説明

プロジェクタ、及び調整方法

【課題】生産性を向上させることができるとともに、高い精度を得ることができるプロジェクタの提供。
【解決手段】プロジェクタ1は、光源から射出された光を入力される画像情報に応じて変調して画像光を形成する2つの画像投射装置2と、画像投射装置2にて形成された画像光を投射する投射光学装置3と、調整機構4とを備える。調整機構4は、画像投射装置2の投射光学装置3に対する位置、及び姿勢を調整する。このような構成によれば、2つの画像投射装置2を従来と同様の製造方法で別々に製造し、各画像投射装置2をそれぞれ配置した後、調整機構4にて画像投射装置2の位置、及び姿勢を調整することができる。したがって、プロジェクタ1の生産性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ、及び調整方法に関し、特に2系統の画像投射装置を備えるプロジェクタ、及び調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から射出された光を被照明領域で結像させる照明光学装置と、照明光学装置から射出された光を複数の色光に分離する色分離光学装置と、色分離光学装置にて分離された複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、各光変調装置にて変調された各色光を合成した画像光を射出する色合成光学装置とを有する画像投射装置を備えるプロジェクタが知られている。そして、画像投射装置から射出された画像光は、投射レンズを介して投射される(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のプロジェクタは、照明光学ユニット(照明光学装置)を構成する各光学部品の位置をそれぞれ調整して筐体内に配置することで製造されている。また、このようなプロジェクタにおいては、色分離光学装置、光変調装置、及び色合成光学装置についても投射レンズの光軸に対する位置をそれぞれ調整して配置して製造されるのが一般的である。
【0003】
【特許文献1】特開2002−287251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、プロジェクタの3次元表示(偏光方式)や、高輝度化、及び高解像度化の要求が高まっている。しかしながら、1つの画像投射装置を備えるプロジェクタでは、光変調装置の応答速度等の影響により、このような要求を実現することが困難であるという問題がある。
これに対して、2つの画像投射装置を備え、各画像投射装置から射出される画像光を、例えば、PBS(偏光ビームスプリッター)等を用いて合成し、投射レンズを介して投射するプロジェクタを構成することにより、前述した要求を実現することが考えられる。
しかしながら、プロジェクタを2つの画像投射装置を備える構成とすると、特許文献1に記載のプロジェクタのように、各光学部品の位置をそれぞれ調整して配置していたのではプロジェクタの製造に時間がかかり生産性が低下するという問題がある。また、多数の光学部品を別々に配置するため、高い精度を得ることが出来ないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、生産性を向上させることができるとともに、高い精度を得ることができるプロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクタは、光源から射出された光を被照明領域で結像させる照明光学装置と、照明光学装置から射出された光を複数の色光に分離する色分離光学装置と、色分離光学装置にて分離された複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、各光変調装置にて変調された各色光を合成した画像光を射出する色合成光学装置とをそれぞれ有する2つの画像投射装置と、各画像投射装置から射出される画像光を合成して投射する投射光学装置とを備えるプロジェクタであって、前記投射光学装置に対する前記画像投射装置の位置、及び姿勢の少なくともいずれか一方を調整する調整機構を備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、調整機構は、各画像投射装置のうち、いずれか1つの画像投射装置に設けてもよく、双方の画像投射装置に設けてもよい。いずれか1つの画像投射装置に調整機構を設けた場合には、各画像投射装置の相対的な位置、及び姿勢の少なくともいずれか一方を調整することができ、双方の画像投射装置に調整機構を設けた場合には、各画像投射装置の絶対的な位置、及び姿勢、すなわち投射光学装置に対する位置、及び姿勢の少なくともいずれか一方を調整することができる。
【0008】
本発明によれば、プロジェクタは調整機構を備えるので、2つの画像投射装置を従来と同様の製造方法で別々に製造し、各画像投射装置をそれぞれ配置した後、調整機構にて画像投射装置の位置、及び姿勢の少なくともいずれか一方を調整することができる。
したがって、各光学部品の位置をそれぞれ調整して配置する場合と比較してプロジェクタの生産性を向上させることができる。また、各画像投射装置は従来と同様の高い精度を得ることができるので、プロジェクタ全体としても高い精度を得ることができる。さらに、工場等でプロジェクタを製造して出荷した後、経時変化などの影響により再度の調整をする場合であっても、画像投射装置は投射光学装置に対して接着剤等で固定されていないので容易に再調整することができる。
また、調整機構は、照明光学装置、色分離光学装置、光変調装置、及び色合成光学装置を含む画像投射装置全体を調整するので、これらの装置間の調整を実施する必要がなく、プロジェクタの製造工程を簡素化することができる。
【0009】
本発明では、前記調整機構は、前記各画像投射装置のうち、一方の画像投射装置を調整する第1調整機構と、他方の画像投射装置を調整する第2調整機構とで構成され、前記光源から前記色合成光学装置を介して前記投射光学装置に至る照明光軸と、前記照明光軸に直交し、かつ、互いに直交する2つの直交軸とに沿って前記画像投射装置を移動させることで前記画像投射装置の位置を調整するとともに、前記照明光軸、及び前記各直交軸を中心として前記画像投射装置を回転させることで前記画像投射装置の姿勢を調整する6自由度を有し、前記各自由度は、前記第1調整機構、及び前記第2調整機構に振り分けられていることが好ましい。
【0010】
ここで、投射光学装置は、各画像投射装置から射出される画像光を合成して投射するものであり、例えば、前述したPBS、及び投射レンズにて構成することができる。また、画像投射装置の位置とは、色合成光学装置における画像光の射出端面の位置をいい、姿勢とは、この射出端面の投射光学装置に対する傾きをいうものとする。
【0011】
本発明によれば、第1調整機構にて一方の画像投射装置を調整することができ、第2調整機構にて他方の画像投射装置を調整することができる。そして、各自由度は、第1調整機構、及び第2調整機構に振り分けられているので、各画像投射装置の相対的な位置、及び姿勢を6自由度で調整することができる。
また、各自由度を第1調整機構、及び第2調整機構に振り分けているので、各画像投射装置のうち、いずれか1つの画像投射装置に6自由度を有する調整機構を設ける場合と比較して、各調整機構を小型化することができる。
【0012】
本発明では、前記第1調整機構は、前記照明光軸、及び前記各直交軸に沿って前記画像投射装置を移動させることで前記画像投射装置の位置を調整し、前記第2調整機構は、前記照明光軸、及び前記各直交軸を中心として前記画像投射装置を回転させることで前記画像投射装置の姿勢を調整することが好ましい。
このような構成によれば、第1調整機構を、画像投射装置を各軸方向に沿って直線的に移動させる機構とすればよく、第2調整機構を、画像投射装置を各軸回りに回転させる機構とすればよいので、第1調整機構、及び第2調整機構を簡素化することができる。
【0013】
本発明では、前記第1調整機構は、前記各直交軸に沿って前記画像投射装置を移動させるとともに、前記照明光軸を中心として前記画像投射装置を回転させることで調整し、前記第2調整機構は、前記照明光軸に沿って前記画像投射装置を移動させるとともに、前記各直交軸を中心として前記画像投射装置を回転させることで調整することが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、第1調整機構は、色合成光学装置の射出端面を各直交軸に沿って移動させるとともに、照明光軸を中心として回転させるので、画像投射装置から射出される画像光における各画素の位置合わせをすることができる(以下、アラインメント調整とする)。また、第2調整機構は、色合成光学装置の射出端面を照明光軸に沿って移動させるとともに、各直交軸を中心として回転させるので、投射レンズに対するあおり方向、及びフォーカス位置の調整をすることができる(以下、フォーカス調整とする)。
したがって、各画像投射装置のアラインメント調整をする場合には、第1調整機構のみを駆動すればよく、フォーカス調整をする場合には、第2調整機構のみを駆動すればよいので、プロジェクタの製造方法を簡素化することができる。
【0015】
本発明では、前記各画像投射装置のうち、一方の画像投射装置は、前記投射光学装置に対する位置、及び姿勢が固定され、他方の画像投射装置は、前記調整機構にて調整され、前記調整機構は、前記光源から前記色合成光学装置を介して前記投射光学装置に至る照明光軸と、前記照明光軸に直交し、かつ、互いに直交する2つの直交軸とに沿って前記画像投射装置を移動させることで前記画像投射装置の位置を調整するとともに、前記照明光軸、及び前記各直交軸を中心として前記画像投射装置を回転させることで前記画像投射装置の姿勢を調整する6自由度を有することが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、一方の画像投射装置は、投射光学装置に対する位置、及び姿勢が固定されるので、一方の画像投射装置を従来と同様の製造方法で製造して固定した後、他方の画像投射装置を従来と同様の製造方法で製造して配置し、調整機構にて他方の画像投射装置の位置、及び姿勢を調整することができる。したがって、プロジェクタの生産性を更に向上させることができる。
【0017】
本発明では、前記一方の画像投射装置は、前記画像光の射出方向と、前記投射光学装置による画像光の投射方向とが略平行となるように配置され、前記他方の画像投射装置は、前記画像光の射出方向と、前記投射光学装置による画像光の投射方向とが略直交するように配置されていることが好ましい。
ここで、他方の画像投射装置(以下、垂直側画像投射装置とする)から射出される画像光は、投射光学装置にて進行方向を略90度変更され、一方の画像投射装置(以下、平行側画像投射装置とする)から射出される画像光に合成される。このため、垂直側画像投射装置を調整する場合には、各直交軸を中心として回転させて投射レンズに対するあおり方向の調整をすることが望ましい。
【0018】
本発明によれば、第1調整機構は、平行側画像投射装置を調整し、第2調整機構は、垂直側画像投射装置を調整する。
したがって、前述したように、第2調整機構が、照明光軸、及び各直交軸を中心として画像投射装置を回転させることで姿勢を調整するように調整機構を構成した場合には、垂直側画像投射装置の調整において、投射レンズに対するあおり方向を調整することができ、プロジェクタ全体としても高い精度を得ることができる。また、前述したように、第2調整機構が、照明光軸に沿って画像投射装置を移動させるとともに、各直交軸に沿って画像投射装置を回転させることで調整するように調整機構を構成した場合も同様である。
【0019】
また、前述したように、平行側画像投射装置の投射光学装置に対する位置、及び姿勢を固定し、垂直側画像投射装置を、6自由度の調整機構にて調整するように構成した場合であっても垂直側画像投射装置の調整において、投射レンズに対するあおり方向を調整することができる。さらに、この場合には、平行側画像投射装置と、投射光学装置との配置は、従来の1つの画像投射装置を備えるプロジェクタと同じであるので、プロジェクタの生産性を更に向上させることができる。
【0020】
本発明の調整方法は、光源から射出された光を被照明領域で結像させる照明光学装置と、照明光学装置から射出された光を複数の色光に分離する色分離光学装置と、色分離光学装置にて分離された複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、各光変調装置にて変調された各色光を合成した画像光を射出する色合成光学装置とをそれぞれ有する2つの画像投射装置と、各画像投射装置から射出される画像光を合成して投射する投射光学装置とを備えるプロジェクタの調整方法であって、前記プロジェクタは、前記投射光学装置に対する前記画像投射装置の位置、及び姿勢の少なくともいずれか一方を調整する調整機構を備え、前記画像投射装置を、前記調整機構にて調整することを特徴とする。
このような調整方法によれば、前述したプロジェクタの作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクタの概略構成〕
図1は、プロジェクタ1の概略構成を示す模式図である。
プロジェクタ1は、図1に示すように、光源から射出された光を入力される画像情報に応じて変調して画像光を形成する2つの画像投射装置2と、画像投射装置2にて形成された画像光を投射する投射光学装置3と、調整機構4と、画像投射装置2、投射光学装置3、及び調整機構4を収納する筐体(図示略)とを備える。なお、調整機構4については後に詳述する。
【0022】
画像投射装置2は、形成した画像光の射出方向と、投射光学装置3による画像光の投射方向とが略平行となるように配置された平行側画像投射装置2Aと、形成した画像光の射出方向と、投射光学装置3による画像光の投射方向とが略直交するように配置された垂直側画像投射装置2Bとで構成されている。各画像投射装置2は、照明光学装置21と、色分離光学装置22と、リレー光学装置23と、電気光学装置24とを備えてそれぞれ構成されている。
【0023】
照明光学装置21は、光源211から射出された光を被照明領域で結像させるものであり、光源211と、第1レンズアレイ212と、第2レンズアレイ213と、重畳レンズ214とを備えて構成されている。
光源211は、図示は省略するが、放射状の光線を射出する光源ランプと、光源ランプから射出された放射光を反射して所定位置に収束させるリフレクタと、リフレクタにて収束される光を照明光軸Aに対して平行化する平行化凹レンズとを備えている。
【0024】
第1レンズアレイ212及び第2レンズアレイ213は、それぞれ対応する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有し、第1レンズアレイ212は、光源211から入射した光を複数の部分光に分割して、第2レンズアレイ213近傍に結像させる。
第2レンズアレイ213は、光路後段に位置する重畳レンズ214とともに、第1レンズアレイ212の各小レンズから射出された像を、電気光学装置24の後述する液晶パネル241の画像形成領域に結像させる。なお、第2レンズアレイ213から射出した各部分光は、第2レンズアレイ213と、重畳レンズ214との間に介在配置される偏光変換素子(図示略)にて略1種類の偏光方向を有する直線偏光に変換される。また、平行側画像投射装置2Aにおける偏光変換素子にて変換される直線偏光と、垂直側画像投射装置2Bにおける偏光変換素子にて変換される直線偏光とは、互いに異なる種類の偏光方向を有する直線偏光とされている。
【0025】
色分離光学装置22は、2枚のダイクロイックミラー221,222と、反射ミラー223とを備え、ダイクロイックミラー221,222により照明光学装置21から射出された複数の部分光を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。
リレー光学装置23は、入射側レンズ231、リレーレンズ233、および反射ミラー232,234を備え、色分離光学装置22で分離された青色光を青色光用の液晶パネル241Bまで導く機能を有している。
【0026】
この際、色分離光学装置22のダイクロイックミラー221では、照明光学装置21から射出された光の赤色光成分が透過するとともに、緑色光成分と青色光成分とが反射する。ダイクロイックミラー221を透過した赤色光は、反射ミラー223で反射し、フィールドレンズ215を通って赤色光用の液晶パネル241Rに達する。このフィールドレンズ215は、第2レンズアレイ213から射出された各部分光をその中心軸(主光線)に対して平行な光に変換する。他の緑色光および青色光用の液晶パネル241G,241Bの光入射側に設けられたフィールドレンズ215も同様である。
【0027】
ダイクロイックミラー221を反射した緑色光と青色光のうち、緑色光はダイクロイックミラー222によって反射し、フィールドレンズ215を通って緑色光用の液晶パネル241Gに達する。一方、青色光はダイクロイックミラー222を透過してリレー光学装置23を通り、さらにフィールドレンズ215を通って青色光用の液晶パネル241Bに達する。
【0028】
電気光学装置24は、入射した光を画像情報に応じて変調して画像光を形成するものであり、3つの液晶パネル241(赤色光側の液晶パネルを241R、緑色光側の液晶パネルを241G、青色光側の液晶パネルを241Bとする)と、各液晶パネル241の光路前段側に配置される3つの入射側偏光板242と、各液晶パネル241の光路後段側に配置される3つの射出側偏光板243と、クロスダイクロイックプリズム244とを備えて構成されている。
【0029】
3つの入射側偏光板242は、色分離光学装置22で分離された各色光のうち、偏光変換素子で揃えられた偏光方向と略同一の偏光方向を有する偏光のみ透過させ、その他の光を吸収する。
光変調装置としての3つの液晶パネル241は、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有し、入力される画像情報に応じて液晶の配向状態が制御されることで、入射側偏光板242から射出された偏光の偏光方向を変調する。
3つの射出側偏光板243は、液晶パネル241を介して射出された光のうち、一定方向の偏光(例えば、入射側偏光板242における光の透過軸と直交する偏光軸を有する光)を透過し、その他の光を吸収する。
【0030】
色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム244は、各射出側偏光板243から射出された各色光を合成して画像光を形成する。このクロスダイクロイックプリズム244は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状を有し、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。これら誘電体多層膜は、液晶パネル241Gから射出され、かつ、射出側偏光板243を介した色光を透過し、液晶パネル241R,241Bから射出され、かつ、射出側偏光板243を介した各色光を反射する。これにより、赤色光、緑色光及び青色光が合成された画像光(カラー画像)が形成される。
【0031】
投射光学装置3は、PBS31と、投射レンズ32とを備える。
PBS31は、2つの直角プリズムを貼り合わせて構成され、各直角プリズムを貼り合わせた界面に形成された誘電体偏光膜にて一方の偏光方向の光を透過させ、他方の偏光方向の光を反射させる。本実施形態では、平行側画像投射装置2Aから射出される画像光は誘電体偏光膜を透過し、垂直側画像投射装置2Bから射出される画像光は誘電体偏光膜で反射されて、それぞれ投射レンズ32に導かれる。
投射レンズ32は、筒状の鏡筒(図示略)内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成され、PBS31から射出される画像光をスクリーンSc等の投射面に拡大投射する。
【0032】
〔調整機構の概略構成〕
調整機構4は、画像投射装置2の投射光学装置3に対する位置、及び姿勢を調整する機構であり、平行側画像投射装置2Aを調整する第1調整機構5と、垂直側画像投射装置2Bを調整する第2調整機構6とで構成される。
【0033】
図2は、第1調整機構5の一例を示す模式図である。なお、図2においては、照明光軸AをZ軸とし、このZ軸に直交し、かつ、互いに直交する2つの軸(直交軸)をX軸、及びY軸とする。なお、図2においては、平行側画像投射装置2Aのうち、クロスダイクロイックプリズム244のみを図示し、他の光学部品の図示を省略する。
第1調整機構5は、図2に示すように、プロジェクタ1の筐体に取り付けられる第1基台51と、第1基台51に取り付けられる第2基台52と、第2基台52に取り付けられ、平行側画像投射装置2Aを載置する第3基台53とを備える。
【0034】
第1基台51は、四隅位置に設けられた弾性部材511を介してプロジェクタ1の筐体に取り付けられている。そして、第1基台51は、−Y軸方向に負荷が加わることで−Y軸方向に移動し、負荷が取り除かれることで弾性部材511の弾性力により+Y軸方向に移動する。また、第1基台51には、+Y軸方向に突出する突出部512が−Z軸方向の端部に設けられている。
第2基台52は、第1基台51に載置されるとともに、第1基台51の突出部512に弾性部材521を介して取り付けられている。そして、第2基台52は、−Z軸方向に負荷が加わることで−Z軸方向に移動し、負荷が取り除かれることで弾性部材521の弾性力により+Z軸方向に移動する。また、第2基台52には、+Y軸方向に突出する突出部522が−X軸方向の端部に設けられている。
【0035】
第3基台53は、第2基台52に載置されるとともに、第2基台52の突出部522に弾性部材531を介して取り付けられている。そして、第3基台53は、−X軸方向に負荷が加わることで−X軸方向に移動し、負荷が取り除かれることで弾性部材531の弾性力により+X軸方向に移動する。
したがって、第1調整機構5は、平行側画像投射装置2AをX軸、Y軸、Z軸に沿って移動させることで投射光学装置3に対する平行側画像投射装置2Aの位置を調整する。なお、平行側画像投射装置2Aの位置とは、クロスダイクロイックプリズム244における射出端面244Aの位置をいうものとする。
【0036】
図3は、第2調整機構6の一例を示す模式図である。なお、図3においても、図2と同様にX軸、Y軸、及びZ軸をとり、さらに、X軸、Y軸、及びZ軸を中心とする回転角をそれぞれφ、θ、ψとする。また、図3においても、垂直側画像投射装置2Bのうち、クロスダイクロイックプリズム244のみを図示し、他の光学部品の図示を省略する。
第2調整機構6は、図3に示すように、プロジェクタ1の筐体に取り付けられる第1基台61と、第1基台61に取り付けられる第2基台62と、第2基台62に取り付けられ、垂直側画像投射装置2Bを載置する第3基台63とを備える。また、プロジェクタ1には、第1基台61を支持するための支持部11がZ軸方向の両端部に設けられている。
【0037】
第1基台61は、Z軸方向にそれぞれ延出する略円柱状の回転軸611を備え、この回転軸611がプロジェクタ1の支持部11に形成された孔11Aに挿通されることでプロジェクタ1の筐体に取り付けられている。また、第1基台61は、四隅位置に設けられた弾性部材612を介してプロジェクタ1の筐体に取り付けられている。そして、第1基台61は、X軸方向のいずれかの端部において、Y軸方向に沿って負荷が加わることでZ軸を中心として回転角ψを増減させるように回転する。また、第1基台61には、第2基台62を支持するための支持部613がX軸方向の両端部に設けられている。
【0038】
第2基台62は、X軸方向にそれぞれ延出する略円柱状の回転軸621を備え、この回転軸621が第1基台61の支持部613に形成された孔613Aに挿通されることで第1基台61に取り付けられている。また、第2基台62は、四隅位置に設けられた弾性部材622を介して第1基台61に取り付けられている。そして、第2基台62は、Z軸方向の端部において、Y軸方向に沿って負荷が加わることでX軸を中心として回転角φを増減させるように回転する。また、第2基台62には、略中心位置において+Y軸方向に突出する略円柱状の軸部623と、Z軸方向の両端部において+Y軸方向にそれぞれ突出する突出部624とが設けられている。
【0039】
第3基台63は、略中心位置に孔63Aが形成され、この孔63Aに第2基台62の軸部623が挿通された状態で載置されている。また、第3基台63は、第2基台62の突出部624に弾性部材631を介して取り付けられている。そして、第3基台63は、X軸方向の両端部のうち、いずれかの端部において、Z軸方向に沿って負荷が加わることでY軸を中心として回転角θを増減させるように回転する。
なお、第1基台61の回転軸611、第2基台62の回転軸621、及び第2基台62の軸部623は、第2調整機構6を+Y軸方向側から見たときに、クロスダイクロイックプリズム244の略中央位置を通るようにそれぞれ設けられている。
【0040】
したがって、第2調整機構6は、垂直側画像投射装置2BをX軸、Y軸、Z軸を中心として回転させることで投射光学装置3に対する垂直側画像投射装置2Bの姿勢を調整する。なお、垂直側画像投射装置2Bの姿勢とは、クロスダイクロイックプリズム244における射出端面244Aの投射光学装置3(PBS31における入射端面)に対する傾きをいうものとする。
以上のように、調整機構4は、第1調整機構5、及び第2調整機構6で合計6自由度を有し、各自由度は、第1調整機構5に3自由度(X軸、Y軸、Z軸)、第2調整機構6に3自由度(φ、θ、ψ)で振り分けられている。また、本実施形態では、プロジェクタ1は、各基台51〜53,61〜63に負荷を加えるためのリニアアクチュエータ(図示略)を備えている。そして、このリニアアクチュエータを駆動することで各画像投射装置2の位置、及び姿勢を調整する。
【0041】
〔プロジェクタの製造方法〕
次に、プロジェクタ1の製造方法を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、投射光学装置3に対する画像投射装置2の位置、及び姿勢の調整方法を主に説明し、その他の製造方法(固定方法等)については説明を省略する。
まず、作業者は、従来と同様の製造方法で製造された各画像投射装置2等の光学部品をプロジェクタ1の筐体内に配置する。そして、光源211を点灯させるとともに、各液晶パネル241を駆動させることで、スクリーン等の投射面に調整用の画像を表示させる。なお、調整用の画像としては、例えば、液晶パネル241Gにて緑色光を透過させ、液晶パネル241R,241Bにて赤色光、青色光を遮断して、投射面上において全ての画素が緑色に表示される画像を採用することができる。
この状態において、投射面に表示される調整用の画像を、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等で撮像し、撮像した撮像画像に基づいて、プロジェクタ1を構成する光学部品の調整を実施する。
【0042】
図4は、プロジェクタ1を構成する光学部品の調整方法を示すフローチャートである。
まず、作業者は、図4に示すように、PBS31を回転させて投射レンズ32に対する位置、及び姿勢を調整する(S1:PBS回転工程)。なお、調整機構4による画像投射装置2の調整で平行側画像投射装置2Aから射出される画像光に基づく画像と、垂直側画像投射装置2Bから射出される画像光に基づく画像とを投射面上で略一致させることができる場合には、PBS回転工程S1は省略することができる。
【0043】
PBS回転工程S1にてPBS31の調整が実施されると、調整機構4は、垂直側画像投射装置2Bのフォーカス調整をする(S2:垂直側フォーカス調整工程)。具体的に、調整機構4は、第2調整機構における第2基台62、及び第3基台63に加える負荷を増減させることで、垂直側画像投射装置2Bの回転角φ、θを調整する。また、投射レンズ32の位置を照明光軸Aに沿って移動させることで、垂直側画像投射装置2Bにおける各液晶パネル241の位置と、投射レンズ32のバックフォーカス位置とが略一致するように調整する。なお、投射レンズ32の位置は、各基台51〜53,61〜63と同様にリニアアクチュエータを用いて移動させることで調整してもよく、PBS31と同様に作業者が調整してもよい。
【0044】
垂直側フォーカス調整工程S2にて垂直側画像投射装置2Bのフォーカス調整が実施されると、調整機構4は、平行側画像投射装置2Aのフォーカス調整をする(S3:平行側フォーカス調整工程)。具体的に、調整機構4は、第1調整機構5における第2基台52に加える負荷を増減させることで平行側画像投射装置2AのZ軸方向の位置を調整する。
【0045】
平行側フォーカス調整工程S3にて平行側画像投射装置2Aのフォーカス調整が実施されると、調整機構4は、垂直側画像投射装置2Bのアラインメント調整をする(S4:垂直側アラインメント調整工程)。具体的に、調整機構4は、第2調整機構における第1基台61に加える負荷を増減させることで、垂直側画像投射装置2Bの回転角ψを調整する。
垂直側アラインメント調整工程S4にて垂直側画像投射装置2Bのアラインメント調整が実施されると、調整機構4は、平行側画像投射装置2Aのアラインメント調整をする(S5:平行側アラインメント調整工程)。具体的に、調整機構4は、第1調整機構における第1基台51、及び第3基台53に加える負荷を増減させることで、平行側画像投射装置2AのX軸方向、及びY軸方向の位置を調整する。
【0046】
なお、垂直側アラインメント調整工程S4、及び平行側アラインメント調整工程S5は、CCDカメラ等で撮像された画像に基づいて、平行側画像投射装置2Aから射出される画像光に基づく画像と、垂直側画像投射装置2Bから射出される画像光に基づく画像とが投射面上で略一致するように繰り返し調整される。
以上の各工程を実施することでプロジェクタ1を構成する光学部品が調整される。
【0047】
本実施形態に係るプロジェクタ1によれば、次のような効果がある。
(1)プロジェクタ1は調整機構4を備えるので、2つの画像投射装置2を従来と同様の製造方法で別々に製造し、各画像投射装置2をそれぞれ配置した後、調整機構4にて画像投射装置2の位置、及び姿勢を調整することができる。したがって、プロジェクタ1の生産性を向上させることができる。また、各画像投射装置2は従来と同様の高い精度を得ることができるので、プロジェクタ1全体としても高い精度を得ることができる。さらに、工場等でプロジェクタ1を製造して出荷した後、経時変化などの影響により再度の調整をする場合であっても、画像投射装置2は投射光学装置3に対して接着剤等で固定されていないので容易に再調整することができる。
【0048】
(2)調整機構4は、照明光学装置21、色分離光学装置22、液晶パネル241、及びクロスダイクロイックプリズム244を含む画像投射装置2全体を調整するので、これらの装置間の調整を実施する必要がなく、プロジェクタ1の製造工程を簡素化することができる。
(3)調整機構4は、第1調整機構5、及び第2調整機構6で合計6自由度を有しているので、各画像投射装置2の相対的な位置、及び姿勢を6自由度で調整することができる。また、各自由度を第1調整機構5、及び第2調整機構6に振り分けているので、各調整機構5,6を小型化することができる。
【0049】
(4)第1調整機構5は、平行側画像投射装置2AをX軸、Y軸、Z軸に沿って移動させることで投射光学装置3に対する平行側画像投射装置2Aの位置を調整し、第2調整機構6は、垂直側画像投射装置2BをX軸、Y軸、Z軸を中心として回転させることで投射光学装置3に対する垂直側画像投射装置2Bの姿勢を調整するので、第1調整機構5、及び第2調整機構6を簡素化することができる。
(5)第1調整機構5は、平行側画像投射装置2Aを調整し、第2調整機構6は、垂直側画像投射装置2Bを調整する。また、平行側画像投射装置2Aは、形成した画像光の射出方向と、投射光学装置3による画像光の投射方向とが略平行となるように配置され、垂直側画像投射装置2Bは、形成した画像光の射出方向と、投射光学装置3による画像光の投射方向とが略直交するように配置されている。したがって、垂直側画像投射装置2Bの調整において、投射レンズ32に対するあおり方向を調整することができ、プロジェクタ1全体としても高い精度を得ることができる。
【0050】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図5は、プロジェクタ1Aの概略構成を示す模式図である。
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省
略する。
前記第1実施形態では、プロジェクタ1は、調整機構4を備え、調整機構4は、第1調整機構5、及び第2調整機構6で合計6自由度を有し、各自由度は、第1調整機構5に3自由度(X軸、Y軸、Z軸)、第2調整機構6に3自由度(φ、θ、ψ)で振り分けられていた。これに対して、本実施形態では、プロジェクタ1Aは、図5に示すように、調整機構4Aを備え、調整機構4Aは、第1調整機構5A、及び第2調整機構6Aで合計6自由度を有し、各自由度は、第1調整機構5Aに3自由度(X軸、Y軸、ψ)、第2調整機構6Aに3自由度(φ、θ、Z軸)で振り分けられている点で異なる。なお、本実施形態では、調整機構4Aの例示、及び図示は省略する。
【0051】
図6は、プロジェクタ1Aを構成する光学部品の調整方法を示すフローチャートである。
まず、作業者は、図6に示すように、前記第1実施形態と同様にPBS回転工程S1を実施する。
PBS回転工程S1にてPBS31の調整が実施されると、調整機構4Aは、垂直側画像投射装置2Bのフォーカス調整をする(S12:垂直側フォーカス調整工程)。具体的に、調整機構4Aは、垂直側画像投射装置2Bの回転角φ、θと、Z軸方向の位置を調整する。
【0052】
垂直側フォーカス調整工程S12にて垂直側画像投射装置2Bのフォーカス調整が実施されると、投射レンズ32の位置を照明光軸Aに沿って移動させることで、平行側画像投射装置2Aのフォーカス調整をする(S13:平行側フォーカス調整工程)。具体的に、投射レンズ32の位置は、垂直側画像投射装置2Bにおける各液晶パネル241の位置と、投射レンズ32のバックフォーカス位置とが略一致するように調整する。なお、投射レンズ32の位置は、前記第1実施形態における各基台51〜53,61〜63と同様にリニアアクチュエータを用いて移動させることで調整してもよく、PBS31と同様に作業者が調整してもよい。
【0053】
平行側フォーカス調整工程S13にて平行側画像投射装置2Aのフォーカス調整が実施されると、調整機構4Aは、平行側画像投射装置2Aのアラインメント調整をする(S14:平行側アラインメント調整工程)。具体的に、調整機構4Aは、平行側画像投射装置2AのX軸方向、及びY軸方向の位置、及び回転角ψを調整する。
以上の各工程を実施することでプロジェクタ1Aを構成する光学部品が調整される。
【0054】
このような本実施形態においても、前記第1実施形態における(1)〜(3),(5)と同様の作用効果を奏することができる他、以下の作用効果を奏することができる。
(6)第1調整機構5Aは、平行側画像投射装置2AのX軸方向、及びY軸方向の位置、及び回転角ψを調整し、第2調整機構6Aは、垂直側画像投射装置2Bの回転角φ、θと、Z軸方向の位置を調整するので、各画像投射装置2のアラインメント調整をする場合には、第1調整機構5Aのみを駆動すればよく、フォーカス調整をする場合には、第2調整機構6Aのみを駆動すればよいので、プロジェクタ1の製造方法を簡素化することができる。
【0055】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
図7は、プロジェクタ1Bの概略構成を示す模式図である。
前記第1実施形態、及び前記第2実施形態では、プロジェクタ1,1Aは、調整機構4,4Aを備え、調整機構4,4Aは、第1調整機構5,5A、及び第2調整機構6,6Aで合計6自由度を有し、各自由度は、第1調整機構5,5Aに3自由度、第2調整機構6,6Aに3自由度で振り分けられていた。これに対して、本実施形態では、プロジェクタ1Bは、図7に示すように、垂直側画像投射装置2Bの投射光学装置3に対する位置、及び姿勢を調整する調整機構4Bを備え、調整機構4Bは、6自由度(X軸、Y軸、Z軸、φ、θ、ψ)を有している点で異なる。なお、本実施形態では、調整機構4Bの例示、及び図示は省略する。
また、前記第1実施形態、及び前記第2実施形態では、各画像投射装置2は、調整機構4,4Aにて調整可能に構成されていたが、本実施形態では、平行側画像投射装置2Aは、プロジェクタ1の筐体内に固定されている点で異なる。
【0056】
図8は、プロジェクタ1Bを構成する光学部品の調整方法を示すフローチャートである。
まず、作業者は、図8に示すように、前記第1実施形態、及び第2実施形態と同様にPBS回転工程S1を実施する。
PBS回転工程S1にてPBS31の調整が実施されると、調整機構4Bは、前記第2実施形態と同様に垂直側フォーカス調整工程S12、及び平行側フォーカス調整工程S13を実施する。
【0057】
平行側フォーカス調整工程S13にて平行側画像投射装置2Aのフォーカス調整が実施されると、調整機構4Bは、垂直側画像投射装置2Bのアラインメント調整をする(S24:垂直側アラインメント調整工程)。具体的に、調整機構4Bは、垂直側画像投射装置2BのX軸方向、及びY軸方向の位置、及び回転角ψを調整する。
以上のステップを実施することでプロジェクタ1Bを構成する光学部品が調整される。
【0058】
このような本実施形態においても、前記第1実施形態における(1)〜(3),(5)と同様の作用効果を奏することができる他、以下の作用効果を奏することができる。
(7)平行側画像投射装置2Aは、投射光学装置3に対する位置、及び姿勢が固定されるので、平行側画像投射装置2Aを従来と同様の製造方法で製造して固定した後、垂直側画像投射装置2Bを従来と同様の製造方法で製造して配置し、調整機構4Bにて配置した垂直側画像投射装置2Bの位置、及び姿勢を調整することができる。したがって、プロジェクタ1の生産性を更に向上させることができる。
(8)平行側画像投射装置2Aと、投射光学装置3との配置は、従来の1つの画像投射装置を備えるプロジェクタと同じであるので、プロジェクタ1の生産性を更に向上させることができる。
【0059】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。また、前記各実施形態を組み合わせることは自由である。
前記各実施形態では、調整機構4,4A,4Bは、画像投射装置2の投射光学装置3に対する位置、及び姿勢を調整していたが、調整機構は、画像投射装置の投射光学装置に対する位置、及び姿勢の少なくともいずれか一方を調整すればよい。しかしながら、プロジェクタ全体として高い精度を得るためには、前記各実施形態のように調整機構は画像投射装置の投射光学装置に対する位置、及び姿勢を調整することが好ましい。
前記各実施形態では、調整機構4,4A,4Bは、6自由度を有していたが、これとは異なる自由度を有していてもよく、必要に応じて増減させればよい。
【0060】
前記第1実施形態では、調整機構4は、第1調整機構5、及び第2調整機構6で合計6自由度を有し、各自由度は、第1調整機構5に3自由度(X軸、Y軸、Z軸)、第2調整機構6に3自由度(φ、θ、ψ)で振り分けられていた。また、前記第2実施形態では、調整機構4Aは、第1調整機構5A、及び第2調整機構6Aで合計6自由度を有し、各自由度は、第1調整機構5Aに3自由度(X軸、Y軸、ψ)、第2調整機構6Aに3自由度(φ、θ、Z軸)で振り分けられていた。これに対して、例えば、第1調整機構に4自由度、第2調整機構に2自由度で振り分けてもよい。要するに、各自由度をどのように第1調整機構、及び第2調整機構に振り分けるかは設計者の自由である。
【0061】
前記第1実施形態、及び前記第2実施形態では、第1調整機構5,5Aは、平行側画像投射装置2Aを調整し、第2調整機構6,6Aは、垂直側画像投射装置2Bを調整していた。これに対して、第1調整機構は、垂直側画像投射装置を調整し、第2調整機構は、平行側画像投射装置を調整するようにしてもよい。要するに、第1調整機構は、一方の画像投射装置を調整し、第2調整機構は、他方の画像投射装置を調整すればよい。
前記第3実施形態では、平行側画像投射装置2Aは、プロジェクタ1の筐体内に固定され、垂直側画像投射装置2Bは、調整機構4Bにて調整されていた。これに対して、垂直側画像投射装置は、プロジェクタの筐体内に固定され、平行側画像投射装置は、調整機構にて調整されるようにしてもよい。要するに、一方の画像投射装置は、投射光学装置に対する位置、及び姿勢が固定され、他方の画像投射装置は、調整機構にて調整されるようにすればよい。
【0062】
前記第1実施形態では、調整機構4の構成を例示したが、調整機構は、これ以外の構成であってもよい。要するに、調整機構は、投射光学装置に対する画像投射装置の位置、及び姿勢を調整するものであればよい。
前記各実施形態では、透過型の液晶パネル241を採用していたが、これに限らず、反射型の液晶パネルを採用してもよく、あるいは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を採用してもよい。なお、DMDは米国テキサスインスツルメンツ社の商標である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、プロジェクタに利用でき、特に2系統の画像投射装置を備えるプロジェクタに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示す模式図。
【図2】前記実施形態における第1調整機構の一例を示す模式図。
【図3】前記実施形態における第2調整機構の一例を示す模式図。
【図4】前記実施形態におけるプロジェクタを構成する光学部品の調整方法を示すフローチャート。
【図5】本発明の第2実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示す模式図。
【図6】前記実施形態におけるプロジェクタを構成する光学部品の調整方法を示すフローチャート。
【図7】本発明の第3実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示す模式図。
【図8】前記実施形態におけるプロジェクタを構成する光学部品の調整方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0065】
1,1A,1B…プロジェクタ、2…画像投射装置、2A…平行側画像投射装置、2B…垂直側画像投射装置、3…投射光学装置、4,4A,4B…調整機構、5,5A…第1調整機構、6,6A…第2調整機構、21…照明光学装置、22…色分離光学装置、241…液晶パネル(光変調装置)、244…クロスダイクロイックプリズム(色合成光学装置)、A…照明光軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出された光を被照明領域で結像させる照明光学装置と、照明光学装置から射出された光を複数の色光に分離する色分離光学装置と、色分離光学装置にて分離された複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、各光変調装置にて変調された各色光を合成した画像光を射出する色合成光学装置とをそれぞれ有する2つの画像投射装置と、各画像投射装置から射出される画像光を合成して投射する投射光学装置とを備えるプロジェクタであって、
前記投射光学装置に対する前記画像投射装置の位置、及び姿勢の少なくともいずれか一方を調整する調整機構を備えることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記調整機構は、
前記各画像投射装置のうち、一方の画像投射装置を調整する第1調整機構と、他方の画像投射装置を調整する第2調整機構とで構成され、
前記光源から前記色合成光学装置を介して前記投射光学装置に至る照明光軸と、前記照明光軸に直交し、かつ、互いに直交する2つの直交軸とに沿って前記画像投射装置を移動させることで前記画像投射装置の位置を調整するとともに、前記照明光軸、及び前記各直交軸を中心として前記画像投射装置を回転させることで前記画像投射装置の姿勢を調整する6自由度を有し、
前記各自由度は、前記第1調整機構、及び前記第2調整機構に振り分けられていることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
前記第1調整機構は、前記照明光軸、及び前記各直交軸に沿って前記画像投射装置を移動させることで前記画像投射装置の位置を調整し、
前記第2調整機構は、前記照明光軸、及び前記各直交軸を中心として前記画像投射装置を回転させることで前記画像投射装置の姿勢を調整することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項4】
請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
前記第1調整機構は、前記各直交軸に沿って前記画像投射装置を移動させるとともに、前記照明光軸を中心として前記画像投射装置を回転させることで調整し、
前記第2調整機構は、前記照明光軸に沿って前記画像投射装置を移動させるとともに、前記各直交軸を中心として前記画像投射装置を回転させることで調整することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項5】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記各画像投射装置のうち、一方の画像投射装置は、前記投射光学装置に対する位置、及び姿勢が固定され、他方の画像投射装置は、前記調整機構にて調整され、
前記調整機構は、
前記光源から前記色合成光学装置を介して前記投射光学装置に至る照明光軸と、前記照明光軸に直交し、かつ、互いに直交する2つの直交軸とに沿って前記画像投射装置を移動させることで前記画像投射装置の位置を調整するとともに、前記照明光軸、及び前記各直交軸を中心として前記画像投射装置を回転させることで前記画像投射装置の姿勢を調整する6自由度を有することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記一方の画像投射装置は、前記画像光の射出方向と、前記投射光学装置による画像光の投射方向とが略平行となるように配置され、
前記他方の画像投射装置は、前記画像光の射出方向と、前記投射光学装置による画像光の投射方向とが略直交するように配置されていることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項7】
光源から射出された光を被照明領域で結像させる照明光学装置と、照明光学装置から射出された光を複数の色光に分離する色分離光学装置と、色分離光学装置にて分離された複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、各光変調装置にて変調された各色光を合成した画像光を射出する色合成光学装置とをそれぞれ有する2つの画像投射装置と、各画像投射装置から射出される画像光を合成して投射する投射光学装置とを備えるプロジェクタの調整方法であって、
前記プロジェクタは、前記投射光学装置に対する前記画像投射装置の位置、及び姿勢の少なくともいずれか一方を調整する調整機構を備え、
前記画像投射装置を、前記調整機構にて調整することを特徴とする調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−198539(P2009−198539A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36970(P2008−36970)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】