プリンタ装置
【課題】 請求書やダイレクトメールなどのデータベースに蓄積されたデータを、一定のフォーマットで大量に印刷を行う印刷業務に対して、印刷後の仕分けを容易に行うプリンタ装置を提供する。
【解決手段】 複数の排紙トレイを有するプリンタ装置において、比較用ページイメージを事前に登録し、登録されたページイメージに対して特定の領域を比較領域として設定し、印刷データ各ページに対して、比較領域と同一位置に展開されるビットマップの比較を行い、不一致が発生した場合にそのページ以降の排紙先を変更し、登録されている比較用ページデータを不一致が発生したページデータと置き換えて後続ページとの比較を行う機能を有する。
【解決手段】 複数の排紙トレイを有するプリンタ装置において、比較用ページイメージを事前に登録し、登録されたページイメージに対して特定の領域を比較領域として設定し、印刷データ各ページに対して、比較領域と同一位置に展開されるビットマップの比較を行い、不一致が発生した場合にそのページ以降の排紙先を変更し、登録されている比較用ページデータを不一致が発生したページデータと置き換えて後続ページとの比較を行う機能を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の排紙トレイを持ち、排紙トレイ自動切り替え機能を有するプリンタにおいては、大量連続印刷時、排紙中の排紙トレイが満杯になると、他の排紙トレイに排紙先を自動的に切り替え、印刷を停止すること無しに、連続印刷を可能とする機能を有している。
【0003】
また、複数の排紙トレイを持ち、排紙トレイ切り替え機能を有するプリンタにおいては、印刷データに付加された排紙トレイ指定データを元に排紙先を変更する機能を有しており、排紙トレイを変更することで、印刷後の仕分け作業を軽減することが可能である。
【0004】
しかしながら、ユーザは、印刷データ全ページの内容を把握し、その中のどのページをどの排紙トレイに出力するかを判断し且つ明示しなければならない。
【0005】
例えば、プリンタドライバの排紙先設定機能を使用して各ページの排紙先を明示的に指定する、あるいは印刷ページ全体のプレビュー画面で排紙トレイ属性を指定することが一般的である(特許文献1、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
請求書やダイレクトメールなどの、データベースに蓄積されたデータを一定のフォーマットで大量に印刷を行う印刷業務においては、排紙トレイ満杯時に自動的に他の使用可能な排紙トレイに排紙先を切り替え、印刷を停止すること無しに、継続して印刷する機能が使用されているが、印刷後、宛先欄に印刷される郵便番号などにより印刷物を仕分けする要求がある。
【0007】
印刷物の仕分け手段としては、印刷データに排紙トレイ指定情報を付加する前記した手段があるが、各ページに対して排紙トレイを明示することは印刷すべきページ数が少ない場合にのみ実施可能である。また、同一排紙先に大量の出力があり満杯になってしまう場合や、排紙トレイに十分な用量が確保されているが仕分け数より排紙トレイ数が少ない場合に対応できない。
【0008】
本発明は、請求書やダイレクトメールなどのデータベースに蓄積されたデータを、一定のフォーマットで大量に印刷を行う印刷業務に対して、印刷後の仕分けを容易に行うプリンタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、複数の排紙トレイを有するプリンタ装置において、比較用ページイメージを事前に登録し、登録されたページイメージに対して特定の領域を比較領域として設定し、印刷データ各ページに対して、比較領域と同一位置に展開されるビットマップの比較を行い、不一致が発生した場合にそのページ以降の排紙先を変更し、登録されている比較用ページデータを不一致が発生したページデータと置き換えて後続ページとの比較を行う機能を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、請求書やダイレクトメールなどのデータベース等に蓄積されたデータを一定のフォーマットで大量に印刷を行う印刷業務において、排紙トレイ満杯時に自動切換えして印刷する機能使用時であっても、容易に指定の位置で排紙トレイを切り替えすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係わるプリンタ装置、及び、印刷データを生成するデータベースアプリケーションを含むホストシステムのネットワーク接続構成を示す図である。
【図2】一般的なデータベースに登録されている請求書印刷業務におけるデータの一例を示す図である。
【図3】一般的なデータベースに登録されている請求書印刷業務におけるデータの一例を示す図である。
【図4】印刷時の出力例を示す図である。
【図5】本発明のプリンタ装置の概略構成図である。
【図6】比較用ページデータ登録処理に関する操作概略フローチャートである。
【図7】プリンタ装置内での比較用ページデータ登録処理制御に関する概略フローチャートである。
【図8】印刷モード切替設定画面の一例を示す図である。
【図9】専用アプリケーションによる登録済み比較用ページデータ表示例を示す図である。
【図10】Webブラウザによる登録済み比較用ページデータ表示例を示す図である。
【図11】比較対照領域の選択画面例を示す図である。
【図12】プリンタ操作パネルでの選択画面例を示す図である。
【図13】プリンタ内での排紙トレイ切り替え印刷処理概略フローチャートである。
【図14】プリンタ制御部概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を以下に説明する。
【0013】
図1に本実施形態に係わるプリンタ装置、及び、印刷データを生成するデータベースアプリケーションを含むホストシステムのネットワーク接続構成を示す。
【0014】
図1において、ホストシステム100は、データベースアプリケーション101と、それが管理するデータベースデータ102およびフォームデータ103を含む一般的なデータベースシステムを意味する。
【0015】
ユーザが、ホストシステム100とネットワークを介して接続されているクライアントPC105から、ホストシステム100に対して印刷指示を行うと、ホストシステム100内のデータベースアプリケーション101は、予めホストシステム100内に登録されているフォームデータ103を取り出し、また、データベースデータ102として蓄積されていたデータをレコード単位で取り出す。そして、レコード内のデータをフォームデータ103上の所定位置に展開して一時的に電子原稿を作成する。データベースアプリケーション101は、作成した一時的な電子原稿を、プリンタドライバ104に送信する。
【0016】
プリンタドライバ104は、受信した電子原稿を、プリンタ106が認識可能なコード群で構成される印刷データとして生成し、プリンタ106に印刷データを送信する。印刷データを受信したプリンタ106は、受信した印刷データに記載されている指示に従い、画像を描画し印刷出力を行う。
【0017】
以上のようなフローで、データベースアプリケーション101から印刷を行うダイレクトメール印刷業務や請求書印刷業務を考えた場合、1宛先を1レコードとし、レコード内には顧客氏名、顧客住所、顧客郵便番号などの宛先情報データが必ず含まれる。
【0018】
図2および図3は一般的なデータベースに登録されている請求書印刷業務におけるデータの一例を示す図、図4は印刷時の出力例を示す図である。
【0019】
図2に示すように、1宛先を1レコードとし、レコード内には、顧客氏名、顧客住所、顧客郵便番号などの宛先情報データが含まれる。
【0020】
また図3に示すように、顧客管理番号をキーに、請求情報データベースが作成されている。これらの情報に基き、請求書印刷時には、各顧客の宛先情報とその顧客に関連する請求情報を併せ、フォームデータ103として定義されている特定のフォーマットに従って各情報を配置、印刷出力する。
【0021】
一般に、印刷すべきデータは、図4に示すような宛先情報などの固定データ持っており、宛先情報は、同一帳票では用紙の同じ位置に印刷される。
【0022】
<比較用ページデータの登録>
図5は本発明のプリンタ装置の概略構成図、図6は比較用ページデータ登録処理に関する操作概略フローチャート、図7は、プリンタ内での比較用ページデータ登録処理制御に関する概略フローチャートである。
【0023】
データベースアプリケーション101からの本番業務印刷の前に、予め比較用ページデータをプリンタ106に登録する。比較用データは、1ページ分の印刷データをプリンタに送信することにより行う。
【0024】
比較用ページデータとして登録するデータは、一般的なデータベースアプリケーションがその機能として有しているテスト印刷機能を使用することで送信できる。あるいは、1ページ分のダミーデータを作成し印刷することでもよい。データベース内の適当なレコードの宛先を含んだページを送信することでもよい。
【0025】
比較用ページデータ登録は、プリンタ106に対し、比較用ページデータ登録モード設定(S601)を行い、ホストシステムより比較用ページデータをプリンタへ送信し(S602)、プリンタの比較用ページデータの登録処理を実行し(S603)、比較用ページデータ登録モードの解除(S604)の手順で実行する。
【0026】
ここで、比較用ページデータ登録モード設定(S601)は、これから送信するデータが通常の印刷データではなく、比較用ページデータであることをプリンタ106に認知させるための手続きである。
【0027】
プリンタの操作パネル501を介して、比較用ページデータ受信モードと通常印刷モードを切り替える手段を提供することで、プリンタに対する指示を行う。
【0028】
図8は、印刷モード切替設定画面の一例を示す図である。
【0029】
プリンタドライバの設定により、印刷データに比較データ登録属性を付与することで、操作パネルでの設定手続に代替することも可能である。
【0030】
また、プリンタが接続されているネットワークを経由して、受信モードを切り替える、例えば、プリンタが提供するWebサーバ機能や専用アプリケーションによる設定変更手段で代替することも可能である。
【0031】
更には、プリンタが複数のデータ受信用ネットワークポートを有し、一方を通常印刷用、他方を比較データ登録用とすることで、プリンタへのデータ送信時にポートを選択することでも実現できる。
【0032】
プリンタは、データを受信した場合、比較用ページデータ登録モードか否かを判断し(S701)、比較用ページデータ登録モードが設定されていた場合は、受信したデータを通常の印刷処理を行わずに解析・展開(S702)し、印刷用のビットマップデータと同等のビットマップデータを比較用ページデータとして作成する。作成した比較用ページデータは、比較用ページデータ保存用の記憶領域に保存する(S703)。
【0033】
比較用ページデータ保存領域には、複数のデータが保管されることを考慮し、それぞれのデータにIDまたは名称などの識別子を付与する。識別子は、プリンタドライバで作成したデータに予め付与されていることが望ましいが、プリンタ側で受信順に番号を付与することでも対応可能である。
【0034】
プリンタに比較用ページデータを送信後、ユーザはクライアントPCを介してプリンタ内に登録された比較用ページデータの中で、比較対照とする領域の設定(S603)を行う。
【0035】
ここで、プリンタは、登録済みの比較用ページデータのデジタル画像を、ネットワーク経由でクライアントPCの画面に表示する機能を提供すべく、専用アプリケーション或いはWebブラウザ用Webサーバ等を有する。
【0036】
図9は専用アプリケーションによる登録済み比較用ページデータ表示例を示す図、図10はWebブラウザによる登録済み比較用ページデータ表示例を示す図である。
【0037】
いずれの場合も、複数の比較用ページデータが登録されることを考慮し、登録ファイルの一覧を表示し、いずれか1個のファイルを選択して電子画像としてビットマップ表示する機能を提供する。
【0038】
次に、ユーザに比較対照領域を指定させるキーワード指定機能について記載する。
【0039】
図11は、比較対照領域の選択画面例を示す図である。
【0040】
表示された登録済みページデータの画像に対して、その一部領域を選択し、その選択範囲に関する情報をプリンタに登録する。
【0041】
キーワード1101は、排紙トレイ切り替え処理を実行するか否かを判別するためのキーワードとなるビットマップイメージである。
【0042】
領域の選択にあたっては、使い勝手を考慮し、一般的なイメージ編集アプリケーションにおける四角形描画と同様の手続き、具体的には、マウス等による始点終点の選択による描画が望ましい。選択した領域は図11に示すように、四角形の枠線によりページ全体のビットマップ内に明示する。
【0043】
この領域選択方法によれば、電子画像に対する領域指定であるため、プリンタは、選択された領域のページ全体における位置を正確に認識することが可能である。領域確定後は、その情報を比較用ページデータの属性として保管する。
【0044】
<比較用ページデータの選択>
本番印刷業務を実行する前に、登録してある比較用ページデータの選択を行う。なお、比較用ページデータが選択されない場合は、比較を行わない、言い換えれば、排紙トレイ切り替え制御処理無しに、通常通り印刷を行う。
【0045】
比較用ページデータの選択方法としては、プリンタ操作パネルからの選択、あるいは、ネットワークを介して専用アプリケーションあるいはWebブラウザにてプリンタの設定をすることで選択する。さらには、プリンタドライバの設定によりプリンタドライバによる印刷データ作成時に印刷データの属性情報として付与することも可能である。
【0046】
図12は、プリンタ操作パネルでの選択画面例を示す図である。
【0047】
<本番印刷業務>
以上で排紙トレイ切り替えに係わる事前準備が完了し、本番印刷業務での処理を実行する。
【0048】
図13はプリンタ装置内での排紙トレイ切り替え印刷処理概略フローチャート、図14はプリンタ制御部の概念図である。
【0049】
ユーザが仕分けのための排紙トレイ切り替えを意図して本番印刷業務を実行した場合について、図13、図14により説明する。
【0050】
プリンタは、データ受信部1501でクライアントPC105からの印刷データを受信すると、解析制御部1502にて比較用ページデータ指示の有無を確認し(S1401)、指定有りの場合は比較データ保管領域1503より選択されている比較用ページデータを専用メモリである比較データ展開領域1504に展開する(S1402)。
【0051】
入力ジョブの展開処理待ちデータが存在するか、言い換えれば印刷すべきデータが残っているか否かを確認し(S1403)、存在しない場合はジョブの終了とする。
【0052】
存在する場合、データ展開部1505にて1ページ分のデータをページデータ展開領域1506に展開し(S1404)、比較用ページデータ指示の有無を確認する(S1405)。比較用ページデータ指示が無い場合は、ページ印刷を行う(S1410)。
【0053】
比較用ページデータ指示がない場合は、本発明による排紙トレイ切り替え機能が搭載されていない場合と同等であり、満杯時の排紙トレイ切り替えのみが実行される。具体的には、プリンタの有する排紙トレイ使用の優先順位に基づき、例えば、排紙トレイ1(511)が最初に使用され、満杯時には排紙トレイ2(512)に自動切り替えがなされ、以降順次満杯時に排紙トレイ3,4,5,6(513,514,515,516)の順に使用される。排紙トレイの切り替えは満杯時のみ実行される。
【0054】
比較用ページデータ指示が有る場合、プリンタは、データ比較処理部1507において、比較用ページデータと入力ジョブのページデータの展開後のビットマップとについて、領域の比較を行う(S1406)。
【0055】
比較結果が不一致であった場合(S1407)、排紙トレイ切り替え処理制御部1508にて排紙トレイ切り替え処理を実行する(S1408)。
【0056】
排紙トレイ切り替え処理(S1408)の実行後、比較ページデータの入れ替え処理(S1409)を行う。領域指定の属性情報はそのままに、比較用データ展開領域1504に展開されているページデータのビットマップを削除し、ページデータ展開領域1506に展開されている入力ジョブのページデータのビットマップのコピーを、比較用データ展開領域1504に格納する。入れ替え完了後は、印刷データ処理部1509にてページデータ印刷処理(S1410)を実行しする。印刷時には通常の排紙トレイ満杯確認(S1411)および、満杯時の排紙トレイ切り替え処理(S1412)を実行し、次のページに対する処理を行うため入力ジョブの展開処理待ちデータの有無確認処理(S1403)に戻る。なお、比較用ページデータと入力ジョブのページデータのキーワード領域の比較(S1406)、(S1407)にて、一致の場合は、ページ印刷処理(S1410)を行う。
【0057】
以上のように、一定のフォーマットで大量に印刷を行う印刷業務において、印刷ページ全体のプレビューや事前の排紙トレイ切り替え指定することなしに、特定データの切り替わり目での排紙トレイ切り替えを可能とすることができる。
【0058】
上記例では、キーワード領域の比較結果として、不一致の場合に排紙トレイ切り替えする場合について説明したが、キーワードが一致した場合に排紙トレイ切り替えし、比較ページデータ入れ替え処理(S1409)を実行しないようにすることで、本番業務中のジョブにおいて、特定領域にある特定のキーワードが出現した場合に排紙トレイ切り替えすることも可能である。
【0059】
更には、キーワード設定を廃し、比較用ページデータのみを登録し、比較することで、特定のページが出現した場合に排紙トレイ切り替えすることも可能である。
【0060】
この場合、キーワードの登録処理が不要であるため、プリンタは、図11に示したようなプレビュー画面の表示機能は不要となる。
【符号の説明】
【0061】
100:ホストシステム、101:データベースアプリケーション、102:データベースデータ、103:フォームデータ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開平7−187490号公報
【特許文献2】特開平11−139676号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の排紙トレイを持ち、排紙トレイ自動切り替え機能を有するプリンタにおいては、大量連続印刷時、排紙中の排紙トレイが満杯になると、他の排紙トレイに排紙先を自動的に切り替え、印刷を停止すること無しに、連続印刷を可能とする機能を有している。
【0003】
また、複数の排紙トレイを持ち、排紙トレイ切り替え機能を有するプリンタにおいては、印刷データに付加された排紙トレイ指定データを元に排紙先を変更する機能を有しており、排紙トレイを変更することで、印刷後の仕分け作業を軽減することが可能である。
【0004】
しかしながら、ユーザは、印刷データ全ページの内容を把握し、その中のどのページをどの排紙トレイに出力するかを判断し且つ明示しなければならない。
【0005】
例えば、プリンタドライバの排紙先設定機能を使用して各ページの排紙先を明示的に指定する、あるいは印刷ページ全体のプレビュー画面で排紙トレイ属性を指定することが一般的である(特許文献1、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
請求書やダイレクトメールなどの、データベースに蓄積されたデータを一定のフォーマットで大量に印刷を行う印刷業務においては、排紙トレイ満杯時に自動的に他の使用可能な排紙トレイに排紙先を切り替え、印刷を停止すること無しに、継続して印刷する機能が使用されているが、印刷後、宛先欄に印刷される郵便番号などにより印刷物を仕分けする要求がある。
【0007】
印刷物の仕分け手段としては、印刷データに排紙トレイ指定情報を付加する前記した手段があるが、各ページに対して排紙トレイを明示することは印刷すべきページ数が少ない場合にのみ実施可能である。また、同一排紙先に大量の出力があり満杯になってしまう場合や、排紙トレイに十分な用量が確保されているが仕分け数より排紙トレイ数が少ない場合に対応できない。
【0008】
本発明は、請求書やダイレクトメールなどのデータベースに蓄積されたデータを、一定のフォーマットで大量に印刷を行う印刷業務に対して、印刷後の仕分けを容易に行うプリンタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、複数の排紙トレイを有するプリンタ装置において、比較用ページイメージを事前に登録し、登録されたページイメージに対して特定の領域を比較領域として設定し、印刷データ各ページに対して、比較領域と同一位置に展開されるビットマップの比較を行い、不一致が発生した場合にそのページ以降の排紙先を変更し、登録されている比較用ページデータを不一致が発生したページデータと置き換えて後続ページとの比較を行う機能を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、請求書やダイレクトメールなどのデータベース等に蓄積されたデータを一定のフォーマットで大量に印刷を行う印刷業務において、排紙トレイ満杯時に自動切換えして印刷する機能使用時であっても、容易に指定の位置で排紙トレイを切り替えすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係わるプリンタ装置、及び、印刷データを生成するデータベースアプリケーションを含むホストシステムのネットワーク接続構成を示す図である。
【図2】一般的なデータベースに登録されている請求書印刷業務におけるデータの一例を示す図である。
【図3】一般的なデータベースに登録されている請求書印刷業務におけるデータの一例を示す図である。
【図4】印刷時の出力例を示す図である。
【図5】本発明のプリンタ装置の概略構成図である。
【図6】比較用ページデータ登録処理に関する操作概略フローチャートである。
【図7】プリンタ装置内での比較用ページデータ登録処理制御に関する概略フローチャートである。
【図8】印刷モード切替設定画面の一例を示す図である。
【図9】専用アプリケーションによる登録済み比較用ページデータ表示例を示す図である。
【図10】Webブラウザによる登録済み比較用ページデータ表示例を示す図である。
【図11】比較対照領域の選択画面例を示す図である。
【図12】プリンタ操作パネルでの選択画面例を示す図である。
【図13】プリンタ内での排紙トレイ切り替え印刷処理概略フローチャートである。
【図14】プリンタ制御部概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を以下に説明する。
【0013】
図1に本実施形態に係わるプリンタ装置、及び、印刷データを生成するデータベースアプリケーションを含むホストシステムのネットワーク接続構成を示す。
【0014】
図1において、ホストシステム100は、データベースアプリケーション101と、それが管理するデータベースデータ102およびフォームデータ103を含む一般的なデータベースシステムを意味する。
【0015】
ユーザが、ホストシステム100とネットワークを介して接続されているクライアントPC105から、ホストシステム100に対して印刷指示を行うと、ホストシステム100内のデータベースアプリケーション101は、予めホストシステム100内に登録されているフォームデータ103を取り出し、また、データベースデータ102として蓄積されていたデータをレコード単位で取り出す。そして、レコード内のデータをフォームデータ103上の所定位置に展開して一時的に電子原稿を作成する。データベースアプリケーション101は、作成した一時的な電子原稿を、プリンタドライバ104に送信する。
【0016】
プリンタドライバ104は、受信した電子原稿を、プリンタ106が認識可能なコード群で構成される印刷データとして生成し、プリンタ106に印刷データを送信する。印刷データを受信したプリンタ106は、受信した印刷データに記載されている指示に従い、画像を描画し印刷出力を行う。
【0017】
以上のようなフローで、データベースアプリケーション101から印刷を行うダイレクトメール印刷業務や請求書印刷業務を考えた場合、1宛先を1レコードとし、レコード内には顧客氏名、顧客住所、顧客郵便番号などの宛先情報データが必ず含まれる。
【0018】
図2および図3は一般的なデータベースに登録されている請求書印刷業務におけるデータの一例を示す図、図4は印刷時の出力例を示す図である。
【0019】
図2に示すように、1宛先を1レコードとし、レコード内には、顧客氏名、顧客住所、顧客郵便番号などの宛先情報データが含まれる。
【0020】
また図3に示すように、顧客管理番号をキーに、請求情報データベースが作成されている。これらの情報に基き、請求書印刷時には、各顧客の宛先情報とその顧客に関連する請求情報を併せ、フォームデータ103として定義されている特定のフォーマットに従って各情報を配置、印刷出力する。
【0021】
一般に、印刷すべきデータは、図4に示すような宛先情報などの固定データ持っており、宛先情報は、同一帳票では用紙の同じ位置に印刷される。
【0022】
<比較用ページデータの登録>
図5は本発明のプリンタ装置の概略構成図、図6は比較用ページデータ登録処理に関する操作概略フローチャート、図7は、プリンタ内での比較用ページデータ登録処理制御に関する概略フローチャートである。
【0023】
データベースアプリケーション101からの本番業務印刷の前に、予め比較用ページデータをプリンタ106に登録する。比較用データは、1ページ分の印刷データをプリンタに送信することにより行う。
【0024】
比較用ページデータとして登録するデータは、一般的なデータベースアプリケーションがその機能として有しているテスト印刷機能を使用することで送信できる。あるいは、1ページ分のダミーデータを作成し印刷することでもよい。データベース内の適当なレコードの宛先を含んだページを送信することでもよい。
【0025】
比較用ページデータ登録は、プリンタ106に対し、比較用ページデータ登録モード設定(S601)を行い、ホストシステムより比較用ページデータをプリンタへ送信し(S602)、プリンタの比較用ページデータの登録処理を実行し(S603)、比較用ページデータ登録モードの解除(S604)の手順で実行する。
【0026】
ここで、比較用ページデータ登録モード設定(S601)は、これから送信するデータが通常の印刷データではなく、比較用ページデータであることをプリンタ106に認知させるための手続きである。
【0027】
プリンタの操作パネル501を介して、比較用ページデータ受信モードと通常印刷モードを切り替える手段を提供することで、プリンタに対する指示を行う。
【0028】
図8は、印刷モード切替設定画面の一例を示す図である。
【0029】
プリンタドライバの設定により、印刷データに比較データ登録属性を付与することで、操作パネルでの設定手続に代替することも可能である。
【0030】
また、プリンタが接続されているネットワークを経由して、受信モードを切り替える、例えば、プリンタが提供するWebサーバ機能や専用アプリケーションによる設定変更手段で代替することも可能である。
【0031】
更には、プリンタが複数のデータ受信用ネットワークポートを有し、一方を通常印刷用、他方を比較データ登録用とすることで、プリンタへのデータ送信時にポートを選択することでも実現できる。
【0032】
プリンタは、データを受信した場合、比較用ページデータ登録モードか否かを判断し(S701)、比較用ページデータ登録モードが設定されていた場合は、受信したデータを通常の印刷処理を行わずに解析・展開(S702)し、印刷用のビットマップデータと同等のビットマップデータを比較用ページデータとして作成する。作成した比較用ページデータは、比較用ページデータ保存用の記憶領域に保存する(S703)。
【0033】
比較用ページデータ保存領域には、複数のデータが保管されることを考慮し、それぞれのデータにIDまたは名称などの識別子を付与する。識別子は、プリンタドライバで作成したデータに予め付与されていることが望ましいが、プリンタ側で受信順に番号を付与することでも対応可能である。
【0034】
プリンタに比較用ページデータを送信後、ユーザはクライアントPCを介してプリンタ内に登録された比較用ページデータの中で、比較対照とする領域の設定(S603)を行う。
【0035】
ここで、プリンタは、登録済みの比較用ページデータのデジタル画像を、ネットワーク経由でクライアントPCの画面に表示する機能を提供すべく、専用アプリケーション或いはWebブラウザ用Webサーバ等を有する。
【0036】
図9は専用アプリケーションによる登録済み比較用ページデータ表示例を示す図、図10はWebブラウザによる登録済み比較用ページデータ表示例を示す図である。
【0037】
いずれの場合も、複数の比較用ページデータが登録されることを考慮し、登録ファイルの一覧を表示し、いずれか1個のファイルを選択して電子画像としてビットマップ表示する機能を提供する。
【0038】
次に、ユーザに比較対照領域を指定させるキーワード指定機能について記載する。
【0039】
図11は、比較対照領域の選択画面例を示す図である。
【0040】
表示された登録済みページデータの画像に対して、その一部領域を選択し、その選択範囲に関する情報をプリンタに登録する。
【0041】
キーワード1101は、排紙トレイ切り替え処理を実行するか否かを判別するためのキーワードとなるビットマップイメージである。
【0042】
領域の選択にあたっては、使い勝手を考慮し、一般的なイメージ編集アプリケーションにおける四角形描画と同様の手続き、具体的には、マウス等による始点終点の選択による描画が望ましい。選択した領域は図11に示すように、四角形の枠線によりページ全体のビットマップ内に明示する。
【0043】
この領域選択方法によれば、電子画像に対する領域指定であるため、プリンタは、選択された領域のページ全体における位置を正確に認識することが可能である。領域確定後は、その情報を比較用ページデータの属性として保管する。
【0044】
<比較用ページデータの選択>
本番印刷業務を実行する前に、登録してある比較用ページデータの選択を行う。なお、比較用ページデータが選択されない場合は、比較を行わない、言い換えれば、排紙トレイ切り替え制御処理無しに、通常通り印刷を行う。
【0045】
比較用ページデータの選択方法としては、プリンタ操作パネルからの選択、あるいは、ネットワークを介して専用アプリケーションあるいはWebブラウザにてプリンタの設定をすることで選択する。さらには、プリンタドライバの設定によりプリンタドライバによる印刷データ作成時に印刷データの属性情報として付与することも可能である。
【0046】
図12は、プリンタ操作パネルでの選択画面例を示す図である。
【0047】
<本番印刷業務>
以上で排紙トレイ切り替えに係わる事前準備が完了し、本番印刷業務での処理を実行する。
【0048】
図13はプリンタ装置内での排紙トレイ切り替え印刷処理概略フローチャート、図14はプリンタ制御部の概念図である。
【0049】
ユーザが仕分けのための排紙トレイ切り替えを意図して本番印刷業務を実行した場合について、図13、図14により説明する。
【0050】
プリンタは、データ受信部1501でクライアントPC105からの印刷データを受信すると、解析制御部1502にて比較用ページデータ指示の有無を確認し(S1401)、指定有りの場合は比較データ保管領域1503より選択されている比較用ページデータを専用メモリである比較データ展開領域1504に展開する(S1402)。
【0051】
入力ジョブの展開処理待ちデータが存在するか、言い換えれば印刷すべきデータが残っているか否かを確認し(S1403)、存在しない場合はジョブの終了とする。
【0052】
存在する場合、データ展開部1505にて1ページ分のデータをページデータ展開領域1506に展開し(S1404)、比較用ページデータ指示の有無を確認する(S1405)。比較用ページデータ指示が無い場合は、ページ印刷を行う(S1410)。
【0053】
比較用ページデータ指示がない場合は、本発明による排紙トレイ切り替え機能が搭載されていない場合と同等であり、満杯時の排紙トレイ切り替えのみが実行される。具体的には、プリンタの有する排紙トレイ使用の優先順位に基づき、例えば、排紙トレイ1(511)が最初に使用され、満杯時には排紙トレイ2(512)に自動切り替えがなされ、以降順次満杯時に排紙トレイ3,4,5,6(513,514,515,516)の順に使用される。排紙トレイの切り替えは満杯時のみ実行される。
【0054】
比較用ページデータ指示が有る場合、プリンタは、データ比較処理部1507において、比較用ページデータと入力ジョブのページデータの展開後のビットマップとについて、領域の比較を行う(S1406)。
【0055】
比較結果が不一致であった場合(S1407)、排紙トレイ切り替え処理制御部1508にて排紙トレイ切り替え処理を実行する(S1408)。
【0056】
排紙トレイ切り替え処理(S1408)の実行後、比較ページデータの入れ替え処理(S1409)を行う。領域指定の属性情報はそのままに、比較用データ展開領域1504に展開されているページデータのビットマップを削除し、ページデータ展開領域1506に展開されている入力ジョブのページデータのビットマップのコピーを、比較用データ展開領域1504に格納する。入れ替え完了後は、印刷データ処理部1509にてページデータ印刷処理(S1410)を実行しする。印刷時には通常の排紙トレイ満杯確認(S1411)および、満杯時の排紙トレイ切り替え処理(S1412)を実行し、次のページに対する処理を行うため入力ジョブの展開処理待ちデータの有無確認処理(S1403)に戻る。なお、比較用ページデータと入力ジョブのページデータのキーワード領域の比較(S1406)、(S1407)にて、一致の場合は、ページ印刷処理(S1410)を行う。
【0057】
以上のように、一定のフォーマットで大量に印刷を行う印刷業務において、印刷ページ全体のプレビューや事前の排紙トレイ切り替え指定することなしに、特定データの切り替わり目での排紙トレイ切り替えを可能とすることができる。
【0058】
上記例では、キーワード領域の比較結果として、不一致の場合に排紙トレイ切り替えする場合について説明したが、キーワードが一致した場合に排紙トレイ切り替えし、比較ページデータ入れ替え処理(S1409)を実行しないようにすることで、本番業務中のジョブにおいて、特定領域にある特定のキーワードが出現した場合に排紙トレイ切り替えすることも可能である。
【0059】
更には、キーワード設定を廃し、比較用ページデータのみを登録し、比較することで、特定のページが出現した場合に排紙トレイ切り替えすることも可能である。
【0060】
この場合、キーワードの登録処理が不要であるため、プリンタは、図11に示したようなプレビュー画面の表示機能は不要となる。
【符号の説明】
【0061】
100:ホストシステム、101:データベースアプリケーション、102:データベースデータ、103:フォームデータ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開平7−187490号公報
【特許文献2】特開平11−139676号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の排紙トレイを有するプリンタ装置において、比較用ページイメージを事前に登録し、登録されたページイメージに対して特定の領域を比較領域として設定し、印刷データ各ページに対して、比較領域と同一位置に展開されるビットマップの比較を行い、不一致が発生した場合にそのページ以降の排紙先を変更し、登録されている比較用ページデータを不一致が発生したページデータと置き換えて後続ページとの比較を行う機能を有することを特徴とするプリンタ装置。
【請求項1】
複数の排紙トレイを有するプリンタ装置において、比較用ページイメージを事前に登録し、登録されたページイメージに対して特定の領域を比較領域として設定し、印刷データ各ページに対して、比較領域と同一位置に展開されるビットマップの比較を行い、不一致が発生した場合にそのページ以降の排紙先を変更し、登録されている比較用ページデータを不一致が発生したページデータと置き換えて後続ページとの比較を行う機能を有することを特徴とするプリンタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−188674(P2010−188674A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37422(P2009−37422)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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