説明

プロジェクターおよびその制御方法

【課題】投写画像の縦横比が変化した場合にスクリーンからはみ出して投写されるのを防止する。
【解決手段】プロジェクター1において、記憶部に記憶された第1の縦横比をプロジェクター1の起動時に読み出すとともに、入力される画像信号が第1の縦横比とは異なる第2の縦横比であることを検出した場合、新たな入力画像を、第1の縦横比に対応する第1の領域に収まるように変形して、投写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力される画像データに応じた画像を投写するプロジェクターおよびプロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターは、一般に、光源から射出された光を液晶パネルのような光変調装置(以下では「光変調部」ともいう)を用いて変調し、入力画像信号に応じた画像を投写レンズによってスクリーン上に投写する構成を有している。
【0003】
プロジェクターの光変調装置の縦横比と入力画像の縦横比が異なる場合、たとえばプロジェクターの光変調装置の縦横比が9:16で入力画像の縦横比が3:4の場合、画像の縦横比を維持したまま光変調装置上に最大サイズで画像を形成するために、光変調装置の左右の領域に黒色画像が入る。
【0004】
図3は従来技術のプロジェクターの投写状態の遷移を示す図である。縦横比9:16の光変調装置を持つプロジェクターにおいて、入力画像信号が縦横比3:4で光変調装置に形成された入力画像を、縦横比3:4のスクリーンにサイズ一杯に投写していたとする。この場合、図3(a)のように投写画像の左右に黒色画像が入り、スクリーン中央に画像が投写される。
次に、入力画像信号の縦横比が9:16に変化すると、光変調装置の領域一杯に入力画像が形成されるので、図3(b)のように画像の左右がスクリーンからはみ出して投写される。このような画像のはみ出しを防ぐため、特許文献1に記載のように、基準として使用する縦横比(アスペクト比)を設定し、設定した縦横比で決定される領域に収まるように入力画像を光変調装置上に形成する調整方法が使われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−196736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の方法ではあらかじめ基準となる縦横比をプロジェクターに設定しておく必要があった。そのため、信号が変わるたびに設定し直さねばならず、手間が必要だった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、画像信号が入力される画像信号入力部と、前記入力される画像信号の縦横比を検出する検出部と、光を射出する光源部と、前記光源部から射出される光を前記入力される画像信号に応じて変調する光変調部と、前記入力される画像信号に応じた画像を前記光変調部に書き込む画像信号処理部と、前記光変調部に書き込まれた画像を投写面に投写する投写光学系と、前記プロジェクターの動作終了時に、前記検出部が最後に検出した縦横比である第1の縦横比を記憶する記憶部とを備え、前記画像信号処理部は、前記記憶部に記憶された前記第1の縦横比を前記プロジェクターの起動時に読み出すとともに、入力される画像信号が前記第1の縦横比とは異なる第2の縦横比であることを前記検出部が検出した場合、新たな入力画像信号に応じた前記第2の縦横比を有する画像を、前記光変調部において前記第1の縦横比に対応する第1の領域に収まるように変形して、前記光変調部に書き込むことを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、プロジェクターの動作終了時に記憶部に保存された第1の縦横比をプロジェクターの起動時に読み出し、入力される画像信号の縦横比が第1の縦横比と異なる場合に第1の縦横比に対応する第1の領域に収まるように変形して投写する。これによって、ユーザーが都度基準となる縦横比を設定することなく、入力画像を第1の領域からはみ出さないように投写することが可能となる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記画像信号処理部は、新たな入力画像信号に応じた前記第2の縦横比を有する画像を、前記第1の領域に収まるように前記第2の縦横比を維持したまま変形して前記光変調部に書き込むことを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、第1の縦横比と異なる縦横比を持つ画像が入力された場合に、その縦横比を維持したまま第1の領域に収まるように変形して投写する。これによって、入力画像の縦横比を変えることなく第1の領域からはみ出さないように投写することが可能となる。
【0012】
[適用例3]上記適用例1に係るプロジェクターにおいて、前記画像信号処理部は、新たな入力画像信号に応じた前記第2の縦横比を有する画像を、前記第1の領域に収まるように縦または横の大きさを縮小して前記光変調部に書き込むことを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、第1の縦横比と異なる縦横比を持つ画像が入力された場合に、第1の領域に収まるよう縦または横の大きさを縮小して投写するので、入力画像を第1の領域からはみ出すことなく最大限の大きさで投写することが可能となる。
【0014】
[適用例4]上記適用例1に係るプロジェクターにおいて、前記画像信号処理部は、新たな入力画像信号に応じた前記第2の縦横比を有する画像を、前記第1の領域に収まるように上下または左右の領域をマスクして前記光変調部に書き込むことを特徴とする。
【0015】
本適用例によれば、第1の縦横比と異なる縦横比を持つ画像が入力された場合に、第1の領域に収まるよう上下または左右の領域をマスクして投写するので、第1の領域内で入力画像を縮小することなく、投写することが可能となる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、キー入力操作を受け付ける入力操作部をさらに備え、前記画像信号処理部は、前記入力操作部に対する所定の入力操作を検出した場合、新たな入力画像信号に応じた前記第2の縦横比を有する画像を、前記光変調部において前記第2の縦横比を有し、かつ前記第1の領域よりも大きい第2の領域に表示されるように拡大して前記光変調部に書き込むことを特徴とする。
【0017】
本適用例によれば、第1の縦横比とは異なる第2の縦横比を持つ画像信号が入力された場合に、第1の領域に収まるように表示した後、所定の入力操作により、第1の領域より大きい第2の領域に表示する。これによって、第1の縦横比と異なる画像信号が入力された場合、第1の領域からはみださずに表示されたのを確認した後、ユーザーがプロジェクターとスクリーンの位置やスクリーンサイズなどを変更し、その後、ユーザーの入力操作により、第2の領域に表示することができるので、特別なモード設定など行わずにスクリーンサイズに応じた画像の投写が可能となる。
【0018】
[適用例6]上記適用例5に係るプロジェクターにおいて、前記画像信号処理部は、前記所定の入力操作を検出した場合、前記第2の縦横比を新たに前記記憶部に保存することを特徴とする。
【0019】
本適用例によれば、第1の縦横比と異なる第2の縦横比を持つ画像信号が入力された場合、ユーザーの所定の入力操作により、第2の縦横比を新たに記憶部に保存する。これによって、ユーザーが特別なモード設定変更など行わなくても、第2の縦横比を新たな基準となる縦横比(第1の縦横比)として画像投写に使うことが可能となる。
【0020】
[適用例7]本適用例に係るプロジェクターの制御方法は、画像信号が入力される画像信号入力部と、前記入力される画像信号の縦横比を検出する検出部と、光を射出する光源部と、前記光源部から射出された光を前記入力される画像信号に応じて変調する光変調部と、前記入力される画像信号に応じた画像を前記光変調部に書き込む画像信号処理部と、前記光変調部に書き込まれた画像を投写面に投写する投写光学系と、を備えたプロジェクターの制御方法であって、前記入力される画像信号の縦横比を検出するステップと、前記プロジェクターの動作終了時に、前記検出部が最後に検出した縦横比である第1の縦横比を記憶するステップと、前記プロジェクターの起動時に、前記記憶された前記第1の縦横比を読み出すとともに、入力される画像信号が前記第1の縦横比とは異なる第2の縦横比であることを検出した場合、新たな入力画像信号に応じた前記第2の縦横比を有する画像を、前記光変調部において前記第1の縦横比に対応する第1の領域に収まるように変形して前記光変調部に書き込むステップとを有することを特徴とする。
【0021】
本適用例によれば、プロジェクターの動作終了時に記憶部に保存された第1の縦横比をプロジェクターの起動時に読み出し、入力される画像信号の縦横比が第1の縦横比と異なる場合に第1の縦横比に対応する第1の領域に収まるように変形して投写する。これによって、ユーザーが都度基準となる縦横比を設定することなく、入力画像を第1の領域からはみ出さないように投写することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】プロジェクターの回路構成を示すブロック図。
【図2】実施形態1のプロジェクターの動作を示すフローチャート。
【図3】従来技術のプロジェクターの投写状態を示す図。
【図4】実施形態のプロジェクターの投写状態を示す図。
【図5】変形例1〜3のプロジェクターの投写状態を示す図。
【図6】変形例4のプロジェクターの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態について説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態における特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のプロジェクターの回路構成を示すブロック図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、画像投写部10、制御部20、記憶部21、光源制御部22、入力操作部23、画像信号入力部2、画像信号処理部3、検出部4、等を含んで構成されており、これらは図示しない筐体の内部に収容されている。
【0025】
画像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、液晶駆動部14、等を含んでいる。画像投写部10は、表示部に相当するものであり、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで変調して画像光を形成し、この画像光を投写レンズ13から投写することによってスクリーンSC等に画像を表示する。
【0026】
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。光源11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0027】
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bには、マトリックス状に配列された複数の画素(図示せず)が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能となっている。
液晶駆動部14が、入力される画像信号に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像信号に応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを透過することによって変調され、画像信号に応じた画像光が色光毎に形成される。
形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラーの画像光となった後、投写レンズ13によってスクリーンSC等に拡大投写される。
【0028】
上記実施形態では、光源としてランプを用いて投写するプロジェクター1を例示したが、本発明は光源としてLED光源やレーザー光源などを用いて投写するプロジェクターにも適用することができる。なお、上記の実施形態では、光変調装置として3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いた透過型液晶方式を例示したが、表示原理については、反射型液晶表示方式やマイクロミラーデバイス方式(ライトスイッチ表示方式)など、他の表示方式を採用しても良い。
【0029】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)等を備え、記憶部21に記憶されている制御プログラム(図示せず)に従って動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、記憶部21とともにコンピューターとして機能する。また、制御部20には、時間の計測を行うためのタイマーが備えられている。
【0030】
記憶部21は、フラッシュメモリーやFeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の書き換え可能な不揮発性のメモリーにより構成されている。記憶部21には、プロジェクター1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクター1の動作条件等を規定する各種設定データ、後述する縦横比情報等が記憶されている。本実施形態では設定データとして、操作キーのロック状態等が記憶されている。記憶部21は、プロジェクター1の電源がオフされた後も縦横比情報を記憶する。
【0031】
入力操作部23は、ユーザーからの入力操作を受け付けるものであり、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。入力操作部23が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを交互に切り替えるための電源キーや、画像信号入力部2に入力される複数の画像入力端子を切り替えるための入力切替キー、各種設定を行うための設定メニューを重畳表示させるメニューキー、メニューからユーザーが設定項目を選択するカーソルキー、決定キー、エスケープキー等がある。ユーザーが入力操作部23の各種操作キーを操作すると、入力操作部23は、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部20に出力する。
また、複数の操作キーはリモートコントローラー(不図示)を通じて操作されてもよい。リモートコントローラーは、例えばユーザーによって携行可能な大きさの無線通信端末であり、リモートコントローラー本体表面に、各種上記操作ボタンと同様の機能を有する操作ボタンが配されることが好ましい。
【0032】
画像信号入力部2は、上述したように複数の画像入力端子を備えており、各画像入力端子より、ビデオ再生装置やパーソナルコンピューター等、外部の画像出力装置から、図示しないケーブルを介して画像信号が入力される。
【0033】
画像信号処理部3は、画像信号入力部2から入力される画像信号を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像信号に変換する。ここで、変換された画像信号は、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R,12G,12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素を透過し射出する光の強弱(階調)が規定される。
【0034】
液晶駆動部14は、画像信号処理部3から入力される画像信号に従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動する。液晶駆動部14によって駆動された液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、画像信号に応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ13から投写される。
【0035】
光源制御部22は、制御部20の指示に基づいて、光源11に対する電力の供給と停止とを制御し、光源11の点灯及び消灯を切り替える。
【0036】
検出部4は、画像信号入力部2から入力される画像信号から縦横比情報を検出し、その検出結果を制御部20に出力する。縦横比情報は、画像信号入力部2から入力される画像信号の縦横比に関する情報である。
【0037】
次に、本実施形態のプロジェクター1の動作を図2のフローチャートを用いて説明する。
図2に示すように、まずプロジェクター1が入力操作部23の電源オン操作などにより起動すると(ステップS101)、制御部20は記憶部21より縦横比T1(第1の縦横比)を取得する(ステップS102)。記憶部21に記憶された縦横比T1は、プロジェクター1の電源がオンされる以前に使用された際に記憶部21に記憶された縦横比である。
【0038】
次に制御部20は検出部4が検出した、画像信号入力部2に入力される画像信号の縦横比を取得する(ステップS103)。以下、これを縦横比T2(第2の縦横比)とする。
【0039】
次に制御部20は縦横比T1と縦横比T2を比較する(ステップS104)。縦横比T1及び縦横比T2が同じ場合(ステップS104:Y)、制御部20は画像信号処理部3に指示して入力画像を、縦横比T1で液晶ライトバルブ12R,12G及び12Bの第1の領域に形成し(ステップS106)、電源オフ操作が検出されたか否かを確認するステップS121に移行する。ステップ121で電源オフ操作が検出されなければステップS103に移行する。なお、「第1の領域」とは、縦横比T1に対応して予め設定された液晶ライトバルブ上の領域である。また、第1の領域の縦横比は縦横比T1と等しい。
【0040】
縦横比T1及び縦横比T2が異なる場合(ステップS104:N)、制御部20は、画像信号処理部3に指示して、入力画像を、縦横比T2は維持しつつ第1の領域に収まる大きさに縮小して、液晶ライトバルブ12R,12G及び12B上の第1の領域に形成し(ステップS105)、ステップS121に移行する。ステップS121で電源オフ操作が検出されなければステップS103に移行する。
【0041】
制御部20は、入力操作部23が電源オフ操作を検出すると(ステップS121)、縦横比T1を記憶部21に保存し(ステップS122)、電源オフ処理を行い(ステップS123)、本動作フローは終了する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、プロジェクター1の動作終了時に記憶部21に保存された第1の縦横比をプロジェクター1の起動時に読み出し、入力される画像信号の縦横比(第2の縦横比)が第1の縦横比と異なる場合に第1の縦横比に対応する第1の領域に収まるように変形して投写する。これによって、ユーザーが都度基準となる縦横比を設定することなく、入力画像を第1の領域からはみ出さないように投写することが可能となる。また、入力画像の縦横比を変えることなく第1の領域からはみ出さないように投写することも可能となる。
【0043】
図4は本実施形態のプロジェクター1の投写遷移を示す図である。図4(a)のように、縦横比9:16の光変調装置を持つプロジェクターにおいて、縦横比T1(3:4)の入力画像を投写していたとする。入力画像信号の縦横比が縦横比T2(9:16)に変化すると、図4(b)のように入力画像が縦横比T1に対応する第1の領域に収まるように変形して投写される。
【0044】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0045】
(変形例1)
上記実施形態では新たに入力された画像信号の縦横比が第1の縦横比と異なる第2の縦横比の場合、第1の領域に収まるように第2の縦横比を維持したまま縮小して光変調部に書き込むが、図5(a)のように、第2の縦横比を有する画像を、第1の領域に収まるように縦方向又は横方向の一方の大きさを縮小して前記光変調部に書き込むようにしてもよい。これによって、入力画像を第1の領域からはみ出すことなく、縦方向又は横方向の大きさを最大限に活用して投写することが可能となる。
【0046】
(変形例2)
上記実施形態では新たに入力された画像信号の縦横比が第1の縦横比と異なる第2の縦横比の場合、第1の領域に収まるように第2の縦横比を維持したまま縮小して光変調部に書き込むが、図5(b)のように、第2の縦横比を有する画像を、第1の領域に収まるように上下または左右の領域をマスクして前記光変調部に書き込むようにしてもよい。これによって、入力画像を第1の領域内で入力画像を縮小することなく、投写することが可能となる。
【0047】
(変形例3)
上記実施形態および変形例において、入力操作部に対する所定の入力操作を検出した場合、第2の縦横比を有する画像を、光変調部において第2の縦横比を有し、かつ前記第1の領域よりも大きい第2の領域に表示されるように拡大して前記光変調部に書き込むようにしてもよい。なお「第2の領域」とは、縦横比T2に対応して予め設定された液晶ライトバルブ上の領域である。また、第2の領域の縦横比は縦横比T2と等しい。第1の縦横比とは異なる第2の縦横比を持つ画像信号が入力された場合に第1の領域に収まるように表示した後、所定の入力操作により、第1の領域より大きい、第2の領域に表示する。これによって、第1の縦横比と異なる画像信号が入力された場合、第1の領域からはみださずに表示されたのを確認した後、ユーザーがプロジェクターとスクリーンの位置やスクリーンサイズなどを変更した後、ユーザーの入力操作により、第2の領域に表示することができるので、特別なモード設定など行わずにスクリーンサイズに応じた画像の投写が可能となる。
【0048】
(変形例4)
上記変形例3において、入力操作部に対する所定の入力操作を検出した場合、新たな入力画像の第2の縦横比を新たに記憶部21に保存するようにしてもよい。
【0049】
本変形例のプロジェクター1の動作を図6のフローチャートを用いて説明する。
図6に示すように、まずプロジェクター1が入力操作部23の電源オン操作などにより起動すると(ステップS201)、制御部20は記憶部21より縦横比T1(第1の縦横比)を取得する(ステップS202)。
【0050】
次に制御部20は検出部4が検出した、画像信号入力部2に入力される画像信号の縦横比を取得する(ステップS203)。以下、これを縦横比T2(第2の縦横比)とする。
【0051】
次に制御部20は縦横比T1と縦横比T2を比較する(ステップS204)。縦横比T1及び縦横比T2が同じ場合(ステップS204:Y)、制御部20は画像信号処理部3に指示して入力画像を、縦横比T1で液晶ライトバルブ12R、12G及び12Bの第1の領域に形成し(ステップS206)、ステップS207に移行する。
縦横比T1及び縦横比T2が異なる場合(ステップS204:N)、制御部20は画像信号処理部3に指示して入力画像を、縦横比T1の第1の領域に収まる大きさに縮小して液晶ライトバルブ12R、12G及び12B上の第1の領域に形成し(ステップS205)、ステップS207に移行する。
【0052】
ステップS207において制御部20は入力操作部23に所定の入力操作があるか調べる(ステップS207)。所定の入力操作を検出した場合(ステップS207:Y)、制御部20は画像信号処理部3に指示して入力画像を、縦横比T2で第1の領域より大きい液晶ライトバルブ12R、12G及び12Bの第2の領域に形成し(ステップS208)、ステップS209に移行する。所定の入力操作を検出していない場合ステップS207:N)はステップS203に移行する。
【0053】
ステップS209において制御部20は入力画像の縦横比T2を新たに縦横比T1として記憶部21に保存し、電源オフ操作がされたか否かを検出するステップS210に移行する。ステップS210で電源オフ操作が検出されなければステップS203に移行する。
【0054】
以上説明したように、本変形例のプロジェクター1によれば、第1の縦横比と異なる第2の縦横比を持つ画像信号が入力された場合、ユーザーの所定の入力操作により、第2の縦横比を新たに記憶部21に保存する。これによってユーザーが特別なモード設定変更など行わなくても、第2の縦横比を新たな基準となる縦横比(第1の縦横比)として画像投写に使うことが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1…プロジェクター、2…画像信号入力部、3…画像信号処理部、4…検出部、10…画像投写部、11…光源、12R、12G、12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…液晶駆動部、20…制御部、21…記憶部、22…光源制御部、23…入力操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクターであって、
画像信号が入力される画像信号入力部と、
前記入力される画像信号の縦横比を検出する検出部と、
光を射出する光源部と、
前記光源部から射出される光を前記入力される画像信号に応じて変調する光変調部と、
前記入力される画像信号に応じた画像を前記光変調部に書き込む画像信号処理部と、
前記光変調部に書き込まれた画像を投写面に投写する投写光学系と、
前記プロジェクターの動作終了時に、前記検出部が最後に検出した縦横比である第1の縦横比を記憶する記憶部とを備え、
前記画像信号処理部は、前記記憶部に記憶された前記第1の縦横比を前記プロジェクターの起動時に読み出すとともに、入力される画像信号が前記第1の縦横比とは異なる第2の縦横比であることを前記検出部が検出した場合、新たな入力画像信号に応じた前記第2の縦横比を有する画像を、前記光変調部において前記第1の縦横比に対応する第1の領域に収まるように変形して、前記光変調部に書き込むことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記画像信号処理部は、新たな入力画像信号に応じた前記第2の縦横比を有する画像を、前記第1の領域に収まるように前記第2の縦横比を維持したまま変形して前記光変調部に書き込むことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記画像信号処理部は、新たな入力画像信号に応じた前記第2の縦横比を有する画像を、前記第1の領域に収まるように縦または横の大きさを縮小して前記光変調部に書き込むことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記画像信号処理部は、新たな入力画像信号に応じた前記第2の縦横比を有する画像を、前記第1の領域に収まるように上下または左右の領域をマスクして前記光変調部に書き込むことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
キー入力操作を受け付ける入力操作部をさらに備え、
前記画像信号処理部は、前記入力操作部に対する所定の入力操作を検出した場合、新たな入力画像信号に応じた前記第2の縦横比を有する画像を、前記光変調部において前記第2の縦横比を有し、かつ前記第1の領域よりも大きい第2の領域に表示されるように拡大して前記光変調部に書き込むことを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項5に記載のプロジェクターであって、
前記画像信号処理部は、前記所定の入力操作を検出した場合、前記第2の縦横比を新たに前記記憶部に保存することを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
画像信号が入力される画像信号入力部と、前記入力される画像信号の縦横比を検出する検出部と、光を射出する光源部と、前記光源部から射出された光を前記入力される画像信号に応じて変調する光変調部と、前記入力される画像信号に応じた画像を前記光変調部に書き込む画像信号処理部と、前記光変調部に書き込まれた画像を投写面に投写する投写光学系と、を備えたプロジェクターの制御方法であって、
前記入力される画像信号の縦横比を検出するステップと、
前記プロジェクターの動作終了時に、前記検出部が最後に検出した縦横比である第1の縦横比を記憶するステップと、
前記プロジェクターの起動時に、前記記憶された前記第1の縦横比を読み出すとともに、入力される画像信号が前記第1の縦横比とは異なる第2の縦横比であることを検出した場合、新たな入力画像信号に応じた前記第2の縦横比を有する画像を、前記光変調部において前記第1の縦横比に対応する第1の領域に収まるように変形して前記光変調部に書き込むステップとを有することを特徴とするプロジェクターの制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−37636(P2012−37636A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176005(P2010−176005)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】