説明

プロジェクションシステム、PC端末プログラム及びプロジェクタプログラム

【課題】プロジェクタによって投影された画像に対し会議参加者の誰もが文字や図形等の描画情報を書き込めるとともに書き込みがなされた画像の保存性を向上させる。
【解決手段】本発明に係るプロジェクションシステムは、プログラムは、コンピュータを、プロジェクタから、投影中の投影画像データを受信する受信手段と、投影中の投影画像データに対して描画し追記したデータである描画データを描画する描画手段と、プロジェクタに対し描画データを送信する送信手段として機能させ、プロジェクタは、プログラムに対し、投影中の投影画像データを送信する送信手段と、プログラムから、描画データを受信する受信手段と、投影中の投影画像データと受信した描画データとを合成し、合成画像データを生成する画像合成手段と、合成画像データを投影画像データとして投影する投影手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクションシステム、PC端末プログラム及びプロジェクタプログラムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
会議などの場においては、ネットワークを介しPC(Personal Computer)からプロジェクタに対し、PC画面上の資料データ(例えばプレゼン資料等)を投影画像データとして送信し、プロジェクタがホワイトボードやスクリーンなどに投影画像データを投影することにより会議が進行する。会議中では、投影された資料である投影画像に対し説明がなされたり、資料内容に対し意見やアイディアが出されながら進行する場合、会議参加者はホワイトボード上に投影された投影画像の上に重畳するようにマーカペン等で直接手書きの書き込みを行うことがある。またもしくはPC操作者が進行役(又は議事役等)を務め、PC画面上の資料データに対し、その説明や意見、アイディアを纏めながら書き込んでゆくと、資料データ上への書き込みはホワイトボード上、リアルタイムにそのまま投影される。
【0003】
このような会議において書き込まれた説明や意見、アイディアは、会議を通じて得られた成果物であるので、会議議事録として、書き込みがなされた状態の資料データを記録(保存)しておきたいという要請がある。PC操作者がPC画面上の資料データに対し書き込みを行っている場合には、書き込みがなされた状態の資料データは、そのPC内に容易に保存することが可能である。一方、会議参加者がホワイトボード上の投影画像の上にマーカペン等で直接書き込みを行っている場合には、PC内の資料データには書き込みが反映されていないので何らかの対応が必要となる。
【0004】
これに関する技術として、特許文献1には、共通の電子文書の同一画面を表示させ、同時編集可能な投影型表示装置を提供する目的で、表示画像に重なって書かれた書き込み画像を撮影して、データ化し、表示画像に貼り付けて、ネットワークを介して共有する構成が開示されている。つまりカメラでホワイトボードを撮影し、撮影された画像と投影した画像を重ね合わせることで、ホワイトボードに書き込まれた文字や図形をデータとして取り込んで保存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようにPC操作者がPC画面上の資料データに対し書き込みを行っている場合、書き込みがなされた状態の資料データは容易に保存することが可能であるものの、書き込みを行うことができるのはPC操作者であり、他の会議参加者が書き込みを行うことができない。会議中、発言者が投影資料に対し自由に書き込みを行いながら、発言や説明を行っていくという進行形式は会議中によく見られる光景であり、PC操作者のみしか書き込みを行えないとなると、会議進行上非常に不便である。
【0006】
一方、会議参加者がホワイトボード上の投影画像の上にマーカペン等で直接書き込みを行っている場合には、例えば上述の特許文献1の発明を適用することにより、書き込みがなされた状態の資料データを保存できるとともに、会議参加者が投影資料に対し自由に書き込みを行うことができる。
【0007】
しかしながらこの場合、カメラを別途用意する必要があるのでその分の設備やコストが必要である。またカメラで撮影した画像はときに見にくいものであるので、書き込みがなされた状態の資料データの画像品質の点で問題があった。また必ずしも全ての会議参加者が投影資料に対し書き込みを行えるという訳ではなく、ホワイトボードの近くにいない人、例えば遠隔拠点から電話等で参加している会議参加者は書込みを行うことができないという問題があった。
【0008】
本発明では上記のような問題に鑑みて、プロジェクタによって投影された画像に対し、会議参加者の誰もが文字や図形等の描画情報(追記情報)を書き込めるとともに、書き込みがなされた画像の保存性を向上させたプロジェクションシステム、PC端末プログラム及びプロジェクタプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係るプロジェクションシステムは、プログラムと、前記プログラムから受信した投影画像データを投影するプロジェクタとを含み構成されるプロジェクションシステムであって、プログラムは、コンピュータを、プロジェクタから、投影中の投影画像データを受信する受信手段と、前記投影中の投影画像データに対して描画し追記したデータである描画データを描画する描画手段と、プロジェクタに対し、前記描画データを送信する送信手段として機能させ、プロジェクタは、プログラムに対し、前記投影中の投影画像データを送信する送信手段と、プログラムから、前記描画データを受信する受信手段と、前記投影中の投影画像データと受信した前記描画データとを合成し、合成画像データを生成する画像合成手段と、前記合成画像データを投影画像データとして投影する投影手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プロジェクタによって投影された画像に対し、会議参加者の誰もが文字や図形等の描画情報(追記情報)を書き込めるとともに、書き込みがなされた画像の保存性を向上させたプロジェクションシステム、PC端末プログラム及びプロジェクタプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係るプロジェクションシステム100のネットワーク構成図を示す。
【図2】本実施形態に係るプロジェクタ10の一実施形態の主要構成を示すハードウェア構成図である。
【図3】本実施形態に係るPC20の一実施形態の主要構成を示すハードウェア構成図である。
【図4】本実施形態に係る各装置の機能ブロック図の一例を示す。
【図5】PC20及び投影画像の状態遷移図(その1)を示す。
【図6】PC20aの投稿画像データの提供〜プロジェクタ10による初回の投影〜PC20bへの反映の過程を説明するフローチャート図である。
【図7】PC20aの投稿画像データへの書き込み〜プロジェクタ10による書き込みの投影〜PC20への反映の過程を説明するフローチャート図である。
【図8】画像合成の一例を示す。
【図9】PC20及び投影画像の状態遷移図(その2)を示す。
【図10】PC20aの投稿画像データの削除〜プロジェクタ10による削除の投影〜PC20への反映の過程を説明するフローチャート図である。
【図11】本変形例に係るプロジェクションシステム100−2のネットワーク構成図を示す。
【図12】本変形例に係るプロジェクションシステム100−2の機能関係図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を各実施形態において図面を用いて説明する。
【0014】
[システム構成]
(ネットワーク構成)
図1は、本実施形態に係るプロジェクションシステム100のネットワーク構成図を示す。本実施形態に係るプロジェクションシステム100は、プロジェクタ10、PC20がネットワーク30を介し接続され構成される。
【0015】
プロジェクタ10は、PC20から投影画像データを受信し、例えばホワイトボード40に対し投影画像を投影する。プロジェクタ10はネットワーク30を介しPC20と接続されており、PC20からプロジェクタ10に対しPC画面上のデータ(例えばプレゼン資料等)が投影画像データとして送信されてくる。プロジェクタ10は、受信したこの投影画像データを投影画像としてホワイトボード40などに投影する。
【0016】
PC20は、会議参加者のPC端末である。PC20はネットワーク30を介しプロジェクタ10と接続されており、本実施形態では、会議参加者は各々のPC端末をネットワーク30に接続してから会議に参加する。また図に示されるように、PC20は複数存在し、その場所は会議室等に限られない。つまり例えば、PC20a、PC20b、PC20cはプロジェクタ10とともに同一の会議室内に存在し、PC20d、PC20eは会議室外の遠隔地からネットワーク30に接続し各々のPC端末を通じて会議に参加できる。
【0017】
ネットワーク30は、有線及び無線を含みまたLAN及びWANを含む通信ネットワークである。各々のPC20がプロジェクタ10と接続し通信可能な限りいかようなネットワークでもよい。
【0018】
本実施形態の会議では、まず進行役等を務める参加者Aは、PC20aのHDDに保存されている例えばプレゼン資料ファイルを画面上に開く。次にプロジェクタ10に接続することでPC20aからプロジェクタ10に対し、PC20a画面上に表示されているデータ(ここではプレゼン資料データ)が投影画像データとして送信される。プロジェクタ10は、受信したこの投影画像データを投影画像としてホワイトボード40に投影する。会議室内の会議参加者は、ホワイトボード40を閲覧し視覚的に投影画像データを認識する。
【0019】
また本実施形態に係るプロジェクタ10は、受信した投影画像データを投影画像としてホワイトボード40に投影するとともに、会議に参加しているPC20に対し投影中のこの投影画像データを送信(配信)するので、各々のPC20のPC画面上には、ホワイトボード40に投影中の投影画像と同一の投影画像データが表示される。従ってプロジェクタ10と同一の会議室内の会議参加者はホワイトボード40上での投影画像(例えばプレゼン資料)を閲覧可能であり、また各々のPC20a、PC20b、PC20cのPC画面上においてもまた投影画像データ(例えばプレゼン資料データ)を閲覧可能である。遠隔地の会議参加者は、PC20d、PC20eのPC画面上において投影画像データ(例えばプレゼン資料データ)を閲覧可能である。この点詳細は後述する。
【0020】
(ハードウェア)
図2は、本実施形態に係るプロジェクタ10の一実施形態の主要構成を示すハードウェア構成図である。プロジェクタ10は、大きくは投影画像データを投影(データを投影して可視化)する投影部11と、制御全般を行う制御部12で構成されている。
【0021】
投影部11は、投影画像データを投影し、データを投影画像として可視化する。また、制御部12は、制御部12を制御するCPU121、CPU121がプログラムを実行し各種の制御を行うときの作業領域として使用されるRAM122、画像データや描画データ(追記情報)等を記憶するストレージ123、プロジェクタ制御プログラムや制御に必要なパラメータが格納されているROM124、投影部11へ電源制御や生成された投影画像データを投影させる命令を送る投影制御部125、入力装置で投影部11の電源操作、選択・投影・ページ操作等の命令を受け付ける操作部126と、ネットワーク30とのインターフェースであるイーサネット(登録商標)や操作部126と同様の操作を行えるリモコン用のインターフェースであるIrDA等の通信インターフェース127を含み構成されている。
【0022】
図3は、本実施形態に係るPC20の一実施形態の主要構成を示すハードウェア構成図である。PC20は、主要な構成として、CPU21、ROM22、RAM23、HDD24、記憶媒体読取装置25、入力装置26、表示装置27、及び通信装置28を含む構成である。
【0023】
CPU21は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路から構成され、装置全体を制御する回路である。また、ROM22は、CPU21で実行される所定の制御プログラムを格納するメモリであり、RAM23は、CPU21がROM22に格納された所定の制御プログラムを実行して各種の制御を行うときの作業領域として使用するメモリである。HDD24は、汎用のOS、各種プログラムを含む各種情報を格納する装置であり、不揮発性の記憶装置である。記憶媒体読取装置25は、CDやDVD、USBメモリ等の外部記憶媒体から情報を入力する装置である。入力装置26は、ユーザが各種入力操作を行うための装置である。入力装置26は、マウス、キーボード、表示装置27の表示画面上に重畳するように設けられたタッチパネルスイッチなどを含む。表示装置27は、各種データを表示画面に表示する装置である。例えばLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)などから構成される。通信装置28は、ネットワーク30を介して他の機器との通信を行う装置である。有線ネットワークや無線ネットワークなど含む各種ネットワーク形態に応じた通信をサポートする。
【0024】
(機能)
次に、本実施形態に係るプロジェクションシステム100の主要機能構成について説明する。図4は、本実施形態に係る各装置の機能ブロック図の一例を示す。図中、PC20については説明の便宜上、PC20aと、PC20b〜20eとを区別して図示する。PC20aは、プロジェクタ10に対し初めに投影画像データ(例えばプレゼン資料データ)の他一般の会議参加者B〜EのPCである。即ち、PC20aは初めにホワイトボード40に投影すべき投影画像データ(例えばプレゼン資料データ)を提供するので、記憶部202において、初回に投影する投影画像データをローカルHDDに有する。
【0025】
プロジェクタ10は、受信部101、記憶部102、画像合成部103、投影部104、送信部105を含み構成される。受信部101は、PC20から初回に投影する投影画像データ(例えばプレゼン資料データ)や、投影中の投影画像データ(合成画像データ含む)に対して描画し付加したデータである描画データを受信する。記憶部102は、PC20から受信した初回に投影する投影画像データや描画データを記憶する。画像合成部103は、初回に投影する投影画像データと描画データとを合成し、合成画像データを生成する。投影部104は、初回に投影する投影画像データや合成画像データを投影する。送信部105は、初回に投影した投影画像データや合成画像データをホワイトボード40に投影する。
【0026】
PC20は、受信部201、記憶部202、表示部203、描画部204、送信部205を含み構成される。受信部201は、プロジェクタ10から、初回に投影した投影画像データや、合成画像データである投影中の投影画像データを受信する。記憶部202は、受信した合成画像データである投影中の投影画像データを記憶する。表示部203は、初回に投影した投影画像データや、受信した投影中の投影画像データ(合成画像データ含む)を表示する。描画部204は、表示部203に表示中の画像データであり投影中の投影画像データ(合成画像データ含む)に対して付加したデータである描画データを描画する。送信部205は、プロジェクタ10に対し、初回に投影する投影画像データや、投影中の投影画像データに対して描画し付加したデータである描画データを送信する。
【0027】
なお上述の如く、ここではPC20aと、PC20b〜20eとを初めにプレゼン資料データを提供するPCか否かの点で区別して図示したが、会議によっては、PC20b〜20eを含む全てのPC20がPC20aと同様の初めにプレゼン資料データを提供するPCの役割を担う可能性がある。よって実際には、全てのPC20がPC20aと同一の機能ブロックを有するものと考えることができる。
【0028】
なおまたここでは、初回に投影した投影画像データ、投影中の投影画像データ、合成画像データなど、複数の画像データが登場するが、初回に投影した投影画像データと投影中の投影画像データが同一の場合、投影中の投影画像データと合成画像データ画像が同一の場合等がある。これはつまり、更新(描画)状態によって呼び名を使い分けた結果によるものであるが、後述の情報処理の説明において、この点再度整理しながら説明する。
【0029】
以上、各装置の主要機能構成である。なおこれらの機能は、実際には装置のCPUが実行するプログラムによりコンピュータに実現させるものである。例えばプロジェクタ10の場合、事前にプロジェクタプログラムをインストールしておく。また例えばPC20の場合、事前にPC端末用の画像投影プログラムをインストールしておく。
【0030】
[情報処理]
以下、本実施形態に係るプロジェクションシステム100における情報処理・動作を説明する。
【0031】
図5は、PC20及び投影画像の状態遷移図(その1)を示す。図中、左側は資料提供者のPC20aのPC画面、中央はその他一般の会議参加者のPC20b(〜20e)のPC画面、右側はホワイトボート40上に投影された投影画像を示している。以下場面毎に分けて説明するが、都度この状態遷移図を併せて参照しながら説明する。
【0032】
(投稿画像データの提供〜初回の投影〜PC20への反映)
図6は、PC20aの投稿画像データの提供〜プロジェクタ10による初回の投影〜PC20bへの反映の過程を説明するフローチャート図である。
【0033】
S1:資料提供者のPC20aにおいて表示部203は、プロジェクタ10でまず初めに投影すべき投影画像データをPC画面上に表示させる。具体的に例えば、資料提供者自身がローカルHDDからプレゼン資料データファイルを開いてPC画面上に表示する(図5の501)。
【0034】
S2:PC20aの送信部205は、この初めの投影画像データをプロジェクタ20に対し送信する。このとき例えば、資料提供者がローカルHDDからプレゼン資料データファイルを開いてPC画面上に表示したタイミングでこの初めの投影画像データを送信すればよい。
【0035】
S3:プロジェクタ20において受信部101は、PC20aから送信されてきた初めの投影画像データを受信する。
【0036】
S4:プロジェクタ20の記憶部102は、受信した初めの投影画像データを一旦ストレージ123等に記憶する。
【0037】
S5:プロジェクタ20の投影部104は、この初めの投影画像データをホワイトボート40に投影する(図5の503)。なおこの時点において、描画データは受信していないので画像合成部103による画像合成は不要だが、図4のように画像合成部103を介する構成と捉えるならば、画像合成部103は、初回に投影する投影画像データと描画データ(なし)とを合成し、実質初回に投影する投影画像データと同一の合成画像データを生成するものと理解できる。
【0038】
S6:プロジェクタ20の送信部105は、投影中の投影画像と同じ初めの投影画像データを全てのPC20に対し一斉に送信する。
【0039】
S7:PC20、つまり会議に参加する全てのPC20a〜eの受信部201は、プロジェクタ20から初めの投影画像データを受信する。
【0040】
S8:PC20、つまり会議に参加する全てのPC20a〜eの表示部203は、受信した投影画像データを表示する(図5の501、502)。なおPC20aが初めの投影画像データを提供しているので、当然ながらPC画面に変化はない。一方その他一般のPC20b〜eのPC画面には、ホワイトボート40に投影中の投影画像と同一のものが反映、表示されており、全ての会議参加者はホワイトボート40に投影中の投影画像や自身のPC画面(特に遠隔地からの参加者)を見ながら会議が開始する。
【0041】
(投稿画像データへの書き込み1〜書き込みの投影〜PC20への反映)
図7は、PC20aの投稿画像データへの書き込み〜プロジェクタ10による書き込みの投影〜PC20への反映の過程を説明するフローチャート図である。
【0042】
S21:PC20aの描画部204は、ホワイトボード40に投影中であり表示部203に表示中の投影画像データ(図5の501)。に対して付加したデータである描画データを描画する。具体的に例えば、資料提供者自身がマウスやキーボート等を操作して入力装置26からPC画面上の投影画像データに対し書き込み、追記を行う(図5の511)。この書き込み内容は例えば文字や、線分、図形等である。
【0043】
S22:PC20aの送信部205は、この書き込み内容に相当する描画データをプロジェクタ20に対し送信する。送信は、例えば資料提供者がPC画面上で書き込み、追記を行ったタイミングでこの描画データを送信すればよい。また送信する描画データの送信単位量は、例えば書き込み内容がテキストであれば1文字づつ、線分であれば1線づつ、図形であれば1図形づつでありうる。またもしくは書き込み内容を問わず所定時間間隔毎に送信したり、書き込み後にユーザが送信操作を行ったタイミングで送信するようにしてもよい。このとき送信単位量が細かいほどその書き込みはよりリアルタイムに投影画像に反映される。なおまた送信の際、描画を行ったPC、PC画面上の投影画像データに対する描画位置などを特定するため、その書き込みの描画位置情報(例えば座標(x,y)等)、その描画データを識別する固有の識別子である識別子、その他情報(日時間情報)を描画データの属性データとして付して送信する(例えば「PC20a-20110701-10:00-00001-(x1,y1)」等)。
【0044】
S23:プロジェクタ20において受信部101は、PC20aから送信されてきた描画データ(及び属性データ)を受信する。
【0045】
S24:プロジェクタ20の記憶部102は、描画データを一旦ストレージ123等に記憶する。記憶の際、描画データはオブジェクトとして扱って、描画データに対し描画位置情報のほか、描画データを識別する識別子、送信元(描画を行ったPC)、時間等の属性データを付加して記憶しておく。なお上述の属性データによれば、描画位置情報(x1,y1)、識別子00001、送信元PC20a、時間20110701-10:00である。
【0046】
S25:プロジェクタ20の画像合成部103は、記憶部102から初回に投影した投影画像データと描画データとを取得し描画位置情報を踏まえて合成する。つまり合成画像データを生成する。図8は、画像合成の一例を示す。
【0047】
S26:プロジェクタ20の投影部104は、合成画像データをホワイトボート40に投影する(図5の523)。
【0048】
S27:プロジェクタ20の送信部105は、投影中の投影画像と同じ合成画像データを全てのPC20に対し一斉に送信する。
【0049】
S28:PC20、つまり会議に参加する全てのPC20a〜eの受信部201は、プロジェクタ20から投影中の投影画像と同じ合成画像データを受信する。
【0050】
S28:PC20、つまり会議に参加する全てのPC20a〜eの記憶部202は、投影中の投影画像と同じ合成画像データを記憶(保存)する。
【0051】
S30:PC20、つまり会議に参加する全てのPC20a〜eの表示部203は、受信した合成画像データを表示する(図5の521、522)。なおPC20aが書き込みを行っているので、当然ながらPC画面に変化はない。一方その他のPC20b〜eのPC画面には、ホワイトボート40に投影中の投影画像(PC20aの書き込み付き)と同一のものが反映、表示されている。
【0052】
(投稿画像データへの書き込み2〜書き込みの投影〜PC20への反映)
PC20aに続き、今度はPC20bが投稿画像データへの書き込みを行うものとする。再び図7フローチャートを参照して説明する。
【0053】
S21:PC20bの描画部204は、ホワイトボード40に投影中であり表示部203に表示中の投影画像データ(図5の522)に対して付加したデータである描画データを描画する。具体的に、PC画面上の投影画像データに対し書き込み、追記を行う(図5の532)。
【0054】
S22:PC20bの送信部205は、この書き込み内容に相当する描画データ(及び属性データ)をプロジェクタ20に対し送信する。またここでは、属性データは例えば「PC20b-20110701-10:03-00002-(x2,y2)」であるとする。
【0055】
S23:プロジェクタ20において受信部101は、PC20bから送信されてきた描画データ(及び属性データ)を受信する。
【0056】
S24:プロジェクタ20の記憶部102は、描画データを一旦ストレージ123等に記憶する。記憶の際、属性データを付加して記憶しておくが、ここでは、描画位置情報(x2,y2)、識別子00002、送信元PC20b、時間20110701-10:03である。
【0057】
S25:プロジェクタ20の画像合成部103は、記憶部102から初回に投影した投影画像データと描画データとを取得し描画位置情報を踏まえて合成する。つまり合成画像データを生成する。ここで、合成方法としては、初回に投影した投影画像データに対し、先のPC20aからの描画データ及び今回のPC20bからの描画データを合成すれば最新の合成画像データを生成できる。またもしくは、初回に投影した投影画像データと先のPC20aからの描画データを合成した前回の合成画像データを記憶部102に記憶しておけば、前回記憶しておいた前回の合成画像データに対し、今回のPC20bからの描画データを合成すれば最新の合成画像データを生成できる。
【0058】
S26:プロジェクタ20の投影部104は、合成画像データをホワイトボート40に投影する(図5の543)。
【0059】
S27:プロジェクタ20の送信部105は、投影中の投影画像と同じ合成画像データを全てのPC20に対し一斉に送信する。
【0060】
S28:PC20、つまり会議に参加する全てのPC20a〜eの受信部201は、プロジェクタ20から投影中の投影画像と同じ合成画像データを受信する。
【0061】
S29:PC20、つまり会議に参加する全てのPC20a〜eの記憶部202は、投影中の投影画像と同じ合成画像データを記憶(保存)する。なお記憶方法は、前回記憶した合成画像データに対し今回受信した合成画像データを上書きする。最新の合成画像データを記憶しておくためである。勿論、上書きせずとも、順次ファイル名を変え、全ての合成画像データを記憶してもよい。但しこの場合、書き込みの度に合成画像データを記憶してゆくので、記憶領域に余裕があるときのみとすることが望ましい。
【0062】
S30:PC20、つまり会議に参加する全てのPC20a〜eの表示部203は、受信した合成画像データを表示する(図5の541、542)。なお今回はPC20bが書き込みを行っているので、当然ながらPC画面に変化はない。一方その他PC20b以外のPC20a、c〜eのPC画面には、ホワイトボート40に投影中の投影画像(PC20bの書き込み付き)と同一のものが反映、表示されている。
【0063】
(投稿画像データへの書き込み削除〜書き込み削除の投影〜PC20への反映)
今度はPC20bが投稿画像データへ書き込みを行ったものの、書き込み後、同書き込みを削除する。
【0064】
図9は、PC20及び投影画像の状態遷移図(その2)を示す。図5に続くものである。また図10は、PC20bの投稿画像データの削除〜プロジェクタ10による削除の投影〜PC20への反映の過程を説明するフローチャート図である。以下フローチャートに沿って説明する。
【0065】
S31:PC20bの描画部204は、表示部203に表示中の投影画像データ上に書き込んだ描画データ(描画オブジェクト)を削除する(図9の552)。具体的に例えば、PC20bのユーザがマウスやキーボート等を操作して入力装置26から描画データ(描画オブジェクト)を選択し削除操作を行う。
【0066】
S32:PC20bの送信部205は、削除対象の描画データを削除する旨を示す削除要求にその属性データを付してプロジェクタ20に対し送信する。ここでは削除対象の描画データの属性データは「PC20b-20110701-10:03-00002-(x2,y2)」であるとする。
【0067】
S33:プロジェクタ20において受信部101は、PC20bから送信されてきた削除要求(及び属性データ)を受信する。
【0068】
S34:プロジェクタ20の記憶部102は、属性データに基づき削除要求がなされた描画データを特定し、その描画データをストレージ123から削除する。つまりここでは、属性データ「PC20b-20110701-10:03-00002-(x2,y2)」で特定される描画データを削除するする。
【0069】
S35:プロジェクタ20の画像合成部103は、記憶部102から初回に投影した投影画像データと、残る描画データとを取得し描画位置情報を踏まえて合成する。つまり合成画像データを生成する。ここでは、削除要求がなされた描画データは記憶部102により既に削除されているため、初回に投影した投影画像データに対し、先のPC20aからの描画データを合成したものが、削除後の合成画像データである。
【0070】
S36:プロジェクタ20の投影部104は、削除後の合成画像データをホワイトボート40に投影する(図9の553)。
【0071】
S37:プロジェクタ20の送信部105は、投影中の投影画像と同じ合成画像データを全てのPC20に対し一斉に送信する。
【0072】
S38:PC20、つまり会議に参加する全てのPC20a〜eの受信部201は、プロジェクタ20から投影中の投影画像と同じ合成画像データを受信する。
【0073】
S39:PC20、つまり会議に参加する全てのPC20a〜eの記憶部202は、投影中の投影画像と同じ合成画像データを記憶(保存)する。
【0074】
S40:PC20、つまり会議に参加する全てのPC20a〜eの表示部203は、受信した合成画像データを表示する(図9の561、562)。なお今回はPC20bが削除を行っているので、当然ながらPC画面に変化はない。一方その他PC20b以外のPC20a、c〜eのPC画面には、PC20bにより削除された描画データは消え、ホワイトボート40に投影中の投影画像と同一のものが反映、表示されている。
【0075】
以上本実施形態に係るプロジェクションシステム100においては、プロジェクタ10はプロジェクタとして投影画像をホワイトボード40に投影するとともに、各PC20に対し投影画像データを送信する。各PC20は受信した投影画像データを表示し、ユーザにより投影画像データに対する書込み(削除含む)が行われると、プロジェクタ10は描画データ(書込みデータ)と元の投影画像データを合成し、合成した合成画像データを投影するとともに、各PC20に対しその投影中の合成画像データを送信する。各PC20は受信した投影中の合成画像データをローカルHDD等に保存のうえ、表示する。これにより、ホワイトボード40の近くにいる人いない人を含め全ての会議参加者が、ホワイトボード40上の投影画像(例えばプレゼン資料)に対し自由に書き込みを行うことができる。また書き込みがなされた状態の投影中の投影画像データを電子データとしての画像品質そのままで各PC20に共有し保存することができる。
【0076】
[変形例]
上述の実施形態の変形例を説明する。
【0077】
図11は、本変形例に係るプロジェクションシステム100−2のネットワーク構成図を示す。図1と比べ、本実施形態に係るプロジェクションシステム100−2は、プロジェクタが複数追加される。具体的には、遠隔地においてももう1台のプロジェクタ10bを設置した。この場合、プロジェクタ10aは親機、親機以外のプロジェクタ10bは子機という関係を有して動作する。
【0078】
図12は、本変形例に係るプロジェクションシステム100−2の機能関係図を示す。つまり親機として動作するプロジェクタ10aは、上述の実施形態通りの動作を行う。またプロジェクタ10aは、プロジェクタ10bをPC20と同視して、プロジェクタ10bに対しても投影画像データ(合成画像データ含む)を送信する。プロジェクタ10bは、受信したこの投影画像データ(合成画像データ含む)を投影画像としてホワイトボード40bに投影する。
【0079】
このようにすれば、遠隔地サイドでもプロジェクタを保有していれば、ホワイトボード40bに対し投影画像を投影できるので、遠隔地の会議参加者D、Eは、PC20d、20eのPC画面のみならず、ホワイトボード40bを見ながら会議を進行できる。勿論、PC20d、20eを操作して、投影画像データ(合成画像データ含む)に対し書き込み(削除含む)を行うことができ、この書き込みもまた、ホワイトボード40a及びホワイトボード40bの投影中の投影画像に反映、表示される。
【0080】
なおまた、親機として動作するプロジェクタ10aは、遠隔地のPC20d、20eに対して投影画像データ(合成画像データ含む)を送信する際、直接PC20d、20eに対して投影画像データを送信せず、一旦子機であるプロジェクタ10bに対し投影画像データ(合成画像データ含む)を送信し、プロジェクタ10bがPC20d、20eに対して投影画像データを送信するようにすることも可能である(負荷分散)。
【0081】
[総括]
以上の本実施形態によれば、プロジェクタによって投影された画像に対し、会議参加者の誰もが文字や図形等の描画情報(追記情報)を書き込めるとともに、書き込みがなされた画像の保存性を向上させたプロジェクションシステム等を提供することが可能となる。なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
100 プロジェクションシステム
10 プロジェクタ
11 投影部
12 制御部
121 CPU
122 RAM
123 ストレージ
124 ROM
125 投影制御部
126 操作部
127 通信インターフェース
20 PC
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 HDD
25 記憶媒体読取装置
26 入力装置
27 表示装置
28 通信装置
30 ネットワーク
40 ホワイトボード
101 受信部
102 記憶部
103 画像合成部
104 投影部
105 送信部
201 受信部
202 記憶部
203 表示部
204 描画部
205 送信部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2005−051446号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムと、前記プログラムから受信した投影画像データを投影するプロジェクタとを含み構成されるプロジェクションシステムであって、
プログラムは、コンピュータを、
プロジェクタから、投影中の投影画像データを受信する受信手段と、
前記投影中の投影画像データに対して描画し追記したデータである描画データを描画する描画手段と、
プロジェクタに対し、前記描画データを送信する送信手段として機能させ、
プロジェクタは、
プログラムに対し、前記投影中の投影画像データを送信する送信手段と、
プログラムから、前記描画データを受信する受信手段と、
前記投影中の投影画像データと受信した前記描画データとを合成し、合成画像データを生成する画像合成手段と、
前記合成画像データを投影画像データとして投影する投影手段と、
を有することを特徴とするプロジェクションシステム。
【請求項2】
プログラムは、コンピュータを、
受信した前記投影中の投影画像データを記憶する記憶手段として機能させる請求項1記載のプロジェクションシステム。
【請求項3】
プログラムは、コンピュータを、
受信した前記投影中の投影画像データを表示する表示手段として機能させる請求項1又は2記載のプロジェクションシステム。
【請求項4】
プログラムの前記送信手段は、前記描画データとともに該描画データの属性データを送信し、
プロジェクタは、
受信した描画データと該描画データの属性データとを対応付けて記憶する記憶手段と、
を有することを特徴とする請求項1ないし3何れか一項記載のプロジェクションシステム。
【請求項5】
プログラムの前記送信手段は、前記描画データの削除要求とともに該描画データの属性データを送信し、
プロジェクタの前記記憶手段は、前記描画データの削除要求とともに受信した描画データの属性データと対応付けられた描画データを前記記憶手段から削除し、
プロジェクタの前記画像合成手段は、前記投影中の投影画像データから該描画データを削除した合成画像データを生成すること、
を特徴とする請求項4記載のプロジェクションシステム。
【請求項6】
第1の前記プロジェクタに加え、第2のプロジェクタがネットワークを介し接続され、
第1の前記プロジェクタの前記送信手段は、第2のプロジェクタに対し、前記投影中の投影画像データを送信し、
第2のプロジェクタは、
受信した前記投影中の投影画像データを投影する投影手段と、
を有することを特徴とする請求項1ないし5何れか一項記載のプロジェクションシステム。
【請求項7】
コンピュータを、
プロジェクタから、投影中の投影画像データを受信する受信手段と、
前記投影中の投影画像データに対して描画し追記したデータである描画データを描画する描画手段と、
プロジェクタに対し、前記描画データを送信する送信手段として機能させ、
前記受信手段は、プロジェクタにより前記投影中の投影画像データと前記描画データとを合成した合成画像データを投影中の投影画像データとして受信するPC端末プログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
PCPC端末に対し、投影中の投影画像データを送信する送信手段と、
PCPC端末から、PCPC端末により前記投影中の投影画像データに対して描画し追記したデータである描画データを受信する受信手段と、
前記投影中の投影画像データと受信した前記描画データとを合成し、合成画像データを生成する画像合成手段と、
前記合成画像データを投影画像データとして投影する投影手段として機能させ、
前記送信手段は、前記合成画像データを投影中の投影画像データとして送信するプロジェクタプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−33105(P2013−33105A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168664(P2011−168664)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】