説明

プリントユニット及びインクジェット記録装置

【課題】搬送方向に関わらず画像を記録する。
【解決手段】プリントユニット3は、正逆一方の搬送方向Xに搬送される記録媒体Kにインクを吐出する記録ヘッド4と、画像データを搬送方向Xが正方向の場合に各吐出タイミングで記録すべき1列分画像データに分けて吐出タイミング順に格納するとともに、当該1列分画像データを1ドット分画像データに分けてノズルの配列順序で格納するページメモリ33と、制御部5とを備える。記録ヘッド4は吐出タイミング毎での吐出可否データをラッチして各ノズルに出力するシフトレジスタ42を有する。制御部5は搬送方向Xが正の場合にページメモリ33の画像データを1列分画像データ,1ドット分画像データの格納順に吐出可否データとしてシフトレジスタ42に記憶させ、搬送方向Xが逆の場合に1列分画像データの格納順、かつ1ドット分画像データの格納順とは逆順に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントユニット及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙や布などの記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置は、搬送装置によって記録媒体を順次搬送しつつ、プリントユニットの記録ヘッドから記録媒体に向かってインクを吐出することにより、各記録媒体の表面に画像を記録するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、図7(a),(b)に示すように、このようなインクジェット記録装置100においては、記録媒体Kの搬送方向Xに対するプリントユニット101の設置方向が予め定められており、しかも搬送装置102は一方向にしか記録媒体Kを搬送できないようになっている。そのため、インクジェット記録装置100を構成するときには、搬送装置102による記録媒体Kの搬送方向Xに合わせてプリントユニット101を設置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−47670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、プリントユニット101と搬送装置102とが別体として製造販売されている場合には、操作やメンテナンスの効率を高めようとしてプリントユニット101の側面の操作パネル101aと、搬送装置102の側面の操作パネル102aとの向きを揃えたときに、搬送方向Xに対してプリントユニット101の設置方向が逆向きになってしまい、画像を記録できない場合がある。
【0006】
本発明の課題は、搬送方向に関わらず画像を記録することのできるプリントユニット及びインクジェット記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、プリントユニットにおいて、
正逆何れか一方の搬送方向に順次搬送される記録媒体に向かってインクを吐出する記録ヘッドと、
各ページの記録媒体に対して出力されるべき画像データを、正の前記搬送方向に対応するデータ順序で記憶するページメモリと、
前記搬送方向が正方向と逆方向との何れであるかを検知する搬送方向検知手段と、
前記ページメモリにおける各ページの画像データに基づいて前記記録ヘッドにインクを吐出させる制御手段とを備え、
前記記録ヘッドは、
複数のノズルを前記搬送方向と交差するよう配列してなるノズル列と、
前記ノズル列の吐出タイミング毎での各ノズルに対する吐出可否データを、ラッチして各ノズルに出力するレジスタとを有し、
前記ページメモリは、
各ページの記録媒体についての前記画像データを、各吐出タイミングで記録すべき1列毎の1列分画像データに分けて吐出タイミング順に格納するとともに、当該1列分画像データを、各ノズルで記録すべき1ドット毎の1ドット分画像データに分けて、前記ノズル列における前記ノズルの配列順序に格納し、
前記制御手段は、
前記搬送方向検知手段により前記搬送方向が正方向であると検知された場合に、該当ページの記録媒体について前記ページメモリに格納された前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順に、前記吐出可否データとして前記レジスタに記憶させる第一の読出手段と、
前記搬送方向検知手段により前記搬送方向が逆方向であると検知された場合に、該当ページの記録媒体について前記ページメモリに格納された前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順とは逆順に、前記吐出可否データとして前記レジスタに記憶させる第二の読出手段とを有することを特徴とする。
【0008】
ここで、「データの格納順に,…レジスタに記憶させる」とは、データの並び通りにレジスタに記憶させることを意味する。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のプリントユニットにおいて、
前記第一の読出手段は、
前記ページメモリから該当ページの記録媒体についての前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順に読み出して、前記吐出可否データとして読み出し順に前記レジスタに記憶させ、
前記第二の読出手段は、
前記ページメモリから該当ページの記録媒体についての前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順に読み出して、前記1列分画像データの読み出し順、かつ前記1ドット分画像データの読み出し順とは逆順に前記吐出可否データとして前記レジスタに記憶させることを特徴とする。
【0010】
ここで、「データの格納順に,…読み出す」とは、データの並び通りに読み出すことを意味する。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のプリントユニットにおいて、
前記レジスタは、吐出タイミング毎での各ノズルに対する前記吐出可否データを、両端部の何れか一方からシリアル入力されてラッチし、各ノズルにパラレル出力するシフトレジスタであり、
前記第一の読出手段は、前記ページメモリから該当ページの記録媒体についての前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順に読み出して、前記吐出可否データとして読み出し順に前記シフトレジスタの一方の端部からシリアル入力して記憶させ、
前記第二の読出手段は、前記ページメモリから該当ページの記録媒体についての前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順に読み出して、前記吐出可否データとして読み出し順に前記シフトレジスタの他方の端部からシリアル入力して記憶させることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1記載のプリントユニットにおいて、
前記第一の読出手段は、
前記ページメモリから該当ページの記録媒体についての前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順に読み出して、前記吐出可否データとして読み出し順に前記レジスタに記憶させ、
前記第二の読出手段は、
前記ページメモリから該当ページの記録媒体についての前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順とは逆順に読み出して、前記吐出可否データとして読み出し順に前記レジスタに記憶させることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載のプリントユニットにおいて、
前記搬送方向の交差方向に配列された複数の前記記録ヘッドを備え、
前記第一の読出手段及び前記第二の読出手段は、
前記搬送方向に対して左右何れか一方の側から他方の側に向かって前記複数の記録ヘッドにおける各レジスタに順位付けし、この順位の並びの複数の前記レジスタに対し、前記1列分画像データにおける各1ドット分画像データを、前記ページメモリにおける並び通りに前記吐出可否データとして記憶させることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、インクジェット記録装置において、
請求項1〜5の何れか一項に記載のプリントユニットと、
記録媒体を正逆何れか一方の前記搬送方向に搬送する搬送装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、各ページの記録媒体に対して出力されるべき画像データを、前記搬送方向が正方向の場合に各吐出タイミングで記録すべき1列毎の1列分画像データに分けて吐出タイミング順に格納するとともに、当該1列分画像データを、各ノズルで記録すべき1ドット毎の1ドット分画像データに分けて、前記ノズル列における前記ノズルの配列順序で格納するページメモリと、搬送方向が正方向と逆方向との何れであるかを検知する搬送方向検知手段と、前記ページメモリにおける各ページの画像データに基づいて前記記録ヘッドにインクを吐出させる制御手段とを備え、前記制御手段には、前記搬送方向検知手段により前記搬送方向が逆方向であると検知された場合に、該当ページの記録媒体について前記ページメモリに格納された前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順とは逆順に、前記吐出可否データとして前記レジスタに記憶させる第二の読出手段が備えられるので、搬送方向が逆方向であると検知された場合、つまり搬送方向が正方向に対して180度反転している場合には、1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順とは逆順の吐出可否データに基づいて、逆向きに搬送される記録媒体に記録ヘッドからインクが吐出される、つまり、結果的に180度回転された画像データに基づいて画像が記録された状態となる。よって、搬送方向に関わらず画像を記録することができる。
また、搬送方向に関わらず画像を記録することができるため、記録媒体の搬送装置の操作パネルに対してプリントユニットの操作パネルの向きを揃え、操作やメンテナンスの効率を高めることができる。
【0016】
請求項2〜6記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】本発明に係るインクジェット記録装置の動作を説明するための図である。
【図3】本発明に係るプリントユニットの概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係るプリントユニットの動作を説明するための図である。
【図5】メモリリード要求部の動作を説明するための図である。
【図6】本発明に係るインクジェット記録装置の変形例の動作を説明するための図である。
【図7】従来のインクジェット記録装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るインクジェット記録装置について説明する。
[1]インクジェット記録装置の概略構成
【0019】
図1は本実施の形態におけるインクジェット記録装置1の概略構成を示す側面図である。なお、本実施の形態においては、インクジェット記録装置1をワンパス型のインクジェット記録装置、つまり記録媒体Kを1回搬送する間に画像の記録を完了するインクジェット記録装置として説明する。
【0020】
このインクジェット記録装置1は、図示しないパソコンから送信される画像データ等に基づいて記録媒体Kに画像を記録するものであり、図1に示すように、互いに対向して配設された搬送装置2及びプリントユニット3を備えている。
【0021】
このうち、搬送装置2は、搬送ローラ20,…の回転によって複数の記録媒体Kを一方向(以下、搬送方向Xとする)に順次搬送するものであり、一方の側面に操作パネル2aを有している。
【0022】
ここで、本実施の形態における記録媒体Kは、図2に示すように、長尺な台紙Dの表面に対して所定のページ間隔ごとに貼り付けられており、当該台紙Dに追従して搬送されるようになっている。
【0023】
一方、プリントユニット3は、搬送装置2により順次搬送される記録媒体Kに画像を記録するものであり、上述の図1に示すように、一方の側面に操作パネル3aを有している。ここで、本実施の形態におけるプリントユニット3は、操作パネル3aの側から見た場合に、左から右の方向(図2(a)参照。以下、正の搬送方向X(+)とする)へ搬送される記録媒体Kに対しても、右から左の方向(図2(b)参照。以下、逆の搬送方向X(−)とする)へ搬送される記録媒体Kに対しても、それぞれ画像を記録可能となっている。
【0024】
また、このプリントユニット3は、記録媒体Kに向かってインクを吐出する記録ヘッド4を有している。なお、本実施の形態においては、プリントユニット3は記録ヘッド4を1つのみ有し、当該記録ヘッド4は1色のインクを吐出することとして説明する。
【0025】
記録ヘッド4には、台紙Dの幅方向Y、つまり搬送方向Xの直交方向に延在するノズル列Lが設けられている。
【0026】
このノズル列Lは、図1,図2に示すように、n個(nは2以上の自然数)のノズル40,…からなり、幅方向Yにおける記録媒体Kの両端に亘って形成されている。以下、ノズル列Lにおける各ノズル40,…のうち、操作パネル3aの側からN番目(Nは1〜nの自然数)のものをノズル40(N)とし、括弧内の数値を当該ノズル40の番号として説明する。
【0027】
これらのノズル40,…は、画像データを元にノズル40毎に生成される吐出可否データと、駆動波形とに基づいてインク滴を吐出するようになっている。より詳細には、記録ヘッド4には、ノズル40内のインクを吐出するためのピエゾ素子(図示せず)が設けられており、このピエゾ素子が駆動波形及び吐出可否データに基づいて振動することで、ノズル40内のインクを振動させたり、吐出させたりするようになっている。
【0028】
[2]プリントユニット3の機能構成
続いて、プリントユニット3の機能構成について説明する。
【0029】
図3は、プリントユニット3の概略構成を示すブロック図である。
この図に示すように、プリントユニット3は、上述の記録ヘッド4の他に、I/F部30、記録媒体検出部31、エンコーダ32、ページメモリ33及び制御部(制御手段)5などを有している。
【0030】
[2−1]記録ヘッド4
記録ヘッド4には、図4に示すように、シフトレジスタ42と、当該シフトレジスタ42及びノズル列Lの間に介在するヘッドドライブ部41とが設けられている。
【0031】
シフトレジスタ42は、1回の吐出タイミングでのノズル40(1)〜40(n)に対するn個の吐出可否データを、直列配置されたn個の記憶素子S,…でラッチするものであり、本実施の形態においては、吐出可否データをシリアル方式で入力されて、パラレル方式で出力するようになっている。以下、シフトレジスタ42における各記憶素子S,…のうち、ノズル40(N)に対応するものを記憶素子S(N)とし、括弧内の数値を当該記憶素子Sのアドレスとして説明する。
【0032】
ヘッドドライブ部41は、シフトレジスタ42からの吐出可否データをラッチし、当該吐出可否データに基づいて、各ノズル40のピエゾ素子に対する駆動パルス信号のON/OFFを吐出タイミング毎に同期して制御するようになっている。
【0033】
[2−2]I/F部30
I/F部30は、図3に示すように、パソコン(図示せず)から送信される画像データやコマンド信号を受信するインターフェースである。
【0034】
ここで、本実施の形態においては、パソコンから送信されるコマンド信号には、搬送方向Xの正逆についての情報や、記録ヘッド4の個数、記録ヘッド4の位置情報、ノズル40,…の配列順序、画像の解像度などが含まれている。
【0035】
このうち、記録ヘッド4の位置情報としては、幅方向Yにおける記録ヘッド4の位置情報と、搬送方向Xにおける記録ヘッド4の位置情報とが用いられている。より詳細には、幅方向Yにおける記録ヘッド4の位置情報とは、台紙Dの所定箇所を基準とした場合の幅方向Yにおける記録ヘッド4の位置を示す情報であり、本実施の形態においては、搬送方向Xの向きに対して台紙Dの左側縁部(以下、基準縁部D1とする)を基準としている(図2参照)。また、搬送方向Xにおける記録ヘッド4の位置情報とは、記録媒体検出部31を基準とした場合の搬送方向Xにおける記録ヘッド4の位置を示す情報である。なお、このような位置情報については、パソコンからのコマンド信号に含まれずに、プリントユニット3内に予め記憶されることとしても良い。
【0036】
また、ノズル40,…の配列順序とは、基準縁部D1に近い側からのノズル40,…の配列順序であり、より詳細には、搬送方向Xが正の場合(図2(a)参照)には、ノズル40(1)〜40(n)の順、搬送方向Xが正の場合(図2(b)参照)には、ノズル40(n)〜40(1)の順である。
【0037】
[2−3]記録媒体検出部31
記録媒体検出部31は、搬送される記録媒体Kの先端側の縁部(トリガ)K1を検出するものであり、記録ヘッド4よりも正逆の搬送方向Xにおける各上流側で、台紙D(記録媒体K)に対向して配設されている(図1参照)。なお、このような記録媒体検出部31としては、台紙Dと記録媒体Kとの反射率の違いに基づいて記録媒体Kの縁部K1を検出するものや、記録媒体Kの縁部K1に予め設けられた所定のマークを検出するものを用いることができる。
【0038】
[2−4]エンコーダ32
エンコーダ32は、記録媒体Kの所定の搬送量毎にパルス信号を出力するものである。なお、本実施の形態におけるエンコーダ32は、上述の図1に示すように、搬送される台紙D(記録媒体K)に追従して回転するローラ320aに設けられ、台紙D(記録媒体K)の搬送量に応じて回転するロータリーエンコーダとなっている。
【0039】
[2−5]ページメモリ33
ページメモリ33は、各ページの記録媒体Kに対して出力されるべき画像データをページ毎に記憶するものであり、本実施の形態においては、各ページの画像データを、正の搬送方向X(+)に対応するデータ順序で記憶するようになっている。
【0040】
より詳細には、図4に示すように、ページメモリ33は、行列配置(マトリックス配置)された(m×n)個(mは自然数)の記憶素子P,…によって、各ページの記録媒体Kについての画像データを、各吐出タイミングで記録すべき1列毎の1列分画像データに分けて吐出タイミング順に格納するとともに、当該1列分画像データを、各ノズル40で記録すべき1ドット毎の1ドット分画像データに分けてノズル40の配列順序、つまりノズル40(1)〜ノズル40(n)の順に格納している。なお、各ページの記録媒体Kに同一の画像が記録される場合には、ページメモリ33には、1ページ分の画像データが記憶される。以下、ページメモリ33における1列分画像データの配列方向を行方向、1ドット分画像データの配列方向を列方向として説明する。また、ページメモリ33における各記憶素子P,…のうち、行方向にM番目(Mは1〜mの自然数)、列方向にN番目のものを記憶素子P(M−N)とし、括弧内の数値の組み合わせを記憶素子Pのアドレスとして説明する。これにより、例えば搬送方向X(+)に搬送される記録媒体Kに対して最初の吐出タイミングでノズル40(1)が記録すべき1ドット分画像データを格納する記憶素子Pのアドレスは、(1−1)となる。
【0041】
[2−6]制御部5
制御部5は、プリントユニット3の各部を駆動制御するものであり、本実施の形態においては、プリントユニット3に対して交換可能に設けられている。この制御部5は、図4に示すように、メモリライト要求部50、メモリリード要求部6、メモリコントローラ51、レジスタコントロール部(搬送方向検知手段)53、吐出タイミング生成部52及びヘッド吐出データ転送部54等を備えている。なお、本実施の形態においては、制御部5における各構成要素のうち、レジスタコントロール部53以外の構成要素は、従来より公知のハードウェア回路によって形成されている。
【0042】
[2−6−1]メモリライト要求部50
メモリライト要求部50は、I/F部30を介してパソコンから送信される画像データをページメモリ33に送信して格納させるものであり、ページメモリ33に対して画像データを送信するとともに、メモリコントローラ51に対して書き込み信号と、ページメモリ33における記憶素子P,…のアドレス指定信号とを送信するようになっている。
【0043】
[2−6−2]メモリリード要求部6
メモリリード要求部6は、ページメモリ33内の画像データをヘッド吐出データ転送部54に対して送信させるものであり、メモリコントローラ51に対して読み出し信号と、ページメモリ33における記憶素子P,…のアドレス指定信号とを送信するようになっている。なお、このメモリリード要求部6については、後述の[3]で詳細に説明する。
【0044】
[2−6−3]メモリコントローラ51
メモリコントローラ51は、メモリライト要求部50からの書き込み信号及びアドレス指定信号に基づいて、ページメモリ33における書き込み対象の記憶素子P,…に画像データを記憶させるとともに、メモリリード要求部6からの読み出し信号及びアドレス指定信号に基づいて、ページメモリ33における読み出し対象の記憶素子P,…から画像データを出力させるようになっている。
【0045】
[2−6−4]レジスタコントロール部53
レジスタコントロール部53は、CPUで構成されており、I/F部30を介してパソコンから入力されるコマンド信号に基づいて、記録ヘッド4のシフトレジスタ42に出力すべきデータ内容を制御するようになっている。
【0046】
具体的には、レジスタコントロール部53は、ヘッド位置情報ラッチ部53aを介してメモリリード要求部6に接続されており、搬送方向X及び幅方向Yにおける記録ヘッド4の位置情報や、所定タイミング後に画像を記録すべき記録媒体Kのページ番号情報などをコマンド信号から抽出してヘッド位置情報ラッチ部53aに一旦ラッチさせた後、メモリリード要求部6に送信させるようになっている。また、このレジスタコントロール部53は、ノズル列方向ラッチ部53bを介してヘッド吐出データ転送部54に接続されており、基準縁部D1に対するノズル40(1)〜40(n)の配列順序をコマンド信号から抽出してノズル列方向ラッチ部53bに一旦ラッチさせた後、ヘッド吐出データ転送部54に送信させるようになっている。
【0047】
[2−6−5]吐出タイミング生成部52
吐出タイミング生成部52は、記録媒体Kに対するインクの吐出タイミングについての信号を生成するものであり、本実施の形態においては、エンコーダ32からのパルス信号と記録媒体検出部31からの記録媒体Kの検出信号とをメモリリード要求部6に送信するとともに、エンコーダ32からのパルス信号に対応する駆動波形をヘッド吐出データ転送部54に送信するようになっている。
【0048】
[2−6−6]ヘッド吐出データ転送部54
ヘッド吐出データ転送部54は、ページメモリ33から送信される1列分画像データを各ノズル40に対する1ビットの吐出可否データとしてシフトレジスタ42にシリアル方式で送信するようになっている。より詳細には、このときヘッド吐出データ転送部54は、ノズル列方向ラッチ部53bからの情報に基づいて、ノズル40,…の配列順序がノズル40(1)〜40(n)の場合には、当該1列分画像データにおける1ドット分画像データの順序を正順のまま、配列順序がノズル40(n)〜40(1)の場合には1ドット分画像データの順序を逆順にして、吐出可否データを送信するようになっている。
【0049】
また、このヘッド吐出データ転送部54は、吐出タイミング生成部52からの情報に基づいて、吐出可否データについてのラッチタイミング信号や、各吐出可否データの出力を吐出タイミング毎に同期させるためのSCLK信号などを、シフトレジスタ42に送信するようになっている。
【0050】
[3]メモリリード要求部6
続いて、上述のメモリリード要求部6について、詳細に説明する。
【0051】
図5に示すように、メモリリード要求部6は、搬送方向位置設定レジスタ60と、ディレイカウンタ61と、行方向アドレス選択部62と、メモリリード要求発生部63と、幅方向位置設定レジスタ64と、列方向アドレス選択部65と、リードアドレス発生部66とを備えている。
【0052】
[3−1]搬送方向位置設定レジスタ60
搬送方向位置設定レジスタ60は、搬送方向Xにおける記録ヘッド4の位置情報、より詳細には、記録媒体検出部31を基準位置とした場合での搬送方向Xにおける記録ヘッド4の位置情報を、ヘッド位置情報ラッチ部53aから受信してラッチし、ディレイカウンタ61に送信するようになっている。
【0053】
[3−2]ディレイカウンタ61
ディレイカウンタ61は、搬送方向位置設定レジスタ60からの情報(搬送方向Xにおける記録ヘッド4の位置情報)と、エンコーダ32からのパルス信号とに基づいて、記録媒体検出部31によって検出された記録媒体Kの縁部K1と、記録ヘッド4のインク着弾位置T(図1参照)との距離をカウントダウンし、そのカウント値を出力するようになっている。また、このディレイカウンタ61は、記録媒体Kの縁部K1がインク着弾位置Tを通過した後には、当該縁部K1とインク着弾位置Tとの距離をカウントアップし、そのカウント値を出力するようになっている。これにより、ページメモリ33における行方向(搬送方向Y)のうち、所定タイミング後に記録ヘッド4によって記録すべき1列分画像データのアドレスが選択可能となる。
なお、以上のディレイカウンタ61は、記録媒体Kの記録対象領域における搬送方向Xの先端側の縁部と、インク着弾位置Tとの距離をカウントダウン及びカウントアップすることとしても良い。
【0054】
[3−3]行方向アドレス選択部62
行方向アドレス選択部62は、ディレイカウンタ61からのカウント値に基づいて、ページメモリ33における1ページ分の行方向アドレス「1」〜「m」のうち、所定タイミング後に記録ヘッド4によって記録すべき1列分画像データのアドレスを先頭側から順に選択して、リードアドレス発生部66と、メモリリード要求発生部63とに送信するようになっている。
【0055】
また、この行方向アドレス選択部62は、所定タイミング後に記録ヘッド4の対向位置に記録媒体Kが存在しない場合、つまり、所定タイミング後に記録ヘッド4によって記録すべき1列分画像データを格納する記憶素子Pのアドレスがページメモリ33内に存在しない場合には、アドレスが無い旨の信号をリードアドレス発生部66と、メモリリード要求発生部63とに送信するようになっている。
【0056】
[3−4]メモリリード要求発生部63
メモリリード要求発生部63は、行方向アドレス選択部62からアドレスの信号が送信された場合には、リードアドレス発生部66から送信されるアドレスの画像データを読み出すよう、メモリコントローラ51に読出要求信号を送信する一方、行方向アドレス選択部62からアドレスの無い旨の信号が送信された場合には、無色の画像データを読み出すよう、メモリコントローラ51に読出要求信号を送信するようになっている。
【0057】
[3−5]幅方向位置設定レジスタ64
幅方向位置設定レジスタ64は、幅方向Yにおける記録ヘッド4の位置情報をヘッド位置情報ラッチ部53aから受信してラッチし、列方向アドレス選択部65に送信するようになっている。
【0058】
[3−6]列方向アドレス選択部65
列方向アドレス選択部65は、幅方向位置設定レジスタ64から送信される情報に基づいて、ページメモリ33における列方向アドレス「1」〜「n」のうち、記録ヘッド4によって記録すべき1ドット分画像データのアドレスを選択して、リードアドレス発生部66に送信するようになっている。なお、本実施の形態においては、記録ヘッド4のノズル列Lが記録媒体Kの両端に亘って1つのみ設けられているため、列方向アドレス選択部65は、ページメモリ33における列方向の全アドレスを選択するようになっている。
【0059】
[3−7]リードアドレス発生部66
リードアドレス発生部66は、行方向アドレス選択部62による選択アドレスと、列方向アドレス選択部65による選択アドレスと、レジスタコントロール部53から送信されるページ番号情報とに基づいて、ページメモリ33から読み出すべき画像データのアドレスをメモリコントローラ51に送信するようになっている。なお、行方向アドレス選択部62からアドレスの無い旨の信号が送信された場合には、リードアドレス発生部66は、この信号をそのままメモリコントローラ51に送信するようになっている。
【0060】
[4]インクジェット記録装置1の動作
続いて、以上のインクジェット記録装置1の動作について、上述の図2を参照しつつ説明する。
【0061】
[4−1]搬送装置2が正の搬送方向X(+)に記録媒体Kを搬送する場合
まず、正の搬送方向X(+)に記録媒体Kが搬送される場合の動作について、図2(a)を参照しながら説明する。
【0062】
この場合には、まず、パソコンからインクジェット記録装置1に対して画像データとコマンド信号とが送信されると、メモリライト要求部50及びメモリコントローラ51によって画像データがページメモリ33に記憶される。これにより、例えばM回目の吐出タイミングでノズル40(1)〜40(n)が記録すべき1ドット分画像データは記憶素子P(M−1)〜P(M−n)に記憶される。
【0063】
次に、インクジェット記録装置1の搬送装置2が台紙D及び記録媒体Kの搬送を開始すると、エンコーダ32が台紙D(記録媒体K)に追従して回転し、その回転量をパルス信号として出力する。また、記録媒体検出部31が搬送方向Xにおける記録媒体Kの先端側の縁部K1を検出する。
【0064】
また、レジスタコントロール部53が、搬送方向X及び幅方向Yにおける記録ヘッド4の位置情報や、所定タイミング後に画像を記録すべき記録媒体Kのページ番号情報「1」などをコマンド信号から抽出して、ヘッド位置情報ラッチ部53aに一旦ラッチさせた後、メモリリード要求部6に送信させる。また、このレジスタコントロール部53は、基準縁部D1に対するノズル40,…の配列順序(本動作例ではノズル40(1)〜40(n)の順)をコマンド信号から抽出してノズル列方向ラッチ部53bに一旦ラッチさせた後、ヘッド吐出データ転送部54に送信させる。
【0065】
次に、列方向アドレス選択部65が、幅方向位置設定レジスタ64から送信される情報(幅方向Yにおける記録ヘッド4の位置情報)に基づいて、ページメモリ33における列方向の全アドレス「1」〜「n」を指定する。
【0066】
また、記録媒体検出部31を基準位置とした場合での搬送方向Xにおける記録ヘッド4の位置情報が搬送方向位置設定レジスタ60を介してディレイカウンタ61に送信され、ディレイカウンタ61は、エンコーダ32からのパルス信号に基づいて、記録媒体Kの縁部K1と記録ヘッド4のインク着弾位置Tとの距離のカウントダウン/カウントアップを開始する。
【0067】
次に、行方向アドレス選択部62が、ディレイカウンタ61からのカウント値に基づいて、ページメモリ33における1ページ分の行方向アドレスのうち、先頭から1列目のアドレス「1」を選択して、リードアドレス発生部66と、メモリリード要求発生部63とに送信する。
【0068】
次に、リードアドレス発生部66が、行方向アドレス選択部62による選択アドレス「1」と、列方向アドレス選択部65による選択アドレス「1」〜「n」と、レジスタコントロール部53から送信されるページ番号情報「1」とに基づいて、ページメモリ33から読み出すべき画像データのアドレス(1−1)〜(1―n)をメモリコントローラ51に送信する。また、メモリリード要求発生部63が、リードアドレス発生部66から送信されるアドレスの画像データを読み出すよう、メモリコントローラ51に読出要求信号を送信する。これにより、ページメモリ33の記憶素子P(1−1)〜P(1―n)から画像データが読み出され、ヘッド吐出データ転送部54に送信される。
【0069】
次に、ヘッド吐出データ転送部54は、ノズル列方向ラッチ部53bからの情報(本動作例では、ノズル40,…の配列順序がノズル40(1)〜40(n)である旨の情報)に基づいて、ページメモリ33から送信される1列分画像データを各ノズル40に対する1ビットの吐出可否データとして、正順のままシフトレジスタ42にシリアル方式で送信する。また、このときヘッド吐出データ転送部54は、吐出タイミング生成部52からの情報に基づいて、吐出可否データについてのラッチタイミング信号(駆動波形信号)や、各吐出可否データの出力を吐出タイミング毎に同期させるためのSCLK信号などを、シフトレジスタ42に送信する。
【0070】
これにより、シフトレジスタ42における記憶素子S(1)〜S(n)には、ページメモリ33における記憶素子P(1−1)〜P(1−n)内の画像データに対応する吐出可否データが格納される。
【0071】
そして、記録媒体Kの記録領域のうち、1番目の吐出タイミングに対応する領域がインク着弾位置Tに達すると、記録ヘッド4が吐出可否データと駆動波形とに基づいてインクを吐出する。
【0072】
以降、上述の動作を繰り返すことにより、ページメモリ33から該当ページの記録媒体Kについての画像データが1列分画像データの格納順、かつ1ドット分画像データの格納順に読み出されて、読み出し順に吐出可否データとしてシフトレジスタ42に記憶され、当該吐出可否データに基づいて各記録媒体Kにそれぞれ画像が記録される(図中、右側の記録媒体Kを参照)。
【0073】
[4−2]搬送装置2が逆の搬送方向X(−)に記録媒体Kを搬送する場合
続いて、逆の搬送方向X(−)に記録媒体Kが搬送される場合の動作について、図2(b)を参照しながら説明する。
【0074】
この場合には、まずパソコンからインクジェット記録装置1に対して画像データとコマンド信号とが送信されると、上記[4−1]の場合と同様に、画像データがページメモリ33に記憶される。
【0075】
次に、インクジェット記録装置1の搬送装置2が台紙D及び記録媒体Kの搬送を開始すると、エンコーダ32が台紙D(記録媒体K)に追従して回転し、その回転量をパルス信号として出力する。また、記録媒体検出部31が搬送方向Xにおける記録媒体Kの先端側の縁部K1を検出する。
【0076】
また、レジスタコントロール部53が、搬送方向X及び幅方向Yにおける記録ヘッド4の位置情報や、所定タイミング後に画像を記録すべき記録媒体Kのページ番号情報「1」などをコマンド信号から抽出して、ヘッド位置情報ラッチ部53aに一旦ラッチさせた後、メモリリード要求部6に送信させる。また、このレジスタコントロール部53は、基準縁部D1に対するノズル40,…の配列順序(本動作例ではノズル40(n)〜40(1)の順)をコマンド信号から抽出してノズル列方向ラッチ部53bに一旦ラッチさせた後、ヘッド吐出データ転送部54に送信させる。
【0077】
次に、列方向アドレス選択部65が、幅方向位置設定レジスタ64から送信される情報(幅方向Yにおける記録ヘッド4の位置情報)に基づいて、ページメモリ33における列方向の全アドレス「1」〜「n」を指定する。
【0078】
また、記録媒体検出部31を基準位置とした場合での搬送方向Xにおける記録ヘッド4の位置情報が搬送方向位置設定レジスタ60を介してディレイカウンタ61に送信され、ディレイカウンタ61は、エンコーダ32からのパルス信号に基づいて、記録媒体Kの縁部K1と記録ヘッド4のインク着弾位置Tとの距離のカウントダウン/カウントアップを開始する。
【0079】
次に、行方向アドレス選択部62が、ディレイカウンタ61からのカウント値に基づいて、ページメモリ33における1ページ分の行方向アドレスのうち、先頭から1列目のアドレス「1」を選択して、リードアドレス発生部66と、メモリリード要求発生部63とに送信する。
【0080】
次に、リードアドレス発生部66が、行方向アドレス選択部62による選択アドレス「1」と、列方向アドレス選択部65による選択アドレス「1」〜「n」と、レジスタコントロール部53から送信されるページ番号情報「1」とに基づいて、ページメモリ33から読み出すべき画像データのアドレス(1−1)〜(1―n)をメモリコントローラ51に送信する。また、メモリリード要求発生部63が、リードアドレス発生部66から送信されるアドレスの画像データを読み出すよう、メモリコントローラ51に読出要求信号を送信する。これにより、ページメモリ33の記憶素子P(1−1)〜P(1―n)から画像データが読み出され、ヘッド吐出データ転送部54に送信される。
【0081】
次に、ヘッド吐出データ転送部54は、ノズル列方向ラッチ部53bからの情報(本動作例では、ノズル40,…の配列順序がノズル40(n)〜40(1)である旨の情報)に基づいて、ページメモリ33から送信される1列分画像データを各ノズル40に対する1ビットの吐出可否データとして、逆順でシフトレジスタ42にシリアル方式で送信する。また、このときヘッド吐出データ転送部54は、吐出タイミング生成部52からの情報に基づいて、吐出可否データについてのラッチタイミング信号(駆動波形信号)や、各吐出可否データの出力を吐出タイミング毎に同期させるためのSCLK信号などを、シフトレジスタ42に送信する。
【0082】
これにより、シフトレジスタ42における記憶素子S(1)〜S(n)には、ページメモリ33における記憶素子P(1−n)〜P(1−1)内の画像データに対応する吐出可否データが格納される。
【0083】
そして、記録媒体Kの記録領域のうち、1番目の吐出タイミングに対応する領域がインク着弾位置Tに達すると、記録ヘッド4が吐出可否データと駆動波形とに基づいてインクを吐出する。
【0084】
以降、上述の動作を繰り返すことにより、ページメモリ33から該当ページの記録媒体Kについての画像データが1列分画像データの格納順、かつ1ドット分画像データの格納順に読み出されて、1列分画像データの読み出し順、かつ1ドット分画像データの読み出し順とは逆順に吐出可否データとしてシフトレジスタ42に記憶され、当該吐出可否データに基づいて、逆向きに搬送される各記録媒体Kに画像が記録される(図中、左端の記録媒体Kを参照)。つまり、結果的に180度回転された画像データに基づいて画像が記録された状態となるため、記録される画像は上記[4−1]の場合と同様の画像となる。
【0085】
以上のインクジェット記録装置1によれば、搬送方向Xが逆方向の場合に、180度回転された画像データに基づいて各記録媒体Kに画像を記録した状態とすることができるため、搬送方向Xに関わらず画像を記録することができる。
【0086】
また、搬送方向Xに関わらず画像を記録することができるため、搬送装置2の操作パネル2aに対してプリントユニット3の操作パネル3aの向きを揃え、操作やメンテナンスの効率を高めることができる。
【0087】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0088】
例えば、上記実施の形態においては、搬送方向Xが正方向である場合には、ヘッド吐出データ転送部54が1列分画像データを正順のままシフトレジスタ42に送信する一方、搬送方向Xが逆方向である場合には逆順でシフトレジスタ42に送信することとして説明したが、シフトレジスタ42を両端部からそれぞれシリアル入力可能に設けておき、搬送方向Xが正方向の場合には1列分画像データを一方の端部から正順のままシリアル入力し、逆方向の場合には他方の端部から正順のままシリアル入力することとしても良い。この場合であっても、シフトレジスタ42には搬送方向Xが逆方向であるときに各1列分画像データが逆順で格納されるため、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
また、制御部5は搬送方向Xが逆方向の場合に、画像データを1列分画像データの格納順、かつ1ドット分画像データの格納順に読み出して、1列分画像データの読み出し順、かつ1ドット分画像データの読み出し順とは逆順に吐出可否データとしてシフトレジスタ42に記憶させることとして説明したが、ページメモリ33における各ページの画像データを1列分画像データの格納順、かつ1ドット分画像データの格納順とは逆順に吐出可否データとしてシフトレジスタに記憶させる限りにおいて、他の動作を行なうこととしても良い。具体的には、例えば制御部5は、搬送方向Xが逆方向の場合に、ページメモリ33から画像データを1列分画像データの格納順、かつ1ドット分画像データの格納順とは逆順に読み出して、吐出可否データとして読み出し順にシフトレジスタ42に記憶させることとしても良い。
【0090】
また、レジスタコントロール部53はパソコンからのコマンド信号に基づいて搬送方向Xの正逆を検知することとして説明したが、操作パネル3a,2aに対するユーザ操作に基づいて検知することとしても良い。
【0091】
また、記録ヘッド4の延在方向を幅方向Yとして説明したが、搬送方向Xと交差する限りにおいて、他の方向としても良い。
【0092】
<変形例>
続いて、本発明に係るインクジェット記録装置の変形例について説明する。なお、上記の第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0093】
[5]インクジェット記録装置の変形例の概略構成
図6は、本変形例におけるインクジェットプリンタ1Aの概略構成を示す平面図である。
【0094】
この図に示すように、インクジェット記録装置1Aにおけるプリントユニット3Aはp個(pは2以上の自然数)の記録ヘッド4A,…を有しており、これら記録ヘッド4A,…は幅方向Yに延在する2列の千鳥状に配設されている。また、各記録ヘッド4Aには、幅方向Yに配列されたq個(qは2以上、n未満の自然数)のノズル40(1)〜40(q)からなるノズル列Lが設けられている。以下、これらp個の記録ヘッド4A,…のうち、搬送方向Xに対して左側、つまり台紙Dの基準縁部D1の側からP番目(Pは1〜pの自然数)のものを記録ヘッド4A(P)とし、括弧内の数値を当該記録ヘッド4Aの番号として説明する。
【0095】
また、上述の図3,図4に示すように、プリントユニット3Aの制御部5Aは、レジスタコントロール部53と、各記録ヘッド4A,…に対応するp個のヘッド位置情報ラッチ部53c,…及びノズル列方向ラッチ部53d,…を有している。以下、これらp個のヘッド位置情報ラッチ部53c,ノズル列方向ラッチ部53dのうち、記録ヘッド4A(P)に対応するものをヘッド位置情報ラッチ部53c(P),ノズル列方向ラッチ部53d(P)とし、括弧内の数値を当該ヘッド位置情報ラッチ部53c,ノズル列方向ラッチ部53dの番号として説明する。
【0096】
このうち、レジスタコントロール部53Aは、各ヘッド位置情報ラッチ部53cを介してメモリリード要求部6に接続されており、各ヘッド位置情報ラッチ部53cに対応する記録ヘッド4Aの搬送方向X及び幅方向Yにおける位置情報や、当該記録ヘッド4Aの番号情報、所定タイミング後に画像を記録すべき記録媒体Kのページ番号情報などをコマンド信号から抽出してヘッド位置情報ラッチ部53cに一旦ラッチさせた後、メモリリード要求部6に送信させるようになっている。
【0097】
また、このレジスタコントロール部53Aは、ノズル列方向ラッチ部53dを介してヘッド吐出データ転送部54に接続されており、各ノズル列方向ラッチ部53dに対応する記録ヘッド4Aにおけるノズル40(1)〜40(q)の基準縁部D1に対する配列順序をコマンド信号から抽出してノズル列方向ラッチ部53dに一旦ラッチさせた後、ヘッド吐出データ転送部54に送信させるようになっている。
【0098】
また、制御部5Aはメモリリード要求部6Aと、ヘッド吐出データ転送部54Aとを有している。
メモリリード要求部6Aには、上述の図5に示すように、各記録ヘッド4A,…に対応するp個のディレイカウンタ61A,…と、行方向アドレス選択部62A及び列方向アドレス選択部65Aとが設けられている。
【0099】
このうち、ディレイカウンタ61A,…は、搬送方向位置設定レジスタ60からの情報(対応する記録ヘッド4Aの搬送方向Xにおける位置情報)と、エンコーダ32からのパルス信号とに基づいて、記録媒体検出部31によって検出された記録媒体Kの縁部K1と、対応する記録ヘッド4Aのインク着弾位置Tとの距離をカウントダウン/カウントアップし、そのカウント値を出力するようになっている。なお、このディレイカウンタ61Aは、記録媒体Kの記録対象領域における搬送方向Xの先端側の縁部と、インク着弾位置Tとの距離をカウントダウン/カウントアップすることとしても良い。以下、これらp個のディレイカウンタ61A,…のうち、記録ヘッド4A(P)に対応するものをディレイカウンタ61A(P)とし、括弧内の数値を当該ディレイカウンタ61Aの番号として説明する。
【0100】
また、行方向アドレス選択部62Aは、ディレイカウンタ61A,…からの各カウント値に基づいて、ページメモリ33における1ページ分の行方向アドレス「1」〜「m」のうち、当該ディレイカウンタ61Aに対応する記録ヘッド4Aによって所定タイミング後に記録すべき1列分画像データのアドレスを先頭側から順に選択して、このアドレスと当該記録ヘッド4A,…の識別番号「P」とを、リードアドレス発生部66と、メモリリード要求発生部63とに送信するようになっている。
【0101】
また、この行方向アドレス選択部62Aは、記録ヘッド4Aの対向位置に記録媒体Kが存在しない場合、つまり、所定タイミング後に当該記録ヘッド4Aによって記録すべき1列分画像データを格納する記憶素子Pのアドレスがページメモリ33内に存在しない場合には、アドレスが無い旨の信号と、当該記録ヘッド4Aの識別番号「P」とをリードアドレス発生部66と、メモリリード要求発生部63とに送信するようになっている。
【0102】
また、列方向アドレス選択部65Aは、幅方向位置設定レジスタ64から送信される情報に基づいて、ページメモリ33における列方向アドレス「1」〜「n」のうち、各記録ヘッド4Aによって記録すべき1ドット分画像データのアドレス「1」〜「q」,「q+1」〜「2q」,…を選択して、このアドレスと当該記録ヘッド4Aの識別番号「P」とを、リードアドレス発生部66に送信するようになっている。なお、本変形例においては、記録ヘッド4Aのノズル列Lが記録媒体Kの両端に亘って複数設けられているため、列方向アドレス選択部65は、ページメモリ33における列方向の全アドレスをノズル列Lの個数(記録ヘッド4Aの個数「p」)に分けて選択するようになっている。
【0103】
また、ヘッド吐出データ転送部54Aは、記録ヘッド4Aの個数「p」に分けてページメモリ33から送信される1列分画像データ、つまり複数の1ドット分画像データを各ノズル40に対する1ビットの吐出可否データとして、各記録ヘッド4Aのシフトレジスタ42にシリアル方式で送信するようになっている。
【0104】
より詳細には、ヘッド吐出データ転送部54Aは、ページメモリ33を介してメモリリード要求部6Aから送信される記録ヘッド4Aの識別番号「P」に基づいて、当該識別番号「P」に対応する記録ヘッド4A(P)のシフトレジスタ42に各画像データを送信するようになっている。また、このときヘッド吐出データ転送部54Aは、各ノズル列方向ラッチ部53d,…からの情報に基づいて、当該ノズル列方向ラッチ部53dに対応する記録ヘッド4Aのノズル40,…の配列順序がノズル40(1)〜40(q)の場合には、当該1列分画像データにおける1ドット分画像データの順序を正順のまま、配列順序がノズル40(q)〜40(1)の場合には1ドット分画像データの順序を逆順にして、吐出可否データを送信するようになっている。
【0105】
また、このヘッド吐出データ転送部54Aは、吐出タイミング生成部52からの情報に基づいて、吐出可否データについてのラッチタイミング信号や、各吐出可否データの出力を吐出タイミング毎に同期させるためのSCLK信号などを、各記録ヘッド4Aのシフトレジスタ42に送信するようになっている。
【0106】
[6]インクジェット記録装置1Aの動作
続いて、以上のインクジェット記録装置1Aの動作について、上述の図6を参照しつつ説明する。
【0107】
[6−1]搬送装置2が正の搬送方向X(+)に記録媒体Kを搬送する場合
まず、正の搬送方向X(+)に記録媒体Kが搬送される場合の動作について、図6(a)を参照しながら説明する。
【0108】
この場合には、まずパソコンからインクジェット記録装置1に対して画像データとコマンド信号とが送信されると、上記[4−1]の場合と同様に、画像データがページメモリ33に記憶される。
【0109】
次に、インクジェット記録装置1の搬送装置2が台紙D及び記録媒体Kの搬送を開始すると、エンコーダ32が台紙D(記録媒体K)に追従して回転し、その回転量をパルス信号として出力する。また、記録媒体検出部31が搬送方向Xにおける記録媒体Kの先端側の縁部K1を検出する。
【0110】
また、レジスタコントロール部53Aが、搬送方向X及び幅方向Yにおける各記録ヘッド4A,…の位置情報や番号情報、所定タイミング後に画像を記録すべき記録媒体Kのページ番号情報「1」などをコマンド信号から抽出して、対応するヘッド位置情報ラッチ部53c,…に一旦ラッチさせた後、メモリリード要求部6に送信させる。なお、このとき送信される記録ヘッド4Aの番号情報には、各記録ヘッド4Aの番号が操作パネル3aに近い側から「1」,「2」,…「p」となる旨が含まれている。
【0111】
また、このレジスタコントロール部53Aは、各記録ヘッド4A,…におけるノズル40,…の基準縁部D1に対する配列順序(本動作例ではノズル40(1)〜40(q)の順)をコマンド信号から抽出して、対応するノズル列方向ラッチ部53d,…に一旦ラッチさせた後、ヘッド吐出データ転送部54Aに送信させる。
【0112】
次に、列方向アドレス選択部65Aが、幅方向位置設定レジスタ64から送信される情報(幅方向Yにおける各記録ヘッド4A,…の位置情報)に基づいて、ページメモリ33における列方向アドレス「1」〜「n」のうち、各記録ヘッド4A,…によって記録すべき1ドット分画像データのアドレス「1」〜「q」,「q+1」〜「2q」,…を選択して、このアドレスと当該記録ヘッド4Aの識別番号「P」とを、リードアドレス発生部66に送信する。
【0113】
また、記録媒体検出部31を基準位置とした場合での搬送方向Xにおける各記録ヘッド4,…の位置情報が搬送方向位置設定レジスタ60を介して各ディレイカウンタ61Aに送信され、各ディレイカウンタ61Aは、エンコーダ32からのパルス信号に基づいて、記録媒体Kの縁部K1と、対応する記録ヘッド4Aのインク着弾位置Tとの距離のカウントダウン/カウントアップを開始する。
【0114】
次に、行方向アドレス選択部62Aが、各ディレイカウンタ61Aからのカウント値に基づいて、ページメモリ33における1ページ分の行方向アドレスのうち、当該ディレイカウンタ61Aに対応する記録ヘッド4Aによって所定タイミング後に記録すべき1列分画像データのアドレスを先頭側から順に選択して、選択したアドレス「r」(rは0〜mの整数)と当該記録ヘッド4A,…の識別番号「P」とを、リードアドレス発生部66と、メモリリード要求発生部63とに送信する。
【0115】
次に、リードアドレス発生部66が、行方向アドレス選択部62による選択アドレス「r」と、列方向アドレス選択部65による選択アドレス「1」〜「q」,「q+1」〜「2q」,…と、レジスタコントロール部53Aから送信されるページ番号情報「1」とに基づいて、ページメモリ33から読み出すべき画像データのアドレス(r−1)〜(r―q)や、(r−(q+1))〜(r−2q)等をメモリコントローラ51に送信する。また、メモリリード要求発生部63が、リードアドレス発生部66から送信されるアドレスの画像データを読み出すよう、メモリコントローラ51に読出要求信号を送信する。これにより、ページメモリ33の記憶素子P(r−1)〜P(r―q)などから画像データが読み出され、ヘッド吐出データ転送部54Aに送信される。
【0116】
次に、ヘッド吐出データ転送部54Aは、メモリリード要求部6から送信される記録ヘッド4Aの識別番号「P」と、各ノズル列方向ラッチ部53dからの情報(本動作例では、ノズル40,…の配列順序がノズル40(1)〜40(q)である旨の情報)とに基づいて、ページメモリ33から送信される複数の1ドット分画像データを各ノズル40に対する1ビットの吐出可否データとして、識別番号「P」に対応する記録ヘッド4A(P)のシフトレジスタ42に正順のままシリアル方式で送信する。これにより、シフトレジスタ42における記憶素子S(1)〜S(q)には、ページメモリ33における記憶素子P(r−1)〜P(r−q)などの画像データに対応する吐出可否データが格納され、記録ヘッド4A(1)〜4A(p)の並び、つまり台紙Dの基準縁部D1に近い側の記録ヘッド4Aの並びのレジスタ42全体には、ページメモリ33の1列分画像データにおける各1ドット分画像データがページメモリ33における並び通りに吐出可否データとして記憶されることとなる。
【0117】
また、このときヘッド吐出データ転送部54Aは、吐出タイミング生成部52からの情報に基づいて、吐出可否データについてのラッチタイミング信号(駆動波形信号)や、各吐出可否データの出力を吐出タイミング毎に同期させるためのSCLK信号などを、シフトレジスタ42に送信する。
【0118】
そして、記録媒体Kの記録領域のうち、1番目の吐出タイミングに対応する領域がインク着弾位置Tに達すると、記録ヘッド4が吐出可否データと駆動波形とに基づいてインクを吐出する。
【0119】
以降、上述の動作を繰り返すことにより、ページメモリ33から該当ページの記録媒体Kについての画像データが1列分画像データの格納順、かつ1ドット分画像データの格納順に読み出されて、読み出し順に吐出可否データとして各シフトレジスタ42,…に記憶され、当該吐出可否データに基づいて各記録媒体Kにそれぞれ画像が記録される(図中、右側の記録媒体Kを参照)。
【0120】
[6−2]搬送装置2が逆の搬送方向X(−)に記録媒体Kを搬送する場合
続いて、逆の搬送方向X(−)に記録媒体Kが搬送される場合の動作について、図6(b)を参照しながら説明する。
【0121】
この場合には、まずパソコンからインクジェット記録装置1に対して画像データとコマンド信号とが送信されると、上記[4−1]の場合と同様に、画像データがページメモリ33に記憶される。
【0122】
次に、インクジェット記録装置1の搬送装置2が台紙D及び記録媒体Kの搬送を開始すると、エンコーダ32が台紙D(記録媒体K)に追従して回転し、その回転量をパルス信号として出力する。また、記録媒体検出部31が搬送方向Xにおける記録媒体Kの先端側の縁部K1を検出する。
【0123】
また、レジスタコントロール部53Aが、搬送方向X及び幅方向Yにおける記録ヘッド4の位置情報や番号情報、所定タイミング後に画像を記録すべき記録媒体Kのページ番号情報「1」などをコマンド信号から抽出して、対応するヘッド位置情報ラッチ部53c,…に一旦ラッチさせた後、メモリリード要求部6に送信させる。なお、このとき送信される記録ヘッド4Aの番号情報には、各記録ヘッド4Aの番号が操作パネル3aに遠い側から「1」,「2」,…「p」となる旨が含まれている。
【0124】
また、このレジスタコントロール部53Aは、各記録ヘッド4A,…におけるノズル40,…の基準縁部D1に対する配列順序(本動作例ではノズル40(q)〜40(1)の順)をコマンド信号から抽出して、対応するノズル列方向ラッチ部53dに一旦ラッチさせた後、ヘッド吐出データ転送部54Aに送信させる。
【0125】
次に、列方向アドレス選択部65Aが、幅方向位置設定レジスタ64から送信される情報(幅方向Yにおける各記録ヘッド4A,…の位置情報)に基づいて、ページメモリ33における列方向アドレス「1」〜「n」のうち、各記録ヘッド4A,…によって記録すべき1ドット分画像データのアドレス「1」〜「q」,「q+1」〜「2q」,…を選択して、このアドレスと当該記録ヘッド4Aの識別番号「P」とを、リードアドレス発生部66に送信する。
【0126】
また、記録媒体検出部31を基準位置とした場合での搬送方向Xにおける各記録ヘッド4,…の位置情報が搬送方向位置設定レジスタ60を介して各ディレイカウンタ61Aに送信され、各ディレイカウンタ61Aは、エンコーダ32からのパルス信号に基づいて、記録媒体Kの縁部K1と、対応する記録ヘッド4Aのインク着弾位置Tとの距離のカウントダウン/カウントアップを開始する。
【0127】
次に、行方向アドレス選択部62Aが、各ディレイカウンタ61Aからのカウント値に基づいて、ページメモリ33における1ページ分の行方向アドレスのうち、当該ディレイカウンタ61Aに対応する記録ヘッド4Aによって所定タイミング後に記録すべき1列分画像データのアドレスを先頭側から順に選択して、選択したアドレス「r」と当該記録ヘッド4A,…の識別番号「P」とを、リードアドレス発生部66と、メモリリード要求発生部63とに送信する。
【0128】
次に、リードアドレス発生部66が、行方向アドレス選択部62による選択アドレス「r」と、列方向アドレス選択部65による選択アドレス「1」〜「q」,「q+1」〜「2q」,…と、レジスタコントロール部53Aから送信されるページ番号情報「1」とに基づいて、ページメモリ33から読み出すべき画像データのアドレス(r−1)〜(r―q)や、(r−(q+1))〜(r−2q)等をメモリコントローラ51に送信する。また、メモリリード要求発生部63が、リードアドレス発生部66から送信されるアドレスの画像データを読み出すよう、メモリコントローラ51に読出要求信号を送信する。これにより、ページメモリ33の記憶素子P(r−1)〜P(r―n)などから画像データが読み出され、ヘッド吐出データ転送部54Aに送信される。
【0129】
次に、ヘッド吐出データ転送部54Aは、メモリリード要求部6から送信される記録ヘッド4Aの識別番号「P」と、各ノズル列方向ラッチ部53dからの情報(本動作例では、ノズル40,…の配列順序がノズル40(q)〜40(1)である旨の情報)に基づいて、ページメモリ33から送信される複数の1ドット分画像データを各ノズル40に対する1ビットの吐出可否データとして、識別番号「P」に対応する記録ヘッド4A(P)のシフトレジスタ42にシリアル方式で逆順に送信する。これにより、シフトレジスタ42における記憶素子S(1)〜S(q)には、ページメモリ33における記憶素子P(r−n)〜P(r−1)内の画像データに対応する吐出可否データが格納され、記録ヘッド4A(1)〜4A(p)の並び、つまり台紙Dの基準縁部D1に近い側の記録ヘッド4Aの並びのレジスタ42全体には、ページメモリ33の1列分画像データにおける各1ドット分画像データがページメモリ33における並び通りに吐出可否データとして記憶されることとなる。
【0130】
また、このときヘッド吐出データ転送部54Aは、吐出タイミング生成部52からの情報に基づいて、吐出可否データについてのラッチタイミング信号(駆動波形信号)や、各吐出可否データの出力を吐出タイミング毎に同期させるためのSCLK信号などを、シフトレジスタ42に送信する。
【0131】
そして、記録媒体Kの記録領域のうち、1番目の吐出タイミングに対応する領域がインク着弾位置Tに達すると、記録ヘッド4が吐出可否データと駆動波形とに基づいてインクを吐出する。
【0132】
以降、上述の動作を繰り返すことにより、ページメモリ33から該当ページの記録媒体Kについての画像データが1列分画像データの格納順、かつ1ドット分画像データの格納順に読み出されて、1列分画像データの読み出し順、かつ1ドット分画像データの読み出し順とは逆順に吐出可否データとして各シフトレジスタ42,…に記憶され、当該吐出可否データに基づいて、逆向きに搬送される各記録媒体Kに画像が記録される(図中、左端の記録媒体Kを参照)。つまり、結果的に180度回転された画像データに基づいて各記録媒体Kに画像が記録された状態となるため、記録される画像は上記[6−1]の場合と同様の画像となる。
【0133】
以上のインクジェット記録装置1Aによれば、複数の記録ヘッド4A,…によって画像を記録する場合であっても、上記実施の形態におけるインクジェット記録装置1と同様の効果を得ることができる。
【0134】
なお、上記実施の形態及び変形例においては、記録ヘッド4は1つのノズル列Lによって1色のインクを吐出することとして説明したが、複数のノズル列L,…によって複数色のインクを吐出することとしても良い。この場合には、ページメモリ33には、ページ毎、かつ色毎の画像データが記憶されることとなる。また、リードアドレス発生部66は、レジスタコントロール部53から送信される色情報に基づいて、ページメモリ33における該当色の画像データのアドレスをメモリコントローラ51に送信することとなる。
【符号の説明】
【0135】
1,1A インクジェット記録装置
2 搬送装置
3,3A プリントユニット
4,4A 記録ヘッド
5 制御部(制御手段)
6 メモリリード要求部(第一の読出手段、第二の読出手段)
33 ページメモリ
42 シフトレジスタ(レジスタ)
53 レジスタコントロール部(搬送方向検知手段)
54 ヘッド吐出データ転送部(第一の読出手段、第二の読出手段)
K 記録媒体
X 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正逆何れか一方の搬送方向に順次搬送される記録媒体に向かってインクを吐出する記録ヘッドと、
各ページの記録媒体に対して出力されるべき画像データを、正の前記搬送方向に対応するデータ順序で記憶するページメモリと、
前記搬送方向が正方向と逆方向との何れであるかを検知する搬送方向検知手段と、
前記ページメモリにおける各ページの画像データに基づいて前記記録ヘッドにインクを吐出させる制御手段とを備え、
前記記録ヘッドは、
複数のノズルを前記搬送方向と交差するよう配列してなるノズル列と、
前記ノズル列の吐出タイミング毎での各ノズルに対する吐出可否データを、ラッチして各ノズルに出力するレジスタとを有し、
前記ページメモリは、
各ページの記録媒体についての前記画像データを、各吐出タイミングで記録すべき1列毎の1列分画像データに分けて吐出タイミング順に格納するとともに、当該1列分画像データを、各ノズルで記録すべき1ドット毎の1ドット分画像データに分けて、前記ノズル列における前記ノズルの配列順序に格納し、
前記制御手段は、
前記搬送方向検知手段により前記搬送方向が正方向であると検知された場合に、該当ページの記録媒体について前記ページメモリに格納された前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順に、前記吐出可否データとして前記レジスタに記憶させる第一の読出手段と、
前記搬送方向検知手段により前記搬送方向が逆方向であると検知された場合に、該当ページの記録媒体について前記ページメモリに格納された前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順とは逆順に、前記吐出可否データとして前記レジスタに記憶させる第二の読出手段とを有することを特徴とするプリントユニット。
【請求項2】
請求項1記載のプリントユニットにおいて、
前記第一の読出手段は、
前記ページメモリから該当ページの記録媒体についての前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順に読み出して、前記吐出可否データとして読み出し順に前記レジスタに記憶させ、
前記第二の読出手段は、
前記ページメモリから該当ページの記録媒体についての前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順に読み出して、前記1列分画像データの読み出し順、かつ前記1ドット分画像データの読み出し順とは逆順に前記吐出可否データとして前記レジスタに記憶させることを特徴とするプリントユニット。
【請求項3】
請求項2記載のプリントユニットにおいて、
前記レジスタは、吐出タイミング毎での各ノズルに対する前記吐出可否データを、両端部の何れか一方からシリアル入力されてラッチし、各ノズルにパラレル出力するシフトレジスタであり、
前記第一の読出手段は、前記ページメモリから該当ページの記録媒体についての前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順に読み出して、前記吐出可否データとして読み出し順に前記シフトレジスタの一方の端部からシリアル入力して記憶させ、
前記第二の読出手段は、前記ページメモリから該当ページの記録媒体についての前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順に読み出して、前記吐出可否データとして読み出し順に前記シフトレジスタの他方の端部からシリアル入力して記憶させることを特徴とするプリントユニット。
【請求項4】
請求項1記載のプリントユニットにおいて、
前記第一の読出手段は、
前記ページメモリから該当ページの記録媒体についての前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順に読み出して、前記吐出可否データとして読み出し順に前記レジスタに記憶させ、
前記第二の読出手段は、
前記ページメモリから該当ページの記録媒体についての前記画像データを、前記1列分画像データの格納順、かつ前記1ドット分画像データの格納順とは逆順に読み出して、前記吐出可否データとして読み出し順に前記レジスタに記憶させることを特徴とするプリントユニット。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のプリントユニットにおいて、
前記搬送方向の交差方向に配列された複数の前記記録ヘッドを備え、
前記第一の読出手段及び前記第二の読出手段は、
前記搬送方向に対して左右何れか一方の側から他方の側に向かって前記複数の記録ヘッドにおける各レジスタに順位付けし、この順位の並びの複数の前記レジスタに対し、前記1列分画像データにおける各1ドット分画像データを、前記ページメモリにおける並び通りに前記吐出可否データとして記憶させることを特徴とするプリントユニット。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のプリントユニットと、
記録媒体を正逆何れか一方の前記搬送方向に搬送する搬送装置とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−196975(P2012−196975A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−164260(P2012−164260)
【出願日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【分割の表示】特願2007−241211(P2007−241211)の分割
【原出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(305002394)コニカミノルタIJ株式会社 (317)
【Fターム(参考)】