説明

プロバイオティックバクテリアを含む経口投与剤

本発明は、少なくとも1種のプロバイオティック微生物を含む経口投与剤であって、その経口投与剤自体および/またはプロバイオティック微生物が、少なくとも2種のセルロースエーテルを含む被覆を有する経口投与剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は少なくとも一つのプロバイオティックバクテリア種を含む経口投与剤であって、その経口投与剤自体および/またはプロバイオティックバクテリアが、少なくとも二種のセルロースエーテルを含む被覆を有する経口投与剤に関する。
【0002】
プロバイオティック微生物は、腸内細菌の障害あるいは損傷を起こす症状を改善または除去するために、特定の食物、食物サプリメント製剤または薬剤の形態で既に様々に用いられている。一つの問題は、経口投与により小腸末端で初期値の約97%ものプロバイオティック微生物活性を損失することである。従って、適切な高い活性を得るために、非常に大量のプロバイオティック微生物を提供する必要がある。
独国特許公開公報1937361(DE 1937361 A1)にはプロバイオティック微生物を含む経口投与剤が開示されており、その投与剤は、シェラックからなる胃液抵抗性被覆を使用することにより胃腸の通過に伴う活性の消失を抑制している。この投与剤形は、被覆物質の溶解が、胃腸管腔内のpHのような生理学的な条件、投与条件(食事前後、食事と共に、など)、食事の組成、使用者の年齢、疾病、液体量、及び同時投与する薬剤(例えば酸中和剤)などの複数の条件に依存している点において不利である。更に、シェラックは天然物であるからその組成が自然変動し、再現しうる溶解性に必要な一定の品質を得ることができないため、シェラックの使用及び処理に問題が無いとはいえない。湿度が高い場合には、シェラックフィルムタブレットでは粘着が起こりえるが、これは被覆の信頼性が損なわれる可能性を意味している。使用者のコンプライアンスとプロバイオティック微生物の効力はこのように完全には保証されえない。更に、シェラックは有機溶媒によってのみ処理することができるため、水溶液処理に比べてコストが高くなり、また投与剤形中に有機溶媒が残存するという毒物学的な観点から望ましくない結果となる場合もあり不利である。更に、シェラックは非常にもろく、こわれやすいため柔軟添加剤を添加しなければ被覆材料として適さない。従って、シェラックを被覆材料として使用するには、大量の柔軟添加剤が必要である。しかし、最終投与剤形態での保存中に、シェラックのフィルムから大気中に柔軟剤が漏れ出て、被覆の性質を損ない、また投与剤の保存寿命を短くするため、柔軟剤の添加は問題がある。更に、シェラックは保存中に“熟成”する。すなわち、シェラック中に存在する官能基が互いに反応して架橋し、シェラック被覆の溶解時間を遅延させる結果を与える場合もある。
【発明の開示】
【0003】
本発明の目的は、ヒトおよび/または動物の腸の中においてプロバイオティック微生物を再生可能に遊離する経口投与剤を提供し、プロバイオティック微生物の活性を確実にしかつそれにより腸内での健康増進作用を確実にすることを目的とする。経口投与剤は更に良好な保存性を有し、かつ生産が容易であり安価でなければならない。
【0004】
驚くべきことに、上記目的は、少なくとも1つのプロバイオティック微生物種を含む経口投与剤であり、かつそれ自体および/またはプロバイオティック微生物が、少なくとも二種類のセルロースエーテルを含む被覆を有する上記投与剤により達成された。本発明は従って、少なくとも一つのプロバイオティック微生物種を含む経口投与剤であって、それ自体および/またはプロバイオティック微生物が少なくとも二種類のセルロースエーテルを含む被覆を有する上記投与剤に関する。
【0005】
少なくとも二種類のセルロースエーテル類を含む被覆は水溶液により塗布することができる。すなわち、有機溶媒の残存は基本的に避けることができる。被覆中への柔軟剤の添加を回避することができ、保存安定性がそれにより損なわれないため有利である。
経口投与剤は好ましくはタブレット、ドラジェ、カプセル、顆粒状物質、ペレット製剤、または粉末であり、特に好ましくはタブレットであり、更に特に好ましくは多層タブレットである。
適するプロバイオティック微生物は、健康なヒトまたは動物の体内に通常それ自身が存在し、かつ健康なあるいは不健康なあるいは疾病を有するヒトまたは動物の体内において健康増進作用を有する全ての微生物である。
【0006】
使用されるプロバイオティック微生物は好ましくは、生きているラクトバチルス(Lactobacilli)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacteria)および/またはストレプトコッカス(Streptococci)である。特に好ましくは、ラクトバチルスカセイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルスアシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルスビフィダム(Lactobacillus bifidum)、ラクトバチルスガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルスプランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルスジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルスラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルスパラカセイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルスクリスパツス(Lactobacillus crispatus)、ビフィドバクテリウムロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウムビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウムロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウムラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウムブレビス(Bifidobacterium brevis)、ビフィドバクテリウムアニマリス(Bifidobacterium animalis)ビフィドバクテリウムアドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウムインファンティス(Bifidobacterium infantis)、ストレプトコッカスサーモフィルス(Streptococcus thermophilus)および/またはラクトコッカスラクティス(Lactococcus lactis)である。
【0007】
本発明の経口投与剤中のプロバイオティック微生物の量は、目的の健康増進作用が達成られるように選択されるべきである。本発明の経口投与剤は好ましくは103〜1012、特に好ましくは105〜1011及び更に特に好ましくは107〜1010のプロバイオティック微生物を含む。もしプロバイオティック微生物が埋め込まれて使用される材料、特に支持材料ができるだけ最小限の水分量しか含まなければ、生存する微生物の数及び活性に関して安定であり有利である。水分含有量は、支持材料の質量に対して好ましくは≦3.0質量%であり、特に好ましくは≦0.1質量%である。
【0008】
本発明の経口投与剤の被覆中に存在するセルロースエーテルは、水性媒体中で膨潤可能であるかまたはゲルを形成する物質であり、膨潤あるいはゲル形成は、それぞれのセルロールエーテル中に存在するエーテル置換基によって異なる程度及び異なる比率で起こる。本発明の経口投与剤の被覆は少なくとも二種類のセルロースエーテルを含み、それぞれ異なる膨潤性またはゲル形成性を有し、使用者が経口投与剤を摂取した後、被覆が膨潤して最終的に溶解および/または構造的な脱離を起こす結果、本発明の経口投与剤の被覆中に存在するプロバイオティック培養物が腸内で遅延して放出されるように互いに調製されている。放出における遅延は各pH条件には実質的に非依存的であり、経口投与剤が、摂取された後胃の中を実質的に変化しない剤形で通過して腸に到達するのに必要とする時間に一致するようになっている。本発明の経口投与剤に適する遅延時間は、回腸終端部までの小腸におけるプロバイオティック微生物の生存率が、非被覆投与剤と比較して少なくとも5倍まで向上するような時間である。遅延の持続時間は、被覆中のセルロースエーテルの型に依存し、互いの混合割合を変化させることにより、また被覆の層の厚みを変化させることにより目的の値に調整することができる。各ケースにおける目的の放出プロファイルに必要なセルロースエーテルの互いの混合割合、及び各ケースにおいて必要な層の厚さは、インビトロモデル(例えば、いわゆるTNOモデル(動的胃腸モデル、Marteau, P et al. (1997) Survial of Lactic Acid Bacteria in a Dynamic Model of the Stomach and Small Intestine: Validation and the Effects of Bile, J Dairy Sci 80:1031-1037)における実験により決定し、最適化することができる。
一般に、二種類のセルロースエーテルを含む被覆は、後者を0.1:99.9〜99.9:0.1の質量比で含む。被覆の層の厚さは一般に1cm2あたり0.5〜20mg、好ましくは5 〜15mgである。
【0009】
本発明の実施態様によれば、経口投与剤は被覆中に、エーテル置換基としてヒドロキシアルキル基、好ましくはヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルおよび/またはジヒドロキシプロピル基、特に好ましくはヒドロキシプロピル基を含むセルロースエーテルを含む。本発明に用いることができるヒドロキシアルキル基をエーテル置換基として含むセルロースエーテルは、従って、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びジヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。
【0010】
本発明の好ましい実施態様によれば、経口投与剤の被覆中に存在する少なくとも1つのセルロースエーテルはまたアルキル基、好ましくはメチルおよび/またはエチル基、特に好ましくはメチル基を、ヒドロキシアルキル基以外のエーテル置換基として有する。ヒドロキシアルキル基以外にエーテル置換基としてアルキル基をも有する、本発明に適するセルロースエーテルは、例えば、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース及びヒドロキシエチルメチルセルロースが挙げられる。
本発明の特に好ましい実施態様として、本発明の経口投与剤の被覆は、エチル置換基としてヒドロキシアルキル基のみを含むセルロースエーテルと、ヒドロキシアルキル基以外のエーテル置換基としてアルキル基をも含むセルロースエーテルとを一緒に含む。
【0011】
本発明の更に特に好ましい経口投与剤は、被覆中にセルロースエーテルとして、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含む。ヒドロキシプロピルメチルセルロースとヒドロキシプロピルセルロースは、質量比が90:10〜10:90で、好ましくは30:70〜70:30で、特に好ましくは35:65の割合で存在していてもよい。ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースは好ましくは二成分混合物として用いる。
被覆中に存在するセルロースエーテルの質量比は、経口投与剤の質量を基準にすると、好ましくは1〜20質量%であり、特に好ましくは1.5〜10質量%であり、更に特に好ましくは3〜5質量%である。
【0012】
セルロースエーテル以外に、被覆は、例えば物理的な安定性を向上させるためにアルキルセルロースエーテルを含んでいてもよい。アルキルセルロースエーテルの例としてはメチルセルロースまたはエチルセルロースが挙げられる。もしアルキルセルロースエーテルが存在する場合には、被覆の乾燥質量に対して0.5〜10質量%の量で存在することが好ましい。
【0013】
本発明の経口投与剤は、被覆により完全に覆われていることが必要である。
経口投与剤の更に好ましい態様は、それ自身が胃液耐性被覆を有するプロバイオティック微生物を含む。この目的において、プロバイオティック微生物を当業者に公知の様々な方法により乾燥され、その後被覆される。
被覆は更に他の補助剤を含まないことが好ましい。製造スケールでは、放出剤を用いることが有用であってもよい。好ましくはステアリン酸塩またはエステルの使用であり、例えばステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセロール、ジパルミトステアリン酸グリセリルまたはタルクが挙げられる。ステアリン酸塩またはエステルは、被覆の乾燥質量に対し、1〜10質量%の比率で存在してもよい。好ましくは被覆の乾燥質量に対し、約5質量%〜100質量%、更に好ましくは30〜50質量%ののタルクである。
【0014】
被覆は、水溶液、有機溶液または水性アルコール溶液を用いて塗布することができる。被覆は好ましくは水溶液を塗布することが好ましい。従って、本発明はまた、被覆を水溶液から塗布するかおよび/または有機溶液から塗布する、好ましくは水溶液から塗布することを特徴とする本発明の経口投与剤の製造プロセスに関する。有機溶液手段により被覆を行う場合には、アルコール性溶液を用いることが好ましく、水性アルコール溶液(すなわち、水とアルコール)を用いることが特に好ましい。用いるアルコールとしてはエタノールが好ましい。
被覆は、当業者に公知の従来の方法で塗布することができる。例えば、溶融法またはパウダーの使用による、タブレット被覆、溶液、分散液または懸濁液のスプレー等の方法である。被覆は好ましくは、ドラムコーター法または流動床法、例えばウルスター(Wurster)法により施すことができる。
【0015】
被覆は透明から不透明である。着色するには、着色顔料、レーキまたは染料を添加することができる。
好ましい実施態様では、本発明の経口投与剤は、プロバイオティック微生物以外に、さらに栄養関連添加剤を含んでいても良い。好ましくは、ビタミン、鉱物、微量元素、繊維質食品、酵素、植物抽出物、タンパク質、炭水化物および/または脂肪を含む。経口投与剤が、例えばタンパク質のように胃の中で既に消化が始まる栄養関連添加剤を含む場合には、それらの栄養関連添加剤は少なくとも不完全に被覆により覆われていなければならない。
使用される栄養関連添加剤によって、互いにおよび/またはプロバイオティック微生物と接触しないように本発明の経口投与剤に取り込むことが必要である。取り込みは、好ましくは栄養関連添加剤および/または微生物を多層タブレットの異なる層に組み入れることにより行われる。
【0016】
好ましいビタミン類としては、ビタミンA(β−カロテン)、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB複合体および/またはビタミンKが挙げられる。特に好ましいビタミン類は、ビタミンA、ビタミンCおよび/またはビタミンEである。ビタミンの量は一般に、各ビタミンの推奨される最小要求量に依存するが、平均して50〜300%を超える量であってもよい。好ましい範囲は、ビタミンCが50〜300mgの範囲であり、ビタミンEが10〜50mgの範囲、ビタミンAが≦1.5mg、およびビタミンB複合体が10μg〜20mgの範囲である。
好ましい鉱物は、消費に適する、無機または有機のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛および/または鉄塩であり、好ましくは炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、重リン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、塩化物、フッ化物、クエン酸塩および/または乳酸塩の形態である。経口投与剤の全質量に対する鉱物の比率は、好ましくは20〜40質量%である。本発明の経口投与剤は、好ましくはシリコン、クロム、マンガン、ヨウ素、モリブデンおよび/またはセレンを微量元素として含む。
【0017】
繊維質食品として、本発明の経口投与剤は、大豆ふすま、トウモロコシふすま、小麦ふすま、および/または穀物全粒粉、特に好ましくは大豆ふすまを含む。繊維質食品の割合は、経口投与剤の全質量に対して好ましくは2〜50質量%である。好ましい酵素または補酵素は、リパーゼおよび/またはプロテアーゼまたはコエンザイムQ、スーパーオキシドジムスターゼおよび/またはグルタチオンパーオキシドであり、これらは胃および/または腸の機能および/または代謝を促進する。これらは既知の量および形態で導入することができる。
【0018】
経口投与剤は更にプロバイオティック物質、好ましくはオリゴフルクトースおよび/または他のオリゴ糖を含む。
好ましい植物抽出物は乾燥抽出物であり、特に、ビオフラボノイド、ポリフェノール、フィトエストロゲンおよび/またはサポニン(例えばエキナシア由来のもの)を含むものである。
本発明の経口投与剤は好ましくは、タンパク質として、大豆タンパク質および/または乳タンパク質を含み、および/または、脂肪として、ポリ不飽和脂肪酸を含む脂肪を含む。
【0019】
本発明の経口投与剤は更に、従来の補助剤および添加剤を実施態様に応じて含んでいてもよい。補助剤および/または添加剤は、本発明の経口投与剤が使用される国の食品規制に応じて選択される。例えば本発明のタブレット、多層タブレットおよび/またはドラジェに使用される補助剤および/または添加剤は、でんぷん(例えばコーンスターチ)、タルク、微結晶セルロース、ラクトース、高分散二酸化シリコン、ポリビニルピロリドンおよび/またはセルロースパウダーである。バインダーおよび/または放出剤として使用できる更なる成分としては、炭水化物(例えばマンニトール、ソルビトール、キシリトール、グルコース、シュークロース、フルクトース、マルトース、デキストロース、マルトデキストリンおよび/またはカオリン)、およびまたはセルロース誘導体(例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、および/または炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムおよび/またはステアリン酸グリセロールである。本発明の経口投与剤はさらに染料、フレーバー(香味料)、および/またはアロマ(香料)並びに潤滑剤、抗酸化剤および/または安定剤を含んでもよい。これらの基本物質の量は、一方では、プロバイオティック微生物、ビタミン、酵素、繊維質食品等の目標含量に依存し、他方では、経口投与剤の機械的-物理的性質(例えば、硬さ、圧縮性、サイズ、カラーおよび/または形状)を決定する基準に依存する。
【0020】
本発明の経口投与剤は、当業者に既知の様々な方法により製造することができる。これらの方法は、例えば、H. Sucker, P. Fuchs, P. Speiser, “Pharmazeutische Technologie” [Pharmaceutical Technology], Stuttgart 1978またはK.H. Bauer, K.H. Fromming, C. Fuhrer, “Pharmazeutische Technologie” [Pharmaceutical Technology], Stuttgart 1986.に記載されている。これらを参考のために本明細書に組み入れるものとし、従ってこれらの内容は本明細書の一部である。
実施例は本発明を限定することなく説明するものである。
【実施例】
【0021】
実施例1
45%のバクテリア製剤、28.7%のリン酸三カルシウム、19%の微結晶セルロース、2%のパルミトステアリン酸グリセリル、0.6%のステアリン酸マグネシウム及び4.7%の崩壊剤からなる混合物を、ビタミンと鉱物混合物と共に、E. Hataロータリータブレットプレス機で圧縮して、コアの重さが1.0gで、サイズが18.0mm×8.0mm×7.2mmの豆の形状のタブレットを得た。次に35部のヒドロキシプロピルメチルセルロースと65部のヒドロキシプロピルセルロースの混合物を、水溶液で、バッチサイズが15kgのオーハラドラムコーター(O'Hara drum coater)によりスプレーした。スプレーしたヒドロキシプロピルメチルセルロース/ヒドロキシプロピルセルロース混合物の量は、コア質量に対して5質量%であり、これはタブレット表面1cm2あたり11.74mgに相当する。
TNOモデルにおけるインビトロ実験では、非被覆タブレットコアと、実施例1の被覆タブレットコアを比較した。100%初期値からの回収率は、胃と小腸のモデルを通過した後のプロバイオティック微生物の生存率を表す。


【0022】

【0023】
実施例2
65%のバクテリア製剤、20%のリン酸三カルシウム、6%の微結晶セルロース、2%のパルミトステアリン酸グリセリル、0.6%のステアリン酸マグネシウムおよび6.4%の崩壊剤の混合物を、ビタミンおよび鉱物混合物と共に、フェッテロータリータブレットプレス(Fette rotary tablet press)中で圧縮し、コア質量が1.35gであり、21.0mm×10.0mm×8mmの大きさの豆形状のタブレットを得た。50部のヒドロキシプロピルメチルセルロースと50部のヒドロキシプロピルセルロース の混合物を次に、水溶液で、バッチサイズが15kgのオーハラドラムコーター(O'Hara drum coater)によりスプレーした。スプレーしたヒドロキシプロピルメチルセルロース/ヒドロキシプロピルセルロース混合物の量は、コア質量に対して7質量%であり、これはタブレット表面1cm2あたり17.42mgに相当する
【0024】
実施例3
45%のバクテリア製剤、28.7%のリン酸三カルシウム、19%の微結晶セルロース、2%のパルミトステアリン酸グリセリル、0.6%のステアリン酸マグネシウム及び4.7%の崩壊剤からなる混合物を、ビタミンと鉱物混合物と共に、E. Hataロータリータブレットプレス機で圧縮して、コアの重さが1.0gで、サイズが18.0mm×8.0mm×7.2mmの豆の形状のタブレットを得た。次に35部のヒドロキシプロピルメチルセルロースと65部のヒドロキシプロピルセルロースの混合物を、水溶液で、胃(stomach)サイズが250kgのペレグリニドラムコーター(Pellegrini drum coater)によりスプレーした。スプレーしたヒドロキシプロピルメチルセルロース/ヒドロキシプロピルセルロース混合物の量は、コア質量に対して5質量%であり、これはタブレット表面1cm2あたり11.74mgに相当する。
TNOモデルにおけるインビトロ実験では、非被覆タブレットコアと、実施例3の被覆タブレットコアを比較した。100%初期値からの回収率は、胃と小腸のモデルを通過した後のプロバイオティック微生物の生存率を表す。
【0025】

【0026】
実施例4
65%のバクテリア製剤、20%のリン酸三カルシウム、6%の微結晶セルロース、2%のパルミトステアリン酸グリセリル、0.6%のステアリン酸マグネシウムおよび6.4%の崩壊剤の混合物を、ビタミンおよび鉱物混合物と共に、フェッテロータリータブレットプレス(Fette rotary tablet press)中で圧縮し、コア質量が1.35gであり、21.0mm×10.0mm×8mmの大きさの豆形状のタブレットを得た。35部のヒドロキシプロピルメチルセルロースと65部のヒドロキシプロピルセルロース の混合物を次に、水溶液で、胃(stomach)サイズが15kgのオーハラドラムコーター(O'Hara drum coater)によりスプレーした。スプレーしたヒドロキシプロピルメチルセルロース/ヒドロキシプロピルセルロース混合物の量は、コア質量に対して7質量%であり、これはタブレット表面1cm2あたり17.42mgに相当する
【0027】
実施例5
45%のバクテリア製剤、28.7%のリン酸三カルシウム、19%の微結晶セルロース、2%のパルミトステアリン酸グリセリル、0.6%のステアリン酸マグネシウム及び4.7%の崩壊剤からなる混合物を、ビタミンと鉱物混合物と共に、E. Hataロータリータブレットプレス機で圧縮して、コアの重さが1.0gで、サイズが18.0mm×8.0mm×7.2mmの豆の形状のタブレットを得た。次に35部のヒドロキシプロピルメチルセルロースと65部のヒドロキシプロピルセルロースの混合物を水に溶解し、その後ポリマー乾燥物質に対して5質量%のステアリン酸マグネシウムを加え、混合物を、胃(stomach)サイズが250kgのペレグリニドラムコーター(Pellegrini drum coater)によりスプレーした。スプレーしたヒドロキシプロピルメチルセルロース/ヒドロキシプロピルセルロース混合物の量は、コア質量に対して5質量%であり、これはタブレット表面1cm2あたり11.74mgに相当する。
【0028】
実施例6
45%のバクテリア製剤、28.7%のリン酸三カルシウム、19%の微結晶セルロース、2%のパルミトステアリン酸グリセリル、0.6%のステアリン酸マグネシウム及び4.7%の崩壊剤からなる混合物を、ビタミンと鉱物混合物と共に、E. Hataロータリータブレットプレス機で圧縮して、コアの重さが1.0gで、サイズが18.0mm×8.0mm×7.2mmの豆の形状のタブレットを得た。次に35部のヒドロキシプロピルメチルセルロースと65部のヒドロキシプロピルセルロースの混合物をエタノール/水混合物(70部:30部)に溶解し、その後ポリマー乾燥物質に対して5質量%のステアリン酸マグネシウムを加え、混合物を、胃(stomach)サイズが333kgのペレグリニドラムコーター(Pellegrini drum coater)によりスプレーした。スプレーしたヒドロキシプロピルメチルセルロース/ヒドロキシプロピルセルロース混合物の量は、コア質量に対して7質量%であり、これはタブレット表面1cm2あたり16.43mgに相当する。
【0029】
実施例7
45%のバクテリア製剤、28.7%のリン酸三カルシウム、19%の微結晶セルロース、2%のパルミトステアリン酸グリセリル、0.6%のステアリン酸マグネシウム及び4.7%の崩壊剤からなる混合物を、ビタミンと鉱物混合物と共に、E. Hataロータリータブレットプレス機で圧縮して、コアの重さが1.0gで、サイズが18.0mm×8.0mm×7.2mmの豆の形状のタブレットを得た。次に35部のヒドロキシプロピルメチルセルロースと60部のヒドロキシプロピルセルロースおよび5部のヒドロキシエチルセルロースの混合物を水溶液で、バッチサイズが5kgのボーレドラムコーター(Bohle drum coater )によりスプレーした。スプレーしたヒドロキシプロピルメチルセルロース/ヒドロキシプロピルセルロース/ヒドロキシエチルセルロース混合物の量は、コア質量に対して5質量%であり、これはタブレット表面1cm2あたり11.74mgに相当する。
【0030】
実施例8
9.8%のバクテリア製剤、35.0%のイヌリン、28.7%のリン酸三カルシウム、18.9%の微結晶セルロース、2%のパルミトステアリン酸グリセリル、0.6%のステアリン酸マグネシウム及び5.0%の崩壊剤からなる混合物を、ビタミンと鉱物混合物と共に、E. Hataロータリータブレットプレス機で圧縮して、コアの重さが1.0gで、サイズが18.0mm×8.0mm×7.2mmの豆の形状のタブレットを得た。次に65部のヒドロキシプロピルメチルセルロースと35部のヒドロキシプロピルセルロースの混合物を水に溶解し、バッチサイズが333kgのペレグリニドラムコーター(Pellegrini drum coater)によりスプレーした。スプレーしたヒドロキシプロピルメチルセルロース/ヒドロキシプロピルセルロース混合物の量は、コア質量に対して5質量%であり、これはタブレット表面1cm2あたり11.74mgに相当する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロバイオティック微生物種を含む経口投与剤であって、経口投与剤それ自体および/またはプロバイオティック微生物が、少なくとも二種類のセルロースエーテルを含む被覆を有する上記経口投与剤。
【請求項2】
タブレット、ドラジェ、カプセル、顆粒、または粉末、好ましくはタブレット、特に好ましくは多層タブレットである、請求項1記載の経口投与剤。
【請求項3】
プロバイオティック微生物が、ラクトバチルス(Lactobacilli)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacteria)および/またはストレプトコッカス(Streptococci)であり、好ましくはラクトバチルスカセイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルスアシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルスビフィダム(Lactobacillus bifidum)、ラクトバチルスガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルスプランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルスジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルスラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルスパラカセイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルスクリスパツス(Lactobacillus crispatus)、ビフィドバクテリウムロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウムビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウムロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウムラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウムブレビス(Bifidobacterium brevis)、ビフィドバクテリウムアニマリス(Bifidobacterium animalis)ビフィドバクテリウムアドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウムインファンティス(Bifidobacterium infantis)、ストレプトコッカスサーモフィルス(Streptococcus thermophilus)および/またはラクトコッカスラクティス(Lactococcus lactis)である、請求項1または2に記載の経口投与剤。
【請求項4】
103から1012の、好ましくは105から1011の、及び特に好ましくは107から1010のプロバイオティック微生物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の経口投与剤。
【請求項5】
被覆中に存在するセルロースエーテルが、エーテル置換基として、ヒドロキシアルキル基、好ましくはヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルおよび/またはジヒドロキシプロピル基、特に好ましくはヒドロキシプロピル基を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の経口投与剤。
【請求項6】
被覆中に存在する少なくとも一種のセルロースエーテルが、エーテル置換基として、ヒドロキシアルキル基以外に、アルキル基、好ましくはメチルおよび/またはエチル基、特に好ましくはメチル基を含む、請求項5記載の経口投与剤。
【請求項7】
被覆が、エーテル置換基としてヒドロキシアルキル基のみを含むセルロースエーテルと、エーテル置換基としてヒドロキシアルキル基以外にアルキル基をも含むセルロースエーテルを共に含む、請求項6記載の経口投与剤。
【請求項8】
セルロースエーテルがヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースである、請求項7記載の経口投与剤。
【請求項9】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースとヒドロキシプロピルセルロースが、90:10〜10:90の質量比、好ましくは70:30〜30:70の質量比、特に好ましくはほぼ35:65の質量比で存在する、請求項8記載の経口投与剤。
【請求項10】
更に栄養関連添加剤、好ましくはビタミン、鉱物、微量元素、繊維質食品、酵素、植物抽出物、タンパク質、炭水化物および/または脂肪を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の経口投与剤。
【請求項11】
被覆が水溶液および/または有機溶液により、好ましくは水溶液により塗布される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の経口投与剤。

【公表番号】特表2008−500294(P2008−500294A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513729(P2007−513729)
【出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004835
【国際公開番号】WO2005/117921
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】