説明

プロジェクター

【課題】混色を抑えつつ高い輝度の画像を表示する。
【解決手段】プロジェクター1は、R色の光とB色の光とを時分割で発光する第1光源10と、G色の光を発光する第2光源20と、第1光源10の光が入射し、R色の画像信号VrとB色の画像信号Vbとが時分割多重した第1画像信号V1が供給される第1液晶パネル100と、第2光源20の光が入射し、G色の第2画像信号V2が供給される第2液晶パネル200と、光学系30とを備え、第1液晶パネル100の垂直解像度は、第2液晶パネル200の垂直解像度より低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのライトバルブを備えたプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大画面をスクリーンに表示する投射型表示装置としてプロジェクターが普及している。プロジェクターには、赤色(R色)、青色(B色)、及び緑色(G色)の各々に対応する光源及びライトバルブを備えるものがある。さらに、G色光源に対応するライトバブルと、R色光源とB色光源とを時分割に発光させ、これらに対応するライトバブルとを備えた2板式のプロジェクターが知られている(特許文献1参照)。
2板式のプロジェクターは、ライトバルブ数を減らすことができるといった利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−292547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、2板式のプロジェクターでは、一方のライトバルブをR色とB色とで時分割で動作させ、これに同期してR色光源とB色光源とを発光させる必要がある。ライトバルブとして用いられる液晶パネルに各色の画像を書き込むためには、複数の走査線を順次走査する必要があり、さらに、書き込みが終了した後、書き込まれた色の画像に対応する光源を点灯させる必要がある。高い輝度を得ようとすれば、光源の発光期間を長くする必要がある。しかし、R色の画像とB色の画像の一方を書き込んでいる途中から他方の色の光源を点灯させると、混色が発生し画質が劣化する。
すなわち、輝度の向上と混色とはトレードオフの関係にあり、従来の2板式のプロジェクターでは、これらを同時に改善することはできないといった問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、混色を抑えつつ、輝度を高めることが可能なプロジェクターを提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、本発明に係るプロジェクターは、第1色の光と第2色の光とを時分割で発光する第1光源と、第3色の光を発光する第2光源と、前記第1光源の光が入射し、前記第1色の画像の輝度に応じた画像信号と前記第2色の画像の輝度に応じた画像信号とが時分割で書き込まれる第1液晶パネルと、前記第2光源の光が入射し、前記第3色の画像の輝度に応じた画像信号が書き込まれる第2液晶パネルと、前記第1液晶パネルを透過した光と前記第2液晶パネルを透過した光とを合成して出力する光学手段と、前記第1液晶パネルの画像の垂直解像度は、前記第2液晶パネルの垂直解像度より低い、ことを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、時分割で画像信号が書き込まれる第1液晶パネルの垂直解像度は、第2液晶パネルに比較して低いので、短時間で第1色の画像信号と第2色の画像信号とを書き込むことができる。第1色と第2色との混色を低減するためには、表示すべき色の画像信号が書き込まれた後に、対応する色の光を発光させる必要があるところ、画像信号の書き込みに要する時間を短くできるので、発光期間を長くすることができる。よって、混色を抑えつつ、高い輝度の画像を表示することが可能となる。
【0007】
上述したプロジェクターは、前記第1液晶パネルを駆動する第1駆動回路を備え、第1書込期間において、前記第1駆動回路は前記第1色に対応する画像信号を前記第1液晶パネルに書き込み、前記第1書込期間の後に始まる第1発光期間において、前記第1光源は前記第1色の光を発光し、第2書込期間において、前記第1駆動回路は前記第2色に対応する画像信号を前記第1液晶パネルに書き込み、前記第2書込期間の後に始まる第2発光期間において、前記第1光源は前記第2色の光を発光することが好ましい。この発明によれば、各色の画像信号が書き込まれた後に対応する色の光を第1液晶パネルに照射することができるので、混色を抑制することが可能となる。
【0008】
上述したプロジェクターは、前記第2液晶パネルを駆動する第2駆動回路を備え、前記第1液晶パネルと前記第2液晶パネルとの各々は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられた複数の画素とを備え、前記第1駆動回路は、前記第1書込期間及び前記第2書込期間において、単位期間ごとにk(kは2以上の自然数)本の走査線を同時に選択して、表示すべき輝度に応じた画像信号を選択したk本の走査線に対応する画素に書き込み、前記第2駆動回路は、前記第2液晶パネルにおいて、単位期間ごとに1本の走査線を順次選択して、画像信号を選択した1本の走査線に対応する画素に書き込むことが好ましい。
この発明によれば、第2液晶パネルにおいては、k本の走査線を同時に選択するので、1本の走査線を順次選択する第1液晶パネルに比較して、垂直解像度を低下させることができる。この結果、画像信号の書き込みに要する時間を短くして、発光期間を長くすることができる。よって、混色を抑えつつ、高い輝度の画像を表示することが可能となる。
【0009】
上述したプロジェクターは、前記第1液晶パネルと前記第2液晶パネルとの各々は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられた複数の画素とを備え、前記第1液晶パネルの走査線の本数は、前記第2液晶パネルの走査線の本数より少ないことが好ましい。この発明によれば、第2液晶パネルの走査線の本数は第1液晶パネルよりも少ないので、画像信号の書き込みに要する時間を短くして、発光期間を長くすることができる。よって、混色を抑えつつ、高い輝度の画像を表示することが可能となる。
【0010】
上述したプロジェクターにおいて、前記第1色はR色又はB色の一方であり、前記第2色はR色又はB色の他方であり、前記第3色はG色であることが好ましい。人の視感度はG色と比較してR色及びB色が低いから、この発明によれば、第1液晶パネルの垂直解像度が第2液晶パネルよりも低くても、人が感じる垂直解像度の低下及び混色を抑えつつ、高い輝度の画像を表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係るプロジェクターの機械的な構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係るプロジェクターの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】第1液晶パネルの電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】画素の構成を示す回路図である。
【図5】実施形態に係るプロジェクターの動作を示すタイミングチャートである。
【図6】変形例に係るプロジェクターの動作を示すタイミングチャートである。
【図7】変形例に係る画素を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<1.プロジェクターの構成>
図1は、実施形態に係るプロジェクターの機械的な構成を示すブロック図である。この図に示すようにプロジェクター1は、R色の光とB色の光を時分割で発光する第1光源10と、G色の光を発光する第2光源20と、ライトバルブとして機能する第1液晶パネル100及び第2液晶パネル200と、第1液晶パネル100を透過した光と第2液晶パネル200を透過した光を合成してスクリーンSに照射する光学系30とを備える。
ここで、R色は、赤の波長範囲(600nm〜700nm)の光を有しており、B光は、青の波長範囲(400nm〜500nm)の光を有しており、G光は、緑の波長範囲(500nm〜600nm)の光を有している。
【0013】
第1光源10において、R色光源11はR色(赤色)の光を発光する。フィールドレンズ12はR色光源11からの光を平行光に変換してダイクロイックプリズム15に導く。一方、B色光源13はB色(青色)の光を発光する。フィールドレンズ14はB色光源13からの光を平行光に変換してダイクロイックプリズム15に導く。R色光源11及びB色光源13は、例えば、LEDによって構成することができる。ダイクロイックプリズム15は、R色の光を透過すると共にB色の光を反射して得た光を第1液晶パネル100に照射する。第1液晶パネル100は、第1光源10から照射されるR色の光とB色の光との切り換えに同期して、R色の輝度とB色の輝度とに応じた透過率となるように光変調が制御される。
【0014】
また、第2光源20において、G色光源21はG色(緑色)の光を発光する。フィールドレンズ22はG色光源21からの光を平行光に変換して第2液晶パネル200に照射する。第2液晶パネル200は、G色の輝度に応じた透過率となるように光変調が制御される。
【0015】
光学系30において、ダイクロイックプリズム31には、第1液晶パネル100を透過した光と第2液晶パネル200を透過した光とが入射し、これらの光を合成した光を投射レンズ32に出力する。投射レンズ32は、合成された光をスクリーンSに投射する。
【0016】
図2は、実施形態に係るプロジェクターの電気的な構成を示すブロック図である。プロジェクター1には、外部から、R色の輝度を示す画像データDr、B色の輝度を示す画像データDb、及びG色の輝度を示す画像データDgが供給される。画像処理回路は画像データDr,Db,Dgにガンマ補正などの画像処理を施して制御回路50に出力する。
【0017】
制御回路50は、プロジェクター1の全体を制御する制御中枢として機能する。具体的には、制御回路50は、光源駆動回路60に対して各光源を制御する光源制御信号LCを供給すると共に、第1液晶パネル100及び第2液晶パネル200に制御信号と画像信号とを供給する。
【0018】
第1液晶パネル100に供給される第1画像信号V1は、R色の画像信号VrとB色の画像信号Vbとが時分割多重された信号であり、第2液晶パネル200に供給される第2画像信号V2はG色に対応する信号である。第1液晶パネル100に形成された走査線駆動回路120とデータ線駆動回路130は、第1液晶パネル100を駆動する第1駆動回路として機能し、第2液晶パネル200に形成された走査線駆動回路120とデータ線駆動回路130は第2駆動回路として機能する。なお、第1駆動回路及び第2駆動回路は、第1液晶パネル100及び第2液晶パネル200の外部に設けてもよい。
【0019】
光源駆動回路60は、光源制御信号LCに基づいてR色光源11、B色光源13、及びG色光源21を制御する発光制御信号Lr、Lb、及びLgを生成する。各発光制御信号Lb、Lr、及びLgがハイレベルの期間、R色光源11、B色光源13、及びG色光源21の各々が発光する。発光制御信号Lr、Lb、及びLgに基づいて、R色光源11とB色光源13とは時分割で点灯し、G色光源21は常時点灯するように制御される。
【0020】
図3に第1液晶パネル100の電気的な構成を示す。なお、第2液晶パネル200も同様に構成されている。第1液晶パネル100には、複数本の走査線112が行方向(X方向)に延接される一方、複数本のデータ線114が図において列方向(Y方向)に延設されている。そして、これらの走査線112とデータ線114との交差の各々に対応するように画素110がそれぞれ設けられている。
本実施形態では、走査線112の本数(行数)がn本であり、データ線114の本数(列数)が、m本ある。そして、走査線駆動回路120は各走査線112に走査信号Y1〜Ynを供給し、データ線駆動回路130はデータ線114にデータ信号(画像信号)Vd1〜Vdmを供給する。
【0021】
次に、画素110について説明する。図4に示されるように、画素110においては、nチャネル型のTFT116のソースがデータ線114に接続されるとともに、ドレインが画素電極118に接続される一方、ゲートが走査線112に接続されている。また、画素電極118に対向するように対向電極108が全画素に対して共通に設けられるとともに、一定の電圧LCcomに維持される。そして、これらの画素電極118と対向電極108との間に液晶層105が挟持されている。このため、画素毎に、画素電極118、対向電極108および液晶層105からなる液晶容量が構成されることになる。
また、液晶容量において電荷をリークしにくくさせるために、蓄積容量109が画素毎に形成されている。この蓄積容量109の一端は、画素電極118に接続される一方、その他端は、全画素にわたって共通接地されている。なお、画素110におけるTFT116は、走査線駆動回路120やデータ線駆動回路130の構成素子と共通の製造プロセスで形成されている。
【0022】
<2.プロジェクターの動作>
次に、プロジェクターの動作を図5を参照しつつ説明する。図5は、プロジェクターの動作を示すタイミングチャートである。以下の説明では、1画面を表示するのに必要な時間を1フレームとする。
【0023】
図に示すように1フレームは第1期間T1、第2期間T2、第3期間T3、及び第4期間T4に分けられる。制御回路50は、第1期間T1おいてB色の画像信号Vb1を、第2期間T2おいてB色の画像信号Vb1を、第2期間T2おいてR色の画像信号Vr1を、第3期間T3おいてR色の画像信号Vr1を、第1画像信号V1として第1液晶パネル100に出力する。画像信号Vb1は1画面のB色の画像であり、画像信号Vr1は1画面のR色の画像である。この例では、第1期間T1と第2期間T2において、同一画面の画像信号Vb1を書き込んでいるが、異なる画面のB色の画像信号を書き込んでもよいし、同様に第3期間T3と第4期間T4において、異なる画面のR色の画像信号を書き込んでもよい。
【0024】
第1期間T1(第1書込期間)において、第1液晶パネル100の走査線駆動回路120は、1水平走査期間ごとに2個の走査信号Y1及びY2、Y3及びY4、…Yn-1及びYnを順次アクティブにする。これによって、水平走査期間ごとに2本の走査線112が同時に順次選択され、選択された2本の走査線112に対応する画素110にデータ線114を介して供給されるデータ信号Vdが書き込まれる。例えば、ある列の画素110に着目したとき、期間H1においては、第1行と第2行の画素110に対して、同じデータ信号が書き込まれる。また、第2期間T2においても同様に、水平走査期間ごとに2本の走査線112が同時に順次選択され、選択された2本の走査線112に対応する画素110にデータ信号Vdが書き込まれる。したがって、第1液晶パネル100に書き込まれたB色の画像の垂直解像度は、走査線112の総数であるn本の半分(n/2本)となる。なお、第3期間T3(第2書込期間)及び第4期間T4における走査線112の選択は、第1期間T1及び第2期間T2と同じである。したがって、第1液晶パネル100に書き込まれたR色の画像の垂直解像度は、走査線112の総数であるn本の半分(n/2本)となる。
【0025】
一方、第2液晶パネル200では、制御回路50から、1フレームの前半期間(第1期間T1及び第2期間T2)と後半期間(第3期間T3及び第4期間T4)との各々において、G色の画像信号Vg1が第2画像信号V2として供給される。
【0026】
第1期間T1及び第2期間T2において、第2液晶パネル200の走査線駆動回路120は、1水平走査期間ごとに走査信号Y1、Y2、…Ynを順次アクティブにする。これによって、水平走査期間ごとに1本の走査線112が同時に順次選択され、選択された1本の走査線112に対応する画素110にデータ線114を介して供給されるデータ信号が書き込まれる。また、第3期間T3及び第4期間T4においても同様である。したがって、第2液晶パネル200に書き込まれたG色の画像の垂直解像度は、走査線112の総数であるn本となる。
【0027】
次に、第2期間T2の開始から時間ΔTだけ遅れて発光制御信号Lbがハイレベルとなり、第3期間T3の開始から時間ΔTだけ遅れて発光制御信号Lbがローレベルとなる。また、第4期間T4の開始から時間ΔTだけ遅れて発光制御信号Lrがハイレベルとなり、第1期間T1の開始から時間ΔTだけ遅れて発光制御信号Lrがローレベルとなる。発光制御信号Lbがハイレベルの期間はB色光源13が発光し第1光源10がB色の光を出力する第1発光期間として機能する。また、発光制御信号Lrがハイレベルの期間はR色光源11が発光し第1光源10がR色の光を出力する第2発光期間として機能する。
【0028】
上述したように第1期間T1では、第1液晶パネル100にB色の画像信号Vb1が書き込まれる。このため、第1期間T1の終了時点では、B色の画像信号Vb1の書き込みが終了している。B色光源13を第1期間T1の終了時点から時間ΔTだけ遅らせたのは、液晶の応答特性を考慮したからでる。液晶の透過率は印加電圧によって変化するが、印加電圧が変化しても直ちに透過率が変化するのではなく、印加電圧の変化から遅れて液晶の透過率が変化する。第1期間T1において、第1液晶パネル100では、直前のフレームの第4期間T4に書き込まれた赤色の画像を青色の画像に書き換えることが行われる。このため、第1期間T1の終了時点では第n行の近傍の画素110については、透過率の変化が印加電圧の変化に追従していない。このため、第2期間T2の開始からB色光源13を発光させると、混色が発生する可能性がある。そこで、本実施形態では時間ΔTだけ遅らせてB色光源13を発光させたのである。なお、この点はR色光源11も同様である。したがって時間ΔTは液晶の応答特性を考慮して定めれば良く。例えば、印加電圧を変化させたとき、液晶の透過率が10%から90%に変換する時間としてもよい。
また、発光制御信号Lgは常にハイレベルであるから、G色光源21は常時発光している。
【0029】
時分割で画像が形成される第1液晶パネル100では、1フレーム中にB色の画像を書き込むB色書込期間と、R色の画像を書き込むR色書込期間と、B色光源13を発光させるB色表示期間と、R色光源11を発光させるR色表示期間とを排他的に確保する必要がある。第1液晶パネル100の垂直解像度は第2液晶パネル200と比較して低いので、プロジェクター1によれば、B色書込期間及びR色書込期間を短くでき、それだけB色表示期間及びR色表示期間を長くすることができる。これにより、プロジェクター1は、混色を抑制しつつ、高輝度の画像を表示することができる。
【0030】
また、時分割で駆動する第1液晶パネル100には、B色の画像とR色の画像と書き込んだ。このため、B色の画像とR色の画像の垂直解像度は、G色の画像と比較して低い。しかしながら、人の視感度は、G色と比較してB色及びR色は低い。この結果、B色及びR色の画像の解像度が低くても、感覚的な解像感への影響は低く抑えられる。
また、R色光源11、B色光源13、及びG色光源21をLEDで構成する場合、G色の光量は、R色及びB色と比較して低いが、G色光源21は常時発光させることができるので、G色の画像においても十分な輝度を得ることができる。
【0031】
<3.変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。
(1)上述した実施形態では、第1液晶パネル100において2本の走査線112を同時に選択して、2行の画像に同じデータを書き込んだが、本発明はこれに限定されるものではなく、k(kは2以上の自然数)本の走査線112を同時に選択して、k行の画素110に同じデータ信号を書き込んでもよい。
【0032】
例えば、4本の走査線112を同時に選択する場合、プロジェクター1のタイミングチャートは図6に示すものとなる。この場合、1フレームは第1乃至第8期間T1乃至T8に分けられる。第1期間T1において、第1液晶パネル100の走査線駆動回路120は、1水平走査期間ごとに4個の走査信号Y1乃至Y4、Y5乃至Y8、…Yn-4乃至Ynを順次アクティブにする。これによって、水平走査期間ごとに4本の走査線112が同時に順次選択され、選択された4本の走査線112に対応する画素110にデータ線114を介して供給されるデータ信号Vdが書き込まれる。例えば、ある列の画素110に着目したとき、期間H1においては、第1行乃至第4行の画素110に対して、同じデータ信号が書き込まれる。したがって、第1液晶パネル100に書き込まれたB色の画像の垂直解像度は、走査線112の総数であるn本の1/4となる。
【0033】
一方、発光制御信号Lbは、第2期間T2の開始から時間ΔTだけ遅れてハイレベルとなり、第5期間T5の開始から時間ΔTだけ遅れてローレベルとなる。したがって、1フレームの3/8の期間にB色光源13を発光させることができる。この点については、R色についても同様である。この結果、B色及びR色の輝度をより高くすることができる。
【0034】
(2)上述した実施形態及び変形例では、第1液晶パネル100の垂直解像度を第2液晶パネル200の垂直解像度より下げるために、複数の走査線112を同時に選択したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1液晶パネル100の画素110の大きさそのものを第2液晶パネル200の画素110に比較して大きくしてもよい。これにより、第1液晶パネル100の画素110の開口部を大きくすることができ、明るい表示を行うことができる。
例えば、第2液晶パネル200の画素110が、図7(A)に示すものであったとする。この場合、第1液晶パネル100の画素110を縦に2倍伸長にして図7(B)に示すものとしてもよい。あるいは、第1液晶パネル100の画素110を縦横に2倍伸長にして図7(C)に示すものとしてもよい。すなわち、図7(A)に示す第2液晶パネル200の走査線112の本数がn本であるのに対し、図7(B)及び(C)に示す第1液晶パネル100の走査線112の本数はn/2本となる。第1液晶パネル100の走査線112の本数は第2液晶パネル200の走査線112の本数に比較して少ない。第1液晶パネル100の走査線112の本数をn本とする場合と比較して、第1液晶パネル100の画素110の開口部を大きくすることができ、明るい表示を行うことができる。
なお、第1液晶パネル100の垂直解像度を第2液晶パネル200の垂直解像度よりも低くするという観点からは、第1液晶パネル100の走査線112の本数が第2液晶パネル200の走査線112の本数よりも少なければ良い。
【0035】
(3)上述した実施形態及び変形例では、第1光源10にR色光源11とB色光源13とを設け、これらを時分割で発光させたが本発明はこれに限定されるものではなく、R色の光とB色の光とを時分割で発光できるのであれば、どのように構成してもよい。例えば、ハロゲンランプと円形のフィルタを組み合わせて構成してもよい。この場合、円形フィルタはR色の光を透過するR色フィルタとB色の光を透過するB色フィルタで構成され、この円形のフィルタをモーターで回転させ、ハロゲンランプの光を回転するフィルタを介して取り出してもよい。
【0036】
(4)上述した実施形態では、第1期間T1と第2期間T2において画像信号Vb1を第1液晶パネル100に書き込み、第3期間T3と第4期間T4において画像信号Vr1を第1液晶パネル100に書き込んだが、第2期間T2において書き込みを実行せず第1期間T1に書き込まれた画像信号Vb1を保持し、第4期間T4において書き込みを実行せず第3期間T3に書き込まれた画像信号Vr1を保持してもよい。
【0037】
(5)上述した実施形態及び変形例において、時間ΔTはゼロであってもよい。この場合には、R色の画像信号Vrの書き込みが終了すると、R色光源11が直ちに発光し、B色の画像信号Vbの書き込みが終了すると、B色光源13が直ちに発光する。
【符号の説明】
【0038】
1……プロジェクター、10……第1光源、11……R色光源、13……B色光源、20……第2光源、21……G色光源、30……光学系、50……制御回路、110……画素、112……走査線、120……走査線駆動回路。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1色の光と第2色の光とを時分割で発光する第1光源と、
第3色の光を発光する第2光源と、
前記第1光源の光が入射し、前記第1色の画像の輝度に応じた画像信号と前記第2色の画像の輝度に応じた画像信号とが時分割で書き込まれる第1液晶パネルと、
前記第2光源の光が入射し、前記第3色の画像の輝度に応じた画像信号が書き込まれる第2液晶パネルと、
前記第1液晶パネルを透過した光と前記第2液晶パネルを透過した光とを合成して出力する光学手段と、
前記第1液晶パネルの画像の垂直解像度は、前記第2液晶パネルの垂直解像度より低い、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記第1液晶パネルを駆動する第1駆動回路を備え、
第1書込期間において、前記第1駆動回路は前記第1色に対応する画像信号を前記第1液晶パネルに書き込み、
前記第1発光期間において、前記第1光源は前記第1色の光を発光し、
第2書込期間において、前記第1駆動回路は前記第2色に対応する画像信号を前記第1液晶パネルに書き込み、
前記第2書込期間の後に始まる第2発光期間において、前記第1光源は前記第2色の光を発光する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記第2液晶パネルを駆動する第2駆動回路を備え、
前記第1液晶パネルと前記第2液晶パネルとの各々は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられた複数の画素とを備え、
前記第1駆動回路は、前記第1書込期間及び前記第2書込期間において、単位期間ごとにk(kは2以上の自然数)本の走査線を同時に選択して、表示すべき輝度に応じた画像信号を選択したk本の走査線に対応する画素に書き込み、
前記第2駆動回路は、前記第2液晶パネルにおいて、単位期間ごとに1本の走査線を順次選択して、画像信号を選択した1本の走査線に対応する画素に書き込む、
ことを特徴とする請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記第1液晶パネルと前記第2液晶パネルとの各々は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられた複数の画素とを備え、
前記第1液晶パネルの走査線の本数は、前記第2液晶パネルの走査線の本数より少ない、
ことを特徴とする請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記第1色はR色又はB色の一方であり、前記第2色はR色又はB色の他方であり、前記第3色はG色であることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載のプロジェクター。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−41015(P2013−41015A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176573(P2011−176573)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】