説明

プロジェクタ

【課題】プロジェクタに対してランプユニットを傾けて取り付ける構造であっても、スムーズにランプユニットを取り付けることができるプロジェクタを提供する。
【解決手段】ランプユニット10をランプユニット収納部20に収納する際に、カバーガラスホルダ30に保持板42の先端部42Tが当たって引っかかることがないように、カバーガラスホルダ30の保持板42に対向する面35を、突起のない形状、具体的には曲面状や傾斜平面状に加工する。これにより、保持板42の先端部42Tがカバーガラスホルダ30に当たっても、引っかかることなく通過するので、ランプユニット10をランプユニット収納部20にスムーズに収納できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロジェクタのランプユニットの脱着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)や、液晶表示デバイス等の画像表示デバイスに対してランプから光を照射して、この画像表示デバイスに表示させた画像をスクリーンに投影する方式のプロジェクタが普及しつつある。このようなプロジェクタでは、光源として使用するランプの光量が落ちたり、何らかの理由でランプが破損したりすることから、ランプユニットを簡単に交換できる構成を採用している(例えば、特許文献1,2参照。)。
【特許文献1】特開2001−92009号公報
【特許文献2】特開2004−264387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のプロジェクタでは、小型化を図るために、ランプユニットの光軸を傾斜させた状態でランプユニット収納部に収納するように構成することも多い。しかし、このような構成であると、ランプユニットをランプユニット収納部に収納する際にも、ランプユニットを傾斜させた状態にしなければならず、ユーザにとっては非常に困難な作業であった。また、ユーザが、ランプユニットをランプユニット収納部に収納する際には、ランプユニット収納部の壁面や他の部品にランプユニットが当たってしまい、ランプユニットをランプユニット収納部にスムーズに収納できないことがあるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、プロジェクタに対してランプユニットを傾斜させて収納する構造であっても、ランプユニットをスムーズに収納することができるプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
【0006】
(1)ランプユニットから放出された光を用いて画像をスクリーンに投影するプロジェクタにおいて、
前記ランプユニットが着脱自在で、且つこのランプユニットを一定角度傾斜させた状態で収納するランプユニット収納部と、
先端部が前記ランプユニットの離脱方向に延出し、前記ランプユニットの前面に形成された光線投射口に配置されたカバーガラスを固定しているカバーガラスホルダに当接して、前記ランプユニットを保持する保持板と、を備え、
前記カバーガラスホルダは、前記ランプユニットの装着時に前記保持板の先端部と対向する面が、前記保持板側に凸となる曲面状に加工されたことを特徴とする。
【0007】
この構成においては、プロジェクタのランプユニットは、一定角度傾斜させた状態でランプユニット収納部に収納され、着脱自在な構造である。また、ランプユニットがランプユニット収納部に収納された状態では、先端部がランプユニットの離脱方向に延出した保持板が、カバーガラスホルダに当接してランプユニットを保持する。さらに、カバーガラスホルダは、ランプユニットの装着時に前記保持板の先端部と対向する面が、保持板側に凸となる曲面状に加工されている。したがって、ランプユニットをランプユニット収納部に装着する際に、保持板の先端部がカバーガラスホルダに当たっても、保持板の先端部がカバーガラスホルダの曲面状に加工された面上で引っかかることがなく、通過させることができる。これにより、ランプユニットをランプユニット収納部へスムーズに取り付けることができる。
【0008】
(2)ランプユニットから放出された光を用いて画像をスクリーンに投影するプロジェクタにおいて、
前記ランプユニットが着脱自在で、且つこのランプユニットを一定角度傾斜させた状態で収納するランプユニット収納部と、
先端部が前記ランプユニットの離脱方向に延出し、前記ランプユニットの前面に形成された光線投射口に配置されたカバーガラスを固定しているカバーガラスホルダに当接して、前記ランプユニットを保持する保持板と、を備え、
前記カバーガラスホルダは、前記ランプユニットの装着時に前記保持板の先端部と対向する面を前記ランプユニット側に傾斜させている傾斜平面状に加工されたことを特徴とする。
【0009】
この構成においては、プロジェクタのランプユニットは、一定角度傾斜させた状態でランプユニット収納部に収納され、着脱可能な構造である。また、ランプユニットがランプユニット収納部に収納された状態では、先端部がランプユニットの離脱方向に延出した保持板が、カバーガラスホルダに当接してランプユニットを保持する。さらに、カバーガラスホルダをは、ランプユニットの装着時に前記保持板の先端部と対向する面をランプユニット側に傾斜させた傾斜平面状に加工されている。したがって、ランプユニットをランプユニット収納部に装着する際に、保持板の先端部がカバーガラスホルダに当たっても、保持板の先端部がカバーガラスホルダの傾斜平面状に加工された面上で引っかかることがなく、通過させることができる。これにより、ランプユニットをランプユニット収納部へスムーズに取り付けることができる。
【0010】
(3)前記保持板は、先端付近が曲面状に曲げ加工されたことを特徴とする。
【0011】
この構成においては、保持板の先端付近は曲面状に曲げ加工されている。したがって、ランプユニットをランプユニット収納部に装着する際に、曲面状または傾斜平面状に加工されたカバーガラスホルダに対して、先端付近が曲面状に曲げ加工された保持板が当たるので、保持板の先端部がカバーガラスホルダ上に突き立って引っかかるのを防止できる。これにより、ランプユニットをランプユニット収納部へさらにスムーズに取り付けることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ランプユニットをランプユニット収納部に収納する際に、カバーガラスホルダに保持板の先端部が当たって引っかかることがないように、カバーガラスホルダの保持板に対向する面を、突起のない形状、具体的には曲面状や傾斜平面状に加工する。これにより、保持板の先端部がカバーガラスホルダに当たっても引っかかることなく通過するので、ランプユニットをランプユニット収納部にスムーズに収納できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、プロジェクタ内部の概略構造を示す斜視図である。プロジェクタ1は、ランプユニット10、画像投射ユニット40、電源基板50,51、制御基板52、メインファン60、及びメインファン70を備えている。これらは、それぞれ筐体80に取り付けられている。
【0014】
ランプユニット10は、画像投射用の光を投射する。また、ランプユニット10は、ランプユニット収納部20に収納されており、プロジェクタ1の本体底面85側(図1に示す矢印方向)から脱着自在である。
【0015】
画像投射ユニット40は、DMD等の画像表示デバイスやカラーホイール(不図示)を備えている。画像投射ユニット40は、画像表示デバイスにて形成した画像を、ランプユニット10からの光を用いて投射レンズ41から投射する。
【0016】
図2は、ランプユニットの概略の構成を示す側面図及び正面図である。図3は、カバーガラスホルダの概観を示す斜視図である。
【0017】
図2に示すように、ランプユニット10は、ランプバルブ12とリフレクタ13を備えたランプ11、フロントカバー14、リアカバー15、及びランプバルブ12に電力を供給する不図示のケーブル等を備えている。フロントカバー14は、ランプ11の前側に取り付けられている。リアカバー15は、ランプ11の後ろ側に取り付けられている。
【0018】
フロントカバー14には、プロジェクタ1のランプユニット収納部20に収納したランプユニット10を固定するための固定用突起142,143が形成されている。また、フロントカバー14には、その前面中央部に、ランプバルブ12からの光を投射する投射口141が形成されている。さらに、この投射口141の前側にカバーガラス21が取り付けられている。加えて、カバーガラス21の前側にカバーガラスホルダ30が取り付けられている。このカバーガラスホルダ30は、フロントカバー14とともにカバーガラス21を保持する。また、カバーガラスホルダ30は、ピン144,145とネジ301,302によってフロントカバー14に固定されている。
【0019】
図3に示すように、カバーガラスホルダ30は、1枚の薄い金属板を凸型形状に折り曲げ加工したものであり、平面31〜34と、曲面35から成る。面333の中央には孔36が形成され、この孔の周囲にカバーガラス21の辺を保持するつば37〜40が形成されている。また、カバーガラスホルダ30をフロントカバー14の前面に、ピン144,145とネジ301,302により固定するための孔311,312,341,342が形成されている。
【0020】
図4は、ランプユニット収納部にランプユニットを収納した状態及びランプユニットを取り外した状態を示す図である。
【0021】
プロジェクタ1は、プロジェクタ1の本体底面85側から、ランプユニット収納部20に対してランプユニット10を脱着する構造である。プロジェクタ1の底面85には、通常、ランプユニット収納部20を塞ぐためにカバー86が取り付けられている。ユーザが、このカバー86を取り外すと、図4(A)に示すように、ランプユニット収納部20が現れる。また、ランプユニット収納部20からランプユニット10を取り外すと、図4(B)に示すように、ランプユニット収納部20の内部は空洞になる。
【0022】
ランプ11が破損したり光量が落ちたりした場合に、ユーザは、カバー86を取り外し、固定用突起142,143等を固定するネジ16〜18を取り外すことで、ランプユニット10をランプユニット収納部20から取り外すことができる。
【0023】
図5は、ランプユニット収納部にランプユニットが収納された状態を示す側面透視図である。図5に示すように、ランプユニット収納部20にランプユニット10が収納されると、ランプユニット10の前面に取り付けたカバーガラスホルダ30の面33が、ホイールカバー42と当接する。また、カバーガラスホルダ30の面33は、ホイールカバー42により押された状態になる。ランプユニット10の光軸10Jは、ランプユニット収納部20に収納された状態では、プロジェクタ1の本体底面85に対して、一例として約4度傾斜した状態となり、ランプユニット10の前面がやや下向きになる。ホイールカバー42は、ランプユニット10の離脱方向に延出しており、本体底面85の垂線に対して約4度傾斜している。
【0024】
図6は、ランプユニット収納部20にランプユニットを収納途中の状態を示す側面透視図、及びホイールカバーの先端部とカバーガラスホルダとの当接状態を示す拡大図である。本発明では、図6に示すように、カバーガラスホルダ30の面35を、ホイールカバー42に対向する側に凸となるように曲面状に形成している。そのため、ユーザが、ランプユニット収納部20にランプユニット10を収納する際に、カバーガラスホルダ30にホイールカバー42の先端部42Tが当たったとしても、先端部42Tはカバーガラスホルダ30の面35に引っかかることなく通過する。したがって、ランプユニット収納部20にランプユニット10をスムーズに収納することができる。
【0025】
また、カバーガラスホルダ30の形状やホイールカバー42の先端部の形状を、別の形状にすることも可能である。図7は、図6とは異なる形状のホイールカバー及びカバーガラスホルダの拡大図である。例えば、図7(A)に示すカバーガラスホルダ30Fのように、面35を曲面とせずに、面33と面34を接続する傾斜平面35Fとして形成すると良い。これにより、ユーザが、ランプユニット収納部20にランプユニット10を収納する際には、カバーガラスホルダ30にホイールカバー42の先端部42Tが当たったとしても、先端部42Tはカバーガラスホルダ30の面35F上で引っかかることなく通過する。したがって、ユーザは、ランプユニット収納部20にランプユニット10をスムーズに収納できる。
【0026】
また、図7(B),図7(C)に示すホイールカバー42Rのように、先端部42TRに対して、カバーガラスホルダ30側に凸となるように曲面状に曲げ加工を施すようにしても良い。
【0027】
これにより、ユーザが、ランプユニット収納部20にランプユニット10を収納する際に、カバーガラスホルダ30またはカバーガラスホルダ30Fにホイールカバー42Rの先端部42TRが当たったとしても、先端部42Tがカバーガラスホルダ30の面35F上で引っかかることがなくスムーズに通過する。したがって、ユーザは、ランプユニット収納部20にランプユニット10を容易に収納できる。
【0028】
以上のように、本発明では、ランプユニット10の前面に取り付けるカバーガラスホルダやホイールカバーを、曲面状や傾斜面状に形成しているので、ランプユニット10をプロジェクタ1の底面85に対して傾斜させた状態でランプユニット収納部20に収納する構成であっても、ホイールカバー42の先端部42Tがカバーガラスホルダに引っかかることなく、ランプユニット10を収納できる。したがって、ユーザは、ランプユニット10をスムーズに交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】プロジェクタ内部の概略構造を示す斜視図である。
【図2】ランプユニットの概略の構成を示す側面図及び正面図である。
【図3】カバーガラスホルダの概観を示す斜視図である。
【図4】ランプユニット収納部にランプユニットを収納した状態及びランプユニットを取り外した状態を示す図である。
【図5】ランプユニット収納部にランプユニットが収納された状態を示す側面透視図である。
【図6】ランプユニット収納部20にランプユニットを収納途中の状態を示す側面透視図、及びホイールカバーの先端部とカバーガラスホルダとの当接状態を示す拡大図である。
【図7】図6とは異なる形状のホイールカバー及びカバーガラスホルダの拡大図である。
【符号の説明】
【0030】
1−プロジェクタ 10−ランプユニット 20−ランプユニット収納部 21−カバーガラス 30,30F−カバーガラスホルダ 40−画像投射ユニット 42,42R−ホイールカバー(保持板) 42T,42TR−先端部 80−筐体 85−底面 86−カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプユニットから放出された光を用いて画像をスクリーンに投影するプロジェクタにおいて、
前記ランプユニットが着脱自在で、且つこのランプユニットを一定角度傾斜させた状態で収納するランプユニット収納部と、
先端部が前記ランプユニットの離脱方向に延出し、前記ランプユニットの前面に形成された光線投射口に配置されたカバーガラスを固定しているカバーガラスホルダに当接して、前記ランプユニットを保持する保持板と、を備え、
前記カバーガラスホルダは、前記ランプユニットの装着時に前記保持板の先端部と対向する面が、前記保持板側に凸となる曲面状に加工され、
前記保持板は、先端付近が曲面状に曲げ加工されたプロジェクタ。
【請求項2】
ランプユニットから放出された光を用いて画像をスクリーンに投影するプロジェクタにおいて、
前記ランプユニットが着脱自在で、且つこのランプユニットを一定角度傾斜させた状態で収納するランプユニット収納部と、
先端部が前記ランプユニットの離脱方向に延出し、前記ランプユニットの前面に形成された光線投射口に配置されたカバーガラスを固定しているカバーガラスホルダに当接して、前記ランプユニットを保持する保持板と、を備え、
前記カバーガラスホルダは、前記ランプユニットの装着時に前記保持板の先端部と対向する面が、前記保持板側に凸となる曲面状に加工されたプロジェクタ。
【請求項3】
ランプユニットから放出された光を用いて画像をスクリーンに投影するプロジェクタにおいて、
前記ランプユニットが着脱自在で、且つこのランプユニットを一定角度傾斜させた状態で収納するランプユニット収納部と、
先端部が前記ランプユニットの離脱方向に延出し、前記ランプユニットの前面に形成された光線投射口に配置されたカバーガラスを固定しているカバーガラスホルダに当接して、前記ランプユニットを保持する保持板と、を備え、
前記カバーガラスホルダは、前記ランプユニットの装着時に前記保持板の先端部と対向する面を前記ランプユニット側に傾斜させている傾斜平面状に加工されたプロジェクタ。
【請求項4】
前記保持板は、先端付近が曲面状に曲げ加工された請求項3に記載のプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−272038(P2007−272038A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98991(P2006−98991)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】