う前記テンションバーの位置変化を検知する工程と、位置変化した前記テンションバーを予め設定された所定位置に戻すように供給軸83および巻取り軸113を回転させる工程とを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の印刷媒体の印刷対象面にインクを噴射して所望の文字や図形等を印刷するプリンター装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の印刷媒体に対して印刷加工を行うプリンター装置として、印刷加工前の印刷媒体を繰出し機構から印刷媒体を支持するプラテンへ向けて繰出し、装置本体において多数のノズルが形成されたプリンタヘッドをプラテン上に支持された印刷媒体に対して相対移動させながら印刷対象面にノズルからインクの微粒子を噴射して文字や図形、模様、写真等の印刷が行われる。そして、印刷加工が終了してプラテンから吐き出される印刷加工済みの印刷媒体が巻取り機構により巻取り軸の周囲にロール状に巻き取られるように構成されたプリンター装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このように構成されたプリンター装置では、例えば、巻取り機構による巻取り速度が装置本体からの吐出速度より小さく、印刷媒体のテンション(張力)が小さくなると、巻取り機構における印刷媒体の巻取りが緩んで巻取り軸の周囲に隙間や弛みなく整然とロール状に巻き取ることができなくなったり、あるいは、装置本体における吐出口で印刷媒体が浮いて印刷にズレや重なりが生じる。一方、巻取り速度が吐出速度より大きく、印刷媒体のテンションが大きくなると、印刷媒体が伸びたり裂けたりするといった問題がある。そのため、装置本体から巻取り機構へ搬送される印刷媒体に適度なテンションを継続して作用させることが必要である。なお、繰出し機構から装置本体へ搬送される印刷媒体においても適度なテンションを継続して作用させることが望まれる。
【0004】
これに対処し得る技術として、一端を中心に揺動可能なアームの他端にテンションローラを取り付け、このテンションローラを装置本体から巻取り機構に搬送される印刷媒体の中途部に当接させる技術が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。これによれば、印刷媒体はテンションローラおよびアームの重さにより下方に押圧されてテンションが発生するため、この状態を維持することによって搬送中の印刷媒体に適度なテンションを作用させ続けることができる。そして、テンションローラと印刷媒体との当接位置が所定の下部位置まで下がると、それに伴い下方に揺動したアームが巻取り機構の駆動部をONにして印刷媒体の巻取りを行い、逆にテンションローラと印刷媒体との当接位置が所定の上部位置まで上がると、それに伴い上方に揺動したアームが前記駆動部をOFFにして印刷媒体の巻取りを停止する。これにより、テンションローラと印刷媒体との当接位置が下がり過ぎたり上がり過ぎたりすることが回避され、結果的にテンションが適正値に維持されようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006‐240255号公報
【特許文献2】特開2003‐252501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように揺動可能なアームに支持されたテンションローラを印刷媒体の中途部に当接させ、テンションローラが所定の上下位置に移動した場合に巻取り/繰出し作動のON/OFF制御を行う構成では、搬送中の印刷媒体に適度なテンションを継続して作用させることは可能である。しかしながら、テンションローラが上部位置と下部位置との間で往復動するため、テンションローラの位置に応じてアームおよびテンションローラの慣性モーメントが変化し、それに伴い印刷媒体に加わるテンションが変動する。また、印刷媒体の巻取り/繰出し作動が断続的に行われるため、その巻取り/繰出し作動のON状態とOFF状態との切り替わり時に印刷媒体に加わるテンションが大きく変動する。そのため、印刷対象面が伸びたり縮んだりして印刷される文字や図形にズレや歪み等が生じるという問題があった。このように印刷媒体に加わるテンション変動が印刷画質の劣化を招く要因となっていた。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、印刷媒体の印刷対象面にかかるテンション変動を軽減させて印刷画質の向上を図ることができるプリンター装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るプリンター装置の制御方法は、印刷媒体をピンチローラと送りローラ間に挟み込んだ状態で前記送りローラを回動させることにより前記印刷媒体を搬送するメディア移動機構を用いて前記印刷媒体と前記印刷媒体にインクを噴射するプリンタヘッドとを相対移動させて前記印刷媒体に対して印刷加工を行う印刷機構と、供給軸の周囲にロール状に巻かれた印刷加工前の前記印刷媒体を前記印刷機構に向けて繰り出す繰出し機構と、前記印刷機構により印刷加工がなされた前記印刷媒体を巻取り軸周囲にロール状に巻き取る巻取り機構と、前記各機構の制御を行うコントロールユニットとを備えて構成されるプリンター装置の制御方法であって、前記繰出し機構および前記巻取り機構は、それぞれ、前記印刷媒体の搬送方向と直交する方向に横断して延びるテンションバーと、前記テンションバーを重力方向における上下方向に移動自在に保持する支持アームと、前記テンションバーが前記印刷媒体の弛みに応じて前記テンションバーの自重により下方に移動して前記テンションバーを前記印刷媒体の中途部内側に抱持させて前記印刷媒体を屈曲させるテンション付与手段と、前記テンションバーの位置を検出する位置検出手段とを有し、前記コントロールユニットが行う制御の工程として、前記メディア移動機構によって前記印刷媒体を搬送する工程と、前記位置検出手段によって前記印刷媒体の搬送に伴う前記テンションバーの位置変化を検知する工程と、位置変化した前記テンションバーを予め設定された所定の位置に戻すように前記供給軸および前記巻取り軸を回転させる工程とを有することを特徴とする。
【0009】
上記プリンター装置の制御方法において、前記コントロールユニットは、外部から供給される電力を前記コントロールユニットに供給するオン位置と、前記コントロールユニットへの電力供給を遮断するオフ位置とに選択的に切り換える電源スイッチを有し、前記コントロールユニットが行う制御の工程として、前記電源スイッチがオフ位置からオン位置へ操作されたことを検知すると、前記供給軸を反繰出し方向に回転させるとともに前記巻取り軸を巻取り方向に回転させる工程を有することが好ましい。
また、上記プリンター装置の制御方法において、前記支持アームは、前記テンションバーを重力方向における上下方向に揺動自在に保持し、前記位置検出手段は、前記支持アームが第1揺動位置に位置した状態を検出する第1位置センサおよび第2揺動位置に位置した状態を検出する第2位置センサと、前記支持アームの揺動軸の回転角度に応じてパルスを出力するロータリエンコーダとを有し、前記コントロールユニットが行う制御の工程として、前記供給軸および前記巻取り軸を回転駆動して前記テンションバーを前記第1揺動位置から前記第2揺動位置まで揺動する工程と、前記支持アームが前記第1揺動位置から前記第2揺動位置まで揺動した際に前記ロータリエンコーダにより出力されるパルスのカウント数を計測する工程と、前記第1揺動位置と前記第2揺動位置の間で前記所定の位置を設定する工程とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るプリンター装置の制御方法によれば、位置検出手段により検出される支持アームの揺動位置に基づいて、支持アームを予め設定された揺動範囲内に保持するように、繰出し機構の繰出し作動および巻取り機構の巻取り作動をそれぞれ制御するように構成されるので、搬送中の印刷媒体に当接するテンションバーの移動が規制されるため、印刷媒体に加わるテンション変動を軽減させることができる。また、印刷加工に伴って常時搬送される印刷媒体に応じて巻取り/繰出し作動が停止することなく継続的に行われるので、印刷媒体に加わるテンション変動が軽減される。そのため、印刷媒体の印刷対象面が伸びたり縮んだりして印刷される文字や図形にズレや歪み等が生じることを防ぎ、印刷画質の向上を図ることができる。
【0011】
なお、支持アームを第1揺動位置と第2揺動位置の中間位置に保持するように、繰出し機構の繰出し作動および巻取り機構の巻取り作動をそれぞれ制御するように構成すると、搬送中の印刷媒体に当接するテンションバーの位置が一定に保持されるため、印刷媒体に一定のテンションを常時作用させて印刷媒体の搬送精度を高め、印刷画質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用したプリンター装置を斜め前方から見た斜視図である。
【図2】上記プリンター装置を斜め後方から見た斜視図である。
【図3】上記プリンター装置を構成する装置本体の要部構成を示す正面図である。
【図4】上記プリンター装置において印刷媒体の搬送経路を示す概略側面図である。
【図5】上記プリンター装置を構成するメディア繰出し機構およびメディア巻取り機構の構成を示す概略構成図である。
【図6】上記プリンター装置を構成するメディア繰出し機構およびメディア巻取り機構の構成を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明を適用したプリンター装置Pを斜め前方から見た斜視図および斜め後方から見た斜視図をそれぞれ図1および図2に示すとともに、プリンター装置Pにおける装置本体1の要部構成を図3に示しており、まずこれらの図面を参照してプリンター装置Pの全体構成について説明する。なお、以下の説明において、図中に付記する矢印F,L,Uの指す方向をそれぞれ、前方,左方,上方と称して説明する。
【0014】
プリンター装置Pは、例えば塩ビシートやターポリン、ポリエステルフィルム等のシート状の印刷媒体Mの印刷対象面に対して文字や図形等の印刷加工を行う横長矩形箱状の装置本体1と、この装置本体1を作業容易な高さ位置に支持する支持部2とからなり、支持部2を構成する左右の脚部2aの前後には、ロール状に巻かれた未加工状態(印刷加工前)の印刷媒体Mを装置本体1に繰り出すメディア繰出し機構3、および印刷が終了した印刷媒体Mを巻き取るメディア巻取り機構4が設けられている。
【0015】
装置本体1は、各機構の取り付けベースとなるボディ10と、印刷媒体Mを支持するプラテン20と、プラテン20に支持された印刷媒体Mを前後に移動させるメディア移動機構30と、プラテン20の上方に位置して左右に移動自在に支持されたキャレッジ40と、プラテン20に支持された印刷媒体Mに対してキャレッジ40を左右に相対移動させるキャレッジ移動機構50と、印刷媒体Mと所定ギャップでキャレッジ40に保持された複数のプリンタヘッド60と、メディア移動機構30による印刷媒体Mの前後移動、キャレッジ移動機構50によるキャレッジ40の左右移動、及びプリンタヘッド60の各ノズルからのインク噴射など、プリンター装置Pの各部の作動を制御するコントロールユニット70とから構成される。
【0016】
ボディ10は、プラテン20やメディア移動機構30の送りローラ等が設けられる下部フレーム11Lと、メディア移動機構30のローラアッセンブリやキャレッジ40の支持構造が設けられる上部フレーム11Uとからなる本体フレーム11を備え、上部フレーム11Uと下部フレーム11Lとの間に印刷媒体Mが前後に挿通可能な横長窓状のメディア挿通部15が形成される。ボディ10は、本体フレーム11の中央部を覆うフロントカバー13a及び左右を覆うサイドカバー13bに囲まれて全体として横長矩形の箱状に構成される。
【0017】
プラテン20は、ボディ10の左右中央部に位置してメディア挿通部15の前後にわたって設けられており、プリンタヘッド60が左右に移動して印刷を行うプリント部(印刷領域)に印刷媒体Mを水平に支持する支持面が形成されたメインプラテン22と、メインプラテン22から後方に延びてボディ10の後面側に設けられたリアプラテン21と、メインプラテン22から前方に延びてボディ10の前面側に設けられたフロントプラテン23とから構成される(図4参照)。リアプラテン21の後端側およびフロントプラテン23の前端側がそれぞれ滑らかな曲線を描いて下方に延び、メディア繰出し機構3から繰り出されてプラテン20に導入された印刷媒体Mが、リアプラテン21〜メインプラテン22〜フロントプラテン23の順に各上面を滑らかに移動した後、フロントプラテン23から吐き出されてメディア巻取り機構4に巻き取られる。
【0018】
メインプラテン22の支持面には、直径数ミリメートル程度の吸着孔が多数開口形成されるとともに、その下側に減圧室25が設けられて負圧に設定可能に構成されており(図4参照)、減圧室25を負圧にすることによりプリント部において印刷媒体Mを吸着保持し、プリント中に印刷媒体Mの位置がずれないようになっている。
【0019】
メディア移動機構30は、左右に延びる回動軸廻りに回動可能に設けられ上部周面がメインプラテン22の支持面に露出して配設された円筒状の送りローラ31と、送りローラ31を回転駆動するサーボモータ33と、送りローラ31の軸端に結合された従動プーリとサーボモータ33の軸端に結合された駆動プーリとの間に掛け渡されたタイミングベルト32と、各々前後に回動自在なピンチローラ36を有し送りローラ31の上方に左右所定間隔をおいて配設された複数のローラアッセンブリ35とから構成される。
【0020】
ローラアッセンブリ35は、ピンチローラ36を送りローラ31に弾性的に係合させたクランプ位置と、ピンチローラ36を送りローラ31の上方に離隔させたアンクランプ位置とに変位設定可能に構成され、ローラアッセンブリ35をクランプ位置に設定して印刷媒体Mを上下のローラ36,31間に挟み込んだ状態で、送りローラ31を回動させることにより印刷媒体Mが送りローラ31の回転角度に応じた送り量、すなわちコントロールユニット70からサーボモータ33に出力される駆動制御値に応じた送り量で前後に搬送される。
【0021】
上部フレーム11Uに、送りローラ31と平行に左右に延びてガイドレール45が取り付けられ、このガイドレール45にプリンタヘッドを保持するキャレッジ40が左右に移動自在に支持される。ガイドレール45は直動軸受の支持レールであり、このガイドレール45に嵌合されたスライドブロックにキャレッジ40が固定されて左右にスライド移動自在に支持され、キャレッジ移動機構50により左右に移動される。
【0022】
キャレッジ移動機構50は、ガイドレール45の左右の側端近傍に設けられた駆動プーリ51および従動プーリ52と、駆動プーリ51を回転駆動するサーボモータ53と、駆動プーリ51と従動プーリ52とに掛け渡された無端ベルト状のタイミングベルト55とからなり、キャレッジ40がタイミングベルト55に連結固定されて構成される。サーボモータ53の回転はコントロールユニット70により制御され、コントロールユニット70からサーボモータ53に出力される駆動制御値に応じた送り量でキャレッジ40が左右に移動される。
【0023】
プリンタヘッド60は、キャレッジ40の下面に印刷媒体Mと所定ギャップを隔てて設けられる。プリンタヘッド60の配置構成には種々の構成形態があり適宜な構成を用いることができるが、本実施形態では、各々微細なインク粒を噴射する多数のノズルが前後方向に直線状に整列したノズル列が二列平行に並んで形成されたプリンタヘッド60を、左右に4つ並べて計8列のノズル列を配置したヘッド構成を例示する。
【0024】
コントロールユニット70は、メディア移動機構30による印刷媒体Mの前後移動、キャレッジ移動機構50によるキャレッジ40の左右移動、プリンタヘッド60の各ノズルからのインク噴射、後述するメディア繰出し機構3による未加工状態の印刷媒体Mの繰出し作動やメディア巻取り機構4による印刷が終了した印刷媒体Mの巻取り作動など、プリンター装置Pの各部の作動を制御する制御装置である。コントロールユニット70は、メディア移動機構30による印刷媒体Mの前後移動と、キャレッジ移動機構50によるキャレッジ40の左右移動とを組み合わせて印刷媒体Mとプリンタヘッド60とを相対移動させ、プリンタヘッド60の各ノズルから印刷媒体Mにインクを噴射させて、加工プログラムに応じた文字や図形等の印刷加工を行う。
【0025】
コントロールユニット70は、ボディ10の右側上部に設けられており、ボディ前方から操作可能に配設された操作パネル75に、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ、設定する機能を選択するファンクションキー、実行内容を選択するジョグキー、選択内容を入力するエンターキーや設定を消去するクリアキーなどの各種操作ボタンを備えている。このため、オペレータが液晶ディスプレイの表示内容を確認しながらプリント条件を設定し、印刷加工を実行させることができるようになっている。
【0026】
コントロールユニット70の下方に位置して電源スイッチ5が設けられている。電源スイッチ5は、外部から供給される電力をコントロールユニット70に供給してプリンター装置Pを印刷可能な起動状態にするオン位置と、コントロールユニット70への電力供給を遮断してプリンター装置Pを停止状態にするオフ位置とに選択的に切り換えるスイッチであり、例えば、ワンプッシュごとにオン位置とオフ位置とに切り替わるオルタネートタイプのスイッチが用いられる。
【0027】
次に、未加工状態の印刷媒体Mを繰り出して装置本体1(プラテン20)に導入するメディア繰出し機構3、およびプラテン20上を滑らかに移動して印刷加工が終了した印刷媒体Mを巻き取るメディア巻取り機構4について、図4〜図6を参照して説明する。
【0028】
メディア繰出し機構3は、未加工状態の印刷媒体Mが周囲にロール状に巻かれた筒状の巻管81を回転自在かつ着脱可能に支持する支持手段80と、巻管81とプラテン20(リアプラテン21)との間の印刷媒体Mに搬送方向と反対の方向のテンション(張力)を付与するテンション付与手段90と、巻管81から供給される印刷媒体Mをリアプラテン21にスムーズに導くガイド手段100とから構成される。
【0029】
支持手段80は、左右の脚部2aの後側下方に配設される左右一対の箱状の本体部材82と、左右の本体部材82に架設され巻管81に抜き差し自在に挿通して巻管81と一体に回転される棒状の供給軸83と、左右の本体部材82内に配設され供給軸83の両端を回転自在かつ着脱自在に支持する左右一対の軸受け部84と、供給軸83を回転駆動するステッピングモータ85と、供給軸83の軸端に結合された従動プーリとステッピングモータ85の軸端に結合された駆動プーリとの間に掛け渡されたタイミングベルト86とから構成される。
【0030】
ステッピングモータ85は、その回転がコントロールユニット70により制御され、コントロールユニット70からステッピングモータ85に出力される駆動制御値に応じてタイミングベルト86を介して供給軸83を回動させる。供給軸83を巻管81内に挿通して左右の本体部材82(軸受け部84)間を略水平に左右に延びて支持された未加工状態の印刷媒体Mは、供給軸83の回転角度に応じた繰出し量、すなわちコントロールユニット70からステッピングモータ85に出力される駆動制御値に応じた繰出し量(繰出し速度)でリアプラテン21に向けて繰り出される。
【0031】
テンション付与手段90は、巻管81から繰り出されてプラテン20に導入される印刷媒体Mの中途部内側に左右に横断して抱持される円柱状のテンションバー91と、左右の本体部材82の外側面から左右に延びる揺動軸に基端部が支持され上下に揺動自在な左右一対の支持アーム92とからなり、左右の支持アーム92の先端部にテンションバー91の両端が回転自在に支持されて構成される。テンションバー91および左右の支持アーム92は、印刷媒体Mの巻管81からの繰出し量およびプラテン20への導入量(巻管81とリアプラテン21との間の印刷媒体Mの弛み)に応じて自重により下方に揺動し、テンションバー91を印刷媒体Mの内側に抱持させて印刷媒体Mを屈曲させ、テンションバー91とリアプラテン21との間の印刷媒体Mに対して搬送方向と反対の方向にテンションバー91の高さ位置、すなわち支持アーム92の揺動位置に応じたテンションを付与するようになっている。
【0032】
支持アーム92の基端部(揺動軸)には、ロータリエンコーダ93が設けられており、このロータリエンコーダ93により支持アーム92の揺動角度(揺動軸の回転角度)に応じたパルス信号がコントロールユニット70に出力される。また、支持アーム92には、支持アーム92の所定の揺動位置を検出するための位置センサ94が設けられており、この位置センサ94により支持アーム92が所定の揺動位置にあるか否かを示す信号がコントロールユニット70に出力される。
【0033】
位置センサ94は、本体部材82の外側面に支持アーム92と対向して設けられる透過型のフォトセンサ95、および支持アーム92の内側面(本体部材82と対向する面)から本体部材82に向って延びるプレート状の遮蔽板96から構成され、フォトセンサ95が遮蔽板96の有無を検出することで支持アーム92が所定の揺動位置にあるか否かを検出する。なお、本実施形態における位置センサ94では、支持アーム92が上揺動位置に位置した状態を検出する上フォトセンサ95a、および下揺動位置に位置した状態を検出する下フォトセンサ95bが本体部材82の外側面に配設されている。さらに、支持アーム92が上限揺動位置に位置した状態を検出する上限フォトセンサ95c、および下限揺動位置に位置した状態を検出する下限フォトセンサ95dの計4つのフォトセンサ95a〜95dが本体部材82の外側面に配設されている。
【0034】
ここで、上限揺動位置および下限揺動位置とは、支持アーム92(テンションバー91)が揺動によってプリンター装置Pの一部等と接触する直前の位置、すなわち接触によるテンションバー91の破損等の防止を考慮した揺動限界位置を意味しており、支持アーム92の揺動は上限揺動位置と下限揺動位置との間の範囲内に規制される。上揺動位置および下揺動位置は、この上限揺動位置と下限揺動位置との間の範囲内に任意に設定することが可能であり、本実施形態では、支持アーム92は上揺動位置と下揺動位置との中間揺動位置(以下、キープ位置と称する)に保持される(図6に示す(A)の状態)。なお、このキープ位置は、上下フォトセンサ95a,95bの配設位置を変更させることにより任意に設定可能である。
【0035】
ガイド手段100は、左右の脚部2aの後側上方(プラテン20とメディア繰出し機構3との間の位置)に後方に延びて配設される左右一対の支持部材101と、両端部が左右の支持部材101に支持されて左右に延びる円柱状のガイドバー102とから構成され、ガイドバー102をテンションバー91とリアプラテン21との間の印刷媒体Mの内側に左右に横断して当接させて印刷媒体Mの搬送方向を変えることにより、印刷媒体Mのリアプラテン21への導入角度を緩やかにし、巻管81からテンションバー91を介してリアプラテン21へ搬送される印刷媒体Mがリアプラテン21へスムーズに導入されるようになっている。
【0036】
メディア巻取り機構4は、基本的にメディア繰出し機構3と同様に構成され、印刷加工が終了した印刷媒体Mを周囲にロール状に巻かれる筒状の巻管111を回転自在かつ着脱可能に支持する支持手段110と、プラテン20(フロントプラテン23)と巻管111との間で印刷媒体Mに搬送方向のテンションを付与するテンション付与手段120と、フロントプラテン23から吐き出される印刷媒体Mを巻管111に導くガイド手段130とから構成される。
【0037】
支持手段110は、左右の脚部2aの前側下方に配設される左右一対の箱状の本体部材112と、左右の本体部材112に架設され巻管111に抜き差し自在に挿通して巻管111と一体に回転される棒状の巻取り軸113と、左右の本体部材112内に配設されて巻取り軸113の両端を回転自在かつ着脱自在に支持する左右一対の軸受け部114と、巻取り軸113を回転駆動するステッピングモータ115と、巻取り軸113の軸端に結合された従動プーリとステッピングモータ115の軸端に結合された駆動プーリとの間に掛け渡されたタイミングベルト116とから構成される。
【0038】
ステッピングモータ115は、その回転がコントロールユニット70により制御され、コントロールユニット70からステッピングモータ115に出力される駆動制御値に応じてタイミングベルト116を介して巻取り軸113を回動させる。印刷加工が終了してフロントプラテン23から吐き出される印刷媒体Mは、左右の本体部材112(軸受け部114)間を略水平に左右に延びて支持された巻管111の周囲に巻取り軸113の回転角度に応じた巻取り量、すなわちコントロールユニット70からステッピングモータ115に出力される駆動制御値に応じた巻取り量(巻取り速度)で巻き取られる。
【0039】
テンション付与手段120は、フロントプラテン23から吐き出されて巻管111に巻き取られる印刷媒体Mの中途部内側に左右に横断して抱持される円柱状のテンションバー121と、左右の本体部材112の外側面から左右に延びる揺動軸に基端部が支持され上下に揺動自在な左右一対の支持アーム122とからなり、左右の支持アーム122の先端部にテンションバー121の両端が回転自在に支持されて構成される。テンションバー121および左右の支持アーム122は、印刷媒体Mのフロントプラテン23からの吐出し量および巻管111への巻取り量(巻管111とフロントプラテン23との間の印刷媒体Mの弛み)に応じて自重により下方に揺動し、テンションバー121を印刷媒体Mの内側に抱持させて印刷媒体Mを屈曲させ、フロントプラテン23とテンションバー121との間の印刷媒体Mに対して搬送方向にテンションバー121の高さ位置、すなわち支持アーム122の揺動位置に応じたテンションを付与するようになっている。
【0040】
支持アーム122の基端部(揺動軸)には、ロータリエンコーダ123が設けられており、このロータリエンコーダ123により支持アーム122の揺動角度(揺動軸の回転角度)に応じたパルス信号がコントロールユニット70に出力される。また、支持アーム122には、支持アーム122の所定の揺動位置を検出するための位置センサ124が設けられており、この位置センサ124により支持アーム122が所定の揺動位置にあるか否かを示す信号がコントロールユニット70に出力される。なお、位置センサ124は、上記位置センサ94と同様に、本体部材112の外側面に支持アーム122と対向して設けられる4つのフォトセンサ125(上フォトセンサ125a、下フォトセンサ125b、上限フォトセンサ125cおよび下限フォトセンサ125d)、および支持アーム122の内側面(本体部材112と対向する面)から本体部材112に向って延びるプレート状の遮蔽板126から構成され、支持アーム122は上揺動位置と下揺動位置との中間揺動位置であるキープ位置(図6に示す(A)の状態)に保持される。
【0041】
ガイド手段130は、左右の脚部2aの前側上方(プラテン20とメディア巻取り機構4との間の位置)に前方に延びて配設される左右一対の支持部材131と、両端部が左右の支持部材131に支持されて左右に延びる円柱状のガイドバー132とから構成され、ガイドバー132をフロントプラテン23とテンションバー121との間の印刷媒体Mの内側に左右に横断して当接させて印刷媒体Mの搬送方向を変えることにより、テンションバー121により屈曲される印刷媒体Mの屈曲角度を緩やかにし、フロントプラテン23からテンションバー121を介して巻管111へ搬送される印刷媒体Mをスムーズに巻管111に巻き取ることができるようになっている。
【0042】
ここまでプリンター装置Pの構成について説明したが、以下においてプリンター装置Pにおける印刷作動、特に印刷媒体Mの搬送作動について説明する。
【0043】
まず、メディア繰出し機構3において、巻管81の周囲にロール状に巻かれた未加工状態の印刷媒体Mが、供給軸83を巻管81内に挿通して左右の本体部材82(軸受け部84)間を略水平に左右に延びて支持される。このように支持された印刷媒体Mは、テンションバー91およびガイドバー102の周囲に巻き掛けられてテンションバー91を抱持する形で屈曲され、さらにガイドバー102により搬送角度を変更されてリアプラテン21からプラテン20上に導入される。リアプラテン21から導入された印刷媒体Mは、リアプラテン21〜メインプラテン22〜フロントプラテン23の順に各上面を移動した後、フロントプラテン23から吐出される。
【0044】
フロントプラテン23から吐出されて延びる印刷媒体Mは、ガイドバー132およびテンションバー121の周囲に巻き掛けられてガイドバー132により搬送角度を変更され、さらにテンションバー121を捧持する形で屈曲され、巻取り軸113により左右の本体部材112(軸受け部114)間を略水平に左右に延びて支持された巻管111に取り付けて固定するとともに、電源スイッチ5がオフ位置からオン位置へ操作される。
【0045】
電源スイッチ5がオン位置へ操作されてプリンター装置Pが起動状態となると、コントロールユニット70により供給軸83(ステッピングモータ85)を反繰出し方向および巻取り軸113(ステッピングモータ115)を巻取り方向にそれぞれ回転駆動することで印刷媒体Mを巻き取り、印刷媒体Mの弛みを小さくするとともに支持アーム92,122を上方に揺動させ、上限フォトセンサ95c,125cにより遮蔽板96,126が検出されて支持アーム92,122がそれぞれ上限揺動位置に位置した状態(図6に示す(B)の状態)で供給軸83および巻取り軸113の回転駆動を停止させる。
【0046】
支持アーム92,122が上限揺動位置に位置すると、供給軸83を繰出し方向および巻取り軸113を反巻取り方向にそれぞれ回転駆動することで印刷媒体Mを繰出し、印刷媒体Mの弛みを大きくするとともに支持アーム92,122を下方に揺動させ、この下方への揺動途中において上フォトセンサ95a,125aにより遮蔽板96,126が検出されて支持アーム92,122が上揺動位置にそれぞれ位置する(このとき上フォトセンサ95a,125aの出力はONとなる)。さらに、供給軸83の繰出し方向および巻取り軸113の反巻取り方向への回転駆動を継続して支持アーム92,122を下方に揺動させ、上フォトセンサ95a,125aの出力がONからOFFになると同時にロータリエンコーダ93,123の出力パルスのカウントアップを開始し、下フォトセンサ95b,125bにより遮蔽板96,126が検出されて支持アーム92,122がそれぞれ下揺動位置に位置するまでの間に、ロータリエンコーダ93,123から出力された出力パルスのカウント数を計測する。また、支持アーム92,122がそれぞれ下揺動位置に位置した状態(図6に示す(C)の状態)で供給軸83および巻取り軸113の回転駆動を停止する。
【0047】
そして、支持アーム92,122が下揺動位置に位置した状態から、供給軸83を反繰出し方向および巻取り軸113を巻取り方向にそれぞれ回転駆動して印刷媒体Mを巻き取り、上記において計測された上揺動位置から下揺動位置までの間にロータリエンコーダ93,123により出力された各出力パルスの半分のカウント数だけ支持アーム92,122を上方にそれぞれ揺動させることで、支持アーム92,122が上揺動位置と下揺動位置との中間位置であるキープ位置にそれぞれ位置し(図6に示す(A)の状態)、プリンター装置Pが印刷可能な初期セット状態となる。例えば、上揺動位置から下揺動位置までの間に計測された出力パルスが100カウントである場合に、支持アームを下揺動位置から50カウントだけ上方に揺動させて支持アームをキープ位置に位置させる。
【0048】
プリンター装置Pが初期セット状態となると、装置本体1内では、印刷媒体Mが、ピンチローラ36と送りローラ31との間に挟み込まれた状態となり、送りローラ31の回転角度に応じた送り量でメインプラテン22上を搬送される。メインプラテン22上を搬送される際、送りローラ31の回動による印刷媒体Mの前後移動と、駆動プーリ51の回転によるキャレッジ40(プリンタヘッド60)の左右移動とを組み合わせて印刷媒体Mとプリンタヘッド60とを相対移動させながら、プリンタヘッド60の各ノズルから印刷媒体Mにインクが噴射されて加工プログラムに応じた文字や図形等の印刷加工がなされる。なお、送りローラ31による印刷媒体Mの送り量は、上述したようにコントロールユニット70からサーボモータ33に出力される駆動制御値により制御され、この駆動制御値はプリンタヘッド60(キャレッジ40)の左右への移動速度、すなわち印刷すべき文字や図形等の加工プログラムに基づいて設定されている。
【0049】
このとき、送りローラ31による送り量に応じた未加工状態の印刷媒体Mがリアプラテン21から導入され、さらに印刷加工が終了した印刷媒体Mがフロントプラテン23から吐出される。その際、リアプラテン21への導入量に応じて巻管81とリアプラテン21との間の印刷媒体Mの弛みが小さくなり、それに伴い支持アーム92がキープ位置に位置した状態から上方に揺動する。一方、フロントプラテン23からの吐出量に応じてフロントプラテン23と巻管111との間の印刷媒体Mの弛みが大きくなり、それに伴い支持アーム122がキープ位置に位置した状態から下方に揺動する。また、ロータリエンコーダ93,123により支持アーム92,122のキープ位置からの移動量(揺動角度)に応じた各パルス信号がコントロールユニット70に常時出力される。
【0050】
コントロールユニット70では、ロータリエンコーダ93により支持アーム92のキープ位置から上方への移動量に応じたパルス信号が入力されると、この入力パルスのカウント数分だけ支持アーム92を下方に揺動させるように、供給軸83(ステッピングモータ85)を繰出し方向に回転駆動して巻管81から印刷媒体Mを繰り出し、支持アーム92をキープ位置に保持する。また、ロータリエンコーダ123により支持アーム122のキープ位置から下方への移動量に応じたパルス信号が入力されると、この入力パルスのカウント数分だけ支持アーム122を上方に揺動させるように、巻取り軸113(ステッピングモータ115)を巻取り方向に回転駆動して巻管111に印刷媒体Mを巻取り、支持アーム122をキープ位置に保持する。なお、支持アーム92,122をキープ位置に保持するため、印刷加工に伴って常時搬送される印刷媒体Mに応じて、巻管81からの繰出し作動および巻管111への巻取り作動は停止することなく継続的に行われる。
【0051】
このようにプリンター装置Pでは、ロータリエンコーダ93,123から出力される支持アーム92,122のキープ位置からの移動量(揺動角度)に応じた各パルス信号に基づいて、支持アーム92,122をキープ位置に保持するように印刷媒体Mを巻管81から繰り出す又は巻管111へ巻き取ることで、プラテン20上での印刷加工(送りローラ31による送り量)に伴うリアプラテン21への導入量に応じた繰出し量で巻管81から未加工状態の印刷媒体Mを繰り出すことができ、さらにフロントプラテン23からの吐出量に応じた巻取り量で巻管111へ印刷が終了した印刷媒体Mを巻き取ることができる。
【0052】
以上のように、本発明を適用したプリンター装置Pによれば、位置センサ94,124(上フォトセンサ95a,125a、下フォトセンサ95b,125bおよび遮蔽板96,126)およびロータリエンコーダ93,123により検出される支持アーム92,122の揺動位置に基づいて、コントロールユニット70により印刷媒体Mのメディア繰出し機構3による繰出し量およびメディア巻取り機構4による巻取り量をそれぞれ制御し、支持アーム92,122の揺動位置を上揺動位置と下揺動位置との間の範囲内に保持するように構成されるので、搬送中の印刷媒体Mに当接するテンションバー91,121の移動が規制されるため、印刷媒体Mに加わるテンション変動を軽減させることができる。また、印刷加工に伴って常時搬送される印刷媒体Mに応じて巻取り/繰出し作動が停止することなく継続的に行われるので、印刷媒体Mに加わるテンション変動が軽減される。そのため、印刷媒体Mの印刷対象面が伸びたり縮んだりして印刷される文字や図形にズレや歪み等が生じることを防ぎ、印刷画質の向上を図ることができる。
【0053】
さらに、コントロールユニット70により印刷媒体Mのメディア繰出し機構3による繰出し量およびメディア巻取り機構4による巻取り量をそれぞれ制御し、支持アーム92,122の揺動位置を上揺動位置と下揺動位置との中間位置であるキープ位置に保持するように構成されるので、搬送中の印刷媒体Mに当接するテンションバー91,121の位置を一定に保持されるため、印刷媒体Mに一定のテンションを常時作用させて印刷媒体Mの搬送精度を高め、印刷画質の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0054】
M 印刷媒体
P プリンター装置
1 装置本体
3 メディア繰出し機構(繰出し機構)
4 メディア巻取り機構(巻取り機構)
20 プラテン
30 メディア移動機構(印刷機構)
40 キャレッジ(印刷機構)
50 キャレッジ移動機構(印刷機構)
60 プリンタヘッド
70 コントロールユニット(印刷機構、制御手段)
90,120 テンション付与手段
91,121 テンションバー
92,122 支持アーム
93,123 ロータリエンコーダ
94,124 位置センサ(位置検出手段)
95,125 フォトセンサ
95a,125a 上フォトセンサ(第1位置センサ、もしくは第2位置センサ)
95b,125b 下フォトセンサ(第1位置センサ、もしくは第2位置センサ)
96,126 遮蔽板
113 巻取り軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体をピンチローラと送りローラ間に挟み込んだ状態で前記送りローラを回動させることにより前記印刷媒体を搬送するメディア移動機構を用いて前記印刷媒体と前記印刷媒体にインクを噴射するプリンタヘッドとを相対移動させて前記印刷媒体に対して印刷加工を行う印刷機構と、供給軸の周囲にロール状に巻かれた印刷加工前の前記印刷媒体を前記印刷機構に向けて繰り出す繰出し機構と、前記印刷機構により印刷加工がなされた前記印刷媒体を巻取り軸周囲にロール状に巻き取る巻取り機構と、前記各機構の制御を行うコントロールユニットとを備えて構成されるプリンター装置の制御方法であって、
前記繰出し機構および前記巻取り機構は、それぞれ、前記印刷媒体の搬送方向と直交する方向に横断して延びるテンションバーと、前記テンションバーを重力方向における上下方向に移動自在に保持する支持アームと、前記テンションバーが前記印刷媒体の弛みに応じて前記テンションバーの自重により下方に移動して前記テンションバーを前記印刷媒体の中途部内側に抱持させて前記印刷媒体を屈曲させるテンション付与手段と、前記テンションバーの位置を検出する位置検出手段とを有し、
前記コントロールユニットが行う制御の工程として、前記メディア移動機構によって前記印刷媒体を搬送する工程と、前記位置検出手段によって前記印刷媒体の搬送に伴う前記テンションバーの位置変化を検知する工程と、位置変化した前記テンションバーを予め設定された所定の位置に戻すように前記供給軸および前記巻取り軸を回転させる工程とを有することを特徴とするプリンター装置の制御方法。
【請求項2】
前記コントロールユニットは、外部から供給される電力を前記コントロールユニットに供給するオン位置と、前記コントロールユニットへの電力供給を遮断するオフ位置とに選択的に切り換える電源スイッチを有し、
前記コントロールユニットが行う制御の工程として、前記電源スイッチがオフ位置からオン位置へ操作されたことを検知すると、前記供給軸を反繰出し方向に回転させるとともに前記巻取り軸を巻取り方向に回転させる工程を有することを特徴とする請求項1に記載のプリンター装置の制御方法。
【請求項3】
前記支持アームは、前記テンションバーを重力方向における上下方向に揺動自在に保持し、
前記位置検出手段は、前記支持アームが第1揺動位置に位置した状態を検出する第1位置センサおよび第2揺動位置に位置した状態を検出する第2位置センサと、前記支持アームの揺動軸の回転角度に応じてパルスを出力するロータリエンコーダとを有し、
前記コントロールユニットが行う制御の工程として、前記供給軸および前記巻取り軸を回転駆動して前記テンションバーを前記第1揺動位置から前記第2揺動位置まで揺動する工程と、前記支持アームが前記第1揺動位置から前記第2揺動位置まで揺動した際に前記ロータリエンコーダにより出力されるパルスのカウント数を計測する工程と、前記第1揺動位置と前記第2揺動位置の間で前記所定の位置を設定する工程とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプリンター装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−254887(P2012−254887A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−190884(P2012−190884)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【分割の表示】特願2007−323759(P2007−323759)の分割
【原出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】