説明

プレスシステム

【課題】、安全性を確保しつつ、金型の交換を容易に行うことができるプレスシステムを提供する。
【解決手段】プレスシステム1では、上下金型Kを収容する収納台13とプレス装置2の開口部7との間で上下金型Kを搬送するトラバーサ14がプレス装置2に隣接して配置されている。これにより、プレス装置2への上下金型Kの搬送に例えばクレーンなどを用いることがないので、上下金型Kの交換を容易に行うことが可能となる。また、ガード板8の閉状態が検知されたとき、つまりプレス装置2においてプレス動作が実施さているときには、トラバーサ14の稼動が禁止され、ガード板8の閉状態が検知されていないときにトラバーサ14の稼動が解除される。これにより、例えばプレス動作中にトラバーサ14が勝手に移動することが防止されるので、安全性を確保することができる。このように、金型の交換を容易に行うことができると共に、安全性の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス装置と、このプレス装置に金型を搬送する金型搬送装置とを備えるプレスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上金型と下金型とを用いて素材を加圧成形するプレス装置が知られている。このプレス装置には、下金型が取り付けられるボルスタと、このボルスタに対向して配置され、上金型が取り付けられるスライドとが設けられている。ボルスタとスライドとの間の空間は、作業スペースとなっている。そして、プレス装置の両側の開口部には、例えば作業者の手などが側部から作業スペースに侵入することを防止するために、一対のガード板が設けられている。
【0003】
ところで、上記のような構成を有するプレス装置においては、加工する素材に応じて、上下金型を交換する作業が必要となる。この金型は、例えば金属によって形成されているため相当の重量があり、作業者が簡単に持ち運ぶことが困難である。そのため、金型を交換する際には、例えばクレーンによって金型を吊り上げ、プレス装置の前方から金型を作業スペース内に搬出入する必要がある。従って、金型を交換する作業は、大掛かりなものとなっている。
【0004】
そこで、簡単に金型をプレス装置まで搬送する装置として、例えば特許文献1に記載の金型搬送装置がある。この金型搬送装置では、レールに沿って移動する搬送台車によって金型をプレス装置まで搬送している。このような金型搬送装置を使用する場合には、作業性の確保の観点から、プレス装置の側面の開口部から金型を搬出入することが好適である。しかしながら、上述のように、プレス装置の開口部にはガード板が設けられている。そのため、金型搬装置を使用するにあたり、ガード板を取り外す必要があるが、ガード板を取り外すことにより安全上の問題が生じるおそれがある。
【0005】
この問題に関して、例えば特許文献2に記載のプレス装置には、ガード板のインターロック装置が設けられている。このプレス装置では、開口部に開閉自在にガード板が取り付けられており、ガード板が開状態であるときにはプレス動作を禁止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3540188号明細書
【特許文献2】特許第4199876号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、金型を交換するとき以外では、金型搬送装置の搬送台車に対する作業者の意識は低い。この場合、例えばプレス作業中に搬送台車が何らかの理由で移動した場合であっても、作業者が気付かないおそれがある。このとき、例えば搬送台車に交換後の金型が載置されている場合にあっては、作業者が視認することのできないところで金型の落下などといった事態が生じるおそれがある。従って、プレス装置と金型搬送装置とを連携して使用するにあたっては、更なる安全性の向上が望まれている。
【0008】
本発明は、上記課題解決のためになされたものであり、金型の交換を容易に行うことができると共に、安全性の向上を図ることができるプレスシステムを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決のため、本発明に係るプレスシステムは、下金型が取り付けられるボルスタ及び上金型が取り付けられるスライドが配置された作業スペースを有する筺体と、作業スペースに上下金型を搬入するための開口部に開閉可能に取り付けられたガード板とを備えるプレス装置と、上下金型を収納する収納台と、プレス装置に隣接して配置され、収納台と開口部との間で上下金型を搬送するトラバーサとを備える金型搬送装置とを含んで構成されるプレスシステムであって、ガード板の閉状態を検知する閉状態検知手段と、作業スペースにおけるプレス動作を禁止する第1インターロック手段と、金型搬送装置におけるトラバーサの稼動を禁止する第2インターロック手段と、第1インターロック手段及び第2インターロック手段を制御するインターロック制御手段とを備え、インターロック制御手段は、閉状態検知手段によってガード板の閉状態が検知されたときに第1インターロック手段を解除すると共に、第2インターロック手段を動作し、閉状態検知手段によってガード板の閉状態を検知していないときに、第1インターロック手段を動作すると共に、第2インターロック手段を解除することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るプレスシステムでは、上下金型を収容する収納台とプレス装置の開口部との間で上下金型を搬送するトラバーサがプレス装置に隣接して配置されている。これにより、プレス装置への上下金型の搬送に例えばクレーンなどを用いる必要がないので、上下金型の交換を容易に行うことが可能となる。また、ガード板の閉状態が検知されたとき、つまりプレス装置においてプレス動作が実施さているときには、トラバーサの稼動が禁止され、ガード板の閉状態が検知されていないときにトラバーサの稼動が解除される。これにより、例えばプレス動作中にトラバーサが勝手に移動することが防止されるので、安全性を確保することができる。このように、金型の交換を容易に行うことができると共に、安全性の向上を図ることができる。
【0011】
また、ガード板の開状態を検知する開状態検知手段を更に備え、インターロック制御手段は、開状態検知手段によってガード板の開状態が検知されたときに、第1インターロック手段を動作させると共に、第2インターロック手段を解除することが好ましい。この場合には、ガード板が開状態であることを確実に検知することができるので、第1インターロック手段及び第2インターロック手段をより確実に制御することができる。
【0012】
また、トラバーサ上の上下金型のプレス装置に向けての移動を禁止する禁止手段と、トラバーサの位置を検知する位置検出手段と、トラバーサの位置がプレス装置の開口部に位置することが位置検出手段によって検知され、かつ開状態検知手段によってガード板の開状態が検知されたときに、禁止手段を解除する禁止制御手段とを更に備えることが好ましい。この場合には、開口部においてガード板が開状態である場合にのみ禁止手段が解除されるので、上下金型の搬出入時以外における上下金型の落下を防止できると共に、上下金型を確実にプレス装置に搬出入することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安全性を確保しつつ、金型の交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るプレスシステムの概略を示す斜視図である。
【図2】図1に示すプレスシステムを上方から見た図である。
【図3】ガード板の閉状態を示す斜視図である。
【図4】ガード板の開状態を示す斜視図である。
【図5】閉状態検知スイッチを示す斜視図である。
【図6】トラバーサを示す側面図である。
【図7】プレスシステムの機能ブロックを示すブロック図である。
【図8】プレスシステムにおいて実施される上下金型の交換手順を示すフローチャートである。
【図9】変形例に係るプレスシステムにおいて実施される上下金型の交換手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るプレスシステムの実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るプレスシステムの概要を示す斜視図であり、図2は、図1に示すプレスシステムを上方から見た図である。図1及び図2に示すように、プレスシステム1は、プレス装置2と、金型搬送装置3とを備えて構成されている。
【0017】
プレス装置2は、上金型と下金型とによって素材を上下方向からプレスすることで加圧成形を施す装置である。このプレス装置2は、側面視においてC字状のフレームによって構成された筺体4を有している。この筺体4には、下金型や工具を取り付けるためのボルスタ5が設けられている。このボルスタ5に対向する位置には、上金型が取り付けられると共に、上下方向に移動可能とされたスライド6が設けられている。ボルスタ5とスライド6との間の空間は、作業スペースSとなっている。そして、筐体4における一方(図示左側)の開口部7は、上下金型Kが搬出入される搬出入口となっている。
【0018】
プレス装置2の両側には、筺体4の側部から作業スペースSへの侵入を防止するためのガード板8,9が配設されている。ガード板8は、開口部7に対して開閉可能に取り付けられている。このガード板8は、プレス装置2の筺体4の側面に沿って前後方向に延在し、かつ上下方向において平行に配置された2本のレール10a,10bに取り付けられている。これにより、ガード板8は、前後方向に移動可能とされ、開口部7に対して開閉自在となっている。また、ガード板9は、プレス装置2の側部に固定されている。
【0019】
図3は、ガード板8の閉状態を示す斜視図である。同図に示すように、ガード板8が閉状態にあっては、ガード板8がレール10a,10bの前側に位置し、開口部7を塞いでいる。また、図4は、ガード板8の開状態を示す斜視図である。同図に示すように、ガード板8が開状態にあっては、ガード板8がレール10a,10bの後側に位置し、開口部7を開放している。
【0020】
図5に示すように、下方のレール10bの前端部には、ガード板8の閉状態を検知する閉状態検知スイッチ11が設けられている。図5は、閉状態検知スイッチを示す斜視図である。同図に示すように、閉状態検知スイッチ11は、ガード板8が閉状態、すなわちガード板8の前端部がレール10a,10bの前端部に位置する状態においてガード板8と当接する当接部11aを有している。閉状態検知スイッチ11は、当接部11aとガード板8との当接状態に基づいて、ガード板8の閉状態を検知する。
【0021】
また、下方のレール10bの後端部には、ガード板8の開状態を検知する開状態検知スイッチ12(図7参照)設けられている。この開状態検知スイッチ12は、閉状態検知スイッチ11と同様の構成を有しており、当接部とガード板8との当接状態に基づいて、ガード板8の開状態を検知する。
【0022】
次に、金型搬送装置3について説明する。図1及び図2に示すように、金型搬送装置3は、金型を収納する収納台13と、この収納台13に収納された金型をプレス装置2に搬送するトラバーサ14とによって構成されている。
【0023】
収納台13は、プレス装置2に取り付けられる上下金型Kを収納しておくための台である。収納台13は、図2に示すように、プレス装置2の開口部7側に複数並んで配置されている。この収納台13は、上下金型Kが載置される載置部13aと、この載置部13aを支持する脚部13bとによって構成されている。載置部13aには、複数本のローラが平行に配設されており(図6参照)、このローラの上に上下金型Kが載置される。
【0024】
トラバーサ14は、収納台13とプレス装置2の開口部7との間で上下金型Kを搬送するための装置である。このトラバーサ14は、プレス装置2に隣接して設けられている。具体的には、トラバーサ14は、収納台13とプレス装置2との間に敷設されたレールL上に載置されている。トラバーサ14は、上下金型Kが載置される載置部14aと、この載置部14aを支持すると共に、車輪Rが取り付けられた支持部14bとによって構成されている。トラバーサ14は、車輪RがレールL上に沿って移動することによって収納台13と開口部7との間が移動自在とされている。
【0025】
図6に示すように、トラバーサ14の載置部14aには、複数のローラが平行に配置されている。そして、このローラの高さ位置は、収納台13のローラの高さと位置と同等となっている。これにより、収納台13に載置された上下金型Kは、ローラ上をスライドすることによってトラバーサ14側に移動する。
【0026】
また、トラバーサ14には、上下方向に移動可能とされたロックピン(禁止手段)15が設けられている。このロックピン15は、トラバーサ14上の上下金型Kのプレス装置2に向けての移動を禁止するためのものである。具体的には、ロックピン15は、トラバーサ14の載置部14aにおいてプレス装置2側の端部に設けられている。このロックピン15は、例えば空気圧によって駆動されるアクチュエータ(不図示)に取り付けられており、後述するロックピン制御部24によってアクチュエータが制御されることにより、上下方向の移動が制御される。なお、ロックピン15は、突出した状態が初期位置となっている。
【0027】
さらに、トラバーサ14には、自機の位置を検出するための位置検出センサ16(図7参照)が設けられている。この位置検出センサ16は、例えば車輪Rに設けられた近接スイッチである。
【0028】
次に、プレスシステム1の機能的な構成について説明する。図7は、プレスシステム1の機能ブロックを示すブロック図である。同図に示すように、プレスシステム1は、制御部20を備えている。この制御部20は、第1インターロック部(第1インターロック制御手段)21と、第2インターロック部(第2インターロック制御手段)22と、インターロック制御部(インターロック制御手段)23と、ロックピン制御部(禁止制御手段)24とから構成されている。
【0029】
第1インターロック部21は、プレス装置2におけるプレス動作を禁止するものである。この第2インターロック部21は、インターロック制御部23から出力されたインターロック動作信号を受け取ると、プレス装置2におけるプレス動作を禁止する。また、第1インターロック部21は、インターロック制御部23からインターロック解除信号を受け取ると、プレス装置2におけるプレス動作の禁止を解除する。なお、第1インターロック部21は、例えばプレス装置2の制御部(不図示)を制御し、プレス装置2の動作を禁止する。
【0030】
第2インターロック部22は、金型搬送装置3におけるトラバーサ14の稼動を禁止するものである。この第2インターロック部22は、インターロック制御部23から出力されたインターロック動作信号を受け取ると、トラバーサ14の稼動を禁止する。また、第2インターロック部22は、インターロック制御部23からインターロック解除信号を受け取ると、トラバーサ14の稼動の禁止を解除する。なお、第2インターロック部22は、例えばトラバーサ14の車輪に設けられたロック機構(不図示)を制御し、トラバーサ14の稼動を禁止する。
【0031】
インターロック制御部23は、第1インターロック部21及び第2インターロック部22を制御する。このインターロック制御部23は、閉状態検知スイッチ11及び開状態検知スイッチ12の検知状態に基づいて、第1インターロック部21及び第2インターロック部22を制御する。具体的には、インターロック制御部23は、閉状態検知スイッチ11によってガード板8の閉状態が検知され、かつ開状態検知スイッチ12がガード板8の開状態を検知してないときに、インターロック解除信号を第1インターロック部21に出力すると共に、インターロック動作信号を第2インターロック部22に出力する。
【0032】
また、インターロック制御部23は、閉状態検知スイッチ11がガード板8の閉状態を検知していなく、かつ開状態検知スイッチ12によってガード板8の開状態が検知されたときに、インターロック動作信号を第1インターロック部21に出力すると共に、インターロック解除信号を第2インターロック部22に出力する。
【0033】
ロックピン制御部24は、トラバーサ14に設けられたロックピン15を制御するものである。ロックピン制御部24は、位置検出センサ16によって検出されたトラバーサ14の位置がプレス装置2の開口部7に対応する位置であり、かつ開状態検知スイッチ12によってガード板8の開状態が検知されたときに、ロックピン15を下方に移動させて引っ込めるようにトラバーサ14に設けられたアクチュエータを制御する。これにより、トラバーサ14上の上下金型Kのプレス装置2への移動の禁止が解除される。
【0034】
一方、ロックピン制御部24は、位置検出センサ16によって検出されたトラバーサ14の位置がプレス装置2の開口部7に対応する位置でなく、かつ閉状態検知スイッチ11によってガード板8の閉状態が検知されたときに、ロックピン15を上方に移動させて初期位置に戻すようにトラバーサ14に設けられたアクチュエータを制御する。これにより、トラバーサ14上の上下金型Kのプレス装置2への移動が禁止される。
【0035】
次に、プレスシステム1における金型の交換手順について説明する。図8は、プレスシステムにおいて実施される金型交換の手順を示すフローチャートである。なお、以下においては、トラバーサ14の移動などが作業者によって手動で行われる場合について説明する。
【0036】
図8において、まずプレス装置2のボルスタ5及びスライド6に取り付けられている上下金型Kが取り外される(ステップS01)。次に、カード板8が開けられ、開状態とされる(ステップS02)。これにより、閉状態検知スイッチ11がガード板8の閉状態を検知せず、かつ開状態検知スイッチ12がガード板8の開状態を検知することで、第1インターロック部21によってプレス装置2のプレス動作が禁止されると共に、第2インターロック部22によってトラバーサ14の稼動が解除される(ステップS03)。
【0037】
続いて、プレス装置2から取り外された上下金型Kが搬出され(ステップS04)、この上下金型Kがトラバーサ14に載置される(ステップS05)。そして、トラバーサ14によって上下金型Kが任意の収納台13に搬送され(ステップS06)、収納台13に取り外された上下金型Kが収納される(ステップS07)。
【0038】
次に、プレス装置2に取り付けられる使用上下金型Kが収納されている収納台13にトラバーサ14が移動され(ステップS08)、その収納台13に収納されている上下金型Kがトラバーサ14に載置される(ステップS09)。そして、トラバーサ14によって上下金型Kが搬送され(ステップS10)、定位置、すなわちプレス装置2の開口部7に対応する位置においてトラバーサ14が停止される(ステップS11)。
【0039】
続いて、トラバーサ14に設けられたロックピン15が下方に移動され、トラバーサ14からプレス装置2へと上下金型Kが搬入される(ステップS12)。上下金型Kが搬入されると、カード板8が閉じられる(ステップS13)。これにより、閉状態検知スイッチ11がガード板8の閉状態を検知し、かつ開状態検知スイッチ12がガード板8の開状態を検知しないことで、第1インターロック部21によってプレス装置2のプレス動作が解除されると共に、第2インターロック部22によってトラバーサ14の稼動が禁止される(ステップS14)。そして、搬入された上下金型Kがボルスタ5及びスライド6に取り付けられる(ステップS15)。
【0040】
以上説明したように、プレスシステム1では、上下金型Kを収容する収納台13とプレス装置2の開口部7との間で上下金型Kを搬送するトラバーサ14がプレス装置2に隣接して配置されている。これにより、プレス装置2への上下金型Kの搬送に例えばクレーンなどを用いることがないので、上下金型Kの交換を容易に行うことが可能となる。また、ガード板8の閉状態が検知されたとき、つまりプレス装置2においてプレス動作が実施さているときには、トラバーサ14の稼動が禁止され、ガード板8の閉状態が検知されていないときにトラバーサ14の稼動が解除される。これにより、例えばプレス動作中にトラバーサ14が勝手に移動することが防止されるので、安全性を確保することができる。このように、上下金型Kの交換を容易に行うことができると共に、安全性の向上を図ることができる。
【0041】
また、ガード板8の開状態を検知する開状態検知12よってガード板8の開状態が検知されたときに、第1インターロック部21を動作させると共に、第2インターロック部22を解除するので、ガード板8が開状態であることを確実に検知することができ、インターロック制御部23が第1インターロック部21及び第2インターロック部22をより確実に制御することができる。
【0042】
また、本実施形態のプレスシステム1は、トラバーサ14上の上下金型Kのプレス装置2に向けての移動を禁止するロックピン15と、トラバーサ14の位置を検知する位置検出16と、トラバーサ14の位置がプレス装置2の開口部7に位置することが位置検出センサ16によって検知され、かつ開状態検知センサ2によってガード板8の開状態が検知されたときに、ロックピン15を解除するロックピン制御部24と備えている。これにより、開口部7においてガード板8が開状態である場合にのみロックピン15が解除される(下方に引っ込められる)ので、上下金型Kの搬出入時以外における上下金型Kの落下を防止できると共に、上下金型Kを確実にプレス装置2に搬出入することができる。
【0043】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。例えば上述した実施形態では、トラバーサ14による金型の搬送などを手動で行っているが、トラバーサ14の搬送などが自動で行われる構成であってもよい。以下、図9を参照しながら説明する。
【0044】
図9は、プレスシステム1において実施される上下金型Kの交換手順を示すフローチャートである。以下の説明においては、プレスシステム1は、詳細な説明を省略するが、トラバーサ14を駆動する駆動部及びこの駆動部を制御する駆動制御部やトラバーサ14及び収容台13においてローラを駆動するローラ駆動部(いずれも不図示)などの機構を備えている。また、上記実施形態では、トラバーサ14の載置部14aにおいて、プレス装置2側にロックピン15が設けられているが、以下に説明するトラバーサ14には、ロックピン15と同様の構成を有するロックピンが収納台13側にも設けられている。さらに、収容台13には、個々に識別可能な番号が与えられているものとする。
【0045】
図9において、まずプレス装置2のボルスタ5及びスライダ6に取り付けられた上下金型Kが取り外される(ステップS21)。次に、取り外された上下金型Kが収納される収納台13の収納台番号、及び新たに取り付けられる上下金型Kが収納されている収納台13の取り出し台番号が例えばプレス装置2に設けられた操作部(不図示)にインプットされる(ステップS22)。そして、カード板8が開かれることで、開状態とされる(ステップS23)。これにより、閉状態検知スイッチ11がガード板8の閉状態を検知せず、かつ開状態検知スイッチ12がガード板8の開状態を検知することで、第1インターロック部21によってプレス装置2のプレス動作が禁止されると共に、第2インターロック部22によってトラバーサ14の稼動が解除される(ステップS24)。
【0046】
続いて、ロックピン15が下方に移動された後、プレス装置2から取り外された上下金型Kが搬出され、この上下金型Kがトラバーサ14に載置される(ステップS25)。このとき、トラバーサ14のロックピン15がアクチュエータによって初期位置に戻される(ステップS26)。そして、ステップS22においてインプットされた収容台番号の収容台13に上下金型が搬送される(ステップS27)。
【0047】
上下金型Kが指定された収容台13まで搬送されると、収容台13側に設けられたロックピンが下方に移動される(ステップS28)。そして、トラバーサ14及び収容台13のローラが駆動され、トラバーサ14上の上下金型Kが収容台13に収容され(ステップS29)、その後、収容台13側に設けられたロックピンが初期位置に戻される(ステップS30)。
【0048】
次に、ステップS22においてインプットされた取り出し台番号の収容台13の位置までトラバーサ14が移動され(ステップS31)、収容台13側に設けられたロックピンが下方に移動される(ステップS32)。そして、収容台13及びトラバーサ14のローラが駆動され、収容台13上の上下金型Kが取り出されトラバーサ14に載置される(ステップS33)。その後、収容台13側のロックピンが初期位置に戻される(ステップS34)。
【0049】
続いて、トラバーサ14によって上下金型Kが搬入定位置、すなわちプイレ装置2の開口部7に対応する位置まで搬送される(ステップS35)。そして、トラバーサ14が開口部7に対応する位置に位置したことに応じて、プレス装置2側のロックピン15が下方に移動され(ステップS36)、トラバーサ14上の上下金型Kがプレス装置2に搬入される(ステップS37)。
【0050】
プレス装置2に上下金型Kが搬入されると、ガード板8が閉じられることで、閉状態とされる(ステップS38)。これにより、閉状態検知スイッチ11がガード板8の閉状態を検知し、かつ開状態検知スイッチ12がガード板8の開状態を検知しないことで、第1インターロック部21によってプレス動作が解除されると共に、第2インターロック部22によってトラバーサ14の稼動が禁止される(ステップS39)。そして、搬入された上下金型Kがボルスタ5及びスライド6に取り付けられる(ステップS40)。
【0051】
以上のように、トラバーサ14等が自動で制御される場合であっても、上記実施形態と同様に、トラバーサ14によってプレス装置2に上下金型Kが搬送されるので、上下金型Kの交換を容易に行うことができる。また、ガード板8の閉状態が検知されたときにトラバーサ14の稼動が禁止され、ガード板8の開状態が検知されたときにトラバーサ14の稼動が解除される。これにより、例えばプレス動作中にトラバーサ14が勝手に移動することが防止されるので、安全性を確保することができる。このように、上下金型Kの交換を容易に行うことができると共に、安全性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0052】
1…プレスシステム、2…プレス装置、3…金型搬送装置、4…筐体、5…ボルスタ、6…スライド、7…開口部、8…ガード板、11…閉状態検知スイッチ(閉状態検知手段)、12…開状態検知スイッチ(開状態検知手段)、13…収容台、14…トラバーサ、15…ロックピン(禁止手段)、16…位置検出センサ(位置検出手段)、21…第1インターロック部(第1インターロック手段)、22…第2インターロック部(第2インターロック手段)、23…インターロック制御部(インターロック制御手段)、24…ロックピン制御部(禁止制御手段)、K…上下金型。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下金型が取り付けられるボルスタ及び上金型が取り付けられるスライドが配置された作業スペースを有する筺体と、前記作業スペースに上下金型を搬入するための開口部に開閉可能に取り付けられたガード板とを備えるプレス装置と、
前記上下金型を収納する収納台と、前記プレス装置に隣接して配置され、前記収納台と前記開口部との間で前記上下金型を搬送するトラバーサとを備える金型搬送装置とを含んで構成されるプレスシステムであって、
前記ガード板の閉状態を検知する閉状態検知手段と、
前記作業スペースにおけるプレス動作を禁止する第1インターロック手段と、
前記金型搬送装置における前記トラバーサの稼動を禁止する第2インターロック手段と、
前記第1インターロック手段及び前記第2インターロック手段を制御するインターロック制御手段とを備え、
前記インターロック制御手段は、前記閉状態検知手段によって前記ガード板の閉状態が検知されたときに、前記第1インターロック手段を解除すると共に、前記第2インターロック手段を動作し、前記閉状態検知手段によって前記ガード板の閉状態を検知していないときに、前記第1インターロック手段を動作すると共に、前記第2インターロック手段を解除することを特徴とするプレスシステム。
【請求項2】
前記ガード板の開状態を検知する開状態検知手段を更に備え、
前記インターロック制御手段は、前記開状態検知手段によって前記ガード板の開状態が検知されたときに、前記第1インターロック手段を動作させると共に、前記第2インターロック手段を解除することを特徴とする請求項1記載のプレスシステム。
【請求項3】
前記トラバーサ上の前記上下金型の前記プレス装置に向けての移動を禁止する禁止手段と、
前記トラバーサの位置を検知する位置検出手段と、
前記トラバーサの位置が前記プレス装置の前記開口部に位置することが前記位置検出手段によって検知され、かつ前記開状態検知手段によって前記ガード板の開状態が検知されたときに、前記禁止手段を解除する禁止制御手段とを更に備えることを特徴とする請求項1又は2記載のプレスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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