プロジェクター
【課題】静粛性が図れるプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、吸気口を有する外装筐体と、吸気口を介して外装筐体に空気を導入する吸気装置4とを備える。吸気装置4は、空気を吸い込む吸込口41A,42A、及び空気を吹き出す吹出口41B,42Bを有する吸気ファン41,42と、吸気口を介して導入された空気を吸気ファン41,42に導く吸気ダクト43とを備える。吸気ダクト43は、樹脂発泡体で構成されている。
【解決手段】プロジェクター1は、吸気口を有する外装筐体と、吸気口を介して外装筐体に空気を導入する吸気装置4とを備える。吸気装置4は、空気を吸い込む吸込口41A,42A、及び空気を吹き出す吹出口41B,42Bを有する吸気ファン41,42と、吸気口を介して導入された空気を吸気ファン41,42に導く吸気ダクト43とを備える。吸気ダクト43は、樹脂発泡体で構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターにおいて、外装筐体の吸気口を介して外気を導入する吸気装置や、外装筐体の排気口を介して外装筐体内部の空気を外部に排出する排気装置を設けることが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、吸気装置は、吸気ファンと、吸気口を介して外装筐体に導入された空気を吸気ファンに導く吸気ダクトとを備える。
また、排気装置も同様に、排気ファンと、排気ファンから吐出された空気を排気口に導く排気ダクトとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−138911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような吸気装置では、吸気ファンの駆動時に生じる音(ファンノイズ)が吸気ダクト内面を反射しながら吸気口を介して外装筐体外部に漏れてしまい、プロジェクターの静粛性が図れない。なお、排気装置も同様である。
【0005】
本発明の目的は、静粛性が図れるプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、吸気口を有する外装筐体と、前記吸気口を介して前記外装筐体に空気を導入する吸気装置とを備えたプロジェクターであって、前記吸気装置は、空気を吸い込む吸込口、及び空気を吹き出す吹出口を有する吸気ファンと、前記吸気口を介して導入された空気を前記吸気ファンに導く吸気ダクトとを備え、前記吸気ダクトは、樹脂発泡体で構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、吸気ダクトが合成樹脂素材に多数の発泡セル(気泡)を含ませた樹脂発泡体で構成されているので、吸気ファンの駆動時に生じる音の少なくとも一部は、吸気ダクト内面で反射することなく、多数の発泡セルを介して吸気ダクトを透過することとなる。
したがって、吸気口を介して外装筐体外部に漏れる音を低減することができ、プロジェクターの静粛性が図れる。
【0008】
本発明のプロジェクターでは、前記吸気ダクト内部に形成される空気の流路は、前記吸気口から前記吸込口までの間で少なくとも一度、折れ曲がっていることが好ましい。
本発明では、吸気ダクト内部の流路が上述したように折れ曲がっているため、吸気ファンの駆動時に吸込口から吸気ダクト内部に放出される音を、吸気ダクト内面の多くの領域にあてることが可能となる。
したがって、吸気ダクト内部から外部に向う音(吸気口とは別の位置に向う音)を多くすることができ、吸気口を介して外装筐体外部に漏れる音をより低減することができる。
【0009】
本発明のプロジェクターでは、前記吸気口は、前記吸込口に対向する位置からずれた位置に形成されていることが好ましい。
本発明では、吸気口が上述した位置に形成されているので、吸気ファンの駆動時に吸込口から吸気ダクト内部に放出され、吸気ダクトを透過した音が吸気口に向うことがなく、吸気ダクト内部の音を上述したように外部に出すことでプロジェクターの静粛性が効果的に図れる。
【0010】
本発明のプロジェクターでは、前記外装筐体は、非発泡体で構成されていることが好ましい。
本発明では、外装筐体が非発泡体で構成されているので、吸気ファンの駆動時に吸込口から吸気ダクト内部に放出され、吸気ダクトを透過した音を外装筐体内面で反射させることができる。
したがって、外装筐体外部に漏れる音をさらに低減することができ、プロジェクターの静粛性が効果的に図れる。
【0011】
本発明のプロジェクターでは、排気口を有する外装筐体と、前記排気口を介して前記外装筐体内部の空気を外部に排出する排気装置とを備えたプロジェクターであって、前記排気装置は、空気を吸い込む吸込口、及び空気を吹き出す吹出口を有する排気ファンと、前記吹出口から吹き出された空気を前記排気口に導く排気ダクトとを備え、前記排気ダクトは、樹脂発泡体で構成されていることを特徴とする。
本発明では、排気ダクトが上記吸気ダクトと同様に樹脂発泡体で構成されているので、上記同様に、排気ファンから排気ダクト内部に放出された音を排気ダクト外部に出すことができ、排気口を介して外装筐体外部に漏れる音を低減することができる。
したがって、プロジェクターの静粛性が図れる。
【0012】
本発明のプロジェクターでは、前記排気ダクトには、前記排気ダクトを介して排気される空気を整流するルーバーが取り付けられ、前記ルーバーは、非発泡体で構成されていることが好ましい。
本発明では、ルーバーが非発泡体で構成されているので、排気ファンの駆動時に吹出口から排気ダクト内部に放出され、排気口に向う音をルーバーで反射させることができる。
したがって、外装筐体外部に漏れる音をさらに低減することができ、プロジェクターの静粛性が効果的に図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態におけるプロジェクターの外観を示す斜視図。
【図2】本実施形態におけるプロジェクターの外観を示す斜視図。
【図3】本実施形態におけるプロジェクターの内部構成を示す斜視図。
【図4】本実施形態における吸気装置の構成を示す斜視図。
【図5】本実施形態における吸気装置の構成を示す斜視図。
【図6】本実施形態における吸気装置の構成を示す斜視図。
【図7】実施例及び比較例の評価方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの外観構成〕
図1及び図2は、プロジェクター1の外観を示す斜視図である。具体的に、図1はプロジェクター1を前面上側から見た斜視図であり、図2は背面下側から見た斜視図である。
なお、以下では、プロジェクター1において投射側(投射レンズ3A(図1))が配置された側)を前面とし、その反対側を背面とする。また、以下で記載する「上」、「下」は、図1に示す姿勢でプロジェクター1が設置された状態での上下に相当するものである。
プロジェクター1は、画像を投射してスクリーン(図示略)上に投影画像を表示する。
このプロジェクター1は、図1または図2に示すように、外装を構成する外装筐体2を備える。
【0015】
外装筐体2は、図1または図2に示すように、アッパーケース2A、及びロアーケース2Bを組み合わせることで構成され、略直方体形状を有する。
この外装筐体2において、前面側に位置する前面図21には、図1に示すように、投射された光束(画像)を通過させるための通過用開口部21Aが形成されている。
また、前面図21には、前面側から見て通過用開口部21Aの左側には、図1に示すように、内部の空気を外部に排出するための排気口21Bが形成されている。
また、排気口21Bには、図1に示すように、左右方向に延び、上下方向に並設された複数の羽根板21B2を有する外部ルーバー21B1が形成されている。
さらに、外装筐体2において、底面側に位置する底面部22には、図2に示すように、外部の空気を内部に導入するための吸気口22Aが形成されている。
本実施形態では、外装筐体2は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂材料で形成された非発泡体で構成されている。
【0016】
〔プロジェクターの内部構成〕
図3は、プロジェクター1の内部構成を示す斜視図である。具体的に、図3は、アッパーケース2A及び光学ユニット3を取り外した状態を前面上側から見た斜視図である。
そして、上述した外装筐体2内部には、図1または図3に示すように、光学ユニット3(図1)と、吸気装置4(図3)と、排気装置5(図3)とが収納される。
【0017】
〔光学ユニットの構成〕
光学ユニット3は、種々の一般的なプロジェクターで利用されているため、具体的な図示及び説明は省略するが、光源装置と、前記光源装置から出射された光束を変調する液晶パネル等の光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を投射する投射光学装置としての投射レンズ3A(図1)とを備える。
【0018】
〔吸気装置の構成〕
図4ないし図6は、吸気装置4の構成を示す斜視図である。具体的に、図4は、吸気装置4を前面上側から見た斜視図である。図5は、吸気装置4の分解斜視図である。図6は、吸気装置4を前面下側から見た斜視図である。
吸気装置4は、吸気口22Aを介して外装筐体2外部の空気を内部に導入し、冷却対象(例えば、光学ユニット3を構成する液晶パネル等)に送風する。
この吸気装置4は、図4ないし図6に示すように、一対の吸気ファン41,42と、吸気ダクト43と、送風ダクト44とを備える。
【0019】
一対の吸気ファン41,42は、空気を吸い込む吸込口41A,42A(図5)、及び空気を吹き出す吹出口41B,42B(図5)を有し、吸い込んだ空気をファンの回転接線方向に吹き出す、シロッコファンで構成されている。
そして、一対の吸気ファン41,42は、図4または図5に示すように、投射レンズ3Aを挟んで、吸込口41A,42A同士が互いに対向し、かつ、吹出口41B,42Bが背面側を向くように、配設される。
【0020】
吸気ダクト43は、吸気口22Aを介して導入された空気を一対の吸気ファン41,42の吸込口41A,42Aに導く。
この吸気ダクト43は、図4ないし図6に示すように、下方側が開口した中空の直方体の上面を投射レンズ3Aの外形形状に対応させて円弧状に湾曲させた形状となっている。
そして、吸気ダクト43は、下方側の開口部分43A(図6)が吸気口22Aに接続する。
また、吸気ダクト43の両側面には、図5または図6に示すように、開口部43B,43Cがそれぞれ形成されている。
そして、当該開口部43B,43Cには、各吸気ファン41,42の各吸込口41A,42Aが接続される。
【0021】
そして、上記構成により、一対の吸気ファン41,42が駆動すると、外装筐体2外部の空気は、吸気口22Aを介して吸気ダクト43に導入される。また、吸気ダクト43に導入された空気は、吸気ダクト43内部において、上方側に流通しながら、吸気ダクト43上面の湾曲部分にて左右に分流され、開口部43B,43Cを介して吸気ファン41,42に吸い込まれる。
すなわち、吸気ダクト43内部に形成される空気の流路は、吸気口22Aから吸込口41A,42Aまでの間で1度、折れ曲がっている(本実施形態では、略90°折れ曲がっている)。
【0022】
送風ダクト44は、吸気ファン41,42から吹き出された空気を冷却対象に導く。
この送風ダクト44は、図4ないし図6に示すように、第1送風ダクト441と、第2送風ダクト442とを備える。
なお、本実施形態では、送風ダクト44は、吸気ダクト43に一体的に形成されている。
第1送風ダクト441は、吸気ファン41の吹出口41Bに接続し、当該吹出口41Bの接続位置から背面側に向けて延び、さらに、吸気ファン42の配設側に向けて略90°折れ曲がった略L字形状を有する。
そして、第1送風ダクト441において、上面には、図4ないし図6に示すように、吸気ファン41から吹き出された空気を排出し、冷却対象に送風するための排出口441Aが形成されている。
【0023】
第2送風ダクト442は、吸気ファン42の吹出口42Bに接続し、当該吹出口42Bの接続位置から背面側に向けて延び、さらに、吸気ファン41の配設側に向けて略90°折れ曲がった略L字形状を有する。
そして、第2送風ダクト442において、上面には、図4ないし図6に示すように、吸気ファン42から吹き出された空気を排出し、冷却対象に送風するための排出口442A,442Bが形成されている。
【0024】
〔排気装置の構成〕
排気装置5は、排気口21Bを介して外装筐体2内部の空気を外部に排出する。
この排気装置5は、図3に示すように、排気ファン51と、排気ダクト52と、内部ルーバー53とを備える。
排気ファン51は、空気を吸い込む吸込口51A、及び空気を吹き出す吹出口51Bを有し、吸い込んだ空気をファンの回転軸に沿って吹き出す、軸流ファンで構成されている。
そして、排気ファン51は、図3に示すように、吹出口51Bが前面側に向き、排気口21Bに対向するように配設される。
【0025】
排気ダクト52は、図3に示すように、前後方向に略直線的に延びる筒状に形成され、一端が排気ファン51の吹出口51Bに接続し、他端が排気口21Bに対向するように配設される。
内部ルーバー53は、図3に示すように、排気ダクト52の他端に取り付けられ、排気ダクト52から排出される空気を整流する。
具体的に、内部ルーバー53は、排気ダクト52の延出方向に対して傾斜して取り付けられる複数の羽根板53Aを有し、排気ダクト52から排出される空気を当該複数の羽根板53Aの傾斜方向に整流する。
また、内部ルーバー53は、具体的な図示は省略したが、前面側から見た場合に、複数の羽根板53Aにより、排気ダクト52内部を隠すように形成されている。
すなわち、内部ルーバー53は、排気ダクト52を介して排気口21Bに向けて進行する漏れ光を遮光する機能も有している。
【0026】
以上説明した吸気ダクト43及び排気ダクト52は、樹脂発泡体から構成されている。
ここで、樹脂発泡体としては、例えば、ポリプロピレンを原材料とし、加圧発泡法、押出発泡法、常圧発泡法、あるいはビーズ発泡法等の公知の手法により形成された樹脂発泡体や、ポリエチレンを原材料とし、溶融発泡成形等の公知の手法により形成された樹脂発泡体が採用できる。
なお、樹脂発泡体の原材料としては、ポリプロピレンやポリエチレンに限らず、その他の樹脂材料を採用しても構わない。
また、本実施形態では、発泡倍率(非発泡時の比重/発泡時の比重)を適宜調整することで、発泡セル径が1mm以下となるように形成されている。
さらに、本実施形態では、具体的な図示は省略したが、吸気ダクト43内面、及び排気ダクト52内面は、微細な凹凸状に形成されている。
さらに、本実施形態では、内部ルーバー53は、外装筐体2と同様に、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂材料で形成された非発泡体で構成されている。
【0027】
上述した実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、吸気ダクト43が合成樹脂素材に多数の発泡セル(気泡)を含ませた樹脂発泡体で構成されているので、吸気ファン41,42の駆動時に生じる音の少なくとも一部は、吸気ダクト43内面で反射することなく、多数の発泡セルを介して吸気ダクト43を透過することとなる。
したがって、吸気口22Aを介して外装筐体2外部に漏れる音を低減することができ、プロジェクター1の静粛性が図れる。
【0028】
また、吸気ダクト43内部の流路が折れ曲がっているため、吸気ファン41,42の駆動時に吸込口41A,42Aから吸気ダクト43内部に放出される音を、吸気ダクト43内面の多くの領域にあてることが可能となる。
したがって、吸気ダクト43内部から外部に向う音(吸気口とは別の位置に向う音)を多くすることができ、吸気口22Aを介して外装筐体2外部に漏れる音をより低減することができる。
さらに、吸気ダクト43内面が微細な凹凸状に形成されているので、上記同様に、吸気ダクト43内部に放出される音を、吸気ダクト43内面の多くの領域にあてることが可能となり、吸気ダクト43内部から外部に向う音を多くすることができる。なお、排気ダクト52も同様である。
【0029】
また、吸気口22Aは、底面部22に形成されている。そして、各吸気ファン41,42は、各吸込口41A,42Aが外装筐体2における底面部22に交差する各側壁部23,24(図1、図3)にそれぞれ向くように配設されている。
すなわち、吸気口22Aは、各吸込口41A,42Aに対向する位置からずれた位置に形成されている。
このため、吸気ファン41,42の駆動時に吸込口41A,42Aから吸気ダクト43内部に放出され、吸気ダクト43を透過した音が吸気口22Aに向うことがなく、吸気ダクト43内部の音を上述したように吸気ダクト43外部に出すことでプロジェクター1の静粛性が効果的に図れる。
【0030】
さらに、外装筐体2が非発泡体で構成されているので、吸気ファン41,42の駆動時に吸込口41A,42Aから吸気ダクト43内部に放出され、吸気ダクト43を透過した音を外装筐体2内面で反射させることができる。
したがって、外装筐体2外部に漏れる音をさらに低減することができ、プロジェクター1の静粛性が効果的に図れる。
【0031】
また、排気ダクト52も吸気ダクト43と同様に樹脂発泡体で構成されているので、上記同様に、排気ファン51から排気ダクト52内部に放出された音を排気ダクト52外部に出すことができ、排気口21Bを介して外装筐体2外部に漏れる音も低減することができる。
したがって、プロジェクター1の静粛性がさらに効果的に図れる。
さらに、排気ダクト52に取り付けられた内部ルーバー53が非発泡体で構成されているので、排気ファン51の駆動時に吹出口51Bから排気ダクト52内部に放出され、排気口21Bに向う音を内部ルーバー53で反射させることができる。
したがって、外装筐体2外部に漏れる音をさらに一層低減することができる。
【0032】
また、吸気ダクト43及び排気ダクト52は、発泡セル径が1mm以下となるように形成されている。このことにより、各ダクト43,52内部を流通する空気が各ダクト43,52外部に漏れることを抑制しつつ、音のみを良好に外部に出すことができる。
【実施例】
【0033】
次に、本発明の効果を具体的な実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
本実施例1では、前記実施形態で説明した構成の排気ダクト52(樹脂発泡体で構成された排気ダクト)を用いた。
[比較例1]
本比較例1では、前記実施形態で説明した排気ダクト52と同一形状で、合成樹脂材料で形成された非発泡体で構成された排気ダクト520(図7参照)を用いた。
【0034】
そして、上記実施例1及び比較例1の排気ダクト52,520を以下の評価方法にて評価した。
(評価及び結果)
図7は、実施例1及び比較例1の評価方法を説明するための図である。
評価方法としては、以下の通りである。
先ず、図7に示すように、前記実施形態で説明した外装筐体2と同一形状で、同一材料(非発泡体)で形成されたケース100を用意した。
このケース100は、外装筐体2の前面部21に対応する前面部101の略中央部分に内外を連通する開口部101Aを有するものである。
また、ケース100内部における開口部101Aに対向する位置に、試験用の音源200を配設した。
【0035】
さらに、ケース100外部において、開口部101Aに対向する位置、ケース100における前面部101に交差する左右の各側壁部102,103の略中央部分にそれぞれ対向する位置、及び前面部101に対向する背面部104の略中央部分に対向する位置に、音源200からの音圧を検知する第1〜第4マイクロホンM1〜M4を配設した。
そして、ケース100内部において、音源200と開口部101Aとの間に実施例1の排気ダクト52を配設した場合と、比較例1の排気ダクト520を配設した場合とで、音源200から40dB,50dB,60dBの音圧を発生させた時の第1〜第4マイクロホンM1〜M4で測定された測定音圧を比較した。
結果としては、以下の表1に示す通りである。
【0036】
【表1】
【0037】
上記表1に示すように、比較例1の排気ダクト520を配設した場合よりも、実施例1の排気ダクト52を配設した場合の方がケース100外部に漏れる音が少ない結果となった。特に、音源200の音圧が60dBである場合に顕著である。
したがって、排気ダクトを樹脂発泡体で構成することで、外部への音の漏れを低減でき、静粛性が図れることが実証された。なお、吸気ダクトを樹脂発泡体で構成しても同様の効果が得られるものと考える。
【0038】
また、本評価では、具体的な図示は省略したが、実施例1の排気ダクト52を配設した場合には、比較例1の排気ダクト520を配設した場合に比較して、周波数500Hz、及び4000Hzで顕著に外部に漏れる音が低減する結果となった。
なお、各ファン41,42,51の駆動時に生じる音(ファンノイズ)の周波数は、0〜4000Hzが支配的である。
したがって、本実施形態で示した各ファン41,42,51が搭載されたプロジェクター1に排気ダクト52や吸気ダクト41,42を配設することで、外部に漏れるファンノイズを低減させることができるため、特に効果的である。
【0039】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態において、吸気ダクト43及び排気ダクト52の形状は、前記実施形態で説明した形状に限らない。
例えば、排気ダクト52は、内部の流路が略直線的に延びるように形成されていたが、これに限らず、吸気ダクト43と同様に、内部の流路が少なくとも一度、折れ曲がるように形成しても構わない。
前記実施形態において、吸気口22B、排気口21B、吸気装置4、及び排気装置5の配設位置は、前記実施形態で説明した配設位置に限らず、その他の位置に配設しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、プレゼンテーションやホームシアターに用いられるプロジェクターに利用できる。
【符号の説明】
【0041】
1・・・プロジェクター、2・・・外装筐体、4・・・吸気装置、5・・・排気装置、21A・・・排気口、22A・・・吸気口、41,42・・・吸気ファン、41A,42A・・・吸込口、41B,42B・・・吹出口、43・・・吸気ダクト、51・・・排気ファン、51A・・・吸込口、51B・・・吹出口、52・・・排気ダクト、53・・・内部ルーバー。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターにおいて、外装筐体の吸気口を介して外気を導入する吸気装置や、外装筐体の排気口を介して外装筐体内部の空気を外部に排出する排気装置を設けることが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、吸気装置は、吸気ファンと、吸気口を介して外装筐体に導入された空気を吸気ファンに導く吸気ダクトとを備える。
また、排気装置も同様に、排気ファンと、排気ファンから吐出された空気を排気口に導く排気ダクトとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−138911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような吸気装置では、吸気ファンの駆動時に生じる音(ファンノイズ)が吸気ダクト内面を反射しながら吸気口を介して外装筐体外部に漏れてしまい、プロジェクターの静粛性が図れない。なお、排気装置も同様である。
【0005】
本発明の目的は、静粛性が図れるプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、吸気口を有する外装筐体と、前記吸気口を介して前記外装筐体に空気を導入する吸気装置とを備えたプロジェクターであって、前記吸気装置は、空気を吸い込む吸込口、及び空気を吹き出す吹出口を有する吸気ファンと、前記吸気口を介して導入された空気を前記吸気ファンに導く吸気ダクトとを備え、前記吸気ダクトは、樹脂発泡体で構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、吸気ダクトが合成樹脂素材に多数の発泡セル(気泡)を含ませた樹脂発泡体で構成されているので、吸気ファンの駆動時に生じる音の少なくとも一部は、吸気ダクト内面で反射することなく、多数の発泡セルを介して吸気ダクトを透過することとなる。
したがって、吸気口を介して外装筐体外部に漏れる音を低減することができ、プロジェクターの静粛性が図れる。
【0008】
本発明のプロジェクターでは、前記吸気ダクト内部に形成される空気の流路は、前記吸気口から前記吸込口までの間で少なくとも一度、折れ曲がっていることが好ましい。
本発明では、吸気ダクト内部の流路が上述したように折れ曲がっているため、吸気ファンの駆動時に吸込口から吸気ダクト内部に放出される音を、吸気ダクト内面の多くの領域にあてることが可能となる。
したがって、吸気ダクト内部から外部に向う音(吸気口とは別の位置に向う音)を多くすることができ、吸気口を介して外装筐体外部に漏れる音をより低減することができる。
【0009】
本発明のプロジェクターでは、前記吸気口は、前記吸込口に対向する位置からずれた位置に形成されていることが好ましい。
本発明では、吸気口が上述した位置に形成されているので、吸気ファンの駆動時に吸込口から吸気ダクト内部に放出され、吸気ダクトを透過した音が吸気口に向うことがなく、吸気ダクト内部の音を上述したように外部に出すことでプロジェクターの静粛性が効果的に図れる。
【0010】
本発明のプロジェクターでは、前記外装筐体は、非発泡体で構成されていることが好ましい。
本発明では、外装筐体が非発泡体で構成されているので、吸気ファンの駆動時に吸込口から吸気ダクト内部に放出され、吸気ダクトを透過した音を外装筐体内面で反射させることができる。
したがって、外装筐体外部に漏れる音をさらに低減することができ、プロジェクターの静粛性が効果的に図れる。
【0011】
本発明のプロジェクターでは、排気口を有する外装筐体と、前記排気口を介して前記外装筐体内部の空気を外部に排出する排気装置とを備えたプロジェクターであって、前記排気装置は、空気を吸い込む吸込口、及び空気を吹き出す吹出口を有する排気ファンと、前記吹出口から吹き出された空気を前記排気口に導く排気ダクトとを備え、前記排気ダクトは、樹脂発泡体で構成されていることを特徴とする。
本発明では、排気ダクトが上記吸気ダクトと同様に樹脂発泡体で構成されているので、上記同様に、排気ファンから排気ダクト内部に放出された音を排気ダクト外部に出すことができ、排気口を介して外装筐体外部に漏れる音を低減することができる。
したがって、プロジェクターの静粛性が図れる。
【0012】
本発明のプロジェクターでは、前記排気ダクトには、前記排気ダクトを介して排気される空気を整流するルーバーが取り付けられ、前記ルーバーは、非発泡体で構成されていることが好ましい。
本発明では、ルーバーが非発泡体で構成されているので、排気ファンの駆動時に吹出口から排気ダクト内部に放出され、排気口に向う音をルーバーで反射させることができる。
したがって、外装筐体外部に漏れる音をさらに低減することができ、プロジェクターの静粛性が効果的に図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態におけるプロジェクターの外観を示す斜視図。
【図2】本実施形態におけるプロジェクターの外観を示す斜視図。
【図3】本実施形態におけるプロジェクターの内部構成を示す斜視図。
【図4】本実施形態における吸気装置の構成を示す斜視図。
【図5】本実施形態における吸気装置の構成を示す斜視図。
【図6】本実施形態における吸気装置の構成を示す斜視図。
【図7】実施例及び比較例の評価方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの外観構成〕
図1及び図2は、プロジェクター1の外観を示す斜視図である。具体的に、図1はプロジェクター1を前面上側から見た斜視図であり、図2は背面下側から見た斜視図である。
なお、以下では、プロジェクター1において投射側(投射レンズ3A(図1))が配置された側)を前面とし、その反対側を背面とする。また、以下で記載する「上」、「下」は、図1に示す姿勢でプロジェクター1が設置された状態での上下に相当するものである。
プロジェクター1は、画像を投射してスクリーン(図示略)上に投影画像を表示する。
このプロジェクター1は、図1または図2に示すように、外装を構成する外装筐体2を備える。
【0015】
外装筐体2は、図1または図2に示すように、アッパーケース2A、及びロアーケース2Bを組み合わせることで構成され、略直方体形状を有する。
この外装筐体2において、前面側に位置する前面図21には、図1に示すように、投射された光束(画像)を通過させるための通過用開口部21Aが形成されている。
また、前面図21には、前面側から見て通過用開口部21Aの左側には、図1に示すように、内部の空気を外部に排出するための排気口21Bが形成されている。
また、排気口21Bには、図1に示すように、左右方向に延び、上下方向に並設された複数の羽根板21B2を有する外部ルーバー21B1が形成されている。
さらに、外装筐体2において、底面側に位置する底面部22には、図2に示すように、外部の空気を内部に導入するための吸気口22Aが形成されている。
本実施形態では、外装筐体2は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂材料で形成された非発泡体で構成されている。
【0016】
〔プロジェクターの内部構成〕
図3は、プロジェクター1の内部構成を示す斜視図である。具体的に、図3は、アッパーケース2A及び光学ユニット3を取り外した状態を前面上側から見た斜視図である。
そして、上述した外装筐体2内部には、図1または図3に示すように、光学ユニット3(図1)と、吸気装置4(図3)と、排気装置5(図3)とが収納される。
【0017】
〔光学ユニットの構成〕
光学ユニット3は、種々の一般的なプロジェクターで利用されているため、具体的な図示及び説明は省略するが、光源装置と、前記光源装置から出射された光束を変調する液晶パネル等の光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を投射する投射光学装置としての投射レンズ3A(図1)とを備える。
【0018】
〔吸気装置の構成〕
図4ないし図6は、吸気装置4の構成を示す斜視図である。具体的に、図4は、吸気装置4を前面上側から見た斜視図である。図5は、吸気装置4の分解斜視図である。図6は、吸気装置4を前面下側から見た斜視図である。
吸気装置4は、吸気口22Aを介して外装筐体2外部の空気を内部に導入し、冷却対象(例えば、光学ユニット3を構成する液晶パネル等)に送風する。
この吸気装置4は、図4ないし図6に示すように、一対の吸気ファン41,42と、吸気ダクト43と、送風ダクト44とを備える。
【0019】
一対の吸気ファン41,42は、空気を吸い込む吸込口41A,42A(図5)、及び空気を吹き出す吹出口41B,42B(図5)を有し、吸い込んだ空気をファンの回転接線方向に吹き出す、シロッコファンで構成されている。
そして、一対の吸気ファン41,42は、図4または図5に示すように、投射レンズ3Aを挟んで、吸込口41A,42A同士が互いに対向し、かつ、吹出口41B,42Bが背面側を向くように、配設される。
【0020】
吸気ダクト43は、吸気口22Aを介して導入された空気を一対の吸気ファン41,42の吸込口41A,42Aに導く。
この吸気ダクト43は、図4ないし図6に示すように、下方側が開口した中空の直方体の上面を投射レンズ3Aの外形形状に対応させて円弧状に湾曲させた形状となっている。
そして、吸気ダクト43は、下方側の開口部分43A(図6)が吸気口22Aに接続する。
また、吸気ダクト43の両側面には、図5または図6に示すように、開口部43B,43Cがそれぞれ形成されている。
そして、当該開口部43B,43Cには、各吸気ファン41,42の各吸込口41A,42Aが接続される。
【0021】
そして、上記構成により、一対の吸気ファン41,42が駆動すると、外装筐体2外部の空気は、吸気口22Aを介して吸気ダクト43に導入される。また、吸気ダクト43に導入された空気は、吸気ダクト43内部において、上方側に流通しながら、吸気ダクト43上面の湾曲部分にて左右に分流され、開口部43B,43Cを介して吸気ファン41,42に吸い込まれる。
すなわち、吸気ダクト43内部に形成される空気の流路は、吸気口22Aから吸込口41A,42Aまでの間で1度、折れ曲がっている(本実施形態では、略90°折れ曲がっている)。
【0022】
送風ダクト44は、吸気ファン41,42から吹き出された空気を冷却対象に導く。
この送風ダクト44は、図4ないし図6に示すように、第1送風ダクト441と、第2送風ダクト442とを備える。
なお、本実施形態では、送風ダクト44は、吸気ダクト43に一体的に形成されている。
第1送風ダクト441は、吸気ファン41の吹出口41Bに接続し、当該吹出口41Bの接続位置から背面側に向けて延び、さらに、吸気ファン42の配設側に向けて略90°折れ曲がった略L字形状を有する。
そして、第1送風ダクト441において、上面には、図4ないし図6に示すように、吸気ファン41から吹き出された空気を排出し、冷却対象に送風するための排出口441Aが形成されている。
【0023】
第2送風ダクト442は、吸気ファン42の吹出口42Bに接続し、当該吹出口42Bの接続位置から背面側に向けて延び、さらに、吸気ファン41の配設側に向けて略90°折れ曲がった略L字形状を有する。
そして、第2送風ダクト442において、上面には、図4ないし図6に示すように、吸気ファン42から吹き出された空気を排出し、冷却対象に送風するための排出口442A,442Bが形成されている。
【0024】
〔排気装置の構成〕
排気装置5は、排気口21Bを介して外装筐体2内部の空気を外部に排出する。
この排気装置5は、図3に示すように、排気ファン51と、排気ダクト52と、内部ルーバー53とを備える。
排気ファン51は、空気を吸い込む吸込口51A、及び空気を吹き出す吹出口51Bを有し、吸い込んだ空気をファンの回転軸に沿って吹き出す、軸流ファンで構成されている。
そして、排気ファン51は、図3に示すように、吹出口51Bが前面側に向き、排気口21Bに対向するように配設される。
【0025】
排気ダクト52は、図3に示すように、前後方向に略直線的に延びる筒状に形成され、一端が排気ファン51の吹出口51Bに接続し、他端が排気口21Bに対向するように配設される。
内部ルーバー53は、図3に示すように、排気ダクト52の他端に取り付けられ、排気ダクト52から排出される空気を整流する。
具体的に、内部ルーバー53は、排気ダクト52の延出方向に対して傾斜して取り付けられる複数の羽根板53Aを有し、排気ダクト52から排出される空気を当該複数の羽根板53Aの傾斜方向に整流する。
また、内部ルーバー53は、具体的な図示は省略したが、前面側から見た場合に、複数の羽根板53Aにより、排気ダクト52内部を隠すように形成されている。
すなわち、内部ルーバー53は、排気ダクト52を介して排気口21Bに向けて進行する漏れ光を遮光する機能も有している。
【0026】
以上説明した吸気ダクト43及び排気ダクト52は、樹脂発泡体から構成されている。
ここで、樹脂発泡体としては、例えば、ポリプロピレンを原材料とし、加圧発泡法、押出発泡法、常圧発泡法、あるいはビーズ発泡法等の公知の手法により形成された樹脂発泡体や、ポリエチレンを原材料とし、溶融発泡成形等の公知の手法により形成された樹脂発泡体が採用できる。
なお、樹脂発泡体の原材料としては、ポリプロピレンやポリエチレンに限らず、その他の樹脂材料を採用しても構わない。
また、本実施形態では、発泡倍率(非発泡時の比重/発泡時の比重)を適宜調整することで、発泡セル径が1mm以下となるように形成されている。
さらに、本実施形態では、具体的な図示は省略したが、吸気ダクト43内面、及び排気ダクト52内面は、微細な凹凸状に形成されている。
さらに、本実施形態では、内部ルーバー53は、外装筐体2と同様に、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂材料で形成された非発泡体で構成されている。
【0027】
上述した実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、吸気ダクト43が合成樹脂素材に多数の発泡セル(気泡)を含ませた樹脂発泡体で構成されているので、吸気ファン41,42の駆動時に生じる音の少なくとも一部は、吸気ダクト43内面で反射することなく、多数の発泡セルを介して吸気ダクト43を透過することとなる。
したがって、吸気口22Aを介して外装筐体2外部に漏れる音を低減することができ、プロジェクター1の静粛性が図れる。
【0028】
また、吸気ダクト43内部の流路が折れ曲がっているため、吸気ファン41,42の駆動時に吸込口41A,42Aから吸気ダクト43内部に放出される音を、吸気ダクト43内面の多くの領域にあてることが可能となる。
したがって、吸気ダクト43内部から外部に向う音(吸気口とは別の位置に向う音)を多くすることができ、吸気口22Aを介して外装筐体2外部に漏れる音をより低減することができる。
さらに、吸気ダクト43内面が微細な凹凸状に形成されているので、上記同様に、吸気ダクト43内部に放出される音を、吸気ダクト43内面の多くの領域にあてることが可能となり、吸気ダクト43内部から外部に向う音を多くすることができる。なお、排気ダクト52も同様である。
【0029】
また、吸気口22Aは、底面部22に形成されている。そして、各吸気ファン41,42は、各吸込口41A,42Aが外装筐体2における底面部22に交差する各側壁部23,24(図1、図3)にそれぞれ向くように配設されている。
すなわち、吸気口22Aは、各吸込口41A,42Aに対向する位置からずれた位置に形成されている。
このため、吸気ファン41,42の駆動時に吸込口41A,42Aから吸気ダクト43内部に放出され、吸気ダクト43を透過した音が吸気口22Aに向うことがなく、吸気ダクト43内部の音を上述したように吸気ダクト43外部に出すことでプロジェクター1の静粛性が効果的に図れる。
【0030】
さらに、外装筐体2が非発泡体で構成されているので、吸気ファン41,42の駆動時に吸込口41A,42Aから吸気ダクト43内部に放出され、吸気ダクト43を透過した音を外装筐体2内面で反射させることができる。
したがって、外装筐体2外部に漏れる音をさらに低減することができ、プロジェクター1の静粛性が効果的に図れる。
【0031】
また、排気ダクト52も吸気ダクト43と同様に樹脂発泡体で構成されているので、上記同様に、排気ファン51から排気ダクト52内部に放出された音を排気ダクト52外部に出すことができ、排気口21Bを介して外装筐体2外部に漏れる音も低減することができる。
したがって、プロジェクター1の静粛性がさらに効果的に図れる。
さらに、排気ダクト52に取り付けられた内部ルーバー53が非発泡体で構成されているので、排気ファン51の駆動時に吹出口51Bから排気ダクト52内部に放出され、排気口21Bに向う音を内部ルーバー53で反射させることができる。
したがって、外装筐体2外部に漏れる音をさらに一層低減することができる。
【0032】
また、吸気ダクト43及び排気ダクト52は、発泡セル径が1mm以下となるように形成されている。このことにより、各ダクト43,52内部を流通する空気が各ダクト43,52外部に漏れることを抑制しつつ、音のみを良好に外部に出すことができる。
【実施例】
【0033】
次に、本発明の効果を具体的な実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
本実施例1では、前記実施形態で説明した構成の排気ダクト52(樹脂発泡体で構成された排気ダクト)を用いた。
[比較例1]
本比較例1では、前記実施形態で説明した排気ダクト52と同一形状で、合成樹脂材料で形成された非発泡体で構成された排気ダクト520(図7参照)を用いた。
【0034】
そして、上記実施例1及び比較例1の排気ダクト52,520を以下の評価方法にて評価した。
(評価及び結果)
図7は、実施例1及び比較例1の評価方法を説明するための図である。
評価方法としては、以下の通りである。
先ず、図7に示すように、前記実施形態で説明した外装筐体2と同一形状で、同一材料(非発泡体)で形成されたケース100を用意した。
このケース100は、外装筐体2の前面部21に対応する前面部101の略中央部分に内外を連通する開口部101Aを有するものである。
また、ケース100内部における開口部101Aに対向する位置に、試験用の音源200を配設した。
【0035】
さらに、ケース100外部において、開口部101Aに対向する位置、ケース100における前面部101に交差する左右の各側壁部102,103の略中央部分にそれぞれ対向する位置、及び前面部101に対向する背面部104の略中央部分に対向する位置に、音源200からの音圧を検知する第1〜第4マイクロホンM1〜M4を配設した。
そして、ケース100内部において、音源200と開口部101Aとの間に実施例1の排気ダクト52を配設した場合と、比較例1の排気ダクト520を配設した場合とで、音源200から40dB,50dB,60dBの音圧を発生させた時の第1〜第4マイクロホンM1〜M4で測定された測定音圧を比較した。
結果としては、以下の表1に示す通りである。
【0036】
【表1】
【0037】
上記表1に示すように、比較例1の排気ダクト520を配設した場合よりも、実施例1の排気ダクト52を配設した場合の方がケース100外部に漏れる音が少ない結果となった。特に、音源200の音圧が60dBである場合に顕著である。
したがって、排気ダクトを樹脂発泡体で構成することで、外部への音の漏れを低減でき、静粛性が図れることが実証された。なお、吸気ダクトを樹脂発泡体で構成しても同様の効果が得られるものと考える。
【0038】
また、本評価では、具体的な図示は省略したが、実施例1の排気ダクト52を配設した場合には、比較例1の排気ダクト520を配設した場合に比較して、周波数500Hz、及び4000Hzで顕著に外部に漏れる音が低減する結果となった。
なお、各ファン41,42,51の駆動時に生じる音(ファンノイズ)の周波数は、0〜4000Hzが支配的である。
したがって、本実施形態で示した各ファン41,42,51が搭載されたプロジェクター1に排気ダクト52や吸気ダクト41,42を配設することで、外部に漏れるファンノイズを低減させることができるため、特に効果的である。
【0039】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態において、吸気ダクト43及び排気ダクト52の形状は、前記実施形態で説明した形状に限らない。
例えば、排気ダクト52は、内部の流路が略直線的に延びるように形成されていたが、これに限らず、吸気ダクト43と同様に、内部の流路が少なくとも一度、折れ曲がるように形成しても構わない。
前記実施形態において、吸気口22B、排気口21B、吸気装置4、及び排気装置5の配設位置は、前記実施形態で説明した配設位置に限らず、その他の位置に配設しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、プレゼンテーションやホームシアターに用いられるプロジェクターに利用できる。
【符号の説明】
【0041】
1・・・プロジェクター、2・・・外装筐体、4・・・吸気装置、5・・・排気装置、21A・・・排気口、22A・・・吸気口、41,42・・・吸気ファン、41A,42A・・・吸込口、41B,42B・・・吹出口、43・・・吸気ダクト、51・・・排気ファン、51A・・・吸込口、51B・・・吹出口、52・・・排気ダクト、53・・・内部ルーバー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口を有する外装筐体と、前記吸気口を介して前記外装筐体に空気を導入する吸気装置とを備えたプロジェクターであって、
前記吸気装置は、
空気を吸い込む吸込口、及び空気を吹き出す吹出口を有する吸気ファンと、
前記吸気口を介して導入された空気を前記吸気ファンに導く吸気ダクトとを備え、
前記吸気ダクトは、
樹脂発泡体で構成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記吸気ダクト内部に形成される空気の流路は、
前記吸気口から前記吸込口までの間で少なくとも一度、折れ曲がっている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
前記吸気口は、
前記吸込口に対向する位置からずれた位置に形成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記外装筐体は、
非発泡体で構成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
排気口を有する外装筐体と、前記排気口を介して前記外装筐体内部の空気を外部に排出する排気装置とを備えたプロジェクターであって、
前記排気装置は、
空気を吸い込む吸込口、及び空気を吹き出す吹出口を有する排気ファンと、
前記吹出口から吹き出された空気を前記排気口に導く排気ダクトとを備え、
前記排気ダクトは、
樹脂発泡体で構成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項5に記載のプロジェクターにおいて、
前記排気ダクトには、
前記排気ダクトを介して排気される空気を整流するルーバーが取り付けられ、
前記ルーバーは、
非発泡体で構成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項1】
吸気口を有する外装筐体と、前記吸気口を介して前記外装筐体に空気を導入する吸気装置とを備えたプロジェクターであって、
前記吸気装置は、
空気を吸い込む吸込口、及び空気を吹き出す吹出口を有する吸気ファンと、
前記吸気口を介して導入された空気を前記吸気ファンに導く吸気ダクトとを備え、
前記吸気ダクトは、
樹脂発泡体で構成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記吸気ダクト内部に形成される空気の流路は、
前記吸気口から前記吸込口までの間で少なくとも一度、折れ曲がっている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
前記吸気口は、
前記吸込口に対向する位置からずれた位置に形成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記外装筐体は、
非発泡体で構成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
排気口を有する外装筐体と、前記排気口を介して前記外装筐体内部の空気を外部に排出する排気装置とを備えたプロジェクターであって、
前記排気装置は、
空気を吸い込む吸込口、及び空気を吹き出す吹出口を有する排気ファンと、
前記吹出口から吹き出された空気を前記排気口に導く排気ダクトとを備え、
前記排気ダクトは、
樹脂発泡体で構成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項5に記載のプロジェクターにおいて、
前記排気ダクトには、
前記排気ダクトを介して排気される空気を整流するルーバーが取り付けられ、
前記ルーバーは、
非発泡体で構成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−198462(P2012−198462A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64029(P2011−64029)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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