説明

プロセスカートリッジ

【課題】電子写真方式の画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジにおいて、像担持手段に対してクリーニング手段の先端部を、高精度かつ容易に、適切な位置に配置させることが可能なプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】電子写真方式の画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジにおいて、クリーニング手段に像担持手段の回転軸に平行な2つの直線部分を有する長穴を設けるとともに、長穴に相対する筐体上の位置に、前記長穴の2つの直線部分の間隔よりも径の小さな丸穴を配したプロセスカートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子写真方式の画像形成装置におけるプロセスカートリッジ。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置には、メンテナンスを容易にするため、プロセスカートリッジが用いられるものが多い。ここでいうプロセスカートリッジとは、感光体ドラム等の像担持手段、帯電手段、現像手段、クリーニング手段、現像剤収納手段等を筐体に配して一体化した構成を有し、画像形成装置本体に着脱可能に装着されるものである。
【0003】
プロセスカートリッジは画像形成装置本体に装着されると、画像形成装置本体から供給される駆動力、あるいは、動作信号を受けて画像形成装置本体の画像形成動作に連動して動作する。
【0004】
画像形成装置本体に装着されたプロセスカートリッジの像担持手段は、画像形成装置本体から供給される駆動力により回転されつつ、その表面に画像形成装置本体の像書込手段により潜像が形成される。
【0005】
像担持手段の表面に形成された潜像は、現像手段により現像され、現像剤にて形成された可視像となる。
【0006】
像担持手段に形成された可視像は、画像形成装置本体内を搬送される記録紙に、転写ベルトのような第2の像担持手段を経由して、あるいは、直接転写される。そして、可視像が転写された記録紙は、画像形成装置本体に配された定着手段により定着されて画像形成装置本体の外部に排出されてユーザに供される。
【0007】
像担持手段に形成された可視像を第2の像担持手段、あるいは記録紙へ転写した後の像担持手段の表面に、現像剤が残存することがある。像担持手段に残存する現像剤は後続して形成される画像の汚れの原因となるため、クリーニング手段を配置して、現像剤を除去することが行われる。
【0008】
クリーニング手段は、通常、可撓性を有する素材で形成され、その根元部を固定し、先端部を転写終了後の像担持手段の表面に弾接させ、回転する像担持手段の表面を先端部にて摺擦するように構成される。クリーニング手段の先端部が像担持手段の表面を摺擦することにより、像担持手段の表面の現像剤はクリーニング手段に掻き取られ除去される。
【0009】
クリーニング手段により像担持手段に残存する現像剤の除去を確実に行うには、像担持手段にクリーニング手段の先端部を適切に弾接させることが必要である。すなわち、像担持手段へのクリーニング手段の先端部の弾接が適切でないとき、例えば、クリーニング手段が像担持手段を弾接する圧力が不十分なときには現像剤が十分に除去されず、逆に、弾接する圧力が過大のときにクはリーニング手段の先端部にめくれ等の変形が生じるような不具合を生ずることがある。
【0010】
像担持手段にクリーニング手段の先端部を適切に弾接させるために、像担持手段に対してクリーニング手段の先端部を適切な位置に配置することが行われる。通常、クリーニング手段のプロセスカートリッジの筐体への固着はねじ止めにてなされるが、固着されたクリーニング手段の先端部を像担持手段に対して適切な位置に配置するために、クリーニング手段とクリーニング手段を固着する筐体との間に座金を挿入し、挿入する座金の数を調整することにより、クリーニング手段の先端部を適切な位置に配置することが行われる。
にしている。
【0011】
しかし、このような、座金の挿入数を変更することによるクリーニング手段の先端部の配置位置の調整は、像担持手段とクリーニング手段との高精度な位置関係を得るのが困難であり、調整に多くの時間を費やしていた。
【0012】
像担持手段とクリーニング手段の先端部との位置関係の調整にあたり、クリーニング手段の取り付け部に切り欠きを設け、切り欠き部に調整用の工具を挿入してクリーニング手段を移動させてクリーニング手段の先端部の位置を調整する技術が開示されている。(特許文献1)。
【0013】
近年、画像形成装置の高速化、小型化の要求が高まり、プロセスカートリッジにおける像担持手段とクリーニング手段の先端部の位置関係に関しても、より高精度に行うことが要求されるようになっている。前述の、クリーニング手段に切り欠きを設け、切り欠き部に調整用の工具を挿入してクリーニング手段の先端部の位置を調整する技術は、クリーニング手段の取り付け位置を作業者の手加減で行うものであり、微妙な調整を行うことが困難である。
【0014】
プロセスカートリッジにおける像担持手段に対するクリーニング手段の先端部の位置の設定を、高精度かつ、容易に実施できる技術が待望されている。
【特許文献1】特開2000−75753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前述の状況に鑑み、像担持手段に対してクリーニング手段の先端部を適切な位置に配置することを、高精度かつ、容易に実施できるプロセスカートリッジを提供することを課題にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題は以下のの手段により解決される。
(1)筐体と、
前記筐体に回転可能に配置された、現像剤にて形成される可視像を担持する像担持手段と、
可撓性を有する材料にて形成され、前記筐体への配置位置が変更可能なクリーニング手段と、
を有し、
前記クリーニング手段が、前記像担持手段に弾接して前記像担持手段の表面から現像剤を掻き取り除去するプロセスカートリッジにおいて、
前記クリーニング手段は、前記像担持手段の回転軸に平行な2つの直線部分を有する長穴を有するものであり、前記筐体は、前記長穴に相対する位置に、丸穴を有するものであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
(2)前記丸穴の内径寸法は前記長穴の2つの直線部分の間隔よりも小さいものであることを特徴とする(1)に記載のプロセスカートリッジ。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、像担持手段に弾接するクリーニング手段の先端部の位置の調整を容易に実施できるプロセスカートリッジを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のプロセスカートリッジを説明するに先立ち、本発明のプロセスカートリッジを装着可能な画像形成装置について説明する。
【0019】
図1は、本発明のプロセスカートリッジが装着される画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
【0020】
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、本体1と、本体1の上部の原稿画像読み取り装置2から成る。
【0021】
本体1には4組のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bkが垂直方向に縦列に着脱可能に装着される。装着されたプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bkの周辺には像露光手段30Y、30M、30C、30Bk、中間転写ユニット70、給紙搬送手段21及び定着手段24が配置される。
【0022】
プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bkは、それぞれ、像担持手段、帯電手段、現像手段、クリーニング手段、現像剤収納手段等をユニットとして一体化したものである。
【0023】
そして、プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bkは、それぞれの現像剤収納手段に収納されたイエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の現像剤により、それぞれの像担持手段にイエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の現像剤からなる可視像を形成する。
【0024】
像露光手段30Y、30M、30C、30Bkは、それぞれ、プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bkにおける像担持手段として機能する感光体ドラム11Y、11M、11C、11Bkに、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の画像信号に基づいて露光を行って各画像信号に対応する静電潜像を形成する手段である。これら像露光手段30Y、30M、30C、30Bkは、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Bkの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、あるいは、レーザ光学系などが用いられる。
【0025】
本体1に垂直方向に縦列に装着されたプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bkの感光体ドラム11Y、11M、11C、11Bkの図示左側方には中間転写体ユニット70が配置されている。中間転写ユニット70は、ローラ71、72、73、74を巻回して移動可能な無端ベルト状の中間転写ベルト77、一次転写ローラ51Y、51M、51C、51Bk、及び中間転写体クリーニング手段76とからなる。
【0026】
プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bkの感光体ドラム11Y、11M、11C、11Bkに、それぞれ、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の現像剤にて形成された可視像は、一次転写手段としての一次転写ローラ51Y、51M、51C、51Bkにより、中間転写ベルト77上に逐次転写されて、各色の可視像が合成されたカラー画像が形成される。Sは転写材であり、給紙カセット20内に収容された転写材Sは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て搬送され、二次転写ローラ52により中間転写ベルト77上に形成されたカラー画像が二次転写される。カラー画像が転写された転写材Sは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に排出される。
【0027】
プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bkは、それぞれ、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Bkに形成する可視像の色が異なるだけで、基本的には同じ構成である。ここまでの説明では、プロセスカートリッジを、形成する可視像の色により各記号の後ろにY、M、C、Bkの符号を付して区分したが、以下プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bkを説明するにあたり、各色のプロセスカートリッジに共通する構成は、Y、M、C、Bk等の符号をを付さずに、プロセスカートリッジ10、あるいは、感光体ドラム11のように、各記号のみで表記するものとする。
【0028】
図2は、プロセスカートリッジ10の構成を説明する模式図である。
【0029】
プロセスカートリッジ10は、プロセスカートリッジ筐体19に、像担持体として機能する感光体ドラム11、帯電手段として機能する帯電器12、現像部14、クリーニングブレード15を配置したユニットである。そして、プロセスカートリッジ筐体19の一部に現像剤を収納するホッパー部18が形成されている。なお、図2中、破線で囲まれる部位は、後述する図4に示す筐体19に該当する部位である。
【0030】
感光体ドラム11は、プロセスカートリッジ筐体19に回転可能に配される。そして、帯電器12により帯電され、像露光手段30からの露光ビームにより潜像が形成される。感光体ドラム11上の潜像は現像部14により現像され、現像剤にて形成された可視像になる。そして、本実施の形態においては、感光体ドラム11上に形成された可視像は無端ベルト状の中間転写ベルト77に転写される。
【0031】
感光体ドラム11は、可視像を中間転写ベルト77に転写した後、帯電器12により帯電され、像露光手段30による潜像形成がなされ、現像、ト可視像転写の一連の動作を繰り返す。
【0032】
感光体ドラム11上に形成された可視像が中間転写ベルト77に転写された後の感光体ドラム11の表面に、現像剤が残存することがある。クリーニングブレード15は、ト可視像を転写した後の感光体ドラム11表面に残存する現像剤を除去するもので、クリーニング手段として機能する。
【0033】
クリーニングブレード15は、可撓性を有する材料にて形成された支持部材151と先端部材152とからなり、支持部材151の根本部を取り付けねじ16にてプロセスカートリッジ筐体19に固定される。そして、先端部材152が、感光体ドラム11の、可視像を無端ベルト状中間転写体70へ転写する位置の下流側、かつ、帯電器12の上流側にて、感光体ドラム11の外周面に弾接するように配置される。なお、クリーニングブレード15をプロセスカートリッジ筐体19へ固定する図示左右方向の位置は変更可能であり、その詳細は後述する。
【0034】
感光体ドラム11の外周面に弾接するクリーニングブレード15の先端部材152は、矢印方向に回転する感光体ドラム11の外周面を摺擦し、感光体ドラム11の表面の現像剤を掻き取り、除去する。なお、本実施の形態におけるクリーニングブレード15の先端部に先端部材152を配し、先端部材152が感光体ドラム11の外周面を摺擦するように構成されているが、先端部材152を配さず、支持部材151の先端を感光体ドラム11の外周面に弾接させ、支持部材151の先端にて感光体ドラム11を摺擦するように構成されるものでも良い。
【0035】
クリーニングブレード15による感光体ドラム11に残存する現像剤の除去を確実に行うには、感光体ドラム11に対してクリーニングブレード15の先端部の位置を適切に配置する必要がある。感光体ドラム11に対するクリーニングブレード15の先端部の位置が適切でないときには、感光体ドラム11上の現像剤が十分に除去されなかったり、クリーニングブレード15の先端部にめくれ等の変形が生じたりすることがある。
【0036】
前述のように、感光体ドラム11にクリーニングブレード15を好適に弾接させることは、感光体ドラム11に対してクリーニングブレード15の先端部の位置を適切に配置することによりなされる。
【0037】
本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジ10においては、クリーニングブレード15のプロセスカートリッジ筐体19への取り付け位置を変更することにより、感光体ドラム11に対してクリーニングブレード15の先端部の位置を適切に配置するように構成されている。
【0038】
このことについて、図3を用いて詳細に説明する。
【0039】
図3は、本実施の形態におけるクリーニングブレード15を説明する図である。
【0040】
本実施の形態におけるクリーニングブレード15は支持部材151および先端部材152からなる。支持部材151は、可撓性を有する材料、例えば、金属、または樹脂を素材にして形成される。先端部材152は、ウレタン樹脂を素材にして形成され、支持部材151の所定位置に接着、固定される。
【0041】
図3に示される511a、511b、512a、512bは、それぞれ支持部材151の表裏を貫通する穴である。
【0042】
511a、511bは、本発明でいう「像担持手段の回転軸に平行な2つの直線部分を有する長穴」に該当するもので、クリーニングブレード15をプロセスカートリッジ筐体19に取り付けるに際し、クリーニングブレード15の先端部を適切な位置に配置するための位置調整穴である。本発明では、位置調整穴511a、511bに後述する調整具を当接させ、調整具を介してクリーニングブレード15の筐体19への配置位置を変更することができる。
【0043】
512a、512bは、クリーニングブレード15をプロセスカートリッジ筐体19にねじ止めする際のねじ止め穴である。ねじ止め穴512a、512bが配された側が、支持部材151における根元部となる。
【0044】
位置調整穴511a、511b、および、取り付け穴512a、512bのそれぞれの中心は、クリーニングブレード15をプロセスカートリッジ筐体19に載置したときに、プロセスカートリッジ筐体19に形成された調整具挿入穴191a、191bおよび雌ねじ穴192a、192bのそれぞれの中心に相対するように配置される。
【0045】
位置調整穴511a、511bは、同一の寸法の長穴である。拡大図に示すように、位置調整穴511a、511bは、d2の間隔で平行に配された2本の直線部分のそれぞれの両端が半径d2/2の2つの半円と連結して形成された形状を有する。位置調整穴511a、511bを構成する2本の直線部分は、クリーニングブレード15および感光体ドラム11をプロセスカートリッジ筐体19に取り付けたときに、感光体ドラム11の回転軸に対して平行になるように配置される。先端部材152の支持部材151への取り付けは、先端部材152の図示左端が位置調整穴511a、511bのそれぞれの2本の直線部分に平行になるようになされる。
【0046】
ねじ止め穴512a、512bは、同一の寸法の長穴である。拡大図に示すように、ねじ止め穴512a、512bは、d1の間隔に配された2本の平行な線分の両端を半径d1/2の2つの半円にて連結して形成される。支持部材151に配されたねじ止め穴512a、512bの2本の平行線は、クリーニングブレード15および感光体ドラム11をプロセスカートリッジ筐体19に取り付けたときに、感光体ドラム11の回転軸に直交する方向に構成される。
【0047】
ねじ止め穴512a、512bの2本の平行な線分の間隔d1は、取り付けねじ16のねじ部を挿入可能な寸法に構成される。
【0048】
図4は、プロセスカートリッジ筐体19における、クリーニングブレード15を取り付ける部位を示す部分図であり、前述の図2にて破線で囲まれた部位である。
【0049】
図4において、192a、192bは雌ねじが形成された雌ねじ穴である。取り付けねじ16a、16bをクリーニングブレード15の支持部材151のねじ止め穴512a、512bを貫通させて雌ねじ穴192a、192bに螺合させることによりクリーニングブレード15はプロセスカートリッジ筐体19に固着される。
【0050】
また、191a、191bは、後述する調整具を挿入する調整具挿入穴である。調整具挿入穴191a、191bは丸穴であり、その内径寸法は、前述のクリーニングブレード15に配された位置調整穴511a、511bにおける2本の平行な直線部分の間隔よりも小さく構成される。本発明の実施の形態においては、調整具挿入穴191a、191bの内径寸法は、位置調整穴511a、511bにおける2つの直線部分の間隔d2より小さく構成される。
【0051】
本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジ10においては、クリーニングブレード15をプロセスカートリッジ筐体19へ固着するにあたり、クリーニングブレード15は、ねじ止め穴512a、512bの長手方向に移動させることが可能であり、クリーニングブレード15のプロセスカートリッジ筐体19への取り付け位置の変更が可能、すなわち、クリーニングブレード15はプロセスカートリッジ筐体19への配置位置を変更可能に配置される。
【0052】
前述のように、プロセスカートリッジにおける感光体ドラム11に対してクリーニングブレード15の先端部の位置を適切に配置する必要がある。本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジは、クリーニングブレード15を移動させて、感光体ドラム11に対してクリーニングブレード15の先端部の位置が適切になる位置に固着するものであるとともに、クリーニングブレード15をプロセスカートリッジ筐体19に固着する位置の微細な変更を、容易に行うことができるものである。本発明に係るプロセスカートリッジにおける感光体ドラム1に対するクリーニングブレードの先端位置を適切に配置させる方法を図7に示す。なお、配置方法の具体的な手順に付いては後述する。
【0053】
この、クリーニングブレード15のプロセスカートリッジ筐体19への取り付け位置の変更は、調整具を使用してなされる。
【0054】
図5は、クリーニングブレード15のプロセスカートリッジ筐体19への取り付け位置の変更に使用される調整具の概念図である。
【0055】
図5(a)に示すように、調整具Tは外径dAの円柱形をなすTA部と、外径dBの円柱形をなすTB部とを、中心軸を偏芯させて接合した形態をなす。
【0056】
B部の外径dBは、プロセスカートリッジ筐体19の調整具挿入穴191a、191bに挿入可能な寸法であり、かつ、TB部が調整具挿入穴191a、191bに挿入されたとき、調整具挿入穴191a、191bにより軸支されて回動可能な寸法に形成される。
【0057】
また、TA部の外径dAは、クリーニングブレード15の位置調整穴511a、511bに嵌合可能な寸法であり、かつ、位置調整穴511a、511bにおける2本の平行線にて形成される2辺の間隔(=d2)に略一致する寸法に形成される。
【0058】
A部とTB部との偏芯量はδである。本実施の形態における調整具Tにおいては、δ=(dA−dB)/2に設定される。従ってTAとTBとは、その接合位置において、TB部の外径がTA部の外径に内接する形態をなす。ここで、TA部の外径において、TB部の外径が内接する位置をP、PとdAの中心を挟んで対称な位置をQとする。
【0059】
調整具TのTB部を、プロセスカートリッジ筐体19に設けた調整具挿入穴191a、191bに挿入して回動することにより、調整具TのTA部はTB部を調整具挿入穴191a、191bに軸支されて回動する。
【0060】
B部を回転軸とする回動によるTA部の外径部Qの軌跡は、調整具挿入穴191a、191bの中心を中心とする半径dA−dB/2の円となり、TA部の外径部Pの軌跡は、調整具挿入穴191a、191bの中心を回動の中心とする半径dB/2の円となる(図5(b)参照)。
【0061】
したがって、図5(c)に示すように、TA部の外径dAに略等しい間隔d2の平行な直線部L1、L2を有する長穴HをTA部を挟むように当接させて配置し、TB部を調整具挿入穴191a、191に軸支させて回動することにより、TA部に当接する長穴Hの平行な直線部L1、L2は図示左右方向に移動する。直線部L2の左右方向の移動距離は、図5(d)に示すように、最大でdA−dBとなる。したがって、TB部の回動による長穴Hの左右方向の移動距離も最大でdA−dBとなる。
【0062】
本発明にては、図5(c)、(d)に示される長穴Hをクリーニングブレード15の調整具挿入穴511a、511bに置き換えたもので、調整具TのTA部を調整具挿入穴511a、511bに嵌合させ、TB部を調整具挿入穴191a、191に軸支させて回動することにより、調整具挿入穴511a、511bは回動するTA部により図示左右方向に移動、すなわちクリーニングブレード15を図示左右方向に移動させるものである。クリーニングブレード15の図示左右方向の移動を、調整具挿入穴511a、511bに嵌合させた調整具Tを回動して行うことにより、クリーニングブレード15の図示左右方向の移動を微細な精度にて行うことができる。
【0063】
以下、クリーニングブレード15のプロセスカートリッジ筐体19への取り付けと、取り付け位置の調整方法を図6、図7を参照して説明する。
【0064】
図6は、クリーニングブレード15をプロセスカートリッジ筐体19に載置、仮止めした状態を示す図である。図6(a)はクリーニングブレード15をプロセスカートリッジ筐体19に載置した状態を示し、図6(a)はクリーニングブレード15をプロセスカートリッジ筐体19に載置した状態を示す図、図6(b)はクリーニングブレード15をプロセスカートリッジ筐体19に仮止めされた状態を示す図である。仮止めとは、例えば、取り付け位置の変更を行うことを前提として一時的に物体を取り付けることを言い、図6(b)に示されるクリーニングブレード15はプロセスカートリッジ筐体19への載置位置から、移動されることを前提に固定される。
【0065】
図6(a)に示されるように、クリーニングブレード15のプロセスカートリッジ筐体19への載置は、プロセスカートリッジ筐体19の調整具挿入穴191a、191bおよび雌ねじ穴192a、192bは、それぞれが、クリーニングブレード15の位置調整穴511a、511b、および、ねじ止め穴512a、512bとの輪郭範囲内に位置するようになされる。前述のように、調整具挿入穴191a、191bは丸穴であり、その内径寸法は、クリーニングブレード15に配された位置調整穴511a、511bにおける2本の平行線の2つの直線部分の間隔よりも小さく構成されているので、後述する調整具挿入穴191a、191bは位置調整穴511a、511bの輪郭内に位置させることができ、後述する調整具挿入穴191a、191bへの調整具TのTB部の挿入を、位置調整穴511a、511bの周囲部に干渉されることなく実施できる。
【0066】
図6(b)は、2本の取り付けねじ16を雌ねじ穴192a、192bに螺入し、取り付けねじ16にてクリーニングブレード15をプロセスカートリッジ筐体19に仮止めした状態を示す図である。このとき、二本の取り付けねじ16の雌ねじ穴192a、192bへの螺入は、クリーニングブレード15に外力を加えることにより、プロセスカートリッジ筐体19へ載置する位置を変更させることができる状態、いわゆる、半締め状態とする。
【0067】
図7は、本発明の実施の形態のプロセスカートリッジにおいて、感光体ドラム11に対してクリーニングブレード15の先端部を適切な位置に配置する方法を説明する図である。図7(a)は、クリーニングブレード15をプロセスカートリッジ筐体19へ載置、仮止めした状態を側面から見た図であり、図7(b)は上面から見た図である。
【0068】
感光体ドラム11とクリーニングブレード15は、プロセスカートリッジ筐体19に取り付けられるので、クリーニングブレード15をプロセスカートリッジ筐体19の所定の位置に取り付けることにより、感光体ドラム11に対してクリーニングブレード15の先端部を適切な位置に配置することができる。
【0069】
本実施の形態においては、図7(a)に示すように、クリーニングブレード15の先端位置をプロセスカートリッジ筐体19の雌ねじ穴192a、192bからの基準寸法Kにすることにより、感光体ドラム11に対してクリーニングブレード15の先端部を適切な位置に配置することができる。
【0070】
基準寸法Kは、プロセスカートリッジ筐体19の雌ねじ穴192a、192bの中心からクリーニングブレード15の先端迄の好ましい寸法であり、クリーニングブレード15の先端が、プロセスカートリッジ筐体19の雌ねじ穴192a、192bの中心から基準寸法Kになるように取り付けられるときには、クリーニングブレード15が感光体ドラム11に好適に弾接し、感光体ドラム11からトナーの除去を好適に実行でき、クリーニングブレード15の先端部にめくれ等の変形を生じることがない寸法として、別途設定される。
【0071】
クリーニングブレード15の先端位置をプロセスカートリッジ筐体19の雌ねじ穴192a、192bから基準寸法Kになるように調整するには調整具Tを使用する。
【0072】
クリーニングブレード15を仮止めしたプロセスカートリッジ筐体19の、調整具挿入穴191a、191bに調整具TのTB部を挿入する。このとき、図7(b)に示すように、調整具TのTA部がクリーニングブレード15の位置調整穴511a、511bに嵌合するようにする。
【0073】
調整具挿入穴191a、191bにTB部が軸支される調整具Tを矢印方向に回動すると、調整具TのTA部に嵌合するクリーニングブレード15の位置調整穴511a、511bは、調整具Tの回動に伴ってプロセスカートリッジ筐体19の取り付け面上を図示左右方向に移動する。クリーニングブレード15に配された位置調整穴511a、511bが図示左右方向に移動することは、プロセスカートリッジ筐体19に仮止めされたクリーニングブレード15がプロセスカートリッジ筐体19の取り付け面上を図示左右方向に移動することである。
【0074】
Mは計測手段であり、クリーニングブレード15の先端部とプロセスカートリッジ筐体19の雌ねじ穴192a、192bとの距離を計測する。なお、計測手段Mは、プロセスカートリッジ筐体19の雌ねじ穴192a、192bの中心からクリーニングブレード15の先端部との距離の基準寸法Kに対するクリーニングブレード15の先端部の偏移量を測定するものであっても良い。
【0075】
クリーニングブレード15の取り付け位置調整は、作業者により計測手段Mによる測定値を確認しながら調整具Tを回動することによりなされる。調整具Tを回動させて計測手段Mによる測定値が所定の範囲に到達した状態で、半締め状態にあった取り付けねじ16を本締めしてクリーニングブレードをプロセスカートリッジ筐体19に固着し、クリーニングブレード15の取り付け位置の調整を完了する。
【0076】
このような取り付け位置の調整方法により、クリーニングブレード15を±0.2〜±0.3mmの精度範囲にてプロセスカートリッジ筐体19に固着することができ、クリーニングブレード15の先端部の位置を感光体ドラムに対して好ましい位置に配置できる。
【0077】
なお調整に際しては、クリーニング手段を仮止めしたプロセスカートリッジ筐体19を所定の位置に載置できる受け台を準備し、その受け台の、プロセスカートリッジ筐体19の載置位置と適切な位置関係を保つ位置に計測手段Mを配置してクリーニングブレード15の先端位置を計測するようにしても良い。また、計測手段Mは、プロセスカートリッジ筐体19の雌ねじ穴192a、192bの中心からクリーニングブレード15の先端部と、の距離の基準寸法Kに対するクリーニングブレード15の先端部の偏移量を測定するものであっても良い。
【0078】
本発明を適用したプロセスカートリッジは、偏芯構造の調整具を使用して、クリーニング手段の感光体ドラムへの当接部の位置の移動を容易に実施することができ、感光体ドラム11に対してクリーニングブレード15の先端部の位置を適切に配置することができる。
そして、偏芯構造の調整具を使用することによりクリーニングブレード15の先端部の位置を微細に変更可能であるので、クリーニングブレード15の先端部の配置位置を微細に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明のプロセスカートリッジが装着される画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
【図2】プロセスカートリッジ10の構成を説明する模式図である。
【図3】クリーニングブレード15を説明する図である。
【図4】プロセスカートリッジ筐体19における、クリーニングブレード15を取り付ける部位を示す部分図である。
【図5】クリーニングブレード15のプロセスカートリッジ筐体19への取り付け位置の変更に使用される調整具の概念図である。
【図6】クリーニングブレード15をプロセスカートリッジ筐体19に載置、仮止めした状態を示す図である。
【図7】、感光体ドラム11に対してクリーニングブレード15の先端部を適切な位置に配置する方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0080】
1 画像形成装置本体
2 原稿画像読み取り装置
10 プロセスカートリッジ
11 感光体ドラム
12 帯電器
14 現像手段部
15 クリーニングブレード
16 取り付けねじ
18 ホッパー部
19 プロセスカートリッジ筐体
20 給紙カセット
21 給紙搬送手段
22 中間ローラ
23 レジストローラ
24 定着手段
25 排紙ローラ
26 排紙トレイ
30 像露光手段
51 一次転写ローラ
52 二次転写ローラ
70 中間転写ユニット
76 中間転写体クリーニング手段6b
77 中間転写ベルト
S 転写材
T 調整具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に回転可能に配置された、現像剤にて形成される可視像を担持する像担持手段と、
可撓性を有する材料にて形成され、前記筐体への配置位置が変更可能なクリーニング手段と、
を有し、
前記クリーニング手段が、前記像担持手段に弾接して前記像担持手段の表面から現像剤を掻き取り除去するプロセスカートリッジにおいて、
前記クリーニング手段は、前記像担持手段の回転軸に平行な2つの直線部分を有する長穴を有するものであり、前記筐体は、前記長穴に相対する位置に、丸穴を有するものであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記丸穴の内径寸法は前記長穴の2つの直線部分の間隔よりも小さいものであることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−298818(P2008−298818A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141435(P2007−141435)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】