説明

プレフィルドカニューレアセンブリ

注射デバイス用のカニューレ配置(4)を提供するための方法及びシステム。カニューレ配置は、限定エレメント(16)及び注射デバイスに取り付けるように構成されたハウジングを含んでなる。ハウジング及び限定エレメントは、圧縮性リザーバ(40)を画成する。第二の薬剤(26)は、リザーバに備え付けられる。第一のカニューレ(12)は、注射デバイスに備え付けられる薬剤と流体係合するように構成された穿孔端(20)、及びリザーバと流体係合するように構成された遠位端(22)を含む。第二のカニューレ(14)は第二の薬剤と流体係合するための近位端(48)、及び患者に対する注射用の穿孔遠位端(50)を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、一般的に、複数の薬剤(即ち、少なくとも二つの薬剤)を送達する装置及び/又は方法を開示する。好ましくは、そのような薬剤は、第二の容器又はリザーバから分離したカートリッジ又はアンプルなどの第一の容器内に保存され、又は収納される。一つの配置において、これら複数の薬剤は、単回注射の方式で注射される。好ましくは、一つの薬剤は、プレフィルドカニューレアセンブリ内に備え付けられる。このプレフィルドカニューレアセンブリは、用量注射デバイスに、好ましくは反復用量注射デバイス取り付けられる。そのような注射デバイスは、薬剤を含むカートリッジ又はアンプルを含んでなるペン型注射デバイスのような、使い捨て又は再使用可能な注射デバイスであってもよい。
【背景技術】
【0002】
二つ又はそれ以上の薬物を同時に注射する、一般的に認識されたニーズは存在する。ほんの一例として、ある疾患状態は、一つ又はそれ以上の異なった薬剤を用いた処置を必要とする。長期間作用型インスリン、及びプログルカゴン遺伝子の転写産物から誘導されるグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、又はGLP−1類似体の両者で糖尿病を処置することが有益であることがある。GLP−1は体内で見いだされ、そして消化管ホルモンのように腸管L−細胞より分泌される。GLP−1は、それ及びその類似体を、糖尿病の処置として興味のある化合物にする数種の生理学的特徴を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、具体的に、二つの可能性のある薬剤の組合せとしては、インスリン、及びGLP−1若しくはGLP−1類似体を記載するが、鎮痛剤、ホルモン、β−アゴニスト、又はコルチコステロイド、若しくは上記薬剤の組合せなどの、他の薬剤又は薬剤の組合せも本発明と共に使用できる。
【0004】
本発明の目的のために、用語「インスリン」は、インスリン、インスリン類似体、インスリン誘導体、又はヒトインスリン若しくはヒトインスリン類似体若しくは誘導体を含むそれらの混合物を意味するものとする。インスリン類似体の実例は、限定なしで、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、又はDes(B30)ヒトインスリンである。インスリン誘導体の実例は、限定なしで、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0005】
本明細書で用いる、用語「GLP−1類似体」は、エキセナチド(エキセンジン−4(1−39)、ペプチド配列:H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2);エキセンジン−3、リラグルチド、又はAVE0010(H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Ser−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−NH2)を限定なしで含む、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)の類似体を意味するものとする。
【0006】
β−アゴニストの実例としては、限定なしで、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、メタプロテレノール、フェノテロール、メシル酸ビトルテロール、サルメテロール、ホルモテロール、バムブテロール、クレンブテロール、インダカテロールがある。
【0007】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロパイン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0008】
少なくとも二つ活性薬剤、又は「薬剤」を同時に送達することは、しばしば、デバイスの提供者並びにデバイスの使用者に多くの課題を作り出すことになり得る。一実例で示す通り、二つの活性薬剤は、処方の長期間寿命の保存中、互いに相互作用する可能性がある。従って、活性成分を別々に保存し、そして、送達の観点のみでこれら活性成分を組み合わせることは有利であり得る。これは注射用の処方の場合であるが、しかし、また、例えば、吸入などの別ルートの投与のために設計された処方に対しても真実である。しかし、使用者の観点から、二つの薬剤を組み合わせることは、信頼性のある、正確な注射をもたらすために直接的で、そして便利であるべきである。
【0009】
更なる関心事は、組合せ治療を構成する各々の活性薬剤の量、及び/又は、割合は、各々の使用者にとって、又は使用者の治療の異なった段階で変動することが必要となるかもしれないことである。例えば、一つ又はそれ以上の活性成分は、「維持」用量まで患者に徐々に増加させるために調節(titration)期間が必要となり得る。更なる実例は、一つの活性薬剤が非調整可能な固定用量を必要とする場合、一方、他剤は、患者の変化する症状、及び/又は、肉体的条件に対応して変化することである。この問題は、これらの事前混合された処方は、医療専門家又は患者により変更できない活性成分の固定比率を有することになるので、複数の活性剤の事前混合された処方は、適切でない可能性があることを意味する。
【0010】
従って、二つ又はそれ以上の薬剤の共同送達のためにデバイス及び方法を提供するための一般的な必要性が存在する。少なくとも一つの実施態様によると、本発明の装置及び方法は、改良されたカニューレアセンブリ、及び活性薬剤を含むリザーバを有するカニューレを有する関連注射デバイスを提供することにより上記の問題点の解決を提供することにより上記関心事を克服する。このカニューレは、カートリッジを含むペン型注射デバイスのような注射デバイスに取り付けるカニューレアセンブリの部分である。これら及びその他の利点は、発明の次のより詳細な説明から明白になるであろう。本発明により解決される一般的な課題は、少なくとも二つの薬剤の投与が助長される針アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
例示的な実施態様によると、カニューレ配置は、第一の薬剤を含む注射デバイスに取り付けるように構成される限定エレメント及びハウジングを含む。ハウジング及び限定エレメントは、圧縮性リザーバを画成する。好ましくは、限定エレメントは、第一の位置から第二の位置へ、又は第一の形状から第二の形状へ可動で、そしてそれ故、限定エレメントにより限界を定めたリザーバは、圧縮することが可能な体積を有することを確実にする。限定エレメントは、膜などの可撓性部材、又は栓などの剛性部材であってもよい。第二の薬剤はこのリザーバに備え付けられる。第一のカニューレは、注射デバイスに備え付けられる第一の薬剤と流体係合するように構成される穿孔端、及びリザーバと流体係合するように構成される遠位端を含む。第二のカニューレは、第二の薬剤と流体係合するための近位端、及び患者に対して注射するための穿孔遠位端を含む。好ましい実施態様によると、前記カニューレ配置の前記ハウジングは、前記注射デバイスに開放可能に取り付けられるように構成される。別の好ましい実施態様によると、前記注射デバイスは、ペン型注射デバイスを含む。尚、別の好ましい実施態様によると、前記注射デバイスは、再設定可能な注射デバイスを含む。さらに、前記第一のカニューレは第一のゲージサイズを有し、及び前記第二のカニューレは第二のゲージサイズを有し、そして前記第一のカニューレの第一のゲージサイズは、一般的に、前記第二のカニューレの第二のゲージサイズに等しくてもよい。
【0012】
シールエレメントは、第一のカニューレの近位端に備え付けられる。シールエレメントは、カニューレ配置が薬物送達デバイスに取り付けられるとき、二つの薬剤を分離して、保存するためカニューレ配置の適切なシーリングを確実にするために使用してもよい。更に、又は、あるいは、シールエレメントは、リザーバ中の薬剤が、第二の針を通じてのみ、即ち、圧縮性リザーバが圧縮されるとき、第二の薬剤のための流体経路を閉鎖するために、放出されることを確実にするのに役立つ。
【0013】
シールエレメントの一実施態様は、圧縮性シールである。他の実施態様は、可撓性シール、変形可能なシール、破壊可能なシール、又は一方向弁を含むことができる。
【0014】
圧縮性シールの別の利点は、カニューレの配置が薬物送達デバイスから解除された時点で、それが元の形状及び体積に戻ることである。それにより、それが、例えば、第一のカニューレ穿孔端をシールし、針突き刺し損傷から阻止することになる。
【0015】
代わりの構造によると、シールエレメントは、薬物送達デバイスの遠位端に提供し得る。シールエレメントは、圧縮性リザーバが圧縮されるとき、リザーバ中の薬物が、装着されたカニューレ配置の第二の針を通してのみ放出されることを確実にするのに役立つ。
【0016】
前記カニューレ配置の別の実施態様によると、前記ハウジング及び前記限定エレメントは、少なくとも第一及び第二のリザーバを画成する。このケースにおいて、第二の薬剤は、前記第一リザーバに提供でき、第三の薬物は、前記第二のリザーバに提供できる。
【0017】
好ましくは、前記カニューレ配置は、前記第二の薬剤を前記第二のカニューレ部材を通して放出させるため、力を前記限定エレメントにかけるための押圧部材を含む
【0018】
更に、前記カニューレ配置及び注射デバイスの配置を説明するが、ここで前記注射デバイスは、前記第二の薬剤を前記第二のカニューレ部材を通して放出させるため、力を前記限定エレメントにかけるための押圧部材を含む
【0019】
更に、注射システムを説明するが、システムは、容器、カートリッジ又はアンプルなどのリザーバ、及び前記カニューレ配置を取り付けるために構成されたハウジング中に含まれる、例えば、薬物送達デバイスなどの注射デバイスを含む。
【0020】
一つの実施態様において、カニューレ配置は可撓性部材及びハウジングを含み、前記可撓性部材及び前記ハウジングは、少なくとも一つの圧縮性リザーバを画成する。好ましくは、第二の薬剤は、前記圧縮性リザーバ内に備え付けられる。第一のカニューレが備え付けられ、カニューレは、前記注射デバイス内に備え付けられる前記第一の薬剤と流体係合するように構成される穿孔近位部分、及び前記圧縮性リザーバと流体係合するように構成される遠位端を含む。加えて、第二のカニューレが備え付けられ、第二のカニューレは、前記圧縮性リザーバと流体係合するための近位端、及び穿孔遠位端を含む。
【0021】
更なる実施態様において、カニューレ配置は、ハウジング及び可動栓を含み、前記可動栓及び前記ハウジングは、少なくとも一つの圧縮性リザーバを画成する。好ましくは、第二の薬剤は、前記圧縮性リザーバ内に備え付けられる。第一のカニューレが備え付けられ、カニューレは、前記注射デバイス内に備え付けられる前記第一の薬剤と流体係合するように構成された穿孔近位部分及び前記圧縮性リザーバと流体係合するように構成された遠位端を含む。加えて、第二のカニューレが含まれ、第二のカニューレは、前記圧縮性リザーバ及び穿孔遠位端と流体係合するための近位端を含む。
【0022】
さらに、注射システムが説明され、システムは、例えば、容器、カートリッジ、又はアンプルなどのリザーバ、及び前記カニューレ配置を取り付けるように構成されたハウジング内の第一の薬剤を含む薬物送達デバイスなどの注射デバイスを含む。
【0023】
さらに、カニューレ配置を操作するための方法が説明され、方法は次の工程:
(a)上記で説明されたハウジングを注射デバイスに取り付けること;
(b)押圧部材を圧縮性リザーバから前記第二のカニューレを通して前記第二の薬剤を放出するために操作すること;
(c)第一のカニューレと注射デバイスのリザーバの間での流体連通を確立すること。これは、例えば、シールエレメントを穿孔し、又は圧縮することにより実施できる;
(d)第一のカニューレ、圧縮性リザーバ、及び第二のカニューレを通して第一の薬剤の以前に選択された量を放出するために注射デバイスを操作すること;
を含む。
【0024】
第一の薬剤の量は以前に、例えば、使用者により選択された量であってもよい。
あるいは、量は、例えば、固定用量デバイスで固定された量であってもよい。
【0025】
患者の体内へ薬物を注射するために用いる場合、患者又は医療専門家は、第二のカニューレを、工程a)及びb)の間で患者の目的とする注射部位に第二のカニューレを導入することができる。それにもかかわらず、特に、本方法は、テスト目的のために、即ち、ヒト又は動物のいかなる医学的処置もなしで、カニューレ配置をテストするために使用し得る。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の様々な態様のこれら、並びに、その他の利点は、添付の図面を適切に参照して、以下の詳細な説明を読むことにより、当業者には明確になるであろう。
【0027】
本発明の範囲は、請求項の内容で定義される。発明は特定の実施態様に限定されず、異なった実施態様のエレメントのいかなる組合せも含む。その上、発明は、請求項のいかなる組合せも、そして請求項で開示された特徴のいかなる組合せも含む。
【0028】
例示的な配置は、図を参照して本明細書で説明する:
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】プレフィルドカニューレアセンブリの第一の配置を示す。
【図2】プレフィルドカニューレアセンブリの第二の配置を示す。
【図3A】図1において示したプレフィルドカニューレアセンブリで使用するための注射システムの初期工程を示す。
【図3B】図3Aで示す注射システムの後続の注射工程を示す。
【図3C】図3Bで示す注射システムの後続の注射工程を示す。
【図4】図3A〜Cで示す注射システムで使用できる注射デバイスを示す。
【0030】
図1はプレフィルドカニューレアセンブリの第一の配置を示す。そのようなプレフィルドカニューレアセンブリ10は、図4で示す注射デバイスのような注射デバイスに連結するよう配置される。そのようなプレフィルドカニューレアセンブリ10は、そのような注射デバイスに開放可能に、又は非開放可能に連結するように構成される。
【0031】
一つの配置において、図4で示す注射デバイスは、ペン型注射デバイスを含む。そのような一般的なペン型注射デバイスは、インスリンのような第一の注射可能液体を含むカートリッジ又はアンプルを含む。以下により詳細に説明する通り、注射デバイスは、更に、デバイスの使用者に注射可能用量を設定することを可能にする投与機構を含む。投与機構は、装着されたカニューレアセンブリ内に含まれる注射可能液体と一緒にカートリッジ内に含まれる注射可能液体が、同一注射中、注射できる駆動又は注射機構を含む。
【0032】
図1に戻って、カニューレアセンブリ10は、カニューレ配置4を含む。この図示された配置において、カニューレ配置4は、第一のカニューレ12(N1)及び第二のカニューレ14(N2)を含む。しかし、当業者なら認識する通り、三つ又はそれ以上のカニューレを有する更なるカニューレ配置は、また、本明細書で説明するカニューレ配置の一般的概念で使用し得る。
【0033】
一つの例示的な配置において、第一のカニューレ12は、30ゲージの従来のカニューレを含む。第二のカニューレ14は、同一サイズの30ゲージの従来カニューレ、又は代替サイズ(例えば、27G、28G、29G、30G、31G又はそれ以下のサイズ)を含んでもよい。しかし、当業者なら認識する通り、他のサイズのカニューレも、また、同様に使用できるであろう。ほんの一例として、更なる配置において、第一のカニューレ12は、第一のゲージを有するカニューレを含み、そして第二のカニューレ14は、第一のカニューレとはサイズの異なる第二のゲージを有するカニューレを含むであろう。
【0034】
カニューレアセンブリ10は、更に、例えば、ハウジングエレメント24に沿って膜などの可撓性部材16として形成される限定エレメントを含む。一好ましい配置において、ハウジング24は、少なくとも第一のカニューレ12の部分及び少なくとも第二のカニューレ14の部分を収納する。可撓性部材16は、好ましくは、第一及び第二のカニューレ12、14の間に配置され、そして、ハウジングエレメント24に堅く又は取り外し可能に固定し得る。
【0035】
図1で示す通り、この好ましい配置において、ハウジング24の部分に沿った可撓性部材16は、少なくとも一薬剤のリザーバ又はキャビティ40を画成する。そのような薬剤リザーバ又はキャビティ40は、短時間作用型インスリン、長時間作用型インスリン、又はGLP−1若しくはGLP−1類似体などの薬物26で充填できる。しかし、更なる配置において、可撓性部材16及びハウジング24は、複数の薬剤キャビティ、例えば、少なくとも二つのそのような薬剤キャビティを画成できる。そのような多重キャビティ又は多重リザーバの配置において、第一のキャビティは、一つのタイプの薬物で充填され、そして、第二のキャビティは第二のタイプの薬物で充填され得る。
【0036】
図1に戻って、第一のカニューレ12は、少なくとも近位端20及び遠位端22を含む。第一のカニューレ12の近位端20は、好ましくは、鋭利な、及び/又は、面取りした端部18を含む。第一のカニューレ12は、好ましくは、ハウジング24の近位部分28近辺に取り付けられるが、代替の装着配置も、また、活用し得る。ハウジング24内で取り付けられる間、第一のカニューレ12の遠位端22は、可撓性部材16で画成される薬剤キャビティ40と流体係合のまま残留できる。あるいは、第一のカニューレ12は、保存中の薬物と恒久的な接触はないが、例えば、金属スプリング、プラスチックスプリングエレメント、ガス圧力などを含む好適な起動機構を用いて投与中に、薬剤リザーバ40と流体係合にある。
【0037】
一つの好ましい配置において、可撓性部材16は、非経口薬剤品との恒久的な接触に適した好適なプラスチック素材から作られている。そのような素材の実例としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリスチレン(PS)がある。好ましい配置において、薬剤キャビティ40は別の薬剤26の量を含む。好ましくは、この第二の薬剤26の量は、薬物の固定用量を含む。
【0038】
圧縮性シール34は、第一のカニューレ12の近位端20に備え付けられる。好ましくは、この圧縮性シール34は、使用者がこのアセンブリをその輸送又は保存包装から取り出すとき、カニューレアセンブリ10と一緒に備え付けられる。一つの好ましい配置において、この圧縮性シール34は、第一のカニューレ12の外部表面に沿って圧縮性である。以下により詳細に説明する通り、薬剤キャビティ40は、外部押圧部材が可撓性部材16の外部壁32に対して力F144をかけるとき、このキャビティ内に含まれる第二の薬剤26が、可撓性部材16から排出されるように可変の体積を有する。何故ならば、可撓性部材16がこの力F144の圧力下で圧縮されるので、シール34は第一のカニューレの近位端20に備え付けられ、可撓性部材16内に含まれる薬物は、第二のカニューレ部分14から、そしてその後、好ましくは、患者の注射部位へ押し出される。
【0039】
ハウジング24の遠位部分30において、第二のカニューレ14が備え付けられる。第一のカニューレ12と同様に、この第二のカニューレ14は、近位端48及び遠位端50を含む。ハウジング24の遠位部分30内に装着されている間は、第二のカニューレ14の近位端48は、起動機構の助けによる投与中に薬剤キャビティ40と流体係合に留まるか、又は流体キャビティ40と直接接触するようになる。遠位端50は、患者の注射部位用の穿孔端を提供するために、面取りした、穿孔端54に備え付けられる。
【0040】
更に、第二のカニューレ14は、取り外し可能なカニューレキャップ62に備え付けられる。このカニューレキャップ62は、輸送又は包装中、第二のカニューレ部分14の遠位部分50を保護する働きをする。この取り外し可能キャップ62は、また、不注意なカニューレの突き刺しを防ぐために使用できる。カニューレアセンブリ10が第一及び第二の薬剤の注射のために使用する前に、使用者はカニューレキャップ62を注射の前に除去する必要がある。
【0041】
ハウジング24は医療デバイスに好適な、一つ又はそれ以上の適切なプラスチック素材から作られる。そのような素材の実例としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリスチレン(PS)がある。代替素材も、また、使用できる。ハウジング24は、更に、連結機構66を含む。好ましくは、この連結機構66は、使用者又は患者に、カニューレアセンブリ10を、図4で示すペン型注射デバイスのような注射デバイスに、開放可能に連結するための手段を提供する。そのような連結機構66は、スナップロック、又は開放可能な連結のその他類似タイプも含む。
【0042】
図2はプレフィルドカニューレアセンブリ110の更なる配置を示す。そのようなプレフィルドカニューレアセンブリ110は、図4で示す注射デバイスのような注射デバイスに連結するように構成される。そのようなプレフィルドカニューレアセンブリ110は、そのような注射デバイスに開放可能に、又は非開放可能に連結するように構成し得る。
【0043】
上記で説明した通り、一つの配置において、図4で示す注射デバイスは、ペン型注射デバイスを含む。そのような一般的なペン型注射デバイスは、インスリンなどの第一注射可能液体を含むカートリッジ又はアンプルを含む。以下により詳細に説明する通り、注射デバイスは、更に、デバイスの使用者に注射可能用量を設定することを可能にする投与機構を含む。
【0044】
図2に戻って、カニューレアセンブリ110は、カニューレ配置104を含む。この図示された配置において、カニューレ配置104は、第一のカニューレ112(N1)及び第二のカニューレ114(N2)を含む。しかし、当業者なら認識する通り、少なくとも三つ又はそれ以上のカニューレ部分を有する更なるカニューレ配置は、また、本明細書で説明するカニューレ配置の一般的概念で使用し得る。
【0045】
一つの配置において、第一のカニューレ112は30ゲージの従来のカニューレを含む。第二のカニューレ部分114は、30ゲージと同等サイズの従来のカニューレ、又は代替サイズ(例えば、27G、28G、29G、30G、31G、又はそれ以下)を含んでもよい。しかし、当業者なら認識する通り、その他のサイズのカニューレも、また、同様に使用できるであろう。ほんの一例として、更なる配置において、第一のカニューレ112は、第一のゲージを有するカニューレを含み、そして、第二のカニューレ114は、第一のカニューレとは異なる第二のゲージサイズを有するカニューレを含む。
【0046】
カニューレアセンブリ110は、更に、ハウジングエレメント124に沿って栓部材116を含む。一好ましい配置において、ハウジングエレメント124は、少なくとも、第一のカニューレ112の部分、及び少なくとも第二のカニューレ114の部分を収納する。栓部材116は、好ましくは、部分的に、第一及び第二のカニューレ112、114間で配置される。この栓部材116は、近位ハウジング部材6と遠位ハウジング部材8間で摺動可能である。例えば、力F2144は、栓部材116に作用する場合、栓部材はその出発位置(図2で示す通り)から、栓部材が最終的にハウジング124の端壁138に隣接して存在するその端部位置へ動くであろう。
【0047】
図2で示す通り、この好ましい配置において、ハウジング124に沿った栓部材116は少なくとも一つの薬剤リザーバ又はキャビティ140を画成する。そのような薬剤リザーバ又はキャビティは、短時間作用型インスリン又は長時間作用型インスリン、又はGLP−1若しくはGLP−1類似体などの別の活性成分などの薬物126で充填してもよい。しかし、更なる配置において、栓部材116は、複数の薬剤キャビティ、例えば、少なくとも二つのそのような薬剤キャビティを画成し得る。そのような薬剤の多重キャビティ配置において、第一キャビティは、薬物の一タイプで充填でき、そして第二キャビティは、薬物の第二タイプで充填できる。
【0048】
図2に戻って、第一のカニューレ112は、少なくとも近位端120及び遠位端122を含む。第一のカニューレ112の近位端120は、好ましくは、鋭利な、及び/又は、面取りした端部を含む。第一のカニューレ112は、好ましくは、ハウジング124の近位部分128近辺に取り付けられるが、しかし、代替の装着配置も、また、活用し得る。ハウジング124内で取り付けられる間、第一のカニューレ112の遠位端122は、栓部材116で画成される薬剤キャビティ140と流体係合のまま残留できる。あるいは、第一のカニューレ112は、保存中の薬物と恒久的な接触はないが、例えば、金属スプリング、プラスチックスプリングエレメント、ガス圧力などを含む好適な起動機構を用いて投与中に、薬剤リザーバ140と流体係合にある。
【0049】
一つの好ましい配置において、栓部材116は、押出し工程により製造された好適な可塑性プラスチック素材でつくられている。異なったポリマー、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリスチレン(PS)は、栓部材用として使用できる。異なったポリマーの共押出しは、例えば、蒸気又は酸素の透過性に関するリザーバの特性を最適化するために適用できる。好ましい配置において、栓部材116及びハウジング124で画成される薬剤キャビティ140は、別の薬物126の量を含む。好ましくは、この第二の薬剤126の量は、薬物の固定用量を含む。
【0050】
圧縮性シール134は、第一のカニューレ112の近位端120に備え付けられる。好ましくは、この圧縮性シール134は、使用者がこのアセンブリをその輸送又は保存包装から取り出すとき、カニューレアセンブリ110と一緒に備え付けられる。一つの好ましい配置において、この圧縮性シール134は、第一のカニューレ112の外部表面に沿って圧縮性である。以下により詳細に説明する通り、薬剤キャビティ140は、外部押圧部材が栓部材116に対して力F144をかけるとき、このキャビティ内に含まれる第二の薬剤126が、キャビティから排出されるので可変の体積を有する。何故ならば、栓部材116がF144の力の元でハウジング124の壁138に向かって動くので、シール134は第一のカニューレ112の近位端120に備え付けられ、栓部材116内に含まれる薬物が、キャビティから、第二のカニューレ部分114へ、そして、好ましくは、患者の注射部位へ排出される。
【0051】
ハウジング124の遠位部分130において、第二のカニューレ114が備え付けられる。第一のカニューレ112と同様に、この第二のカニューレ114は、近位端148及び遠位端150を含む。ハウジング124の遠位部分130内に装着されている間、第二のカニューレ114の近位端148は、栓部材116及びハウジング124により画成される薬剤キャビティ140と流体係合に留まることができる。あるいは、第二のカニューレ114は、保存中の薬物と恒久的な接触はないが、しかし、例えば、金属スプリング、プラスチックスプリングエレメント、ガス圧力などを含む好適な起動機構を用いて投与中に、薬剤リザーバ140と連結するであろう。遠位端150は、患者の注射部位に対する穿孔端を提供するために、面取りした、穿孔端154に備え付けられる。加えて、第二のカニューレ114は、取り外し可能なカニューレキャップ162に備え付けられる。
【0052】
ハウジング124は医療デバイスに好適な、一つ又はそれ以上の適切なプラスチック素材から作られる。そのような素材の実例としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリスチレン(PS)がある。代替素材も、また、使用できる。ハウジング124は、更に、連結機構166を含む。好ましくは、この連結機構164は、使用者又は患者に、カニューレアセンブリ110を、図4で示すペン型注射デバイスのような注射デバイスに、開放可能に連結するための手段を提供する。そのような連結機構166は、スナップロック、又は開放可能な連結のその他類似のタイプも含む。あるいは、そのような連結機構は、注射デバイスに恒久的にカニューレアセンブリ110に連結するための手段を含むことができる。そのような恒久的な連結は、注射デバイスと一緒のカニューレアセンブリは、単回注射に対してのみ使用できる一定の補償を提供できるであろう。
【0053】
注射を実施するために、第一の薬剤に加えて、別の第二の薬剤の更なる用量が投与できる。第一及び第二の薬剤の両者は非経口的に(例えば、皮下に)注射されるであろう。一回の注射のみ必要とされる場合、これは注射デバイスの助けで実施できる。特定タイプの治療に依存して、薬剤は、患者個人の必要性に依存して、可変で、選択可能に投与される。一方、第二の薬剤は、更に、固定用量として投与される。第一及び第二の薬剤は、同様のカニューレアセンブリを用いて、単回注射工程により注射可能である。
【0054】
一つの配置において、既に存在する確立された注射デバイスと同様に構築された注射デバイスは、第一の薬剤の可変の用量の選択を可能にする。そのような存在する注射デバイスの実例としては、可変で、選択可能な自動注射器(例えば、自動ペン型)、並びに、手動で操作される可変で、選択可能な注射支援器(例えば、インスリンペン型)を含み得る。
【0055】
図3aは、図1及び2で示すプレフィルドカニューレアセンブリと共に使用するための注射システム200を示す。注射デバイスのカートリッジ内に含まれる第一の薬剤及びカニューレアセンブリ内に含まれる第二の薬剤を注射する方法は、次の手法で実施できる。
【0056】
初めに、カニューレアセンブリを含むプレフィルドカニューレアセンブリは受入れられる。そのようなカニューレアセンブリは、図1及び2で示すプレフィルドカニューレアセンブリ10、110を含むことができる。この配置において、カニューレ210は、図1で示すアセンブリ10と類似のプレフィルドアセンブリを含む。そのようなわけで、プレフィルドカニューレアセンブリ210は、ハウジングエレメント224と一緒に、第一のカニューレ部材212、第二のカニューレ部材214、可撓性部材216を含む。この配置において、ハウジングエレメント224は、少なくとも第一のカニューレ部材212の部分、及び少なくとも第二のカニューレ部材214の部分を収納する。可撓性部材216は、好ましくは、第一及び第二のカニューレ部分212、214間に配置され、そして、ハウジングエレメント224に堅く、又は取り外し可能に固定できる。
【0057】
第一の初期工程において、カニューレアセンブリ210は、その包装物から取り出され、そして注射デバイス202上に、又はその内部に取り付けられる。そのような注射デバイスは、図4で示すペン型注射器を含んでもよい。この装着工程中に、カニューレアセンブリ210の結合部材264(カニューレアセンブリ10、110の連結機構66、166と類似の)は、注射デバイス202に取り付けられる。初めは、カニューレアセンブリ210は、殺菌された封入物内に梱包され、そして、使用者により容易に取り出すことができ、ここで、そのような殺菌封入物としては、ブリスターパック、袋、又はその他類似の封入物が含まれる。
【0058】
プレフィルドカニューレアセンブリ210は、好ましくは、インスリン、GLP−1、又はGLP−1類似体などの薬物226で充填される。第一のカニューレ212の近位端は、注射デバイス202内に収納された従来のカートリッジ又はアンプル204の遠位端に位置するセプタム208に心合わせする。第一の薬剤を含むそのような従来のカートリッジ又はアンプル204は、例えば、インスリンペン型において従来から使用されている3mlのインスリンカートリッジであってもよい。他の形式又は慣例のカートリッジ又はアンプルも、また、使用できることは、当業者なら認識するであろう。
【0059】
一つの配置において、カニューレアセンブリ210の連結機構264は、アセンブリを、注射デバイスの受け機構260上に、又はその内部にスナップすることを可能にする。そのような受け機構は、注射デバイス202に対して内部又は外部であってもよい。使用者は、その後、取り外し可能なカバー262をカニューレアセンブリ210の第二のカニューレ214から除去する。注射デバイス202を活用して、使用者は、カートリッジ204内に含まれる第一の薬剤206の必要量を、今、選択できる。
【0060】
ほんの一例として、そして図4で示す注射デバイス300を参照して、用量は次の手法で選択できる。注射デバイス300は、再使用可能、又は、使い捨てデバイスであってもよい。使い捨てデバイスは、製造業者から得られた、薬物で事前装填され、そして初期の薬物を使い切った後、新しい薬物で再装填することができない注射デバイスを意味する。デバイスは固定用量、又は設定可能用量であってもよく、しかし、それは、いずれの場合でも、反復用量デバイスである。
【0061】
図4において、従来のデバイス300は、カートリッジハウジング306、用量ダイヤルモジュール300及び用量調節ノブ302を含む。カートリッジハウジング306及び用量ダイヤルモジュール304の第一の端は、保持機構により共に固定される。そのような一般的な注射デバイス300は、カートリッジ又は薬物のその他のリザーバを含む。このカートリッジは、一般的には、円筒形状であり、そして通常は、ガラス又は特に、半透明のプラスチック素材で製作される。カートリッジは、一端をゴム栓で、そして他端をゴムセプタムでシールされる。注射ペンは、多重注射を送達するよう設計される。従って、それは、機構、例えば、スクリュネジ山を有し、それは、図1で示すカニューレアセンブリのような注射カニューレアセンブリを取り付けるために使用される。図1及び2を参照して説明する通り、開示されたプレフィルドカニューレアセンブリは、カートリッジセプタムを穿孔するよう設計され、そして、カートリッジの内容物と患者の皮下領域間で流体連通を提供する。カートリッジハウジング306に含まれる薬剤は、カートリッジ栓を前進させる注射デバイスにおける機構により排出される。送達機構は、一般的に、使用者の手動作用で動力を受けるが、しかし、注射機構は、また、スプリング、圧縮ガス、又は電気エネルギなどの他の手段により動力を受ける。
【0062】
好ましい配置において、図3aのカニューレアセンブリ210は、単回タイプのカニューレアセンブリとのみ連動するためにコード化された特別に設計された注射デバイスと連動するように設計できる。更なる配置において、カニューレアセンブリ210は、限定数のカニューレアセンブリとのみ連動するようコード化された特別に設計された注射デバイスとのみ連動するよう設計できる。これは カニューレアセンブリ210に関する適合性のある、相補的な、又はコード化された機構と係合する特定の連結又は結合機構を含むことにより達成できる。例えば、特定の結合、連結、又はコード化機構は、注射デバイスの一タイプとのみ使用するためのカニューレアセンブリの特定型に対する適合性のある、相補的な機構と係合する注射デバイス200の遠位端250上に提供できる。ほんの一例として、活性成分として即効性のインスリンを含むカニューレアセンブリ210の特定タイプは、長時間作用型インスリンを含む注射デバイスの特定タイプのみ連結することが可能である。しかし、当業者なら、代替の機械的配置及び活性成分配置も、また、可能であることを認識するであろう。
【0063】
注射システムの使用を特定のカニューレアセンブリに限定する一つの理由は、注射デバイスから送達される薬剤の用量の精度を確実にすることである。注射システムの使用を特定のカニューレアセンブリに限定する別の理由は、ある活性薬剤のみが、注射デバイス内に保存されている他のある活性薬剤とのみ一緒に送達できることを確実にすることである。
【0064】
使用者がカートリッジ204内に含まれる第一の薬剤206を投与するために用量を設定したとき、第二のカニューレ214は、患者270の意図した注射部位266内に導入される。これを図3bに示す。次に、注射プロセスは、注射デバイス202の対応する起動器(trigger)を圧迫することにより起動する。注射デバイス202は、初めに、力F3244を可撓性部材216に対してかける。この力F3244は、第二の薬剤226を、リザーバ又はキャビティ240から、カニューレ214を通して、患者の注射部位内へ放出する作用をする。
【0065】
一つの配置において、圧力パッド256は、可撓性部材216へ力をかけるための押圧部材として使用できる。例えば、そのような圧力パッド256は、注射デバイス202上に提供できる。圧力パッド256は、この好ましい配置において、注射デバイス202により駆動できる。あるいは、そのような圧力パッド256は、分離した部品部分又は注射デバイス202への装着品であってもよい。患者の安全性は、キャビティ240が空か、不完全に充填されているか、又は粒子状物質で汚染されているかどうかを使用者に調べさせることを可能にすることにより強化できる。この目的のために、リザーバ240は、可視的検査が可能となるよう本質的に半透明の素材から製作することが必要とされる。
【0066】
また別の配置において、圧力パッド256はカニューレアセンブリ210の一体化部品となり得る。この場合、圧力パッドは、都合よくロックされ、及び/又は、スプリングのような事前に装填された付勢部材で装填できる。インターロッキングは、従って、患者によりカニューレアセンブリをその包装から押出すことにより解放できる。一つの配置において、付勢部材は金属スプリング(例えば、板スプリング、円筒状ラセンスプリング、円錐状コイルスプリング)、プラスチックスプリングエレメント、又はガス圧力スプリングであってもよい。
【0067】
図3bで示す注射システムに戻って、後続の注射工程において、軽度の圧力がカートリッジ204上で蓄積される。この軽度の圧力は、薬物206のカートリッジ204から薬剤リザーバ240及び第二の薬剤226内への放出を阻止する。
【0068】
図3cで示す後続の注射工程において、注射デバイス202はカートリッジ204の位置を変え、そしてその投与機構を、遠位方向におけるカートリッジ204を動かせるために活用する。好ましくは、投与機構は、カートリッジ膜208が第一のカニューレ212の周囲のゴムシール234上に存在するように、カートリッジ204を遠位方向に移動させる。この方式において、第一のカニューレ212は、カートリッジ204の内部キャビティ258に備え付けられる薬物206と流体係合するように膜208を穿孔する。
【0069】
ゴムシール234は、第一のカニューレ212を取り囲み、遠位方向に押されるシーリング部材として機能し、そしてその後、圧縮状態に存在し、第一のカニューレ212を取り囲むが、カニューレ212がカートリッジ膜208を穿孔することを可能にする。カートリッジ204内に含まれる第一の薬剤206上に既に蓄積された圧力の結果として、カニューレリザーバ内に含まれる第二の薬剤226は、注射デバイスのカートリッジ内へ逆流することはできなくなり、従って、第二のカニューレ214を通して排出させる必要がある。
【0070】
次に、注射デバイス202の投与機構(好ましくは、プランジャロッドによる)は、力F4268により、カートリッジ204内に含まれる栓上で作動することを始める。この方式において、注射デバイス202の投与機構は、カートリッジ204から、初めに、第一のカニューレ212を通して、圧縮性リザーバ216を通して、そしてその後、第二のカニューレ214を通して、第一の薬剤206の以前に選択した量を注射する。この薬剤は、その後、第二のカニューレ部分214により、患者270の注射部位266内へ注射される。
【0071】
好ましくは、この注射プロセスは手動で起こる。しかし、代替の注射システム配置においては、注射プロセスは自動的に起こる。注射の後、カートリッジ204は、カートリッジが最終的に、図3A及び3Bで示す通り、その初期位置に存在するように、近位方向に引き戻される。ゴムシール234は、今、圧縮されていないが、第一のカニューレ212を覆う、その元の形に戻るであろう。それにより、それは、カニューレ配置の近位端の液密閉鎖、及び/又は、針突き刺し損傷の保護のため備え付けられるカニューレの近位端をシールし、覆う。その後、使用者はカニューレアセンブリ210を注射部位266から取り外しし、そして注射デバイス202からカニューレアセンブリ210を取り外す。カニューレアセンブリ210は、その後、廃棄することができる。
【0072】
本明細書で説明するプレフィルドカニューレアセンブリの一つに利点は、第一の薬剤の単回用量の投与と比較して、更なる複雑な取扱い工程を必要としないことである。二つのカニューレを有するカニューレアセンブリは、ペン型注射デバイスで使用するための標準的なペン型カニューレアセンブリと主として同等に取り扱うことができるのは真実である。この使用の容易さは、患者の受け入れを増加させ、そして、また、注射デバイス、並びに、事前に充填したカニューレアセンブリの操作の安全性を増加させる。
【0073】
上記で議論した配置は、注射デバイスの受け機構260を操作する連結機構264を活用する。更なるコネクタ配置もまた使用され得る。そのような配置において、このコネクタ配置は、当該分野で公知のいかなるデザインであってもよく、好ましくは使用者により解放可能なものである。例えば、そのような解放可能なコネクタは、一条ネジ又は多条ネジ、バヨネットロック、ルアーロック、斜面及び戻り止め、スナップロック、スナップフィット、又は薬剤ハウジングの対応するメス型、又はオス型部分に連結するオス型又はメス型部分を有する他のコネクタを含むことができる。
【0074】
図4で示す注射デバイスのような、ある種の現在公知の注射デバイスでもって、二つの活性成分の正確な用量を確保することは、上記で説明した通り、ある種の課題を提示する。開示したカニューレアセンブリは、リザーバで、又はペン型注入デバイスのような注射デバイス上に連結できるカニューレ内に活性成分を含むカニューレアセンブリの内部空間で、利用可能な固定用量を提供する。このペン型デバイスは、その後、ペン型デバイス内に含まれる薬物、例えば、カートリッジ又はアンプル内に含まれる薬物の可変の用量を設定するために使用し得る。デバイスは、その後、カニューレアセンブリリザーバ内に保存されている活性成分と一緒に、この可変に設定された用量を投与するために使用できる。
【0075】
現在特許請求されるカニューレアセンブリに対しては多くの利点がある。例えば、一つの利点は、低用量の活性成分の正確な投与が実施できることである。投与は単回用量で確実にし、そして投与システム(デバイス)の許容誤差、又は反復用量の包装、例えば、カートリッジ/ストッパーシステムの変動性に依存しない。
【0076】
また、現在開示されたカニューレアセンブリは、固定用量と可変用量との組合せを可能にする。換言すれば、固定用量は、広範囲の可変用量と組み合わせることができる。プレフィルドカニューレアセンブリの利点は、固定用量の薬物用の可撓性容器を特徴付けることにより、可変薬物の損失を最小化し、そして固定薬物の全体積をそのリザーバから排出するために必要とする可変薬物の最小体積が、固定薬物がそのリザーバから放出された後の無駄体積を低下させることにより著しく低下することである。例えば、固定及び可変用量に対する数個のカートリッジを備えたデバイスなどのその他の技術的解決策は、開発及び製作するのが高価であり、並びに、取扱いが複雑である。
【0077】
開示されたカニューレアセンブリは、用途に対して、簡潔で安全な結果をもたらす。換言すれば、注射デバイス上に活性成分リザーバを有するカニューレシステムを取り付けることによってのみ、操作はほとんど公知のデバイスシステムと異ならず、そして考えられるかぎり容易である。一つの可能性のある結果は、使用におけるより高い安全性である。
【0078】
提案された注射システムは、現在上市されているペン型注射デバイスと連動するよう設計でき、又は一つの特定デザインの注射デバイスとのみ連動するよう設計してもよい。後者はプレフィルドカニューレアセンブリデバイス上に、適合し、又は相補する機構と係合する注射デバイスに特定の機構を導入することにより達成できる。
【0079】
本発明の例示的な実施態様が説明された。しかし、当業者なら、変更及び改変は、請求項で画成される本発明の真の範囲及び趣旨から逸脱することなくこれらの実施態様に対して行うことができることは理解するであろう。
【0080】
参照番号:
4.カニューレ配置;
6.近位ハウジング部材;
8.遠位ハウジング部材;
10.プレフィルドカニューレアセンブリ;
12.第一のカニューレ;
14.第二のカニューレ;
16.可撓性部材;
18.鋭利な及び/又は面取りした端部;
22.遠位端;
24.ハウジングエレメント;
26.第二の薬剤;
28.第一のカニューレの近位部分;
30.第一のカニューレの遠位部分;
34.圧縮性シール;
40.薬剤リザーバ/キャビティ;
44.力F1;
48.第二のカニューレの近位端;
50.第二のカニューレの遠位端;
54.穿孔端;
62.取り外し可能なカニューレキャップ;
66.連結機構;
104.カニューレ配置;
110.カニューレアセンブリ;
112.第一のカニューレ;
114.第二のカニューレ;
116.栓部材;
120.第一のカニューレの近位端;
122.第一のカニューレの遠位端;
124.ハウジングエレメント;
126.第二の薬剤;
128.ハウジングの近位部分;
134.圧縮性シール;
138.端壁;
140.薬剤リザーバ又はキャビティ;
144.力F2;
148.第二のカニューレの近位端;
150.第二のカニューレの遠位端;
154.穿孔端;
162.取り外し可能なカニューレキャップ;
164.連結機構;
166.連結機構;
200.注射システム;
202.注射デバイス;
204:従来のカートリッジ又はアンプル;
206.第一の薬剤;
208.セプタム;
210.カニューレアセンブリ;
212.第一のカニューレ部材;
214.第二のカニューレ部材;
216.可撓性部材;
220.第一のカニューレの近位端;
224.ハウジングエレメント;
226.第二の薬剤;
234.ゴムシール;
240.キャビティ;
244.力F3;
250.遠位端;
256.圧力パッド;
258.内部キャビティ;
260.受け機構;
262.取り外し可能カバー;
264.連結機構;
266.注射部位;
268.力F4;
270.患者;
300.注射デバイス;
302.用量調節ノブ;
304.用量ダイヤルモジュール;
306.カートリッジハウジング;

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の薬剤(206)を含む注射デバイス用のカニューレ配置(4)であって:
限定エレメント(16、116、216);
上記注射デバイスに取り付けるように構成されるハウジング(24)であって、ハウジング及び該限定エレメント(16、116、216)が圧縮性リザーバ(40)を画成する、該ハウジング(24);
該リザーバ(40)に備え付けられる第二の薬剤(26);
上記注射デバイスに備え付けられる第一の薬剤(26)と流体係合するように構成された穿孔近位端(20)、及び
上記リザーバ(40)に備え付けられる上記第二の薬剤(26)と流体係合するように構成された遠位端(22)
を含んでなる第一のカニューレ(12);及び
上記リザーバ(40)に備え付けられる上記第二の薬剤(26)と流体係合するための近位端(48)、及び穿孔遠位端(50)を含んでなる、
第二のカニューレ(14);
を含んでなる、上記カニューレ配置。
【請求項2】
シールエレメント(34、134、234)が、圧縮性リザーバ(40)の圧縮中に第二の薬剤(26)用の流体経路を閉鎖するために第一のカニューレ(12)の近位端(20)に備え付けられる、請求項1に記載の配置。
【請求項3】
シールエレメント(34、134、234)が、圧縮性シール、可撓性シール、変形可能シール、破壊可能シール、及び一方向バルブの内一つを含んでなる、請求項2に記載の配置。
【請求項4】
前記圧縮性リザーバ(40)が、インスリン及び/又はGLP−1若しくはGLP−1類似体を含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の配置。
【請求項5】
前記圧縮可能リザーバ(40)が前記第二の薬剤(26)の固定用量を含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の配置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の配置であって、
前記第一のカニューレ(12)が第一のゲージサイズを有し、そして
前記第二のカニューレ(14)が第二のゲージサイズを有し、
ここで、前記第一のカニューレ(12)の第一のゲージサイズは、前記第二のカニューレ(14)の第二のゲージサイズと概して等しい、配置。
【請求項7】
前記ハウジング(24)及び前記限定エレメント(16、116、216)が、少なくとも第一及び第二のリザーバを画成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の配置。
【請求項8】
第二の薬剤(26)が前記第一のリザーバに備え付けられ、そして第三の薬剤は、前記第二のリザーバに備え付けられる、請求項7に記載の配置。
【請求項9】
前記限定エレメント(16、116、216)が、可撓性部材(16、216)を含んでなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の配置。
【請求項10】
前記限定エレメント(16、116、216)が、可動栓(116)を含んでなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の配置。
【請求項11】
リザーバ(204)中に第一の薬剤(206)を含んでなる注射デバイスが備え付けられ、ここで、ハウジング(24)は、注射デバイス及びカニューレ配置が、注射システムを形成するように該注射デバイスに取り付けられる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の配置。
【請求項12】
圧縮性リザーバから前記第二のカニューレ部材(14)を通して前記第二の薬剤(26)を放出するように、前記カニューレ配置(4)が、前記限定エレメント(16、116、216)上に力をかけるための押圧部材(256)を含んでなる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の配置。
【請求項13】
圧縮性リザーバから前記第二のカニューレ部材(14)を通して前記第二の薬剤(26)を放出するように、前記注射デバイスが、前記限定エレメント(16、116、216)上に力をかけるための押圧部材(256)を含んでなる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の配置。
【請求項14】
前記注射デバイスは、使用者が前記第一の薬剤(206)の可変用量を設定するのを可能とするように構成される、請求項11〜13のいずれか1項に記載の配置。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか1項に記載の配置を操作するための方法であって:
(a)ハウジング(24)を注射デバイスに取り付ける工程;
(b)圧縮性リザーバから前記第二のカニューレ(14)を通して前記第二の薬剤(26)を放出するために押圧部材(256)を操作する工程;
(c)注射デバイスの第一のカニューレ(12)とリザーバ(204)間での流体連通を確立する工程;
(d)第一の薬剤(206)の量を、第一のカニューレ(12)、圧縮性リザーバ(40)及び第二のカニューレ(14)を通して放出させるために注射デバイスを操作する工程;
を含んでなる、上記方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−530579(P2012−530579A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516740(P2012−516740)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058988
【国際公開番号】WO2010/149736
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】