説明

プロジェクタ

【課題】内部回路に電流が流れている間はランプドアが開かないようにし、ランプ交換時の安全性を高めたプロジェクタを提供することである。
【解決手段】プロジェクタは、筐体20に取り付けられるとともに、ランプ2の交換時に取り外されるランプドア22を備え、ソレノイド31を筐体20に設け、ソレノイド31の可動鉄心31aが挿入される凹部32aを有する受部材32をランプドア22に設け、ソレノイド31を電源回路と電源との間に接続し、ソレノイド31は通電時にロック状態となり、非通電時にアンロック状態となる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源としてランプを用いるプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パソコンやビデオカメラ等からの画像データをもとに、ランプから出射される光を用いて画像生成素子により画像を形成し、その画像をスクリーン等に投影させるプロジェクタが知られている。
【0003】
ランプには、ハロゲンランプ、高圧水銀ランプなどが用いられるが、これらのランプは使用により輝度が低下するため寿命がある。そのため、定期的にランプを交換する必要がある。通常、筐体にランプ交換用のランプドアが設けられており、このランプドアを開けたところにランプが配設されている。
【0004】
通常、ランプの交換はユーザ自身が行うことが多く、交換作業時に異物を筐体内に落としたり、プロジェクタの内部に触れて感電したりするおそれがあり、危険を伴った作業であるといえる。そこで、ランプ交換時の安全性に配慮した様々な技術が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、プロジェクタ等の電子機器において、ランプドアを回動自在に設け、電源供給ケーブルを取り外さなければランプドアが回動して開放しないようにした構成が開示されている。
【0006】
また例えば、特許文献2には、ランプユニットの蓋部(ランプドア)が機器本体に取り付けられた際に、蓋部に固定されたヒューズが電極に接続されて電源回路に接続されることとなり、蓋部が機器本体から取り外されると、ヒューズも電極から外れて電源回路が遮断されるようになっているプロジェクタが開示されている。
【特許文献1】特開2006−301175号公報
【特許文献2】特開2006−215138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1、2の構成によれば、ランプドアを開放している状態では電源が遮断されているので、安全にランプを交換することができる。そこで、本発明は、簡単な他の構成を用いることによって電源を遮断しないとランプドアが開かないように工夫する。
【0008】
本発明は、内部回路に電流が流れている間はランプドアが開かないようにし、ランプ交換時の安全性を高めたプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、ランプと、該ランプに電源からの電力を供給する電源回路と、前記ランプ及び前記電源回路を格納する筐体と、該筐体に取り付けられるとともに、前記ランプの交換時に取り外されるランプドアとを備えたプロジェクタにおいて、前記ランプドアをロックするロック機構を前記電源回路と電源との間に接続し、該ロック機構は通電時にロック状態となり、非通電時にアンロック状態となることを特徴とする。
【0010】
上記のプロジェクタにおいて、前記ロック機構は、例えば、ソレノイドと、該ソレノイドの可動鉄心が挿入される凹部とから構成すれば、簡単な構成で実現できる。
【0011】
そして、前記ソレノイドは前記筐体に設け、前記凹部は前記ランプドアに設けることが望ましい。ソレノイドに電力を供給する必要があるからである。
【0012】
本発明を具体化すると、ランプと、入射光を時分割でR、G、Bの光に分離するカラーホイールと、該カラーホイールからの出射光を面状の光にして出射するロッド型のインテグレータと、該インテグレータからの出射光を拡大するダブレットレンズと、該ダブレットレンズからの出射光を反射するミラーと、該ミラーからの反射光を拡大するリレーレンズと、複数のミラー素子が縦横に規則的に配列され、各ミラー素子を個別に制御でき、前記リレーレンズからの出射光を画像光に変調するデジタルミラーデバイスと、該デジタルミラーデバイスからの画像光を投射するプロジェクションレンズとを有する光学エンジンと、前記ランプに電源からの電力を供給する電源回路と、前記ランプ及び前記電源回路を格納する筐体と、該筐体に取り付けられるとともに、前記ランプの交換時に取り外されるランプドアと、を備えたプロジェクタにおいて、ソレノイドを前記筐体に設け、前記ソレノイドの可動鉄心が挿入される凹部を前記ランプドアに設け、前記ソレノイドを前記電源回路と電源との間に接続し、前記ソレノイドは通電時にロック状態となり、非通電時にアンロック状態となる構成とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通電時、つまりACコードがコンセントに挿されている状態では、ロック機構がロック状態でありランプドア22を取り外すことができないので、ランプを交換する際には必ずACコードを抜かなければならない。その結果、内部回路に電流が流れている間はランプドアが開かないので、ランプ交換時の安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
プロジェクタの一方式として、多数のミラー素子が縦横に規則的に配列され、各ミラー素子を個別に制御できるDMD(Digital Mirror Device)(登録商標)を用いて、画像をスクリーン上に投影するDLP(Digital Light Processing)(登録商標)方式がある。以下の実施形態ではこのDLP方式を例に説明する。
【0015】
図1は、プロジェクタの外観を示す斜視図であり、図2は、図1のプロジェクタの光学エンジンの構成を示す一部破断した平面図である。プロジェクタ1は、パソコンやビデオカメラ等からの画像データをもとに、ランプ2から出射される光を用いて画像生成素子3により画像を形成し、その画像をプロジェクションレンズ4を通してスクリーン等に投影させる装置である。図2において一点鎖線は光軸を示している。
【0016】
プロジェクタ1は、ランプ2と、画像生成素子3及びプロジェクションレンズ4を含む画像投射光学系10とから構成される光学エンジン5を備える。光学エンジン5は筐体20で覆われている。
【0017】
ランプ2は、楕円面形状のリフレクタと、その第1焦点に画像投射用の光を出射する光源とを有している。リフレクタとしては、放物面鏡や楕円面鏡などを用いることができる。光源としては、例えば白色光を出射するものが用いられ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプなどを用いることができる。なお、ランプ2は交換のために、単独で取り外しできるようになっていてもよいし、リフレクタなど他の部材と一体のランプユニットの状態で取り外しできるようになっていてもよい。
【0018】
画像投射光学系10は、ランプ2からの光を用いて画像を形成し、その画像を投射するものであり、上述の画像生成素子3及びプロジェクションレンズ4に加え、カラーホイール12と、インテグレータ14と、ダブレットレンズ15と、ミラー16と、リレーレンズ17とを備えている。
【0019】
画像生成素子3は、光を反射することにより画像を形成する素子であり、それによって入射光を画像光に変調する。画像生成素子3は回路基板18上に設けられている。この画像生成素子3としては、多数のミラー素子が縦横に規則的に配列され、各ミラー素子を個別に制御できるDMDを用いることが望ましい。
【0020】
プロジェクションレンズ4は、画像生成素子3により反射された光、すなわち画像生成素子3からの画像光を投射するレンズ群であり、筐体20に設けられた開口21に臨む位置に配置されている。レンズ群とすることにより、RGBの各色光の色収差等に起因する投影画像の不鮮明さを防止している。
【0021】
カラーホイール12は、インテグレータ14の前に設けられ、その回転方向にR、G、Bのフィルタが配列されてなる略円盤形状のものであり、回転軸11aを軸心として回転し、ランプ2からの出射光を時分割でR、G、Bの光に分離する。
【0022】
インテグレータ14は、入射光を均一化し面状の光にして出射するものであり、ランプ2の第2焦点付近にその入射面が配置されている。インテグレータ14は、出射光を面状の光にするロッド型とすることが好ましい。ロッドとしては、ガラスロッドなどの中実タイプのロッド、又は内面を鏡面とした中空タイプのロッドを採用できる。中実タイプのロッドによれば、ロッド内の内面反射における反射率をほぼ100%とすることができるので、中空タイプのものよりも光効率が良い。
【0023】
ダブレットレンズ15は、インテグレータ14からの出射光を拡大する2枚のレンズからなる。なお、ダブレットレンズ15に代えて1枚のレンズや3枚以上のレンズ群を用いてもよい。ミラー16は、ダブレットレンズ15からの出射光を反射するものであり、光路を曲げることによって画像投射光学系10をコンパクトにしている。リレーレンズ17は、ミラー16からの反射光を拡大するレンズである。
【0024】
ここで、ダブレットレンズ15及びリレーレンズ17を用いてインテグレータ14からの面状の出射光が画像生成素子3を覆う大きさに拡大されているので、どちらか一方のレンズをなくし、他方のレンズのみでその役割をはたすようにしてもよい。
【0025】
また、筐体20の底面から側面にかけてランプ2を取り出すための開口部が形成されており、開口部を覆うようにランプドア22が取り付けられている。このランプドア22はランプ2の下方に位置しているので、ランプドア22を取り外せばランプ2を交換することができる。ランプドア22は図1の矢印A方向にスライドさせることで取り外せる。なお、ランプドア22はプロジェクタ1の前面方向にスライドさせることで取り外せるようにしてもよい。
【0026】
図3は、図1のB−B線断面の要部を示す図である。ロック機構30は、ソレノイド31と、該ソレノイド31の可動鉄心31aが挿入される凹部32aを有する受部材32とから構成される。可動鉄心31aはソレノイド31中のコイル(不図示)に流れる電流を制御することにより直線的に動作する。
【0027】
ソレノイド31は電力が必要なため筐体20の内側面に設けられ、受部材32はソレノイド31に対向するランプドア22の内面に設けられている。なお、受部材32はランプドア22と一体成形することが強度及びコスト削減の観点から望ましい。
【0028】
図3は、可動鉄心31aが凹部32aに挿入された状態、つまり、ランプドア22がロック機構30によりロックされた状態を示している。ロックされた状態では、ランプドア22をA方向にスライドさせることができず、ランプドア22を取り外すことはできない。
【0029】
図4は、アンロック状態のロック機構30を説明する図である。アンロック状態では、ソレノイド31の可動鉄心31aが上がっており、可動鉄心31aが凹部32aから抜けている。したがって、ランプドア22を矢印A方向にスライドさせれば、ランプドア22を取り外すことができる。
【0030】
図5は、電源から電源回路までを示した回路図である。家庭用のコンセントなどの交流電源40に、ランプ2に電源40からの電力を供給する電源回路41が接続されている。また電源回路41には映像処理系回路(不図示)及び制御系回路(不図示)が接続されており、各回路に電力が供給される。また、電源40と電源回路41との間にソレノイド31を駆動制御するためのソレノイド駆動回路42が接続されており、それにソレノイド31が接続されている。
【0031】
このように、ソレノイド駆動回路42が電源40と電源回路41との間に接続されているので、コンセントにプロジェクタ1のACコードを挿している状態では、ソレノイド駆動回路42は電源回路41のオン/オフに関係なく作動する。例えば、電源回路41にそのオン/オフを切り換えるスイッチが設けられている場合でも、スイッチのオン/オフに関係なくソレノイド駆動回路42は作動する。
【0032】
そして、コンセントにプロジェクタ1のACコードを挿している状態、つまり通電状態では、ソレノイド駆動回路42はソレノイド31をロック状態にし、ACコードを抜いたとき、つまり非通電状態では、ソレノイド駆動回路42はソレノイド31をアンロック状態にする。
【0033】
したがって、ACコードを抜かなければランプドア22を取り外すことができないので、ランプ2を交換する際には必ずACコードを抜かなければならない。その結果、内部回路(電源回路など)に電流が流れている間はランプドア22が開かないので感電のおそれがなく、ランプ交換時の安全性を高めることができる。
【0034】
なお、上記の実施形態ではロック機構30としてソレノイド31を用いたが、通電時にロック状態となり、非通電時にアンロック状態となる機構であれば特に限定はない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、DLP方式や液晶方式など、光源としてランプを用いるプロジェクタに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のプロジェクタの外観を示す斜視図である。
【図2】図1のプロジェクタの光学エンジンの構成を示す一部破断した平面図である。
【図3】図1のB−B線断面の要部を示す図である。
【図4】アンロック状態のロック機構を説明する図である。
【図5】電源から電源回路までを示した回路図である。
【符号の説明】
【0037】
1 プロジェクタ
2 ランプ
3 画像生成素子
4 プロジェクションレンズ
5 光学エンジン
12 カラーホイール
14 インテグレータ
15 ダブレットレンズ
16 ミラー
17 リレーレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプと、
入射光を時分割でR、G、Bの光に分離するカラーホイールと、
該カラーホイールからの出射光を面状の光にして出射するロッド型のインテグレータと、
該インテグレータからの出射光を拡大するダブレットレンズと、
該ダブレットレンズからの出射光を反射するミラーと、
該ミラーからの反射光を拡大するリレーレンズと、
複数のミラー素子が縦横に規則的に配列され、各ミラー素子を個別に制御でき、前記リレーレンズからの出射光を画像光に変調するデジタルミラーデバイスと、
該デジタルミラーデバイスからの画像光を投射するプロジェクションレンズとを有する光学エンジンと、
前記ランプに電源からの電力を供給する電源回路と、
前記ランプ及び前記電源回路を格納する筐体と、
該筐体に取り付けられるとともに、前記ランプの交換時に取り外されるランプドアと、を備えたプロジェクタにおいて、
ソレノイドを前記筐体に設け、前記ソレノイドの可動鉄心が挿入される凹部を前記ランプドアに設け、前記ソレノイドを前記電源回路と電源との間に接続し、前記ソレノイドは通電時にロック状態となり、非通電時にアンロック状態となることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
ランプと、
該ランプに電源からの電力を供給する電源回路と、
前記ランプ及び前記電源回路を格納する筐体と、
該筐体に取り付けられるとともに、前記ランプの交換時に取り外されるランプドアとを備えたプロジェクタにおいて、
前記ランプドアをロックするロック機構を前記電源回路と電源との間に接続し、該ロック機構は通電時にロック状態となり、非通電時にアンロック状態となることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
前記ロック機構が、ソレノイドと、該ソレノイドの可動鉄心が挿入される凹部とを備えることを特徴とする請求項2記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記ソレノイドを前記筐体に設け、前記凹部を前記ランプドアに設けたことを特徴とする請求項3記載のプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−180981(P2008−180981A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15200(P2007−15200)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】