説明

プレシオクロナス時間ドメイン間のデータ伝達のための位相最適化

【課題】最小の挿入レイテンシで、プレシオクロナスな通信ドメインを横切る確実なデータ転送を可能にする。
【解決手段】プレシオクロナスなランチクロック及びキャプチャクロックによって駆動されたランチドメインとキャプチャドメインとの間のデータ転送を最適化するための方法及び装置は、前記ランチドメインから前記キャプチャドメインへと代表データのビーコンを送信し、前記キャプチャクロックを用いて前記キャプチャドメイン内にビーコンを取り込む。前記取り込まれたビーコンは、例外について監視される。例外が検出されない場合には、前記キャプチャクロックの位相が調整されて、例外が検出されるまで、前記ビーコンが送信され、取り込まれ、及び監視される。例外が検出された場合には、前記取り込まれたビーコンに対して、前記キャプチャクロックの位相が最適化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ伝達のための位相の最適化に関し、特にプレシオクロナスな時間ドメイン(時間定義域)間におけるデータ伝達のための位相の最適化に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの集積回路(本明細書内において「IC」と記す)内において、別個のクロックは、コア(又はコイル)及び入力/出力(本明細書内において「I/O」と記す)の部分を駆動する。ICの前記2つの部分における前記別個のクロックは、コア及びI/O部分が、コアからI/Oまでか、又はI/Oからコアまでのいずれかの伝達を行うまで発令されない(又は送出されない)。コアとI/Oとの間の正常な伝達は、ランチされたデータ(又は放たれたデータ)が確実に取り込まれるための十分なセットアップ時間とホールド時間とに依存する。1つの特定例において、クロックは、「プレシオクロナス(又は独立同期)」であり、該「プレシオクロナス」は、特定の制限内において制約を受けている状態の速度内における任意の変動によって、立ち上がりエッジが名目上同じ速度で発生するように、各クロックが十分に素速いことを意味する。本明細書内において使用されるような語句「プレシオクロナス」は、2つのクロック間の位相関係が一定であるが、既知ではないことの状況を更に指す。別個のクロックが、不定の位相関係にあることから、コアとI/Oとの間での伝達に関して、セットアップ時間及びホールド時間の要件に背くことが可能である。別個のクロックが、例え同じソースから派生したものであったとしても、IC送信線とロジックとによる伝搬遅延は、データ転送を担うクロックが、データ転送の時間におけるセットアップ及びホールド要件に関して不定であることに、十分な不確定性を提供する。クロック速度が500MHzを越えて増加するにつれ、伝搬遅延と、伝搬遅延における変動とが、クロック周期区間のより大きな割合を占めるようになる。
【0003】
プレシオクロナスと2つのクロック間の位相不定の位相関係とを取り巻いている課題に対する先行技術の解決策は、位相同期ループと最小クロック信号伝送経路とを用いて、ICの前記2つの伝達部分の間の伝搬遅延を最小化するためにか又は一致させるために注意深くIC設計をすることを含む。しかしながら、周波数が増加するにつれ、この解決策は、限定的なものとなり、IC設計の他の部分において、場合によっては性能を妥協するトレードオフがなされることを必要とする。別の解決策は、多重化すること、バッファリングすること、及びある複数の周波数おける2つか又はそれよりも多くのワード(例えば、2の多重化要素)に多重分離(デマルチプレクス)することであり、次いで、何分の1かの周波数(例えば、半分の周波数)において、コア及びI/Oの境界を横切ってデータを同期させて転送させることである。しかしながら、いくつかの用途において、多重化すること及びバッファリングすることの解決策に含まれるレイテンシ(又は待ち時間、又は遅延時間)は、許容不可能である。別の解決策は、ランチデータレートにおいてデータをFIFOバッファ内へと格納すること、及びキャプチャデータレートにおいてFIFOバッファからデータを読み出すことである。ランチとキャプチャ(又は捕捉、又は取り込み)との両方は、それによって、ICのそれぞれの部分に同期して伝達され、読み出しポインタと書き込みポインタとが、正常な機能のために十分に分離される限り、信頼できる性能を提供する。この解決策もまた、ある用途において許容できない可能性があるレイテンシを挿入する。
【特許文献1】米国特許出願第第11/076,758号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、最小の挿入レイテンシの状態で、プレシオクロナスな通信ドメイン(伝達定義域)を横切って確実にデータを転送するための必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施例は、
プレシオクロナスなランチクロック及びキャプチャクロックによって駆動されたランチドメインとキャプチャドメインとの間のデータ転送を最適化するための装置であって、
前記ランチクロック106によって駆動されたランチドメイン102内のビーコン発生器120であって、ビーコン200を生成する、ビーコン発生器と、
前記キャプチャクロック108によって駆動されたキャプチャドメイン104内の例外検出器126であって、前記ビーコン200を、捕捉されたビーコンとして表して、該捕捉されたビーコン内において検出された例外を示すことからなる、例外検出器と、
前記検出された例外に応答するステートマシン130であって、前記ランチクロックと前記捕捉されたビーコンとの間の相対位相を最適化するために、前記キャプチャクロック108の位相を調整する、ステートマシン
とを備える、装置である。
【発明の効果】
【0006】
最小の挿入レイテンシで、プレシオクロナスな通信ドメインを横切った確実なデータ転送が可能となる。
【実施例】
【0007】
本教示の理解を、添付図面と共に、下記の詳細な説明から得ることができる。
【0008】
具体的に図1に関して、ソースクロック100が、ランチドメイン102とキャプチャドメイン104とを駆動する、本教示による一定方向の実施形態が示されている。ランチクロック106とキャプチャクロック108とは、ソースクロック100から派生したものであり、ICの分離された及び別個の部分のために、データのランチ動作とキャプチャ動作とをそれぞれ駆動する。ランチドメイン102とキャプチャドメイン104とが、ランチ素子110からキャプチャ素子112へと伝達を行う。ある特定の実施形態において、ランチ素子110とキャプチャ素子112とは、ランチクロック106とキャプチャクロック108とによってそれぞれ駆動されるDQフリップフロップである。ランチクロック106とキャプチャクロック108とは、同じソースクロック110から派生されるものであるため、それらはプレシオクロナスなクロックである。図示された特定の実施形態において、ランチクロック106とキャプチャクロック108とは、同じ周波数において動作する。ソースクロック100とキャプチャクロック108との間の、1つか又は複数の未知の伝搬遅延に対する、ソースクロック100とランチクロック106との間の、1つか又は複数の未知の伝搬遅延のため、プレシオクロナスなランチクロック106とプレシオクロナスなキャプチャクロック108とは、固定されているが不定の位相関係を互いに有する。キャプチャ素子112による、データの確実なキャプチャは、キャプチャクロックの関連エッジに先行する所定量のセットアップ時間と、キャプチャクロック108の関連エッジの後の、該データが安定していなければならない所定量のホールド時間とに、データが存在させられる必要がある。ランチクロック106の関連エッジは、ランチ素子110の出力におけるデータ通信線114にデータを存在させるため、データをランチ素子110内へと格納する。キャプチャクロック108の関連エッジは、キャプチャ素子112の入力における通信線114上に現われるデータを格納する。ランチクロック106とキャプチャクロック108との関連エッジとが、あまりにも接近して並んだ場合には、キャプチャクロック108の遷移が、データ通信線114上のデータの遷移中に起こる可能性がある。プレシオクロナスなランチ及びキャプチャクロック106、108によって駆動されたランチ素子110とキャプチャ素子112との間の確実な伝達は、従って、ランチクロック106の関連エッジとキャプチャクロック108の関連エッジとの間の位相関係に依存する。本教示は、ランチドメイン102からキャプチャドメイン104へのデータ伝達が不確実なキャプチャクロック108の位相を識別することと、次いで、データ通信線114上のデータの確実なキャプチャを最適化するために、ランチ及びキャプチャクロック周波数のアプリオリ知識に基づいて、キャプチャクロック108の位相を調整することとを提言する。
【0009】
ランチクロック106は、ビーコン発生器120を駆動する。該ビーコン発生器120は、既知のデータパターンを有するビーコン200を生成する。好適一実施形態において、ビーコン発生器120は、ランチドメイン内にランチ素子110と共に配置される。これにより、ランチ素子110によって認識されるランチクロック106のエッジと、ビーコン発生器120によって認識されるランチクロック106のエッジとの間の任意の位相差が、最小化されることとなる。ビーコン200は、ビーコン通信線122において存在させるための代表データを提供する。図1内に示される実施形態において、ビーコン発生器120の出力は、反転され(124)、ビーコン発生器120の入力部に提供されて、ビーコン200として、交互に繰り返す1と0とのパターンが生成される。ビーコン通信線122は、例外検出器126に接続される。キャプチャクロック108は、例外検出器126を駆動する。例外検出器126は、ビーコン200を受けて、ビーコン200を、捕捉されたビーコン204として、キャプチャクロック108の関連エッジにおいて取り込む。例外検出器126は、図示された実施形態において具体的には交互に繰り返す1及び0のビーコン200の期待されたパターンからのずれとして画定された、捕捉されたビーコン204内の「例外(又は偏差、又は異常)」を識別する。好適一実施形態において、例外検出器126は、キャプチャドメイン104内にキャプチャ素子112と共に配置される。これにより、キャプチャ素子112によって認識されるキャプチャクロック108のエッジと、例外検出器126によって認識されるキャプチャクロック108のエッジとの間の任意の位相差が、最小化されることとなる。ビーコン発生器120は、ランチドメイン102からキャプチャドメイン104への代表データの送信を提供し、例外検出器126は、キャプチャドメイン104によるランチドメイン102からの代表データの受信(レセプション)を提供する。従って、ビーコン通信線122にわたるビーコン発生器120と例外検出器126との間の伝達が、データ通信線114にわたるランチ素子110とキャプチャ素子112との間の伝達を代表するものであることを仮定(想定)している。検出された例外は、従って、ランチクロック106とキャプチャクロック108との間の位相関係が、例外検出器126のためのセットアップ時間とホールド時間のようなものであることを示しており、仮定によって、キャプチャ素子112が、2つのクロック106と108との間の既存の位相関係に背くようにされる。
【0010】
具体的に図2に関して、ソースクロック100、ランチクロック106、キャプチャクロック108、及びビーコン200の間の実現可能なタイミング関係の一例を示すタイミング図が示されている。図2内に示された特定例において、ランチクロック106とキャプチャクロック108とは、Nで除算されたソースクロック100から派生したものであり、ここでN=5である。ランチ素子110とキャプチャ素子112とへのクロック入力部に現われるランチクロック106とキャプチャクロック108とはそれぞれ、一定の相対位相を有するプレシオクロナス・クロックとして示される。図2内に示される位相差は、1つの例示として、ソースクロック100の周期の2分の1に等しい。当業者であれば理解されるように、ランチクロック106とキャプチャクロック108とが、たとえ同じソースクロック100から派生したものであったとしても、伝搬及び送信線は、ランチクロックのソースとキャプチャクロックのソースとの間、及びランチ素子とキャプチャ素子との間の、ランチドメイン102及びキャプチャドメイン104内において、それぞれ遅延し、ランチ素子110及びキャプチャ素子112によって認識されるクロックの、間の位相差は、ランチ/キャプチャクロック106、108の周期区間の任意の変化度分である可能性がある。ソースクロック100の周期の2分の1として示されたランチクロック106とキャプチャクロック108との間の位相差は、例示的な目的のためにのみ示されている。ランチクロック106は、ビーコン発生器120を駆動して、ビーコン200を生成する。好適一実施形態において、ビーコン200は、ランチクロック106の半分の周波数である。ビーコン200は、ランチクロック106の立ち上がりエッジに応答する遷移時間202を有するものとして、図2内に示されている。該遷移時間は、ビーコン発生器120がデータを格納するために必要とされる時間を表し、ビーコン発生器120の出力部において存在し、並びに、例外検出器126の入力部に現われることとなるデータのためのビーコン通信線122にわたる送信時間において存在する。遷移時間202中、例外検出器126の入力部において現われる論理値は、不定である。周波数が増加するにつれ、遷移時間202は、キャプチャクロック108の周期区間のより大きな割合を占めることになる。図2内に示されるように、捕捉されたビーコン204は、キャプチャクロックの第1の関連エッジ206と第3の関連エッジ208とのそれぞれにおいて、適切に論理1を示すことができるが、論理1から論理0へのビーコン200の遷移時間は、例外検出器126内におけるセットアップ及びホールド要件に背くため、並びに、仮定によってもまた、キャプチャ素子112のセットアップ及びホールド要件に背くため、捕捉されたビーコン204は、期待された論理0の代りに、キャプチャクロック108の第2の関連エッジ210において論理1を示す。従って、捕捉されたビーコン204は、少なくとも3つの連続する論理1に反映される。データの取り込みが不確定な場所におけるキャプチャクロック108の位相が識別された時には、キャプチャクロック108は、従って、データの取り込みを最適化するために調整される。
【0011】
具体的に図3に関して、例外検出器126のある特定の実施形態が示されている。第1のビーコン受信メモリ素子300は、キャプチャクロック108のエッジにおいて、該第1のビーコン受信メモリ素子300に現われるビーコンの論理値を格納する。第1のビーコン受信メモリ素子の出力302は、第2のビーコン受信メモリ素子304の入力部に現われる。第2のビーコン受信メモリ素子304は、キャプチャクロック108の次のエッジにおいて、該第2のビーコン受信メモリ素子304に現われた論理値を格納する。キャプチャクロック108の次のエッジにおいてもまた、新規の論理値が、第1のビーコン受信メモリ素子300内へと格納される。第1及び第2のビーコン受信メモリ素子300、304は、従って、キャプチャクロック108の新たな各遷移のために、捕捉されたビーコン204の最新の2つの連続した論理値を格納する。第1及び第2のビーコン受信メモリ素子300、304によって格納された、捕捉されたビーコン204の2つの連続した論理値は、排他的NORゲート308に現われる。従って、排他的NORゲートの出力310は、両方の入力が論理1であるか、又は両方の入力が論理0である時にのみ、アサートされる。ビーコン200が、交互に繰り返す1と0とは異なるデータパターンの場合の、代替の一実施形態において、排他的NORゲートとは異なる論理が、捕捉されたビーコン204内において例外を識別するために用いられることが当業者であれば理解されよう。回路の残りは、「リセットによるスティッキー回路(又はリセットによって不快さを示す回路:sticky circuit with reset)」であり、例外検出信号128の「スティッキーアサート(又は不快さを示すアサート:sticky assertion)」を提供し、該当する場合に例外検出信号128をクリアするためのキャプチャリセット機能を備える。スティッキーメモリ素子312は、排他的NORゲートの出力310を、スティッキーNORゲート314とキャプチャリセットNORゲート316とを介して受け入れる。スティッキーメモリ素子312は、排他的NORゲートの出力310の値を、キャプチャクロック108のエッジにおいて格納する。スティッキーNORゲート314は、排他的NORゲートの出力310と、スティッキーメモリ素子の出力128とを受け入れる。従って、排他的NORゲートの出力310がアサートされると、例外検出信号128もまたアサートされて、スティッキー回路312、314、316がクリアされるまで、アサートされたままとなる。スティッキーNORゲートの出力320と、キャプチャリセット信号136とが、キャプチャリセットNORゲート316への入力として現われる。キャプチャリセット信号136がアサートされる時には、キャプチャリセットNORゲート316は、キャプチャクロック108の次のエッジにおいて記憶させるために、スティッキーメモリ素子312の入力部に論理0を示し、それにより、次の例外が発生するまで、例外検出信号128がデアサートされる。
【0012】
例外検出器126が、捕捉されたビーコン204内において、2つか又はそれよりも多くの連続する1か、或いは2つか又はそれよりも多くの連続する0のうちの、いずれかを識別する場合には、例外検出器126は、例外検出信号128をアサートする。例外検出器126が、交互に繰り返す1と0との期待されたパターンを識別する場合には、例外検出器126は、例外検出信号128をアサートしない。位相較正ステートマシン130が、例外検出信号128に応答する。ステートマシン130は、捕捉されたビーコン204内において例外が検出されるまで、連続的なインクリメントにおいて(又は連続的にインクリメントすることによって)キャプチャクロック108の位相を調整することによって、セットアップ時間とホールド時間とが違反しているビーコン200の位相に対するキャプチャクロック108の位相を識別する。ステートマシン130は、従って、キャプチャクロック108の位相を調整して、キャプチャクロック108から捕捉されたビーコン204(a)までの位相関係を最適化し、位相較正プロセスが完了する。
【0013】
スリップ信号132によって、キャプチャクロック108が、ソースクロック100の単一周期分だけ、キャプチャクロック108の周期区間を長くされるか又は短くされることによって、その位相が調整させられる。ステートマシン130は、捕捉されたビーコン204内において例外が検出されるまで、連続的な同一位相の調整を発令する。好適一実施形態において、ソースクロック100の単一周期分だけキャプチャクロック108の周期区間を長くすることによって位相が調整される。ランチクロック106とキャプチャクロック108との間の位相関係が、ビーコンの伝達が不確定であるようなものである時には、キャプチャクロック108とランチクロック106との間の位相関係が、確実な伝達に関して最悪の事態にあることが推測される。実際には、キャプチャクロック108は、ソースクロックの単一周期分だけ調整されるため、ランチクロック106とキャプチャクロック108との間の位相関係は、ソースクロック100の単一周期区間に等しい変化度内にあることだけがわかる。従って、例外が検出される時には、実際の最悪の事態は、位相関係が、現在より1つ前の位相関係に対して零よりも大きく、且つ、現在の位相関係よりも小さい場合である。言い換えると、例外が検出される時までに、最適な位相関係に向けての何らかの動きが既に起こされてしまっている。ビーコン200内において例外が識別される時には、ステートマシン130は、確実な伝達を最適化するために、キャプチャクロック108の位相に対して最終的な調整を行う。ある一定方向の位相較正の実施形態において、キャプチャクロック108の最適化された位相は、例外が検出された時のキャプチャクロック108の位相に対して、約180度位相がずれる。
【0014】
具体的に図4に関して、スリップを用いた、5による分周の分周器として、キャプチャクロック発振器134の、ある特定の実施形態が示されている。スリップを用いた、5による分周の分周器は、分周器402と伝達し合うパルス発振器400を備える。ソースクロック100は、分周器402を駆動する。分周器402は、2つの分周モード、すなわち5による分周と6による分周とを有し、分周モード信号404によって制御される。従って、ソースクロック100がfの周波数を有する場合には、分周器402は、f/5の周波数の信号と、f/6の周波数の信号とを提供することができる。図4に示された特定の実施形態において、分周器402は、分周モード信号404がハイである時には5による分周であり、分周モード信号404がローである時には6による分周である。分周モード信号404は通常ハイである。パルス発振器400が、スリップ信号132を受け入れる時には、パルス発振器400は、ローに向かう分周モードパルス信号404を発令し、それにより、分周器402が、分周されるクロックの1周期について、6によって分周させられる。スリップ信号は、分周器402の単一スリップのみの効果(又は作用)に、継続期間が制限される。従って、スリップ信号132のアサートの結果、キャプチャクロック108の位相は、ソースクロック100の単一周期分だけ時間が進められる。5つの連続的な時間の進ませによって、結果として、キャプチャクロック108の、360度の位相シフトが生じる。スリップによる分周器の好適一実施形態の更なる詳細な説明は、共同で所有し且つ共同で出願中の「スリップによる分周器」と題する、2005年3月10日にファイリングされた、米国特許出願第11/076,758号に開示されており、該出願は、本特許出願の共同の発明者であるRobert Millerによって発明されている。前記「スリップによる分周器」の特許出願の全体は、参照によって本明細書内において組み込まれる。1つのプレシオクロナス・クロックの位相を別のプレシオクロナス・クロックに対して生成及び調整するための代替の装置及び方法は、既知であり、本教示において詳細には説明されない。代替の装置及び方法において、1つのプレシオクロナス・クロックは、その他のプレシオクロナス・クロックに対して同じ周波数か又は異なる周波数とすることができ、且つ、本明細書内において記載されたものとは異なる周波数とすることができる。そのような代替の方法、クロック、及び周波数は、当業者の理解のうちにあり、本教示による一実施形態内において用いるのに適合可能である。
【0015】
具体的に図5に関して、位相較正ステートマシン130によって実行されるプロセスのフローチャートが示されている。当業者であれば理解されるように、該ステートマシン130は、組み込まれたプロセッサと共に、ハードウェアのFPGAとしてか、又はファームウェア/ソフトウェアとして実装されることが可能である。従って、ステートマシン130の構造は、いかにそれが実装されるかが要求される。好適一実施形態において、ステートマシン130は、ハードウェア論理回路内に実装される。ステートマシン130は、キャプチャリセット信号136をアサートし、及び可変カウンタを零に、すなわちi=0に設定することによって、まず最初に位相較正プロセスを初期化する(500)。ステートマシン130は、キャプチャリセット信号136をデアサートし、ビーコン200内における例外を待つように、ある期間の間、例外検出器126が一時停止すること(502)を許可する。一時停止の時間の後に、例外が検出されない場合(504)には、ステートマシン130は、キャプチャクロック108の位相を調整するためにスリップ信号132をアサートし(506)、可変カウンタを1だけ増加させる。ステートマシン130は、位相調整されたキャプチャクロック108の条件下で、再び一次停止させ(502)、例外が検出される(508)か、又は例外を検出することなく全ての可能な位相調整がテストされてしまうまで、キャプチャクロックを調整するプロセス506と、一次停止プロセス502とを繰り返す。可能な位相調整の回数は、通常動作の下での分周器402の分周要素(分周ファクター)に等しい。図4内に示された本例においては、N=5である。例外が検出された時には、ステートマシン130は、ある180度以下の位相シフトに位相を調整することによって、キャプチャクロック108の位相を最適化させる(510)。約180度の位相シフトを達成させるための適切な回数のスリップのための一般式は、可能な位相調整の回数(N)を半分に除算した整数値である。具体的には次のようになる。
【0016】
#スリップ=INT(N/2)・・・(1)
特定例を説明するために、再び図2を参照すると、エッジ206において、参照番号108として示されたキャプチャクロックの位相について、例外が検出される場合には、ステートマシン130は、キャプチャクロック108の位相を、追加的なINT(5/2)=2周期(すなわち、ソースクロック100の2周期分(212))だけスリップさせることによって、検出された例外に応答して、キャプチャクロック108の位相を調整する。Nが偶数である場合には、追加的なスリップの回数は、N/2に等しい。新たな位相関係によって、調整されたキャプチャクロック108(a)が生じる。図2から明らかなように、調整されたキャプチャクロック108(a)の立ち上がりエッジは、参照番号214として示され、ビーコン200が信頼でき且つ安定であるとみなされる範囲内において適切に配置されている。最適化されたキャプチャクロック108(a)によって駆動されたキャプチャ素子112によって受信されたビーコン200は、参照番号204(a)として示されている。ビーコン発生器120が実質的にはランチ素子110と共に配置され、且つ、例外検出器126が実質的にはキャプチャ素子112と共に配置されているため、及び、ビーコン発生器120と例外検出器126とが、ランチクロック106とキャプチャクロック108とによってそれぞれ駆動されるため、ランチクロック106とキャプチャクロック108との間の相対位相の位相較正はまた、ランチ素子110からキャプチャ素子112へのデータ送信についても最適化されると考えられる。図1〜5に関連して例示を目的として説明されたような位相較正プロセスは、ランチクロック106とキャプチャクロック108との間の位相関係を最適化して、一方向におけるデータ伝達のためのセットアップ時間とホールド時間とを最大化させる。いくつかの場合において、一方向における位相の最適化は、両方向において、確実な伝達を行うのに十分である。従って、本教示の、ある一定方向の位相較正の実施形態において、位相較正プロセスは完全である。
【0017】
いくつかの場合において、ランチクロック106とキャプチャクロック108との間の位相関係を双方向に最適化することが望ましい。データ通信の各方向について、セットアップ時間とホールド時間とに背くランチ及びキャプチャ条件を検出するために、2つのビーコン発生器と2つの例外検出器とを有することによって、本教示を、双方向の場合に適用する(又は構成する)ことができる。2つの位相位置が識別される時には、キャプチャクロック108は、その位相を、2つの位相測定値の間の最大ギャップの中間に設定することによって最適化される。具体的に図6に関して、本教示による、双方向の場合において位相を最適化するための装置の一実施形態が示されており、該双方向の場合は、既に説明された一定方向の場合が拡張されている。語句「ランチドメイン」と「キャプチャドメイン」とは、一定方向の場合の説明に用いられている。双方向の場合において、各ドメインは、ランチ及びキャプチャの両方の特徴を有する。従って、双方向の場合を説明する目的のために、両方の間で双方向の伝達が行われる「コアドメイン」602と「I/Oドメイン」604とに参照がなされる。コアドメイン602は、コアクロック620によって駆動される。I/Oドメイン604は、I/Oクロック624を生成するI/Oクロック発振器603を有する。コアクロック620と、I/Oドメインクロック発振器とが、同じソースクロック100からそらされる。ある特定の実施形態において、コアドメイン602からI/Oドメイン604へとデータを提供する第1のデータ通信線610を有するコアドメイン・ランチ素子606とI/Oドメイン・キャプチャ素子608とが存在する。更に、I/Oドメイン604からコアドメイン602へとデータを提供する第2のデータ通信線616を有するI/Oドメイン・ランチ素子612とコアドメイン・キャプチャ素子614とが存在する。このコアドメイン及びI/Oドメインの命名法を用いた結果として、限定的な解釈がなされないことが当業者であれば理解されよう。この命名法は、例示を目的として、本教示による双方向の実施形態を説明する目的のために使用されている。コアドメイン602は、コアビーコン700を生成するコアビーコン発生器618を有し、該コアビーコン発生器618はコアクロック620によって駆動される。ある特定の実施例において、コアビーコン700は、交互に繰り返す1と0とのデータパターンである。コアビーコン発生器618は、I/O・例外検出器622に提供するためにコアビーコン700をコアビーコン送信線608上へと提供する。I/O・例外検出器622は、I/Oクロック624によって駆動される。I/O・例外検出器622が、コアビーコン内において例外を識別する時には(例えば704を参照)、I/O・例外検出器622は、第1の例外検出信号626をアサートする。アサートされた第1の例外検出信号626に応答して、位相最適化ステートマシン130は、I/Oクロック624の第1の相対位相位置を記録する。I/Oドメイン604は、コア・例外検出器632によって受信されるためのI/O・ビーコン通信線630にわたる送信のためにI/O・ビーコン702を生成するI/O・ビーコン発生器628を含む。ステートマシン130は、ソースクロック100の単一周期の連続的なインクリメントによってI/Oクロック624の位相を調整し、それにより、第2の例外が検出されるまで、コアクロック620に対する、I/O・ビーコン702の位相関係もまた調整される。コア・例外検出器632が、I/O・ビーコン702内において例外を識別する時には、コア・例外検出器632は、第2の例外検出信号634をアサートする。第2の例外検出信号634に応答して、位相較正ステートマシン130は、I/Oクロック624の現在の相対位相位置を記録する。データ通信の両方向についてのセットアップ時間とホールド時間とが最適化される、コアクロック620に対するI/Oクロック624の位相を、配置することが望ましい。従って、最適化された位相関係は、例外が検出されない最大時間の中間にある。
【0018】
具体的に図7に関して、図6の本教示によるプロセス内において存在する信号を示す例示的なタイミング図が示されている。図7は、fの周波数におけるソースクロック100、及びf/Nの周波数におけるコアクロック620(ここでN=5)、並びに、同様にf/Nの周波数におけるI/Oクロック624を示す。図示された実施形態において、コアクロック620の周波数とI/Oクロック624の周波数とは等しい。代替の実施形態は、コアクロック620とI/Oクロック624とが異なる周波数であるが、ソースクロック100の周波数がコアクロック620とI/Oクロック624との両方の整数倍である状況を含むことができる。コアビーコン700が、交互に繰り返す1と0とのデータパターンとして示されている。コアビーコン700は、コアクロック620を用いて生成され、コアクロック620の立ち上がりエッジにおいて遷移を開始するものとして示されている。遷移時間に加えて、ロジックを受けるためのセットアップ時間とホールド時間とが不定の遷移領域701として表されている。コアクロック620に対して、ソースクロックの周期の2分の1の時間がシフトされたものとして、I/Oクロック624が、624(a)において第1の相対位相位置内に示されている。この関係は、一例として並びに明瞭化すること及び説明することの目的として示されている。プレシオクロナス・クロックは無限の数の様々な位相関係を有することができることが当業者であれば理解されよう。コアビーコン700が、I/Oクロック624の立ち上がりエッジにおいてI/O・例外検出器622内へとクロック入力され、コアクロック620のI/Oクロック624(a)に対する位相関係は、コアビーコン700が、その不定の状態にあることを示す。従って、例外は、2つのクロック620及び624(a)の相対位相において検出されることになる。参照番号704を参照されたい。ステートマシン130は、I/Oクロック624の現在の位相位置を格納することによって、第1の例外検出信号626のアサートに応答する。該ステートマシンは、次いで、ソースクロック100の単一周期に等しい連続的なインクリメントにおいてI/Oクロックの位相を調整する。それぞれのインクリメントした位相変化ごとに、ステートマシン130は、一次停止させて、検出された例外を待つ。見つからなければ、ステートマシン130は、次のインクリメントした位相に変化させる。I/Oクロック624(b)は、ステートマシン130が2つの調整を終えた後の、調整されていないコアクロック620に対する、I/Oクロック624の位相を表す。2つの調整の結果は、ソースクロックの2つの周期分だけ、I/Oクロック624(a)のオリジナルの位相関係に対してシフトされたI/Oクロック624(b)である。参照番号706を参照されたい。1周期の中間位相調整のためのタイミング図は、明瞭化の目的のため、示されていない。第1の位相調整されたI/Oビーコン702(b)が、第1の位相調整されたI/Oクロック624(b)によって生成される。第1の位相調整されたI/Oクロック624(b)に対する、コアクロック620の位相関係において、第1の位相調整されたI/Oビーコン702(b)が、適切に、正常なタイミング関係内にあるため、コアクロック620の立ち上がりエッジは、I/Oビーコン702(b)のデータパターンを適正に示す。参照番号708を参照されたい。第2の位相調整されたI/Oクロック624(c)に到達させるため、ソースクロック100の2つの周期に等しい2つの更なる調整が、I/Oクロック624になされる。参照番号710を参照されたい。第2の位相調整されたI/Oビーコン702(c)が、第2の位相調整されたI/Oクロック624(c)を用いて生成される。タイミング図からわかるように、コアクロック620の立ち上がりエッジは、第2の位相調整されたI/Oビーコン702(c)の中間の遷移領域において発生する。参照番号708を参照されたい。従って、コア・例外検出器632は、I/Oビーコン702(c)内において例外を識別し、第2の例外検出信号634をアサートする。ステートマシン130は、I/Oクロック(a)のオリジナルの位相に対する、I/Oクロック(c)の現在の位相を格納することによって、アサートされた第2の例外検出信号634に応答する。参照番号712を参照されたい。
【0019】
第1の例外は、タイミング位置704として示される時間0において検出される。第2の例外は、タイミング位置712として示される時間4において検出される。この例において、I/Oクロック624の全周期にわたる位相調整において、5つ(又は5回)のタイミングのインクリメントが存在する。下記の表の第1の行は、0〜4の反復するタイミングのインクリメントを表す。下記の表の第2の行は、いずれかの伝達方向において例外が検出されているか又は検出されていないかどうかを表す。従って、図6に示された例によって、次の結果が生じる。
【0020】
【表1】

【0021】
高速クロックを用いる大抵の場合において、双方向の場合についての位相最適化ステートマシン130は、コアクロック620に対するI/Oクロック624の位相がその周期区間にわたって調整される時には、少なくとも1つの例外を見つけるであろう。例外が見つからない場合には、コアクロック620とI/Oクロック624との間の位相関係は、データ通信において影響を与えない。1つの例外だけが見つかる場合には、位相最適化プロセスは、図5において図示された一定方向の場合と同じである。具体的には、I/Oクロック624の位相の最適化された調整は、I/Oクロック624の初期の位相位置からNの半分の結果の整数部分であり、すなわちINT(N/2)である。2つか又はそれより多い例外が見つかる場合には、例外が検出されない2つのセクションを画定する、せいぜい2つの、例外のグループ分けをすることが最も見込みがある。位相最適化プロセスは、検出された例外のグループ間の2つのセクションのうちの最大のものを決定し、I/Oクロック624の位相を、最大のセクションの中間に配置する。表1のデータに基づいて、2つの例外だけが見つかる。例における第1の例外(「a1」)は、時間0において検出され、I/Oクロック624の調整されていない位相関係を表す。第2の例外(「a2」)は、時間4において検出され、I/Oクロック624の調整されていない位相関係に対して、ソースクロック100の4つの周期分が調整されたI/Oクロック624を表す。検出された例外間の第1のセクションは、次のように計算される。
【0022】
d1=a2−a1 ・・・(2)
従って、この例において、d1=a2−a1=4である。検出された例外間の第2のセクションは、次のように計算される。
【0023】
d2=(a1+N)−a2 ・・・(3)
この例において、d2=(a1+N)−a2=(0+5)−4=5−4=1である。従って、最大セクションは、d1=4となるように決定される。最大セクションの中間は、セクションが計算される位相位置から、c周期となるように計算される。
【0024】
【数1】

【0025】
ステートマシンは、セクションがI/Oクロック624の現在の位相位置に基づいて計算される位相位置から、I/Oクロック624の位相をソースクロックのc周期に配置するためにソースクロック100のどれだけの数のスリップが適切であるかを決定する。従って、この例において、次のようになる。
【0026】
【数2】

【0027】
d1が最大セクションの場合には、最適化された位相関係は、a1からのcソースクロック周期であり、d2が最大セクションの場合には、最適化された位相関係は、a2からのcソースクロック周期である。この例において、最大セクションはd1=4であり、最大セクションの中間は、a1例外からc=2のソースクロック周期である。更に、I/Oクロック624の現在の位相位置は、a2である。従って、コアクロック620に対する、I/Oクロック624の最適化された位相関係は、I/Oクロック624のオリジナルの位相位置からの2ソースクロック周期であり、この例において、参照番号706として示されている。最適化されたI/Oクロック624は、I/Oクロック624(d)として図内に示されている。
【0028】
具体的に図8に関して、本教示による、双方向の位相最適化プロセスのある特定の実施形態のフローチャートが示されている。該プロセスは、図7において示され、図6に示されたステートマシン130に適しており、最大で2つの検出された例外が期待される状況に適用でき、1つがコアビーコン700についてであり、もう1つがI/Oビーコン702についてである。初期化ステップ500は、一定方向の実施形態において示されたものと同じであり、該実施形態において、第1及び第2の例外検出器622、632をリセットするために、キャプチャリセット信号136がアサートされて、可変カウンタが零に、すなわちi=0に設定される。ステートマシン130は、キャプチャリセット信号136をデアサートし、コアビーコン700内か又はI/Oビーコン702内において検出されることになる例外を待つように、ある期間の間、一次停止させる(502)。まず最初に(802)、コアビーコンの例外が検出される場合(804)には、I/Oクロック624の現在の位相状態が、第1の検出された例外a1として記録される。その特定の実施形態において、コアビーコン例外検出器622は、「スティッキー検出」であり、プロセスの残りについては、アサートされたままとなる。従って、コアビーコン例外検出信号626の第1のアサートだけが識別される。コアビーコン例外が検出されない場合(806)には、何も実行されず、プロセスが継続する。ステートマシン130は、次いで、I/Oビーコン702内において何らかの例外が検出されたかどうかを判定する(808)。まず最初に、例外が検出された場合(810)には、I/Oクロックの現在の位相状態が、第2の検出された例外a2として記録される。この特定の実施形態において、I/Oビーコン例外検出器632もまた、「スティッキー検出」であり、プロセスの残りについて、アサートされたままとなる。従って、I/Oビーコン例外検出信号634の第1のアサートだけが識別される。例外が検出されない場合(812)には、何も実行されない。a1とa2とが設定されるか、又は可変カウンタiが、単一I/Oクロック624周期内においてソースクロック100の周期数、すなわちNに等しい場合には、例外が全く期待されず、そのプロセスは最適化ステップ(816)に継続する。a1とa2とが設定されず、且つ、可変カウンタiがNに等しくない場合には、ステートマシン130は、ソースクロック100の1周期分だけI/Oクロック624をスリップさせるためにスリップ信号132をアサートし(506)、可変カウンタを1だけ増加させて、調整されたI/Oクロック624の状態で、一時停止ステップ(502)へと戻す。そのプロセスは、両方の例外が記録されるまでか、又は可変カウンタがNに等しくなるまで繰り返される。両方の例外が設定されるか、又は可変カウンタがNに等しくなった時には、ステートマシン130は、例外が1つだけが見つかった場合には検出された例外から約180度とするか、或いは、2つの例外が見つかった場合には検出された例外間の差の最大値における中間に、I/Oクロック624の位相を位置決めすることによって、コアクロック620に対して、I/Oクロック624の位相を最適化させる(816)。
【0029】
コアクロック620の全周期にわたってI/Oクロック624の位相が調整される時に、2つよりも多い例外が検出される可能性のある、1つの代替の双方向の実施形態において、可変のa1とa2とが、Nの要素を有する例外アレイa(*)に置き換えられる。そのアレイの各要素は、時間スリップ0〜N−1を表し、各々の時間スリップにおいて例外が検出されるかどうかに依存して論理1か又は論理0である。ステートマシン130が例外を識別する時には、ステートマシン130は1を適切なアレイ素子内に格納し、例外が検出されない場合には0を格納する。各例外が検出された後には、ステートマシン130は、キャプチャリセット信号136をアサートする。例外が検出されない2つのセクションの最大値を識別するための例外アレイ内のデータに基づく計算は、詳細には説明されていないが、当業者の能力の範囲内にある。この代替の双方向の実施形態は、より厳密であるが、最適化プロセスを完了するためにより多くの時間がかかる。ソースクロック100が、通信システム内において識別されているセットアップ及びホールド時間に対して、十分に少ないインクリメントで済む時には適切である。
【0030】
具体的に図9に関して、本教示による別の一定方向の実施形態は、データ通信線114にわたってビーコンを伝達し、それにより、専用のビーコン送信線122を不要にしている。例外検出器126が、2:1の多重化装置900を介して、データ通信線114と伝達し合うことが当業者であれば理解されよう。ステートマシン130によって実行されるプロセスは、本明細書内において開示した実施形態に類似する。機能データとビーコン200とのについてのデータ通信線を共有する実施形態において、ステートマシン130は、装置の通常データ送信機能を開始するために最適化ステップの後に、多重化装置900の選択入力による受け取りのために、最適化された位相信号902をアサートする。有利なことに、ビーコン発生器120は、ランチ素子110にしっかりと結合される。例外検出器126が、共に配置されることによってキャプチャ素子112にしっかりと結合されている場合には、位相最適化装置及びプロセスは、機能データ通信のタイミングをより高度に表す。不都合なことに、多重化装置900は、データ送信のタイミング経路内に配置され、それにより、容認不可能なレイテンシを挿入する。図9の実施形態を、当業者によって双方向の場合に拡張することができる。
【0031】
本教示による別の実施形態は、コア例外検出器632とコアビーコン発生器618とのうちの1つか又は両方が、I/Oドメイン604内に配置される。有利なことに、位相最適化のためのほとんどの電子装置が、ドメイン602、604のうちの1つだけに配置される。製品の提案により、I/Oドメイン604における電子装置のベンダーは、電子装置をクライアントのコアドメイン602内に存在させることを要求することによって、クライアント設計に影響を与える必要がない。不都合なことには、ビーコン発生器(複数可)と例外検出器(複数可)とが、検出された例外が2つのドメイン間のデータ送信特性を表しているという仮定を支援するために、データ送信及び受信電子装置に近接して結合されない。従って、ビーコン発生器(複数可)120、618、628がデータ送信電子装置110、606、612と共に配置され、且つ、例外検出器(複数可)126,622、632がデータ受信ハードウェアと共に配置される、実施形態は、2つのドメイン602と604との間のデータ通信システム内において例外を識別するためのより正確な実施形態であることが確信される。
【0032】
本教示による実施形態は、特許請求の範囲内の特定例を示すことを目的として説明される。代替の実施形態は、ビーコンが、本明細書内において示した交互に繰り返す1と0のデータパターンとは別の反復するデータパターンであることを含む。ランチクロック106及びキャプチャクロック108は、依然としてプレシオクロナスであり且つ同じソースクロック100から派生している状態で、異なる周波数とすることもできる。この場合には、キャプチャクロック108は、ランチクロック106の全周期区間にわたってスリップさせられる。他の実施形態と適応物とが、本教示を与えられた当業者によって生じられ、添付の特許請求の範囲内において考慮される。
【0033】
有利な点:1.最小のレイテンシ。2.ランチドメインとキャプチャドメインとについて、伝搬遅延を一定にさせる必要が無い。3.既存の回路に基づいて最適化される。4.その他。
【0034】
代替できる点:1.ビーコンは、他の既知パターンとすることもできる。2.位相調整を行う能力を有する分周器のための他の設計とすることもできる。
【0035】
以下において、本発明の構成要件の組み合わせからなる例示的な実施形態を示す。
1.プレシオクロナスなランチクロック及びキャプチャクロックによって駆動されたランチドメインとキャプチャドメインとの間のデータ転送を最適化するための方法であって、
前記ランチドメインから前記キャプチャドメインへと代表データのビーコンを送信し、
前記キャプチャクロックを用いて前記キャプチャドメイン内に前記ビーコンを取り込み、
前記捕捉されたビーコンを例外について監視する
といったステップを含み、
前記ビーコンは、前記ランチドメイン内において生成され、前記ランチクロックによって駆動され、
例外が検出されない場合には、前記キャプチャクロックの位相を調整し、及び、例外が検出されるまで、前記送信するステップと前記取り込むステップと前記監視するステップとを繰り返し、
例外が検出された場合には、前記ランチクロックに対して、前記キャプチャクロックの位相を最適化する
ことを含むことからなる、方法。
2.前記最適化するステップは、前記捕捉されたビーコン内において前記例外が識別された時の前記キャプチャクロックの位相に対して約180度位相がずれることになるよう、前記キャプチャクロックの位相を調整することを含むことからなる、上記1に記載の方法。
3.第1の識別された例外に基づいて、第1の例外位相関係を格納し、
前記送信するステップと前記取り込むステップと前記監視するステップとを繰り返し、
第2の識別された例外に基づいて、第2の例外位相関係を格納し、及び、
前記第1及び第2の例外位相関係について、前記ランチクロックの位相に対して、前記キャプチャクロックの位相を最適化する
といったステップを更に含むことからなる、上記1に記載の方法。
4.前記最適化するステップは、前記第1及び第2の例外位相関係に対する前記キャプチャクロックの位相関係を調整して、前記第1及び第2の例外位相関係の差分を最大化させることを含むことからなる、上記3に記載の方法。
5.前記ランチクロックと前記キャプチャクロックとは、同じ周波数を有し、該周波数は、ソースクロックの倍数であり、
前記調整するステップは、前記ソースクロックの少なくとも1周期区間だけ位相をスリップさせることを含むことからなる、上記1に記載の方法。
6.前記ランチ及びキャプチャクロックの前記周波数は、前記ソースクロックの周波数の1/Nであり、
前記最適化するステップは、前記キャプチャクロックの位相を、前記ソースクロックの、N/2以下の整数値の追加周期区間だけスリップさせることを含むことからなる、上記5に記載の方法。
7.前記Nは奇数の整数である、上記6に記載の方法。
8.前記ビーコンは、論理1と論理0とのデータストリームを含み、及び、前記例外は、1と0とからなるグループから選択された少なくとも2つの論理値のデータパターンを含むことからなる、上記1に記載の方法。
9.前記ビーコンは、前記キャプチャクロックの周波数の半分の周波数であることからなる、上記8に記載の方法。
10.プレシオクロナスなランチクロック及びキャプチャクロックによって駆動されたランチドメインとキャプチャドメインとの間のデータ転送を最適化するための装置であって、
前記ランチクロックによって駆動されたランチドメイン内のビーコン発生器であって、ビーコンを生成する、ビーコン発生器と、
前記キャプチャクロックによって駆動されたキャプチャドメイン内の例外検出器であって、前記ビーコンを捕捉されたビーコンとして表し、該捕捉されたビーコン内において検出された例外を示すことからなる、例外検出器と、
前記検出された例外に応答するステートマシンであって、前記ランチクロックと前記捕捉されたビーコンとの間の相対位相を最適化するために、前記キャプチャクロックの位相を調整する、ステートマシン
とを備える、装置。
11.前記ステートマシンは、前記捕捉されたビーコン内において前記例外が検出された時の前記キャプチャクロックの位相に対して約180度位相がずれることになるよう、前記キャプチャクロックの位相を調整する、上記10に記載の装置。
12.前記ステートマシンは、第1及び第2の例外検出器に応答して、第1及び第2の検出された例外に基づいて、前記キャプチャクロックを最適化するために前記キャプチャクロックの位相を調整する、上記10に記載の装置。
13.前記ステートマシンは、第1の検出された例外と第2の検出された例外との間の差分を最大化させるために、前記キャプチャクロックの位相を調整する、上記12に記載の装置。
14.前記ランチクロックと前記キャプチャクロックとは、同じ周波数を有し、該周波数は、ソースクロックの倍数であり、前記ステートマシンは、前記ソースクロックの周期区間に等しいインクリメントにおいて、前記キャプチャクロックを調整することからなる、上記10に記載の装置。
15.前記ランチ及びキャプチャクロックの前記周波数は、前記ソースクロックの周波数の1/Nであり、
前記ステートマシンは、前記キャプチャクロックの位相を、前記ソースクロックの、N/2以下の整数値の追加周期区間だけ、前記例外が検出された時の前記キャプチャクロックの位相に対してスリップさせることによって、前記キャプチャクロックを最適化することからなる、上記14に記載の装置。
16.前記Nは奇数の整数である、上記15に記載の装置。
17.前記ビーコンは、論理1と論理0とのデータストリームを含み、前記例外は、1と0とからなるグループから選択された少なくとも2つの連続した論理値のデータパターンを含むことからなる、上記10に記載の装置。
18.前記ビーコンは、前記キャプチャクロックの周波数の半分の周波数である、上記17に記載の装置。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本教示による、方向性の無い実施形態のブロック図である
【図2】図1において示された実施形態内の例示的な信号のタイミング図である。
【図3】本教示による、例外検出器の一実施形態の論理図である。
【図4】本教示による一実施形態内において使用するのに適切なスリップによる分周器の一実施形態の論理図である。
【図5】本教示による位相較正ステートマシンによって実行されるプロセスのフローチャートである。
【図6】本教示による双方向性の実施形態のブロック図である。
【図7】図6において示された実施形態内の例示的な信号のタイミング図である。
【図8】本教示による図6内に示された位相較正ステートマシンの実施形態によって実行される双方向の位相較正プロセスのフローチャートである。
【図9】本教示による、代替の一定方向の実施形態のブロック図である。
【符号の説明】
【0037】
100 ソースクロック
102 ランチドメイン
104 キャプチャドメイン
106 ランチクロック
108 キャプチャクロック
120 ビーコン発生器
126 例外検出器
130 ステートマシン
200 ビーコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレシオクロナスなランチクロック及びキャプチャクロックによって駆動されたランチドメインとキャプチャドメインとの間のデータ転送を最適化するための装置であって、
前記ランチクロック106によって駆動されたランチドメイン102内のビーコン発生器120であって、ビーコン200を生成する、ビーコン発生器と、
前記キャプチャクロック108によって駆動されたキャプチャドメイン104内の例外検出器126であって、前記ビーコン200を、捕捉されたビーコンとして表して、該捕捉されたビーコン内において検出された例外を示すことからなる、例外検出器と、
前記検出された例外に応答するステートマシン130であって、前記ランチクロックと前記捕捉されたビーコンとの間の相対位相を最適化するために、前記キャプチャクロック108の位相を調整する、ステートマシン
とを備える、装置。
【請求項2】
前記ステートマシン130は、前記捕捉されたビーコン内において前記例外が検出された時の前記キャプチャクロックの位相に対して約180度位相がずれることになるよう、前記キャプチャクロック108の位相を調整する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ステートマシン130は、第1及び第2の例外検出器に応答して、第1及び第2の検出された例外に基づいて、前記キャプチャクロックを最適化するために前記キャプチャクロック108の位相を調整する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ステートマシン130は、前記第1の検出された例外と前記第2の検出された例外との間の差分を最大化させるために、前記キャプチャクロック108の位相を調整する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ランチクロック106と前記キャプチャクロック108とは、同じ周波数を有し、該周波数は、ソースクロック100の倍数であり、前記ステートマシン130は、前記ソースクロック100の周期区間に等しいインクリメントにおいて、前記キャプチャクロック108を調整することからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ランチクロック106及び前記キャプチャクロック108の前記周波数は、前記ソースクロックの周波数の1/Nであり、
前記ステートマシン130は、前記キャプチャクロック108の位相を、前記ソースクロック100の、N/2以下の整数値の追加周期区間だけ、前記例外が検出された時の前記キャプチャクロック108の位相に対してスリップさせることによって、前記キャプチャクロック108を最適化することからなる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記Nは奇数の整数である、上記6に記載の装置。
【請求項8】
前記ビーコン200は、論理1と論理0とのデータストリームを含み、前記例外は、1と0とからなるグループから選択された少なくとも2つの連続した論理値のデータパターンを含むことからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ビーコン200は、前記キャプチャクロック108の周波数の半分の周波数である、請求項8に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−295925(P2006−295925A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104366(P2006−104366)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(506076606)アバゴ・テクノロジーズ・ジェネラル・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (129)
【Fターム(参考)】