説明

プレスブレーキ用上型ホルダ

【課題】上型を左右方向へ移動して着脱交換するとき、及び上下方向に着脱交換するときに、上型が不用意に落下することを防止して安全性の向上を図った上型ホルダを提供する。
【解決手段】プレスブレーキにおける上部テーブルに対する取付部3を上部に備えたホルダ本体5の下面に左右方向の上型装着溝7を備えると共に、上型装着溝7の前後両面に、上型101に備えた落下防止部材103を係止可能な係止溝23A,23Bを左右方向に備え、上型装着溝7に装着した上型101における一方の固定用溝101Gに係合離脱自在な係合凸部33を備えた上型固定部材29を、ホルダ本体5に前後動自在に備え、上型装着溝7に装着した上型101における他方の固定用溝101Gに係合離脱自在な係止凸部47を備えると共に前記係止溝23A内へ突出して前記上型101の左右方向への移動時に落下防止部材103と当接可能なストッパ部49を備えた上型規制部材41を、前記ホルダ本体5に上下方向に回動可能に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレスブレーキに使用される上型を着脱交換自在に支持する上型ホルダに係り、さらに詳細には、前後両面の上部側に左右方向の固定用溝を備え、この固定用溝の下側であって左右方向の両端付近又は左右方向の中央部付近に、前面又は後面に対して出没自在な落下防止部材を備えた構成の上型を対象とするプレスブレーキ用上型ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
プレスブレーキによって板状のワークの折曲げ加工を行うとき、折曲げ加工される製品の形状、寸法に対応して、予め種々の形状、寸法の上型に交換することが行われている。前述のように、上型の交換を行うときに、上型が落下することがあるので、上型及び上型を装着するための上型ホルダ装置に種々の安全対策が講じられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−294822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載のプレスブレーキ用の上型は、前後両面の上部側に左右方向の固定用溝を備え、この固定用溝の下側であって、左右方向の両端付近又は左右方向の中央部付近に、前面又は後面に対して出没自在なピンなどのごとき落下防止部材を備えた構成である。
【0005】
そして、前記上型を着脱交換自在な上型ホルダ装置は、プレスブレーキにおける上部テーブルに対する取付部を上部に備えたホルダ本体の下面に左右方向の上型装着溝を備えた構成である。この上型装着溝の前後両面には、前記上型に備えた前記落下防止部材を係止自在な係止溝を左右方向に長く備えている。また、前記ホルダ本体の前面又は後面に、前記上型装着溝に装着した上型における固定用溝に係合離脱自在な係合凸部を備えた上型固定部材を前後動自在に備えた構成である。
【0006】
前記特許文献に記載の構成においては、ホルダ本体は、プレスブレーキにおける上部テーブルの左右方向の幅寸法にほぼ等しく左右方向に長く構成してあり、上型に備えた落下防止部材は係止溝に係合した状態にある。したがって、上型固定部材による上型の固定を解除した場合であっても、ホルダ本体の上型装着溝から落下することなく安全が維持される。そして、ホルダ本体に対する上型の着脱交換は、上型装着溝に沿って左右方向に上型を移動することによって行われる。なお、上型が分割金型であって左右方向の幅寸法が比較的小さい場合には、当該上型の左右両端側又は中央部付近に備えた作用部材を操作して、前記落下防止部材を上型の前面又は後面から没入し、前記ホルダ本体の係止溝と前記落下防止部材との係合を解除することにより、ホルダ本体に対して上型を下方向へ取り外すことができる。
【0007】
ところで、板状のワークの左右方向の両側又は一側に立上がり寸法の大きな立上り部を備えている場合には、ワークの折曲げ加工を行うとき、前記立上り部が上型ホルダ装置におけるホルダ本体と干渉して折曲げ加工が不可能な場合がある。そこで、上型ホルダ装置を左右方向の幅寸法の小さな上型ホルダ装置に分割し、複数の上型ホルダ装置を、プレスブレーキにおける上部テーブルに装着するとき、各上型ホルダ装置を適宜間隔に離隔し、この上型ホルダ装置の間隔内に、ワークの前記立上り部が入り込む構成とすることも考えられる。
【0008】
左右方向に比較的長い上型は、前記作用部材を両手で操作するように、上型の左右方向の両端付近に作用部材及び当該作用部材によって前後動される落下防止部材を備えた構成である。したがって、前述のように、複数の上型ホルダ装置を左右方向に適宜間隔に備えた構成の場合には、上型を左右方向に移動するとき、前記落下防止部材が上型ホルダ装置間の間隔内に位置すると、上型が落下することや、一方の落下防止部材が上型ホルダ装置に支持された状態になって傾斜することがあるなどの問題がある。
【0009】
すなわち、複数の上型ホルダ装置を左右方向に適宜間隔に配置した構成において、上型を不用意に左右方向に移動すると、落下防止部材が上型ホルダ装置から外れて落下したり、傾斜することがあるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、前後両面の上部側に左右方向の固定用溝を備え、この固定用溝の下側であって左右方向の両端付近又は左右方向の中央部付近に、前面又は後面に対して出没自在な落下防止部材を備えた上型を固定保持自在なプレスブレーキ用上型ホルダであって、プレスブレーキにおける上部テーブルに対する取付部を上部に備えたホルダ本体の下面に左右方向の上型装着溝を備えると共に、当該上型装着溝の前後両面に、前記上型に備えた落下防止部材を係止可能な係止溝を左右方向に備え、前記上型装着溝に装着した上型における前記固定用溝の一方に係合離脱自在な係合凸部を備えた上型固定部材を、前記ホルダ本体の前面又は後面に前後動自在に備え、前記上型装着溝に装着した上型における前記固定用溝の他方に係合離脱自在な係止凸部を備えると共に前記係止溝内へ突出して前記上型の左右方向への移動時に前記落下防止部材と当接可能なストッパ部を備えた上型規制部材を、前記ホルダ本体の後面又は前面に上下方向に回動可能に備えていることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記プレスブレーキ用上型ホルダにおいて、前記上型の他方の固定用溝に前記係止凸部が係合した状態にあるときに、前記ホルダ本体に当接して前記係止凸部の下方向への回動を規制する当接部を前記上型規制部材に備えていることを特徴とするものである。
【0012】
また、前記プレスブレーキ用上型ホルダにおいて、前記上型規制部材は前記ホルダ本体の左右両側部にそれぞれ備えられており、かつ両上型規制部材は連結してあることを特徴とするものである。
【0013】
また、前記プレスブレーキ用上型ホルダにおいて、前記上型固定部材における前記係合凸部を左右方向に複数に分割して備えると共に、前記ホルダ本体における前面壁部又は後面壁部に前記係合凸部を挿通自在な前後方向の貫通孔を左右方向に適宜間隔に備え、上記前後方向の貫通孔のうち左右両側の貫通孔は左右方向に開口してあることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上型ホルダに支持された上型を左右方向に移動しようとすると、上型ホルダにおけるホルダ本体に備えた係止溝内へ上型規制部材におけるストッパ部材が突出して、上型に備えた落下防止部材の左右方向への移動を規制する。したがって、上型ホルダに対して上型を不用意に左右方向へ移動して、上型を落下したり、傾斜するようなことを防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る上型ホルダの傾斜説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る上型ホルダの傾斜説明図である。
【図3】上型ホルダに対して上型を着脱する場合の作用説明図である。
【図4】上型の主要部分の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1、2を参照するに、本発明の実施形態に係るプレスブレーキ用の上型ホルダ1は、プレスブレーキ(図示省略)における上部テーブルに対する取付部3を上部に備えたホルダ本体5を備えており、このホルダ本体5の下面には、プレスブレーキ用の上型(図1、2には図示省略)を装着するための上型装着溝7を左右方向(X軸方向)に備えている。
【0017】
上記上型ホルダ1が対象とする上型101は、前後両面(図4においては左右の両側面)の上部側に左右方向(図4においては紙面に垂直な方向)の固定用溝101Gを前後対称に備えている。そして、前記固定用溝101Gの下側には、前面又は後面に対して出没自在な落下防止部材103が備えられている。そして、上記落下防止部材103の下側には、前記落下防止部材103の出没を操作するピンなどのごとき操作部材105が前後動自在に備えられている。前記落下防止部材103と操作部材105は、例えば「コ」字形状に一体化してあり、上型101内に内装したコイルスプリングなどの付勢部材によって常に突出する方向に付勢されている。
【0018】
したがって、上型101においては、付勢手段の付勢力に抗して操作部材105を押し込み操作すると、落下防止部材103は上型101の前面又は後面に対して没入されるものである。そして、操作部材105の押し込みを解除すると、付勢手段の付勢力によって、前記落下防止部材103は突出作動されるものである。なお、前記落下防止部材103及び操作部材105は、上型101の左右方向の幅寸法が比較的大きい場合には、両手で操作すべく、上型101の左右方向の両端付近に備えられている。そして、左右方向の幅寸法が小さい場合には、左右方向の中央部付近に備えられている。
【0019】
前記ホルダ本体5の前面上部には、ホルダ本体5をプレスブレーキにおける上部テーブルに取付けるための取付板9がロックピンや取付けボルトなどの固定具11によって一体的に取付けてある。そして、前記ホルダ本体5の上面には、前記上部テーブルの下面に当接する楔部材13が前後方向(Y軸方向)へ移動自在に備えられている。上部楔部材13は、前記取付板9に備えた押しボルト15によって後方向へ押圧され、引きボルト17によって前方向へ引かれる構成であって、上記押しボルト15、引きボルト17によって前後方向の位置が調節されるものである。
【0020】
前記上型装着溝7は、前記ホルダ本体5の左右両方向及び下方向へ開口した構成である。換言すれば、前記上型装着溝7を形成したことにより、前記ホルダ本体5における下面に前面壁部19及び後面壁部21を備えた構成である。そして、前記上型装着溝7の前後両面(前面壁部19、後面壁部21の内側面)の下部付近に、前記上型101に備えた前記落下防止部材103を係止可能な係止溝23A,23Bが左右方向に形成してある。
【0021】
そして、前記後面壁部21には、図2に示すように、前後方向の貫通孔25が左右方向に適宜間隔に備えられている。上記貫通孔25のうち、左右両側の貫通孔25Aは左右方向に開口してある。また、前記ホルダ本体5の後面には、頭部を半球形状に形成した左右の支持部材27を介して上型固定部材29が前後方向へ移動自在に、すなわち前後に揺動自在に支持されている。
【0022】
上記上型固定部材29は、図1、2より明らかなように、下端部を前記上型装着溝7方向へ屈曲した屈曲部31を備えている。そして、前記屈曲部31は、前記上型装着溝7に装着した上型101における固定用溝101Gに係合離脱自在な係合凸部33を先端に備えている。すなわち、前記屈曲部31は、後面壁部21の前記各貫通孔25を前後方向に挿通自在な複数の係合凸部33を左右方向に適宜間隔に備えた構成である。換言すれば、前記屈曲部31は、前記各貫通孔25に対応して左右方向に複数に分割してある。
【0023】
そして、前記上型固定部材29を前後動すると共に、前記上型装着溝7に装着した上型101の固定用溝101Gを、前記係合凸部33によって押圧し、上型101を上型装着溝7に固定するために、前記ホルダ本体5には、固定手段35が備えられている。この固定手段35は、例えば流体圧シリンダ等のごときアクチュエータからなるものであって、例えばピストンロッドなどのごとき往復動自在な往復作動子(図示省略)の先端部が前記上型固定部材29の上部側に当接してある。そして、前記ホルダ本体5と前記上型固定部材29との間には、前記係合凸部33を前記貫通孔25から離脱する方向へ付勢するコイルスプリングなどのごとき弾性部材(図示省略)が弾装してある。
【0024】
なお、前記上型固定部材29を前後に揺動する構成としては、前記往復作動子の先端部と上型固定部材29とを連動連結した構成としてもよいものである。また、固定手段35の構成としては、従来の一般的な上型ホルダと同様に、左右方向へ回動自在なレバーを備え、このレバーを回動操作することによって前記上型固定部材29を前後に揺動し、かつ上型101を押圧固定する構成とすることも可能である。
【0025】
前記ホルダ本体5における、前記前面壁部19の左右両側部付近には、前記係止溝23Aに連通した前後方向の貫通孔37が備えられており、この貫通孔37内には、枢軸39を介して上型規制部材41が上下方向に揺動自在に支持されている。この上型規制部材41は、図1、3に示すように、前記前面壁部19の前面上方向へ延伸した操作レバー43を備えており、左右の上型規制部材41における前記操作レバー43の先端部は、連結バー45を介して一体的に連結してある。
【0026】
前記上型規制部材41は、前記上型ホルダ本体5に備えた前記上型装着溝7に装着した上型101における固定用溝101Gに係脱自在な三角形状の係止凸部47を備えていると共に、前記係止溝23A内へ突出自在なストッパ部49を備えている。前記係止凸部47は、図3に示すように、前記操作レバー43がホルダ本体5の前面に当接した状態にあるときに、前記上型装着溝7内へ突出し、上型装着溝7に装着した上型101における固定用溝101Gに係合する状態にある。すなわち、図3において、操作レバー43の時計回り方向への回動を規制し、前記上型固定部材29による上型101の固定が解除され、上型装着溝7に装着した上型101が、上型装着溝7の天井(上面)から離れて自重によって下降する傾向にあるとき、上型101の固定用溝101Gに係合した状態にあって前記係止凸部47によって上型101の下降を規制する、作用をなすものである。
【0027】
そして、図3において、前記操作レバー43を反時計回り方向(下方向)へ回動操作して、上型101を僅かに上方向へ移動し、前記係止凸部47を前記上型装着溝7から前面壁部19内へ没入すると、上型101は、上型101に備えた落下防止部材103により、係止溝23Aに係止された状態にあり、前記ストッパ部49が前記係止溝23A内へ突出する構成である。すなわち、上型装着溝7に対する前記係止凸部47の突出と、前記係止溝23Aに対するストッパ部49の突出は交互に行われる構成である。前記ストッパ部49は、前記係止溝23A内に突出することにより、上型101を左右方向(図3において紙面に垂直な方向)に移動するとき、上型101に備えた前記落下防止部材103に当接して、上型101の左右方向への移動を規制する作用をなすものである。
【0028】
以上のごとき構成において、プレスブレーキにおける上部テーブルに複数の上型ホルダ1を左右方向に適宜間隔に装着した状態において、固定手段35によって上型固定部材29を、図3において、時計回り方向へ回動して上型101を強固に押圧することにより、上型101の上面が前記上型装着溝7の上面に接するまでに引き上げられ、上型101を上型装着溝7に装着した状態に固定する。
【0029】
この状態において、左右方向に長い上型101を複数の上型ホルダ1によって支持し、上型101を左右方向に移動して着脱するには、各上型ホルダ1における操作レバー43を上方向に回動して、図3に示すように、ホルダ本体5の上面に当接させる。すなわち、上型規制部材41における係止凸部47を上型装着溝7へ突出した状態に保持する。そして、上型固定部材29による上型101の固定が解除されると、上型101が上型装着溝7の上面から離れて自重によって下降し、上型装着溝7に装着された上型101における固定用溝101Gに、前記係止凸部47が係合して上型101を左右方向に移動可能に支持することができるものである。
【0030】
前述のように、上型101の上面を上型装着溝7の上面に当接し固定した状態にあるとき、前記操作レバー43を、図3において反時計回りに回動して、上型101の固定用溝101Gから前記係合凸部47を離脱させ、前記ストッパ部49を係止溝23A内に突出させることが可能である。
【0031】
前記上型101の左右方向の幅寸法が比較的小さく、上型ホルダ1に対して上型101を上下方向に着脱する場合には、上型固定部材29における係合凸部33を後方向(図3において右方向)へ移動して、上型装着溝7から没入した状態に保持する。そして、上型装着溝7に対して下側から上型101を挿入すると、上型規制部材41における係止凸部47の先端側に上型101の上面が下側から当接して上方向へ押圧し、上型規制部材41を、図3において反時計回り方向に回動する。
【0032】
前述のごとく、前記上型装着溝7に対して上型101を下側から挿入し装着するとき、上型101に備えた落下防止部材103の傾斜上面103Fが前面壁部19に当接し、付勢力に抗して上型101内へ没入される。そして、上型101がさらに上昇されて、前記落下防止部材103が係止溝23Aに対応した位置に達すると、落下防止部材103が突出されて、係止溝23Aに係止されることになる。したがって、上型101の落下が防止されることになる。その後、前述の通り、上型固定部材29を時計回り方向へ回動して上型101を強固に押圧することにより、上型101の上面が前記上型装着溝7の上面に接するまでに引き上げられて、上型101を上型装着溝7に固定保持するものである。
【0033】
前記上型ホルダ1に対して上型101を下方向へ取り外す場合は、前記上型装着溝7に上型101を固定した状態にあるときに、前記上型規制部材41を、図3において、反時計回り方向に回動して、係止凸部47を上型装着溝7から没入すると共に、ストッパ部49を係止溝23A内へ突出する。上述のように、ストッパ部49が係止溝23A内に突出した状態においては、上型101を左右方向へ移動すると、上型101に備えた落下防止部材103が前記ストッパ部49に当接して、上型101の左右方向への移動が規制される。
【0034】
したがって、上型101を左右方向へ移動することによって落下防止部材103が係止溝23Aから左右方向へ離脱することが防止される。よって、落下防止部材103が各上型ホルダ1の間隔において落下することが防止でき、上型101が不用意に落下することを防止することができるものである。そして、上型101に備えた操作部材105を押圧して落下防止部材103を上型101に没入することにより、係止溝23Aによる係止が解除され、上型ホルダ1の上型装着溝7内から上型101を下方向へ取り外すことができるものである。
【0035】
以上のごとき説明より理解されるように、上型ホルダ1に対して上型101を左右方向に移動して着脱交換する場合には、上型101に備えた固定用溝101Gに、上型規制部材41における係止凸部47が係合した状態にあるので、上型101が落下するようなことがないものである。
【0036】
そして、上型ホルダ1に対して上型101を下方向から着脱する場合には、上型101に備えた落下防止部材103が、係止溝23A内へ突出したストッパ部49に当接し、左右方向への移動が規制され、前記落下防止部材103が係止溝23Aから左右方向へ離脱することがなく、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
【0037】
また、前記構成においては、左右両側の貫通孔25Aは左右方向に開口してあるので、ホルダ本体5の左右方向の幅寸法と上型固定部材29との左右方向の幅寸法とを等しく設けた構成において、上型101を固定することのできないデッドゾーンを左右両側に生じることがないものである。したがって、幅寸法の小さな分割上型が、例えばホルダ本体105の両端側に位置するような場合であっても、上記分割上型を確実に固定保持することができるものである。
【符号の説明】
【0038】
1 上型ホルダ
3 取付部
5 ホルダ本体
7 上型装着溝
19 前面壁部
21 後面壁部
23A,23B 係止溝
25,37 貫通孔
29 上型固定部材
33 係合凸部
35 固定手段
39 枢軸
41 上型規制部材
43 操作レバー
47 係止凸部
49 ストッパ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後両面の上部側に左右方向の固定用溝を備え、この固定用溝の下側であって左右方向の両端付近又は左右方向の中央部付近に、前面又は後面に対して出没自在な落下防止部材を備えた上型を固定保持自在なプレスブレーキ用上型ホルダであって、プレスブレーキにおける上部テーブルに対する取付部を上部に備えたホルダ本体の下面に左右方向の上型装着溝を備えると共に、当該上型装着溝の前後両面に、前記上型に備えた落下防止部材を係止可能な係止溝を左右方向に備え、前記上型装着溝に装着した上型における前記固定用溝の一方に係合離脱自在な係合凸部を備えた上型固定部材を、前記ホルダ本体の前面又は後面に前後動自在に備え、前記上型装着溝に装着した上型における前記固定用溝の他方に係合離脱自在な係止凸部を備えると共に前記係止溝内へ突出して前記上型の左右方向への移動時に前記落下防止部材と当接可能なストッパ部を備えた上型規制部材を、前記ホルダ本体の後面又は前面に上下方向に回動可能に備えていることを特徴とするプレスブレーキ用上型ホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載のプレスブレーキ用上型ホルダにおいて、前記上型の他方の固定用溝に前記係止凸部が係合した状態にあるときに、前記ホルダ本体に当接して前記係止凸部の下方向への回動を規制する当接部を前記上型規制部材に備えていることを特徴とするプレスブレーキ用上型ホルダ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプレスブレーキ用上型ホルダにおいて、前記上型規制部材は前記ホルダ本体の左右両側部にそれぞれ備えられており、かつ両上型規制部材は連結してあることを特徴とするプレスブレーキ用上型ホルダ。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のプレスブレーキ用上型ホルダにおいて、前記上型固定部材における前記係合凸部を左右方向に複数に分割して備えると共に、前記ホルダ本体における前面壁部又は後面壁部に前記係合凸部を挿通自在な前後方向の貫通孔を左右方向に適宜間隔に備え、上記前後方向の貫通孔のうち左右両側の貫通孔は左右方向に開口してあることを特徴とするプレスブレーキ用上型ホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−157891(P2012−157891A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19675(P2011−19675)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(390014672)株式会社アマダ (548)
【Fターム(参考)】