説明

プロテアーゼ活性化レポーターを使用してのタンパク質−タンパク質相互作用を調節する分子の同定

アッセイ方法およびシステムは、タンパク質−タンパク質相互作用から生じる酵素的切断を使用し、レポーターを調節する(活性化する又は不活性化する)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関心ある分子間の相互作用を測定するための材料及び方法に関する。より詳しくは、本発明は、特定の物質、例えば、「テスト化合物」が関心ある2つ又はそれ以上の特定のタンパク質の相互作用を調節するかどうかを測定することに関する。測定は、関心ある1つ又はそれ以上の反応体を含有する、細胞中、溶液中、又は人工パッケージ若しくはユニット中に存在し得る、レポーター遺伝子の活性化をモニタリングすることを含み、ここで、活性化又はその欠如は、調節又は調節の欠如から生じる。測定は、一般的に形質転換された又はトランスフェクトされた細胞を使用して行われ、これらはまた、それらを形質転換する又はトランスフェクトするために使用される作用物質と同様に、本発明の側面として特徴づけられる。無細胞システム、即ち関心ある1つ又はそれ以上の試薬を輸送する人工パッケージ又はユニット、例えばウイルス、ウイルス様粒子、リポソームなどを使用するシステムも利用できる。
【背景技術】
【0002】
背景及び関連技術
例えば、受容体についてのリガンドの同定によって例示されるような、タンパク質/タンパク質相互作用の研究は、大きな関心のある領域である。所定の受容体についての1つ又は複数のリガンドが公知である場合でさえ、より有効な又はより選択的なリガンドを同定することへの関心が存在する。7回膜貫通型受容体(7TMR)としても公知の、Gタンパク質共役型受容体、GPCRが、この様式でキャラクタライズされ得るクラスのタンパク質のそれだけに限られない例として本明細書において議論される。しかし、相互作用する任意のタンパク質、例えば代謝経路又はカスケードのメンバーが、本発明のアッセイでの使用に適している。
【0003】
GPCRは、ヒトの公知の最大クラスの細胞表面受容体であり、従って、本発明の最有力の適用と考えられる。GPCRによるシグナル伝達を調節するリガンドとしては、ホルモン、神経伝達物質、ペプチド、糖タンパク質、脂質、ヌクレオチド、及びイオンが挙げられる。GPCRはまた、感覚受容体(sense receptor)、例えば光、臭い、フェロモン、及び味についての受容体であることが公知である。これらの多様かつ多数の役割を前提として、GPCRは、例えば化学的防御及び生物学的防御適用のための、及び種々の病態の治療に有用な薬物のための、激しい研究の対象となっている。多くの創薬が既に成功している。例えば、非特許文献1は、50%を超える市販の薬物がこのような受容体に作用すると推定している。
【0004】
「GPCR」は、本明細書において使用される場合、GPCRスーパーファミリーの受容体の任意のメンバーを指す。このスーパーファミリーは、7回膜貫通型ドメイン(7TM)構造によって特徴付けられる。これらの受容体の例としては、クラスA又は「ロドプシン様」受容体;クラスB又は「セクレチン様」受容体;クラスC又は「代謝型グルタミン酸様」受容体;フリズルド(Frizzled)及びスムースンド(Smoothened)関連受容体;接着受容体ファミリー又はEGF−7TM/LNB−7TM受容体;アディポネクチン受容体及び関連受容体;並びに臭気物質、味、鋤鼻及びフェロモン受容体を含む、化学感受性受容体が挙げられるが、これらに限定されない。例として、ヒトにおけるGPCRスーパーファミリーとしては、非特許文献2、3、4、5及び6に記載される受容体分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0005】
手短に云えば、GPCR機能の一般的な作用機構は、次の通りである:1)GPCRがリガンド
に結合し、2)コンホメーション変化が引き起こされ、それによって、3)細胞生理学の変化へ至る細胞事象のカスケードが刺激される。GPCRは、複数の細胞内タンパク質、例えばヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)及びβアレスチンの活性を調節することによって、シグナルを変換する。Gタンパク質の場合、リガンド−受容体複合体が、グアニンヌクレオチド交換、及びα及びβγサブユニットへのGタンパク質ヘテロ三量体の解離を刺激する。他の状況において、βアレスチンは、Gタンパク質と置き換わること、Gタンパク質シグナル伝達を妨害すること、Gタンパク質シグナル伝達に相乗作用を与えることなどができる。
【0006】
GTP結合αサブユニット及びβγヘテロ二量体の両方が、アデニリルシクラーゼ及びホスホリパーゼC(PLC)を含む種々の細胞エフェクタータンパク質を調節することが観察されている。GPCRについての従来の細胞ベースのアッセイにおいて、受容体活性は、Gタンパク質調節エフェクター経路のアウトプット、例えばアデニリルシクラーゼによって生成される、cAMPの蓄積;又は、例えばPLC活性によって刺激される、細胞内カルシウムの放出を測定することによってモニタリングされる。
【0007】
従来のGタンパク質ベースのシグナル変換アッセイは、種々の理由のためにいくつかの標的について開発することが困難であった。例えば第一に、種々のGPCRは、種々のGタンパク質調節シグナル変換経路にカップリングされる。伝統的なGタンパク質ベースのアッセイは、標的受容体のGタンパク質特異性を知ることに依存し、又は該アッセイは、選択したGタンパク質エフェクター経路に標的受容体を強制的にカップリングさせるために細胞システムの遺伝子操作を必要とする。第二に、GPCRスーパーファミリーは非常に大きいので、全ての細胞が、多くの内在性GPCR(他の受容体及びシグナル伝達因子も)を発現する。従って、測定されるエフェクター経路は、標的GPCRに加えて、内在性分子によって調節され得る。この現象は、例えば標的GPCRの選択的モジュレータを同定しようとする場合、偽陽性又は偽陰性結果を引き起こし得る。
【0008】
Gタンパク質活性の調節は、リガンド/GPCR結合の唯一の結果ではない。例えば、非特許文献7及び8を参照のこと;これらは、GPCRシグナルの減衰又は終了に至り得る活性を検討している。これらの終了プロセスは、過度の細胞刺激を防止し、細胞外シグナルと対応の細胞内経路との一時的連結を強化するために有用である。
【0009】
一般的に、GPCRに対するアゴニストの結合は、受容体分子のC末端でのセリン及びスレオニン残基をGPCRキナーゼによってリン酸化させる。アゴニスト複合体化されたC末端リン酸化GPCRは、次いで、アレスチンファミリーメンバー、例えばαアレスチン、βアレスチン又はβアレスチン2と相互作用し、これらは、受容体シグナル伝達を下方調節又は阻止する。前記結合は、Gタンパク質に対する受容体のカップリングを阻害し得、それによって、インターナリゼーション、続いての分解及び/又はリサイクルのために該受容体を標的化する。例えば、リン酸化GPCRに対するアレスチン、例えばβアレスチン2の結合は、種々の様式で標的GPCRの活性を減少させ得る。アレスチンがその標的の活性化を阻害する最も単純な機構は、GPCRの細胞内ドメインへ結合し、それによって、ヘテロ三量体Gタンパク質の結合部位をブロックし、細胞外シグナルが経路を活性化することを防止することである(感受性減少)。アレスチンによって利用される別の調節機構は、膜インターナリゼーション機構(例えば、クラスリン仲介エンドサイトーシス)のエレメントに対する受容体の連結であり、これは、エンドソームとの融合のために被覆小胞中の該受容体のインターナリゼーションを開始する。いったんエンドソームで、受容体は、分解(例えば、リソソームによる)について標的化され得るか、又は形質膜へリサイクルされ得、ここでそれは再度活性化され得る。
【0010】
従って、GPCRに対するリガンドの結合は、GPCRとアレスチンタンパク質との相互作用を「調節する」と言うことができ、何故ならば、GPCRに対するリガンドの結合は、アレスチンをGPCRに結合させ、それによってその活性を調節するためである。本明細書において、「調節する」又はその任意の表現形式が相互作用又は結合に関して使用される場合、それは、例えばテスト化合物又はリガンドが存在する場合の、それが存在しない場合にこれらの2つのタンパク質がどの程度相互作用するかと比較しての、本発明の2つのタンパク質が相互作用する様式でのある変化を単に指す。従って、調節するは、2つの分子の単なる結合を含む。例えば、テスト化合物の存在は、検出可能なある方法、様式又は形態で、2つのタンパク質の相互作用を強化若しくは増強し得るか、それを弱め得るか、それをブロックし得るか、それを阻害し得るか、それを向け直し得るか、それを減らし得るか、又はそれを修飾し得、又はテスト化合物は相互作用の可能性を促進し得るなどである。
【0011】
ある状況において、7TMRシグナル伝達は、Gタンパク質とは無関係に生じ得る。従って、リガンドが7TMRに結合すると、Gタンパク質の代わりにβアレスチンが、リクルートされ、細胞中のシグナル伝達カスケードを促進する又は開始する。例えば、非特許文献9及び10を参照のこと;彼らは、活性化7TMRで始まる2つの独立し及び相互依存したシグナル伝達経路を要約し、これらは、Gタンパク質及びβアレスチンの両方を必要とし得るか;又はGタンパク質又はβアレスチンのいずれかを必要とし得る。
【0012】
従って、例えば7TMRの公知のアンタゴニストは、βアレスチンシグナル伝達を活性化する。β2アドレナリン作動性受容体(ADRB2)の及びGタンパク質シグナル伝達の公知のアンタゴニストである、プロプラノロールは、本発明を行なって観察して、βアレスチン開始経路を活性化する、βアレスチンシグナル伝達の部分アゴニストであることがわかった。
【0013】
細胞外の刺激に応答性の細胞シグナル伝達事象は、一般的に、タンパク質−タンパク質相互作用によって仲介される。従って、タンパク質−タンパク質相互作用は、細胞生理学者にとって大きな関心があるものである。これらの相互作用をモニタリングするための1つのツールは、分断又は順列変異(permuted)レポーター活性化タンパク質、例えばタバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼを使用することを含む。プロテアーゼの分断部分は、相互作用タンパク質との融合構築物として同時発現される(co-expressed)場合に、活性を取り戻す。非特許文献11。この特性は、転写カップリングされたレポーターシステムと併用して使用されている。
【0014】
この理解は、GPCRの活性化及び阻害をアッセイするための代替方法に導いている。これらの方法の1つは、転写機構を保有するインタクトな細胞中のアレスチンとの相互作用をモニタリングすることを含む。このアプローチの利点は、Gタンパク質経路の知識が必要とされないことである。例えば、特許文献1を参照のこと。特許文献1は、転写カップリングされたレポーターシステムを必要とするレポーターシステムを教示している。特許文献1によれば、2つのタンパク質が相互作用する場合に、ペプチド性転写因子が第1のタンパク質から切断される。第2のタンパク質は、レポーター遺伝子を活性化する転写因子である。次いで、該因子は、検出可能なレポーターの転写をもたらすための核への輸送によって、レポーター機能を達成する。前記方法は転写に依存するので、前記方法は、例えば血小板、人工パッケージ又はユニット、例えばリポソーム、コキレート(cochleate)、ウイルス様粒子、及びウイルス粒子では、実施不可能である。
【0015】
非特許文献12並びに特許文献2及び3は、細胞表面上の活性化受容体への細胞質中の蛍光標識アレスチン分子の再分配が測定されるアッセイを記載している。これらの方法は、アレスチン再局在化及び受容体活性化を測定するために、細胞の高解像度イメージングを頼りにする。当業者によって認識されていることは、これが、所望のモジュレータ誘導相互作用と競合し得る、使用した相補的酵素フラグメントの親和性及び相互作用によって待ち伏せを受け得る、複雑で入り組んだ手順であることである。従って、前記方法は、リガンド結合とは無関係の、酵素の自己再結合から生じる偽陽性を被る。偽陽性の発生率が低く、ハイスループットスクリーニングにより容易に適合可能である、より単純でより頑健なアッセイが望ましい。
【0016】
これらの点を扱う種々の他の米国特許及び米国出願が、特許及び出願されている。例えば、特許文献4は、βアレスチン結合の阻害が測定される、疼痛制御薬物をスクリーニングするためのアッセイを取り上げている。特許文献5、6、7及び8などは、GPCRを必要とする種々の形態のアッセイを記載している。特許文献9は、同様のGPCR技術を取り上げている。GPCR活性又はスクリーニングアッセイを一般的に取り上げている上述の特許文献1は、GPCR研究の重要性を実証している。
【0017】
従って、本発明の1つの特徴、即ち特定のタンパク質/タンパク質相互作用、例えば受容体仲介生理学、例えばGPCR仲介細胞応答、の調節をモニタリング及び/又は測定するためのより単純なアッセイを提供することは、当技術分野における所望のニーズに対処するのに満足のゆくものであり、ここでタンパク質としては、一般的に受容体、及び重要な例としてGPCRを含む、膜結合タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第7,049,076号:“Method for Assaying Protein−Protein Interaction”、Leeら
【特許文献2】米国特許第5,891,646号
【特許文献3】米国特許第6,110,693号、“Methods Of Assaying Receptor Activity and Constructs Useful in Such Methods”、Barakら
【特許文献4】米国特許第6,528,271号、“Inhibition Of β−arrestin Mediated Effects Prolongs and Potentiates Opioid Receptor−Mediated Analgesia”、Bohnら
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0002119号
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0157553号
【特許文献7】米国特許出願公開第2003/0143626号
【特許文献8】米国特許第6,884,870号
【特許文献9】米国特許第7,128,915号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Howard, et al., Trends Pharmacol. Sci., 22:132 140 (2001)
【非特許文献2】Vassilatis, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100:4903 4908 (2003)
【非特許文献3】Takeda, et al., FEBS Letters, 520:97 101 (2002)
【非特許文献4】Fredricksson, et al., Mol. Pharmacol., 63:1256 1272 (2003)
【非特許文献5】Glusman, et al., Genome Res., 11:685 702 (2001)
【非特許文献6】Zozulya, et al., Genome Biol., 2:0018.1 0018.12 (2001)
【非特許文献7】Luttrell, et al., J. Cell Sci., 115:455 465 (2002)
【非特許文献8】Ferguson, Pharmacol. Rev., 53:1 24 (2001)
【非特許文献9】Violin & Lefkowitz, Trends Pharm Sciences 28(8)416−422, 2007
【非特許文献10】DeFea, Br J Pharm 1−12, doi:10.1038/sj.bjp.0707508, 2007
【非特許文献11】Wehr, et al., “Monitoring Regulated Protein−Protein Interactions Using Split TEV”, Nature Methods, 3:985−993 (2006)
【非特許文献12】Oakley, et al., Assay Drug Dev. Technol., 1:21 30 (2002)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、テスト化合物が関心ある特定のタンパク質−タンパク質相互作用を調節するかどうかを測定するための方法を提供する。タンパク質−タンパク質相互作用は、生物学の共通の機構であり、これによって、細胞は、その周囲、細胞外の事象、例えば受容体へのリガンドの結合と相互作用し得、リガンドのインターナリゼーションを伴なって又は伴なわずに内部応答を生じさせ得る。インターナリゼーションには、膜上又は膜外の部分を有する2つ又はそれ以上のタンパク質が関係する。従って、二量体、ヘテロ二量体又は多量体形成が、内部応答を生じさせ得る。細胞内のタンパク質−タンパク質相互作用はまた、シグナル伝達カスケードに関与し得る。本発明の一般的なスキームは、任意のタイプのタンパク質−タンパク質相互作用に適用可能である。相互作用は、例えば2つの膜結合タンパク質間、膜結合タンパク質と細胞質タンパク質との間、細胞質タンパク質間などであり得る。1実施態様は、核などの別の細胞小器官にトランスロケートする細胞質タンパク質を特徴とし、ここで、レポーターが活性化され、シグナルが生じる。好ましくは、細胞ベースのアッセイが使用されるが、例えば、溶解物、膜画分、核画分などを使用する、無細胞システムも使用され得る。関心ある1つ又はそれ以上の試薬を含有する人工パッケージ又はユニット、例えばリポソーム、ウイルス様粒子などが含まれる。本発明は、転写を必要としない点で、先に議論したLeeらの技術を改善する。従って、結果をより迅速に得ることができ、細胞ベース又は無細胞システムから得ることができる。いくつかの格別に好ましい実施態様の一般的な説明を下記に示す。これらの実施態様は、単なる例証であり、本明細書において開示され及び特許請求される本発明の範囲を決して限定するものではない。
【0021】
本発明によって提供される1つの特徴は、少なくとも1つのテスト化合物と、関心あるタンパク質を発現する細胞表面とを接触させることを含む。テスト化合物は、関心あるタンパク質、例えば受容体タンパク質の活性を調節するその能力について評価され得る。細胞中の関心あるタンパク質の発現は、選択された細胞、例えば昆虫又は哺乳類細胞株の、以下を用いての形質転換又はトランスフェクションから生じ得る:(1)(a)関心ある第1のタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及び(b)プロテアーゼ又はプロテアーゼの活性部分若しくは活性化可能部分に感受性の切断部位と共に構成されたレポーター活性化タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、1つ又は複数の核酸分子、並びに(2)(a)関心ある第1のタンパク質とその相互作用が、モジュレータ、例えば陽性のテスト化合物が存在する場合に変化する、第2のタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及び(b)核酸(1)によってコードされる切断部位に特異的であるプロテアーゼ又はプロテアーゼの活性部分若しくは活性可能部分をコードするポリヌクレオチドを含む、1つ又は複数の核酸分子。関心あるタンパク質−タンパク質相互作用(関心ある2つのタンパク質間の)を調節する分子、例えば陽性のテスト化合物は、本明細書に開示されるレポーターシステム、並びに関心ある第1の及び第2のタンパク質を発現する細胞中に、例えば必要に応じて、レポーター活性化タンパク質の基質を添加することによって評価又はアッセイされ得る。
【0022】
従って、本発明から生じる方法は、関心あるタンパク質−タンパク質相互作用についての読み出しとしての並び替え可能な(permutable)酵素の使用であり得る。レポーター又はレポーター活性化タンパク質として使用される、並び替え可能な活性化タンパク質、例えば酵素は、例えば関心ある第2のタンパク質と関連した酵素活性による、切断によって活性化され得る、不活性状態にあり得る。別の選択肢は、関心ある第1の及び第2のタンパク質が相互作用する場合に活性化される不活性レポーター活性化タンパク質を含む。従って、関心ある第1の及び第2のタンパク質の相互作用を調節する化合物が、スクリーニングされ得る。このシステムの1つの成果は、選択されたタンパク質−タンパク質相互作用を調節する分子のハイスループット同定を可能にする。
【0023】
読み出し「ペプチドA」を産生することができる(単独で、又は1つ若しくはそれ以上の関連分子と共に)酵素は、活性が変えられ得る形態で存在する。酵素は、この変化によって、活性化又は不活性化され得る。例えば、切断部位を酵素中に組み込んで、例えば関心ある第2のタンパク質とカップリングした第2の酵素による、切断の際に、酵素を不活性化することができる。
【0024】
代わりに、切断は、活性化を生じさせ得る。選択した酵素は、1つ又はそれ以上の核酸を使用して所望の宿主細胞中に遺伝子操作され得る。例えば、ベクターは、切断部位で不活性酵素を切断することによって活性化され得る不活性酵素として選択された分子をコードするポリヌクレオチドを含み得る。切断部位は、天然のものであってもよいが、好ましくは切断部位はそれが順列変異(permuted)酵素として発現されるように、ポリヌクレオチド中に遺伝子操作され得る。例えば、その細胞のタンパク質に対してネイティブでない切断部位、及び/又は宿主細胞に対してネイティブでないタンパク質が、宿主細胞中にトランスフェクトされ得る。代替の実施態様は、ブロッキングペプチドを除去することによる、又は2つのペプチドが再配列し酵素活性を活性化するように、2つのポリペプチドに立体配置を変えさせることによる、のいずれかの切断によって活性化される酵素を含む。
【0025】
従って、1実施態様は、活性ポリペプチド、例えば酵素を特徴とする。「酵素」は、切断によって不活性化され得る。特異性のために、宿主細胞に対してネイティブでないプロテアーゼによって認識される切断部位を酵素中に遺伝子操作することが、望ましい場合がある。切断部位は、「酵素」の2つの部分又はモチーフを結合する、即ち接触した状態でこれらを保持する、リンカーの形態で導入され得、リンカーは「酵素」に対してネイティブな切断部位であってもよく、例えば切断部位を有する酵素は別の細胞型由来又は別の種由来であってもよく、宿主細胞では見出されず、又は切断部位は1つ又はそれ以上のアミノ酸の同類置換によって生産され得る。同類置換は、当技術分野において公知の通りである。例えば、電荷、サイズ、芳香族性又は他の特性が、保存されて活性を維持し得る。活性は、並び替えしていない「酵素」と同一である必要はないが、切断部位での切断によって変えられなければならない。切断部位は、1つの酵素の2つの部分間に挿入され得る。この部位を切断することは、酵素を崩壊させ、従って不活性化を引き起こし得るか、又は例えば結合若しくは触媒部位をブロックするペプチド部分を除去することによって、若しくは活性を回復させる様式で順列変異酵素の2つの部分に相互作用させることによって、触媒活性が生じることを可能にし得る。
【0026】
従って、切断部位での切断は、読み出しを産生するタンパク質を不活性化又は活性化し得る。例えば、関心ある第2のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子の発現産物が関心ある第1のタンパク質と相互作用し、それによって、順列変異レポーター活性化タンパク質中のプロテアーゼ感受性切断配列を認識しそして切断するプロテアーゼの活性が惹起される場合、切断がテスト化合物の存在下で達成され得る。
【0027】
関心ある第2のタンパク質は、第3分子の存在下で、又は代わりに第3分子の非存在下で、関心ある第1のタンパク質と相互作用する。この場合、この第3分子は、ポリペプチドA及びB間のタンパク質−タンパク質相互作用を調節すると言われる。第3分子、例えばテスト化合物によって調節される、タンパク質−タンパク質又はペプチド−ペプチド相互作用(議論のため、タンパク質及びペプチドは、交換可能に使用される)が、従って、本発明のシステムによって有効に報告される。タンパク質−タンパク質相互作用(1及び2、第1の及び第2、A及びBと指定されたペプチド間;従って、これらの句及び用語は、本明細書において交換可能に使用される)を調節する分子は、活性なレポーター活性化分子によって、又は関心あるタンパク質を含むシステムを発現する細胞に活性なレポーター活性化分子の基質を添加することによって、測定され得る。
【0028】
タンパク質A及びBの選択は設計上の選択であり、何故ならば、結合、相互作用などをすることが公知であるか又は疑われる分子の対を使用し得るためである。本明細書において議論されるように、好適な対は、7TMRとGタンパク質又はβアレスチンのいずれかである。別の例は、フリズルド(frizzled)受容体及びディシブルド(Dishevelled)結合タンパク質などである。なお別の例は、細胞−細胞相互作用の間及び後に働くものとなる。従って、タンパク質A及びBは、細胞1中にある。細胞1が細胞2によって又は細胞2と接触されると、その相互作用は、タンパク質A及びBの結合、相互作用などによって明らかにされ、識別可能かつ検出可能なシグナルを与える本発明の試薬によってさらに明らかにされる、細胞1による及び細胞1中の作用を誘発する。
【0029】
なお別の例は、細胞1上で発現されるタンパク質A、及び細胞2上で発現されるタンパク質Bについてである。それは、例えば細胞外ドメインを有するようにGタンパク質又はβアレスチンを遺伝子操作することによって、又は例えば、リガンド又は薬物候補で細胞1の活性化した後、細胞1によって又は細胞1と共に、作用を受ける細胞外ドメインを有するようにレポーター活性化タンパク質を遺伝子操作することによって、達成され得る。代わりに、2つの細胞上の内在性分子が、自然に結合してもよい。別の実施態様において、プロテアーゼ及びレポーター活性化分子は、細胞外ドメインとして、細胞又はユニットの表面上に発現するように構成される。
【0030】
なお別の実施態様において、結合、集合などをして複合体構造を形成するタンパク質は、タンパク質A及びBを含む。本アッセイは、結合、集合を促進又は妨げる分子を同定するために使用され得る。例は、ウイルスカプシドの形成、ウイルス様粒子集合又はリボソーム形成となる。
【0031】
Gタンパク質共役型受容体(7TMRとしても公知のGPCR;これらの用語は、本明細書において交換可能に使用される)の共通の機構において、GPCRのアゴニスト活性化は、開始、終了、相乗作用付与、妨害などのシグナル伝達経路に関与する細胞内分子、例えばGタンパク質又はβアレスチンのリクルートメントを生じさせる。従って、Gタンパク質共役型受容体キナーゼは、活性化された受容体に対して作用し、受容体のリン酸化を生じさせ得る。リン酸化された受容体は、該受容体へのβアレスチン結合を促進する。この機構は、いくつかのGPCRについて十分に保存されている。他の状況において、活性化された受容体は、代わりに、βアレスチンと相互作用する。
【0032】
タンパク質−タンパク質相互作用、例えばGPCR活性化を調節する分子を評価するために、タンパク質−タンパク質相互作用をアッセイするためのシステムを設計し、GPCR−順列変異レポーター分子システムにおいてテストした。例えば、レポーター分子システムは、ルシフェラーゼ/ルシフェリンアッセイシステムであり得る。一般的に、レポーター分子は、宿主細胞又はシグナル伝達機構に対して外来性の外因性分子である。それは、宿主細胞による及び宿主細胞における、レポーター分子の自然活性化、及び従ってシグナル発生、及びそれ故偽陽性を最小化する。レポーター活性化分子は、ドメイン構造を有するものであり得、又は並び替えて(permute)、操作するとレポーター活性の潜伏性を持つ不活性レポーター活性化タンパク質を得るものであり得る。従って、本出願は、潜在性のレポーター活性化分子の使用を意図している。順列変異レポーター活性化分子は、自然なレポーター活性化分子活性、従って偽陽性を最小化する。例えば、酵素フラグメント相補性アッセイにおいて、酵素フラグメントの親和性は、スクリーニングされている標的分子、リガンド又は分子との反応速度論を無効にし得、その結果、機能的分子への酵素フラグメントの自然な再結合が生じ、それによって、より高いバックグラウンド及び/又は偽陽性の原因となる。関心ある順列変異レポーター活性化タンパク質は、作用を受けると順列変異レポーター活性化分子が機能的分子の形成を可能にする部位を保有するように遺伝子操作され得る。その部位は、プロテアーゼ部位であり得る。プロテアーゼ部位は、好ましくは関心ある方法の1つ又は複数の構成要素が存在する宿主細胞又はユニット中にめったに存在しないか又は存在しない特有の部位であるものである。それは、インタクトなレポーター活性化分子の自然な再結合を回避し、従って偽陽性を最小化するための別の手段を与える。結合したリガンドが不活性レポーター活性化タンパク質の近くにプロテアーゼを最終的に誘導し、それが切断される場合にのみ、特異的シグナルが得られ、そのポイントでのみ、活性化し、実体を発生させる活性シグナルが達成され得る。本発明の実施において使用され得る当技術分野において公知の多数のプロテアーゼが存在する。例えば、ウイルス源由来のプロテアーゼが有用であり得、何故ならば、それらは、一般的に、インタクトな宿主細胞に対して外来性であるためである。1つの適用は、順列変異レポーター活性化タンパク質遺伝子を含み、ここでホタルルシフェラーゼについてのコード配列が、GPCR配列のC終末端上にタグ付けされるか又はこれでタグ付けされ、βアレスチン2(Ar2又はArr2)が、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ遺伝子へ連結される。別の実施態様において、順列変異ルシフェラーゼが、βアレスチン(Ar又はArr)へタグ付けされ、TEV遺伝子が、βアレスチンに作用するか又はこれと関連するシグナル伝達経路の下流タンパク質に、又はGタンパク質とは独立して作用すると思われる7TMRなどの受容体に、連結される。上記のものの両方を発現するように遺伝子操作されたプラスミドを細胞中で発現する場合、GPCR−アレスチン2相互作用を調節する化合物は、順列変異ルシフェラーゼ中のプロテアーゼ認識部位にArr2−プロテアーゼ融合タンパク質をリクルートし、TEVプロテアーゼが順列変異ルシフェラーゼを切断する。テスト化合物の効果は、レポーター活性化タンパク質の再構成によってもたらされる酵素活性の変化によって測定され得、この場合、ルシフェラーゼが活性となり、ルシフェリンなどの適切な基質に作用することによって、検出可能なシグナルを発生させ得る。
【0033】
本発明は、ルシフェラーゼに又は酵素にさえ限定されない。切断による活性化は、公知の現象である;例えば、プロ酵素。非酵素的レポーターシステムも適用可能である。例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)が使用され得る。順列変異 GFP、例えば、再配列された部分を有するGFPは、レポーター活性化タンパク質及びレポーターとして機能し得る。プロテアーゼ、例えばTEV、又は順列変異ポリペプチドに含まれるその認識部分を有する他のプロテアーゼによる作用は、順列変異レポーター活性化タンパク質/レポーターを切断し、それによってシグナルを生じさせる再配列を可能になる。GFPは、それ自体が検出可能なレポーターシグナリング分子であるという利点を有する。代わりに、切断部位は、シグナルを有意には乱さないレポーター分子中へ導入され得る。タンパク質−タンパク質相互作用から生じる切断は、次いで減少したレポーターシグナルを生じさせる。多数の切断部位が、レポーター構築物中に導入され得る。
【0034】
タンパク質三次構造が、どこに切断部位が最善に配置されるかのガイダンスを当業者に提供するために使用され得る。例えば、ポリペプチドの2つの部分が強い接触を有する場合、該配列を乱すことによってこれらの部分を分離することは、活性を低下させるか又は排除すると予期されるはずである。切断すると、これらの部分は、相互作用し、従って活性を回復すると予期されるはずである。
【0035】
関心ある第1のタンパク質は、膜結合タンパク質、例えば膜貫通受容体、例えばGPCRであり得る。膜貫通受容体の例としては、β−アドレナリン作動性受容体(ADRB2)、アルギニンバソプレシン受容体2(AVPR2又はV2)、セロトニン受容体1a(HTR1 A)、m2ムスカリン性アセチルコリン受容体(CHRM2)、ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体5(CCR5)、ドーパミンD2受容体(DRD2)、κオピオイド受容体(OPRK)、又はα1a−アドレナリン作動性(adregenic)受容体(ADRA1A)などが挙げられる。膜結合受容体は、当技術分野においてよく知られている。全ての場合において、本発明が、本発明の実施例として記載された特定の実施態様に限定されないことは当然のことと理解すべきである。例えば分子、例えばチロシンキナーゼである、インスリン成長因子−1受容体(IGF−1R)、及び通常は膜結合型ではないタンパク質、例えばエストロゲン受容体1(ESR1)及びエストロゲン受容体2(ESR2)が、本発明において使用され得る。タンパク質Bと結合したプロテアーゼ又はプロテアーゼの部分は、タバコエッチウイルス核内封入体A(TEV)プロテアーゼであり得る。TEVは、7残基認識部位を有し、従って、より小さく、及び統計的により多くの一般的な認識部位を有するプロテアーゼよりもより特異的である。他のプロテアーゼも、本発明での使用に好適である。例えば、各々が5残基認識配列を有するエンテロキナーゼ及び第Xa因子プロテアーゼ、各々が6残基認識配列を有するトロンビン及びPureActTM又はClean CutTM、及び7残基認識配列を有するPreScissionTMもまた、本発明における使用のためのプロテアーゼである。本発明は、いかなる特定のプロテアーゼの使用にも限定されない。しかし、プロテアーゼは、レポーターから発生した又は変化したシグナルを生じさせる部位で切断しなければならない。
【0036】
レポーターを活性化するタンパク質は、基質に作用して検出可能なシグナルを生じさせ得る任意の酵素であり得る。例えば、酵素は、直接的に又は間接的に、蛍光又は化学発光を増加又は減少させ得、又は色変化を引き起こし得る。レポーター基質は、生物学的物質(biologic)、例えばタンパク質であり得、又は、反応がレポーター酵素によって触媒される化学物質であり得る。関心ある第2のタンパク質は、阻害性タンパク質、例えばアレスチンであり得る。アレスチンは、通例、GPCRと相互作用し、リガンド/受容体相互作用に応答して活性を調節する。細胞は、真核生物又は原核生物であり得る。レポーターは、外因性成分、例えばβガラクトシダーゼ又はルシフェラーゼであり得る。簡単化のために、「レポーター酵素」は、レポーター活性化分子、レポーターアクチベーター、レポーター調節分子、レポーター調節タンパク質、又はレポーター活性化タンパク質の等価物として、レポーター出力の変化をもたらす分子についての省略表現として、使用される。例えば、レポーター酵素は、レポーターシグナルの変化を酵素的に引き起こし得、又は例えばシグナル、例えば蛍光シグナルの変化を酵素的に若しくは非酵素的に引き起こし得る。当業者は、レポーターシグナルを調節又は活性化する種々のレポーターシステム及びタンパク質を当然に理解する。
【0037】
第1のタンパク質をーコードするヌクレオチド配列は、第2のタンパク質との相互作用を増加させるように修飾され得る。このような修飾としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:第1のタンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、オリジナルの配列よりも第2のタンパク質についてより高い親和性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列で置き換えること。例えば、C末端領域は、AVPR2、AGTRLI、F2RL1、CXCR2/IL−8b又はCCR4のC末端領域をコードするヌクレオチド配列によって置き換えられ得る。このような修飾は、当技術分野において公知であり、本発明の任意の特徴である。
【0038】
本発明の方法は、複数のテスト化合物と、細胞又はユニットの複数のサンプルとを接触させることを含み得る。各サンプルを、1つ又はそれ以上のテスト化合物と接触してもよい。別の実施態様において、細胞又はユニットが、異なるレポーター活性化分子を保有する細胞外ドメインを有する2つの異なる分子を保有し、これらの両方がβアレスチンと相互作用する。スクリーニングは、レポーターの活性を測定し、例えばサンプル中の酵素活性をモニタリングし、化合物又は化合物の混合物が特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するかどうかを測定することによって達成される。該方法は、各テストサンプルと単一のテスト化合物とを接触させることを含み得、各テストサンプルとテスト化合物の混合物とを接触させることを含み得、又はこれらの特徴を合わせ得る。タンパク質Aへの化合物の結合を阻害する化合物が、本発明を使用してテスト又はスクリーニングされ得る。例えば、タンパク質Aの公知のリガンドが、アッセイに含まれ得、該タンパク質への該リガンドの結合を調節する化合物が、競合タイプアッセイにおけるように、同定及び/又はキャラクタライズされ得る。コントロールサンプルを、各アッセイに存在させ得るか、又はパラレルアッセイにおいて実行させ得る。
【0039】
いくつかの実施態様において、本発明は、テスト化合物が関心ある複数のタンパク質相互作用の1つ又はそれ以上を調節するかどうかを測定するための方法を提供する。これらの実施態様は、一般的に、以下を特徴とする:テスト化合物と、以下で形質転換されたか又はトランスフェクトされている細胞の複数のサンプルとを接触させること:(a)(i)第1のタンパク質をコードするポリヌクレオチド及びプロテアーゼについての切断部位をコードするポリヌクレオチド配列、及び(ii)細胞中レポーターを活性化するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、第1核酸分子;及び(b)(i)関心あるテスト化合物の存在下で第1のタンパク質とのその相互作用が測定される第2のタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及び(ii)切断部位でポリペプチドを切断することについて特異的なプロテアーゼ又はポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、第2の核酸分子。第1のタンパク質は、複数のサンプル中の他の第1のタンパク質とは相異してもよい。次いで、前記方法は、関心ある1つ又はそれ以上のタンパク質相互作用の調節の測定として、複数のサンプルのうちの1つ又はそれ以上におけるレポーターの活性を測定することを含む。
【0040】
第2のタンパク質は、各サンプル中において異なっていてもよく、又は各サンプル中において同一であってもよい。全てのサンプルは、通例のレセプタクル中混合でき、各サンプルは、第1の及び第2のタンパク質の異なる対を含み得る。代わりに、各サンプルは、異なるレセプタクル中でテストしてもよい。所定のサンプル中のレポーターは、他のサンプル中のレポーターと相異してもよい。テスト化合物の混合物は、脳脊髄液、尿、血液、血清、膿、腹水、滑液、組織抽出物、植物若しくはハーブ抽出物、又は滲出物などの生物学的サンプルを含み得るか又はこの中に存在してもよい。
【0041】
他の実施態様において、本発明は、以下で形質転換されたか又はトランスフェクトされた、組換え細胞を提供する:(a)(i)第1のタンパク質をコードするポリヌクレオチド、(ii)プロテアーゼ、プロテアーゼの部分、又はプロテアーゼ活性を有するポリペプチドについての切断部位をコードするポリヌクレオチド、及び(iii)細胞中においてレポーターを活性化するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、核酸分子;及び(b)(i)テスト化合物の存在下で第1のタンパク質とのその相互作用が測定される第2のタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及び(ii)上記切断部位について特異的である、プロテアーゼ、プロテアーゼの部分、又はプロテアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、核酸分子。
【0042】
核酸分子の一方又は両方は、宿主テスト細胞のゲノム中へ安定に組み込まれ得る。細胞はまた、レポーターで形質転換又はトランスフェクトされていてもよい。第1のタンパク質は、膜結合タンパク質、例えば膜貫通受容体、例えばGPCRであり得る。例示的な膜貫通受容体としては、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、OPRK、又はADRA1Aが挙げられる。
【0043】
プロテアーゼ又はプロテアーゼの部分は、上で注記したように、タバコエッチウイルス核内封入体Aプロテアーゼであり得るがこれに限定されず、しかし、レポーター活性化タンパク質を活性化する任意のタンパク質であり得、基質に作用して使用可能な又は検出可能なシグナル生じさせる任意の酵素であり得る。第2のタンパク質は、阻害性タンパク質であり得る。細胞は、一般的に薬剤をスクリーニングするための、真核生物又は原核生物であり得、真核細胞が好ましい。薬剤の最終的な標的と同様の様式でグリコシル化する細胞が、特に好ましい。細胞を、所望のグリコシル化特徴を与えるように遺伝子操作するか又は培養してもよい。最後に提案した標的のグリコシル化特性に合わない原核細胞の使用が、スクリーニング及びキャラクタライゼーションにとって有用であり得る。
【0044】
レポーターは、外因性、例えばβガラクトシダーゼ、GFP又はルシフェラーゼであり得る。第1のタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、例えば該第1のタンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、オリジナルの配列よりも第2のタンパク質にとってより高い親和性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列で置き換えることによって、第2のタンパク質との相互作用を増加させるように修飾され得る。C末端領域は、例えば、AVPR2、AGTRLI、F2RL1、CXCR2/IL−8B、CCR4、又はGRPRのC末端領域をコードするヌクレオチド配列によって置き換えられ得る。
【0045】
本発明は、実施態様として、以下を含む単離された核酸分子の提供を含む:(i)タンパク質をコードするポリヌクレオチド、(ii)プロテアーゼ、プロテアーゼの部分、又はプロテアーゼ活性を有するポリペプチドについての切断部位をコードするポリヌクレオチド、及び(iii)細胞又は他のアッセイシステム中においてレポーターを活性化するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。前記タンパク質は、膜結合タンパク質、例えば膜貫通受容体、例えばGPCRであり得る。例示的な膜貫通受容体としては、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、OPRK、又はADRA1Aが挙げられる。プロテアーゼ、又はプロテアーゼの部分は、タバコエッチウイルス核内封入体Aプロテアーゼであり得る。上で注記したように、レポーターを活性化するタンパク質は、基質と相互作用してシグナルを生じさせる任意のタンパク質であり得、本明細書において議論されるTEVの例に限定される必要はない。本発明のこの又は別の例は、特定の実施態様への本発明の限定としてみなされるべきではない。
【0046】
いくつかの実施態様において、本発明は、以下を含む単離された核酸分子を含む発現ベクターを特徴とする:(i)タンパク質をコードするポリヌクレオチド、(ii)プロテアーゼ、プロテアーゼの部分、又はプロテアーゼ活性をコードするポリペプチドについての切断部位をコードするポリヌクレオチド、及び(iii)細胞中においてレポーターを活性化するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;これは、さらにプロモーターに機能可能に連結されている。
【0047】
いくつかの実施態様において、本発明は、以下を含む単離された核酸分子を特徴とする:(i)テスト化合物の存在下での別のタンパク質とのその相互作用が測定されるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及び(ii)切断部位について特異的である、プロテアーゼ、プロテアーゼの部分、又はプロテアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。前記タンパク質又は他のタンパク質は、阻害性タンパク質、例えばアレスチンであり得る。
【0048】
本発明はまた、いくつかの実施態様において、以下を含む単離された核酸分子を含む発現ベクターを特徴とする:(i)テスト化合物の存在下での別のタンパク質とのその相互作用が測定されるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及び(ii)切断部位について特異的であるプロテアーゼ又はプロテアーゼの部分をコードするポリヌクレオチド;該核酸は、さらにプロモーターに機能可能に連結されている。
【0049】
さらなる実施態様は、以下の発現によって産生される融合タンパク質を特徴とする:以下を含む単離された核酸分子:(i)タンパク質をコードするポリヌクレオチド、(ii)プロテアーゼ、プロテアーゼの部分、プロテアーゼ活性を有するポリペプチドについての切断部位をコードするポリヌクレオチド、及び(iii)細胞中でレポーターを活性化するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;これは、さらにプロモーターへ機能可能に連結されている;又は、以下を含む単離された核酸分子:(i)テスト化合物の存在下での別のタンパク質とのその相互作用が測定されるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及び(ii)切断部位について特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼの部分をコードするポリヌクレオチド。
【0050】
なお他の実施態様において、本発明は、テスト化合物が関心ある特定のタンパク質/タンパク質相互作用を調節するかどうかを測定することについて有用なテストキットを特徴とする。テストキットは、以下の1つ又はそれ以上を含む:以下の各々の分離した部分:(a)以下を含む核酸分子:第1のタンパク質をコードするポリヌクレオチド、(i)プロテアーゼ、プロテアーゼの部分、又はプロテアーゼ活性を有するポリペプチドについての切断部位をコードするポリヌクレオチド、(ii)細胞中でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;及び(b)以下を含む核酸分子:(i)テスト化合物の存在下での上記第1のタンパク質とのその相互作用が測定される第2のタンパク質をコードするポリヌクレオチド、(ii)切断部位について特異的であるプロテアーゼ又はプロテアーゼの部分をコードするポリヌクレオチド;これは、互いから分離して(a)及び(b)の各々を保持するための手段を場合により含有する。キットは、使用説明書を含み得る。代わりに、キットは、関心ある融合タンパク質の一方又は両方を発現するように遺伝子操作された細胞を含有し得る。
【0051】
第1のタンパク質は、膜結合タンパク質、例えば膜貫通受容体であり得る。膜貫通受容体の特定のタイプは、GPCRである。特定の膜貫通タンパク質は、GPCRである。例示的な膜貫通受容体としては、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、OPRK、又はADRA1Aが挙げられる。プロテアーゼ、プロテアーゼの部分、又はプロテアーゼ活性を有するポリペプチドは、タバコエッチウイルス核内封入体Aプロテアーゼであり得る。前記レポーターを活性化するタンパク質は、切断による活性化に応答性の検出可能なレポーター活性化分子に作用する、任意のもの、例えばプロテアーゼであり得る。レポーターは、切断産物によって検出可能なシグナルを生じる任意の分子であり得る。第2のタンパク質は、阻害性タンパク質、例えばアレスチンであり得る。キットは、レポーター活性化遺伝子をコードする単離された核酸分子の分離した部分をさらに含み得る。レポーターアクチベーターは、例えばβガラクトシダーゼ又はルシフェラーゼであり得る。前記第1のタンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全部又は一部を、オリジナルの配列よりも第2のタンパク質にとってより高い親和性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列で置き換えることなどによって、前記第1のタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、第2のタンパク質との相互作用を増加させるように修飾され得る。前記C末端領域のヌクレオチド配列は、例えばAVPR2、AGTRLI、F2RL1、CXCR2/IL−8B、及びCCR4のC末端領域をコードするヌクレオチド配列によって置き換えられ得る。
【0052】
本明細書において開示されるいずれの方法又は組成物は、本明細書に開示されるいずれの他の方法又は組成物に対しても実行し得ることが意図されている。単語「ア(a)」又は「アン(an)」の使用は、特許請求の範囲及び/又は明細書において用語「含む」と併用して使用される場合、「1つ」を意味し得るが、それはまた、「1つ又はそれ以上」、「少なくとも1つ」及び「1つ又は1つ以上」の意味と一致している。対応の構成要素が僅かに異なる表現によって記載されている場合、これらは、種々の実施態様の峻別を意味するものではあり得ず、しかし一緒にすれば、種々の表現は、対応の要素を広く開示している。
【0053】
本発明のこれらの及び他の実施態様は、下記の説明及び添付の図面と併用して考慮されると、よりよく認識及び理解されるであろう。しかし、当然ながら、下記の説明は、本発明の種々の実施態様及びそれらの多数の特定の詳細を示しているが、限定のためでなく例証のために与えられていると理解すべきである。多くの置換、修飾、付加及び/又は再配列を、本発明の趣旨を逸脱することなく本発明の範囲内で為すことができ、本発明は、このような置換、修飾、付加及び/又は再配列の全てを含む。
【0054】
添付の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の一定の側面をさらに実証するために含まれている。本発明は、本明細書に提示される格別な実施態様の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1つ又はそれ以上を参照することによって、よりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】適用の1実施態様の概略図を示し、ここで、モジュレータ4が、プロテアーゼ結合タンパク質1に結合し、該タンパク質に、レポーターモジュレータ3、例えば順列変異不活性調節タンパク質、と結合した第2のタンパク質2と相互作用させる。モジュレータ4は、タンパク質−タンパク質相互作用を調節する化合物を表わす。この実施例において、例えばAr又はアレスチン2が、不活性順列変異レポーター調節又は活性化タンパク質3へ融合されている。プロテアーゼ7は、タンパク質1と結合している。切断部位8は、レポーター調節タンパク質3の2つのセグメントの間に示されている。タンパク質1、例えば7TMR、に結合した、モジュレータ4との相互作用に続いて、プロテアーゼ切断が生じると、レポーター活性化タンパク質活性が再構成され、電球6によって表わされる、検出可能なシグナルが、最終的に生じる。
【図2】本発明の1つのタンパク質−タンパク質相互作用アッセイの図式表示である。細胞内プロテアーゼ22が結合した膜結合タンパク質21は、モジュレータ4と相互作用する。不活性化レポーター結合タンパク質23は、不活性レポーター3又はレポーターアクチベーター3を保有する。相互作用すると、タンパク質21と結合したプロテアーゼ22は、順列変異レポーター活性化タンパク質23の切断部位を切断し、それによって、レポーター活性化タンパク質3のタンパク質部分の再配列5を可能にする。それによって、レポーターアクチベーターは、レポーター又はレポーターアクチベーター3の再構成をもたらし、レポーターを誘発又は活性化する。
【図3】2つの膜貫通タンパク質が相互作用する実施態様の概略図を示す。分子4は、2つの膜タンパク質、例えば少なくとも1つの受容体タンパク質、の間の相互作用を引き起こす(調節する)。この図において、プロテアーゼ22、例えば(TEV(図1においては7)は、タンパク質1に結合されており、第2の膜タンパク質33へ結合した順列変異レポーターアクチベーター融合タンパク質3と近接させられる。タンパク1、33の近接によって可能にされる切断部位8でのタンパク質分解によって、レポーター活性化タンパク質3の活性化5が生じる。 図3はまた、受容体ホモ二量体又はヘテロ二量体形成を調節する分子の同定に関する技術の概略的な適用も示していることを読み取り得る。この図中のタンパク質1及び33は、膜結合タンパク質である。タンパク質1及び33は、プロテアーゼ22又はプロテアーゼ22によって活性化されるレポーター3のいずれかを各々が含むように遺伝子操作されている。相互作用を調節する分子4は、例えばタンパク質1及び/又は33に結合する。1及び33が相互作用する場合、プロテアーゼ22は、レポーターアクチベーター3に作用し、それによって、変化したシグナルがもたらされる。ヘテロ二量体化は、従来のホモ二量体化を含むように拡大され得る。例えば、1及び33は、同一の受容体の2つのコピーであり得るが、プロテアーゼ又はレポーターとの結合の点で相違する。他の箇所で記載したように、用語、レポーター及びレポーターアクチベーターは、本発明の異なる実施態様を記載するために、しばしば交換可能に使用され得る。
【図4】細胞内タンパク質のタンパク質−タンパク質相互作用を伴なう実施例を示す。タンパク質41は、アクチベーター22、例えばTEVに融合した、例えば核ホルモン受容体である。順列変異レポーター活性化分子43は、細胞核40中に局在化されている。レポーターは、核局在ペプチド配列として機能する塩基性ポリペプチドを使用して、核中に局在化され得る。リガンド、例えばホルモン(図示せず)に結合すると、NHR融合体41が核へトランスロケートし、ここで、それはレポーターシステムと相互作用する。
【図5】細胞にTEVプロテアーゼによって順列変異ルシフェラーゼ融合タンパク質から再生されるルシフェラーゼ活性が、プロテアーゼ切断部位を修飾することによって制御され得ることを示すグラフである。それによって、シグナル対ノイズ比が制御可能である。2つの構築物が示されており、ADRB2は、β2アドレナリン作動性受容体であり、Luc 234−550及び2−233は、可変C末端アミノ酸を有するTEV切断部位である、Xによって連結されたルシフェラーゼの2つのフラグメントである。Xは、例えば、セリン、S、アルギニン、R、又はバリン、Vであり得る。哺乳類細胞中両方の構築物が細胞中に存在した場合、順列変異ルシフェラーゼ融合タンパク質から再構成されたルシフェラーゼ活性が、観察された。TEVによる切断に対する感受性は、切断部位の特定の残基に依存し得る。RLUは、ここ及び他の箇所において、相対発光単位(relative luminescence unit)(又は相対発光量(relative light unit))を示す。該実験において、リガンドを使用しなかった。
【図6】種々のTEVプロテアーゼ切断部位を有する順列変異ルシフェラーゼに結合したADBR2受容体を使用する、GPCR−順列変異ルシフェラーゼ細胞ベースアッセイにおける、アゴニスト誘導ルシフェラーゼ活性を示すグラフである;TEV切断部位のX位置でR(左のグラフ)及びX位置でV(右のグラフ)。TEVプロテアーゼをアレスチンに融合した。各グラフのx軸は、0値(アゴニスト無し)及び10μMアゴニストを示す。
【図7】同時一過性で(cotransiently)トランスフェクトされた、及び部分的一過性で(partial transiently)トランスフェクトされたシステム中の、GPCR−順列変異ルシフェラーゼ細胞ベースアッセイにおける、ルシフェラーゼ活性の用量依存的反応を示すグラフである。左のグラフにおいて、プロテアーゼ切断部位でバリンを有する構築物をCHO細胞中で使用した。ADRB2−luc及びArr−TEV構築物の両方を、一過性で同時トランスフェクトした(transiently cotransfected)。右のグラフにおいて、細胞に、ADRB2に融合したR含有ルシフェラーゼ構築物を安定にトランスフェクトし、次いでこれにArr−TEV構築物を一過性でトランスフェクトした。
【図8】代替のGPCR−順列変異ルシフェラーゼアッセイを示すグラフである。発現構築物は、レポーターアクチベーターに結合したADRB2、及びプロテアーゼに結合したアレスチン2を保有した。構築物を、HEK 293細胞中に一過性でトランスフェクトした。1時間(▲)及び5時間(■)反応インキュベーションの反応速度をグラフに示す。
【図9】受容体ADRB2−TEVで一過性でトランスフェクトした、X部位でVを保有するアレスチン/順列変異酵素構築物を安定的に発現するHEK細胞株(左のグラフ)、及び受容体−TEV構築物で一過性でトランスフェクトした、Arr−luc234S233を安定的に発現するCHO細胞株の作製を示すグラフである。
【図10】アレスチン/順列変異酵素構築物を安定的に発現し、ADRB2−TEVが一過性でトランスフェクトされた、HEK細胞中の、アゴニスト(イソプロテレノール)(■)、部分アゴニスト(▲)、アンタゴニスト+イソプロテレノール(▼)、アンタゴニスト(◆)及び非特異的内在性受容体(●)反応についてのPer−Lucアッセイの評価を示すグラフである。
【図11】V2(バソプレシン受容体2)アゴニスト及びインバースアゴニストを用いての、GPCR Per−Lucアッセイの評価を示すグラフである。アレスチン/順列変異ルシフェラーゼ構築物で安定的にトランスフェクトしたHEK細胞に、V2−TEV構築物を一過性でトランスフェクトし、アゴニスト、8AVP、アルギニンバソプレシンで誘導した(左のグラフ)。それらの細胞をインバースアゴニストでテストすると、用量依存性が観察され、シグナルは、Gタンパク質ではなくアレスチンによって仲介された(右のグラフ)。
【図12】ADRB2についてのいくつかのβアレスチンベースのアッセイを示すグラフである。右側のグラフにおいて、製造業者の説明書通りに、DiscoveRX HEK細胞にADRB2を一過性でトランスフェクトし、左側においては、アンタゴニスト(プロプラノロール)(■)、アゴニスト(イソプロテレノール)(▲)、及びそれらの組み合わせ(●)で、右側においては、アゴニスト(■)、インバースアゴニスト(▲)、右)、及びそれらの組み合わせ(●)で、テストした。右側に示されるアッセイを、アンタゴニスト、イソプロテレノールアゴニスト及びそれらの組み合わせに対する反応についての本発明のアッセイ(左のグラフ)と比較した。左側の本発明のアッセイは、より大きな識別及びより高い特異的活性を与えた。
【図13】V2についてのβアレスチンベースアッセイを示すグラフである。グラフにおいて、V2インバースアゴニスト(SR121463)は、Gタンパク質とは独立した、アレスチン依存性シグナルを誘導した。
【図14】順列変異ルシフェラーゼを生産するために本明細書において教示されたように連結したルシフェラーゼの、本質的に全長の、しかし完全ではないコピーのオーバーラップを含有する発現構築物を示すグラフである。CMVは、サイトメガロウイルスプロモーターである。Luc2−456及びLuc234−550は、本質的に全長ルシフェラーゼフラグメントである。この実施例において、GSは、グリシン及びセリンから構成されるペプチドリンカーである。TEV切断部位はC末端にバリンを有する。
【図15】細胞内のタンパク質−タンパク質相互作用をモニタリングするためのアッセイの実施例を示す図である。ラパマイシンは、ラパマイシン(mTOR)キナーゼの哺乳類標的のFKBP−ラパマイシン結合(FRB)ドメイン及びラパマイシン−結合タンパク質(FKBP12、又はFKBP)に同時に結合する免疫抑制薬である。mTORは、ラパマイシン154の哺乳類標的であるラパマイシン結合ドメイン151を含むマウスセリン/スレオニンタンパク質キナーゼである。FKBP 152は、ラパマイシン結合部位を有する、12kDa FK506−結合タンパク質である。TEVプロテアーゼは、mTORのラパマイシン結合ドメインである、FRB 151に融合されている。順列変異レポーター活性化タンパク質は、FKBP12のラパマイシン結合ドメインである、FKBP 152に融合されている。ラパマイシン154は、FRB 151及びFKBP 152と反応し、これらとの結合を仲介し、これらを接近させ、順列変異レポーター活性化を生じさせる。
【図16】タンパク質A 21及びB 23が、リガンドと結合すると、自然に二量体化するか(左から右へ)又は解離する(右から左へ)2つの膜結合受容体である、アッセイ構成を示す図である。アッセイは、前記2つの受容体の自然相互作用又は誘導相互作用をモニタリングし得、ここで受容体のいずれか又は両方が、同一又は異なり得るリガンドに結合する。代わりに、タンパク質A 21及びB 23は、自然に、又はリガンド若しくはモジュレータに結合する必要なしに、二量体化し得る(図示せず)。この実施態様において、融合タンパク質の、プロテアーゼ及び順列変異レポーターアクチベーター部分が、細胞表面に又は人工パッケージ若しくはユニットの外面に発現される。シグナルの減衰、減少又は消失によって証明されるような、自然に、又は1つ若しくはそれ以上の分子によって仲介されるかにかかわらない、相互作用した受容体の崩壊をモニタリングするように、アッセイはまた構成され得る。
【図17】結合、隣接(abut)、相互作用などし得る、タンパク質A 171及び172が別個の細胞中又は細胞上に存在する、細胞アッセイを示す。また、A 171又はB 172のいずれかが、プロテアーゼ177又は順列変異シグナル活性化タンパク質173を保有し得る。アッセイは、細胞−細胞相互作用又は近接の証拠として、2つの細胞上の2つの標識した受容体の自然相互作用、又は受容体の一方若しくは両方が、同一又は異なり得るリガンドに結合する誘導相互作用を検出し得る。この実施態様において、融合タンパク質の、プロテアーゼ177及び順列変異レポーターアクチベーター部分173が、細胞表面に又は人工パッケージの外面に発現される。活性化された順列変異レポーター175は、タンパク質A 171及びB 173が互いに結合することから生じる。代わりに、関心ある、受容体融合及び細胞内タンパク質融合が、1つの細胞中に存在し得、モニタリングされている誘導事象、リガンドなどが、第2の細胞上又は第2の細胞中に(is the second cell)発現される。細胞が離れる際のシグナルの減衰、減少又は喪失によって証明されるような、自然に、又は1つ又はそれ以上の分子によって仲介されるかにかかわらない、相互作用した受容体及び細胞の崩壊をモニタリングするように、アッセイはまた構成され得る。
【発明を実施するための形態】
【0056】
いくつかの例示的な実施態様の詳細な説明
本発明のアッセイは、相互作用を調節する化合物又は相互作用によって開始される細胞経路の予備知識を必要とすることなく、タンパク質−タンパク質相互作用を検出する。アッセイは、膜タンパク質の相互作用、例えば、ホモ二量体又はヘテロ二量体の形成を検出し得る。アッセイは、膜タンパク質と細胞質タンパク質との相互作用を検出し得る。アッセイは、2つの細胞質タンパク質の相互作用を検出し得る。アッセイは、細胞内空間への又は細胞内の小器官へのタンパク質のトランスロケーションを検出し得る。アッセイは、2つの細胞又はパッケージ又はユニットの相互作用を検出し得る。タンパク質A又はBのいずれかが、リガンド、補因子、又は他の化合物、分子若しくは物質に結合し得、これは、タンパク質−タンパク質相互作用に必須又は不可欠である場合及びそうでない場合がある。
【0057】
用語「配列」は、当業者に公知であるように、遺伝子工学、核酸及びタンパク質分野においていくつかの用法を有し、文、段落、概念、思想、一節などの文脈において異なる意味を有し得る。例えば配列は、ポリペプチド(一次構造)のアミノ酸残基又はポリヌクレオチドのヌクレオチド塩基の特定のリストを表わし得る。別の文脈において、配列は、包括的な意味での複合分子、例えばアミノ酸一次構造の知識を必要とすることなく全分子を指すポリペプチド配列を指し得る。遺伝子配列は、遺伝子と同義であり得、ポリヌクレオチドそれ自体又は全体を指す。配列は、個々のポリペプチド若しくはポリヌクレオチド、又はその部分を指し得る。従って、句「配列が機能可能に連結される」が使用される場合、その句は、個々の遺伝子、ドメイン又は転写単位が、結合又はライゲーションから生じる個々の遺伝子、ドメイン、転写単位などの発現を可能にする機能的な様式で、連結又は結合され得ることを意味する。配列はまた、特定の発現される遺伝子又はタンパク質の部分、例えば複数の機能的部分又はドメインを有するタンパク質のドメインであり得る。当技術分野において公知であるように、関心あるポリヌクレオチドは、DNA若しくはRNA、又はそれらの混合物であり得、本発明の実施におけるそれらの作製及び使用方法は、当技術分野において公知である。
【0058】
例えば、図4は、核ホルモン受容体の調節された活性についてのアッセイを示す。核への核ホルモン受容体の輸送は、レポーター活性化タンパク質の再配列、及び場合により検出可能であり従ってレポーターとして機能し得る分子によってシグナル、例えば活性化タンパク質、例えばルシフェラーゼ、の活性に反応しての蛍光変化又は存在を、引き起こすか又は推進する。得られるシグナルは、任意の検出可能な変化、例えば強度の変化、又は励起/発光パラメータの変化であり得る。化学発光は、別の一般的なレポーターシグナルである。当業者は、プロテアーゼ又は順列変異レポーターのいずれかが、核又は他の標的化ポリペプチドを有するように遺伝子操作され得ることを正しく認識する。このようなターゲッティングポリペプチドは、塩基性アミノ酸を含み得る。シグナルは、標的化領域においての両方の相互作用の際に変調されることになる。
【0059】
GPCRに対して、本発明のアッセイは、特異的で高感度であり、カップリングについての特定Gタンパク質の予備知識を必要としない。アッセイは、内在性GPCRによって影響されず、アゴニスト、アンタゴニスト、及びインバースアゴニスト(いくつかの受容体について)を含む分子を同定するために適用し得る。本発明のアッセイは、Leeらのアッセイに比べて改善されたものであり、転写増幅の必要性を回避する。本発明は、より即時のかつ直接的な読み出しを提供する。
【0060】
本発明は、一つには本発明のシステムが、核への試薬のトランスロケーション、及び次いでシグナルを増幅するための転写を必要としないので、Leeらのそれと比べてより単純かつより頑健なアッセイシステムを提供する。従って、読み出しは、受容体調節事象に最も近くなり得る。本発明は、Leeらのアッセイが必要とする核を必要としない。実際に、本発明の1つの適用は、分泌タンパク質の検出である。細胞質中のレポーター又はプロテアーゼのいずれかが、分泌されたパートナータンパク質からのシグナルを活性化(又は不活性化)し得る。別の実施態様は、除核細胞中における、又は人工細胞、パッケージ若しくはユニット中における使用である。
【0061】
本発明は、タンパク質−タンパク質相互作用を調節する分子を同定するために特に有用である。βアレスチンを使用するアッセイであるDiscoveRXTMアッセイは、2つの相互作用タンパク質成分が、シグナル発生のために常に一緒のままであることを必要とする。最優先のGPCRアッセイ、例えばFLIPR及びcAMPアッセイは、Gタンパク質シグナル伝達に基づく。Ca++又はcAMPレベルに影響を与えるどのような分子も、偽陽性シグナルを発生させやすい。他方で、本発明のアッセイは、感受性及び特異性に影響を与え得る、酵素成分結合又はGタンパク質シグナル伝達とは無関係であると同時に、迅速、頑健かつ安価である。
【0062】
本発明は、タンパク質A(又はタンパク質B)とレポーター活性化タンパク質(レポーター調節タンパク質/分子、又はレポーター活性化タンパク質/分子は、それに等価である)とを融合させることによって、任意のタンパク質−タンパク質相互作用をアッセイ又はスクリーニングするための手段を提供する。このようなものの例は、蛋白分解性切断部位を含有する順列変異酵素である。タンパク質Bは、プロテアーゼと融合される。タンパク質Aとタンパク質Bとの相互作用は、構成的であり得るか又は第3の分子によって誘導され得る。当業者は、タンパク質タンパク質相互作用を増大させる又は乱す分子を同定するために、本発明のアッセイを使用し得る。代わりに、タンパク質Aは、プロテアーゼと融合でき、タンパク質Bは、レポーター活性化タンパク質と融合し得る。
【0063】
本発明のレポーター活性化タンパク質は、潜伏的であり、第2のタンパク質のプロテアーゼとの相互作用で活性化可能であるものである。関心あるアプローチは、プロテアーゼ切断部位を含有するように構築された順列変異分子である、レポーター活性化タンパク質を生産することである。切断されると、レポーター活性化タンパク質の部分は、結合、集合などが可能で、活性なレポーター活性化ポリペプチド又は集合を産生し得る。その活性な、例えば酵素的に活性な、レポーター活性化タンパク質は、次いで、好適な基質、例えばレポーターに作用し、検出可能なシグナルを生じさせ得る。従って、例えば順列変異不活性分子がルシフェラーゼである場合、切断されて生物学的に活性なルシフェラーゼが形成されると、そのルシフェラーゼは、好適な基質、例えばルシフェリンに作用し、検出可能なシグナル、その場合は、ルミネセンスを生じさせ得る。
【0064】
別の実施態様において、レポーター活性化タンパク質は、レポーターである。従って、それは、切断でのレポーター活性化タンパク質による自己活性化と見なされ得る。例はGFPであり、これは、レポーターアクチベーターがルシフェラーゼである場合にルシフェリンを与える試薬などのレポーターシステムとは無関係に、切断されると、再配列し、検出可能なシグナルを発生させる。
【0065】
順列変異レポーター活性化遺伝子は、活性又は不活性形態のいずれかで構築され得る。例えば、この技術の開発において、ルシフェラーゼアミノ酸配列順序を変更したGPCR−不活性順列変異ルシフェラーゼ融合体を構築した。オリジナルのN末端フラグメントをC末端へ移動し、オリジナルのC末端フラグメントをN末端へ移動し、プロテアーゼ認識部位を、該2つの順序変更したフラグメントを融合するために使用した。GPCR−不活性順列変異ルシフェラーゼ融合タンパク質とβアレスチン2−TEVプロテアーゼ融合タンパク質との相互作用によって、不活性順列変異ルシフェラーゼが切断され、再構成したルシフェラーゼ活性の発生が生じた。代替の戦略を使用して、本発明者は、ルシフェラーゼ活性に有意な作用なしにプロテアーゼ認識部位をオリジナルの順番のルシフェラーゼ配列中に導入したGPCR−活性順列変異ルシフェラーゼ融合構築物を構築した。GPCR−活性順列変異ルシフェラーゼ融合タンパク質とβアレスチン2−TEVプロテアーゼ融合タンパク質との相互作用によって、活性順列変異ルシフェラーゼが切断され、2つの不活性ルシフェラーゼフラグメントが生産され、活性が消失し、従ってシグナルが減少又は消失する。
【0066】
レポーター活性化タンパク質は、例えば蛋白分解性切断部位、例えばTEV切断部位を含有する、順列変異タンパク質ベースのレポーター、例えばGaussiaルシフェラーゼ;レニラルシフェラーゼ;βラクタマーゼ;βガラクトシダーゼ;及び蛍光タンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)又はDsRedタンパク質の1つなどより選択され得る。「酵素」は一般的な用語として使用されるが、レポーター活性化タンパク質は、それ自体「酵素」に限定されず、しかし、シグナルの変化をもたらし得る任意のレポーター活性化タンパク質に限定される。例えば、蛍光タンパク質に結合すること又はこれを引き離すことは、分子構造を変化させる化学反応を伴なわない、十分なシグナル変化であり得る。
【0067】
本発明の1つの特徴として、熟練した分子生物学者又は蛋白質化学者は、プロテアーゼ活性、基底ルシフェラーゼ活性、又は再構成ルシフェラーゼ活性を減少又は増加させるために、種々の切断点を使用し、種々のオーバーラップ領域を用いて、順列変異ルシフェラーゼ変異体を構築し得る。Rachel B. Kapust, et al. Biochemical & Biophysical Research Communications, 294 (2002) 949−955。
【0068】
プロテアーゼは、当技術分野において公知であり、多様な源、例えば細菌、酵母、真菌、植物、昆虫、哺乳動物などより選択され得る。生物は、ペプチドを処理するためにプロテアーゼを必要とし、従って、生物学的世界から、本発明の使用に適した多くの多様なプロテアーゼが得られる。所望の酵素について適切な切断部位の選択は、一般的に、文献又は製品カタログ中に見出し得る。このようなプロテアーゼ切断部位は、2つのアミノ酸、3つのアミノ酸、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のアミノ酸などの、様々な長さのオリゴペプチドである。
【0069】
順列変異レポーター活性化タンパク質はまた、代替のプロテアーゼ切断部位で置き換えられ得るか、又は切断後に活性酵素へ変換され得る1つ又はそれ以上の不活性プレプロ酵素に連結され得る。例えば、プレプロ酵素の切断部位は、野生型とは異なる配列を認識する酵素に対して感受性となるように修飾され得る。代わりに、切断部位は、特定の所望の効果、例えば、より高い特異性、切断に対するより高い感受性などのために、修飾され得る。
【0070】
アッセイはまた、切断後に不活性酵素へ変換される、プロテアーゼ切断部位を有する活性酵素を使用して達成され得る。この特徴は、いくらかの簡潔性を与え、何故ならば、異なる特異性を有する多数の蛋白分解酵素が、その場合、再遺伝子操作を用いずに、又は最小の再遺伝子操作のみを用いて、要望通りに、活性酵素に作用し得るためである。
【0071】
哺乳類細胞、例えばHEK293、COS−7、NIH3T3など、及び酵母細胞が、タンパク質−タンパク質相互作用順列変異レポーター活性化タンパク質アッセイを確立するために使用され得る。無細胞システムもまた使用され得る。このような無細胞システムは、溶解物、膜標本、ウイルスストック、ウイルス様粒子、リポソーム、血小板、膜調製物、コキレート、他の人工的な脂質ベースのユニット又はパッケージを含み、これらは、生体膜をシミュレートし、膜貫通タンパク質などの生物学的実体を封入、結合、保有、含有などし得る構造を形成する。生物、例えばトランスジェニック生物は、関心あるアッセイにおいて使用され得るか、又はこれらは関心あるアッセイにおいて使用され得る細胞又は試薬を与える。
【0072】
本発明のアッセイはまた、検出可能なレポーターを提供する。そのレポーターは、関心あるレポーター活性化タンパク質についての基質であるものである。従って、順列変異ルシフェラーゼの場合、好適なレポーターはルシフェリンであり、これはルシフェラーゼによって作用を受けると検出可能なルミネセンスシグナルを生じさせる。レポーターは、細胞内性であり得、細胞溶解を回避するアッセイを提供する。例えば、マルトース結合タンパク質(MBP)のカルボキシル末端に融合したGFPは、MBPシグナル配列が存在する場合は、蛍光性でない。MBPシグナルペプチドが除去されると、蛍光が観察される。Feilmeier et al., J Bacteriol 182(14)4068−4076, 2000。従って、プロテアーゼ切断部位を、ここに教示されるように、MBPシグナルペプチドの下流に導入でき、生存している細胞を使用して行い得るアッセイが得られる。
【0073】
アッセイは、順列変異ルシフェラーゼ又は蛍光タンパク質を使用することによって、タンパク質相互作用複合体の細胞内位置及びトランスロケーションをモニタリングするように適用され得る。図4は、このような実施態様の概略図を示す。
【0074】
本発明は、関心ある物質が、i)第1のタンパク質、例えば膜結合タンパク質、例えば受容体、例えば膜貫通受容体と、ii)第2のタンパク質、例えば細胞内分子、別の膜貫通タンパク質など、例えばアレスチンファミリーのメンバーとの、相互作用を調節するかどうかを測定するための方法に関する。1つの方法は、原核生物又は真核生物のものであり得る細胞に、2つの構築物を、同時形質転換(cotransforming)又は同時トランスフェクト(cotransfect)することを含む。第1の構築物は、以下をコードする第1の核酸:(a)第1のタンパク質、例えば膜貫通受容体、及び(b)プロテアーゼのための切断部位、及び(c)レポーターを活性化するタンパク質をコードする第2の核酸を含む。第2の構築物は、(a)第1のタンパク質とのその相互作用が測定される及び/又は定量される第2のタンパク質をコードする核酸、及び(b)第1の構築物の切断部位に作用するプロテアーゼ、プロテアーゼの部分、又はプロテアーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸を含む。いくつかの実施態様において、これらの構築物の1つ又はそれ以上が、細胞中に安定に組み込まれ得る。
【0075】
本発明の実施態様の特徴を図1に図示する。手短には、関心ある第1のタンパク質を発現する細胞が得られる。関心あるタンパク質は、蛋白分解性部分を含み得、又は蛋白分解性部分は、結合リガンドを結合する際に又は放出する際に複合体と結合し得る。不活性酵素は、リガンド結合における変化に反応して、関心ある第1のタンパク質と結合するペプチド部分に結合される。不活性酵素へのプロテアーゼの近接は、この実施態様において、酵素、例えばルシフェラーゼの活性の再構成を可能にする。再構成された活性は、そのタンパク質−タンパク質相互作用のレポートに影響を与える。
【0076】
図1に示される例は、膜貫通タンパク質、TEV切断酵素、順列変異ルシフェラーゼ、及びルシフェラーについての基質、例えばルシフェリンを示す。タンパク質「A」は、この例においてアレスチンであり得る。関心ある第1のタンパク質は、GPCRであり得る。不活性順列変異ルシフェラーゼを作製するために、ルシフェラーゼのN及びC末端を、再配列でき、TEVプロテアーゼ切断部位と連結し得る。示される順列変異ルシフェラーゼは、βアレスチン2と融合されている。
【0077】
タンパク質Aは、プロテアーゼと融合され得る。タンパク質Bは、不活性順列変異レポーター活性化タンパク質と融合され得る。プロテアーゼ認識及び切断部位(これは、タンパク質Aに融合されたプロテアーゼによって認識される)が、順列変異レポーター活性化タンパク質中へ挿入される。タンパク質A及びタンパク質Bは、例えばタンパク質A及びタンパク質B相互作用を調節する第3の分子によって、近接させられる。近接した融合プロテアーゼによる順列変異不活性レポーター活性化タンパク質のタンパク質分解によって、順列変異レポーター活性化タンパク質の2つのフラグメントの融合が生じ、活性なレポーター活性化タンパク質活性が再生される。レポーター活性化タンパク質の活性は、市販の試薬及びキットを使用し、ルシフェリンなどの適切なレポーターを使用して、適切な試薬及び装置によって評価され得る。
【0078】
タンパク質AとしてのGPCRは、TEVプロテアーゼと融合され得る。代わりに、そのGPCRは、順列変異レポーター活性化タンパク質と融合され得る。
【0079】
図1において、GPCRへ結合する分子は、GPCRとのβアレスチン相互作用を引き起こす。タンパク質Aへ結合されているか又はタンパク質Aに近接しているTEVプロテアーゼによる、順列変異ルシフェラーゼ中の切断部位のタンパク質分解によって、ルシフェラーゼタンパク質フラグメントが生じる。フラグメントは活性ルシフェラーゼを再構成し、これは、細胞中又は溶解物中においてルシフェリンなどのルシフェラーゼ活性の好適なレポーターを使用して、検出されるか又はこの存在が推察される。
【0080】
本方法は、Gタンパク質又はβアレスチンと共に作用し得る、GPCRなどの受容体タンパク質のための特異的なシグナルを産生し得る。
【0081】
図1に示される一般的な方法は、一般的にGPCRへ適用可能であり、何故ならば、βアレスチンリクルートメントが共通の現象であるためである。しかし、相互作用、結合(association)、会合などするか、又は相互作用、結合、結合(association)などすると疑われる、任意の分子対が、本発明の実施において使用され得る。
【0082】
例示される方法は、βアレスチンシグナル伝達経路を使用し、特異的なGタンパク質カップリングの予備知識を必要とせず、何故ならば、本アッセイは、GPCRにも、関連するGタンパク質にも特異的でないためである。従って、このアッセイは、Gタンパク質カップリング経路が未知であるオーファンGPCRにとって望ましい。本方法は、米国特許第7,049,076号(Leeら)のアッセイのような転写増幅なしに、即時のかつ生理学的に関連する読み出しを生じさせる。
【0083】
前記材料及び方法はまた、Gタンパク質と独立した現象をモニタリングすることを可能にする。その場合、βアレスチンは、順列変異レポーター活性化タンパク質で標識され得る。βアレスチンと相互作用することが疑われるか又は公知である分子は、適したプロテアーゼ、例えばβアレスチン偏向を実証するGPCRで標識され得る。
【0084】
本発明は、酵素フラグメント相補性を確実にするために相互作用パートナーが結合したまま又は一緒のままでなければならない酵素フラグメント相補性アッセイ(例えば、DiscoveRX PathHunterTM βアレスチンアッセイ)と比べて利点を有する。一方で、本アッセイにおいて、いったん試薬の近接に起因してタンパク質分解が生じると、活性レポーターアクチベーターが生成され、タンパク質相互作用パートナーが、適切に情報を与えるアッセイを得るために、結合したまま残ることは要求されない。
【0085】
この第1融合タンパク質及び他のペプチド成分をコードする核酸は、宿主細胞中に導入され得る。このような細胞工学は、当技術分野においてよく知られている。種々のペプチドについての核酸が、単一分子として遺伝子操作され得るか、又は連続的に若しくは並行して導入され得る。構築物のいくつかは、当技術分野において公知の材料及び方法を行なって、例えば安定なトランスフェクションを得るために、宿主染色体中へ組み込まれ得る。
【0086】
代替のシステムにおいて、関心ある2つのタンパク質は、リガンド又はテスト化合物の非存在下で相互作用し得る。リガンド又はテスト化合物は、2つのタンパク質に解離させ得るか、コンホメーションを変化させ得るか、又はそうでなければそれらの相互作用を低下させ得るか若しくは阻害し得る。このような場合、細胞中の遊離した機能可能に活性な蛋白分解酵素の濃度は、陽性のテスト化合物の存在下で減少し、タンパク質分解の減少、及びレポーター活性化タンパク質の活性の測定可能な減少に導く。
【0087】
例示的な実施態様において、アレスチンは、アゴニストの存在下で膜貫通受容体へ結合する第2のタンパク質である;しかし、当然ながら受容体はしかし1つのタイプのタンパク質であるので、アッセイが受容体分子の使用に依存せず、アゴニスト結合が関与可能な唯一の相互作用ではない。第2のタンパク質と相互作用する任意のタンパク質で十分であるが、細胞結合受容体を活性状態に投げ入れるモジュレータへの受容体の曝露に対する細胞、器官及び組織の反応を誘発することにおける膜貫通タンパク質の役割のため、関心は膜貫通タンパク質にある。さらに、受容体へのアゴニスト結合は、アッセイできる唯一のタイプの結合ではない。インバースアゴニストも、本発明のアッセイにおいてテストされ得る。アンタゴニストそれ自体を測定することができ、さらに、本発明に従って、種々のアンタゴニスト及び/又はアゴニストの相対強度を測定することもできる。
【0088】
本発明の主題を製造し、使用するための格別な方法及び技術を含む、本発明の他の詳細を、以下に説明する。
【0089】
本明細書に開示した方法と同様に、本発明の特徴である生産物を、簡単に説明できる。例えば、「スリーパーツ構築物」、即ちi)タンパク質と、ii)切断部位と、iii)レポーター活性化タンパク質とをコードする配列を有する構築物において;タンパク質は、例えば細胞内タンパク質又は膜結合タンパク質、例えば膜貫通受容体、例えばGPCRファミリーのメンバーであり得る。切断部位は、その加水分解がタンパク質−タンパク質相互作用のパートナータンパク質のプロテアーゼの作用によって達成され得る、任意の加水分解可能な部位であり得る。切断は、レポートを直接産生し得るか、又は切断はレポーター活性化タンパク質の再配列が別の分子からのレポートをもたらすことを可能にし得る。第3パーツは、代わりに、プロテアーゼ又はプロテアーゼ活性を有するポリペプチドであり得る。
【0090】
これらの配列は、それらがコードするタンパク質のC末端が第2のタンパク質とのより良好かつより強い相互作用を有するように、修飾され得る。修飾は、例えば、GPCRなどのタンパク質のC末端コード配列を、AVPR2、AGTRLI、F2PLI、CCR4、CXCR2/IL−8などについてのC末端コード領域で置き換えることを含み得る。遺伝子配列は、関心ある宿主細胞中における関心あるタンパク質の翻訳を最適化するために再コードされ得る。
【0091】
レポーターを活性化するタンパク質は、細胞質内で又は核などの細胞小器官内で作用するタンパク質であり得るか、又はそれは反応のカスケードを作動させ、別のタンパク質による作用を生じさせる分子であり得る。当業者は、それらが十分に研究された細胞事象であるので、このようなカスケードを熟知している。例えばトランスロケーションシグナル、例えば核トランスロケーション配列が、レポーター酵素に組み込まれ得る。局在配列は、当技術分野において公知である。
【0092】
第2の構築物は、上記に記載したように、第1のタンパク質と相互作用するタンパク質をコードする領域を含み、ある測定可能な現象へ導く。タンパク質は、アクチベーター、コンペティター、インヒビター、相乗的反応を与えるものなど、又はより一般的には第1のタンパク質の「モジュレータ」であり得る。特に第1のタンパク質がGPCRである場合、アレスチンファミリーのメンバーが例示されるが、特に第1のタンパク質がGPCRでない場合、他のタンパク質コード配列が使用され得る。これらのツーパーツ構築物の第2のパーツは、プロテアーゼ、プロテアーゼの部分、又はプロテアーゼ活性を有するポリペプチドをコードし、これは、第1の構築物によってコードされるレポーター活性化タンパク質を切断するように作用し、検出可能なシグナルを直接的に又は間接的に生じさせることができるレポーター活性化タンパク質が生じる。
【0093】
しかし、これらの例示された実施態様によって本発明は限定されず、本明細書において提供される下記のさらなる実施態様において議論されるように、例えばプロテアーゼは、設計上の選択として、タンパク質A又はタンパク質Bに融合され得る。
【0094】
宿主細胞
本明細書において使用される場合、用語「細胞」、「細胞株」、及び「細胞培養物」は、交換可能に使用され得る。宿主細胞はまた、それから溶解物が得られ得る源細胞を指し得る。これらの用語の全てはまた、ありとあらゆる次世代である、それらの後代を含む。当然ながら、意図的な若しくは偶然の突然変異、選択又は分化に起因して、全ての後代が同一でない場合がある。第2の構築物の融合タンパク質の部分であるプロテアーゼによって切断される第1の構築物のレポーター活性化タンパク質によって作用されるとシグナルを生じるスクリーニング可能な又は選択可能なマーカー又はレポーターを発現するように、宿主細胞は遺伝子操作されている場合がある。スクリーニング可能なマーカー又はレポーターは、任意の様式で、宿主細胞又はアッセイシステムに導入され得る。
【0095】
多数の細胞株及び培養物が、宿主細胞としての使用に利用可能である。例えば、生きている培養物及び遺伝物質についての保管所として機能する機関であるAmerican Type Culture Collection(ATCC)から多くを得ることができる。適切な宿主は、ベクターバックボーン及び所望の結果に基づいて、当業者によって決定され得る。例えば、プラスミド又はコスミドが、多くのベクターの複製のために原核生物宿主細胞中に導入され得る。ベクター複製及び/又は発現に利用可能な細胞型としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:細菌、例えば大腸菌(例えば、大腸菌株RR1、大腸菌LE392、大腸菌B、大腸菌X 1776(ATCC番号31537)、大腸菌W3110(F-、λ-、プロトトロフィック、ATCC番号273325)、DH5α、JM109、及びKC8)、バチルス属、例えばバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis);及び他の腸内細菌科、例えばサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、種々のシュードモナス属の種、並びに多数の市販の細菌宿主、例えばSURE(登録商標)Competent Cells及びSOLOPACKTM Gold Cells(STRATAGENE(登録商標)、La Jolla)。特定の実施態様において、大腸菌LE392などの細菌細胞が、ファージウイルスについての宿主細胞として使用され得る。
【0096】
ベクターの複製及び/又は発現用の真核生物宿主細胞の例としては、HeLa、NIH3T3、Jurkat、293 (HEK)、COS、CHO、Saos、及びPC12が挙げられるが、これらに限定されない。他の細胞、例えば、酵母細胞又は昆虫細胞、例えば、Sf9細胞も好適である。意図した目的のために使用したいと考える宿主細胞を用いることは、当業者にとって自由裁量的である。種々の細胞型及び生物由来の多くの宿主細胞が入手可能であり、当業者に公知である。
【0097】
同様に、ウイルスベクター(ファージを含む)が、真核生物又は原核生物宿主細胞、特にベクターの複製又は発現について許容されるものと併用して使用され得る。宿主細胞は、必ずしも不死化細胞株である必要はない。宿主細胞は、幹細胞培養物又は初代細胞培養物、例えば造血幹細胞、血管、上皮、平滑筋、脾臓、T細胞、B細胞、単球などに由来し得る。宿主細胞は、例えば別の生物由来の遺伝物質を含む、トランスジェニックであり得る。Leeらの方法において使用することができない細胞は、本発明のアッセイに適しており、何故ならば、活性転写が必要とされないためである。例えば除核細胞、例えば赤血球又は血小板は、本発明において使用することができる。
【0098】
本発明のアッセイの文脈において、宿主細胞には、人工パッケージ及びユニット、例えばリポソーム及びウイルス様粒子が含まれるものとする。このような構造は、しばしば、細胞又はその部分を模倣又はシミュレートし、これらは、フィルム、膜又は他の構造によって外部から全体的に又は部分的に隔離された内部空間を有する囲いを生じさせる。言及したように、このような人工パッケージ及びユニットとしては、リポソーム、コキレート、ウイルス様粒子、ウイルスなどが挙げられる。
【0099】
タンパク質
本発明は、それらについて物理的な相互作用が公知であるか又は疑われる任意の2つのタンパク質の使用を意図している。いくつかの実施態様において、タンパク質は、以下の融合タンパク質として存在するか又は存在するように遺伝子操作される:潜伏的又は不活性レポーター活性化ポリペプチドへ融合された第1のタンパク質、及びその切断がレポーター活性化ポリペプチドを放出するか又はこれの活性を可能にする、第1の融合タンパク質中の切断部位を認識するプロテアーゼに融合された第2のタンパク質。
【0100】
関心ある第1のタンパク質に関して、第1のタンパク質は、例えば天然の膜結合型タンパク質、又は膜結合型となるように遺伝子操作されたものであり得る。例えば、第1のタンパク質は、膜貫通受容体、例えばGPCR、又は受容体チロシンキナーゼ、受容体セリン/スレオニンキナーゼ、サイトカイン受容体などを含むがこれらに限定されない関心ある任意の他の膜貫通受容体であり得る。さらに、タンパク質の部分が全長の第1のタンパク質と同一の様式で機能することがよく知られているので、第1のタンパク質のこのような活性部分、例えば細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインは、本明細書におけるタンパク質の定義によって包含される。
【0101】
当業者に明らかであるように、本発明は、任意のタンパク質との相互作用をアッセイするために使用され得、その範囲は、GPCRなどの膜結合受容体をアッセイすることに限定されない。例えば以下を含むがこれらに限定されない膜貫通受容体の他のクラスの活性:受容体チロシンキナーゼ(RTK)、例えばIGF1R、例えば上皮成長因子受容体(EGFR)、ErbB2/HER2/Neu又は関連のRTK;受容体セリン/スレオニンキナーゼ、例えばトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)、アクチビン、又は骨形成因子(BMP)受容体;サイトカイン受容体、例えばインターロイキンについてのインターフェロンファミリー、エリトロポイエチン、G−CSF、GM−CSF若しくは腫瘍壊死因子(TNF)についての受容体;レプチン受容体;並びに必ずしも通常の膜結合を必要としない他の受容体、例えばエストロゲン受容体1(ESR1)、及びエストロゲン受容体2(ESR2)。各場合において、方法は、関心ある受容体と、プロテアーゼ切断部位と、レポーター活性化ポリペプチドとを含む、キメラ又は融合タンパク質の発現を指示する、修飾した受容体ポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることを含み得る。細胞は、第2のポリヌクレオチド、例えば第1のタンパク質の切断部位を認識し切断するプロテアーゼに融合した相互作用タンパク質を含むキメラ又は融合タンパク質の発現を指示するベクター、で同時トランスフェクトされ得る。第1の及び第2のポリヌクレオチドは、単一の分子中に含まれ得、従って同時トランスフェクションが回避される。RTK、例えばEGFRの場合、この相互作用タンパク質は、SH2(Srcホモロジードメイン2)含有ポリペプチド、例えばホスホリパーゼC(PLC)、又はSrcホモロジー2ドメイン含有トランスフォーミングタンパク質1(SHC1)からなり得る。受容体セリン/スレオニンキナーゼ、例えばTGFβ、アクチビン及びBMP受容体の場合、この相互作用ポリペプチドは、Smadタンパク質又はその部分であり得る。サイトカイン受容体、例えばインターフェロンα、インターフェロンβ又はインターフェロンγ受容体の場合、この相互作用タンパク質は、シグナル伝達性転写因子(STAT)タンパク質、例えばこれらに限定されないが、Stat1若しくはStat2;又はJanusキナーゼ(JAK)タンパク質、Jak1、Jak2若しくはTyk2;又はそれらの部分などであり得る。トランスフェクト細胞は、レポーター活性化タンパク質によって作用されるレポーターを含有し得る。次いで、アッセイが行われ、ここで、トランスフェクト細胞は、特定の期間の間、テスト化合物で処理され、レポーター活性がテスト期間の最後に測定される。テスト化合物が関心ある受容体を活性化する場合、関心ある受容体と相互作用タンパク質との相互作用が刺激され、プロテアーゼ部分の切断、及びレポーター活性化タンパク質の活性化へ至り、次にレポーター活性の測定可能な変化又は増加が生じる。
【0102】
他の可能性のあるタンパク質対としては、抗体−抗原、酵素−基質、二量体化タンパク質、シグナル変換カスケードの構成要素、複合構造の構成要素、例えばリボソーム又はウイルス、種々の細胞、例えば抗原提示細胞及び応答のための免疫細胞、例えばT細胞、B細胞、NK細胞、樹状細胞、単球、マクロファージなどに対する、細胞間相互作用分子、及び当技術分野に公知の他のタンパク質対が挙げられる。プロテアーゼとプロテアーゼ認識部位を有するタンパク質とは、各々が結合される又は結合(associated)されるタンパク質、例えばA又はB、に関して、交換可能である。
【0103】
レポーター
レポーターは、活性なレポーター活性化分子の活性に応答して外観又は機能を変化させ、検出可能なシグナルを生じさせるか、又はそれらの変化を追跡するために容易にモニタリングされ得る、任意の分子であり得る。これらの用語は、緩く適用されるように意味される。レポーター活性化タンパク質は、いったん活性化されると(又はいくつかの可能性のある実施態様においては、不活性化されると)、レポーターの検出可能な変化を引き起こす。この変化を検出することは、例えばテスト化合物がタンパク質−タンパク質相互作用を調節しているかどうかを測定するために使用される。検出可能なシグナルが生成される限り、他の非酵素レポーター活性化タンパク質が使用され得る。従って、公知のレポーター活性化タンパク質、例えばガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼなどが、使用され得る。公知のレポーター、例えばガラクトシダーゼ基質、ペルオキシダーゼ基質、ルシフェラーゼ基質、GFPなどが使用され得る。
【0104】
プロテアーゼ及び切断部位
プロテアーゼは、特定の部位で他のタンパク質を切断する十分にキャラクタライズされた酵素である。1つのファミリーである、Ser/Thrプロテアーゼファミリーは、セリン及び/又はスレオニン残基で切断する。他のプロテアーゼとしては、システイン又はチオールプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、ジ及びトリペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、並びにペプチジルペプチダーゼが挙げられる。これらの選択は、当業者に委ねられ、本明細書に記載される分子に限定される必要はない。酵素が触媒ドメインを有し、これらのドメインは全長プロテアーゼの代わりに使用され得ることは、よく知られている。このようなものは、本発明に同様に包含される。特定の実施態様は、タバコエッチウイルス核内封入体Aプロテアーゼ(TEV)、
又はその活性部分である。プロテアーゼについての他の特異的な切断部位がまた、当業者によって理解されるように、使用され得る。
【0105】
タンパク質の修飾
第1のタンパク質は、このアッセイのいくつかの実施態様において、相互作用タンパク質へのその結合を増強するように修飾され得る。例えば、一定のGPCRは、リガンド刺激の際により安定に又はより高い親和性でアレスチンに結合し、この増強された相互作用は、不連続ドメイン、例えばC末端テイル中のセリン及びスレオニン残基のクラスターによって仲介されることが公知である(Oakley, et al, J. Biol. Chem., 274:32248−32257, 1999及びOakley, et al., J. Biol. Chem., 276:19452−19460, 2001)。例としてこれを使用すると、受容体などの膜結合タンパク質とそれが結合するタンパク質との親和性を増加させるために、受容体コード配列自体を修飾し得ることが明らかである。このような変更の例は、膜結合タンパク質、例えば7TMR、のC末端領域の修飾であり、これは、その一部を、結合タンパク質にとってより高い親和性を有するが受容体結合機能に影響を与えない別の受容体の対応の領域で置き換えることを含み得る。
【0106】
さらに又は代わりに、第2のタンパク質は、第1のタンパク質とのその相互作用を増強するように修飾され得る。例えば、アッセイは、第2のタンパク質、例えばアレスチン、の点突然変異、トランケーション又は他の変異体を組み入れ得、これらは、リン酸化とは独立した様式で又はより安定にアゴニスト占有GPCRに結合することが公知である(Kovoor, et al., J. Biol. Chem., 274:6831−6834, 1999)。このような変更は、当技術分野において公知の方法を実施して為され得る。
【0107】
アッセイフォーマット
本発明は、いくつかの実施態様において、同一の細胞、ユニット又は反応混合物中において発現される場合の、2つのタンパク質の相互作用を評価する直接的な方法を提供する。第1の構築物は、レポーター酵素をコードするポリヌクレオチドにそれ自体が連結された、プロテアーゼ、プロテアーゼ部分又はプロテアーゼ活性を有するポリペプチドについての切断部位をコードするポリヌクレオチドに連結された(concatenated)、第1のポリペプチドをコードする配列を含み得る。「連結された」は、全てのエレメントを含有する単一のポリペプチドに翻訳され得る、単一のインタクトなオープンリーディングフレームを産生するように、表わされた配列が、融合されている状況を表わす。これらは、さらなるタンパク質又はペプチドをコードしても及びしなくてもよいさらなるヌクレオチドによって分離され得るが、分離される必要はない。組換え細胞中に挿入された第2の構築物は、第2のタンパク質、及びプロテアーゼ、プロテアーゼ部分又はプロテアーゼ活性をコードするポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを両方含有し得る。共に、これらのエレメントは、標的タンパク質相互作用に対する効果が求められる候補薬剤と組み合わされると、基本的なアッセイフォーマットを形成する。
【0108】
しかし、本発明はまた、各々がタンパク質、例えば本明細書に開示したクラスのタンパク質、の活性化によって刺激される、異なるレポーターを使用することによって、同時に、2つ以上の膜結合タンパク質、例えば受容体、をアッセイするために使用され得る。例えば、これは、異なる受容体構築物及び異なるレポーター活性化タンパク質でトランスフェクトされた細胞を混合することによって、又は各テスト受容体についての異なる酵素を融合し、テスト化合物で処理した際の各レポーター遺伝子の活性を測定することによって、達成され得る。例えば、関心ある分子が第1の受容体を活性化するかどうかを測定すること、及びまた、第2の受容体との相互作用の結果として副作用を予想すべきかどうかを測定することが、望ましい場合がある。このような場合、第1の受容体及び第1のレポーター活性化タンパク質、例えばlacZ、をコードする第1の細胞株、並びに、第2の受容体活性化タンパク質及び第2のレポーター、例えばGFP、をコードする第2細胞株が必要とされ得る。その状況において、GFPは、本発明において実行されるように、並び替えられ得る。前記2つの細胞株を混合し、関心ある化合物を添加して、他方には効果を有さない、一方に対する陽性効果を探すことになる。
【0109】
本発明は、代替のフォーマットにおいて、相互作用タンパク質の単一の対が検査されるアッセイだけでなく、また本明細書において「マルチプレックス(multiplex)」アッセイと呼ばれるものに関する。このようなアッセイは種々の様式で行われ得るが、全ての場合において、タンパク質の2つ以上の対が同時にテストされる。これは、例えば、細胞の2つ以上のサンプルを備えることによって、達成され得、これらの各々は、タンパク質の各々の相互作用対をテストするために、形質転換又はトランスフェクトされている。種々の形質転換細胞を、1つのレセプタクル中で混合し、同時にテストし得るか、又は各々の異なるタイプの形質転換体を、異なるウエル中に配置し、次いでテストし得る。代わりに、細胞を、リガンド又は候補分子が2つ以上の受容体を活性化するかどうかを測定するために、複数の標識された第1のタンパク質、例えば膜貫通タンパク質を保有するように操作し得る。
【0110】
本明細書に記載されるマルチプレックスアッセイに使用される細胞は、同一であり得るが、同一である必要はない。同様に、使用されるレポーターシステムは、各サンプル中で、同一であり得るが、同一である必要はない。1つ又は複数のサンプルをレセプタクル、例えばマイクロアレイのウエル中に置いた後、1つ又はそれ以上の化合物を、レセプタクル中でセットされた恐らく複数の相互作用タンパク質対に対してスクリーニングし得る。
【0111】
図10は、本アッセイを使用して得られた一般的な結果を示す。低又は高濃度(調節が阻害であるか又は活性化であるかに依存して)で、テスト化合物は効果を有さない場合がある。テスト化合物の濃度が減少又は増加するにつれて、調節効果が変化し得る。図10に示されるような用量反応曲線が、調節を評価するために使用され得る。単一ポイントを評価することもできる。例えば、ポイントは、標準誤差及び偏差を伴なったサンプル集団平均値を得るために「正常な」被験体の多数のサンプルを実行するか又はデータを蓄積することによって統計に基づいてしばしば測定される、コントロール又はバックグラウンドとは異なる所定の値であり得る。定数が、所定の差分値として使用され得る。一般的に、比率、例えばコントロール、しかしよりしばしば多数のコントロールから少なくとも10%、例えば別のアッセイ実行において予め測定され得るコントロール値の約1.5、2、2.5、3、4、5、10、20、50、100、200、500、1000倍又はそれ以上(又はその逆数)が使用される。調節を示す所定の閾値は、状況が示唆又は必要とするように、タイプ1及びタイプ2エラーをバランシングすることを考慮して、当業者によってルーチンに計算される。
【0112】
キット
本明細書に記載される組成物及びそれらの組み合わせのいずれもが、キットで提供され得る。従って、キットは、適した容器中に、1つ又はそれ以上の成分、例えば本発明のベクター又は細胞、及び本発明に従って使用され得る任意の追加の薬剤を含む。
【0113】
キットは、1つ又はそれ以上の適切にアリコートにされた本発明の組成物を含み得る。キットの成分は、水性媒体中に、又は凍結乾燥形態で、又は溶質に適した溶媒中の濃縮物としてパッケージされ得る。キットの容器は、一般的に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、注射器又は他の容器を含み、この中に成分が入れられ得るか又は入れられた状態にあり得、好ましくは適切にアリコートにされ得る。キット中に2つ以上の成分が存在する場合、キットはまた、一般的に、第2、第3又は他の追加の容器を含有し、この中に、追加の成分が別々に入れられ得る。しかし、成分の種々の組み合わせ物が、単一の容器、例えばバイアル中に含まれていてもよい。さらに、好適な希釈剤が提供され得る。本発明のキットはまた、典型的に、市販のために厳重に密封して(in close confinement)試薬容器を含有させるための手段を含む。このような容器としては、射出又はブロー成形のプラスチック又は発泡体容器が挙げられ得、この中に印刷された説明書と共に、所望のバイアルが保持される。
【0114】
キットの成分が1つ及び/又はそれ以上の液体溶液で提供される場合、液体溶液は、水溶液であり得、例えば滅菌水溶液が特に有用である。しかし、キットの成分は、乾燥粉末として又は固体支持体上に提供され得る。試薬及び/又は成分が乾燥粉末として提供される場合、粉末は、好適な溶媒の添加によって再構成され得る。溶媒、例えば滅菌水、又は適した食塩水若しくは緩衝液がまた、別の容器で提供され得ることが、考えられる。
【0115】
実施例
本発明を説明する具体的な実施態様が、下記の実施例で理解されるであろうが、本発明は、それらに限定されると考えるべきではない。
【0116】
実施例1
図1は、活性が中に含有されるTEVプロテアーゼ認識部位に対するTEVプロテアーゼの作用によって再構成される、順列変異不活性ルシフェラーゼを含む実施態様を示す。第1のタンパク質は、示されるように、プロテアーゼと融合されている。TEVプロテアーゼ活性を使用し、第2のタンパク質の実施態様としての順列変異ルシフェラーゼの活性を再構成するように、実施例1を設計した。第2のタンパク質は、示されるように、不活性順列変異レポーター活性化タンパク質である、ルシフェラーゼと融合されている。関心あるタンパク質に融合されたプロテアーゼによって認識されるプロテアーゼ認識及び切断部位を、順列変異レポーター活性化タンパク質中に挿入した。第1のタンパク質及び第2のタンパク質は、第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を調節する第3の分子によって近接させられる。近接した融合プロテアーゼによる順列変異不活性レポーター活性化タンパク質のタンパク質分解によって、切断が生じ、順列変異レポーター活性化タンパク質への2つのフラグメントが形成され、活性なレポーター活性化タンパク質活性が再生される。レポーター活性化タンパク質の活性は、適切な試薬及び装置によって評価され得る。
TEVプロテアーゼ認識部位、ENLYFQX(配列番号3)によって分断された状態で、逆の順序に蛍ルシフェラーゼN末端アミノ酸2〜233及びC末端アミノ酸234〜550を再配列することによって、順列変異ルシフェラーゼを構築した。この部位での切断によって、順列変異ルシフェラーゼの再構成された活性が生じる。位置Xは、TEVプロテアーゼ認識親和性及び切断効率を決定付ける任意のアミノ酸であり得る。種々のXが、TEVの酵素反応速度を調節することが示されている。認識配列の他の部位での類似のアミノ酸置換もまた、反応速度を変化させ得る。反応速度を調節することは、例えばスクリーニングプロセスにおけるインキュベーション時間及びシグナル/ノイズパラメータに影響を与えるバックグラウンド活性を最適化するために有利である。次いで、順列変異ルシフェラーゼ(luc234X233、ここで、Xは、TEVヘプタペプチド切断部位、配列番号3のN末端での特定のアミノ酸である)を、GPCR、ADRB2のC末端に融合し、GPCR−順列変異ルシフェラーゼ、ADRB2−luc234X233、発現プラスミドを作製した。
【0117】
実施例2
ヒトβアレスチン2−TEV融合プラスミドを、βアレスチン2のC末端にタバコエッチウイルスプロテアーゼAを融合することによって構築した。全てのDNAフラグメントを、適切なテンプレートを使用してPCRによって作製した。GPCR−luc234X233融合遺伝子を、ネオマイシン選択マーカー(Invitrogen)を有するpcDNA3.1(+)にサブクローニングし、Arr−TEV融合遺伝子を、ゼオシン選択マーカー(Invitrogenカタログ番号43−0018)を有するpcDNA3.1(+)にサブクローニングした。
【0118】
実施例3
適切な市販のトランスフェクションキットを使用して、CHO−K1細胞に、ADRB2−luc234R233(実施例1)及びArr−TEVプラスミド(実施例2)を同時トランスフェクトした(co-transfected)。トランスフェクションの48時間後、細胞を、2時間、10μM ADRB2アゴニストであるイソプロテレノールで処理したか又は処理せず、Bright−GLOTM又はSteady−GLOTM(Promega)を細胞へ添加し、溶解物の相対的ルミネセンスを、適切なルミネセンスリーダーによって記録した。ルミネセンス活性の3倍を超える増加が、イソプロテレノールの存在下で観察された。
図5は、Arr2−TEVp有り及び無しでのGPCR/順列変異ルシフェラーゼの発現を示す。グラフで表わされたデータにおいて、構築物を細胞中に導入したが、トランスフェクトされた細胞は、いずれのモジュレータにも曝露しなかった。従って、データは、切断部位がセリンを含有する場合、いくらかの自然活性が存在するが、XがR又はVである場合、バックグラウンドノイズは本質的に発生しないことを示している。図6において注目されるように、R又はV切断部位を発現する細胞がアゴニストに曝露された場合、反応が観察された。図7は、GPCR−luc234V233及び/又はArr−TEVを一過性に又は安定に発現する細胞中のルシフェラーゼ活性の用量依存的反応を示す。
【0119】
実施例4
図8は、5時間又は1時間インキュベーション期間が、タンパク質−タンパク質相互作用をアッセイするのに十分であることを示している。用量反応関係が明らかに示されている。
ADRB2のC末端にタバコエッチウイルスプロテアーゼAを融合し、該融合遺伝子を、ゼオシン選択マーカー(Invitrogenカタログ番号43−0018)を有するpcDNA3.1(+)中に挿入することによって、ADRB2−TEV融合遺伝子発現プラスミドを構築した。全てのDNAフラグメントを、当技術分野において公知の適切なテンプレートを使用して、PCRによって、作製した。
βアレスチン2−順列変異ルシフェラーゼ(Arr−luc234X233)融合遺伝子発現プラスミドを、βアレスチン2のC末端に順列変異ルシフェラーゼluc234X233を融合することによって構築した。TEVプロテアーゼ切断部位はENLYFQ/X(Rachel B. Kapust, et al. Biochemical & Biophysical Research Communications, 294 (2002) 949−955)であり、ここで、E及びQは、一般的に不変であり、ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、しかしG及びSが、その部位で見出される一般的なアミノ酸である。切断は、Q残基とX残基との間で生じる。Xは、切断効率を決定し得る。いくつかの実施態様において、TEVプロテアーゼ切断部位を、順列変異ルシフェラーゼ中に含めた。バックグラウンド及びシグナル/ノイズ比は、単純でルーチンな実験によって改善され得る。例えばTEVについてのX加水分解部位でグリシンの代わりにバリンを使用することによって、いくつかの適用においてバックグラウンドを低下させることを見出した。融合した融合遺伝子を、ネオマイシン選択マーカー(Invitrogen)を有するpcDNA3.1(+)にクローニングした。
適切な市販のトランスフェクションキットを使用して、HEK293細胞に、プラスミドADRB2−TEV及びArr−luc234V233を同時トランスフェクトし、ここで、TEV認識配列はENLYFQV(配列番号12)であった。トランスフェクションの48時間後に、細胞を、1及び5時間、種々の濃度のADRB2アゴニスト、イソプロテレノールで処理し、Bright−GLOTM(Promega)を細胞へ添加し、相対的ルミネセンス単位をEnVison IITMで記録した。用量依存的なルミネセンス活性が、イソプロテレノールと共に1時間及び5時間インキュベーションした後の両方で観察された。
【0120】
実施例5
図9、左パネルは、Arr−luc234V233を安定的に発現し、ADRB2−TEV融合タンパク質を一過性で発現するHEK293細胞中の、リガンド誘導ルシフェラーゼ活性を示す。右パネルは、CHO細胞中の、アレスチン−レポーター活性化タンパク質構築物の安定発現、及び7TMR−プロテアーゼ融合体の一過性発現を示す。
GPCR−luc234R233又はArr−TEVを発現する安定細胞株を、HEK293又はCHO細胞で作製した。各DNA 20ng/ウエルを、HEK293及びTranIT−CHO細胞についての、Lipofectamine(Invitrogen)での、12ウエルプレート中のトランスフェクションのために使用した。
per−lucアッセイにおいて、384ウエルプレートフォーマットをルーチンに使用した。他のプレートフォーマットも許容可能なフォーマットと考えられる。GPCR−luc234R233又はArr−TEVを安定的に発現するCHO細胞を、組織培養処理表面384ウエルホワイトアッセイプレート(Becton Dickinson)中、10,000細胞/ウエルで平板培養した。翌日、細胞をアゴニストで処理した;10μM〜0.7pMの濃度(無血清細胞培地中作製した3:1連続希釈で)。Steady−Gloルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)を、ルシフェラーゼ活性を測定するために使用した。アゴニスト処理の2時間後に、培地を吸引し、ルシフェラーゼアッセイ試薬25μlを各ウエルへ添加した。相対的ルミネセンス単位(RLU)を、Perkin Elmer製のマルチラベルリーダーであるEnVisionで読み取った。PRISMソフトウエアを用いて、データをプロットし、解析した。
Arr−luc234V233を安定的に発現するHEK293細胞を、ネオマイシンに対する耐性についての選択によって作製した。ネオマイシン耐性遺伝子は、Arr−luc234V233発現プラスミドベクターpcDNA3.1に提示された。
【0121】
実施例6
図9、右パネルは、CHO株中におけるイソプロテレノールに対する用量反応を示す。GPCR−luc234R233又はArr−TEVを発現する安定細胞株を、CHO細胞中作製した。TransfectIT−CHOトランスフェクションキット(Mirus Bio, Madison, WI)を用いて、12ウエルプレート中、1ウエル当たり、各DNA 1μgをトランスフェクションのために使用した。単一コロニーを、ネオマイシン又はゼオマイシンでの選択下でトランスフェクタントから採取した。
適切な市販のトランスフェクションキットを使用して、Arr−luc234V233安定発現細胞に、ADRB2−TEVプラスミドをトランスフェクトした。ADRB2−TEVを一過性で発現し、Arr−luc−234V233を安定的に発現する細胞を、2時間、イソプロテレノールと共にインキュベートし、Bright−GLOTMルシフェラーゼ試薬を細胞へ添加した。用量依存的なルシフェラーゼ活性がEnVison IIにおいて記録された。
【0122】
実施例7
図10は、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、及び非特異的内在性受容体反応についてのGPCR Per−Lucアッセイの評価を示す。
Lipofectamine 2000トランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用して、Arr−luc234V233を安定的に発現するHEK293細胞に、ADRB2−TEVプラスミドをトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、種々の濃度の公知のアゴニスト、イソプロテレノール;部分アゴニストBRL37344(Sigma−Aldrich);アンタゴニストICI118551(ICI);アンタゴニストICI118551及び200nMのイソプロテレノール;並びに、HEK293内因性EDG受容体についてのアゴニストS1P(スフィンゴシン−1−ホスフェート)と共に、細胞を2時間インキュベートし、Bright−GLOTMルシフェラーゼ試薬を細胞へ添加した。図10に示されるように、用量依存的なルシフェラーゼ活性がEnVison IIにおいて記録された。
アッセイのEC50及びIC50値は、FLIPR及びcAMPアッセイにおいて得られた値と類似していた。HEK293細胞中の内在性受容体EDG、及びそのリガンドS1Pは、ルシフェラーゼ活性に影響を与えなかったが、FLIPR及びcAMPなどの他のアッセイは、陽性シグナルを生じさせた。アゴニストである、イソプロテレノールは、反応を生じさせた。部分アゴニストである、BRL37344は、段階的な反応を示した。アンタゴニストである、ICI18551は、イソプロテレノールを阻害したが、それ単独では活性を持たなかった。従って、本発明のアッセイは特異的であり、図10に示されるように(他の比較データと併せて考えて)、偽陽性シグナルはよりわずかしか生ぜず、低下した。
【0123】
実施例8
図14は、XについてVを使用する、TEVプロテアーゼ認識部位、ENLYFQXと共に、C末端アミノ酸234〜550の後ろにホタルルシフェラーゼN末端アミノ酸2〜456をクローニングすることによって、順列変異ルシフェラーゼを構築した例を示す。順列変異ルシフェラーゼ(luc234V456)を、GPCR、ADRB2のC末端へ融合し、GPCR−順列変異ルシフェラーゼ構築物、ADRB2−luc234V456発現プラスミドを作製した。
全てのDNAフラグメントを、適切なテンプレートを使用して、PCRによって作製した。ADRB2−luc234V456融合遺伝子を、ネオマイシン選択マーカー(Invitrogen)を有するpcDNA3.1(+)にクローニングした。
適切な市販のトランスフェクションキットを使用して、CHO−K1細胞に、ADRB2−luc234V456及びArr−TEVプラスミドを同時トランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後に、細胞を、2時間、10μM ADRB2アゴニスト、イソプロテレノールで処理したか又は処理せず、Bright−GLOTM又はSteady−GLOTM(Promega)を細胞へ添加し、相対的ルミネセンスを適切なルミネセンスリーダーによって記録した。再構成されたルシフェラーゼ活性が、種々の用量のイソプロテレノールに反応して観察された。
Arr−luc234V233を安定的に発現するHEK293細胞を、ネオマイシンに対する耐性について選択した。ネオマイシン耐性遺伝子は、Arr−luc234V233発現プラスミドベクターpcDNA3中に提示された。アゴニストに反応してルシフェラーゼ活性が観察された。
【0124】
実施例9
図13は、V2インバースアゴニストでの用量依存性を示す。
この実施例のため、Lipofectamine 2000トランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用して、Arr−luc234V233を安定的に発現するHEK293細胞に、V2−TEVプラスミドをトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、標準的なアッセイを使用してアンタゴニストと考えられている、種々の濃度の化合物、SR121463(sanofi Recherche, Toulouse, FR)と共に、細胞を2時間インキュベートした。Bright−GLOTMルシフェラーゼ試薬を、細胞に添加した。用量依存的なルシフェラーゼ活性がEnVison IIにおいて記録された。即ち、ルミネセンスのレベルの増加が、より適切に定義されたインバースアゴニストである、SR121463の量の増加に伴って観察された。
このアッセイにおいて、インバースアゴニストは、他のインバースアゴニストと同様に、アゴニストとして作用した。インバースアゴニストは、MAPKのβアレスチン仲介活性化を促進する一方で、V2 Gタンパク質シグナル伝達経路を遮断し得ることが公知である(Azzi et al., PNAS, 2003, 100:11406−11411)。従って、本発明のアッセイは、Gタンパク質共役型受容体についての明確な活性コンフォメーションを示し得る。
対照的に、古典的なアッセイシステムにおいては、GPCRのインバースアゴニストは、アンタゴニストとして作用する。これは、インバースアゴニストが、Gタンパク質シグナル伝達のためのGPCRの不活性コンフォメーションに恐らく結合し、これを安定化するためである。しかし、いくつかのインバースアゴニストは、Gタンパク質シグナル伝達のためのGPCRの不活性形態を安定させ、かつβアレスチンシグナル伝達経路を活性化するようにGPCRへのβアレスチンリクルートメントを促進させる。
【0125】
実施例10
図6は、アゴニスト誘導ルシフェラーゼ活性を示す。
この実施例において、順列変異ルシフェラーゼを、TEVプロテアーゼ認識部位、ENLYFQXによって分断された状態で、逆の順序にホタルルシフェラーゼN末端アミノ酸2〜233及びC末端アミノ酸234〜550を再配列することによって構築した。位置Xは、任意のアミノ酸であってよい。この位置でのアミノ酸は、TEVプロテアーゼ認識親和性及び切断効率を決定付けることが公知である。次いで、順列変異ルシフェラーゼ(luc234X233)を、GPCR、即ちADRB2、のC末端へ融合し、GPCR−順列変異ルシフェラーゼ、即ちADRB2−luc234X233発現プラスミドを作製した。
ヒトβアレスチン2−TEV融合プラスミドを、βアレスチン2のC末端にタバコエッチウイルスプロテアーゼAを融合することによって構築した。DNAフラグメントを、適切なテンプレートを使用してPCRによって作製した。GPCR−luc234X233融合遺伝子を、ネオマイシン選択マーカー(Invitrogen)を有するpcDNA3.1(+)にサブクローニングし、Arr−TEV融合遺伝子を、ゼオシン選択マーカー(Invitrogenカタログ番号43−0018)を有するpcDNA3.1(+)にサブクローニングした。
適切な市販のトランスフェクションキットを使用して、CHO−K1細胞に、ADRB2−luc234R233及びArr−TEVプラスミドを同時トランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を、2時間、10μMのADRB2アゴニスト、イソプロテレノールで処理したか又は処理せず、Bright−GLOTM又はSteady−GLOTM(Promega)を細胞へ添加し、相対的ルミネセンスを、適切なルミネセンスリーダーによって記録した。ルミネセンス活性の3倍を超える増加が、イソプロテレノールの存在下で観察された。
【0126】
実施例11
図12は、本発明のアッセイ(左パネル)及び別のアッセイ(右パネル)を使用しての、アゴニスト、アンタゴニスト及びインバースアゴニストの結果を示す。その2種のプロットは、アゴニスト、アンタゴニスト及びインバースアゴニストの区別及び逆の効果を示す。本発明のアッセイは、良好な特異的活性を与えた。
【0127】
実施例12
図7は、ADRB2−順列変異ルシフェラーゼ及びArr−TEVの両方を有するCHO細胞を示す。左パネルのデータ:TEV認識部位、ENLYFQVを含有するように、ADRB2−luc234V233を作製した。適切な市販のトランスフェクションキットを使用して、CHO−K1細胞に、ADRB2−luc234V233及びArr−TEVプラスミドを同時トランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を、2時間、種々の濃度のADRB2アゴニスト、イソプロテレノールで処理し、Bright−GLOTM又はSteady−GLOTM(Promega)を細胞へ添加し、相対的ルミネセンスを、適切なルミネセンスリーダーによって記録した。
【0128】
実施例13
図7、右パネルは、異なる切断部位を有する安定的なトランスフェクトされた細胞を使用してのデータを要約する。結果は、左パネルのそれと類似している。従って、異なる切断部位を有する2つのGPCR−ルシフェラーゼ構築物が、アゴニストに反応した。
【0129】
実施例14
図6は、RとしてのX及びVとしてのXを比較する、アゴニスト誘導シグナル活性を示す。結果は、類似しており、Xがルーチンに変え得ることを示す。
この実施例において、TEVプロテアーゼ認識部位、ENLYFQ/Xによって割り込まれた状態で、逆の順序にホタルルシフェラーゼN末端アミノ酸2〜233及びC末端アミノ酸234〜550を再配列することによって、順列変異ルシフェラーゼを構築した。位置Xは、TEVプロテアーゼ認識親和性及び切断効率を決定付ける、任意のアミノ酸であってよい。V及びRが示されている。次いで、順列変異ルシフェラーゼ(luc234X233)を、GPCR、即ちADRB2、のC末端へ融合し、GPCR−順列変異ルシフェラーゼ、即ちADRB2−luc234X233発現プラスミドを作製した。
この実施例において、ヒトβbアレスチン2−TEV融合プラスミドを、βアレスチン2のC末端へタバコエッチウイルスプロテアーゼAを融合することによって構築した。全てのDNAフラグメントを、適切なテンプレートを使用して、PCRによって作製した。GPCR−luc234X233融合遺伝子を、ネオマイシン選択マーカー(Invitrogen)を有するpcDNA3.1(+)にサブクローニングし、Arr−TEV融合遺伝子を、ゼオシン選択マーカー(Invitrogenカタログ番号43−0018)を有するpcDNA3.1(+)にサブクローニングした。
適切な市販のトランスフェクションキットを使用して、CHO−K1細胞に、ADRB2−luc234R233及びArr−TEVプラスミドを同時トランスフェクトした。48時間後、細胞を、2時間、10μMのADRB2アゴニストで処理したか又は処理せず、Bright−GLOTM又はSteady−GLOTM(Promega)を細胞へ添加し、相対的ルミネセンス単位を、適切なルミネセンスリーダーによって記録した。3倍を超えるより高いレベルのルミネセンス活性が、イソプロテレノールの存在下で観察された。
【0130】
実施例15
図11、左パネルは、V2−TEVを一過性で発現する細胞における8−AVPアゴニストを用いた結果を示す。
この実施例において、Lipofectamine 2000トランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用して、Arr−luc234V233を安定的に発現するHEK293細胞に、V2−TEVプラスミドをトランスフェクトした。48時間後、種々の濃度のアゴニスト8−AVP(Arg8バソプレシン;V2バソプレシン受容体の公知のアゴニスト)と共に、細胞を2時間インキュベートし、Bright−GLOTMルシフェラーゼ試薬を細胞へ添加した。用量依存的なルシフェラーゼ活性がEnVison IIにおいて記録された。
【0131】
実施例16
Lipofectamine 2000トランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用して、Arr−luc234V233を安定的に発現するHEK293細胞に、V2−TEVプラスミドをトランスフェクトした。48時間後、種々の濃度のインバースアゴニストと共に、細胞を2時間インキュベートし、Bright−GLOTM ルシフェラーゼ試薬を細胞へ添加した。用量依存的なルシフェラーゼ活性がEnVison IIにおいて記録された。
このアッセイにおいて、インバースアゴニストは、アゴニストとして作用した。いくつかのインバースアゴニストは、V2 Gタンパク質シグナル伝達経路を遮断するが、MAPKのβアレスチン仲介活性化を促進することが公知である(Azzi et al., PNAS, 2003, 100:11406−11411)。従って、本アッセイは、Gタンパク質共役型受容体の明確な活性コンフォメーションを評価し得る。
【0132】
実施例17
図11、右パネルは、V2受容体とのβアレスチン相互作用を促進することによる、V2インバースアゴニストに誘導用量依存的ルシフェラーゼ活性を示す。
この実施例において、Lipofectamine 2000トランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用して、Arr−luc234V233を安定的に発現するHEK293細胞に、V2−TEVプラスミドをトランスフェクトした。48時間後、種々の濃度のインバースアゴニストと共に、細胞を2時間インキュベートし、Bright−GLOTMルシフェラーゼ試薬を細胞へ添加した。用量依存的なルシフェラーゼ活性がEnVison IIにおいて記録された。
【0133】
本発明の他の特徴は、当業者に明確であり、ここで繰り返し述べる必要はない。当業者は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、種々の改変をなすことができる。
【0134】
本明細書に引用される参考文献は全て、参照により全体が本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のタンパク質と第2のタンパク質との相互作用を調節する化合物を同定する方法であって、
i)不活性レポーター活性化タンパク質に結合した第1のタンパク質、及びプロテアーゼに結合した第2のタンパク質を備えること、ここで、該プロテアーゼは、上記レポーター活性化タンパク質中の切断部位を切断し、それによって該レポーター活性化タンパク質を活性化することができる;
ii)上記化合物、及び場合によりレポーターを備えること;
iii)上記プロテアーゼに上記切断部位を切断させること;及び
iv)上記レポーター活性化タンパク質の活性によって変化する、その活性化したレポーター活性化タンパク質又はそのレポーターからのレポーターシグナルをモニタリングすること;
を含み、
ここで、レポーターシグナルの変化は、上記タンパク質−タンパク質相互作用を示す、方法。
【請求項2】
レポーター活性化タンパク質がレポーターである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1のタンパク質が、レポーター活性化タンパク質と共に融合タンパク質を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
タンパク質−タンパク質相互作用を調節することが公知の分子を備えることをさらに含み、ここで、化合物が、該分子と該タンパク質−タンパク質相互作用との相互作用を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
レポーター活性化タンパク質が酵素である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
レポーター活性化タンパク質が、レポーターの蛍光の変化を引き起こすタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1のタンパク質が膜タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
アッセイシステムであって、
i)潜伏性のレポーター活性化タンパク質を含む第1のタンパク質;及び
ii)プロテアーゼを含む第2のタンパク質;及び場合により
iii)シグナルが上記レポーター活性化タンパク質によって変化されるレポーター;
を含み、
ここで、上記潜伏性のレポーター活性化タンパク質は、上記プロテアーゼによる切断によって活性化され、該第1のタンパク質と該第2のタンパク質との結合が、そのレポーター活性化タンパク質の切断を可能にする、システム。
【請求項9】
レポーター活性化タンパク質がレポーターである、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
レポーターが、レポーター活性化タンパク質のポリペプチドフラグメントの再配列によって活性化される又は不活性化される、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
第1のタンパク質、第2のタンパク質、又は両方が、膜タンパク質である、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
膜タンパク質が受容体タンパク質である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
受容体タンパク質が7回膜貫通型受容体(7TMR)である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
プロテアーゼが、少なくとも4つのアミノ酸を有する認識配列を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
プロテアーゼが、少なくとも5つのアミノ酸を有する認識配列を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
プロテアーゼが、少なくとも6つのアミノ酸を有する認識配列を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項17】
プロテアーゼが、少なくとも7つのアミノ酸を有する認識配列を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項18】
プロテアーゼがタバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼである、請求項8に記載のシステム。
【請求項19】
レポーターがルシフェリンである、請求項8に記載のシステム。
【請求項20】
レポーターが蛍光タンパク質である、請求項8に記載のシステム。
【請求項21】
レポーターが緑色蛍光タンパク質(GFP)である、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
第1のタンパク質及び第2のタンパク質が膜タンパク質である、請求項11に記載のシステム。
【請求項23】
第1のタンパク質、第2のタンパク質、又は両方が、細胞質タンパク質である、請求項8に記載のシステム。
【請求項24】
第1の及び第2のタンパク質が、細胞質タンパク質である、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
第2のタンパク質がレポーターを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項26】
ータータンパク質が、第1のタンパク質との接触によって活性化される又は不活性化される、順列変異レポータータンパク質である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
結合が、細胞コンパートメント又は細胞小器官への第1のタンパク質又は第2のタンパク質のトランスロケーションを必要とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項28】
核への第1のタンパク質又は第2のタンパク質のトランスロケーションが、レポーターシグナルの変化を引き起こす、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
レポーター又はプロテアーゼが、核ターゲッティングポリペプチドを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項30】
ターゲッティングポリペプチドが、塩基性アミノ酸を含む、請求項29に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2010−537669(P2010−537669A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524099(P2010−524099)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/074543
【国際公開番号】WO2009/032716
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】