説明

プリンタ

【課題】
用紙負荷を原因とする記録ずれの発生を防止し、良好な画像の記録を得ることができるプリンタを提供すること。
【解決手段】
給紙部から第1給紙ローラ21によって送り出され、複数の搬送ガイドローラ4により搬送される用紙2の搬送経路に沿って、記録ヘッド9およびプラテン11をインクリボン6および用紙2を介して接離可能に設けた記録ユニット5が複数配設されたプリンタであって、前記給紙部から用紙2の搬送経路における最上流に配設された記録ユニット5aまでの搬送経路上に配設された第2給紙ローラ22と、用紙2の搬送経路における前記第2給紙ローラ22の上流部において、常に前記用紙2に搬送弛みが形成されるように前記第1給紙ローラ21および第2給紙ローラ22のうちの少なくとも一方の回転を制御可能とされた弛み形成制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタに係り、特に用紙の搬送経路に沿って複数の記録ヘッドが設けられているプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、それぞれ異なる色彩のインクが塗布された複数のインクリボンを用いて記録を行うプリンタにおいて、各インクリボンにそれぞれ対応して設けられた複数の記録ヘッドにより、前記各インクリボンのインクをそれぞれ用紙に転写することによって用紙上に所望の画像の記録を行うプリンタが知られている。
【0003】
このようなプリンタは、複数の色彩(本従来例においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の4色)のインクを用紙に転写するため、前記各色毎の記録ユニットを用紙の搬送経路に沿って所定間隔をもって配置させている。
【0004】
前記各記録ユニットは、対応するいずれか1色のインクリボン、記録ヘッド、およびプラテンを備えており、前記用紙の搬送方向における最上流側から、第1記録ユニット、第2記録ユニット、第3記録ユニット、第4記録ユニットとされている。
【0005】
詳しくは、各記録ユニットにおいて、前記記録ヘッドは、用紙の搬送経路に沿って、前記インクリボンを介して搬送経路を搬送される用紙に対向するように配置されており、前記インクリボンおよび用紙を介して前記記録ヘッドに対向する位置には、プラテンが設けられている。そして、前記記録ヘッドと前記プラテンは、前記インクリボンおよび用紙を介して相対的に圧接可能とされている。
【0006】
また、各記録ユニットの前記用紙の搬送方向における上流側には、一対のドライブローラと、各ドライブローラを用紙の搬送経路を介してそれぞれ接離可能に支持するドライブローラ移動部材とを有する搬送ユニットが、対応する各記録ユニットとセットになるようにして配設されており、前記用紙の搬送方向における最上流側から、第1搬送ユニット、第2搬送ユニット、第3搬送ユニット、第4搬送ユニットとされている。
【0007】
そして、前記プリンタにおいては、搬送される用紙の記録開始位置が第1記録ユニットの前記記録ヘッドとプラテンが対向する位置に到達すると、記録ヘッド(第1記録ヘッド)と前記第1記録ヘッドに対向するプラテン(第1プラテン)とを用紙およびインクリボンを介して圧接させる。そして、前記第1記録ヘッドの発熱素子に選択通電を行ない、前記用紙に対して該記録ユニットの備えたインクリボン、例えばイエローYのインクリボンのインクを転写させる。
【0008】
また、イエローYのインクが転写された用紙の先端エッジ部が前記第1搬送ユニットの一対のドライブローラに対向する位置に到達すると、前記用紙を介して一対のドライブローラを圧接させ、前記用紙を一対のドライブローラで狭持させた状態で回転させることにより、前記用紙をその搬送方向における下流側に位置する第2記録ユニットへ搬送する。
【0009】
続いて、前記記録開始位置が第2記録ユニットの前記記録ヘッドとプラテンが対向する位置に到達すると、記録ヘッド(第2記録ヘッド)と前記第2記録ヘッドに対向するプラテン(第2プラテン)とを用紙およびインクリボンを介して圧接させる。そして、前記第2記録ヘッドの発熱素子に選択通電を行ない、前記用紙に対して該記録ユニットの備えたインクリボン、例えばマゼンタMのインクリボンのインクを、該用紙にすでに転写された前記イエローYのインクの上に転写させる。
【0010】
また、イエローYのインクおよびマゼンタMのインクが転写された用紙の先端エッジ部が前記第2搬送ユニットの一対のドライブローラに対向する位置に到達すると、前記用紙を介して一対のドライブローラを圧接させ、前記用紙を一対のドライブローラで狭持させた状態で回転させることにより、前記用紙をその搬送方向における下流側に位置する第3記録ユニットへ搬送する。
【0011】
このように、前記用紙の搬送方向における上流側の記録ユニットから順次用紙にインクを転写させるとともに、搬送ユニットにより用紙をその搬送方向の下流側へ搬送させることにより、前記用紙上に複数のインクによって所望のカラー画像の記録を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
【特許文献1】特開2004−161443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、このように複数の記録ユニットを有し、各記録ユニット間を複数の搬送ユニットで繋いだ構成のプリンタは、各記録ユニットにおいて用紙に転写されるインクの重なり具合にズレが生じて記録結果に記録ずれ(色ズレ)が発生し易い。
【0014】
この記録ずれの原因の一つとして、インクの転写時に、前記記録ユニットに対して用紙負荷が掛かることが考えられる。
【0015】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、用紙負荷を原因とする記録ずれの発生を防止し、良好な画像の記録を得ることができるプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するため、本発明に係るプリンタの特徴は、給紙部から第1給紙ローラによって送り出され、複数の搬送ガイドローラにより搬送される用紙の搬送経路に沿って、記録ヘッドおよびプラテンをインクリボンおよび用紙を介して接離可能に設けた記録ユニットが複数配設されたプリンタであって、前記給紙部から用紙の搬送経路における最上流部に配設された記録ユニットまでの搬送経路上に配設された第2給紙ローラと、用紙2の搬送経路における前記第2給紙ローラ22の上流部において、常に前記用紙2に搬送弛みが形成されるように前記第1給紙ローラ21および第2給紙ローラのうちの少なくとも一方の回転を制御可能とされた弛み形成制御手段とを備える点にある。
【0017】
このような構成を有するプリンタにおいては、前記制御手段により、例えば、前記記録ユニットの直前に配設された第2給紙ローラの用紙の搬送経路における上流部に、常に、前記用紙の搬送弛みを形成するとともに、前記第2給紙ローラにおいては用紙の搬送経路に沿って配設された複数の記録ユニットへ前記搬送弛みとなっている用紙を順次供給するように、前記第1給紙ローラと前記第2給紙ローラの回転を制御することで、記録ユニットに対する用紙負荷を除去しながら用紙の搬送経路に沿って配設された複数の記録ユニットへ用紙を供給することができる。
【0018】
また、前記第2給紙ローラの用紙の搬送経路における上流側には、弛み形成制御手段の一部を構成し、前記用紙の搬送弛み量を検出する弛みセンサユニットが配設されている点を特徴とする。
【0019】
このような構成を有するプリンタにおいては、前記制御手段が弛みセンサユニットによって前記用紙の弛み量を随時監視することで、前記第1給紙ローラと前記第2給紙ローラの回転を適切に制御することができる。
【0020】
前記弛みセンサユニットは、搬送弛みが形成されない状態で搬送される用紙を検出する下限センサと、形成された搬送弛みが許容範囲内最大となった時の頂部到達予定点に到達した用紙を検出する上限センサとからなる点を特徴とする。
【0021】
このような構成を有するプリンタにおいては、前記下限センサにより前記用紙の搬送弛み量が無いことを検出し、前記上限センサにより搬送弛み量が過分となることを検出することによって、前記第1給紙ローラと前記第2給紙ローラの回転をより適切に制御することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るプリンタによれば、用紙負荷を原因とする記録ずれの発生を防止し、良好な画像の記録を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るプリンタの一実施形態を図を参照して説明する。
【0024】
図1は、本実施形態に係るプリンタを示す概念図である。
【0025】
前記プリンタ1は、給紙部に長尺の用紙2が巻回された給紙ロール3を有している。
【0026】
前記給紙ロール3は給紙部に配設された第1給紙ローラ21に配設されており、前記用紙3は、前記第1給紙ローラ21の回転に伴って繰り出され、複数の搬送ガイドローラ4に案内されながら、所定の搬送経路を搬送されるようになっている。
【0027】
また、前記プリンタ1は、複数の色彩(本実施形態においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の4色)のインクを用紙に転写するため、前記各色毎の記録ユニット5を前記用紙2の搬送経路に沿って所定間隔で配置させている。
【0028】
前記各記録ユニット5は、対応するいずれか1色のインクリボン6、記録ヘッド9、およびプラテンを備えており、前記用紙2の搬送方向における最上流側から、第1記録ユニット5a、第2記録ユニット5b、第3記録ユニット5c、第4記録ユニット5dとされている。
【0029】
そして、本実施形態のプリンタにおいては、前記給紙部から用紙の搬送経路における最上流に配設された第1記録ユニット5aまでの搬送経路上に第2給紙ローラ22が配設されている。前記第2給紙ローラ22には、前記第2給紙ローラ22の回転に従動回転するアイドルローラ23(図1においては、用紙2の搬送経路に沿って、3つのアイドルローラ)が用紙2をその間に挟持するようにして圧接させて配設されている。そして、前記第1給紙ローラ21と前記第2給紙ローラ22は、図示しない弛み形成制御手段によって、用紙の搬送経路における前記第2給紙ローラ22の上流部に常に前記用紙2に搬送弛みが形成されるように、それぞれの駆動源としての制御モータ(図示せず)の回転を駆動制御されている。
【0030】
具体的には、前記第2給紙ローラ22は、その駆動源としての制御モータ(図示せず)の回転を記録ユニット5の記録速度に合わせて制御され、前記第1給紙ローラ21は、用紙2の搬送弛みを形成する場合には、前記第2給紙ローラ22の用紙2の搬送量よりも多めに用紙2を送り出し、逆に、用紙2の搬送弛みを少なめにセーブする場合には、前記第2給紙ローラ22の用紙2の搬送量よりも少なめに用紙2を送り出すように制御される。この用紙2の搬送量の制御は、各給紙ローラ21、22の制御モータの時間あたりの駆動ステップ数を可変させることで行うことができる。
【0031】
また、前記第2給紙ローラ22の用紙の搬送経路における上流部には、弛み形成制御手段の一部を構成し、前記用紙2の搬送弛み量を検出する弛みセンサユニット24が配設されている。本実施形態の前記弛みセンサユニット24は、接触感知式の下限センサ25と上限センサ26とからなる。前記下限センサ25は、前記第1給紙ローラ21と前記第2給紙ローラ22の回転駆動を用紙2の搬送量が等しくなるように制御した場合における用紙2の搬送経路に沿って配設され、前記搬送経路上に搬送される用紙2が接触することにより、前記用紙2の搬送弛み量が無いことを検出するようになされている。また、前記上限センサ26は、前記下限センサ25と用紙2の搬送経路を介し、前記第1送出ローラの回転駆動による用紙2の搬送量が、前記第2給紙ローラ22の回転駆動による用紙2の搬送量よりも多くなるように制御した場合において形成された、搬送弛みの許容範囲内最大となったときの頂部到達予定点に配設されており、前記頂部到達予定点に到達した用紙2の頂点部分が接触することにより、搬送弛み量が過分となること(弛み量の上限値)を検出するようになされている。
【0032】
そして、前記弛み形成制御手段の制御部は、前記下限センサ25と上限センサ26の検出結果に基づいて、前記第1給紙ローラ21の回転速度を調整するように構成されている。具体的には、前記下限センサ25により前記用紙2の搬送弛み量が無いことを検出した場合には、用紙2の搬送弛みを形成するべく、前述のように、前記第2給紙ローラ22の用紙2の搬送量よりも多めに用紙を送り出すように前記第1給紙ローラ21の制御モータの駆動を制御し、逆に、用紙2の搬送弛みを少なめにセーブする場合には、前記第2給紙ローラ22の用紙の搬送量よりも少なめに用紙2を送り出すように制御する。この用紙2の搬送量の制御は、各給紙ローラ21、22の制御モータの時間あたりの駆動ステップ数を可変させることで行うことができる。
【0033】
前記記録ユニット5の説明に戻って、各記録ユニット5は、それぞれ異なる色彩のインクが塗布された複数のインクリボン6を有している。各インクリボン6は、それぞれ一対のインクリボンロール7に巻回されており、前記用紙2の搬送経路に沿って所定の間隔をもって位置し、リボンガイドローラ8に案内されながら、それぞれインクの塗布面が用紙2に対向して搬送されるように配設されている。
【0034】
本実施形態においては、前記搬送方向の最上流側から順番に、イエローYのインクリボン6Y、マゼンタMのインクリボン6M、シアンCのインクリボン6C、ブラックBKのインクリボン6BKの4つのインクリボン6が配置されている。
【0035】
さらに、前記各記録ユニット5は、前記各インクリボン6の数に対応するそれぞれの記録ヘッド9を有しており、各記録ヘッド9は、前記搬送経路に沿って所定の間隙をもって位置するように配置されている。
【0036】
各記録ヘッド9は、用紙2の幅寸法に対応する長さによって形成されており、各記録ヘッド9における各インクリボン6に対向する位置には、用紙2の幅寸法に対応するような複数の発熱素子(図示せず)がライン状に並列配置されている。
【0037】
なお、各記録ヘッド9は、用紙2の搬送方向における最上流側に配設された記録ユニットから順番に、イエローYのインクリボン6Yに対向する第1記録ヘッド9a、マゼンタMのインクリボン6Mに対向する第2記録ヘッド9b、シアンCのインクリボン6Cに対向する第3記録ヘッド9c、ブラックBKのインクリボン6BKに対向する第4記録ヘッド9dとされている。
【0038】
各記録ヘッド9は、プリンタ1に入力された記録データに基づき所望の発熱素子を発熱させてインクリボン6のインクを用紙2上に転写するようになっている。
【0039】
また、本実施形態において、第1記録ヘッド9aは、イエローYのインクを用紙2上における画像の記録開始位置の近傍の所定部分に転写して、先頭マークを記録するようになっている。
【0040】
そして、前記用紙2の搬送経路における第2記録ヘッド9b、第3記録ヘッド9c、第4記録ヘッド9dの上流側近傍には、前記用紙2上に記録された先頭マークを検出するための図示しないセンサが設けられており、前記先頭マークの検出を契機に各記録ヘッド9の通電の制御を行うようになっている。
【0041】
また、各記録ユニット5におけるインクリボン6および用紙2を介して各記録ヘッド9に対向する位置には、用紙2および各記録ヘッド12の幅寸法に対応する幅寸法のプラテンローラ11がそれぞれ設けられている。各プラテンローラ11は、前記搬送方向の上流側から順番に、第1記録ヘッド9aに対向する第1プラテンローラ11a、第2記録ヘッド9bに対向する第2プラテンローラ11b、第3記録ヘッド9cに対向する第3プラテンローラ11c、第4記録ヘッド9dに対向する第4プラテンローラ11dとされている。
【0042】
そして、本実施形態において、前記各記録ヘッド9は、それぞれ図示しないクランクに接続されており、前記クランクにより各プラテンローラ11から離間するヘッドアップ動作、および各プラテンローラ11に圧接するヘッドダウン動作を行うようになっている。
【0043】
また、各記録ユニット5の前記用紙2の搬送方向における下流側には、用紙の搬送ユニット13のドライブローラ14とこれに対向して配設されたアイドルローラ15が配設されている。前記各ドライブローラ14とアイドルローラ15は用紙2の搬送経路を介してそれぞれ接離可能に設けられている。そして、各搬送ユニット13は、前記用紙2の搬送方向における最上流側から、第1搬送ユニット13a、第2搬送ユニット13b、第3搬送ユニット13c、第4搬送ユニット13dとされている。
【0044】
そして、本実施形態において、前記各搬送ユニット13のドライブローラ14は、それぞれドライブローラ移動部材としてのクランク(図示せず)に接続されており、前記クランクにより対応する各アイドルローラ15から離間するアップ動作、および各アイドルローラ15に圧接するダウン動作を行うようになっている。また、本実施形態においては、前記ドライブローラ14がアイドルローラ15に圧接した状態で正方向に回転駆動することにより、前記アイドルローラ15も前記ドライブローラ14の回転に従動して回転し、両ローラ14a、15が挟持した用紙2を下流側へ搬送するようになっている。
【0045】
また、本実施形態においては、前記ドライブローラ14、アイドルローラ15は、前記用紙の先端部がドライブローラ14とアイドルローラ15の対向位置を通過したときに前記クランクが作動することにより圧接し、前記用紙2を挟持するようになっている。
【0046】
そして、前記第4記録ユニットの用紙の搬送経路における下流側には、記録済みの用紙2を、その搬送経路の後部側へ搬送するための排紙ローラ19が配設されており、用紙2の搬送経路の最後部には切断刃20が設けられている。切断刃20は、記録が終了した長尺の用紙2を所定の長さ寸法に切断するようになっている。
【0047】
続いて、本実施形態のプリンタの作用について説明する。
【0048】
なお、記録ユニット及び搬送ユニットにおける作用については、前述の従来例と同様であるためその説明は省略する。
【0049】
本実施形態のプリンタ1においては、用紙2の搬送経路の最上流となる給紙部に配設された第1給紙ローラ21にセットされた給紙ロール3から、用紙2を搬送経路に供給する。
【0050】
その際、前記弛み形成制御手段により、前記第1記録ユニット5aの直前に配設された第2給紙ローラ22の用紙2の搬送経路における上流部に、常に、前記用紙2の搬送弛みを形成するとともに、前記第2給紙ローラ22においては用紙2の搬送経路に沿って配設された複数の記録ユニット5へ前記搬送弛みとなっている用紙を順次供給するように、前記第1給紙ローラ21と前記第2給紙ローラ22の回転を制御する。そして、記録ユニット5に対する用紙負荷をなるべく除去しつつ、用紙2の搬送経路に沿って配設された複数の記録ユニット5へ用紙2を供給する。
【0051】
その際、前記弛み形成制御手段が弛みセンサユニット24によって前記用紙2の弛み量を随時監視することで、前記第1給紙ローラ21と前記第2給紙ローラ22の回転を適切に制御することができる。すなわち、本実施形態においては、前記用紙2の搬送弛み量が無い場合には、用紙2は前記第1給紙ローラ21と前記第2給紙ローラ22の回転駆動を用紙2の搬送量が等しくなるように制御した場合における用紙2の搬送経路上を搬送される。その場合には、搬送される用紙2が前記下限センサ25に接触するので、前記下限センサ25が前記用紙2の搬送弛み量が無いことを検出することができる。そして、この場合には、前記弛み形成制御手段により、用紙2の搬送弛みを形成するべく、前述のように、前記第2給紙ローラ22の用紙2の搬送量よりも多めに用紙2を送り出すように前記第1給紙ローラ21の制御モータの駆動を制御する。また、前記用紙2の搬送弛み量が過分となる場合には、搬送弛み部分の用紙2が前記上限センサ26に接触するので、前記上限センサ26が搬送弛み量が過分となることを検出することができる。そして、この場合には、前記弛み形成制御手段により、用紙2の搬送弛みを減少させるべく、第1給紙ローラ21の回転を前記第2給紙ローラ22の用紙2の搬送量よりも少なめに用紙2を送り出すように前記第1給紙ローラ21の制御モータの駆動を制御する。
【0052】
このような制御を常に繰り返し行うことにより、前記記録ユニット5の直前に配設された第2給紙ローラ22の用紙2の搬送経路における上流部に、常に、前記用紙2の搬送弛みを形成することで、記録ユニット5に対する用紙負荷を除去しながら、記録ユニット5へ用紙2を供給することができる。
【0053】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0054】
例えば、搬送弛みの量を調整すべく、前記第2供給ローラの回転速度を調整することも可能である。但し、その場合においては、各記録ユニットにおける用紙の搬送量を前記第2供給ローラの用紙の搬送量と等しくするような制御を要することとなるため、本実施形態のように、第1供給ローラの駆動源としての制御モータの回転速度を可変させて、用紙の搬送量を変化させることが機構的には単純であって好ましい。また、前記第2給紙ローラは、前記第1記録ユニットの直前部に配設される第1搬送ユニットのドライブローラ等と兼用することも可能である。また、用紙は長尺のものでなく、予め所定の用紙長に切断された用紙を用いてもよい。その場合には、前記第1給紙ローラは、所定の用紙長に切断された用紙の表面に当接し、第1給紙ローラの回転時の摩擦力により搬送経路に用紙を供給するように構成されることとなる。また、前記弛みセンサユニットを構成する接触感知式のセンサはボタン型、レバー型を問わない。さらに、各インクリボンのインクの数や色彩、配置順等は、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、本実施形態におけるブラックBKのインクリボンBKの代わりにオーバーコート用のインクリボンOPを用いてもよい。さらに、各プラテンローラが各記録ヘッド方向に移動して各プラテンローラと各記録ヘッドとが圧接するように設けられているが、これに限定されず、各記録ヘッドが各プラテンローラに対して圧接するようにしてもよい。さらに、本実施形態のプリンタは、前記上限センサが搬送される用紙の搬送弛みを検出した場合に、例えば、一定時間経過後においても、前記上限センサが搬送弛みを検出し続けるような場合に、用紙搬送にトラブルが発生したと判断して、用紙の供給を停止するような制御を備えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係るプリンタの一実施形態を示す概念図
【符号の説明】
【0056】
1 プリンタ
2 用紙
3 給紙ロール
4 搬送ガイドローラ
5 記録ユニット
6 インクリボン
7 インクリボンロール
8 リボンガイドローラ
9 記録ヘッド
11 プラテンローラ
13 搬送ユニット
14 ドライブローラ
15 アイドルローラ
19 排紙ローラ
20 切断刃
21 第1給紙ローラ
22 第2給紙ローラ
23 アイドルローラ
24 弛みセンサユニット
25 下限センサ
26 上限センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙部から第1給紙ローラによって送り出され、複数の搬送ガイドローラにより搬送される用紙の搬送経路に沿って、記録ヘッドおよびプラテンをインクリボンおよび用紙を介して接離可能に設けた記録ユニットが複数配設されたプリンタであって、
前記給紙部から用紙の搬送経路における最上流部に配設された記録ユニットまでの搬送経路上に配設された第2給紙ローラと、
用紙の搬送経路における前記第2給紙ローラの上流側において常に前記用紙に搬送弛みが形成されるように、前記第1給紙ローラおよび第2給紙ローラのうちの少なくとも一方の回転を制御可能とされた弛み形成制御手段とを備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
用紙の搬送経路における前記第2給紙ローラの上流側には、弛み形成制御手段の一部を構成し、前記用紙の搬送弛み量を検出する弛みセンサユニットが配設されていることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記弛みセンサユニットは、搬送弛みが形成されない状態で搬送される用紙を検出する下限センサと、形成された搬送弛みが許容範囲内最大となった時の頂部到達予定点に到達した用紙を検出する上限センサとからなることを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−192644(P2006−192644A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5090(P2005−5090)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】