説明

プロジェクタの天吊り用部材、プロジェクタ、プロジェクタの取付方法

【課題】簡単な構造で高い放熱性を有する天吊り用部材、天吊り用部材を備えるプロジェクタ、及び、プロジェクタの取付方法を提供する。
【解決手段】プロジェクタ10の天吊り用部材500であって、プロジェクタ10の筐体10aに取り付けられる本体固定板部材である本体固定板540と、プロジェクタ10の開口部16b内に位置する光源ユニットである励起光照射装置70の光源用ヒートシンク81に当接し、且つ、本体固定板540に収容される天吊り用ヒートシンク550と、天吊り用ヒートシンク550と光源用ヒートシンク81との間に配置されるシート状の熱伝導部材560を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタの天吊り用部材、プロジェクタ、プロジェクタの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータの画面やビデオ画像、更にメモリカード等に記憶されている画像データによる画像等をスクリーンに投影する画像投影装置としてのデータプロジェクタが多用されている。このプロジェクタは、光源から射出された光をDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子、又は、液晶板に集光させ、スクリーン上にカラー画像を表示させるものである。
【0003】
このようなプロジェクタにおいて、従来は高輝度の放電ランプを光源とするものが主流であったが、近年、光源として発光ダイオードやレーザーダイオード、あるいは、有機EL、蛍光体等を用いる種々のプロジェクタの開発が多々なされている。
【0004】
そして、プロジェクタを天井から吊り下げる、いわゆる天吊設置を行うことができるものが知られている。また、特許文献1に記載されたプロジェクタは、机上にプロジェクタを設置する据置設置と天吊設置とを切換えて使用することができるものである。上記プロジェクタは、設置状態に応じて冷却用のファンの回転速度等を制御する制御部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−42444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般的に、天井付近の温度は机上付近の温度と比較して高温である。このため、プロジェクタを天井から吊り下げて設置する場合、高い放熱性が要求される。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のプロジェクタでは、天吊設置で天井付近が高温の場合、放熱性を高めるためにファンの回転速度やトルク等を増大させる制御を行うので、消費電力の増大、ファン回転速度の増大による騒音の発生、等が生じる場合がある。
【0008】
本発明は上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で、高い放熱性を有する天吊り用部材、その天吊り用部材を備えるプロジェクタ、及び、プロジェクタの取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプロジェクタの天吊り用部材は、プロジェクタの筐体に取り付けられる本体固定板部材と、前記筐体の開口部内に位置する光源ユニットの光源用ヒートシンクに当接し、且つ、前記本体固定板部材に収容される天吊り用ヒートシンクと、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るプロジェクタは、上記本発明に係る天吊り用部材を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るプロジェクタの取り付け方法は、上記本発明に係る天吊り用部材を用いてプロジェクタを被取付体に取り付けるプロジェクタの取付方法であって、前記プロジェクタの筐体内の前記光源ユニットに対応する位置に形成された開口部に設けられた底面パネル蓋を取り外す工程と、前記光源用ヒートシンクと前記天吊り用ヒートシンクとを当接させた状態で、前記天吊り用ヒートシンクを前記本体固定板部材の収容部内に収容し、当該本体固定板部材をプロジェクタの筐体に取り付ける工程と、前記被取付体である天井に固定された支持部材に、前記本体固定板部材を固定することで前記プロジェクタを前記被取付体に取り付ける工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プロジェクタを天井に設置する場合でも、良好な放熱性を有する天吊り用部材、その天吊り用部材を備えるプロジェクタ、及び、プロジェクタの取付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るプロジェクタを示す外観斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプロジェクタの機能回路ブロックを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプロジェクタの内部構造を示す平面模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係るプロジェクタの底パネル蓋が取り付けられた状態を示す底面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るプロジェクタの底パネル蓋が取り外された光源装置の露出した状態を示す底面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るプロジェクタと天吊り用部材の分解斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る天吊り用部材の一部である本体固定板(本体固定板部材)を筐体に取付けた状態のプロジェクタの斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る天吊り用部材を筐体に取付けた状態のプロジェクタの斜視図である。
【図9】本発明の実施形態に係る天吊り用部材500にプロジェクタ10が取付けられた状態の天吊り用部材500およびプロジェクタの断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係るプロジェクタの取付方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。図1は、プロジェクタ10の外観斜視図である。なお、本実施形態において、プロジェクタ10における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とはプロジェクタ10のスクリーン側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0015】
そして、プロジェクタ10は、図1に示すように、略直方体形状であって、プロジェクタ筐体の前方の側板とされる正面パネル12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有するとともに、この正面パネル12には複数の吸気孔18を設けている。さらに、図示しないがリモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を備えている。
【0016】
また、筐体の上面パネル11にはキー/インジケータ部37が設けられ、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、光源ユニットや表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
【0017】
さらに、筐体の背面には、背面パネルにUSB端子や画像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20が設けられている。また、背面パネルには、複数の吸気孔が形成されている。なお、図示しない筐体の側板である右側パネル、及び、図1に示した側板である左側パネル15には、各々複数の排気孔17が形成されている。また、左側パネル15の背面パネル近傍の隅部には、吸気孔18も形成されている。さらに、図示しない下面パネルにおける正面、背面、左側及び右側パネルの近傍にも、吸気孔あるいは排気孔が複数形成されている。
【0018】
次に、プロジェクタ10のプロジェクタ制御手段について図2のブロック図を用いて述べる。プロジェクタ制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成され、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0019】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0020】
表示駆動部26は、表示素子制御手段として機能するものであり、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものであり、光源ユニット60から射出された光線束を、導光光学系を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、後述する投影側光学系を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示する。なお、この投影側光学系の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
【0021】
また、画像圧縮伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。さらに、画像圧縮伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、この画像データを、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行う。
【0022】
制御部38は、プロジェクタ10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0023】
筐体の上面パネル11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
【0024】
なお、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0025】
また、制御部38は、光源制御手段としての光源制御回路41を制御しており、この光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源ユニット60から射出されるように、光源ユニット60の励起光照射装置、赤色光源装置、及び青色光源装置の発光を個別に制御する。
【0026】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源ユニット60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等によりプロジェクタ本体の電源OFF後も冷却ファンの回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によってはプロジェクタ本体の電源をOFFにする等の制御も行う。
【0027】
次に、このプロジェクタ10の内部構造について述べる。図3は、プロジェクタ10の内部構造を示す平面模式図である。プロジェクタ10は、図3に示すように、右側パネル14の近傍に制御回路基板241を備えている。この制御回路基板241は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備えてなる。また、プロジェクタ10は、制御回路基板241の側方、つまり、プロジェクタ筐体の略中央部分に光源ユニット60を備えている。さらに、プロジェクタ10は、光源ユニット60と左側パネル15との間に光学系ユニット160を備えている。
【0028】
光源ユニット60は、プロジェクタ筐体の左右方向における略中央部分であって背面パネル13近傍に配置される励起光照射装置70と、この励起光照射装置70から射出される光線束の光軸上であって正面パネル12の近傍に配置される蛍光発光装置100と、この蛍光発光装置100から射出される光線束と平行となるように正面パネル12の近傍に配置される青色光源装置300と、励起光照射装置70と蛍光発光装置100との間に配置される赤色光源装置120と、蛍光発光装置100からの射出光や赤色光源装置120からの射出光、青色光源装置300からの射出光の光軸が夫々同一の光軸となるように変換して各色光を所定の一面であるライトトンネル175の入射口に導光する導光光学系140と、を備える。
【0029】
励起光照射装置70は、背面パネル13と光軸が平行になるよう配置された励起光源71と、励起光源71からの射出光の光軸を正面パネル12方向に90度変換する反射ミラー群75と、反射ミラー群75で反射した励起光源71からの射出光を集光する集光レンズ78と、励起光源71と右側パネル14との間に配置された、励起光源71等を冷却するための光源用ヒートシンク81と、を備える。
【0030】
励起光源71は、3行8列の計24個の青色レーザーダイオードがマトリクス状に配列されており、各青色レーザーダイオードの光軸上には、各青色レーザーダイオードからの射出光を平行光に変換する集光レンズであるコリメータレンズ73が夫々配置されている。また、反射ミラー群75は、複数の反射ミラーが階段状に配列されてなり、励起光源71から射出される光線束の断面積を一方向に縮小して集光レンズ78に射出する。
【0031】
光源用ヒートシンク81と背面パネル13との間には2つの冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261と光源用ヒートシンク81とによって励起光源71が冷却される。さらに、反射ミラー群75と背面パネル13との間にも冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって反射ミラー群75や集光レンズ78が冷却される。
【0032】
蛍光発光装置100は、正面パネル12と平行となるように、つまり、励起光照射装置70からの射出光の光軸と直交するように配置された蛍光ホイール101と、この蛍光ホイール101を回転駆動するホイールモータ110と、蛍光ホイール101から背面パネル13方向に射出される光線束を集光する集光レンズ群111と、を備える。
【0033】
蛍光ホイール101は、円板状の金属基材であって、励起光源71からの射出光を励起光として緑色波長帯域の蛍光発光光を射出する環状の蛍光発光領域が凹部として形成され、励起光を受けて蛍光発光する蛍光板として機能する。また、蛍光発光領域を含む蛍光ホイール101の励起光源71側の表面は、銀蒸着等によってミラー加工されることで光を反射する反射面が形成され、この反射面上に緑色蛍光体の層が敷設されている。
【0034】
そして、蛍光ホイール101の緑色蛍光体層に照射された励起光照射装置70からの射出光は、緑色蛍光体層における緑色蛍光体を励起し、緑色蛍光体から全方位に蛍光発光された光線束は、直接励起光源71側へ、あるいは、蛍光ホイール101の反射面で反射した後に励起光源71側へ射出される。また、蛍光体層の蛍光体に吸収されることなく、金属基材に照射された励起光は、反射面により反射されて再び蛍光体層に入射し、蛍光体を励起することとなる。よって、蛍光ホイール101の凹部の表面を反射面とすることにより、励起光源71から射出される励起光の利用効率を上げることができ、より明るく発光させることができる。
【0035】
なお、蛍光ホイール101の反射面で蛍光体層側に反射された励起光において蛍光体に吸収されることなく励起光源71側に射出された励起光は、後述する第一ダイクロイックミラー141を透過し、蛍光光は第一ダイクロイックミラー141により反射されるため、励起光が外部に射出されることはない。そして、ホイールモータ110と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって蛍光ホイール101が冷却される。
【0036】
赤色光源装置120は、励起光源71と光軸が平行となるように配置された赤色光源121と、赤色光源121からの射出光を集光する集光レンズ群125と、を備える。そして、この赤色光源装置120は、励起光照射装置70からの射出光及び蛍光ホイール101から射出される緑色波長帯域光と光軸が交差するように配置されている。また、赤色光源121は、赤色の波長帯域光を発する半導体発光素子としての赤色発光ダイオードである。さらに、赤色光源装置120は、赤色光源121の右側パネル14側に配置されるヒートシンク130を備える。そして、ヒートシンク130と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって赤色光源121が冷却される。
【0037】
青色光源装置300は、蛍光発光装置100からの射出光の光軸と平行となるように配置された青色光源301と、青色光源301からの射出光を集光する集光レンズ群305と、を備える。そして、この青色光源装置300は、赤色光源装置120からの射出光と光軸が交差するように配置されている。また、青色光源301は、青色の波長帯域光を発する半導体発光素子としての青色発光ダイオードである。さらに、青色光源装置300は、青色光源301の正面パネル12側に配置されるヒートシンク310を備える。そして、ヒートシンク310と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって青色光源301が冷却される。
【0038】
そして、導光光学系140は、赤色、緑色、青色波長帯域の光線束を集光させる集光レンズや、各色波長帯域の光線束の光軸を変換して同一の光軸とさせるダイクロイックミラー等からなる。具体的には、励起光照射装置70から射出される青色波長帯域光及び蛍光ホイール101から射出される緑色波長帯域光の光軸と、赤色光源装置120から射出される赤色波長帯域光の光軸と、が交差する位置に、青色及び赤色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射してこの緑色光の光軸を左側パネル15方向に90度変換する第一ダイクロイックミラー141が配置されている。
【0039】
また、青色光源装置300から射出される青色波長帯域光の光軸と、赤色光源装置120から射出される赤色波長帯域光の光軸と、が交差する位置に、青色波長帯域光を透過し、緑色及び赤色波長帯域光を反射してこの緑色及び赤色光の光軸を背面パネル13方向に90度変換する第二ダイクロイックミラー148が配置されている。そして、第一ダイクロイックミラー141と第二ダイクロイックミラー148との間には、集光レンズが配置されている。さらに、ライトトンネル175の近傍には、ライトトンネル175の入射口に光源光を集光する集光レンズ173が配置されている。
【0040】
光学系ユニット160は、励起光照射装置70の左側方に位置する照明側ブロック161と、背面パネル13と左側パネル15とが交差する位置の近傍に位置する画像生成ブロック165と、導光光学系140と左側パネル15との間に位置する投影側ブロック168と、の3つのブロックによって略コの字状に構成されている。
【0041】
この照明側ブロック161は、光源ユニット60から射出された光源光を画像生成ブロック165が備える表示素子51に導光する光源側光学系170の一部を備えている。この照明側ブロック161が有する光源側光学系170としては、光源ユニット60から射出された光線束を均一な強度分布の光束とするライトトンネル175、ライトトンネル175から射出された光を集光する集光レンズ178、ライトトンネル175から射出された光線束の光軸を画像生成ブロック165方向に変換する光軸変換ミラー181等がある。
【0042】
画像生成ブロック165は、光源側光学系170として、光軸変換ミラー181で反射した光源光を表示素子51に集光させる集光レンズ183と、この集光レンズ183を透過した光線束を表示素子51に所定の角度で照射する照射ミラー185と、を有している。さらに、画像生成ブロック165は、表示素子51とするDMDを備え、この表示素子51と背面パネル13との間には表示素子51を冷却するためのヒートシンク190が配置されて、このヒートシンク190によって表示素子51が冷却される。また、表示素子51の正面近傍には、投影側光学系220としての集光レンズ195が配置されている。
【0043】
投影側ブロック168は、表示素子51で反射されたオン光をスクリーンに放出する投影側光学系220のレンズ群を有している。この投影側光学系220としては、固定鏡筒に内蔵する固定レンズ群225と可動鏡筒に内蔵する可動レンズ群235とを備えてズーム機能を備えた可変焦点型レンズとされ、レンズモータにより可動レンズ群235を移動させることによりズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
【0044】
なお、光源装置における励起光源71は、上述のとおり3行8列の計24個の青色レーザーダイオードがマトリクス状に配列されている。
【0045】
次に、プロジェクタ10の底面側の構造について説明する。図4は、本発明の実施形態に係るプロジェクタ10の底パネル蓋16aが取り付けられた状態を示す底面図である。図5は、本発明の実施形態に係るプロジェクタ10の底パネル蓋16aが取り外された光源装置である励起光照射装置70の露出した状態を示す底面図である。
【0046】
図4、図5に示すように、プロジェクタ10の筐体10aの底面パネル16の中央近傍に、励起光照射装置70の位置に合わせて開口部16b、及び底パネル蓋16aが設けられている。詳細には、プロジェクタ10の底面側には、底パネル蓋16aを固定するためのネジ601用のネジ穴602が形成されており、底パネル蓋16aをネジ601により固定する。この開口部16b及び底パネル蓋16aは、励起光照射装置70の保守を可能とするものである。図5に示すように、底パネル蓋16aを取り外した状態では、光源装置である励起光照射装置70の光源用ヒートシンク81が露出した状態となる。
【0047】
尚、この底パネル蓋16aを固定するネジ601を挿入するネジ穴602は、天吊り用部材500を固定するためのネジ穴602として利用される。
【0048】
次に、本発明の実施形態に係るプロジェクタ10と天吊り用部材500を、図面を参照しながら説明する。
【0049】
図6は、本発明の実施形態に係るプロジェクタ10と天吊り用部材500の分解斜視図である。図7は、天吊り用部材500の一部である天吊り板としての本体固定板540を筐体10aに取付けた状態のプロジェクタ10の斜視図である。図8は、天吊り用部材500を筐体10aに取付けた状態のプロジェクタ10の斜視図である。図9は、天吊り用部材500にプロジェクタ10が取付けられた状態の天吊り用部材500およびプロジェクタ10の断面図である。
【0050】
プロジェクタ10を天井に取り付けるための天吊り用部材500は、図6乃至図9に示したように、天井取付部材510、上部支持部材520、下部支持部材530、天吊り板である本体固定板部材としての本体固定板540、天吊り用ヒートシンク550を有する。天吊り用ヒートシンク550と光源用ヒートシンク81との間には、シート状の熱伝導部材560が配置される。以下、天吊り用部材500の各構成を詳細に説明する。
【0051】
天井取付部材510は、図6に示したように、略三角形、且つ、板形状に形成され、例えば、アルミニウムや鉄等の金属材料により構成されている。天井取付部材510は、三角形の角部それぞれに取付孔部510aが形成され、中央部に矩形状の孔部510bが形成されている。また、天井取付部材510には、上部支持部材520の係合部(不図示)が係合する係合孔部510cを有する。この天井取付部材510の下方には、上部支持部材520が配置されている。
【0052】
上部支持部材520は、円筒部521と、円筒部521の上方側に形成されたフランジ部522と、円筒部521の下方側に形成され、下部支持部材530の取付角度を変更自在に且つ摺動面で摺動自在に下部支持部材530を接続する摺動取付部523とを有する。この上部支持部材520の円筒部521とフランジ部522と摺動取付部523とは、例えば、アルミニウムや鉄等の金属材料により一体形成されている。
【0053】
円筒部521は、中空の円筒形状に形成されており、上端部にフランジ部522が形成されている。フランジ部522は、内径が上方側端部に向かって拡径した形状に形成されている。フランジ部522の上端部の一部又は全部には、天井取付部材510の係合孔部510cに係合する係合部(不図示)が形成されている。摺動取付部523は、円筒部521の下端面に形成されており、上方内側に向かって凹形状に形成されている。この摺動取付部523には、下部支持部材530の凸形部535が摺動自在に取り付けられている。
【0054】
また、円筒部521の下面には、摺動取付部523よりも外周側に傾斜面521bが形成されている。このように、円筒部521の下面に傾斜面521bを形成することにより、プロジェクタ10の取付角度の変更範囲を比較的大きく設定することができ、下部支持部材530の板状本体部531が円筒部521に接触することを防止することができる。この上部支持部材520の下方には、下部支持部材530が配置されている。
【0055】
下部支持部材530は、板状本体部531と、上方側に突出した凸形部535と、を有する。この板状本体部531と凸形部535は、例えばアルミニウムや鉄等の金属材料により一体形成されている。尚、下部支持部材530の板状本体部531と凸形部535とは、別部材により形成してもよい。
【0056】
板状本体部531は、略矩形状に形成されており、板状本体部531の前側に矩形状の前方立下り壁部532が形成され、板状本体部531の後側に係合部533が形成されている。
【0057】
前方立下り壁部532は、板状本体部531の前端部を下方向に略直角に折曲して延出した形状に形成されており、組立時には、本体固定板540の前方立上げ壁部542の前方側に配置される。前方立下り壁部532の左右端部付近には、ネジが取り付けられる取付孔部532aが形成されている。下部支持部材530の取付孔部532aと、本体固定板540の前方立上げ壁部542の取付孔部542aとに、ネジ611等の固定部材が係合することで、下部支持部材530と本体固定板540とが係合して取付けられる。
【0058】
係合部533は、板状本体部531の後端部に形成され、且つ、本体固定板540の後方立上げ壁部543の取付孔部543aよりも小さい幅に形成されている。下部支持部材530の係合部533は、本体固定板540の取付孔部543aに挿入された状態で係合するように構成されている。
【0059】
板状本体部531の中央部には、上方に向かって凸形状の凸形部535が形成されている。凸形部535の上面は、上部支持部材520に摺動自在に取り付けられる。詳細には、上部支持部材520と下部支持部材530とは、互いに取付け角度が変更自在となるように連結した構造を有する。この上部支持部材520と下部支持部材530との連結機構は、例えば、ボールジョイント構造など所定の連結構造を採用することができる。この下部支持部材530の下方には、本体固定板540が配置されている。
【0060】
本体固定板540は、板状本体部541と、板状本体部541の前方に形成された矩形状の前方立上げ壁部542と、板状本体部541の後方に矩形状の後方立上げ壁部543と、板状本体部541の略中央部に直方体形状の収容部545と、を有する。
【0061】
板状本体部541は、略矩形状に形成されているとともに、プロジェクタ10の底面パネル16の開口部16bよりも大きく形成されている。また、板状本体部541は、四方の角部付近に、ネジ等の固定部材が係合する取付孔部541aが形成されている。プロジェクタ10の筐体10aの底面側にネジ穴602が形成されており、そのネジ孔に固定される。
【0062】
前方立上げ壁部542は、板状本体部541の前方端部から上方に向かって垂直に延設されており、左右両端付近にネジ等の固定部材が係合する複数の取付孔部542aが形成されている。この取付孔部542aは、下部支持部材530の取付孔部532aに対応する位置に設けられている。
【0063】
後方立上げ壁部543は、板状本体部541の後方端部から上方に向かって垂直に延設されている。後方立上げ壁部543は、上端部付近に横長矩形状の取付孔部543aが形成されており、この取付孔部543aには、下部支持部材530の後方の係合部533が挿入される。
【0064】
収容部545は、板状本体部541の略中央部に凸形状、詳細には、略直方体形状に形成されており、内部に天吊り用ヒートシンク550を収容する。収容部545の下端部には開口部が形成され、光源用ヒートシンク81上に熱伝導部材560を介在して配置された天吊り用ヒートシンク550が下方から挿入される。組立時、収容部545の天井部545bは、天吊り用ヒートシンク550の上部に当接し、且つ、天吊り用ヒートシンク550を下方に押圧するように構成されている。
【0065】
また、収容部545は、少なくとも側面の一部又は複数箇所に、吸排気口としての通気用開口部545aが形成されている。本実施形態では、収容部545の通気用開口部545aは、例えば、前面、両側面、及び後面の四方に形成されている。また、収容部545の通気用開口部545aが形成されている面の前方、両側方、及び後方の全て又は一部には、通気路としての空間を設けることが好ましい。こうすることで、収容部545内の天吊り用ヒートシンク550と外部との間の通気性が向上して、天吊り用ヒートシンク550の放熱性が向上する。
【0066】
天吊り用ヒートシンク550は、基板550aの上部に複数の突起状の放熱体としての棒状の放熱体550bが形成されており、基板550aがシート状の熱伝導部材560を介して光源用ヒートシンク81上に配置されている。本実施形態では、基板550a上に複数の棒状の放熱体550bが、所定の間隔を空けてマトリクス状、いわゆる剣山状に形成されている。天吊り用ヒートシンク550の複数の棒状の放熱体550bの間の空間は、プロジェクタ10の筐体10a内に設けられた冷却ファン261による冷却媒体としての空気の通気路として用いられる。本実施形態では、天吊り用ヒートシンク550は、複数の棒状の放熱体550bが所定間隔を空けてマトリクス状に形成されているので、その複数の棒状の放熱体550bの間が前後方向、且つ、左右方向に空気の通気路として機能して、高い放熱性を有する。上述したように、この天吊り用ヒートシンク550の下方には、シート状の熱伝導部材560が配置されるが、熱伝導部材560の周囲(光源用ヒートシンクと天吊り用ヒートシンクが当接する当接面)の周囲を通気路として光源用ヒートシンクに送風される冷却媒体が、開口部16bを通して天吊り用ヒートシンク550の周囲に流れ、上述した天吊り用ヒートシンク550の冷却媒体としても作用する。
【0067】
尚、上記天吊り用ヒートシンク550は、基板550a上に棒状の放熱体550bが形成されていたが、例えば、基板550aに複数の板状のフィンが形成されていても構わない。
【0068】
熱伝導部材560は、シート状の熱伝導性の材料で形成されており、光源用ヒートシンク81と天吊り用ヒートシンク550との間に設けられている。本実施形態では、シート状の熱伝導部材560は、天吊り用ヒートシンク550の底面側に接着固定されているものとする。このように、天吊り用ヒートシンク550の底面に熱伝導部材560を接着固定した一体構造とすることで、組立時に、光源用ヒートシンク81上に、天吊り用ヒートシンク550及び熱伝導部材560を簡単に設置することができ、分解時、天吊り用ヒートシンク550及び熱伝導部材560を容易に取り外すことができる。熱伝導部材560としては、例えば、グラファイトシート等を採用してもよい。また、熱伝導部材560として、熱伝導性グリスなどの、軟質の熱伝導材を採用してもよい。
なお、本実施形態では、シート状の熱伝導部材560は、天吊り用ヒートシンク550の底面側に接着固定されているものとしたが、熱伝導部材560を、光源用ヒートシンク81及び、天吊り用ヒートシンク550とは別体の部品として構成するようにしてもよい。
【0069】
次に、プロジェクタ10を据置設置から天吊設置に切換える場合、プロジェクタ10の取付方法を、図10を参照しながら詳説する。
【0070】
ステップS101において、先ず、略三角形状の天井取付部材510を被取付体としての天井に取り付ける。詳細には、天井の所定の位置に天井取付部材510を配置し、取付孔部510aにネジ等の固定部材を嵌合させて、天井取付部材510を天井に固定する。
【0071】
次に、上部支持部材520と下部支持部材530とを摺動自在に連結する。詳細には、上部支持部材520の摺動取付部523と、下部支持部材530の凸形部535とを摺動自在に接続する。
【0072】
次に、この上部支持部材520と下部支持部材530とが一体となった部材を、天井取付部材510に取り付ける。詳細には、天井取付部材510の係合孔部510cに、上部支持部材520のフランジ部522の上端部に設けられた係合部(不図示)を係合することにより、天井取付部材510に上部支持部材520を固定する。これにより、天井取付部材510、上部支持部材520、及び、下部支持部材530が天井に固定された状態となる。
【0073】
ステップS110において、プロジェクタ10の筐体10aを上下反転する。詳細には、プロジェクタ10の底面パネル16を上側、上面パネル11を下側となるように、プロジェクタ10の筐体10aを上下反転する。次に、ネジ601を取り外し、プロジェクタ10の底パネル蓋16aを筐体10aから取り外す。図5に示すように、底パネル蓋16aを取り外した状態では、光源装置である励起光照射装置70の光源用ヒートシンク81が露出した状態となる。
【0074】
ステップS120において、光源用ヒートシンク81上にシート状の熱伝導部材560を配置した後、熱伝導部材560上に天吊り用ヒートシンク550を配置する。あるいは、熱伝導部材560が天吊り用ヒートシンク550の底面側に接着固定されている場合は、その接着固定されている熱伝導部材560を光源用ヒートシンク81に接触させるように天吊り用ヒートシンク550を配置する。これにより、光源用ヒートシンク81と天吊り用ヒートシンク550との間に、熱伝導部材560が介在した状態となる。
【0075】
ステップS130において、本体固定板540を、プロジェクタ10の筐体10aの底面パネル16に取り付ける。詳細には、本体固定板540の収容部545に、天吊り用ヒートシンク550を収容するように、本体固定板540を底面パネル16にネジ601等の固定部材により固定する。この際、本体固定板540の収容部545の天井部545bが、天吊り用ヒートシンク550の上部に当接し、この天吊り用ヒートシンク550の上部を、下方に押圧した状態で、本体固定板540を底面パネル16に固定する。
【0076】
ステップS140において、本体固定板540を下部支持部材530に取り付ける。詳細には、本体固定板540の後方立上げ壁部543の取付孔部543aに、下部支持部材530の板状本体部531の後端に形成されている係合部533を挿入して係合させる。次に、下部支持部材530の板状本体部531の前方立下り壁部532と、本体固定板540の板状本体部541の前方立上げ壁部542とを重ね合わせ、本体固定板540の取付孔部542aと下部支持部材530の取付孔部532aに、ネジ611等の固定部材を係合することで、下部支持部材530に本体固定板540を固定する。
【0077】
つまり、被取付体である天井に固定された支持部材としての天井取付部材510、上部支持部材520、及び下部支持部材530に、上述した本体固定板540を固定する。
【0078】
上述した取付方法を実行することにより、天吊り用部材500を用いてプロジェクタ10を被取付体としての天井に取り付けることができる。
【0079】
そして、プロジェクタ10を天吊設置から据置設置に切り換える場合には、上記取付方法の逆の工程を行えばよい。詳細には、ネジ611を取り外すことにより、本体固定板540を、下部支持部材530から分離させる。尚、この場合、天井取付部材510、上部支持部材520、下部支持部材530は、天井に取付けたまま残してもよいし、天井から取り外してもよい。次にネジ601を取り外して、本体固定板540をプロジェクタ10の筐体10aから取り外す。そして、天吊り用ヒートシンク550及び天吊り用ヒートシンク550に貼り付けられているシート状の熱伝導部材560を、光源用ヒートシンク81から取り外す。そして、底パネル蓋16aを底面パネル16の開口部16bに取り付け、ネジ601をネジ穴602に係合させることで、底パネル蓋16aを底面パネル16に固定する。そして、プロジェクタ10の筐体10aを上下反転させ、机上にプロジェクタ10を設置する。
【0080】
次に、天吊り用部材500により天井に取り付けられたプロジェクタ10の動作を説明する。制御部38は、加速度センサ(不図示)からの信号に基づいて、プロジェクタ10の筐体10aの上下反転状態を検出すると、天吊設置状態であると判断し、据置設置の場合の映像を基準として、映像を上下左右反転させて投影する処理を行う。こうすることにより、スクリーン上には、上下左右が規定状態の映像が表示される。
【0081】
プロジェクタ動作時、励起光源71等による熱は、光源用ヒートシンク81に熱伝導し、更に、シート状の熱伝導部材560を介して天吊り用ヒートシンク550に熱伝導する。
【0082】
制御部38は、プロジェクタ10の筐体10a内に設けられた冷却ファン261の駆動制御を行い、図9に示したように、冷却ファン261により冷却媒体である空気を、光源用ヒートシンク81に送風するとともに、光源用ヒートシンク81上に配置され、且つ、本体固定板540の収容部545内に収容された天吊り用ヒートシンク550に送風する。
【0083】
天吊り用ヒートシンク550内を通った空気は、本体固定板540の収容部545側面に形成された通気用開口部545aを通って外部に放出される。このように、冷却ファン261により冷却媒体である空気を天吊り用ヒートシンク550に送風可能な構成とすることで、簡単な構成により放熱性を向上させることができる。
【0084】
さらに、天吊り用ヒートシンク550に送風する取付部送風機(不図示)を、本体固定板540の板状本体部541上、又は、本体固定板540の収容部545内などに設け、放熱性を向上させてもよい。この取付部送風機は、電動モータと、電動モータにより回転駆動するファンとを有し、更に、取付部送風機に供給する電力を受ける電力受容部である天吊り部材側コネクタ(不図示)を備える。この場合、プロジェクタ10の筐体内の基板に本体側コネクタ(不図示)を設けておき、天吊り部材側コネクタをプロジェクタ筐体内で、電力供給部である本体側コネクタを着脱可能に接続する。これにより、プロジェクタ10の本体部内の電源部から、本体側コネクタ、及び天吊り部材側コネクタを介して、電力が取付部送風機に供給され、取付部送風機が天吊り用ヒートシンク550に送風することで、天吊り用ヒートシンク550を強制的に冷却することができ、放熱性を更に向上させることができる。
【0085】
以上、説明したように、本発明の実施形態によれば、プロジェクタ10の天吊り用部材500は、プロジェクタ10の筐体10aに取り付けられる本体固定板部材としての本体固定板540と、プロジェクタ10の筐体10aの底面パネル16の開口部16b内に位置する光源ユニットとしての励起光照射装置70の光源用ヒートシンク81に当接し、且つ、本体固定板540に収容される天吊り用ヒートシンク550とを備え、それらの上方に天井取付部材510、上部支持部材520、及び下部支持部材530を有する。
【0086】
すなわち、天吊設置時、励起光源71等の熱が光源用ヒートシンク81に熱伝導して放熱されるとともに、光源用ヒートシンク81から天吊り用ヒートシンク550に熱伝導して放熱されるので、高い放熱性を有する天吊り用部材500、及びその天吊り用部材500を備えるプロジェクタ10を提供することができる。
【0087】
また、本発明の実施形態によれば、天吊り用部材500は、天吊り用ヒートシンク550と、光源用ヒートシンク81との間に配置されるシート状の熱伝導部材560を更に有するので、光源用ヒートシンク81と天吊り用ヒートシンク550との間の熱伝導性が向上し、高い放熱性を有する天吊り用部材500、及びその天吊り用部材500を備えるプロジェクタ10を提供することができる。
【0088】
さらに、本発明の実施形態によれば、本体固定板540は、天吊り用ヒートシンク550を収容する凸形状の収容部545を有し、その収容部545は、少なくとも側面の一部又は複数箇所に形成された通気用開口部545aを有し、天吊り用ヒートシンク550は、基板550a上に複数の突起状の放熱体である棒形状の放熱体550bが所定の間隔を空けて形成されているので、天吊り用ヒートシンク550を本体固定板540により保護するとともに、通気性が良好で高い放熱性を有する天吊り用部材500、及びその天吊り用部材500を備えるプロジェクタ10を提供することができる。
【0089】
また、本発明の実施形態によれば、天吊り用ヒートシンク550は、本体固定板540の収容部545に収容された状態で、収容部545の天井部545bにより光源用ヒートシンク側に押圧固定されているので、天吊り用ヒートシンク550と光源用ヒートシンク81との間で密着性が高くなり、天吊り用ヒートシンク550と光源用ヒートシンク81との間の放熱性が向上する。更に、天吊り用ヒートシンク550の上部が本体固定板540の収容部545当接しているので、天吊り用ヒートシンク550と本体固定板540とで良好な熱伝導を実現でき、高い放熱性を有する天吊り用部材500、及びその天吊り用部材500を備えるプロジェクタ10を提供することができる。
【0090】
また、本発明の実施形態によれば、天吊り用部材500は、天吊り用ヒートシンク550に送風する取付部送風機と、取付部送風機へ供給する電力を受ける電力受用部とを更に有し、プロジェクタ10は、取付部送風機に前記電力受用部を介して電力を供給する電力供給部を備えるので、より高い放熱性を有する天吊り用部材500、及びその天吊り用部材500を備えるプロジェクタ10を提供することができる。
【0091】
また、本発明の実施形態によれば、プロジェクタ10の筐体10aの開口部16bが、プロジェクタ10の筐体10aの底面板である底面パネル16に形成されており、プロジェクタ10の筐体10aを天井に取り付ける場合に、プロジェクタ10の筐体10aを上下逆さに反転させて、プロジェクタ10の筐体10aの底面パネル16に配置された蓋部である底パネル蓋16aを取り外し、本体固定板540を筐体10a内の開口部16b内の光源ユニットに取り付けることで、簡単に、プロジェクタの天吊りを行うことができる。
【0092】
さらに、本発明の実施形態によれば、本体固定板540は、ランプカバーとして機能し、光源からの光の漏れを防止するとともに、放熱性を向上させることができる。
【0093】
さらに、本発明の実施形態によれば、天吊り用部材500を用いてプロジェクタ10を被取付体としての天井に取り付けるプロジェクタ10の取付方法であって、プロジェクタ10の筐体10a内の光源ユニットに対応する位置に形成された開口部16bに設けられた底面パネル16の底パネル蓋16aを取り外す工程(ステップS101)と、光源用ヒートシンク81と天吊り用ヒートシンク550とを当接させた状態で、天吊り用ヒートシンク550を本体固定板540の収容部545内に収容し、当該本体固定板540をプロジェクタ10の筐体10aに取り付ける工程(ステップS130)と、被取付体である天井に固定された支持部材としての天井取付部材510、上部支持部材520、及び下部支持部材530のうち下部支持部材530に本体固定板540を固定することでプロジェクタ10を被取付体である天井に取り付ける工程(ステップS140)と、を実行することで、簡単に、天吊り用部材500を用いてプロジェクタ10を天井に取り付けることができる、プロジェクタ10の取付方法を提供することができる。
【0094】
さらに、本発明の実施形態によれば、上記底パネル蓋16aを取り外す工程(ステップS101)後、且つ、天吊り用ヒートシンク550を光源用ヒートシンク81に当接する工程(ステップS140)の前に、天吊り用ヒートシンク550と光源用ヒートシンク81との間に熱伝導部材560を配置する工程(ステップS120)をさらに有するので、熱伝導部材560を天吊り用ヒートシンク550と光源用ヒートシンク81との間に簡単に配置させることができるプロジェクタ10の取付方法を提供することができる。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0096】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] プロジェクタの天吊り用部材であって、
前記プロジェクタの筐体に取り付けられる本体固定板部材と、
前記筐体の開口部内に位置する光源ユニットの光源用ヒートシンクに当接し、且つ、前記本体固定板部材に収容される天吊り用ヒートシンクと、
を有することを特徴とするプロジェクタの天吊り用部材。
[2] 前記天吊り用ヒートシンクと前記光源用ヒートシンクとの間に配置される熱伝導部材を更に有することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタの天吊り用部材。
[3] 前記熱伝導部材は、前記天吊り用ヒートシンクに固定されていることを特徴とする請求項2に記載のプロジェクタの天吊り用部材。
[4] 前記本体固定板部材は、前記天吊り用ヒートシンクを収容する凸形状の収容部を有し、
前記収容部は、少なくとも側面の一部又は複数箇所に通気用開口部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のプロジェクタの天吊り用部材。
[5] 前記天吊り用ヒートシンクは、前記本体固定板部材の前記収容部に収容された状態で、前記収容部により前記光源用ヒートシンク側に押圧固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のプロジェクタの天吊り用部材。
[6] 前記開口部は、当該プロジェクタの底面パネルに形成され、
前記本体固定板部材は、当該プロジェクタの底面パネル側に固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のプロジェクタの天吊り用部材。
[7] 前記光源用ヒートシンクと前記天吊り用ヒートシンクが当接する当接面の周囲と前記開口部との間、及び、前記光源用ヒートシンクと前記収容部の間には、前記光源用ヒートシンクに送風される冷却媒体が流れる通気路となる空間があることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載のプロジェクタの天吊り用部材。
[8] 前記天吊り用ヒートシンクに送風する取付部送風機と、
前記取付部送風機へ供給する電力を受ける電力受用部と、
を更に有する請求項1乃至請求項7の何れかに記載のプロジェクタの天吊り用部材。
[9] 請求項1乃至請求項8の何れかに記載の天吊り用部材を備えることを特徴とするプロジェクタ。
[10] 請求項8に記載の天吊り用部材を備え、前記取付部送風機に前記電力受用部を介して電力を供給する電力供給部を備えることを特徴とするプロジェクタ。
[11] 請求項1乃至請求項8の何れかに記載の天吊り用部材を用いてプロジェクタを被取付体に取り付けるプロジェクタの取付方法であって、
前記プロジェクタの筐体内の前記光源ユニットに対応する位置に形成された開口部に設けられた底面パネル蓋を取り外す工程と、
前記光源用ヒートシンクと前記天吊り用ヒートシンクとを当接させた状態で、前記天吊り用ヒートシンクを前記本体固定板部材の収容部内に収容し、当該本体固定板部材をプロジェクタの筐体に取り付ける工程と、
前記被取付体である天井に固定された支持部材に、前記本体固定板部材を固定することで前記プロジェクタを前記被取付体に取り付ける工程と、
を有することを特徴とするプロジェクタの取付方法。
[12] 前記底面パネル蓋を取り外した後、前記天吊り用ヒートシンクを前記光源用ヒートシンクに当接する前に、前記天吊り用ヒートシンクと前記光源用ヒートシンクとの間に前記熱伝導部材を配置する工程をさらに有することを特徴とする請求項11に記載のプロジェクタの取付方法。
【符号の説明】
【0097】
10 プロジェクタ 10a 筐体
11 上面パネル 12 正面パネル
13 背面パネル 14 右側パネル
15 左側パネル 16 底面パネル
16a 底パネル蓋 16b 開口部
17 排気孔
18 吸気孔 19 レンズカバー
20 各種端子 21 入出力コネクタ部
22 入出力インターフェース 23 画像変換部
24 表示エンコーダ 25 ビデオRAM
26 表示駆動部 31 画像圧縮伸長部
32 メモリカード 35 Ir受信部
36 Ir処理部 37 キー/インジケータ部
38 制御部 41 光源制御回路
43 冷却ファン駆動制御回路 45 レンズモータ
47 音声処理部 48 スピーカ
51 表示素子 60 光源ユニット
70 励起光照射装置 71 励起光源
73 コリメータレンズ 75 反射ミラー群
78 集光レンズ 81 光源用ヒートシンク
100 蛍光発光装置 101 蛍光ホイール
110 ホイールモータ 111 集光レンズ群
120 赤色光源装置 121 赤色光源
125 集光レンズ群 130 ヒートシンク
140 導光光学系 141 第一ダイクロイックミラー
148 第二ダイクロイックミラー 160 光学系ユニット
161 照明側ブロック 165 画像生成ブロック
168 投影側ブロック 170 光源側光学系
173 集光レンズ 175 ライトトンネル
178 集光レンズ 181 光軸変換ミラー
183 集光レンズ 185 照射ミラー
190 ヒートシンク 195 集光レンズ
220 投影側光学系 225 固定レンズ群
235 可動レンズ群 241 制御回路基板
261 冷却ファン 300 青色光源装置
301 青色光源 305 集光レンズ群
310 ヒートシンク 500 天吊り用部材
510 天井取付部材(支持部材) 510a 取付孔部
510b 孔部 510c 係合孔部
520 上部支持部材(支持部材) 521 円筒部
521b 傾斜面 522 フランジ部
523 摺動取付部
530 下部支持部材(支持部材) 531 板状本体部
532 前方立下り壁部 532a 取付孔部
533 係合部 535 凸形部
540 本体固定板(本体固定板部材) 541 板状本体部
541a 取付孔部 542 前方立上げ壁部
542a 取付孔部
543 後方立上げ壁部 543a 取付孔部
545 収容部 545a 通気用開口部(開口部)
545b 天井部
550 天吊り用ヒートシンク(取付部放熱部材)
550a 基板 550b 放熱体(棒状フィン)
560 熱伝導部材(熱伝導性シート) 601 ネジ(固定部材)
602 ネジ穴 611 ネジ(固定部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタの天吊り用部材であって、
前記プロジェクタの筐体に取り付けられる本体固定板部材と、
前記筐体の開口部内に位置する光源ユニットの光源用ヒートシンクに当接し、且つ、前記本体固定板部材に収容される天吊り用ヒートシンクと、
を有することを特徴とするプロジェクタの天吊り用部材。
【請求項2】
前記天吊り用ヒートシンクと前記光源用ヒートシンクとの間に配置される熱伝導部材を更に有することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタの天吊り用部材。
【請求項3】
前記熱伝導部材は、前記天吊り用ヒートシンクに固定されていることを特徴とする請求項2に記載のプロジェクタの天吊り用部材。
【請求項4】
前記本体固定板部材は、前記天吊り用ヒートシンクを収容する凸形状の収容部を有し、
前記収容部は、少なくとも側面の一部又は複数箇所に通気用開口部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のプロジェクタの天吊り用部材。
【請求項5】
前記天吊り用ヒートシンクは、前記本体固定板部材の前記収容部に収容された状態で、前記収容部により前記光源用ヒートシンク側に押圧固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のプロジェクタの天吊り用部材。
【請求項6】
前記開口部は、当該プロジェクタの底面パネルに形成され、
前記本体固定板部材は、当該プロジェクタの底面パネル側に固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のプロジェクタの天吊り用部材。
【請求項7】
前記光源用ヒートシンクと前記天吊り用ヒートシンクが当接する当接面の周囲と前記開口部との間、及び、前記光源用ヒートシンクと前記収容部の間には、前記光源用ヒートシンクに送風される冷却媒体が流れる通気路となる空間があることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載のプロジェクタの天吊り用部材。
【請求項8】
前記天吊り用ヒートシンクに送風する取付部送風機と、
前記取付部送風機へ供給する電力を受ける電力受用部と、
を更に有する請求項1乃至請求項7の何れかに記載のプロジェクタの天吊り用部材。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の天吊り用部材を備えることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項10】
請求項8に記載の天吊り用部材を備え、前記取付部送風機に前記電力受用部を介して電力を供給する電力供給部を備えることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項11】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の天吊り用部材を用いてプロジェクタを被取付体に取り付けるプロジェクタの取付方法であって、
前記プロジェクタの筐体内の前記光源ユニットに対応する位置に形成された開口部に設けられた底面パネル蓋を取り外す工程と、
前記光源用ヒートシンクと前記天吊り用ヒートシンクとを当接させた状態で、前記天吊り用ヒートシンクを前記本体固定板部材の収容部内に収容し、当該本体固定板部材をプロジェクタの筐体に取り付ける工程と、
前記被取付体である天井に固定された支持部材に、前記本体固定板部材を固定することで前記プロジェクタを前記被取付体に取り付ける工程と、
を有することを特徴とするプロジェクタの取付方法。
【請求項12】
前記底面パネル蓋を取り外した後、前記天吊り用ヒートシンクを前記光源用ヒートシンクに当接する前に、前記天吊り用ヒートシンクと前記光源用ヒートシンクとの間に前記熱伝導部材を配置する工程をさらに有することを特徴とする請求項11に記載のプロジェクタの取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−76734(P2013−76734A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214962(P2011−214962)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】