説明

プロジェクター

【課題】軸流ファンを小型化、薄型化した場合であっても、冷却対象の冷却効率を向上できるとともに、静粛性を確保できるプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、所定の回転軸Ax周りに配置される複数の羽根61を有し、複数の羽根61が回転軸Axを中心として回転することで回転軸Axに沿って空気を吸入及び吐出する軸流ファン6と、軸流ファン6の空気吸入側に設けられる吸入側部材512Aとを備え、吸入側部材512Aには、外部の空気を軸流ファン6に導入させるための筒状の空気導入部514が設けられている。空気導入部514は、回転軸Axに対して傾斜した斜面514Aを有し、導入する空気を複数の羽根61に向けて整流する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターにおいて、軸流ファンを用いて、外装筐体内部に収納される光源装置等の冷却対象を冷却する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の軸流ファンは、複数の羽根と、所定の回転軸を中心として回転可能に軸支され複数の羽根の基端部分を支持する羽根支持部材と、複数の羽根の外側を囲むケースとを備える。そして、軸流ファンは、複数の羽根が一体化された羽根支持部材の回転により、光源装置近傍の空気をケースに形成された吸入口から吸入し、ケースに形成された吐出口から吐出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−170413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、軸流ファンとしては、空気を吸い込む際の抵抗を低減させることで、滑らかに空気を吸入し、冷却対象近傍の空気を効率的に吸入して冷却対象の冷却効率を向上させるとともに、静粛性を確保する構造が採用されている。
例えば、前記構造としては、吸入口の開口面積を吸入側に向かうにしたがって大きくした、いわゆるベルマウス形状を採用した構造が例示できる。
しかしながら、近年では、プロジェクターの小型化等の要請に応じて軸流ファンの小型化、薄型化が図られているため、ケースの厚みも小さくなっている。
すなわち、ベルマウス形状を形成する部位も小さくなるため、ベルマウス形状が十分に機能しない、という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、軸流ファンを小型化、薄型化した場合であっても、冷却対象の冷却効率を向上できるとともに、静粛性を確保できるプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調して画像を形成し、形成した画像を投射するプロジェクターであって、所定の回転軸周りに配置される複数の羽根を有し、前記複数の羽根が前記回転軸を中心として回転することで前記回転軸に沿って空気を吸入及び吐出する軸流ファンと、前記軸流ファンの空気吸入側に設けられる吸入側部材とを備え、前記吸入側部材には、外部の空気を前記軸流ファンに導入させるための筒状の空気導入部と、前記空気導入部を介して導入する空気を前記複数の羽根に向けて整流する空気整流部とが設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、軸流ファンの空気吸入側に設けられる吸入側部材には、上述した空気導入部及び空気整流部が設けられている。すなわち、軸流ファンとは別部材である吸入側部材に、空気整流部が設けられている。このことにより、軸流ファンが小型化、薄型化した場合であっても、軸流ファンとは別部材である吸入側部材により、空気を吸い込む際の抵抗を低減させることができ、すなわち、滑らかに空気を軸流ファンに吸入させることができ、冷却対象近傍の空気を軸流ファンに効率的に吸入させて冷却対象の冷却効率を向上させることができるとともに、軸流ファンの駆動に伴う騒音を抑制して静粛性を確保できる。
【0008】
本発明のプロジェクターでは、前記吸入側部材には、板面が前記回転軸に対して傾斜し、前記回転軸からの放射方向に沿って延びる板状に形成され、前記空気導入部における内部の一部を閉塞する第1遮光部が設けられ、前記第1遮光部は、前記回転軸側に位置し、前記回転軸を中心とする回転方向に沿って第1の角度毎に配置される複数の中心側遮光部と、前記中心側遮光部に対して前記回転軸から離間した側に位置し、前記回転方向に沿って前記第1の角度よりも小さい第2の角度毎に配置される複数の外側遮光部とを備えることが好ましい。
【0009】
本発明では、吸入側部材には、上述した第1遮光部が設けられている。このことにより、外装筐体に形成された排気口近傍に軸流ファンを配設した構造を採用した場合であっても、空気導入部、軸流ファン、及び排気口を介して外装筐体外部に漏れる光を第1遮光部にて遮光できる。
また、第1遮光部は、板面が回転軸に対して傾斜するように形成されているので、上述した光を遮光しつつ、空気抵抗を低減させて空気導入部を介して軸流ファンに空気を良好に吸入させることができる。
さらに、第1遮光部は、回転軸側に位置し回転軸を中心とする回転方向に沿って第1の角度毎に配置される複数の中心側遮光部と、回転軸から離間した側に位置し第1の角度よりも小さい第2の角度毎に配置される複数の外側遮光部とを備える。このことにより、例えば第1遮光部として回転軸側から空気導入部の内縁まで放射状に延びるように形成した構成と比較して、第1遮光部(複数の外側遮光部)による回転軸から離間した側の遮光面積を大きくし、上述した光を十分に遮光できる。
【0010】
本発明のプロジェクターでは、前記空気整流部は、前記空気導入部に形成された斜面であり、前記斜面は、前記軸流ファンから離間するにしたがって内部の開口面積が大きくなるように形成されていることが好ましい。
本発明では、空気整流部は、空気導入部に形成された斜面である。このため、斜面を軸流ファンから離間するにしたがって内部の開口面積が大きくなるように形成するだけで空気整流部を形成でき、吸入側部材の構造の簡素化が図れる。
【0011】
本発明のプロジェクターでは、前記軸流ファンは、外周に前記複数の羽根が一体化され前記回転軸を中心として回転する羽根車と、前記回転軸を中心として前記羽根車を回転可能に軸支するファン筐体とを備え、前記吸入側部材には、前記羽根車を覆い前記空気導入部における内部の一部を閉塞する第2遮光部が設けられていることが好ましい。
【0012】
ところで、軸流ファンは、羽根車を回転動作させるためのドライバ回路等が羽根車に対して空気吐出側に設けられているものである。
本発明では、吸入側部材には、上述した第2遮光部が設けられている。このことにより、空気導入部を介して羽根車に入射する光を第2遮光部にて遮光できる。このため、羽根車への光の入射による羽根車の温度上昇、ひいては、ドライバ回路等の温度上昇を回避でき、軸流ファンの動作不具合を抑制できる。
【0013】
本発明のプロジェクターでは、前記空気整流部は、前記軸流ファンから離間するにしたがって断面積が小さくなる円錐状に前記第2遮光部に形成されていることが好ましい。
本発明では、空気整流部は、上述したように軸流ファンから離間するにしたがって断面積が小さくなるように円錐状に第2遮光部に形成されている。このことにより、例えば、上述したように空気導入部に空気整流部(以下、第1空気整流部と記載)を形成するとともに、さらに第2遮光部にも空気整流部(以下、第2空気整流部と記載)を形成すれば、回転軸から離間した空気を第1空気整流部にて軸流ファンに滑らかに吸入させることができるとともに、回転軸近傍の空気も第2空気整流部にて軸流ファンに滑らかに吸入させることができる。このため、上述した冷却対象の冷却効率を向上させることができるとともに静粛性を確保できる、という効果をさらに好適に図れる。
【0014】
本発明のプロジェクターでは、外装を構成する外装筐体を備え、前記外装筐体は、前記光源装置を当該外装筐体内外に着脱可能とする交換用開口部を有する筐体本体と、前記筐体本体に対して着脱可能に取り付けられ、前記交換用開口部を閉塞する交換用蓋体とを備え、前記交換用蓋体には、前記吸入側部材が一体的に形成されているとともに、前記軸流ファンが取り付けられることが好ましい。
【0015】
本発明では、交換用蓋体には、吸入側部材が一体的に形成されているとともに、軸流ファンが取り付けられる。このことにより、交換用蓋体を筐体本体から取り外すだけで、光源装置を新たな光源装置に交換できるとともに、軸流ファンも新たな軸流ファンに交換でき、プロジェクターのメンテナンスを容易に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態におけるプロジェクターの外観を示す斜視図。
【図2】前記実施形態におけるプロジェクターの外観を示す斜視図。
【図3】前記実施形態におけるプロジェクターの内部構成を模式的に示す図。
【図4】前記実施形態における交換用蓋体及び軸流ファンの構成を示す図。
【図5】前記実施形態における交換用蓋体及び軸流ファンの構成を示す図。
【図6】前記実施形態における交換用蓋体及び軸流ファンの構成を示す図。
【図7】前記実施形態における交換用蓋体及び軸流ファンの構成を示す図。
【図8】第2実施形態における交換用蓋体及び軸流ファンの構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの概略構成〕
図1及び図2は、第1実施形態におけるプロジェクター1の外観を示す斜視図である。具体的に、図1はプロジェクター1を前面上側から見た斜視図であり、図2は背面上側から見た斜視図である。
なお、以下で記載する「上」、「下」、「左」、「右」は、図1における図面視において、上下左右に相当するものである。また、以下で記載する「前面」、「背面」は、プロジェクター1において投射側(投射レンズ34が配置された側)を前面とし、その反対側を背面とする。
【0018】
プロジェクター1は、画像情報に応じた画像を形成してスクリーン(図示略)上に投射する。このプロジェクター1は、図1または図2に示すように、外装を構成する外装筐体2と、外装筐体2内部に収納される光学ユニット3(図3参照)とで大略構成されている。
外装筐体2は、鉛直方向に交差する天面部21及び底面部22と、前面部23と、背面部24と、右側面部25と、左側面部26とを備え、略直方体形状を有する。そして、外装筐体2は、光学ユニット3等を収納する。この外装筐体2は、図1または図2に示すように、筐体本体4と、交換用蓋体5とを備える。
【0019】
筐体本体4は、光学ユニット3等を収納する部分である。
この筐体本体4において、前面部23には、図1に示すように、光学ユニット3の後述する投射レンズ34から投射された画像を通過させるための画像通過用開口部231が形成されている。
また、筐体本体4において、背面部24には、光学ユニット3の後述する光源装置31を筐体本体4内外に着脱可能とする交換用開口部241(図3参照)が形成されている。
【0020】
交換用蓋体5は、図1に示すように、筐体本体4の背面側に取り付けられることで、天面部21、底面部22、背面部24、及び右側面部25の一部をそれぞれ構成する。また、交換用蓋体5は、筐体本体4に取り付けられることで、筐体本体4の交換用開口部241を閉塞する。
すなわち、光源装置31は、筐体本体4から交換用蓋体5が取り外されることで、交換用開口部241を介して、新たな光源装置31に交換が可能となる。
また、交換用蓋体5には、光源装置31近傍の空気を吸入し、外部に吐出する2つの軸流ファン6が取り付けられている(図2)。
すなわち、2つの軸流ファン6は、光源装置31近傍の空気を吸入し、外部に吐出することで、光源装置31を冷却するとともに、外装筐体2内部が高温化することを防止している。
なお、交換用蓋体5や軸流ファン6の具体的な構成については、後述する。
【0021】
〔光学ユニットの構成〕
図3は、プロジェクター1の内部構成を模式的に示す図である。
光学ユニット3は、制御装置(図示略)による制御の下、画像情報に応じて画像を形成して投射する。
この光学ユニット3は、図3に示すように、光源ランプ311及びリフレクタ312を有し交換用開口部241に対向した位置に配設される光源装置31と、レンズアレイ321,322、偏光変換素子323、及び重畳レンズ324を有する照明光学装置32と、ダイクロイックミラー331,332、及び反射ミラー333〜336を有する色分離光学装置33と、光変調装置としての3つの液晶パネル341、3つの入射側偏光板342、3つの射出側偏光板343、及び色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム344を有する光学装置34と、投射光学装置としての投射レンズ35等を有する。
【0022】
そして、光学ユニット3では、上述した構成により、光源装置31から射出され照明光学装置32を介した光束は、色分離光学装置33にてR,G,Bの3つの色光に分離される。また、分離された各色光は、各液晶パネル341にて画像情報に応じてそれぞれ変調され、色光毎の画像が形成される。色光毎の画像は、クロスダイクロイックプリズム344にて合成され、投射レンズ35にてスクリーン(図示略)に投射される。
なお、上述した各部材31〜35については、種々の一般的なプロジェクターの光学系として利用されているため、具体的な説明を省略する。
【0023】
〔軸流ファンの構成〕
図4ないし図7は、交換用蓋体5及び軸流ファン6の構成を示す図である。具体的に、図4は軸流ファン6が取り付けられた交換用蓋体5を背面側から見た斜視図であり、図5は前面側(裏側)から見た斜視図であり、図6及び図7は縦方向で切断した断面を示す図である。
先ず、交換用蓋体5の構成を説明する前に、軸流ファン6の構成について説明する。
2つの軸流ファン6は、同一の構造を有し、図6または図7に示すように、複数の羽根61と、羽根車62と、ファン筐体63とを備える。
【0024】
複数の羽根61は、全て同一の形状を有し、後述する回転軸Ax(図5,図7)を中心とする回転方向にそって所定のピッチで配設され、羽根車62の外周から外側に向けて所定の角度でねじれながら突出する。
羽根車62は、ファン筐体63に対して回転可能に支持される。この羽根車62は、具体的な図示は省略したが、有底円筒形状を有している。
【0025】
ファン筐体63は、複数の羽根61が一体化された羽根車62を内部に収納する。このファン筐体63は、筐体本体631と、ホルダ632とを備える。
筐体本体631は、平面視矩形状を有し、前後方向に貫通した断面円形状の孔を有する筒体で構成されている。そして、複数の羽根61が一体化された羽根車62は、筐体本体631の筒体内部に配設される。
すなわち、図6または図7に示すように、筐体本体631における前面側の端部が空気を吸入するための吸入口63Aとして機能し、背面側の端部が空気を吐出するための吐出口63Bとして機能する。
この吸入口63Aは、図6または図7に示すように、前面側に向かうにしたがって開口面積が大きくなるように形成されている。また、吐出口63Bも同様に、背面側に向かうにしたがって開口面積が大きくなるように形成されている。
【0026】
ホルダ632は、筐体本体631における吐出口63B側に設けられ、複数の羽根61が一体化された羽根車62を回転可能に軸支する。
このホルダ632は、図6または図7に示すように、ホルダ本体632Aと、複数の固定部632Bと、軸部632C(図7)とを備える。
ホルダ本体632Aは、羽根車62と同様の平面形状を有する円板形状を有し、羽根車62の背面側を覆う位置に配置される。
複数の固定部632Bは、具体的な図示は省略したが、ホルダ本体632Aの外縁から突出し、筐体本体631における吐出口63B側に接続する。
軸部632Cは、ホルダ本体632Aの前面側の端面から突出する円柱形状を有し、羽根車62を回転可能に軸支する。すなわち、軸部632Cにおける柱状軸が回転軸Axに相当する。
【0027】
そして、具体的な図示は省略したが、羽根車62内周部分には回転軸Axを中心とする周方向に沿って多極に着磁された永久磁石が固定され、軸部632Cの外周部分にはコイルや、コイルへの通電により回転軸Axを中心とする周方向に沿って多極に着磁されるヨーク等が設けられている。
また、軸部632Cの基端部分には、リード線を介して外部から電力が供給され、前記コイルに通電するドライバ回路(回路基板)が配設されている。
そして、軸流ファン6は、前記ドライバ回路の制御の下、前記コイルへの通電により着磁された前記ヨークと前記永久磁石との相互作用により、回転軸Axを中心として羽根車62が所定方向に回転する。羽根車62が回転することで、複数の羽根61により、吸入口63Aを介して空気が吸入され、吐出口63Bを介して空気が吐出される。
【0028】
〔交換用蓋体の構成〕
次に、交換用蓋体5の構成について図4ないし図7を参照して説明する。
交換用蓋体5は、図4ないし図7に示すように、蓋体本体51と、吐出側部材52(図4、図6、図7)とを備える。
蓋体本体51は、外装筐体2に取り付けられる部分であり、図4または図5に示すように、背面側から見て略矩形形状を有し、背面側が開口した容器状に形成されている。
この蓋体本体51において、容器状の底部分には、図5ないし図7に示すように、背面側から見て略矩形形状を有し、前面側に向けて凹状に窪んだ第1凹部511が形成されている。
【0029】
また、第1凹部511の底部分511Aには、図5ないし図7に示すように、背面側から見て略矩形形状を有し、前面側に向けて凹状に窪んだ2つの第2凹部512が左右方向に並設するように形成されている。
この第2凹部512は、ファン筐体63の外形形状に対応した大きさを有し、軸流ファン6が収納される部分である。
そして、軸流ファン6は、第2凹部512に収納された状態で、第2凹部512の底部分に4つの固定ネジSc(図5)で固定される。
【0030】
さらに、第2凹部512の底部分512Aには、図5ないし図7に示すように、背面側から見て円形状を有する開口部513が形成されているとともに、開口部513の周縁部分から前面側及び背面側に突出した筒状の空気導入部514が設けられている。
以上説明したように、第2凹部512の底部分512Aが本発明に係る吸入側部材に相当する。以下では、説明の便宜上、第2凹部512の底部分512Aを吸入側部材512Aと記載する。
なお、開口部513における平面視円形状の中心位置は、軸流ファン6が吸入側部材512Aに固定された状態で回転軸Axに一致する。
また、空気導入部514の背面側の端部は、図6または図7に示すように、軸流ファン6が吸入側部材512Aに固定された状態で、吸入口63Aに接続する。
すなわち、交換用蓋体5の前面側の空気(光源装置31近傍の空気)は、軸流ファン6の駆動により、空気導入部514を介して軸流ファン6の吸入口63Aに導かれることとなる。
【0031】
この空気導入部514において、前面側の端部は、図5ないし図7に示すように、空気整流部としての曲面状の斜面514Aを有し、前面側に向かうにしたがって内部の開口面積が大きくなるように形成されている。そして、空気導入部514に導入される空気は、斜面514Aにて整流され、吸入口63Aを介して複数の羽根61に向けて導かれる。
【0032】
また、空気導入部514の内部には、図5ないし図7に示すように、内部の一部を閉塞するように第1遮光部515及び第2遮光部516が形成されている。
第2遮光部516は、図5ないし図7に示すように、前面側から見た場合に中心位置が回転軸Axに合致した円形状を有し、背面側に凹状に窪むように形成されている。そして、第2遮光部516は、軸流ファン6が吸入側部材512Aに固定された状態で羽根車62を覆うように配置される。
【0033】
第1遮光部515は、図5または図6に示すように、板面が回転軸Axに対して傾斜して空気導入部514における中心位置(回転軸Ax)からの放射方向に沿って延びる板体状の複数の中心側遮光部515A及び複数の外側遮光部515Bと、各遮光部515A,515Bを接続する接続部515Cとを備える。
接続部515Cは、円形枠形状を有し、空気導入部514内部において、第2遮光部516で除かれる領域を2つの領域に区画し、各遮光部515A,515Bを接続する。
複数の中心側遮光部515Aは、接続部515Cにて区画された2つの領域のうち内側の領域に配置され、一端が第2遮光部516の外縁に接続し、他端が接続部515Cに接続する。
また、複数の中心側遮光部515Aは、回転軸Axを中心とする回転方向に沿って第1の角度θ1(図5)毎に配置されている。
【0034】
複数の外側遮光部515Bは、接続部515Cにて区画された2つの領域のうち外側の領域に配置され、一端が接続部515Cに接続し、他端が空気導入部514における内縁に接続する。
また、複数の外側遮光部515Bは、回転軸Axを中心とする回転方向に沿って第1の角度θ1よりも小さい第2の角度θ2(図5)毎に設けられている。
上述した各遮光部515A,515Bは、空気導入部514に導入された空気との抵抗を減らすために、前面側及び背面側の端部の断面積が中央部の断面積よりも小さくなるように形成されている(図7)。
【0035】
なお、各遮光部515A,515Bにおける板面が回転軸Axに対して傾斜した傾斜角度は、全て同一に設定されている。
本実施形態では、各遮光部515A,515Bの傾斜角度は、軸流ファン6における羽根車62の回転数、複数の羽根61のねじれ角及び配設ピッチ等に応じて、空気抵抗を効果的に低減できる角度に設定されている。
【0036】
吐出側部材52は、具体的な図示は省略したが、第1凹部511と略同様の外形形状を有し、前面側が開口した容器状に形成されている。そして、吐出側部材52は、第1凹部511に嵌合固定され、背面部24の一部を構成する。
この吐出側部材52には、図4、図6または図7に示すように、2つの軸流ファン6の各吐出口63Bに対応した2つの排気口521が左右方向に並設するように形成されている。
また、吐出側部材52の前面側の端面には、各排気口521の縁部に沿って前面側に突出し、各吐出口63Bに接続する円形枠状の突出部522が形成されている。
すなわち、軸流ファン6の駆動により、吐出口63Bから吐出される空気は、突出部522により排気口521に導かれ、排気口521を介して外装筐体2外部に排出されることとなる。
さらに、吐出側部材52の背面側の端面には、背面側に突出し各排気口521を跨いで左右方向に延びる複数のルーバ523が上下方向に並設するように形成されている。
【0037】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、軸流ファン6の空気吸入側に設けられる吸入側部材512Aには、斜面514Aを有する空気導入部514が設けられている。すなわち、軸流ファン6とは別部材である吸入側部材512Aに、斜面514Aが形成されている。このことにより、軸流ファン6が小型化、薄型化した場合であっても、軸流ファン6とは別部材である吸入側部材512Aにより、空気を吸い込む際の抵抗を低減させることができ、すなわち、滑らかに空気を吸入させることができ、光源装置31近傍の空気を軸流ファン6に効率的に吸入させて光源装置31等の冷却効率を向上させることができるとともに、軸流ファン6の駆動に伴う騒音を抑制して静粛性を確保できる。
【0038】
また、吸入側部材512Aには、第1遮光部515が設けられている。このことにより、本実施形態のように排気口521近傍に軸流ファン6を配設した構造を採用した場合であっても、空気導入部514、軸流ファン6、及び排気口521を介して外装筐体2外部に漏れる光を第1遮光部515にて遮光できる。
さらに、第1遮光部515は、板面が回転軸Axに対して傾斜するように形成されているので、上述した光を遮光しつつ、空気抵抗を低減させて空気導入部514を介して軸流ファン6に空気を良好に吸入させることができる。
【0039】
また、第1遮光部515は、第1の角度θ1毎に配置された複数の中心側遮光部515Aと、第1の角度θ1よりも小さい第2の角度θ2毎に配置された複数の外側遮光部515Bとを備える。このことにより、例えば第1遮光部515として回転軸Ax側から空気導入部514の内縁まで放射状に延びるように形成した構成と比較して、第1遮光部515(複数の外側遮光部515B)による回転軸Axから離間した側(接続部515Cにて区画された2つの領域のうち外側の領域)の遮光面積を大きくし、上述した光を十分に遮光できる。
特に、本実施形態では、軸流ファン6が光源装置31近傍に設けられているため、上述した光が外装筐体2外部に漏れやすいところ、第1遮光部515により、上述した光を効果的に遮光できる。
【0040】
さらに、空気導入部514に斜面514Aを形成するだけで滑らかに空気を軸流ファン6に吸入させることができ、吸入側部材512Aの構造の簡素化が図れる。
また、吸入側部材512Aには、第2遮光部516が設けられている。このことにより、空気導入部514を介して羽根車62に入射する光を第2遮光部516にて遮光できる。このため、羽根車62への光の入射による羽根車62の温度上昇、ひいては、軸部632Cの基端部分に配設されるドライバ回路(回路基板)の温度上昇を回避でき、軸流ファン6の動作不具合を抑制できる。
特に、本実施形態では、軸流ファン6が光源装置31近傍に設けられているため、上述した軸流ファン6の動作不具合が生じやすいところ、第2遮光部516により、上述した軸流ファン6の動作不具合を効果的に抑制できる。
【0041】
さらに、交換用蓋体5には、吸入側部材512Aが一体的に形成されているとともに、軸流ファン6が取り付けられる。このことにより、交換用蓋体5を筐体本体4から取り外すだけで、光源装置31を新たな光源装置31に交換できるとともに、軸流ファン6も新たな軸流ファン6に交換でき、プロジェクター1のメンテナンスを容易に実施できる。
【0042】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造及び同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図8は、第2実施形態における交換用蓋体5及び軸流ファン6の構成を示す断面図である。具体的に、図8は、図7に対応した図である。
前記第1実施形態では、空気整流部としての斜面514Aが空気導入部514に形成され、空気導入部514に導入される空気を斜面514Aにて整流し、複数の羽根61に向けて導いていた。
これに対して、第2実施形態では、空気整流部としての斜面は、空気導入部514の他、第2遮光部516にも形成されている。その他の構成は、前記第1実施形態と同様のものである。
【0043】
本実施形態における第2遮光部516は、前記第1実施形態と同様に前面側から見て円形状を有するとともに、図8に示すように、前面側に斜面516Aを有し、前面側に向かうにしたがって断面積が小さくなる形状を有する。
より具体的に、第2遮光部516の背面側は、円柱形状を有する。そして、第2遮光部516の前面側は、軸流ファン6が吸入側部材512Aに固定された状態で、頂点が回転軸Axに合致する円錐形状を有する。
そして、空気導入部514に導入される空気は、第2遮光部516の斜面516Aにて整流され、吸入口63Aを介して複数の羽根61に向けて導かれる。
【0044】
上述した第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
本実施形態では、空気整流部としての斜面516Aは、第2遮光部516にも形成されている。このことにより、回転軸Axから離間した空気を空気導入部514に形成された斜面514Aにて軸流ファン6に滑らかに吸入させることができるとともに、回転軸Ax近傍の空気も斜面516Aにて軸流ファン6に滑らかに吸入させることができる。このため、光源装置31等の冷却効率を向上させることができるとともに静粛性を確保できる、という効果をさらに好適に図れる。
【0045】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、吸入側部材512Aは、交換用蓋体5に一体的に形成されていたが、これに限らず、交換用蓋体5とは別体で構成しても構わない。
前記各実施形態では、軸流ファン6を排気口521近傍に配設していたが、これに限らず、外装筐体2内部のいずれの位置に配設しても構わない。このように、軸流ファン6を排気口521近傍に配設しない構成を採用した場合には、第1遮光部515や第2遮光部516を省略した構成としても構わない。
【0046】
前記各実施形態において、斜面514A,516Aの形状は、前記各実施形態で説明した形状に限らない。すなわち、斜面514A,516Aを曲面状ではなく、平坦状に形成しても構わない。
前記各実施形態では、軸流ファン6は2つ設けられていたが、軸流ファン6の数は2つに限らず、1つでも、3つ以上設けても構わない。
前記第2実施形態では、空気導入部514に斜面514Aを設けるとともに、第2遮光部516にも斜面516Aを設けていたが、これに限らず、空気導入部514に斜面514Aを設けない構成、すなわち、第2遮光部516のみに斜面516Aを設ける構成を採用しても構わない。
【0047】
前記各実施形態において、プロジェクター1は、3つの液晶パネル341を備える構成としたが、本発明はこれに限らない。すなわち、2つ以下、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクターにも、本発明を適用可能である。
前記各実施形態において、光変調装置としては、透過型の液晶パネルの他、反射型の液晶パネルを採用しても構わない。また、光束を画像情報に応じて変調して画像を形成する光変調装置であれば、他の構成の光変調装置を採用しても構わない。例えば、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いたプロジェクターにも、本発明を適用可能である。このような光変調装置を用いた場合、光束入射側及び光束射出側の偏光板342,343は省略できる。
前記各実施形態では、フロント投射型のプロジェクターの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを備え、該スクリーンの裏面側から投射を行うリアタイプのプロジェクターにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のプロジェクターは、軸流ファンを小型化した場合であっても、冷却対象の冷却効率を向上できるとともに、静粛性を確保できるため、プレゼンテーションやホームシアターに用いられるプロジェクターとして利用できる。
【符号の説明】
【0049】
1・・・プロジェクター、2・・・外装筐体、4・・・筐体本体、5・・・交換用蓋体、6・・・軸流ファン、31・・・光源装置、61・・・複数の羽根、62・・・羽根車、63・・・ファン筐体、512A・・・底部分(吸入側部材)、514・・・空気導入部、514A,516A・・・斜面(空気整流部)、515・・・第1遮光部、515A・・・中心側遮光部、515B・・・外側遮光部、516・・・第2遮光部、Ax・・・回転軸、θ1・・・第1の角度、θ2・・・第2の角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調して画像を形成し、形成した画像を投射するプロジェクターであって、
所定の回転軸周りに配置される複数の羽根を有し、前記複数の羽根が前記回転軸を中心として回転することで前記回転軸に沿って空気を吸入及び吐出する軸流ファンと、
前記軸流ファンの空気吸入側に設けられる吸入側部材とを備え、
前記吸入側部材には、
外部の空気を前記軸流ファンに導入させるための筒状の空気導入部と、
前記空気導入部を介して導入する空気を前記複数の羽根に向けて整流する空気整流部とが設けられている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記吸入側部材には、
板面が前記回転軸に対して傾斜し、前記回転軸からの放射方向に沿って延びる板状に形成され、前記空気導入部における内部の一部を閉塞する第1遮光部が設けられ、
前記第1遮光部は、
前記回転軸側に位置し、前記回転軸を中心とする回転方向に沿って第1の角度毎に配置される複数の中心側遮光部と、
前記中心側遮光部に対して前記回転軸から離間した側に位置し、前記回転方向に沿って前記第1の角度よりも小さい第2の角度毎に配置される複数の外側遮光部とを備える
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
前記空気整流部は、
前記空気導入部に形成された斜面であり、
前記斜面は、前記軸流ファンから離間するにしたがって内部の開口面積が大きくなるように形成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記軸流ファンは、
外周に前記複数の羽根が一体化され前記回転軸を中心として回転する羽根車と、前記回転軸を中心として前記羽根車を回転可能に軸支するファン筐体とを備え、
前記吸入側部材には、
前記羽根車を覆い前記空気導入部における内部の一部を閉塞する第2遮光部が設けられている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクターにおいて、
前記空気整流部は、
前記軸流ファンから離間するにしたがって断面積が小さくなる円錐状に前記第2遮光部に形成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
外装を構成する外装筐体を備え、
前記外装筐体は、
前記光源装置を当該外装筐体内外に着脱可能とする交換用開口部を有する筐体本体と、
前記筐体本体に対して着脱可能に取り付けられ、前記交換用開口部を閉塞する交換用蓋体とを備え、
前記交換用蓋体には、
前記吸入側部材が一体的に形成されているとともに、前記軸流ファンが取り付けられる
ことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−101405(P2013−101405A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−33790(P2013−33790)
【出願日】平成25年2月22日(2013.2.22)
【分割の表示】特願2009−31658(P2009−31658)の分割
【原出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】