説明

プログラム、情報記憶媒体及びゲーム装置

【課題】 プレーヤが自身の意思表示を入力するゲームにおいて新しい興趣のあるゲームを実現すること。
【解決手段】プレーヤは裁判員の一員としてゲームプレイする。判決に影響する判定ファクタを個別に評議するサブストーリを予め設定しておき、プレーヤの任意な選択に応じて個別評議のサブストーリを実行する。ストーリには分岐点が有り、分岐の結果に応じて対応する判定ファクタの心証を決定制御する。そして、NPC裁判員毎に判定ファクタ毎に決定された心証状態を所定の判定基準に照らして被告人を有罪とするか無罪とするか個別意志の結果処理をする。判決を決定する最終評決は、プレーヤの有罪/無罪の個別意志入力と、NPC裁判員の個別意志との多数決によって決定処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータに所定のゲームを実行させるためのプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオゲームには様々な種類があるが、プレーヤが自身の意思を入力するゲームの1つとして例えばクイズゲームが知られている(例えば特許文献1)。
また、法廷における検察側と弁護側の応酬をモチーフとした所謂「法廷バトル」ジャンルのアドベンチャーゲームとして、プレーヤが強力な弁護人となり、何食わぬ顔で検察側の証人として登場する真犯人への質問をするゲームが知られている。このゲームは、推理を働かせつつ真犯人の証言の矛盾を突く質問や、事件の核心を突くような証拠品をつきつける、と言った選択操作をして裁判を有利に運び、事件の真相を解明し無実の被告人を救うというストーリを楽しむものである(任天堂株式会社製携帯型ゲーム装置「ニンテンドーDS」用のゲームソフト「逆転裁判〜蘇る逆転〜」に関する非特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2008−194352号公報
【非特許文献1】株式会社カプコン、「逆転裁判〜蘇る逆転〜 取扱説明書」、2005年。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
クイズゲームは、プレーヤが自身の意思表示を入力するゲームとして分かり易い反面、単純という側面があった。
また、上述した「法廷バトル」のアドベンチャーゲームでは、プレーヤが選択操作をする場面があるもの、予め決まった1つのストーリに沿ってゲームが進行するように制御されているため、ゲームの進行に適合しない選択操作をした場合には、ストーリを遡って再度ゲームが進行するような制御(選択操作のやり直しを促すような制御)がなされていた。このため、プレーヤの選択操作が誤りであった場合にはストーリが再実行されるだけであり、面白味に欠けていた。
【0004】
本発明はこうした事情を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プレーヤが自身の意思表示を入力するゲームにおいて新しい興趣のあるゲームを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための第1の発明は、PC(プレーヤキャラクタ)及び複数のNPC(ノン・プレイヤブル・キャラクタ)が評議構成員となって評決対象に関連する予め定められた複数の評議対象事物を評議して1つの評決を出す所定のゲームをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記複数の評議対象事物には、プレーヤの指示操作に従って進行して該指示操作に応じてストーリ結果が変化する当該評議対象事物を評議するサブストーリ(例えば、図3の判定ファクタ別の心証を決定する評議シーン12、図12の判定ファクタ評議シナリオデータ520)が設定されており、
前記評議対象事物それぞれに設定されている前記サブストーリを実行するサブストーリ実行手段(例えば、図12の処理部200、ゲーム演算部210、サブストーリ制御部212、図20のステップS6)、
実行された前記評議対象事物それぞれのストーリ結果を記録する結果記録手段(例えば、図12の処理部200、ゲーム演算部210、判定ファクタ心証値データ570、真相究明要素フラグTBL572、図21のステップS30、ステップS38、ステップS40〜S42)、
少なくとも前記結果記録手段に記録されている前記評議対象事物それぞれのストーリ結果に基づいて、NPCでなる評議構成員それぞれの個別意思を選定するNPC意思選定手段(例えば、図12の処理部200、ゲーム演算部210、NPC個別意思制御部214、NPC個別意志選択TBL546、図20のステップS74)、
プレーヤの選択操作に従ってPCでなる評議構成員の個別意思を入力するPC意思入力手段(例えば、図12の処理部200、ゲーム演算部210、PC個別意思制御部216、操作入力部100、図20のステップS72)、
前記NPC意思選定手段により選定された各評議構成員の個別意思、及び、前記PC意思入力手段により入力されたPCでなる評議構成員の個別意思の多数決により評決する評決手段(例えば、図12の処理部200、ゲーム演算部210、評決制御部218、判決・エンディング選択TBL548、図20のステップS76)、
前記評決手段による評決結果が、予め定められた前記評決対象の正解評決か否かに応じてゲーム結果を判定するゲーム結果判定手段(例えば、図12の処理部200、ゲーム演算部210、判決・エンディング選択TBL548、図20のステップS78〜S82)、として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0006】
また、別形態として、PC及び複数のNPCが評議構成員となって評決対象に関連する予め定められた複数の評議対象事物を評議して1つの評決を出す所定のゲームを実行するゲーム装置であって、
前記複数の評議対象事物には、プレーヤの指示操作に従って進行して該指示操作に応じてストーリ結果が変化する当該評議対象事物を評議するサブストーリが設定されており、
前記評議対象事物それぞれに設定されている前記サブストーリを実行するサブストーリ実行手段(例えば、図1の制御ユニット1450、図12の処理部200、ゲーム演算部210、サブストーリ制御部212、図20のステップS6)と、
実行された前記評議対象事物それぞれのストーリ結果を記録する結果記録手段(例えば、図1の制御ユニット1450、図12の処理部200、ゲーム演算部210、判定ファクタ心証値データ570、真相究明要素フラグTBL572、図21のステップS30、ステップS38、ステップS40〜S42)と、
少なくとも前記結果記録手段に記録されている前記評議対象事物それぞれのストーリ結果に基づいて、NPCでなる評議構成員それぞれの個別意思を選定するNPC意思選定手段(例えば、図1の制御ユニット1450、図12の処理部200、ゲーム演算部210、NPC個別意思制御部214、NPC個別意志選択TBL546、図20のステップS74)と、
プレーヤの選択操作に従ってPCでなる評議構成員の個別意思を入力するPC意思入力手段(例えば、図1のタッチパネル1409、制御ユニット1450、図12の処理部200、ゲーム演算部210、PC個別意思制御部216、操作入力部100、図20のステップS72)と、
前記NPC意思選定手段により選定された各評議構成員の個別意思、及び、前記PC意思入力手段により入力されたPCでなる評議構成員の個別意思の多数決により評決する評決手段(例えば、図1の制御ユニット1450、図12の処理部200、ゲーム演算部210、評決制御部218、判決・エンディング選択TBL548、図20のステップS76)と、
前記評決手段による評決結果が、予め定められた前記評決対象の正解評決か否かに応じてゲーム結果を判定するゲーム結果判定手段(例えば、図1の制御ユニット1450、図12の処理部200、ゲーム演算部210、判決・エンディング選択TBL548、図20のステップS78〜S82)と、を備えたゲーム装置(例えば、図1の携帯型ゲーム装置1400)として実現しても良い。
【0007】
第1の発明等によれば、プレーヤは評議員の一員としてゲームプレイする。そして、ゲーム結果に大きな影響を及ぼす評決の段階では、プレーヤが入力する評決に関する個別意思決定と他のNPCの評議員の個別意思決定との多数決によって決定される。よって、プレーヤの操作した意思表示が必ずしもそのままゲーム結果になるわけではない、従来に無い興趣のあるゲームを実現することができる。換言すると、なかなか思うように事が進まない現実感を上手くゲームの味として加えることができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明のプログラムであって、前記サブストーリ実行手段が、プレーヤの選択操作に従って前記複数の評議対象事物の中から択一的に評議対象事物を選択する選択手段(例えば、図12の処理部200、ゲーム演算部210、図21のステップS24〜S28)を有し、前記選択手段による評議対象事物の選択と、選択された評議対象事物に設定されている前記サブストーリの実行とを繰り返し実行する、ように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0009】
第2の発明によれば、第1の発明と同様の効果を奏するとともに、プレーヤが任意の評議対象事物を選択してサブストーリを実行することができる。
【0010】
第3の発明は、第2の発明のプログラムであって、前記選択手段が、既に選択された評議対象事物の再選択も可能とし、前記結果記録手段が、前記選択手段により再選択されて実行された評議対象事物のストーリ結果を更新記録するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0011】
第3の発明によれば、第2の発明と同様の効果を奏するとともに、既に実行したサブストーリを含め、プレーヤは任意のサブストーリを気の済むまで実行できる。それによってストーリ結果が変わることも当然許容され、最新のストーリ結果が記録されて最終的な評決に反映されると言った、新しい興趣あるゲームが実現できる。
【0012】
第4の発明は、第1〜第3の発明の何れかの発明のプログラムであって、NPCでなる評議構成員それぞれの個別意思を選定するための前記ストーリ結果に基づく条件が評議構成員別に予め定められており(例えば、図12のNPC個別意志選択TBL546)、前記NPC意思選定手段が、前記結果記録手段に記録されている前記評議対象事物それぞれのストーリ結果を、NPCでなる評議構成員それぞれについて定められた前記条件に照らして、当該評議構成員それぞれの個別意思を選定するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0013】
第4の発明によれば、第1〜第3の発明の何れかと同様の効果を奏するとともに、NPCがあたかも評議対象事物それぞれのストーリ結果を独自に評価して個別意思を決定しているかのように制御することができる。よって、個別の評議構成員が意思決定する過程をブラックボックス化する一方で、そこに独自の評価基準を有する疑似人格が存在するかのようにプレーヤに感じさせることができる。
【0014】
第5の発明は、第1〜第4の何れかの発明のプログラムであって、前記評決手段による評決結果が前記正解評決でなかった場合に、その原因となったサブストーリの評議対象事物をプレーヤに通知する不正解原因通知手段(例えば、図12の処理部200、ゲーム演算部210、リプレイ制御部222、図20のステップS84〜S92)として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0015】
第1〜第4の発明のプログラムによって実現されるゲームによれば、プレーヤの操作が直接的にゲーム結果に反映されるわけではないゲームが実現される。それ故にリプレイした時であっても、所望する結果を得る為には何処に注意すれば良いか見当がつき難いことになる。しかし、第5の発明によれば、正解評決でない原因となったサブストーリの評議対象事物がプレーヤに通知されるため、思い通りの結果が得やすいようにプレーヤを補助し、上述のようなリプレイ時の見当のつき難さを補うことができる。
【0016】
第6の発明は、第5の発明のプログラムであって、前記評決手段による評決結果が前記正解評決とならない原因となったサブストーリを再実行するように前記サブストーリ実行手段を制御するとともに、前記結果記録手段、前記NPC意思選定手段、前記PC意思入力手段及び前記評決手段を再度機能させる制御を行ってゲーム途中からの再スタートを実行させる再スタート実行制御手段、として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0017】
第6の発明によれば、第5の発明と同様の効果を奏するとともに、プレーヤの思い通りの結果にならなかった原因となったところから自動で再スタートできるので有益である。
【0018】
第7の発明は、第1〜第6の何れかの発明のプログラムであって、前記評決対象を被告キャラクタの罪の有無とし、前記評議対象事物を証拠及び証言とし、PCでなる評議構成員を裁判員とし、NPCでなる評議構成員を裁判官及び裁判員とした仮想裁判ゲームを前記所定のゲームとして前記コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0019】
第7の発明によれば、第1〜第6の発明の何れかと同様の効果を奏するとともに、プレーヤが裁判員として裁判に参加するといった従来に無いゲームを実現することができる。
【0020】
第8の発明は、第1〜第7の何れか一つのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体である。ここで言う「情報記憶媒体」とは、例えば磁気ディスクや光学ディスク、ICメモリなどを含む。第8の発明によれば、第1〜第7の何れか一つの発明のプログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることによって、コンピュータに第1〜7の何れか一つの発明と同様の効果を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
〔第1実施形態〕
次に、本発明を適用した第1実施形態として、任天堂社製の携帯型ゲーム装置「ニンテンドーDS(登録商標)」等で見られる液晶ディスプレイ上にタッチパネルを搭載した携帯型ゲーム装置で裁判員制度を模したゲームを実行する実施形態を例に挙げて説明する。
【0022】
[ゲーム装置の構成]
図1は、携帯型ゲーム装置の構成例を説明するための外観図である。本実施形態における携帯型ゲーム装置1400は、プレーヤがゲーム操作を入力するための方向入力キー1402と、ボタンスイッチ1404と、第1液晶ディスプレイ1406と、第2液晶ディスプレイ1408と、スピーカ1410と、制御ユニット1450とを、ヒンジ1414で開閉自在なフリップフロップ型の装置本体1401に備えている。そして、第1液晶ディスプレイ1406及び第2液晶ディスプレイ1408の表面には、スタイラスペン1416などで触れることによって表示画面の任意位置を入力することのできるタッチパネル1407、1409がそれぞれ装着されている。
【0023】
また、装置本体1401には、コンピュータ読み出し可能な情報記憶媒体であるメモリカード1440にデータを読み書きできるメモリカード読取装置1418が備えられている。メモリカード1440には、携帯型ゲーム装置1400の制御ユニット1450がゲームプレイに係る各種演算処理を実行するために必要なプログラムや各種設定データが記憶されている。またその他、装置本体1401には図示されていない内臓バッテリーや電源ボタン、音量調節ボタン等が設けられている。
【0024】
タッチパネル1407、1409は、表示画面を遮蔽することなくそれぞれ第1液晶ディスプレイ1406及び第2液晶ディスプレイ408の表示画面のほぼ全域を被い、プレーヤが画面表示されているものに触れる感覚でスタイラスペン1416(或いは指など)で触れると、左上を原点とする直交Xt,Yt軸座標系における接触位置座標を制御ユニット1450へ出力することができる。
【0025】
制御ユニット1450は、ゲーム装置の制御基板に相当し、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、VRAMやRAM,ROM等の各種ICメモリを搭載する。また、無線通信モジュール1412や、3軸加速度センサ1422、第1液晶ディスプレイ1406及び第2液晶ディスプレイ1408のドライバ回路、タッチパネル1407及びタッチパネル1409のドライバ回路、方向入力キー1402及びボタンスイッチ1404からの信号を受信する回路、スピーカ1410へ音声信号を出力するためのアンプ回路、メモリカード読取装置1418への信号入出力回路といった所謂I/F回路(インターフェース回路)を搭載する。これら制御ユニット1450に搭載されている各要素は、それぞれバス回路を介して電気的に接続され、データの読み書きや信号の送受信が可能に接続されている。
【0026】
3軸加速度センサ1422は、携帯型ゲーム装置1400の姿勢変化や位置変化を検出するために直交するX軸・Y軸・Z軸の3軸方向の加速度を検出し、検出信号を制御ユニット1450へ出力する。尚、加速度センサの代わり、又は更なる機能追加としてジャイロセンサを備える構成としても良い。或いは地磁気を基準として位置や姿勢変化を検出するならば磁気センサによって置き換えることもできる。
【0027】
そして制御ユニット1450は、メモリカード読取装置1418によってメモリカード1440に格納されているプログラムやデータを読み出して、搭載するICメモリにこれらを一時記憶する。そして、読み出したプログラムを実行して演算処理を実行し、方向入力キー1402やボタンスイッチ1404、タッチパネル1407及び1409からの操作入力に応じて携帯型ゲーム装置1400の各部を制御して、ゲームを実行する。
【0028】
尚、本実施形態では、携帯型ゲーム装置1400は必要なプログラムや各種設定データをメモリカード1440から読み出す構成としているが、無線通信モジュール1412を介して、インターネットやLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などの有線/無線の通信回線1に接続して外部の装置からダウンロードする構成としても良い。
【0029】
[ゲーム及び操作入力方法の概要]
図2は、本実施形態におけるゲーム画面例と基本的な操作入力例を示す図である。本実施形態のゲームは、プレーヤが裁判員の一人としてある殺人事件の裁判に参加する仮想裁判ゲームである。
【0030】
基本的には、第1液晶ディスプレイ1406にゲーム画面W2が表示される。ゲーム画面W2には、ゲームの進行を説明する各種画像2や、状況説明や登場人物の台詞等のテキスト4が表示される。例えば、同図の例では、テレビのニュース番組の画面2が表示され、アナウンサの台詞のテキスト4が表示され、本ゲームにおける裁判の対象となる事件の概要が語られようとしている。
【0031】
第2液晶ディスプレイ1408には、単数又は複数のボタン表示6がその時々のゲーム進行状況に応じて表示され、プレーヤは所望するボタン表示6をスタイラスペン1416でタッチすることで選択入力してゲームを進める。同図の例では、事件の概要説明を先に進めるゲーム進行操作入力のためのボタン表示6のみが表示されている。当該ボタン表示6をタッチすると、次のゲーム画面へ進みゲームは進行する。
【0032】
図3は、本実施形態におけるゲーム構成の概要を示す図である。本実施形態のゲームは、裁判員が評議を重ねて判決に至る課程を主たるプレイ要素としている。メインのゲームの流れ(メインシナリオフロー)は、事件発生から裁判を経て、裁判後の様子を物語の結末として表示する構成となっている。
【0033】
具体的には、先ず事件の概要説明シーン(図2参照)が表示され、続いて裁判所内での開廷や冒頭手続き、証拠手続きの一部を表現するシーンが、所定のメインシナリオに従って次々に表示される(符号10)。それらのシーンによって、プレーヤにこれから裁判員の一員として参加する裁判に係わる事件の内容と、被告人と、判決に影響を与える証拠や証言、論点等の事物(以降、「判定ファクタ」とも言う。)等が示される。
【0034】
判定ファクタが示されたならば、次に、プレーヤキャラクタ(PC)からなる裁判員とその他のNPC裁判員とによる判定ファクタ毎の評議シーンに移行する(符号12)。判定ファクタの数は、事件の内容やゲーム難易度によって適宜設定される。同図では、判定ファクタ(1)、判定ファクタ(2)、…、判定ファクタ(n:nは自然数)で表している。
【0035】
評議シーンの最初のゲーム画面は、例えば図4に示すように、第1液晶ディスプレイ1406には会議室のテーブルを裁判員と裁判長とが囲んでいる様子が表示される。画面下部にはテキスト表示部20が設けられており、話者となるキャラクタのクローズアップ表示22とともに台詞がテキスト表示部20に表示される。同図では、裁判長が評議を開始するので対象とする判定テーマを選択するようにプレーヤを促す内容の画面とテキストが表示されている。
【0036】
第2液晶ディスプレイ1408には、評議の対象として選択可能な評議テーマ(判定ファクタ)の一覧が表示される。この一覧表示では、評議のテーマ毎の現時点における心証状態として、「未(未決)」「有罪側(当該判定ファクタが被告人を有罪と判定する証とする、又は有罪の証となる可能性が高い、と言った意味)」「不明」「無罪側(当該判定ファクタが被告人を無罪と判定する証とする、又は無罪の証となる可能性が高い、と言った意味)」の4通りのうち何れかが示されている。同図は、評議シーンの最初のゲーム画面に相当するので、何れの評議テーマも「未(未決)」の状態であることを示している。
【0037】
プレーヤは、一覧表示における評議テーマのタイトル部分の何れかをタッチして、評議対象とする判定ファクタを任意の順番で選択することができる。すると、例えば図5に示すように、選択された判定ファクタに対応するサブシナリオが実行され評議が開始される。
【0038】
評議は、それぞれ予め用意されている判定ファクタ評議用シナリオに従って進行し、ゲーム画面にはNPC裁判員による様々な意見交換の様子が次々に表示される。そして、判定ファクタ評議用シナリオの所々にプレーヤの意見の入力タイミングが設けられている。図3で言うところの、分岐線のところどころに示された黒丸が意見入力タイミングを示している。
【0039】
意見入力タイミングでは、図6に示すように、その時々の状況に応じた意見の選択肢が第2液晶ディスプレイ1408に複数種類のボタン表示6として提示され、プレーヤは自身の思う選択肢のボタン表示6をスタイラスペン1416でタッチして選択入力する。
このプレーヤによる選択入力結果に基づいてサブシナリオは分岐処理される。そして、その分岐の結果として、最終的には現在評議対象とされている判定ファクタが、有罪或いは無罪の証となり得るか又は証となる可能性が高いのか、或いは有罪/無罪の判定いずれの証ともなり得ない不明なものか、裁判員の総意としての心証状態が決定される。図3では、各判定ファクタの分岐線の右端に示された「有罪側」「不明」「無罪側」の各心証状態のうち、網掛け表示されたものが対応する判定ファクタの現在の心証状態を示している。
【0040】
評議シーンがシナリオに従って進行すると、やがて心証の決定を促すタイミングが到来する。すると、例えば図7に示すように、第1液晶ディスプレイ1406には裁判長が現時点における心証状態の決定を促す旨発言する画面2とテキスト4が表示され、第2液晶ディスプレイ1408にはプレーヤに裁判長の提案の賛成/反対を選択させるボタン表示6が表示される。つまり、本判定ファクタについての評議の終了の可否選択入力をプレーヤに促す。
【0041】
もしここで「反対」が選択入力されれば、評議は頭からやり直しとなる。「賛成」が選択入力されれば、図8に示すように、第1液晶ディスプレイ1406には、当該サブシナリオの分岐結果としての決定された心証状態の通告がなされる画像2及びテキスト4が表示される。プレーヤがこれを確認して、第2液晶ディスプレイ1408に表示された「次へ」のボタン表示6をタッチ操作してゲームを進めると、図9に示すように、第2液晶ディスプレイ1408には今回の心証状態の決定結果を反映した評議対象とする判定ファクタの一覧表示8が表示される。
【0042】
尚、評議対象とするテーマ(判定ファクタ)の選択は、一旦有罪側/無罪側/不明の心証決定がなされたとしても、プレーヤは何度でもこれを評議対象として選択し、評議のやり直しに掛けることができる。
【0043】
また、判定ファクタを評議するサブシナリオの内、所定のサブシナリオには、事件の真相究明に欠かせない事実に到達し得る分岐が設けられている。図3では分岐線に設けられた白丸がこれに相当する。特定のプレーヤの意見入力タイミングで所定の選択肢が入力されると、評議の内容は真相究明に欠かせない事実の発見に至るように発展し、内部処理では対応する真相解明要素フラグが立てられる。この真相解明要素フラグは複数用意されている。
【0044】
さて、図3に示すように、全ての判定ファクタについて心証値の決定が為されたならば、ゲームは裁判員総意としての被告人の有罪/無罪の評決と、当該評決に基づく判決の言い渡しのシーンに移行する(符号14)。
【0045】
具体的には、第2液晶ディスプレイ1408に有罪又は無罪が選択可能なボタン表示6が表示され、プレーヤは裁判員の一員の個別意思として有罪又は無罪の何れかを選択入力する。一方、その他の裁判員であるNPC裁判員については、内部処理によってそれぞれに設けられた所定の思考ルーチンや思考テーブルデータに従って各判定ファクタの現在の心証状態に応じて有罪/無罪が自動的に決定される(符号14a)。そして、全ての裁判員の個別意思の多数決によって被告人の有罪/無罪の最終的な評決が決定し、判決の言い渡しシーンが表示されることとなる(符号14b)。
【0046】
次いで、判決結果と、判決言い渡し後の様子が描かれるエンディングの表示(ゲーム結果の表示)が行われゲームが終了する(符号16)。
エンディングは、事件の真相が明かされるグッドエンディングと、真相が解明されずにとりあえず判決が下った複数のバッドエンディングとが用意されている。グッドエンディングは、有罪/無罪が所定の正解評決結果と合致し、且つ、先の判定ファクタの評議の際に、予め用意されている全ての真相解明要素に到達し得た場合(つまりは、全ての真相解明要素フラグが立っている場合)にのみ選択されるゲーム結果である。グッドエンディングでは、通り一遍的な証拠の評議では見えてこない被告人と被害者との真の関係や、真の動機、真の事件の流れが語られ、裁判員が下した判決の妥当性が最も高い結末が描かれる。一方、バッドエンディングでは、そうした事件の真相は明かされる事なく、釈然としない結末が描かれる。
【0047】
そして、エンディングが表示されて一旦ゲームが終了した後、今回のゲーム結果がグッドエンディングで無かった場合に、図10に示すように、第1液晶ディスプレイ1406には、プレーヤにグッドエンディングではなかった旨の通知とリプレイの要否確認を兼ねた画像やテキストが表示され、第2液晶ディスプレイ1408には、実行するリプレイの種類の選択肢(ヒント有り/ヒント無し)のボタン表示6a,6bと、リプレイ拒否のボタン表示6cとが表示される。
【0048】
ここで、リプレイ拒否のボタン表示6cが選択入力されればそのままゲームは終了するが、リプレイ実行のボタン表示6a,6bが選択された場合には、評議シーンからリプレイ可能となる。特に、ヒント有りのリプレイに対応するボタン表示6aが選択された場合には、リプレイが開始される前に、図11に示すように、グッドエンディングに到達するためのヒントが第1液晶ディスプレイ1406に表示される。本実施形態では、立っていない真相解明要素フラグに対応する判定ファクタを識別しこれをヒントとして表示する。よって、プレーヤはどの判定ファクタについての評議を深めれば事件の真相に辿り着きグッドエンディングに辿り着けるかその手がかりを得る事ができる。
【0049】
このように、本実施形態のゲームでは、プレーヤの意思表示の操作(最終的な有罪/無罪の判定)がそのままゲーム結果(裁判の有罪/無罪の判決)に反映するとは限らない従来に無い興趣を有するゲームとなっている。
【0050】
[機能ブロックの説明]
次に、上述のような特徴を実現するための機能構成について説明する。
図12は、本実施形態における機能構成の一例を示す機能ブロック図である。同図に示すように本実施形態では、操作入力部100と、処理部200と、音出力部350と、画像表示部360と、通信部370と、記憶部500とを備える。
【0051】
操作入力部100は、プレーヤによって為された各種の操作入力に応じて操作入力信号を処理部200に出力する。本実施形態では、方向入力部102と接触位置検出部104を含む。
【0052】
方向入力部102には、ボタンスイッチや、ジョイスティック、タッチパッド、トラックボール、2軸以上の検出軸を有する多軸検出型加速度センサ又は検出軸方向を違えて組み合わされた単軸検出型加速度センサユニット、少なくとも2方向以上の検出方向を可能にする多方向検出型傾斜センサまたは検出方向を違えて組み合わされた単方向検出型傾斜センサユニット、などによっても実現できる。図1では方向入力キー1402、3軸加速度センサ1422がこれに該当する。
【0053】
接触位置検出部104は、表示画面範囲への接触位置を検出することのできるデバイスである。図1のタッチパネル1407,1409がこれに該当する。
【0054】
処理部200は、例えばCPUやGPU等のマイクロプロセッサや、ASIC(特定用途向け集積回路)、ICメモリなどの電子部品によって実現され、操作入力部100や記憶部500を含む携帯型ゲーム装置1400の各機能部との間でデータの入出力を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部100からの操作入力信号に基づいて各種の演算処理を実行して、携帯型ゲーム装置1400の動作を制御する。図1では制御ユニット1450がこれに該当する。
そして本実施形態における処理部200は、ゲーム演算部210と、音生成部250と、画像生成部260と、通信制御部270とを備える。
【0055】
ゲーム演算部210は、記憶部500に予め記憶されているシナリオデータ510を参照して、操作入力部100に為されたゲーム進行操作(例えば、図2の第2液晶ディスプレイ1408に表示されている「次へ」のボタン表示6の表示部分へのタッチ操作)に応じて、予め用意されている順番で所定の画像を画像生成部260に生成・表示制御させてゲームの物語を進行制御する。より具体的には、ゲーム演算部210はサブストーリ制御部212と、NPC個別意思制御部214と、PC個別意思制御部216と、評決制御部218と、ゲーム結果選択部220と、リプレイ制御部222とを備える。
【0056】
サブストーリ制御部212は、プレーヤによる判定ファクタ(裁判員による評議対象とされる事物)の選択操作入力に応じて、判定ファクタそれぞれに対応づけられている記憶部500の判定ファクタ評議シナリオデータ520を参照して評議シーンのゲーム進行制御をする。また、そのサブストーリの結果を記憶部500に判定ファクタ心証値データ570として記憶するとともに、所定の判定ファクタの評議に仕込まれている真相解明要素に到達したことを検出して、到達結果を真相究明要素フラグTBL572として記憶する。
【0057】
NPC個別意思制御部214は、被告人の有罪/無罪に関する各NPC裁判員の個別意思を判定ファクタの心証状態や真相究明要素フラグの状態に基づいて決定する。
【0058】
PC個別意思制御部216は、操作入力部100からの選択操作に基づいて被告人の有罪/無罪に関するプレーヤの選択に従ってPCでなる評議構成員の個別意思を決定する。
【0059】
評決制御部218は、各NPC裁判員の個別意思、及びPC裁判員の個別意思の多数決により被告人の有罪/無罪を判決として評決する。
【0060】
ゲーム結果選択部220は、評決結果が所定の正解評議結果と一致するかを判定するとともに、評決終了時点における真相究明要素フラグの状態を参照してゲーム結果に相当するエンディングを選択し、これを画像生成部260に表示制御させる。
【0061】
リプレイ制御部222は、前記ゲーム結果が、所定の最適評議結果(例えば、グッドエンディング)で無い場合にリプレイの制御をするとともに、リプレイに先立って最適評議結果を導くためのヒントの提示制御をする。
【0062】
音生成部250は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、音声合成ICなどのプロセッサや、音声ファイル再生可能なオーディオコーデックによって実現され、ゲーム演算部210による処理結果に基づいてゲームに係る効果音やBGM、各種操作音の音信号を生成し、音出力部350に出力する。
【0063】
音出力部350は、音生成部250から入力される音信号に基づいて効果音やBGM等を音出力する装置によって実現される。図1ではスピーカ1410がこれに該当する。
【0064】
画像生成部260は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのプロセッサ、ビデオ信号IC、ビデオコーデックなどのプログラム、フレームバッファ等の描画フレーム用ICメモリ等によって実現される。画像生成部260は、ゲーム演算部210による処理結果に基づいて1フレーム時間(1/60秒)で1枚のゲーム画像を生成し、生成したゲーム画像の画像信号を画像表示部360に出力する。
【0065】
画像表示部360は、画像生成部260から入力される画像信号に基づいて各種ゲーム画像を表示する。例えば、フラットパネルディスプレイ、ブラウン管(CRT)、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイといった画像表示装置によって実現できる。図1では第1液晶ディスプレイ1406及び第2液晶ディスプレイ1408がこれに該当する。
【0066】
通信制御部270は、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部370を介して外部装置とのデータのやりとりを実現する。
【0067】
通信部370は、通信回線1と接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現され、図1の無線通信モジュール1412がこれに該当する。
【0068】
記憶部500は、処理部200に携帯型ゲーム装置1400を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、ゲームを実行させるために必要なゲームプログラム、各種データ等を記憶する。また、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作入力部100から入力される入力データ等を一時的に記憶する。この機能は、例えばRAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD−ROMやDVDなどの光学ディスクなどによって実現される。図1では制御ユニット1450が搭載するICメモリやメモリカード1440がこれに該当する。
【0069】
本実施形態では、記憶部500はシステムプログラム501と、ゲームプログラム502とを記憶している。処理部200がゲームプログラム502を読み出して実行することによって、処理部200にゲーム演算部210としての機能を実現できる。
【0070】
また、記憶部500には、予め用意されるデータとしてシナリオデータ510が記憶されている。更にゲームの進行に伴って随時生成や更新が行われるデータとして、判定ファクタ心証値データ570と、真相究明要素フラグTBL(テーブル)572とを記憶する。また、ゲームの進行に係る処理を実行するにあたり必要となるデータ(例えば、タイマー値やカウンタ)なども適宜記憶されるものとする。
【0071】
シナリオデータ510は、本実施形態におけるゲームをプレイするのに必要なストーリの展開を定義する情報と、ゲーム結果の算出に必要な情報を格納している。もし、一つのゲームで複数話ゲームプレイできる構成とするには、シナリオデータ510を話数分だけ用意すれば良い。
【0072】
本実施形態のゲームは裁判員制度をモチーフとしているので、シナリオデータ510には、裁判の進行と裁判後の結末となるエンディングを選択・表示させるための情報が格納される。具体的には、事件概要説明シーンデータ512と、事実確認シーンデータ514と、判定ファクタ初期設定データ516と、評議進行表示用データ518と、判定ファクタ評議シナリオデータ520と、論告求刑シーンデータ540と、最終陳述シーンデータ542と、NPC個別意志選択TBL546と、判決・エンディング選択TBL548と、判決言い渡しシーンデータ550と、不正解通知データ552と、エンディングムービライブラリ554とを含んでいる。
【0073】
事件概要説明シーンデータ512は、裁判の起因となった事件の概要を提示するためのデータを格納している。例えば、テレビのニュース番組風の画面を表示させるための複数の画像データと、アナウンサの事件の概要を説明する音声データと、アナウンサの台詞テキストなどの他、それらの出力順番を時系列に定義するスクリプトデータを格納する。
【0074】
事実確認シーンデータ514は、法廷における冒頭手続きシーンと、証拠手続きの一部のシーン(検察からの証拠の提出と、弁護人からの証拠採用の同意など)を表示させるための情報を含む。例えば、法廷内の様子を示す画像データ、検察官や弁護士、被告人の画像データ、それら登場人物の台詞音声データや台詞テキストデータ、それらの出力順番を時系列に定義するスクリプトデータを含む。
【0075】
判定ファクタ初期設定データ516は、本ゲームにおける評議のテーマと成り得る事物(判定ファクタ)の一覧と、それぞれに係わる初期設定値等を格納する。具体的には、例えば図13に示すように、判定ファクタID516aに対応づけて、デフォルト心証値516bと、真相究明要素設定516cとを格納する。
【0076】
デフォルト心証値516bは、プレーヤの意見入力タイミングで所定の分岐条件を一度も満たすことなくサブストーリを終了した場合に導かれる心証値の基本設定値を格納する。「1」が有罪側、「2」が不明、「3」が無罪側の心証をそれぞれ示す。この値が、評議シーンの開始とともに、判定ファクタ心証値データ570に格納される評議対象の判定ファクタの最初の心証値として格納される。そしてその心証値は、プレーヤの意見入力タイミングで分岐条件を満たしてサブストーリの展開が分岐すれば、その分岐の先の結末に応じて別の心証値に更新される。
【0077】
真相究明要素設定516cは、対応する判定ファクタの評議に仕込まれた事件の真相を究明するための要素に到達するための条件を定義する。例えば、判定ファクタID516aが「カードローン」の例では、カードローンの評議シーンにおける台詞等の出力順が25番目にあたるプレーヤの意見入力タイミングにおいて「賛成」の選択肢が入力された場合に、ゲーム演算部210によって、当該判定ファクタに関連する真相究明要素に到達することができたと判断されるとともに記憶部500の真相究明要素フラグTBL572の対応するフラグが「1」にセットされる。
【0078】
図12に戻って、判定ファクタ評議シナリオデータ520は、ゲームに登場する判定ファクタ毎に1セットのデータが設けられている。一つのデータセットには、適用される判定ファクタを示す適用判定ファクタID522と、サブストーリの分岐や結末の数だけ用意された複数のスクリプトデータ524とを含んでいる。
【0079】
一つのスクリプトデータ524は、例えば図14に示すように、当該データの識別情報を格納するスクリプトID524aを含む。また、出力順524b(図中のnは自然数)に対応づけて、出力先の識別を示す表示ディスプレイ524cと、出力する内容に相当する表示画像524d及びテキストデータ524eとが格納されている。
【0080】
例えば、同図の例では、スクリプトID524aが「カードローン01」となっているので、判定ファクタ「カードローン」の評議の際に最初に参照されるスクリプトデータであることを示している。そして、出力順「1」では第1液晶ディスプレイ1406には、
「裁判員01」の表情「001」の画像が表示されるとともに、台詞のテキスト「借金を返したいから…」が表示され、第2液晶ディスプレイ1408には「次へ」と書かれたボタン表示が表示されるように設定されている。
また、出力順「3」のタイミングには、プレーヤの意見入力タイミングが設定されており、第1液晶ディスプレイ1406にはプレーヤキャラクタの画像が表示されるとともに、「ちょっと待ってください」のテキストが表示され、第2液晶ディスプレイ1408には「賛成」「反対」「質問」の3種類のボタン表示が表示されるように設定されている。
【0081】
また、スクリプトデータ524は、当該スクリプトにおける分岐の設定情報を格納した分岐設定データ525を含む。
分岐設定データ525は、例えば図15に示すように、分岐位置525a毎に、分岐条件525bと、分岐先525cと、心証値変更設定525dとが設定されている。同図の例では、スクリプトID「カードローン01」の出力順「3」におけるプレーヤの意見入力のタイミングでは、プレーヤが「賛成」を選択すれば「分岐せず」また心証値の変更もされないまま現在のスクリプトデータ524に従ってストーリが進む。「カードローン01」のスクリプトに従ってそのままストーリが進めば、初期設定通りに「カードローン」の判定ファクタについては心証値が「1(有罪側)」で結末することになる(図13参照)。一方、「反対」を選択すれば分岐条件を満たすと判断され、スクリプトID「カードローン02」を参照開始するとともに、(カードローン02をそのまますすむと「無罪側」の心証値に決定される設定なので)心証値を「3(無罪側)」に変更する様に設定されている。
【0082】
図12に戻って、記憶部500に格納されている論告求刑シーンデータ540は、裁判における論告求刑の様子を表示させる為の情報を含んでいる。例えば、法廷内の様子を示す画像データ、検察官が論告文を読み上げる様の画像データ、その台詞音声データや台詞テキストデータ、それらの出力順番を時系列に定義するスクリプトデータを含む。尚、該当シーンを、スクリプトに従って画像を切り換える方式では無く、ムービーの再生によって実現する構成の場合には、再生すべきムービーデータを格納すれば良い。
同様に、最終陳述シーンデータ542は、最終陳述における弁護人及び被告人の陳述の様子を表示させるための情報を含んでいる。
【0083】
NPC個別意志選択TBL546は、全ての判定ファクタについて評議を行ってそれぞれの心証値が決定された後、最終的な被告人の有罪/無罪のどちらに投票するかその個別意思を選択する条件を設定している。
例えば、図16に示すように、適用されるNPCの識別情報を格納する適用NPC546a毎に、有罪を選択するための有罪条件546bを対応付けて格納する。同図の例では、「裁判員01」のNPCは、判定ファクタ「カードローン」と「保険金」の心証値が共に「1(有罪側)」の場合に有罪に投票し、それ以外では無罪に投票する。「裁判員02」は判定ファクタ「保険金」及び「夫婦仲」が共に「有罪側」で、且つ保険金に係る真相究明フラグが「1」で保険金にまつわる真相究明要素に到達していれば有罪に投票し、それ以外では無罪に投票するように設定されている。このように、有罪条件546bの設定によって、対応するNPCが何処に判断の重きをおくタイプの人であるかを疑似的に設定することができる。
【0084】
判決・エンディング選択TBL548は、判決及びエンディングの選択条件を定義する。例えば図17に示すように、裁判員による評決結果に基づく第1の選択条件548aと、真相究明フラグの状態に基づく第2の選択条件548bとの組み合わせ毎に、判決548cと、エンディング種類548dとが対応づけて格納されている。本実施形態では、グッドエンディングに対応する判決が正解判決、最適評議結果に相当する。
【0085】
判決言い渡しシーンデータ550は、法廷における判決の言い渡しシーンを表示させる為のデータを格納している。判決結果は、複数あり得るので判決結果別に必要なデータをセットで用意しておく。
【0086】
不正解通知データ552は、今回のゲーム結果としての判決結果が、所定の正解評決で無い事をプレーヤに通知し、リプレイの選択をさせるための画像データ等を格納する。
【0087】
判定ファクタ心証値データ570は、判定ファクタ別の評議の結果として現在それぞれの判定ファクタに与えられている心証状態の情報を格納する。例えば図18に示すように、判定ファクタID570aと対応づけて現在の心証状態を示す心証値570bを格納する。心証値570bは、未評議状態ならば「0」、判定ファクタ別の評議の結果が有罪側ならば「1」、不明ならば「2」、無罪側ならば「3」に更新される。
【0088】
真相究明要素フラグTBL572は、例えば図19に示すように、判定ファクタID572aと対応づけて、対応する判定ファクタの評議シーンに仕込まれている真相究明要素に到達し明らかになったか否か示す真相究明要素フラグ572bを格納する。ゲーム開始時点の初期値は何れのフラグも「0」であり、真相究明要素に到達した状態は「1」となる。
【0089】
[動作の説明]
次に、本実施形態における携帯型ゲーム装置1400の動作について説明する。
図20は、本実施形態における主たる処理の流れを説明するためのフローチャートである。ここで説明される処理は、処理部200がシステムプログラム501並びにゲームプログラム502を読み出して実行することによって実現される。尚、ここではゲーム音の出力についての説明は省略するが、公知のゲームと同様にゲームの進行に伴って音生成部250でゲーム音の音信号を生成して音出力部350で放音させるものとする。
【0090】
同図に示すように、先ず、処理部200はシナリオデータ510の事件概要説明シーンデータ512を参照して、ニュース番組風にこれから行われる裁判が起因する事件の概要を説明するシーンを表示制御し(ステップS2:図2参照)、続いて事実確認シーンデータ514を参照して、法廷における冒頭手続き及び証拠手続の一部のシーンを表示制御する(ステップS4)。ここまでのゲーム進行によって、プレーヤに事件の概要と、判決を出す為に評議すべき事物、判定ファクタが何であるかが知らされる。
【0091】
次に、本実施形態における主たるプレイ要素である評議シーンを実行するために、処理部200は判定ファクタ評議処理を実行する(ステップS6)。
図21は、判定ファクタ評議処理の流れを説明するためのフローチャートである。同処理では先ず、処理部200は評議開始場面を表示制御する(ステップS24)。具体的には、シナリオデータ510の評議進行表示用データ518を参照して、第1液晶ディスプレイ1406に裁判長と裁判員とがテーブルについた画像を表示させとともに、第2液晶ディスプレイ1408に判定ファクタ初期設定データ516に登録されている判定ファクタの一覧と評議対象とする判定ファクタの選択画面を兼ねた画像を表示させる(図4参照)。
【0092】
次に、プレーヤによって評議対象とする判定ファクタの選択入力が行われると(ステップS26)、処理部200は選択入力に対応する判定ファクタ評議シナリオデータ520を参照して(ステップS28)、判定ファクタ心証値データ570の該当する心証値570bを、判定ファクタ初期設定データ516のデフォルト心証値516bの値に設定して、参照した判定ファクタ評議シナリオデータ520の最初のスクリプトデータ524に従ってストーリの進行制御を開始する(ステップS30)。
【0093】
スクリプトデータ524において、プレーヤの意見入力タイミングが到来していなければ(ステップS32のNO)、処理部200は現在参照中のスクリプトデータ524に従ってNPC裁判員の意見の表示処理を行う(ステップS44:図5参照)。そして、評議対象とされる判定ファクタについての心証決定タイミングが到来していなければ(ステップS46のNO)、ステップS32に戻る。
【0094】
スクリプトに従ってゲームを進行させ、やがてプレーヤの意見入力タイミングが到来した場合には(ステップS32のYES)、処理部200は第2液晶ディスプレイ1408にプレーヤの意見を選択入力するためのボタン表示6を表示させるとプレーヤによる選択入力が為される(ステップS34:図6参照)。
【0095】
次に、処理部200は、現在実行中のスクリプトデータ524の分岐設定データ525を参照して(図15参照)、プレーヤによる選択入力結果に応じた分岐処理を実行し、分岐先525cに対応づけられている心証値変更設定に従って、判定ファクタ心証値データ570の心証値570bを更新する(ステップS36:図18参照)。
【0096】
次に、処理部200は、判定ファクタ初期設定データ516(図13参照)を参照して、現在評議対象になっている判定ファクタID516aに対応付けられている真相究明要素設定516cが、今回のプレーヤによる選択入力と合致するか否かを判定する(ステップS40)。そして、合致する場合には、処理部200は現在評議されている判定ファクタに関する真相究明要素に到達したと判断して(ステップS40のYES)、真相究明要素フラグTBL572の現在評議されている判定ファクタに対応する真相究明要素フラグ572bを「1」に変更する(ステップS42:図19参照)。
【0097】
次いで、現在参照中のスクリプトデータ524の設定に従って、NPC裁判員の意見表示処理を実行する(ステップS44)。そして、心証決定のタイミングが到来したならば(ステップS46のYES)、処理部200は心証決定タイミングの到来を通知制御する(ステップS48)。具体的には、第1液晶ディスプレイ1406に、裁判長が現在評議対象としている判定ファクタについての裁判員の総意としての心証の決定を促す画面やテキストを表示させ、第2液晶ディスプレイ1408にその裁判長の提案に賛成するか反対するかをプレーヤが選択入力するためのボタン表示6を表示制御させる(図7参照)。
【0098】
ここで、プレーヤが「反対」を選択すると(ステップS50の反対)、ステップS28に戻って、再度評議を頭からやり直すことができる。
プレーヤが「賛成」を選択すると(ステップS50の賛成)、処理部200は今回の判定ファクタについての評議は終了したと判断して、これで全ての判定ファクタについて心証が決定したか否かを判定する(ステップS52)。
【0099】
判定ファクタ心証値データ570の心証値が一つでも「0(未)」のままであれば、処理部200は否定判定し(ステップS52のNO)、第1液晶ディスプレイ1406に評議開始画面を表示させるとともに、第2液晶1408に現在の各判定ファクタの心証値の決定状態を反映した一覧表示8を表示させ(ステップS56:図9参照)、ステップS26に移行する。
【0100】
一方、判定ファクタ心証値データ570の心証値が全て「0(未)」以外の値であれば処理部200は全ての判定ファクタについて心証が決定したと判定し(ステップS52のYES)、処理部200は第1液晶ディスプレイ1406に、裁判長が再評議する必要が有るか否か裁判員に尋ねる画面とテキストとを表示させるとともに、第2液晶ディスプレイ1408に再評議の要否をプレーヤが選択入力するための「要」「否」それぞれのボタン表示を表示させる。そして、再評議の要否選択入力が「要」であれば(ステップS54の要)、ステップS56に移行する。再評議の選択入力が「不要」であれば(ステップS54の不要)、処理部200は判定ファクタ評議処理を終了する。
【0101】
図20のフローチャートに戻って、次に、処理部200は論告求刑シーンデータ540、最終陳述シーンデータ542の順に参照して、法廷における論告求刑シーン及び最終陳述シーンを表示させる(ステップS70)。
【0102】
次いで、最終的な被告人の有罪/無罪の評決を得る為に、処理部200は第1液晶ディスプレイ1406にプレーヤが思う被告人の有罪/無罪の個別意志を入力するよう促す画面を表示させるとともに、第2液晶ディスプレイ1408に有罪/無罪の選択入力をするためのボタン表示を表示させ、プレーヤの評決についての個別意志を入力させる(ステップS72)。更に、処理部200はNPC個別意志選択TBL546と、判定ファクタ心証値データ570と、真相究明要素フラグTBL572とを参照して、各NPC裁判員の被告人の有罪/無罪の個別意志を決定する(ステップS74)。
【0103】
そして、プレーヤの個別意志と、各NPCの個別意志の結果の多数決によって被告人の有罪/無罪の最終評決を決定し(ステップS76)、判決・エンディング選択TBL548を参照して、ステップS76の評決結果と真相究明要素フラグのフラグ状態とに基づいて、判決548cとエンディング種類548dとを決定する(ステップS78:図17参照)。
【0104】
判決とエンディング種類とが決定したならば、処理部200は判決の言い渡しシーンを表示制御し(ステップS80)、決定されたエンディング種類に対応づけられたムービーをエンディングムービライブラリ554より読み出して再生処理する(ステップS82)。ここまでで、一通りのゲームが終了したことになる。
【0105】
次に、処理部200はステップS78で決定された判決が所定の最適評議結果(正解判決、正解評決とも言える)に合致するか否かを判定する(ステップS84)。エンディングの種類が所定のグッドエンディングだったかどうかを判定しても良い。
【0106】
もし、最適評議結果に合致していれば(ステップS84のYES)、処理部200はそのまま一連の処理を終了する。一方、最適評議結果に合致していなければ(ステップS84のNO)、リプレイ選択画面の表示処理を実行する(ステップS86)。具体的には、不正解通知データ552を参照して、第1液晶ディスプレイ1406に最適評議結果でなかった、或いはグッドエンディングでは無かった旨の通知画面や通知テキストを表示させるとともに、第2液晶ディスプレイ1408にリプレイに係る選択入力をさせる為のボタン表示6a,6b,6cを表示させる(図10参照)。
【0107】
リプレイに係る選択入力の結果が「リプレイしない」であれば(ステップS88のリプレイしない)、処理部200はそのまま一連の処理を終了する。
リプレイに係る選択入力の結果が「ヒント無しでリプレイ」であれば(ステップS88のヒント無しでリプレイ)、ステップS2に移行して、ゲームの最初からリプレイを開始する。
【0108】
リプレイに係る選択入力の結果が「ヒント有りでリプレイ」であれば(ステップS88のヒント有りでリプレイ)、処理部200は真相究明要素フラグTBL572を参照して、真相究明要素フラグ572bが「0(真相に到達していない意)」のフラグに対応する判定フラグID572aを抽出し(ステップS90)、第1液晶ディスプレイ1406にヒント画面として、抽出された判定フラグID572aの一覧と、「これらの要素をもう一度じっくり評議しましょう。」などのアドバイスのテキストとを表示させるとともに、第2液晶ディスプレイ1408にリプレイ開始を入力するためのボタン表示を表示させる(ステップS92)。そして、リプレイ開始が入力されたら、図21のステップS56に移行し、先のゲームプレイ状態における心証決定結果が判定された判定ファクタの一覧を表示させ、判定ファクタ別の評議からリプレイ可能にする。プレーヤは、先のヒント画面を参考にして注意して評議すべき判定ファクタを選択してやり直しすれば良く、効率的にリプレイができる。
【0109】
以上、本実施形態によれば、プレーヤが裁判員の一人として参加するゲームであって、次のような特徴を有するゲームを実現することができる。
すなわち、公知のゲームでは、主人公たるプレーヤキャラクタへの操作入力の結果が、敵を倒したり目的の物を手に入れたりといった操作の成功/失敗の結果が、プレーヤの挙動やアイテムの取得などの形で明示され、それらのある一定の積み重ねとしてのゲーム結果に至る形態をとる。例えば、アドベンチャーゲームであれば、主人公の選択による分岐の先にハッピーエンドやバッドエンドが用意されており、プレーヤの操作入力とゲーム結果とが直結している。
しかし、本実施形態で実現されるゲームでは、プレーヤが最終的な被告人の有罪/無罪の意思決定を入力してもその通りにゲームの結果が導かれるわけではなく、途中の操作入力を遠因として決定されるNPCの個別意志の影響がゲーム結果に大きく反映される。つまり、プレーヤの意思表示が必ずしもそのままゲーム結果に反映しない(或いは反映され難い)構成となっており、思うようにならない現実の感覚を伴った従来に無い新たな興趣の有るゲームを実現することができる。
【0110】
更に、プレーヤの意思表示が必ずしもそのままゲーム結果に反映されない(或いはされ難い)構成で有るがゆえに、所望するゲーム結果が得られなくてリプレイする場合に、どこをどのように改良すれば所望する結果が得られるか分かり難い。しかし、上述のようにリプレイ前に、所望するゲーム結果が得られなかった原因を示唆するヒント機能を備えるとともに、その原因となったシーンやステージに近いところからリプレイすることができるので、リプレイ時の不自由さを低減することができる。勿論、原因の示唆の要否はプレーヤが選択できる構成となっており、リプレイの自由度は保障されている。
【0111】
〔変形例〕
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明の適用形態はこれに限定されるものではなく適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
【0112】
例えば、ゲーム装置は携帯型ゲーム装置に限らず、家庭用ゲーム装置や業務用ゲーム装置は勿論のこと、ゲームプログラムをアプリケーションとして実行することのできる情報処理装置であれば、ウルトラモバイルPCやポケットPCと称される小型パソコン、ノートパソコン、PDA(Personal Data Assistance)、スマートフォンとも称される携帯電話/PHS(Personal Handy-phone System)とPDAを融合させた携帯端末装置、デジタルオーディオプレーヤなどの装置を用いることができる。
【0113】
また、本発明の適用可能なゲームとしては、上述した実施形態のゲームに限られず、複数の評議員によってゲームの結果に影響するファクタを評議するシチュエーションが含まれるならば、RPGや戦略シミュレーションゲームなどその他のジャンルのゲームにも同様に適用できる。その際、評議員の身分は裁判員に限らず、探偵団、騎士団、戦闘員、政治家などゲームの内容に応じて適宜設定することができる。
【0114】
また、上記実施形態では、ステップS90以降の処理の流れでは、リプレイ前に真相究明要素フラグ572bが「0」のままの判定ファクタを通知し、判定ファクタの選択からリプレイ可能な構成としたがこれに限らない。
【0115】
例えば、ゲーム演算部210が、ステップS90で真相究明要素フラグ572bが「0」のままの判定ファクタを抽出した後、抽出した判定ファクタ毎のリプレイ実行フラグ(初期値は「0」)を設定する第1変形ステップと、当該ステップで抽出された判定ファクタの内、リプレイ実行フラグが「0」の判定ファクタを自動選択して、ステップS26におけるプレーヤによる選択入力に代用する第2変形ステップとを実行して、ステップS28に移行する流れとする。
【0116】
そして、その後ステップS52において当該判定ファクタの心証値の決定にプレーヤが「賛成」の入力をした場合に、リプレイ実行フラグが「0」の判定ファクタを抽出・選択する第3変形ステップを、ステップS50とステップS52との間で実行する。そして、リプレイ実行フラグが未だ「0」の判定ファクタが抽出・選択された場合には、ステップS52をNOと判定させるが、ステップS56を実行せず、当該第3変形ステップによる判定ファクタの選択を、ステップS26におけるプレーヤによる判定ファクタの選択入力とみなして、ステップS28に移行する流れとする。加えて、第3変形ステップで、リプレイ実行フラグが「0」の判定ファクタを抽出・選択することができなければ、ステップS52がYESとなるように制御する。
【0117】
こうした構成の場合、グッドエンディングが見られなかった場合に、その原因となった判定ファクタの評議のみを自動的にリプレイできるようになるので、リプレイに要する手間を省き、効率的にグッドエンディングを見られるようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】携帯型ゲーム装置の構成例を説明するための外観図。
【図2】ゲーム画面例と基本的な操作入力例を示す図。
【図3】ゲームの構成を説明するための概念図。
【図4】ゲーム画面例を示す図。
【図5】ゲーム画面例を示す図。
【図6】ゲーム画面例を示す図。
【図7】ゲーム画面例を示す図。
【図8】ゲーム画面例を示す図。
【図9】ゲーム画面例を示す図。
【図10】ゲーム画面例を示す図。
【図11】ゲーム画面例を示す図。
【図12】機能構成例を示す機能ブロック図。
【図13】判定ファクタ初期設定データのデータ構成例を示す図。
【図14】スクリプトデータのデータ構成例を示す図。
【図15】分岐設定データのデータ構成例を示す図。
【図16】NPC個別意志選択TBLのデータ構成例を示す図。
【図17】判決・エンディング選択TBLのデータ構成例を示す図。
【図18】判定ファクタ心証値データのデータ構成例を示す図。
【図19】真相究明要素フラグTBLのデータ構成例を示す図。
【図20】主たる処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図21】判定ファクタ評議処理の流れを説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0119】
2 画面
4 テキスト
6 ボタン表示
100 操作入力部
200 処理部
210 ゲーム演算部
212 サブストーリ制御部
214 NPC個別意志制御部
216 PC個別意志制御部
218 評決制御部
220 ゲーム結果選択部
222 リプレイ制御部
500 記憶部
510 シナリオデータ
512 事実概要説明シーンデータ
514 事実確認シーンデータ
516 判定ファクタ初期設定データ
518 評議進行表示用データ
520 判定ファクタ評議シナリオデータ
524 スクリプトデータ
525 分岐設定データ
540 論告求刑シーンデータ
542 最終陳述シーンデータ
546 NPC個別意志選択TBL
548 判決・エンディング選択TBL
550 判決言い渡しシーンデータ
552 不正解通知データ
570 判定ファクタ心証値データ
572 真相究明要素フラグTBL
1400 携帯型ゲーム装置
1406 第1液晶ディスプレイ
1408 第2液晶ディスプレイ
1409 タッチパネル
1440 メモリカード
1450 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PC(プレーヤキャラクタ)及び複数のNPC(ノン・プレイヤブル・キャラクタ)が評議構成員となって評決対象に関連する予め定められた複数の評議対象事物を評議して1つの評決を出す所定のゲームをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記複数の評議対象事物には、プレーヤの指示操作に従って進行して該指示操作に応じてストーリ結果が変化する当該評議対象事物を評議するサブストーリが設定されており、
前記評議対象事物それぞれに設定されている前記サブストーリを実行するサブストーリ実行手段、
実行された前記評議対象事物それぞれのストーリ結果を記録する結果記録手段、
少なくとも前記結果記録手段に記録されている前記評議対象事物それぞれのストーリ結果に基づいて、NPCでなる評議構成員それぞれの個別意思を選定するNPC意思選定手段、
プレーヤの選択操作に従ってPCでなる評議構成員の個別意思を入力するPC意思入力手段、
前記NPC意思選定手段により選定された各評議構成員の個別意思、及び、前記PC意思入力手段により入力されたPCでなる評議構成員の個別意思の多数決により評決する評決手段、
前記評決手段による評決結果が、予め定められた前記評決対象の正解評決か否かに応じてゲーム結果を判定するゲーム結果判定手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記サブストーリ実行手段が、
プレーヤの選択操作に従って前記複数の評議対象事物の中から択一的に評議対象事物を選択する選択手段を有し、
前記選択手段による評議対象事物の選択と、選択された評議対象事物に設定されている前記サブストーリの実行とを繰り返し実行する、
ように前記コンピュータを機能させるための請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記選択手段が、既に選択された評議対象事物の再選択も可能とし、
前記結果記録手段が、前記選択手段により再選択されて実行された評議対象事物のストーリ結果を更新記録する、
ように前記コンピュータを機能させるための請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
NPCでなる評議構成員それぞれの個別意思を選定するための前記ストーリ結果に基づく条件が評議構成員別に予め定められており、
前記NPC意思選定手段が、前記結果記録手段に記録されている前記評議対象事物それぞれのストーリ結果を、NPCでなる評議構成員それぞれについて定められた前記条件に照らして、当該評議構成員それぞれの個別意思を選定するように前記コンピュータを機能させるための請求項1〜3の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記評決手段による評決結果が前記正解評決でなかった場合に、その原因となったサブストーリの評議対象事物をプレーヤに通知する不正解原因通知手段として前記コンピュータを機能させるための請求項1〜4の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記評決手段による評決結果が前記正解評決とならない原因となったサブストーリを再実行するように前記サブストーリ実行手段を制御するとともに、前記結果記録手段、前記NPC意思選定手段、前記PC意思入力手段及び前記評決手段を再度機能させる制御を行ってゲーム途中からの再スタートを実行させる再スタート実行制御手段、
として前記コンピュータを機能させるための請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記評決対象を被告キャラクタの罪の有無とし、前記評議対象事物を証拠及び証言とし、PCでなる評議構成員を裁判員とし、NPCでなる評議構成員を裁判官及び裁判員とした仮想裁判ゲームを前記所定のゲームとして前記コンピュータに実行させるための請求項1〜6の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体。
【請求項9】
PC及び複数のNPCが評議構成員となって評決対象に関連する予め定められた複数の評議対象事物を評議して1つの評決を出す所定のゲームを実行するゲーム装置であって、
前記複数の評議対象事物には、プレーヤの指示操作に従って進行して該指示操作に応じてストーリ結果が変化する当該評議対象事物を評議するサブストーリが設定されており、
前記評議対象事物それぞれに設定されている前記サブストーリを実行するサブストーリ実行手段と、
実行された前記評議対象事物それぞれのストーリ結果を記録する結果記録手段と、
少なくとも前記結果記録手段に記録されている前記評議対象事物それぞれのストーリ結果に基づいて、NPCでなる評議構成員それぞれの個別意思を選定するNPC意思選定手段と、
プレーヤの選択操作に従ってPCでなる評議構成員の個別意思を入力するPC意思入力手段と、
前記NPC意思選定手段により選定された各評議構成員の個別意思、及び、前記PC意思入力手段により入力されたPCでなる評議構成員の個別意思の多数決により評決する評決手段と、
前記評決手段による評決結果が、予め定められた前記評決対象の正解評決か否かに応じてゲーム結果を判定するゲーム結果判定手段と、
を備えたゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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