プリント基板収納容器、及び不正電波検出装置
【課題】不正電波検出用の電子部品を搭載したプリント基板を位置決め精度良く収納することができるプリント基板収納容器を提供する。
【解決手段】上面が開口しプリント基板41を収容するケース本体51と、ケース本体の開口部を閉止する蓋体70と、を備え、ケース本体は、底板54から立設した側壁56、前壁58及び後壁60と、を備え、前壁にはプリント基板前端縁に対応した位置に設けられて上下方向へ延びる一対のガイド突条58a、及び下部ガイド突起58bが設けられ、蓋体は天板72の前端縁中央部から垂下して一対のガイド突条間に嵌合可能な突片74と、蓋体側係止部76と、を備え、突片はガイド突条間に嵌合しつつ、先行してケース本体内に収容されたプリント基板の前端縁に沿った上面を先端部にて押圧する。
【解決手段】上面が開口しプリント基板41を収容するケース本体51と、ケース本体の開口部を閉止する蓋体70と、を備え、ケース本体は、底板54から立設した側壁56、前壁58及び後壁60と、を備え、前壁にはプリント基板前端縁に対応した位置に設けられて上下方向へ延びる一対のガイド突条58a、及び下部ガイド突起58bが設けられ、蓋体は天板72の前端縁中央部から垂下して一対のガイド突条間に嵌合可能な突片74と、蓋体側係止部76と、を備え、突片はガイド突条間に嵌合しつつ、先行してケース本体内に収容されたプリント基板の前端縁に沿った上面を先端部にて押圧する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板収納容器に関し、例えばパチンコ遊技機、スロットマシン等の各種遊技機に対して行われる電波ゴトと呼ばれる不正行為を発見するために使用される電子部品を搭載するプリント基板を収納するための樹脂製ケース、及び不正電波検出装置の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機、スロットマシン等の各種遊技機においては、磁気近接センサによって要所を通過する金属製遊技球を検出することにより、入賞口への入球を検出したり、払い出される賞球を検出することが行われている。
ところで、ゴト師と呼ばれる不正行為者により、送信機から磁気近接センサに向けて電波を発射することによりこれを誤検知させて遊技内容を遊技者に都合良く進行させて出玉を獲得する所謂電波ゴトと指称される不正行為が行われている。具体的には、例えば、始動口の入賞信号に関する電波を遊技機の外部から発信して、不正に特別遊技状態(いわゆる大当り遊技状態)を発生させる行為を挙げることができる。
このような不正行為に対しては、磁気近接センサの近傍に不正電波検出装置(検波装置)を配置し、不正電波が発射されたことを検出する対策が採られている。
この検出装置は、不正な電波を検出するためのコイルアンテナ、その他の電子部品を搭載したプリント基板を樹脂製ケース内に収容した構成を備えている。
そして、電波ゴト行為による不正な電波を検出する検出装置にあっては、搭載した電子部品、特に電波検知用のコイルアンテナの方向が磁気近接センサから僅かでもずれていると検知精度に著しい低下がもたらされる。このため、樹脂ケース内におけるプリント基板の位置決め精度の厳格化が求められている。
【0003】
ところで、電波ゴト対策用の検出装置以外の分野では、プリント基板を収容するケースの構造としては、特許文献1、2、3に開示されたものがある。
まず、特許文献1、2には、ケース本体と蓋体との間でプリント基板を挟み込む構造と、プリント基板の端縁に設けた突起をケース本体側で係止する位置決め構造が開示されている。
また、特許文献1には、蓋体の端縁から垂下した嵌合凸部をプリント基板に設けた嵌合孔に嵌合させるプリント基板の位置決め構造が開示されている。
更に、特許文献3には、ケース本体と蓋体との間を係止片によって係止する閉止構造が開示されている。
しかし、これら従来のケース構造では、ケース内にプリント基板を高精度に位置決めすることが求められていないため、電波ゴト対策用の検出装置に適用することはできない。特に、ケース本体内にプリント基板を収納して蓋体によりケース本体を閉止した際に、プリント基板が厚さ方向へ位置ずれを起こし、搭載したコイルの向きにバラツキを起こすことが多々あった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−023075号公報
【特許文献2】特開2002−171083公報
【特許文献3】特開平09−326567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電波ゴト対策用の不正電波検出装置のように、プリント基板上に搭載した電子部品に対して高い位置決め精度が求められる場合には、プリント基板をケース内に収納する際の位置決め精度が極めて厳格に求められる。
しかし、従来のケース構造では、プリント基板をその厚み方向に高精度に位置決めすることが難しく、搭載したコイルアンテナの向きにバラツキが発生し、その結果、不正電波の検出精度が低下することがあった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、不正電波検出用の電子部品を搭載したプリント基板を位置決め精度良く収納することができるプリント基板収納容器、及び不正電波検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係るプリント基板収納容器は、後端縁からリード線が引き出され、且つ対向する2つの側端縁に夫々小突起対を備えたプリント基板を収容するプリント基板収納容器であって、上面が開口し前記プリント基板を収容するに足る容積を備えたケース本体と、該ケース本体の開口部を閉止した状態で該ケース本体に固定される蓋体と、から構成されており、前記ケース本体は、収容した前記プリント基板の下面と対向する上面を有した底板と、該底板の対向する2つの側端縁から夫々立設した側壁と、該底板の前端縁、及び後端縁から夫々立設した前壁及び後壁と、を備え、2つの前記側壁には、前記プリント基板の各小突起対を位置決めする位置決め部、及び本体側係止部が設けられており、前記前壁には、前記プリント基板前端縁に対応した位置に設けられて上下方向へ延びる一対のガイド突条、及び該一対のガイド突条間の下部に配置された下部ガイド突起が設けられており、前記後壁には、前記ケース本体内に収納された前記プリント基板から延びる前記リード線を外部に引き出すための凹所が形成されており、前記蓋体は、前記ケース本体の底板と対向し前記開口部を閉止する天板と、該天板の前端縁中央部から垂下して前記一対のガイド突条間に嵌合可能な突片と、前記天板の対向する両側縁から夫々下向きに突出し、前記各側板の内側に圧入される際に前記本体側係止部と着脱自在に係合する係止突起を備えた蓋体側係止部と、を備え、前記蓋体の突片は、前記天板が前記ケース本体の開口部を閉止した時に前記ガイド突条間に嵌合しつつ、先行して前記ケース本体内に収容された前記プリント基板の前端縁に沿った上面を先端部にて押圧するように構成されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、前記蓋体により前記ケース本体開口部を閉止する際に、前記各蓋体側係止部は前記プリント基板の両側端縁に沿った上面と接することを特徴する。
請求項3の発明に係る不正電波検出装置は、請求項1又は2に記載のプリント基板収納容器と、このプリント基板収納容器内に収容され、不正電波検出用のコイルアンテナを搭載した前記プリント基板と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のプリント基板収納容器によれば、ケース本体内に、精度よく位置決めすることが必要なプリント基板を収納する時に、蓋体側に設けた突片によってプリント基板先端上面を押圧することによってプリント基板の厚み方向への浮き上がり、位置ずれを確実に防止することができる。従って、例えば不正電波検出用の電子部品を搭載したプリント基板をケース本体内に位置決め精度良く収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の全体正面図である。
【図2】図1のパチンコ遊技機の遊技盤部分の拡大図である。
【図3】可変入賞装置を遊技盤に組み付けた状態を示す正面側斜視図である。
【図4】可変入賞装置を遊技盤に組み付けた状態を示す側部縦断面図(図3のI−I断面図)である。
【図5】本発明に係る不正電波検出装置の外観斜視図である。
【図6】検出装置全体の分解斜視図である。
【図7】ケース本体と蓋体の斜視図である。
【図8】(a)及び(b)はケース本体内にプリント基板を収納した状態を説明する平面図、及び蓋体の底面図である。
【図9】(a)及び(b)はプリント基板の収納手順を示す図8のII−II断面図である。
【図10】(a)及び(b)はプリント基板の収納手順を示す図8のIII−III断面図である。
【図11】(a)及び(b)はプリント基板の収納手順を示す図8のIV−IV断面図である。
【図12】(a)及び(b)はプリント基板の構成を示す図8のII−II断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の全体正面図であり、図2は図1のパチンコ遊技機の遊技盤部分の拡大図である。
遊技盤1の前面側には、ガラス板を支持したガラス枠2が開閉可能に取り付けられている。また遊技盤1の下部には遊技球を貯留する受け皿部3と、受け皿部内の遊技球を発射する発射レバー4が設けられている。また、受け皿部3の上面には遊技機用ボタンスイッチや、遊技球の購入ボタン、購入取り消しボタン(何れも図示せず)が設けられている。
遊技盤1の裏面には、液晶画面、主制御基板とサブ制御基板等、遊技の進行、演出に関わる裏部品を組み付けた合成樹脂製の機構板(何れも図示せず)が開閉自在に装着されている。遊技盤1における遊技領域1aの周囲には、発射レバー4を操作することにより発射装置から発射された遊技球を遊技領域1aの上部に案内したり、アウト口10に案内する外レールR1、及び内レールR2が設けられている。
遊技盤1のほぼ中央部には、中央が開口したセンター部材5が配置される。センター部材5の内部には図柄表示装置6が配置されている。図柄表示装置6は、例えば、液晶表示装置等の液晶表示パネルによって構成され、通常動作状態の時は、図示しない特別図柄画像が表示される。また、いわゆる特別遊技状態の時は、特別遊技状態であることを示す演出画像等が表示される。本例では、図柄表示装置6の前方に仮面を象った2枚の開閉片7が横方向へ開閉自在に配置されている。
【0010】
センター部材5の中央下方には、図柄表示装置6の特別図柄を可変表示させるための可変入賞装置11が設けられている。図柄表示装置6の左側には、普通図柄表示装置16に表示される普通図柄を作動させるためのゲート12が設けられている。また、可変入賞装置11の右側には、特別遊技状態の一つである大当たり状態のときに開成状態になる開閉扉13aを有する大入賞装置(可変入賞装置)13が設けられている。
可変入賞装置11は、図柄表示装置6を可変表示させる手段であり、入賞口(下始動口)21と、入賞口を開閉する一枚の扉部材30とを備えている。
また遊技盤1には普通入賞口14やアウト口10等が設けられていると共に、風車15や図示しない多数の遊技釘が突設されている。遊技釘は、遊技球の落下速度を遅くすると共に、落下方向を複雑に変化させて遊技進行上の興趣を高めている。
【0011】
普通図柄表示装置16に表示される普通図柄は、1個または複数個の図柄を変動表示可能であり、普通図柄始動口としてのゲート12が遊技球を検出することを条件に、その図柄が乱数制御等により所定時間可変して停止するようになっている。
また図柄表示装置6に表示される特別図柄は、停止図柄が予め定められた図柄の組合せ、例えば同一図柄の組合せとなった場合に大当たり状態となるように構成されている。また特別図柄は可変入賞装置11の扉部材の開成動作により遊技球が誘導される下始動口21において遊技球を検出することを条件に乱数制御等により表示がスクロールする等、所定の変動パターンで所定時間変動(可変)して図柄で停止するようになっている。その際、有効ライン上に2個の停止図柄が同一となった場合に、リーチ状態が発生し、このリーチ状態において、有効ライン上の最後の停止図柄が既に停止している2個の図柄と同一となった場合に大当たり状態が発生する。なお、特別図柄としては、数字図柄、アルファベット図柄、キャラクター図柄等が使用可能である。
【0012】
次に、図3は可変入賞装置を遊技盤に組み付けた状態を示す正面側斜視図であり、図4は可変入賞装置を遊技盤に組み付けた状態を示す側部縦断面図(図3のI−I断面図)である。
可変入賞装置11は、遊技盤1に形成した取付穴内に貫通した状態で組み込まれる。
可変入賞装置11は、前面に入賞口(下始動口)21、及び上始動口22を有し、且つ遊技盤前部に配置される前部ユニット20と、前部ユニット20の後部に配置されて扉部材30を駆動する駆動機構27を搭載した後部ユニット25と、入賞口21の下部に設けた軸穴により下部軸支部を軸支されて前後方向へ開閉動作することにより入賞口21を開閉する扉部材30と、を備えている。入賞口21の内部には、遊技球Bの入球を検出する図示しない始動口スイッチ(入球検出用磁気センサ)が設けられている。
入賞口21の内側に配置した図示しない入球検出用磁気センサの近傍の遊技盤裏面適所には、不正電波検出装置40が固定配置されている。
【0013】
図5は本発明に係る不正電波検出装置の外観斜視図であり、図6は検出装置全体の分解斜視図であり、図7はケース本体と蓋体の斜視図であり、図8(a)及び(b)はケース本体内にプリント基板を収納した状態を説明する平面図、及び蓋体の底面図であり、図9(a)及び(b)はプリント基板の収納手順を示す図8のII−II断面図であり、図10(a)及び(b)はプリント基板の収納手順を示す図8のIII−III断面図であり、図11(a)及び(b)はプリント基板の収納手順を示す図8のIV−IV断面図である。
【0014】
不正電波検出装置40は、例えば入球検出用磁気センサの近傍の遊技盤裏面の所定位置に所定の方向性をもって配置され、所謂電波ゴト師により送信機から入球検出用磁気センサへ向けて送信された不正電波を検出するために用いられる。
不正電波検出装置40は、不正な電波を検出するためのコイルアンテナ45、その他の電子部品(検波回路等)を搭載したプリント基板41を箱形のプリント基板収納容器(樹脂製ケース)50内に収容した構成を備えている。コイルアンテナ45は、入球検出用磁気センサを誤作動させる周波数を有した不正電波を受信する手段であり、その他の電子部品はコイルアンテナ45が受信した電波から不正電波を検出する検波回路を構成し、検波回路によって不正電波が検出された場合にはリード線43を介して図示しない制御装置に報知する。
【0015】
プリント基板41は、後端縁のコネクタ部42からリード線43が引き出され、且つ対向する2つの側端縁に夫々小突起対44を備えている。プリント基板の先端寄りに搭載されたコイルアンテナ45は不正電波を受信するための手段であり、外部の送信機から入球検出用磁気センサへ送信される不正電波検出精度の良否はコイルアンテナ45の方向性如何にかかっている。
仮に、不正電波検出装置40を遊技盤裏面の所定位置に所定の方向性をもって正しく固定したとしても、プリント基板収納容器と、その内部に収納されたプリント基板(特に、コイルアンテナ45)との位置関係にズレがある場合には、不正電波を効果的に検出することが不可能となる。このため、プリント基板収納容器内におけるプリント基板の位置決め精度を高めるためには、特にプリント基板の面方向、及び厚み方向への位置決めが一義的に行われる必要がある。
【0016】
プリント基板収納容器50は、上面が開口しプリント基板41を収容するに足る容積を備えたケース本体51と、ケース本体の開口部52を閉止した状態でケース本体に固定される蓋体70と、から構成されている。
ケース本体51は、収容したプリント基板41の下面と対向する上面を有した底板54と、底板の対向する2つの側端縁から夫々立設した側壁56と、底板54の前端縁、及び後端縁から夫々立設した前壁58及び後壁60と、を備える。
2つの側壁56には、夫々プリント基板の各小突起対44を位置決めする位置決め部56a、及び本体側係止部(係止穴)56bが設けられている。前壁58には、プリント基板前端縁に対応した位置に上下方向へ延びる左右一対のガイド突条58aと、一対のガイド突条間の下部に配置された高さの低い下部ガイド突起58bと、を備える。下部ガイド突起58bはケース本体51内にプリント基板が収容される際にその前端縁中央部下面を支持するように上面が平坦面状に構成されている。一対のガイド突条58aは、平面形状が三角形の三角形柱であり、ケース本体内にプリント基板が収容される際にその尖った先端部でプリント基板の前端縁をガイドするように構成されている。後壁60にはケース本体内に収納されたプリント基板から延びるリード線43を外部に引き出すための凹所(切欠き)60aが形成されている。また、プリント基板をケース本体内に収納した時にプリント基板の底面を上面で支持するための下部ガイド突起62が後壁60の内側に突設されている。各下部ガイド突起58b、62は、同じ高さであり、それらの平坦な上面でプリント基板の前端寄り下面と後端寄り下面を夫々支持することにより、プリント基板をケース本体の底板54と並行な姿勢に保持する。
なお、プリント基板41の一つの角隅部に設けた面取り部41aに対応してケース本体51の一つの角隅部に面取り部51aが設けられている。プリント基板をケース本体内に収納する際に、面取り部同士を位置合わせすることにより、収納をスムーズ化することができる。面取り部を設けない場合には、プリント基板の一つの角隅部がケース本体の対応する角隅部と引っかかりを起こして収納がスムーズとならないことがあるが、面取り部を設けることにより収納がスムーズとなる。
【0017】
蓋体70は、ケース本体の底板54と対向し開口部52を閉止する天板72と、天板72の前端縁中央部から垂下して一対のガイド突条58a間に嵌合可能な突片74と、天板の対向する両側縁から夫々下向きに突出し、各側板56の内側に圧入される際に本体側係止部56bと着脱自在に係合する係止突起76aを備えた蓋体側係止部76と、天板の後端縁の両側部から夫々下向きに突出し、蓋体閉止時にケース本体の後壁60の内側に入り込む後部突出片78と、を備えている。各蓋体側係止部76は、下部外面に各本体側係止部(係止穴)56bと一対一で係止可能な係止突起76aを備えており、蓋体によりケース本体の開口部52を閉止する過程で各蓋体側係止部76が各側板56の内側に圧入される際に、各係止突起76aが内側から本体側係止部56bに係止されることにより、蓋体の抜け落ちが防止される。
【0018】
天板72には、ケース本体の面取り部51aと対応する位置に、面取り部72aが形成されている。
2つの後部突出片78の間に形成される切欠き78aはケース本体の後壁の凹所60aと協働してリード線43を外部に引出しつつ挟圧保持する。
蓋体の前端縁に設けた突片74は、ケース本体内にプリント基板を収納した状態で天板72がケース本体の開口部52を閉止した時に、ガイド突条間に嵌合しつつ、先行してケース本体内に収容されたプリント基板の前端縁に沿った上面を先端部(下面)にて押圧するように厚肉に構成されている。従って、プリント基板がケース本体内に収納された状態では、プリント基板はその前端部を下部ガイド突起58bと突片74によって挟圧保持された状態となっている。
【0019】
次に、図8乃至図11に基づいてプリント基板をプリント基板収納容器50内に収納する手順を説明する。
図8(a)に示すようにプリント基板41の外形輪郭は、ケース本体51の凹所内に嵌合するように構成されている。プリント基板の収納時には、プリント基板の両側縁に設けた各小突起対44が位置決め部56aによってガイドされつつ位置決めされる(図9、図10、図11)。プリント基板の収納時に三角柱状の位置決め部56aが小突起対44の間に入り込んでこれをガイドするため、プリント基板が前後方向及び側方へ位置ずれすることが防止される。更に、プリント基板の収納時にその前端縁が、先端が尖った一対のガイド突条58aによってガイドされることにより前後方向への位置ずれが更に防止される(図9)。また、高さが同等な各下部ガイド突起58b、62の平坦な上面でプリント基板の前端寄り下面と後端寄り下面が夫々支持されることにより、プリント基板の下部定置位置を確定することができる(図9(b))。更に、蓋体70によってケース本体を閉止する際に、蓋体の突片74がプリント基板の前端寄りの上面を押し下げるため、プリント基板の浮き上がりを完全に押さえ込んでプリント基板をケース本体底板54と平行な姿勢に固定することが可能となる(図9(b))。
【0020】
蓋体をケース本体に対して閉止する際に、突片74が一対のガイド突条58a間に嵌合されてガイドされつつ移動するため、突片の移動軌跡が一定となり、プリント基板の前端上面の所定位置を常に押し下げることが可能となる。ケース本体による閉止完了時(全ての本体側係止部56bと全ての係止突起76aとの係止時)には、突片74の下面と下部ガイド突起58bの上面とによってプリント基板を挟圧保持するので、プリント基板の上下左右方向への位置ずれが無くなる(図9、図10)。
【0021】
このように本発明のプリント基板収納容器50にあっては、ケース本体内にプリント基板を収納する際に、プリント基板の側方位置、及び前後位置の位置決めを、小突起対44と位置決め部56aとの係合、一対のガイド突条58aとプリント基板前端縁との係合、ケース本体の後壁60とプリント基板後端縁との係合によって夫々実現している。更に、ケース本体内におけるプリント基板の上下方向の位置決め、姿勢保持を、下部ガイド突起58b、62とプリント基板の下面との係合、下部ガイド突起58bと突片74との間でのプリント基板の挟圧保持によって夫々実現している。
このため、ケース本体内にプリント基板を収納して蓋体を閉止する作業を実施するだけで、ケース本体に対するコイルアンテナ45の方向性を一義的に規定することができ、遊技盤裏面における不正電波検出装置40の取付位置、及び取付方向さえ誤らなければ、コイルアンテナ45を常に正しい方向に設置することができ、不正電波の検出精度を維持することができる。
【0022】
プリント基板の後部からリード線43が引き出されているため、このプリント基板をケース本体内に収納しようとすると、リード線43が凹所60aに引っ掛かり易く、プリント基板の姿勢を底板54と平行に維持することが難しくなるが、本発明にあっては小突起対44と位置決め部56aとの係合、一対のガイド突条58aとプリント基板前端縁との係合、ケース本体の後壁60とプリント基板後端縁との係合を夫々手掛かりとしてプリント基板を安定して底板54と平行な姿勢で収納することが可能となる。
なお、上記実施形態では、蓋体を閉止した時に蓋体側係止部76の先端がプリント基板と離間しているが、蓋体側係止部76の一部がプリント基板上面と接して上下方向の位置決めを行うように構成してもよい。即ち、例えば図12に示すように蓋体側係止部76の一部(位置決め部56aを回避した部分)76bがプリント基板上面と接触し得るように延長形成してもよい。このように構成すれば、収納されたプリント基板の両側端縁の上下方向の位置決めを更に確実に行うことが可能となる。
【0023】
このように本発明のプリント基板収納容器50によれば、ケース本体に対するプリント基板の面方向位置のみならず、厚み方向(上下方向)位置を確実に位置決めすることが可能となる。特に、プリント基板上のコイルアンテナの方向が少しでもずれると不正電波を受信、検知できない場合には、ケース本体に対するプリント基板の位置決め精度が重要となるが、本発明では高精度での位置決めが可能となるので、検出精度を維持することができる。具体的には、プリント基板から引き出されたリード線はプリント基板をケース内に収納する際にプリント基板を浮き上がらせる原因となるが、本発明では蓋体に設けた突片74によってプリント基板上面を押えながら蓋体を閉止するので、浮き上がりを確実に防止することができる。突片74は厚肉であるため、ガイド突条58aによって一部をガイドされつつ他の部分でプリント基板上面を押さえ込むことができる。つまり、突片74は、ガイド突条により安定した直線軌跡に沿って移動しながら、先端面でプリント基板を押えることができる。
【0024】
蓋体側係止部76によってプリント基板の上面を抑えるように構成する場合には、更にプリント基板の浮き上がりを防止することができる。
なお、プリント基板をケース本体内に収納する際に、プリント基板先端縁が下向きになるように傾斜させて入れ込むと作業性がよくなるが、このような収納方法を実施する場合において一つのガイド突条58aの先端に対してプリント基板の前端縁を同時に接触させつつ収納させることにより、収納時の作業性を更に高めることができる。次いで、プリント基板の先端下面が下部ガイド突起58bの上面に接した後はプリント基板の各小突起対44を各位置決め部56aと係合させるようにすれば、プリント基板の面方向の位置決めが完了する。
なお、上記実施形態では本発明のプリント基板収納容器50を不正電波検出装置40に適用した例を示したが、本発明はプリント基板を収納する樹脂容器一般に適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1…遊技盤、1a…遊技領域、2…ガラス枠、3…皿部、4…発射レバー、5…センター部材、7…開閉片、10…アウト口、11…可変入賞装置、12…ゲート、13a…開閉扉、14…普通入賞口、15…風車、16…普通図柄表示装置、20…前部ユニット、21…下始動口(入賞口)、22…上始動口、25…後部ユニット、27…駆動機構、30…扉部材、40…不正電波検出装置、41…プリント基板、42…コネクタ部、43…リード線、44…小突起対、45…コイルアンテナ、50…プリント基板収納容器、51…ケース本体、52…開口部、54…底板、56…側板、56b…本体側係止部、58…前壁、58a…ガイド突条、58b…下部ガイド突起、60…後壁、60a…凹所、62…下部ガイド突起、70…蓋体、72…天板、72a…部、74…突片、76…蓋体側係止部、76a…係止突起、76b…蓋体側係止部の一部、78…後部突出片
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板収納容器に関し、例えばパチンコ遊技機、スロットマシン等の各種遊技機に対して行われる電波ゴトと呼ばれる不正行為を発見するために使用される電子部品を搭載するプリント基板を収納するための樹脂製ケース、及び不正電波検出装置の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機、スロットマシン等の各種遊技機においては、磁気近接センサによって要所を通過する金属製遊技球を検出することにより、入賞口への入球を検出したり、払い出される賞球を検出することが行われている。
ところで、ゴト師と呼ばれる不正行為者により、送信機から磁気近接センサに向けて電波を発射することによりこれを誤検知させて遊技内容を遊技者に都合良く進行させて出玉を獲得する所謂電波ゴトと指称される不正行為が行われている。具体的には、例えば、始動口の入賞信号に関する電波を遊技機の外部から発信して、不正に特別遊技状態(いわゆる大当り遊技状態)を発生させる行為を挙げることができる。
このような不正行為に対しては、磁気近接センサの近傍に不正電波検出装置(検波装置)を配置し、不正電波が発射されたことを検出する対策が採られている。
この検出装置は、不正な電波を検出するためのコイルアンテナ、その他の電子部品を搭載したプリント基板を樹脂製ケース内に収容した構成を備えている。
そして、電波ゴト行為による不正な電波を検出する検出装置にあっては、搭載した電子部品、特に電波検知用のコイルアンテナの方向が磁気近接センサから僅かでもずれていると検知精度に著しい低下がもたらされる。このため、樹脂ケース内におけるプリント基板の位置決め精度の厳格化が求められている。
【0003】
ところで、電波ゴト対策用の検出装置以外の分野では、プリント基板を収容するケースの構造としては、特許文献1、2、3に開示されたものがある。
まず、特許文献1、2には、ケース本体と蓋体との間でプリント基板を挟み込む構造と、プリント基板の端縁に設けた突起をケース本体側で係止する位置決め構造が開示されている。
また、特許文献1には、蓋体の端縁から垂下した嵌合凸部をプリント基板に設けた嵌合孔に嵌合させるプリント基板の位置決め構造が開示されている。
更に、特許文献3には、ケース本体と蓋体との間を係止片によって係止する閉止構造が開示されている。
しかし、これら従来のケース構造では、ケース内にプリント基板を高精度に位置決めすることが求められていないため、電波ゴト対策用の検出装置に適用することはできない。特に、ケース本体内にプリント基板を収納して蓋体によりケース本体を閉止した際に、プリント基板が厚さ方向へ位置ずれを起こし、搭載したコイルの向きにバラツキを起こすことが多々あった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−023075号公報
【特許文献2】特開2002−171083公報
【特許文献3】特開平09−326567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電波ゴト対策用の不正電波検出装置のように、プリント基板上に搭載した電子部品に対して高い位置決め精度が求められる場合には、プリント基板をケース内に収納する際の位置決め精度が極めて厳格に求められる。
しかし、従来のケース構造では、プリント基板をその厚み方向に高精度に位置決めすることが難しく、搭載したコイルアンテナの向きにバラツキが発生し、その結果、不正電波の検出精度が低下することがあった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、不正電波検出用の電子部品を搭載したプリント基板を位置決め精度良く収納することができるプリント基板収納容器、及び不正電波検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係るプリント基板収納容器は、後端縁からリード線が引き出され、且つ対向する2つの側端縁に夫々小突起対を備えたプリント基板を収容するプリント基板収納容器であって、上面が開口し前記プリント基板を収容するに足る容積を備えたケース本体と、該ケース本体の開口部を閉止した状態で該ケース本体に固定される蓋体と、から構成されており、前記ケース本体は、収容した前記プリント基板の下面と対向する上面を有した底板と、該底板の対向する2つの側端縁から夫々立設した側壁と、該底板の前端縁、及び後端縁から夫々立設した前壁及び後壁と、を備え、2つの前記側壁には、前記プリント基板の各小突起対を位置決めする位置決め部、及び本体側係止部が設けられており、前記前壁には、前記プリント基板前端縁に対応した位置に設けられて上下方向へ延びる一対のガイド突条、及び該一対のガイド突条間の下部に配置された下部ガイド突起が設けられており、前記後壁には、前記ケース本体内に収納された前記プリント基板から延びる前記リード線を外部に引き出すための凹所が形成されており、前記蓋体は、前記ケース本体の底板と対向し前記開口部を閉止する天板と、該天板の前端縁中央部から垂下して前記一対のガイド突条間に嵌合可能な突片と、前記天板の対向する両側縁から夫々下向きに突出し、前記各側板の内側に圧入される際に前記本体側係止部と着脱自在に係合する係止突起を備えた蓋体側係止部と、を備え、前記蓋体の突片は、前記天板が前記ケース本体の開口部を閉止した時に前記ガイド突条間に嵌合しつつ、先行して前記ケース本体内に収容された前記プリント基板の前端縁に沿った上面を先端部にて押圧するように構成されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、前記蓋体により前記ケース本体開口部を閉止する際に、前記各蓋体側係止部は前記プリント基板の両側端縁に沿った上面と接することを特徴する。
請求項3の発明に係る不正電波検出装置は、請求項1又は2に記載のプリント基板収納容器と、このプリント基板収納容器内に収容され、不正電波検出用のコイルアンテナを搭載した前記プリント基板と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のプリント基板収納容器によれば、ケース本体内に、精度よく位置決めすることが必要なプリント基板を収納する時に、蓋体側に設けた突片によってプリント基板先端上面を押圧することによってプリント基板の厚み方向への浮き上がり、位置ずれを確実に防止することができる。従って、例えば不正電波検出用の電子部品を搭載したプリント基板をケース本体内に位置決め精度良く収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の全体正面図である。
【図2】図1のパチンコ遊技機の遊技盤部分の拡大図である。
【図3】可変入賞装置を遊技盤に組み付けた状態を示す正面側斜視図である。
【図4】可変入賞装置を遊技盤に組み付けた状態を示す側部縦断面図(図3のI−I断面図)である。
【図5】本発明に係る不正電波検出装置の外観斜視図である。
【図6】検出装置全体の分解斜視図である。
【図7】ケース本体と蓋体の斜視図である。
【図8】(a)及び(b)はケース本体内にプリント基板を収納した状態を説明する平面図、及び蓋体の底面図である。
【図9】(a)及び(b)はプリント基板の収納手順を示す図8のII−II断面図である。
【図10】(a)及び(b)はプリント基板の収納手順を示す図8のIII−III断面図である。
【図11】(a)及び(b)はプリント基板の収納手順を示す図8のIV−IV断面図である。
【図12】(a)及び(b)はプリント基板の構成を示す図8のII−II断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の全体正面図であり、図2は図1のパチンコ遊技機の遊技盤部分の拡大図である。
遊技盤1の前面側には、ガラス板を支持したガラス枠2が開閉可能に取り付けられている。また遊技盤1の下部には遊技球を貯留する受け皿部3と、受け皿部内の遊技球を発射する発射レバー4が設けられている。また、受け皿部3の上面には遊技機用ボタンスイッチや、遊技球の購入ボタン、購入取り消しボタン(何れも図示せず)が設けられている。
遊技盤1の裏面には、液晶画面、主制御基板とサブ制御基板等、遊技の進行、演出に関わる裏部品を組み付けた合成樹脂製の機構板(何れも図示せず)が開閉自在に装着されている。遊技盤1における遊技領域1aの周囲には、発射レバー4を操作することにより発射装置から発射された遊技球を遊技領域1aの上部に案内したり、アウト口10に案内する外レールR1、及び内レールR2が設けられている。
遊技盤1のほぼ中央部には、中央が開口したセンター部材5が配置される。センター部材5の内部には図柄表示装置6が配置されている。図柄表示装置6は、例えば、液晶表示装置等の液晶表示パネルによって構成され、通常動作状態の時は、図示しない特別図柄画像が表示される。また、いわゆる特別遊技状態の時は、特別遊技状態であることを示す演出画像等が表示される。本例では、図柄表示装置6の前方に仮面を象った2枚の開閉片7が横方向へ開閉自在に配置されている。
【0010】
センター部材5の中央下方には、図柄表示装置6の特別図柄を可変表示させるための可変入賞装置11が設けられている。図柄表示装置6の左側には、普通図柄表示装置16に表示される普通図柄を作動させるためのゲート12が設けられている。また、可変入賞装置11の右側には、特別遊技状態の一つである大当たり状態のときに開成状態になる開閉扉13aを有する大入賞装置(可変入賞装置)13が設けられている。
可変入賞装置11は、図柄表示装置6を可変表示させる手段であり、入賞口(下始動口)21と、入賞口を開閉する一枚の扉部材30とを備えている。
また遊技盤1には普通入賞口14やアウト口10等が設けられていると共に、風車15や図示しない多数の遊技釘が突設されている。遊技釘は、遊技球の落下速度を遅くすると共に、落下方向を複雑に変化させて遊技進行上の興趣を高めている。
【0011】
普通図柄表示装置16に表示される普通図柄は、1個または複数個の図柄を変動表示可能であり、普通図柄始動口としてのゲート12が遊技球を検出することを条件に、その図柄が乱数制御等により所定時間可変して停止するようになっている。
また図柄表示装置6に表示される特別図柄は、停止図柄が予め定められた図柄の組合せ、例えば同一図柄の組合せとなった場合に大当たり状態となるように構成されている。また特別図柄は可変入賞装置11の扉部材の開成動作により遊技球が誘導される下始動口21において遊技球を検出することを条件に乱数制御等により表示がスクロールする等、所定の変動パターンで所定時間変動(可変)して図柄で停止するようになっている。その際、有効ライン上に2個の停止図柄が同一となった場合に、リーチ状態が発生し、このリーチ状態において、有効ライン上の最後の停止図柄が既に停止している2個の図柄と同一となった場合に大当たり状態が発生する。なお、特別図柄としては、数字図柄、アルファベット図柄、キャラクター図柄等が使用可能である。
【0012】
次に、図3は可変入賞装置を遊技盤に組み付けた状態を示す正面側斜視図であり、図4は可変入賞装置を遊技盤に組み付けた状態を示す側部縦断面図(図3のI−I断面図)である。
可変入賞装置11は、遊技盤1に形成した取付穴内に貫通した状態で組み込まれる。
可変入賞装置11は、前面に入賞口(下始動口)21、及び上始動口22を有し、且つ遊技盤前部に配置される前部ユニット20と、前部ユニット20の後部に配置されて扉部材30を駆動する駆動機構27を搭載した後部ユニット25と、入賞口21の下部に設けた軸穴により下部軸支部を軸支されて前後方向へ開閉動作することにより入賞口21を開閉する扉部材30と、を備えている。入賞口21の内部には、遊技球Bの入球を検出する図示しない始動口スイッチ(入球検出用磁気センサ)が設けられている。
入賞口21の内側に配置した図示しない入球検出用磁気センサの近傍の遊技盤裏面適所には、不正電波検出装置40が固定配置されている。
【0013】
図5は本発明に係る不正電波検出装置の外観斜視図であり、図6は検出装置全体の分解斜視図であり、図7はケース本体と蓋体の斜視図であり、図8(a)及び(b)はケース本体内にプリント基板を収納した状態を説明する平面図、及び蓋体の底面図であり、図9(a)及び(b)はプリント基板の収納手順を示す図8のII−II断面図であり、図10(a)及び(b)はプリント基板の収納手順を示す図8のIII−III断面図であり、図11(a)及び(b)はプリント基板の収納手順を示す図8のIV−IV断面図である。
【0014】
不正電波検出装置40は、例えば入球検出用磁気センサの近傍の遊技盤裏面の所定位置に所定の方向性をもって配置され、所謂電波ゴト師により送信機から入球検出用磁気センサへ向けて送信された不正電波を検出するために用いられる。
不正電波検出装置40は、不正な電波を検出するためのコイルアンテナ45、その他の電子部品(検波回路等)を搭載したプリント基板41を箱形のプリント基板収納容器(樹脂製ケース)50内に収容した構成を備えている。コイルアンテナ45は、入球検出用磁気センサを誤作動させる周波数を有した不正電波を受信する手段であり、その他の電子部品はコイルアンテナ45が受信した電波から不正電波を検出する検波回路を構成し、検波回路によって不正電波が検出された場合にはリード線43を介して図示しない制御装置に報知する。
【0015】
プリント基板41は、後端縁のコネクタ部42からリード線43が引き出され、且つ対向する2つの側端縁に夫々小突起対44を備えている。プリント基板の先端寄りに搭載されたコイルアンテナ45は不正電波を受信するための手段であり、外部の送信機から入球検出用磁気センサへ送信される不正電波検出精度の良否はコイルアンテナ45の方向性如何にかかっている。
仮に、不正電波検出装置40を遊技盤裏面の所定位置に所定の方向性をもって正しく固定したとしても、プリント基板収納容器と、その内部に収納されたプリント基板(特に、コイルアンテナ45)との位置関係にズレがある場合には、不正電波を効果的に検出することが不可能となる。このため、プリント基板収納容器内におけるプリント基板の位置決め精度を高めるためには、特にプリント基板の面方向、及び厚み方向への位置決めが一義的に行われる必要がある。
【0016】
プリント基板収納容器50は、上面が開口しプリント基板41を収容するに足る容積を備えたケース本体51と、ケース本体の開口部52を閉止した状態でケース本体に固定される蓋体70と、から構成されている。
ケース本体51は、収容したプリント基板41の下面と対向する上面を有した底板54と、底板の対向する2つの側端縁から夫々立設した側壁56と、底板54の前端縁、及び後端縁から夫々立設した前壁58及び後壁60と、を備える。
2つの側壁56には、夫々プリント基板の各小突起対44を位置決めする位置決め部56a、及び本体側係止部(係止穴)56bが設けられている。前壁58には、プリント基板前端縁に対応した位置に上下方向へ延びる左右一対のガイド突条58aと、一対のガイド突条間の下部に配置された高さの低い下部ガイド突起58bと、を備える。下部ガイド突起58bはケース本体51内にプリント基板が収容される際にその前端縁中央部下面を支持するように上面が平坦面状に構成されている。一対のガイド突条58aは、平面形状が三角形の三角形柱であり、ケース本体内にプリント基板が収容される際にその尖った先端部でプリント基板の前端縁をガイドするように構成されている。後壁60にはケース本体内に収納されたプリント基板から延びるリード線43を外部に引き出すための凹所(切欠き)60aが形成されている。また、プリント基板をケース本体内に収納した時にプリント基板の底面を上面で支持するための下部ガイド突起62が後壁60の内側に突設されている。各下部ガイド突起58b、62は、同じ高さであり、それらの平坦な上面でプリント基板の前端寄り下面と後端寄り下面を夫々支持することにより、プリント基板をケース本体の底板54と並行な姿勢に保持する。
なお、プリント基板41の一つの角隅部に設けた面取り部41aに対応してケース本体51の一つの角隅部に面取り部51aが設けられている。プリント基板をケース本体内に収納する際に、面取り部同士を位置合わせすることにより、収納をスムーズ化することができる。面取り部を設けない場合には、プリント基板の一つの角隅部がケース本体の対応する角隅部と引っかかりを起こして収納がスムーズとならないことがあるが、面取り部を設けることにより収納がスムーズとなる。
【0017】
蓋体70は、ケース本体の底板54と対向し開口部52を閉止する天板72と、天板72の前端縁中央部から垂下して一対のガイド突条58a間に嵌合可能な突片74と、天板の対向する両側縁から夫々下向きに突出し、各側板56の内側に圧入される際に本体側係止部56bと着脱自在に係合する係止突起76aを備えた蓋体側係止部76と、天板の後端縁の両側部から夫々下向きに突出し、蓋体閉止時にケース本体の後壁60の内側に入り込む後部突出片78と、を備えている。各蓋体側係止部76は、下部外面に各本体側係止部(係止穴)56bと一対一で係止可能な係止突起76aを備えており、蓋体によりケース本体の開口部52を閉止する過程で各蓋体側係止部76が各側板56の内側に圧入される際に、各係止突起76aが内側から本体側係止部56bに係止されることにより、蓋体の抜け落ちが防止される。
【0018】
天板72には、ケース本体の面取り部51aと対応する位置に、面取り部72aが形成されている。
2つの後部突出片78の間に形成される切欠き78aはケース本体の後壁の凹所60aと協働してリード線43を外部に引出しつつ挟圧保持する。
蓋体の前端縁に設けた突片74は、ケース本体内にプリント基板を収納した状態で天板72がケース本体の開口部52を閉止した時に、ガイド突条間に嵌合しつつ、先行してケース本体内に収容されたプリント基板の前端縁に沿った上面を先端部(下面)にて押圧するように厚肉に構成されている。従って、プリント基板がケース本体内に収納された状態では、プリント基板はその前端部を下部ガイド突起58bと突片74によって挟圧保持された状態となっている。
【0019】
次に、図8乃至図11に基づいてプリント基板をプリント基板収納容器50内に収納する手順を説明する。
図8(a)に示すようにプリント基板41の外形輪郭は、ケース本体51の凹所内に嵌合するように構成されている。プリント基板の収納時には、プリント基板の両側縁に設けた各小突起対44が位置決め部56aによってガイドされつつ位置決めされる(図9、図10、図11)。プリント基板の収納時に三角柱状の位置決め部56aが小突起対44の間に入り込んでこれをガイドするため、プリント基板が前後方向及び側方へ位置ずれすることが防止される。更に、プリント基板の収納時にその前端縁が、先端が尖った一対のガイド突条58aによってガイドされることにより前後方向への位置ずれが更に防止される(図9)。また、高さが同等な各下部ガイド突起58b、62の平坦な上面でプリント基板の前端寄り下面と後端寄り下面が夫々支持されることにより、プリント基板の下部定置位置を確定することができる(図9(b))。更に、蓋体70によってケース本体を閉止する際に、蓋体の突片74がプリント基板の前端寄りの上面を押し下げるため、プリント基板の浮き上がりを完全に押さえ込んでプリント基板をケース本体底板54と平行な姿勢に固定することが可能となる(図9(b))。
【0020】
蓋体をケース本体に対して閉止する際に、突片74が一対のガイド突条58a間に嵌合されてガイドされつつ移動するため、突片の移動軌跡が一定となり、プリント基板の前端上面の所定位置を常に押し下げることが可能となる。ケース本体による閉止完了時(全ての本体側係止部56bと全ての係止突起76aとの係止時)には、突片74の下面と下部ガイド突起58bの上面とによってプリント基板を挟圧保持するので、プリント基板の上下左右方向への位置ずれが無くなる(図9、図10)。
【0021】
このように本発明のプリント基板収納容器50にあっては、ケース本体内にプリント基板を収納する際に、プリント基板の側方位置、及び前後位置の位置決めを、小突起対44と位置決め部56aとの係合、一対のガイド突条58aとプリント基板前端縁との係合、ケース本体の後壁60とプリント基板後端縁との係合によって夫々実現している。更に、ケース本体内におけるプリント基板の上下方向の位置決め、姿勢保持を、下部ガイド突起58b、62とプリント基板の下面との係合、下部ガイド突起58bと突片74との間でのプリント基板の挟圧保持によって夫々実現している。
このため、ケース本体内にプリント基板を収納して蓋体を閉止する作業を実施するだけで、ケース本体に対するコイルアンテナ45の方向性を一義的に規定することができ、遊技盤裏面における不正電波検出装置40の取付位置、及び取付方向さえ誤らなければ、コイルアンテナ45を常に正しい方向に設置することができ、不正電波の検出精度を維持することができる。
【0022】
プリント基板の後部からリード線43が引き出されているため、このプリント基板をケース本体内に収納しようとすると、リード線43が凹所60aに引っ掛かり易く、プリント基板の姿勢を底板54と平行に維持することが難しくなるが、本発明にあっては小突起対44と位置決め部56aとの係合、一対のガイド突条58aとプリント基板前端縁との係合、ケース本体の後壁60とプリント基板後端縁との係合を夫々手掛かりとしてプリント基板を安定して底板54と平行な姿勢で収納することが可能となる。
なお、上記実施形態では、蓋体を閉止した時に蓋体側係止部76の先端がプリント基板と離間しているが、蓋体側係止部76の一部がプリント基板上面と接して上下方向の位置決めを行うように構成してもよい。即ち、例えば図12に示すように蓋体側係止部76の一部(位置決め部56aを回避した部分)76bがプリント基板上面と接触し得るように延長形成してもよい。このように構成すれば、収納されたプリント基板の両側端縁の上下方向の位置決めを更に確実に行うことが可能となる。
【0023】
このように本発明のプリント基板収納容器50によれば、ケース本体に対するプリント基板の面方向位置のみならず、厚み方向(上下方向)位置を確実に位置決めすることが可能となる。特に、プリント基板上のコイルアンテナの方向が少しでもずれると不正電波を受信、検知できない場合には、ケース本体に対するプリント基板の位置決め精度が重要となるが、本発明では高精度での位置決めが可能となるので、検出精度を維持することができる。具体的には、プリント基板から引き出されたリード線はプリント基板をケース内に収納する際にプリント基板を浮き上がらせる原因となるが、本発明では蓋体に設けた突片74によってプリント基板上面を押えながら蓋体を閉止するので、浮き上がりを確実に防止することができる。突片74は厚肉であるため、ガイド突条58aによって一部をガイドされつつ他の部分でプリント基板上面を押さえ込むことができる。つまり、突片74は、ガイド突条により安定した直線軌跡に沿って移動しながら、先端面でプリント基板を押えることができる。
【0024】
蓋体側係止部76によってプリント基板の上面を抑えるように構成する場合には、更にプリント基板の浮き上がりを防止することができる。
なお、プリント基板をケース本体内に収納する際に、プリント基板先端縁が下向きになるように傾斜させて入れ込むと作業性がよくなるが、このような収納方法を実施する場合において一つのガイド突条58aの先端に対してプリント基板の前端縁を同時に接触させつつ収納させることにより、収納時の作業性を更に高めることができる。次いで、プリント基板の先端下面が下部ガイド突起58bの上面に接した後はプリント基板の各小突起対44を各位置決め部56aと係合させるようにすれば、プリント基板の面方向の位置決めが完了する。
なお、上記実施形態では本発明のプリント基板収納容器50を不正電波検出装置40に適用した例を示したが、本発明はプリント基板を収納する樹脂容器一般に適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1…遊技盤、1a…遊技領域、2…ガラス枠、3…皿部、4…発射レバー、5…センター部材、7…開閉片、10…アウト口、11…可変入賞装置、12…ゲート、13a…開閉扉、14…普通入賞口、15…風車、16…普通図柄表示装置、20…前部ユニット、21…下始動口(入賞口)、22…上始動口、25…後部ユニット、27…駆動機構、30…扉部材、40…不正電波検出装置、41…プリント基板、42…コネクタ部、43…リード線、44…小突起対、45…コイルアンテナ、50…プリント基板収納容器、51…ケース本体、52…開口部、54…底板、56…側板、56b…本体側係止部、58…前壁、58a…ガイド突条、58b…下部ガイド突起、60…後壁、60a…凹所、62…下部ガイド突起、70…蓋体、72…天板、72a…部、74…突片、76…蓋体側係止部、76a…係止突起、76b…蓋体側係止部の一部、78…後部突出片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端縁からリード線が引き出され、且つ対向する2つの側端縁に夫々小突起対を備えたプリント基板を収容する箱形のプリント基板収納容器であって、
上面が開口し前記プリント基板を収容するに足る容積を備えたケース本体と、該ケース本体の開口部を閉止した状態で該ケース本体に固定される蓋体と、から構成されており、
前記ケース本体は、収容した前記プリント基板の下面と対向する上面を有した底板と、該底板の対向する2つの側端縁から夫々立設した側壁と、該底板の前端縁、及び後端縁から夫々立設した前壁及び後壁と、を備え、
2つの前記側壁には、前記プリント基板の各小突起対を位置決めする位置決め部、及び本体側係止部が設けられており、前記前壁には、前記プリント基板前端縁に対応した位置に設けられて上下方向へ延びる一対のガイド突条、及び該一対のガイド突条間の下部に配置された下部ガイド突起が設けられており、前記後壁には、前記ケース本体内に収納された前記プリント基板から延びる前記リード線を外部に引き出すための凹所が形成されており、
前記蓋体は、前記ケース本体の底板と対向し前記開口部を閉止する天板と、該天板の前端縁中央部から垂下して前記一対のガイド突条間に嵌合可能な突片と、前記天板の対向する両側縁から夫々下向きに突出し、前記各側板の内側に圧入される際に前記本体側係止部と着脱自在に係合する係止突起を備えた蓋体側係止部と、を備え、
前記蓋体の突片は、前記天板が前記ケース本体の開口部を閉止した時に前記ガイド突条間に嵌合しつつ、先行して前記ケース本体内に収容された前記プリント基板の前端縁に沿った上面を先端部にて押圧するように構成されていることを特徴とするプリント基板収納容器。
【請求項2】
前記蓋体により前記ケース本体開口部を閉止する際に、前記各蓋体側係止部は前記プリント基板の両側端縁に沿った上面と接することを特徴する請求項1に記載のプリント基板収納容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリント基板収納容器と、このプリント基板収納容器内に収容され、不正電波検出用のコイルアンテナを搭載した前記プリント基板と、を備えたことを特徴とする不正電波検出装置。
【請求項1】
後端縁からリード線が引き出され、且つ対向する2つの側端縁に夫々小突起対を備えたプリント基板を収容する箱形のプリント基板収納容器であって、
上面が開口し前記プリント基板を収容するに足る容積を備えたケース本体と、該ケース本体の開口部を閉止した状態で該ケース本体に固定される蓋体と、から構成されており、
前記ケース本体は、収容した前記プリント基板の下面と対向する上面を有した底板と、該底板の対向する2つの側端縁から夫々立設した側壁と、該底板の前端縁、及び後端縁から夫々立設した前壁及び後壁と、を備え、
2つの前記側壁には、前記プリント基板の各小突起対を位置決めする位置決め部、及び本体側係止部が設けられており、前記前壁には、前記プリント基板前端縁に対応した位置に設けられて上下方向へ延びる一対のガイド突条、及び該一対のガイド突条間の下部に配置された下部ガイド突起が設けられており、前記後壁には、前記ケース本体内に収納された前記プリント基板から延びる前記リード線を外部に引き出すための凹所が形成されており、
前記蓋体は、前記ケース本体の底板と対向し前記開口部を閉止する天板と、該天板の前端縁中央部から垂下して前記一対のガイド突条間に嵌合可能な突片と、前記天板の対向する両側縁から夫々下向きに突出し、前記各側板の内側に圧入される際に前記本体側係止部と着脱自在に係合する係止突起を備えた蓋体側係止部と、を備え、
前記蓋体の突片は、前記天板が前記ケース本体の開口部を閉止した時に前記ガイド突条間に嵌合しつつ、先行して前記ケース本体内に収容された前記プリント基板の前端縁に沿った上面を先端部にて押圧するように構成されていることを特徴とするプリント基板収納容器。
【請求項2】
前記蓋体により前記ケース本体開口部を閉止する際に、前記各蓋体側係止部は前記プリント基板の両側端縁に沿った上面と接することを特徴する請求項1に記載のプリント基板収納容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリント基板収納容器と、このプリント基板収納容器内に収容され、不正電波検出用のコイルアンテナを搭載した前記プリント基板と、を備えたことを特徴とする不正電波検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−22124(P2013−22124A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157867(P2011−157867)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
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