説明

プログラム、情報記憶媒体、及び、ゲーム機

【課題】オブジェクト空間においてプレーヤキャラクタと敵キャラクタとを用いたゲームにおいて、敵キャラクタの存在意義を強め、プレーヤに面白味を与えることができるゲームに関するプログラム、情報記憶媒体、ゲーム機を提供する。
【解決手段】プレーヤキャラクタのヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とを設定し、プレーヤキャラクタのヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたか否かを判定するヒット判定を行い、ヒット判定の結果に応じて、プレーヤキャラクタを移動させる処理を行い、プレーヤキャラクタに第1のヒット領域と第2のヒット領域とを設定し、プレーヤキャラクタの第1のヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたと判定された場合であって、プレーヤからの所定入力情報を取得した場合に、プレーヤキャラクタを加速させる処理を行い、プレーヤキャラクタの第2のヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたと判定された場合に、プレーヤキャラクタを減速させる処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報記憶媒体、及び、ゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、仮想的な3次元空間であるオブジェクト空間(ゲーム空間)において所与の視点(仮想カメラ)から見える画像を生成するゲーム機(画像生成装置)が知られており、いわゆる仮想現実を体験できるものとして人気が高い。
【0003】
このようなゲーム機では、オブジェクト空間に存在するプレーヤキャラクタが、敵キャラクタと戦いながら、スタート地点からゴール地点まで移動させるゲームがある。例えば、敵キャラクタの撃ってきた弾を任意の方向に跳ね返しながらゲームを進行させるゲームがある(非特許文献1)。
【0004】
しかし、従来では、敵キャラクタは単に攻撃・防御の対象にすぎず、敵キャラクタの存在意義が単純すぎて面白みに欠けるものがあった。
【非特許文献1】株式会社カプコン、マーズマトリックス、モスキートシステム、[online]、株式会社カプコン、[平成20年2月1日検索]、インターネット<URL:http://www.capcom.co.jp/newproducts/arcade/mars/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の課題に鑑みたものであり、その目的は、オブジェクト空間においてプレーヤキャラクタと敵キャラクタとを用いたゲームにおいて、敵キャラクタの存在意義を強め、プレーヤに面白味を与えることができるゲームに関するプログラム、情報記憶媒体、ゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、
プレーヤキャラクタと敵キャラクタとが存在するゲーム空間において、プレーヤキャラクタを始点から終点に移動させるゲームのためのプログラムであって、
プレーヤキャラクタのヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とを設定するヒット領域設定部と、
プレーヤキャラクタのヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたか否かを判定するヒット判定を行うヒット判定部と、
前記ヒット判定の結果に応じて、プレーヤキャラクタを移動させる処理を行う移動演算部として、コンピュータを機能させ、
前記ヒット領域設定部が、
プレーヤキャラクタに第1のヒット領域と第2のヒット領域とを設定し、
前記移動演算部が、
プレーヤキャラクタの第1のヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたと判定された場合であって、プレーヤからの所定入力情報を取得した場合に、プレーヤキャラクタを加速させる処理を行い、
プレーヤキャラクタの第2のヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたと判定された場合に、プレーヤキャラクタを減速させる処理を行うことを特徴とするプログラムに関する。
【0007】
本発明は、上記プログラムを記憶した情報記憶媒体、上記各部として構成するゲーム機に関係する。
【0008】
本発明によれば、プレーヤキャラクタを進行方向に加速させて移動させるためには、敵キャラクタの存在が必要になるので、敵キャラクタの存在意義が強まる。
【0009】
(2)また、本発明のプログラム、情報記憶媒体、ゲーム機は、
前記移動演算部が、
プレーヤからの方向指示の入力情報に基づいて、プレーヤキャラクタを加速させる際の移動方向を決定するようにしてもよい。
【0010】
本発明によれば、プレーヤの意図する方向にプレーヤキャラクタを移動させることができる。
【0011】
(3)また、本発明のプログラム、情報記憶媒体、ゲーム機は、
プレーヤキャラクタの高さが所定値以上か否かに基づきゲーム判定を行うゲーム演算部と、
所定パラメータを更新するパラメータ更新部として、コンピュータを機能させ、
前記パラメータ更新部が、
プレーヤキャラクタの第1のヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたと判定された場合であって、プレーヤからの前記所定入力情報を取得した場合に、前記所定パラメータを増加させる処理を行い、
プレーヤからの第2の所定入力情報を取得した場合であって、前記所定パラメータ値がしきい値を超えている場合に、前記所定パラメータを減少させる処理を行い、
前記移動演算部が、
前記所定パラメータが減少しない場合には、プレーヤキャラクタを下降させる処理を行い、
前記所定パラメータが減少した場合には、プレーヤキャラクタの下降を制限する処理を行うようにしてもよい。
【0012】
本発明によれば、プレーヤキャラクタの下降を防ぐために、敵キャラクタの存在が必要になるので、敵キャラクタの存在意義を強化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0014】
1.構成
図1に本実施形態のゲーム機(画像生成装置)の機能ブロック図の例を示す。なお本実施形態のゲーム機は図1の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0015】
操作部160は、プレーヤがオブジェクト(プレーヤキャラクタ)の入力データ(操作データ)を入力するためのものであり、その機能は、レバー、ボタン、ステアリング、マイク、タッチパネル型ディスプレイ、或いは筺体などにより実現できる。
【0016】
また、操作部160は、加速度センサや撮像部、或いは角速度を検出するジャイロセンサを備えた入力機器によってプレーヤからの入力データを入力できるものでもよい。例えば、入力装置は、プレーヤが把持して動かすものであってもよいし、プレーヤが身につけて動かすものであってもよい。また、入力装置には、プレーヤが把持する刀型コントローラや銃型コントローラ、あるいはプレーヤが身につける(プレーヤが手に装着する)グローブ型コントローラなど実際の道具を模して作られたコントローラも含まれる。また入力装置には、入力装置と一体化されているゲーム装置、携帯型ゲーム装置、携帯電話なども含まれる。
【0017】
例えば、入力機器に備えられた加速度センサは、3軸(X軸、Y軸、Z軸)の加速度を検出する。すなわち、加速度センサは、上下方向、左右方向、及び、前後方向の加速度を検出することができる。なお、加速度センサは、5msec毎に加速度を検出している。また、加速度センサは、1軸、2軸、6軸の加速度を検出するものであってもよい。また、入力機器に備えられた加速度センサによって検出された加速度(例えば、重力加速度)に基づいて、入力機器の傾き(傾きの方向、大きさ)を求めてもよい。なお、加速度センサから検出された加速度は、入力機器の通信部によってゲーム装置(本体装置)に送信される。
【0018】
また、入力機器に備えられた撮像部は、赤外線フィルタ、レンズ、撮像素子(イメージセンサ)、画像処理回路を含む。赤外線フィルタは、入力装置の前方に配置され、表示部190に関連付けられて配置されている光源から入射する光から赤外線のみを通過させる。レンズは、赤外線フィルタを透過した赤外線を集光して撮像素子へ出射する。撮像素子は、例えば、CMOSセンサやCCDのような固体撮像素子であり、レンズが集光した赤外線を撮像して撮像画像を生成する。撮像素子で生成された撮像画像は、画像処理回路で処理される。例えば、撮像素子から得られた撮像画像を処理して高輝度部分を検知し、撮像画像における光源の位置情報(特定位置)を検出する。なお、光源が複数存在する場合には、撮像画像上の位置情報を複数検出する。また、複数の光源を利用して撮像画像上の位置情報を複数検出し、検出された位置情報の基準軸からの回転角度(傾き)を求め、光源に対する入力機器自体の傾きを求めてもよい。なお、検出した撮像画像上の位置情報は、通信部によって、本体装置に送信される。
【0019】
記憶部170は、処理部100や通信部196などのワーク領域となるもので、その機能はRAM(VRAM)などにより実現できる。なお、オブジェクトデータ記憶部176は、オブジェクトのオブジェクトデータが記憶される。
【0020】
情報記憶媒体180(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部100は、情報記憶媒体180に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。情報記憶媒体180には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)を記憶することができる。
【0021】
表示部190は、本実施形態により生成された画像を出力するものであり、その機能は、CRT、LCD、タッチパネル型ディスプレイ、或いはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)などにより実現できる。音出力部192は、本実施形態により生成された音を出力するものであり、その機能は、スピーカ、或いはヘッドフォンなどにより実現できる。
【0022】
通信部196は外部(例えば他のゲーム機)との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0023】
なお、サーバが有する情報記憶媒体や記憶部に記憶されている本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムやデータを、ネットワークを介して受信し、受信したプログラムやデータを情報記憶媒体180や記憶部170に記憶してもよい。このようにプログラムやデータを受信してゲーム機を機能させる場合も本発明の範囲内に含む。
【0024】
処理部100(プロセッサ)は、操作部160からの入力データやプログラムなどに基づいて、ゲーム処理、画像生成処理、或いは音生成処理などの処理を行う。
【0025】
この処理部100は記憶部170内の主記憶部172をワーク領域として各種処理を行う。処理部100の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
【0026】
処理部100は、オブジェクト空間設定部110、移動・動作処理部111、パラメータ更新部112、仮想カメラ制御部114、ゲーム演算部116、ヒット領域設定部117、ヒット判定部118、描画部120、音生成部130を含む。なおこれらの一部を省略する構成としてもよい。
【0027】
オブジェクト空間設定部110は、オブジェクト(プレーヤキャラクタ、敵、敵弾の他に、キャラクタ、建物、球場、車、樹木、柱、壁、マップ(地形)などの表示物を表す各種オブジェクト(ポリゴン、自由曲面又はサブディビジョンサーフェスなどのプリミティブで構成されるオブジェクト)をオブジェクト空間に配置設定する処理を行う。
【0028】
ここでオブジェクト空間とは、いわゆる仮想2次元空間、仮想3次元空間の両方を含む。2次元空間とは、例えば2次元座標(X,Y)においてオブジェクトが配置される空間であり、3次元空間とは、例えば3次元座標(X,Y,Z)においてオブジェクトが配置される空間である。
【0029】
そして、オブジェクト空間を2次元空間とした場合には、複数のオブジェクトそれぞれについて設定された優先順位に基づいてオブジェクトを配置するようにしてもよい。例えば、マップ上を真上からみたときには、プレーヤキャラクタが最前に表示されるように優先順位を設定する。
【0030】
またオブジェクト空間を3次元空間とした場合には、ワールド座標系にオブジェクトを配置する。また、例えば、ワールド座標系でのオブジェクトの位置や回転角度(向き、方向と同義であり、例えば、ワールド座標系でのX、Y、Z軸の各軸の正方向からみて時計回りに回る場合における回転角度)を決定し、その位置(X、Y、Z)にその回転角度(X、Y、Z軸回りでの回転角度)でオブジェクトを配置する。
【0031】
移動・動作処理部111は、オブジェクトの移動・動作演算を行う。すなわち操作部160によりプレーヤが入力した入力データや、プログラム(移動・動作アルゴリズム)や、各種データ(モーションデータ)などに基づいて、オブジェクトをオブジェクト空間内で移動させたり、オブジェクトを動作(モーション、アニメーション)させたりする処理を行う。具体的には、オブジェクトの移動情報(位置、回転角度、速度、或いは加速度)や動作情報(オブジェクトを構成する各パーツの位置、或いは回転角度)を、1フレーム(例えば、1/60秒)毎に順次求める処理を行う。なおフレームは、オブジェクトの移動・動作処理や画像生成処理を行う時間の単位である。
【0032】
特に、本実施形態の移動・動作処理部111は、移動演算部111aを含む。移動演算部111aは、ヒット判定の結果に応じて、プレーヤキャラクタを移動させる処理を行う。例えば、移動演算部111aは、プレーヤキャラクタの第1のヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたと判定された場合であって、プレーヤからの所定入力情報を取得した場合に、プレーヤキャラクタを加速させる処理を行い、プレーヤキャラクタの第2のヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたと判定された場合に、プレーヤキャラクタを減速させる処理を行う。
【0033】
また移動演算部111aは、プレーヤからの方向指示の入力情報に基づいて、プレーヤキャラクタを加速させる際の移動方向を決定するようにしてもよい。ここで、方向指示の入力情報とは、アナログレバーによって入力された角度方向を示す情報、十字キーによって入力された上下左右の方向を示す情報とすることができる。
【0034】
また、移動演算部111aは、所定パラメータが減少しない場合には、プレーヤキャラクタを下降させる処理を行い、所定パラメータが減少した場合には、プレーヤキャラクタの下降を制限する処理を行うようにしてもよい。
【0035】
仮想カメラ制御部114は、オブジェクト空間内の所与(任意)の視点から見える画像を生成するための仮想カメラ(視点)の制御処理を行う。具体的には、3次元の画像を生成する場合には、ワールド座標系における仮想カメラの位置(X、Y、Z)又は回転角度(例えば、X、Y、Z軸の各軸の正方向からみて時計回りに回る場合における回転角度)を制御する処理を行う。要するに、視点位置、視線方向、画角を制御する処理を行う。また、仮想カメラ制御部114は、仮想カメラを、予め決められた回転角度で回転させてもよい。この場合には、仮想カメラの位置又は回転角度を特定するための仮想カメラデータに基づいて仮想カメラを制御する。なお、仮想カメラ(視点)が複数存在する場合には、それぞれの仮想カメラについて上記の制御処理が行われる。
【0036】
例えば仮想カメラによりオブジェクト(例えば、プレーヤキャラクタ)を後方から撮影する場合には、オブジェクトの位置、向きの変化に仮想カメラが追従するように、仮想カメラの位置、仮想カメラの向きを制御する。この場合には、移動・動作処理部111で得られたオブジェクトの位置、向き又は速度などの情報に基づいて、仮想カメラを制御できる。或いは、仮想カメラを、予め決められた向きに設定したり、予め決められた移動経路で移動させる制御を行ってもよい。この場合には、仮想カメラの位置(移動経路)又は向きを特定するための仮想カメラデータに基づいて仮想カメラを制御する。なお、仮想カメラ(視点)が複数存在する場合には、それぞれの仮想カメラについて上記の制御処理が行われる。
【0037】
パラメータ更新部112は、所定パラメータ(例えばブーストゲージ)を更新する。例えば、パラメータ更新部112は、プレーヤキャラクタの第1のヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたと判定された場合であって、プレーヤからの前記所定入力情報を取得した場合に、所定パラメータを増加させる処理を行い、プレーヤからの第2の所定入力情報を取得した場合であって、所定パラメータ値がしきい値を超えている場合に(例えば0を超えている場合に)、所定パラメータを減少させる処理を行う。
【0038】
ゲーム演算部116は、種々のゲーム演算処理を行う。例えば、ゲーム開始条件が満たされた場合にゲームを開始する処理、ゲームを進行させる処理、ゲームステージ毎のクリア条件を満たすか否かを判定する処理、或いはゲーム終了条件が満たされた場合にゲームを終了する処理、最終ステージをクリアした場合にはエンディングを進行させる処理などがある。
【0039】
本実施形態のゲーム演算部116は、プレーヤキャラクタがゴール地点までたどり着いたか否かを判定したり、プレーヤキャラクタの高さが所定値以上か否かに基づきゲーム判定を行うようにしている。例えば、制限時間以内にゴール地点までたどり着かない場合には、ゲームオーバーと判定したり、プレーヤキャラクタの高さが所定値以上でない場合には、ゲームオーバーと判定している。
【0040】
ヒット領域設定部117は、プレーヤキャラクタのヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とを設定する処理を行う。なお、本実施形態のヒット領域設定部117は、プレーヤキャラクタに第1のヒット領域と第2のヒット領域とを設定する。
【0041】
ヒット判定部118は、プレーヤキャラクタのヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたか否かを判定するヒット判定を行う。
【0042】
描画部120は、処理部100で行われる種々の処理(ゲーム処理)の結果に基づいて描画処理を行い、これにより画像を生成し、表示部190に出力する。描画部120が生成する画像は、いわゆる2次元画像であってもよいし、いわゆる3次元画像であってもよい。
【0043】
2次元画像を生成する場合には、真上から見たときのマップの全体又は一部の画像を生成する。例えば、オブジェクト(スプライト)毎に優先度を設定し、設定された優先度が低いオブジェクトから順に描画する。オブジェクト同士が重なる場合には、優先度の高いオブジェクトを上書きして描画するようにする。
【0044】
いわゆる3次元ゲーム画像を生成する場合には、まずオブジェクト(モデル)の各頂点の頂点データ(頂点の位置座標、テクスチャ座標、色データ、法線ベクトル或いはα値
等)を含むオブジェクトデータ(モデルデータ)が入力され、入力されたオブジェクトデータに含まれる頂点データに基づいて、頂点処理(頂点シェーダによるシェーディング)が行われる。なお頂点処理を行うに際して、必要に応じてポリゴンを再分割するための頂点生成処理(テッセレーション、曲面分割、ポリゴン分割)を行うようにしてもよい。
【0045】
頂点処理では、頂点処理プログラム(頂点シェーダプログラム、第1のシェーダプログラム)に従って、頂点の移動処理や、座標変換、例えばワールド座標変換、視野変換(カメラ座標変換)、クリッピング処理、透視変換(投影変換)、ビューポート変換等のジオメトリ処理が行われ、その処理結果に基づいて、オブジェクトを構成する頂点群について与えられた頂点データを変更(更新、調整)する。
【0046】
そして、頂点処理後の頂点データに基づいてラスタライズ(走査変換)が行われ、ポリゴン(プリミティブ)の面とピクセルとが対応づけられる。そしてラスタライズに続いて、画像を構成するピクセル(表示画面を構成するフラグメント)を描画するピクセル処理(ピクセルシェーダによるシェーディング、フラグメント処理)が行われる。ピクセル処理では、ピクセル処理プログラム(ピクセルシェーダプログラム、第2のシェーダプログラム)に従って、テクスチャの読出し(テクスチャマッピング)、色データの設定/変更、半透明合成、アンチエイリアス等の各種処理を行って、画像を構成するピクセルの最終的な描画色を決定し、透視変換されたオブジェクトの描画色を描画バッファ174(ピクセル単位で画像情報を記憶できるバッファ。VRAM、レンダリングターゲット)に出力(描画)する。すなわち、ピクセル処理では、画像情報(色、法線、輝度、α値等)をピクセル単位で設定あるいは変更するパーピクセル処理を行う。これにより、オブジェクト空間内において仮想カメラ(所与の視点)から見える画像が生成される。なお、仮想カメラ(視点)が複数存在する場合には、それぞれの仮想カメラから見える画像を分割画像として1画面に表示できるように画像を生成することができる。
【0047】
なお頂点処理やピクセル処理は、シェーディング言語によって記述されたシェーダプログラムによって、ポリゴン(プリミティブ)の描画処理をプログラム可能にするハードウェア、いわゆるプログラマブルシェーダ(頂点シェーダやピクセルシェーダ)により実現される。プログラマブルシェーダでは、頂点単位の処理やピクセル単位の処理がプログラム可能になることで描画処理内容の自由度が高く、従来のハードウェアによる固定的な描画処理に比べて表現力を大幅に向上させることができる。
【0048】
そして描画部120は、オブジェクトを描画する際に、ジオメトリ処理、テクスチャマッピング、隠面消去処理、αブレンディング等を行う。
【0049】
ジオメトリ処理では、オブジェクトに対して、座標変換、クリッピング処理、透視投影変換、或いは光源計算等の処理が行われる。そして、ジオメトリ処理後(透視投影変換後)のオブジェクトデータ(オブジェクトの頂点の位置座標、テクスチャ座標、色データ(輝度データ)、法線ベクトル、或いはα値等)は、オブジェクトデータ記憶部176に保存される。
【0050】
テクスチャマッピングは、記憶部170のテクスチャ記憶部178に記憶されるテクスチャ(テクセル値)をオブジェクトにマッピングするための処理である。具体的には、オブジェクトの頂点に設定(付与)されるテクスチャ座標等を用いて記憶部170のテクスチャ記憶部178からテクスチャ(色(RGB)、α値などの表面プロパティ)を読み出す。そして、2次元の画像であるテクスチャをオブジェクトにマッピングする。この場合に、ピクセルとテクセルとを対応づける処理や、テクセルの補間としてバイリニア補間などを行う。
【0051】
隠面消去処理としては、描画ピクセルのZ値(奥行き情報)が格納されるZバッファ179(奥行きバッファ)を用いたZバッファ法(奥行き比較法、Zテスト)による隠面消去処理を行うことができる。すなわちオブジェクトのプリミティブに対応する描画ピクセルを描画する際に、Zバッファ179に格納されるZ値を参照する。そして参照されたZバッファ179のZ値と、プリミティブの描画ピクセルでのZ値とを比較し、描画ピクセルでのZ値が、仮想カメラから見て手前側となるZ値(例えば小さなZ値)である場合には、その描画ピクセルの描画処理を行うとともにZバッファ179のZ値を新たなZ値に更新する。
【0052】
αブレンディング(α合成)は、α値(A値)に基づく半透明合成処理(通常αブレンディング、加算αブレンディング又は減算αブレンディング等)のことである。
【0053】
なお、α値は、各ピクセル(テクセル、ドット)に関連づけて記憶できる情報であり、例えば色情報以外のプラスアルファの情報である。α値は、マスク情報、半透明度(透明度、不透明度と等価)、バンプ情報などとして使用できる。
【0054】
音生成部130は、処理部100で行われる種々の処理の結果に基づいて音処理を行い、BGM、効果音、又は音声などのゲーム音を生成し、音出力部192に出力する。
【0055】
なお、本実施形態のゲーム機は、1人のプレーヤのみがプレイできるシングルプレーヤモード専用のシステムにしてもよいし、複数のプレーヤがプレイできるマルチプレーヤモードも備えるシステムにしてもよい。また複数のプレーヤがプレイする場合に、これらの複数のプレーヤに提供するゲーム画像やゲーム音を、1つの端末を用いて生成してもよいし、ネットワーク(伝送ライン、通信回線)などで接続された複数の端末(ゲーム機、携帯電話)を用いて分散処理を行ってもよい。
【0056】
2.本実施形態の手法
(1)概要
図2は、本実施形態のゲームの概要を示す説明図である。本実施形態のゲームは、ゲーム空間において、プレーヤキャラクタPをスタート地点(始点)からゴール地点(終点)まで移動させる2次元のゲームである。
【0057】
本実施形態では、プレーヤキャラクタPの移動速度に基づいてプレーヤキャラクタPを移動させている。特に本実施形態では、プレーヤキャラクタPが、敵E(敵キャラクタ)をキャッチして放つ処理が行われる際に、プレーヤキャラクタを加速させる処理を行っている。そして、プレーヤキャラクタPが敵Eと衝突すると、プレーヤキャラクタPを減速させる処理を行っている。
【0058】
また、本実施形態では、プレーヤキャラクタPに重力方向(Y軸マイナス方向)へ落下(下降)させる処理を行っている。そして、プレーヤキャラクタPが敵Eをキャッチした際や、敵を放って加速処理が行われる際、また、プレーヤからのブーストゲージを消費させるための入力データ(所定入力情報I1)を取得する度にブーストゲージAを消費(減少)させている場合には、ブーストゲージAの消費量に応じて、プレーヤキャラクタPの落下を制限する処理を行っている。ブーストゲージAは、重力に対して逆方向の浮力への力を働かせるものであり、ブーストゲージの減少に応じて浮力の力が働き、重力に対するプレーヤキャラクタPの落下を阻止させている。例えば、重力と浮力が同等であれば、プレーヤキャラクタPの高さを維持させ、重力よりも浮力が高まればプレーヤキャラクタPを上昇させる。ただし、ブーストゲージAの値がしきい値(例えば0)以下になると、ブーストゲージAを消費させることができず、プレーヤキャラクタPを落下させる処理を行っている。
【0059】
そして、本実施形態では、プレーヤキャラクタPの位置(X,Y)が所定値(Y=0)以下になると、ゲームオーバーの判定処理を行いゲームを終了させる処理を行っている。
【0060】
このように、本実施形態では、プレーヤキャラクタPを加速させたり落下を防ぐためにプレーヤキャラクタPが敵Eをキャッチしたり敵Eを放つ処理が必要になるゲームである。したがって、本実施形態では、プレーヤキャラクタPがゴール地点に辿り着くためには、敵Eの存在が必要になるので、複数の敵Eを、図2に示すように敵E1、E2、E2´(敵E2から発射される敵弾)のように、ゲーム空間に配置させることが望ましい。例えば、X軸の所定間隔毎に少なくとも1つの敵Eが存在するように、敵Eをゲーム空間に配置させるようにしてもよい。なお、敵Eは、ゲーム空間に静止させて配置させてもよいし、任意の方向(例えばX軸マイナス方向)に基づき移動させるようにしてもよい。
【0061】
以上のように、本実施形態のゲームでは、プレーヤキャラクタPが敵Eを用いて、加速したり落下を防止させて、プレーヤキャラクタPをゴール地点へ到達させるというゲームである。つまり、本実施形態では、従来のように敵を単なる攻撃防御の対象とするだけでなく、敵からのダメージのリスク(減速させられる、攻撃を受ける等のリスク)を負いながらも、敵をキャッチしてゲームを進行させるという敵の存在意義を強めた従来にないゲームを実現している。以下、具体的な処理内容を説明する。
【0062】
(2)ヒット判定
本実施形態では、プレーヤキャラクタのキャッチ範囲HP1(第1のヒット領域)と、プレーヤキャラクタの衝突範囲HP2(第2のヒット領域)とを設定している。例えば、図3(A)(B)に示すように、プレーヤキャラクタの表示領域を中心に矩形の衝突範囲HP2を設定し、衝突範囲HP2の周囲(例えば、上方、下方、右方、左方)を少なくとも一部含む領域にキャッチ範囲HP1を設定している。例えば、キャッチ範囲HP1は、衝突範囲HP2の右方、左方の両側に設定している。さらに、敵(敵から発射される敵弾も含む)にも矩形のヒット範囲HEを設定している。
【0063】
そして、本実施形態では、プレーヤキャラクタのキャッチ範囲HP1と、敵のヒット範囲HEとを用いて、キャッチに関するヒット判定を行っている。例えば、敵のヒット範囲HEの各頂点が、キャッチ範囲HP1に属するか否かを、座標値(X、Y)を比較することによって、ヒットしたか否かを判定している。具体的には、敵のヒット範囲HEの各頂点が、キャッチ範囲HP1内の座標値内である場合には、プレーヤキャラクタが敵にヒットしたと判定している。
【0064】
同様に、プレーヤキャラクタの衝突範囲HP2と、敵のヒット範囲HEとを用いて、衝突のヒット判定を行っている。
【0065】
そして、本実施形態では、プレーヤから「キャッチ」ボタン(所定入力情報I2)による入力情報を取得した場合であって、図3(A)に示すように、プレーヤキャラクタのキャッチ範囲HP1と、敵のヒット範囲HEがヒットしたと判定された場合に限って、プレーヤキャラクタが敵をキャッチしたと判定している。
【0066】
また、図3(B)に示すように、プレーヤキャラクタPの衝突範囲HP2と、敵Eのヒット範囲HEとがヒットしたと判定されると、プレーヤキャラクタは、敵に衝突したと判定している。
【0067】
なお、本実施形態では、プレーヤキャラクタのキャッチ範囲HP1と、衝突範囲HP2は、異なる領域に設定されており、敵のヒット範囲HEと衝突範囲HP2とのヒットがあったと判定された場合には、敵のヒット範囲HEとキャッチ範囲HP1とのヒットに関わらず、衝突があったものと判定している。
【0068】
なお、キャッチ範囲HP1、衝突範囲HP2、敵のヒット範囲HEを、円形に設定してもよい。例えば、キャッチ範囲HP1、敵のヒット範囲HEが円形である場合には、キャッチ範囲HP1、敵のヒット範囲HEそれぞれの中心点からの距離L1が、キャッチ範囲HP1の半径r1、敵のヒット範囲HEの半径r2の合計(r1+r2)以下である場合、すなわち、L1≦(r1+r2)である場合には、キャッチ範囲HP1、敵のヒット範囲HEはヒットしたと判定する。
【0069】
(3)敵を用いたプレーヤキャラクタの移動制御
本実施形態では、プレーヤキャラクタPの移動を次のように制御している。
【0070】
まず、図4(A)に示すように、プレーヤキャラクタPの通常時の状態(アイドル状態)では、プレーヤキャラクタは重力加速度G(>0)によって、重力方向(Y軸マイナス方向)に落下移動する処理を行っている。しかし、プレーヤからの所定入力情報I1を検知した場合には、ブーストゲージAを減少させて、減少に応じて浮力方向への加速度を設定し、重力加速度Gと浮力方向への加速度とに基づいて、プレーヤキャラクタの重力方向或いは浮力方向への移動方向、及び移動方向に対する移動量を決定する処理を行っている。
【0071】
また、本実施形態では、プレーヤキャラクタPの速度(例えば時速50km)に応じて、プレーヤキャラクタPをX軸プラス方向に移動させる処理を行っている。なお、プレーヤキャラクタPの速度は、徐々に減速させるようにしてもよいし、後述するように敵と衝突した場合に限って減速させるようにしてもよい。
【0072】
次に、図4(B)を用いて、プレーヤキャラクタPが敵Eをキャッチした場合についての移動制御について説明する。
【0073】
まず、本実施形態では、プレーヤキャラクタPが敵Eをキャッチしたと判定されると、プレーヤキャラクタPの重力加速度が0に設定される。つまり、プレーヤキャラクタPは落下を阻止することができる。なお、キャッチ中は、プレーヤキャラクタPが、敵Eをキャッチしながらスイング(回転)する動画像を生成して表示させるようにしている。
【0074】
また、本実施形態では、プレーヤから、連続して「キャッチ」ボタン(所定入力情報I2)の入力情報を検出している場合は、キャッチ状態(スイング状態)が維持され、プレーヤキャラクタPの重力加速度はそのまま0に設定される。そして、本実施形態では、予めキャッチ可能時間(例えば30フレーム:1フレーム1/60秒)を設定し、キャッチ可能時間経過後は、再び重力加速度がGに設定され、プレーヤキャラクタPは、敵Eと共に重力加速度Gに従って重力方向へ落下移動する処理を行っている。
【0075】
また、本実施形態では、キャッチ可能時間内においてはX軸プラス方向の速度をキャッチ時の速度で維持する処理を行っている。つまり、敵をキャッチすることで、キャッチ時の速度で、X軸プラス方向にプレーヤキャラクタPを移動させることができる。例えば、キャッチ時の速度が時速50kmである場合には、キャッチ可能時間内は時速50kmのまま、プレーヤキャラクタPがX軸プラス方向に移動させる。
【0076】
次に、図4(C)を用いて、プレーヤキャラクタPが敵Eを放つ処理について説明する。
【0077】
本実施形態では、キャッチ可能時間内において、プレーヤからの連続して入力されていた「キャッチ」ボタン(所定入力情報I2)の入力情報が検出されなくなったときに、プレーヤキャラクタPから敵Eを放つ処理を行い、プレーヤキャラクタPをX軸プラス方向へ加速させる処理を行っている。
【0078】
また、本実施形態では、加速期間を予め設定し、加速期間中、プレーヤキャラクタPの加速させる処理を行う。具体的には、時速50kmで移動していたプレーヤキャラクタPを、加速期間(例えば20フレーム)かけて速度を時速100kmに上昇させる。
【0079】
なお、本実施形態では、プレーヤキャラクタPを加速させる際には、速度の変化を、数フレームかけて段階的に上昇させるだけでなく、1フレームでプレーヤキャラクタPの速度を時速50kmから時速100kmに変化させるようにしてもよい。
【0080】
なお、加速期間中も重力加速度を0に設定した状態を保ち、プレーヤキャラクタPが落下することがないように制御している。
【0081】
また、本実施形態では、敵Eを放つと同時にブーストゲージAを増加させている。つまり、プレーヤキャラクタPが敵Eをキャッチして放つことで、加速させると共にプレーヤキャラクタPの落下防止を図るためのブーストゲージAを増加させることができる。
【0082】
なお、プレーヤキャラクタPが敵Eを放ってから加速期間内に、さらに異なる敵をキャッチして放した場合には、プレーヤキャラクタPの速度をさらに加速させるようにしてもよい。例えば、時速50kmで移動しているプレーヤキャラクタPが敵E1をキャッチして放つとプレーヤキャラクタPの最大速度が、時速が時速100kmになるとする。しかし、プレーヤキャラクタPが敵E1を放って加速している加速期間内に、さらに異なる敵E2をキャッチして放した場合には、プレーヤキャラクタPの最大速度が、時速200kmになるよう制御する。つまり、敵をキャッチして放つという行為が連続的に行われると、プレーヤキャラクタPを大きく加速させることができる。
【0083】
なお、プレーヤキャラクタPを加速させる際には、プレーヤからの方向指示入力情報に基づいて、移動方向を定めてプレーヤキャラクタPを移動させることができる。例えば、図5に示すように、プレーヤからの上下左右の十字キーボタン(所定入力情報I3a〜I3d)から、上ボタン(所定入力情報I3a)の入力情報を検知すると、プレーヤキャラクタPを、移動方向a1の方向へ加速させている。また、下ボタン(所定入力情報I3b)の入力データを検知すると、プレーヤキャラクタPを、移動方向a3の方向へ加速させている。なお、十字キーからの上下以外の入力データ(例えば、右ボタン:所定入力情報I3c、左ボタン:所定入力情報I3d)を検知した場合や、十字キーからの入力データを検知しない場合には、プレーヤキャラクタPを移動方向a2の方向へ加速させている。
【0084】
このようにすれば、プレーヤは次にキャッチする敵の位置を見定めて、プレーヤキャラクタを移動させることができる。
【0085】
また、本実施形態では、加速期間を経過すると、速度維持状態に遷移し、速度維持期間中はプレーヤキャラクタの進行方向への移動速度が維持される。そして、速度維持期間(速度キープ時間)を経過すると、プレーヤキャラクタの移動速度を、敵をキャッチした時の速度に減速させる処理を行っている。
【0086】
例えば、時速50kmで移動しているプレーヤキャラクタが敵Eを放つことによって、時速100kmに加速した場合には、加速時間を経過した後に、速度維持期間(例えば30フレーム)時速100kmを維持し、速度維持期間経過後、時速50kmに減速する処理を行う。ここで、減速する処理は、数フレーム(例えば、10フレーム)かけて、時速100kmから時速50kmに段階的に速度を減速させてもよいし、1フレームで時速100kmから時速50kmへ急激に速度を減速させてもよい。
【0087】
(5)衝突処理
本実施形態では、図6(A)に示すように、プレーヤキャラクタPが敵Eと衝突したと判定されると、プレーヤキャラクタPの速度を減速させる処理を行っている。つまり、プレーヤキャラクタPをキャッチするための所定入力情報I2の入力タイミングをプレーヤが誤ると、プレーヤキャラクタPは敵Eと衝突することになり、プレーヤキャラクタPが減速してしまうことになる。
【0088】
例えば、プレーヤキャラクタPが時速50kmで移動している場合に、プレーヤキャラクタPと敵Eとが衝突したと判定されると、プレーヤキャラクタPを、時速0kmに減速させる処理を行う。
【0089】
また、本実施形態では、プレーヤキャラクタPと敵Eとが衝突したときの、敵Eの移動方向に応じて、敵Eに対するプレーヤキャラクタPの相対的な移動方向を決めている。例えば、図6(B)に示すように、敵Eがb1の方向へ移動している場合には、衝突によってプレーヤキャラクタPを、敵Eに対して相対的にb1´の方向へ移動させている。また、敵Eがb2の方向へ移動している場合には、衝突によってプレーヤキャラクタPを敵Eに対して相対的にb2´の方向へ移動させている。敵Eがb3の方向へ移動している場合には、プレーヤキャラクタPを敵Eに対して相対的にb3´の方向へ移動させている。
【0090】
また、本実施形態では、プレーヤキャラクタPが敵E1をキャッチしている状態(キャッチ中)の場合であっても、他の敵E2と衝突したと判定されると、プレーヤキャラクタPを加速させずに、敵E2によって減速させる処理を行っている。
【0091】
(6)その他
また、本実施形態では、敵の種類に応じて、敵を放つときの加速度を変化させてもよい。例えば、図2に示す、敵E2から発射される敵弾E2´をキャッチして放った場合には、敵E2をキャッチして放つ加速度よりも大きな加速度でプレーヤキャラクタを加速させるようにしてもよい。
【0092】
例えば、プレーヤキャラクタPが敵E1をキャッチして放った場合には、最大速度が時速100kmまで上昇させる処理を行うように制御し、プレーヤキャラクタPが敵E2をキャッチして放った場合には、最大速度が時速200kmまで上昇させる処理を行うように制御する。つまり、敵の種類に応じて最大速度を異ならせるようにしてもよい。
【0093】
また、本実施形態では、敵の種類に応じて、衝突時のダメージを異ならせてもよい。例えば、図2に示す、敵E2から発射される敵弾E2´と衝突した場合には、プレーヤキャラクタの速度を減速させるだけでなく、プレーヤキャラクタを一定期間、行動不能状態にさせるようにしてもよい。具体的には、プレーヤキャラクタが他の敵をキャッチすることや、ブーストゲージAを消費させて浮力を働かせることを不能にするようにするように制御する。つまり、プレーヤからの「キャッチ」ボタン(所定入力情報I2)による入力情報、ブーストゲージA用の入力情報(所定入力情報I1)を、受け付けないように制御する。
【0094】
また、本実施形態では、プレーヤキャラクタを複数用意し、プレーヤキャラクタの種類に応じて、加速処理を異ならせるようにしてもよい。例えば、敵を放つ際の加速時において、プレーヤキャラクタP1は、最大速度が時速100kmになるように加速させることができ、プレーヤキャラクタP2は、最大速度が時速250kmになるように加速させることができるように制御してもよい。
【0095】
また、本実施形態のプレーヤキャラクタPの減速処理は、速度を減速させるだけでなく、X軸マイナス方向、つまり進行方向とは逆方向に移動させる処理を行ってもよい。例えば、プレーヤキャラクタPが時速50kmでX軸プラス方向に移動しているときに、X=100の位置で、プレーヤキャラクタPと敵Eとが衝突したと判定された場合には、プレーヤキャラクタの速度を、時速0kmに減速させるだけでなく、X軸マイナス方向に移動させる処理を行ってもよい。例えば、X=100からX=80へ移動させる処理を行ってもよい。
【0096】
また、本実施形態では、プレーヤキャラクタに、キャッチの判定と衝突判定を行うための1つのヒット範囲を設定してもよい。かかる場合には、プレーヤキャラクタのヒット範囲と敵のヒット範囲とがヒットしたと判定された場合には、所定期間内にプレーヤから「キャッチ」ボタン(所定入力情報I2)による入力情報を取得した場合に限ってプレーヤキャラクタが敵をキャッチしたと判定する。一方、プレーヤキャラクタのヒット範囲と敵のヒット範囲とがヒットしたと判定されてから所定期間内にプレーヤから「キャッチ」ボタン(所定入力情報I2)による入力情報を取得しない場合には、プレーヤキャラクタが敵に衝突したと判定する。つまり、プレーヤキャラクタと敵とがヒットしたと判定されてから所定期間を経過すると、プレーヤキャラクタは敵をキャッチすることができずに、プレーヤキャラクタと敵とが衝突する処理を行うように制御する。
【0097】
3.フローチャート
次に、本実施形態の詳細な処理例について図7(A)〜(E)のフローチャートを用いて説明する。
【0098】
まず、図7(A)を用いて説明すると、プレーヤキャラクタをアイドル状態に設定する(ステップS111)。そして、プレーヤの「キャッチ」ボタン(所定入力情報I2)の押下によって、「キャッチ」ボタンによる入力データを取得すると(ステップS112)、プレーヤキャラクタが敵をキャッチしたか否かを判定する(ステップS113)。プレーヤキャラクタが敵をキャッチしたと判定されると(ステップS113のYes)、敵を行動不能状態に遷移させる(ステップS114)。そして、プレーヤキャラクタの重力加速度を0に設定すると共に、プレーヤキャラクタのX軸プラス方向の加速度を、キャッチ時(「キャッチ」ボタンによる入力データを取得時)の速度に維持する処理を行う(ステップS115)。一方、プレーヤキャラクタが敵をキャッチしていないと判定されると(ステップS113のNo)、ステップS111に戻る。
【0099】
そして、次の処理について図7(B)を用いて説明する。まずスイング状態に遷移する(ステップS210)。例えば、プレーヤキャラクタが敵を振り回す動画像を生成して表示させる。そして、スイング可能時間を減少させる処理を行う(ステップS211)。なお、スイング可能時間の初期値は、キャッチ可能時間が設定される。そして、連続して「キャッチ」ボタンの入力データを取得しているか否かを判断する(ステップS212)。「キャッチ」ボタンによる入力データを連続して取得していると判断されると(ステップS212のYes)、他の敵と衝突したか否かを判断する(ステップS213)。そして、他の敵と衝突したと判断されると(ステップS213のYes)、スイングしていた敵(キャッチしている敵)を、行動不能状態のまま落下させ、プレーヤキャラクタを衝突状態に遷移させる(衝突させる)処理を行い(ステップS214)、処理を終了する。一方、他の敵と衝突したと判断されない場合には(ステップS213のNo)、スイング可能時間が無くなったか否かを判断し(ステップS215)、スイング可能時間が無くなったと判断されると(ステップS215のYes)、スイングしていた敵を行動不能状態のまま落下させ、プレーヤキャラクタを、アイドル状態に遷移させる処理を行い(ステップS216)、処理を終了する。一方、スイング可能時間が無くなっていないと判断されると(ステップS215のNo)、ステップS211に戻る。
【0100】
また、「キャッチ」ボタンによる入力データを取得してから連続して同一入力データを取得していないと判断されると(ステップS212のNo)、次の図7(C)の加速状態(加速処理)(ステップS310)に進む。
【0101】
図7(C)を用いて加速状態(ステップS310)について説明する。まず、敵を行動不能状態のまま落下させる処理を行う(ステップS311)。そして、プレーヤキャラクタを、重力加速度を0に設定したまま、プレーヤキャラクタのX軸プラス方向の速度を加速させる。また、速度に応じてプレーヤキャラクタの位置を変更する処理を行う。また、加速中は、プレーヤキャラクタと敵との衝突判定を消失(無効)にさせる(ステップS312)。そして、加速を終了させるか否かを判断し(ステップS313)、加速を終了させる場合には(ステップS313のYes)、次の速度キープ状態に進む。一方、加速を終了させない場合には(ステップS313のNo)、ステップS312に戻る。
【0102】
次に、図7(D)を用いて速度キープ状態処理(速度維持処理)(ステップS410)について、説明する。まず、プレーヤキャラクタが他の敵と衝突したか否かを判断する(ステップS411)。そして、プレーヤキャラクタが他の敵と衝突したと判断されると(ステップS411のYes)、プレーヤキャラクタ及び、敵共に、衝突状態の処理を行う(ステップS412)。一方、プレーヤキャラクタが他の敵と衝突していないと判断されると(ステップS411のNo)、速度キープ時間(速度維持時間)を経過したか否かを判断し(ステップS413)、速度キープ時間を経過したと判断されると(ステップS413のYes)、次のステップである減速状態処理に進み、速度キープ時間を経過していないと判断されると(ステップS413のNo)、ステップS410に戻る。
【0103】
最後に、図7(E)を用いて、減速状態処理(ステップS510)について説明する。まず、プレーヤキャラクタが他の敵と衝突したか否かを判断する(ステップS511)。そして、プレーヤキャラクタが他の敵と衝突したと判断すると(ステップS511のYes)、プレーヤキャラクタ及び敵共に衝突状態の処理を行う(ステップS512)。一方、プレーヤキャラクタが他の敵と衝突していないと判断されると(ステップS511のNo)、減速時間を経過したか否かを判断し(ステップS513)、減速時間を経過したと判断されると(ステップS513のYes)、プレーヤキャラクタをアイドル状態に遷移させて(ステップS514)、処理を終了する。一方、減速時間を経過していないと判断された場合には(ステップS513のNo)ステップS510に戻る。以上で処理が終了する。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本実施形態のゲーム機の機能ブロック図の例。
【図2】本実施形態のゲーム処理の説明図。
【図3】図3(A)(B)は、本実施形態のヒット判定の説明図。
【図4】図4(A)(B)(C)は、減速・加速、浮力・重力に関する説明図。
【図5】図5は、本実施形態のプレーヤキャラクタの移動処理の説明図。
【図6】図6(A)(B)は、本実施形態のプレーヤキャラクタの衝突処理の説明図。
【図7(A)】本実施形態の処理のフローチャート。
【図7(B)】本実施形態の処理のフローチャート。
【図7(C)】本実施形態の処理のフローチャート。
【図7(D)】本実施形態の処理のフローチャート。
【図7(E)】本実施形態の処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0105】
P プレーヤキャラクタ、
E、E1、E2 敵、
E2´ 敵弾、
G 重力加速度
100 処理部、
110 オブジェクト空間設定部、
111 移動・動作処理部、
111a 移動演算部、
112 パラメータ更新部、
114 仮想カメラ制御部
116 ゲーム演算部、
117 ヒット領域設定部、
118 ヒット判定部、
120 描画部、
130 音生成部、
160 操作部、
170 記憶部、172 主記憶部、174 描画バッファ、
176 オブジェクトデータ記憶部、
178 テクスチャ記憶部、
179 zバッファ、
180 情報記憶媒体、190 表示部、192 音出力部、196 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーヤキャラクタと敵キャラクタとが存在するゲーム空間において、プレーヤキャラクタを始点から終点に移動させるゲームのためのプログラムであって、
プレーヤキャラクタのヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とを設定するヒット領域設定部と、
プレーヤキャラクタのヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたか否かを判定するヒット判定を行うヒット判定部と、
前記ヒット判定の結果に応じて、プレーヤキャラクタを移動させる処理を行う移動演算部として、コンピュータを機能させ、
前記ヒット領域設定部が、
プレーヤキャラクタに第1のヒット領域と第2のヒット領域とを設定し、
前記移動演算部が、
プレーヤキャラクタの第1のヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたと判定された場合であって、プレーヤからの所定入力情報を取得した場合に、プレーヤキャラクタを加速させる処理を行い、
プレーヤキャラクタの第2のヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたと判定された場合に、プレーヤキャラクタを減速させる処理を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
請求項1において、
前記移動演算部が、
プレーヤからの方向指示の入力情報に基づいて、プレーヤキャラクタを加速させる際の移動方向を決定することを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
プレーヤキャラクタの高さが所定値以上か否かに基づきゲーム判定を行うゲーム演算部と、
所定パラメータを更新するパラメータ更新部として、コンピュータを機能させ、
前記パラメータ更新部が、
プレーヤキャラクタの第1のヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたと判定された場合であって、プレーヤからの前記所定入力情報を取得した場合に、前記所定パラメータを増加させる処理を行い、
プレーヤからの第2の所定入力情報を取得した場合であって、前記所定パラメータ値がしきい値を超えている場合に、前記所定パラメータを減少させる処理を行い、
前記移動演算部が、
前記所定パラメータが減少しない場合には、プレーヤキャラクタを下降させる処理を行い、
前記所定パラメータが減少した場合には、プレーヤキャラクタの下降を制限する処理を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項4】
コンピュータにより読取可能な情報記憶媒体であって、請求項1〜3のいずれかに記載のプログラムを記憶することを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項5】
プレーヤキャラクタと敵キャラクタとが存在するゲーム空間において、プレーヤキャラクタを始点から終点に移動させるゲームのためのゲーム機であって、
プレーヤキャラクタのヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とを設定するヒット領域設定部と、
プレーヤキャラクタのヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたか否かを判定するヒット判定を行うヒット判定部と、
前記ヒット判定の結果に応じて、プレーヤキャラクタを移動させる処理を行う移動演算部とを含み、
前記ヒット領域設定部が、
プレーヤキャラクタに第1のヒット領域と第2のヒット領域とを設定し、
前記移動演算部が、
プレーヤキャラクタの第1のヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたと判定された場合であって、プレーヤからの所定入力情報を取得した場合に、プレーヤキャラクタを加速させる処理を行い、
プレーヤキャラクタの第2のヒット領域と敵キャラクタのヒット領域とがヒットしたと判定された場合に、プレーヤキャラクタを減速させる処理を行うことを特徴とするゲーム機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7(A)】
image rotate

【図7(B)】
image rotate

【図7(C)】
image rotate

【図7(D)】
image rotate

【図7(E)】
image rotate


【公開番号】特開2009−201743(P2009−201743A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47457(P2008−47457)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】