説明

プロンプター装置

【課題】 被写体とプロンプター装置との距離に応じて、画像情報の大きさを制御し、被写体が画像情報を見やすくすることを可能にした、プロンプター装置を提供すること。
【解決手段】 プロンプター装置は、レンズを有し、被写体を撮影する撮像光学部と、画像を表示するための表示画面を有する表示部と、被写体までの距離を計測する距離計測手段と、前記距離計測手段で得られた被写体までの距離が長いほど、前記画像を前記表示画面に大きく表示させるように前記表示部を制御する制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロンプター装置に関し、原稿などの画像情報を、被写体の前方に表示するプロンプター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ放送では、被写体である、例えばアナウンサーが、被写体が恰も原稿を暗記して話しているかのように視線をテレビカメラに向けながら撮影するために、アナウンサーが必要な文字や図形等を示す原稿を、テレビカメラの近傍に配置した表示部に表示するプロンプター装置が知られている。プロンプター装置と被写体は、数m以上離れていることが多い。被写体であるアナウンサー等は、その離れた間隔を通して、テレビカメラ近傍に配置された表示部の原稿を見ることで、テレビカメラから視線を外さずに原稿を読みながら話すことができる。
【0003】
例えば、特許文献1では、予め決められた原稿読み時間と、原稿の単語数及び文字数とに基づいて被写体の原稿読み速度を算出し、表示部に原稿を表示するプロンプター装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3298254号公報
【特許文献2】特開平05-041830号公報
【特許文献3】特開平09-251534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献に開示された従来技術では、被写体とプロンプター装置との距離が遠く離れると、被写体であるアナウンサー等が表示部に表示される原稿の文字が小さくて読みにくくなってしまうという問題があった。そこで、本発明は、被写体とプロンプター装置との距離に応じて、画像情報の大きさを制御し、被写体が画像情報を見やすくすることを可能にした、プロンプター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のプロンプター装置は、レンズを有し、被写体を撮影する撮像光学部と、画像を表示するための表示画面を有する表示部と、被写体までの距離を計測する距離計測手段と、前記距離計測手段で得られた被写体までの距離が長いほど、前記画像を前記表示画面に大きく表示させるように前記表示部を制御する制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被写体とプロンプター装置との距離に応じ、画像情報の大きさを制御するため、被写体が画像情報を見やすくなるプロンプター装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のプロンプター装置の概略図。
【図2】本発明の実施例1におけるプロンプター装置のシステムの構成図。
【図3】本発明の実施例1における画像情報を表示部に出力した時のイメージ図。
【図4】本発明の実施例1のプロンプター装置における被写体の距離情報と画像情報の相関関係を示す模式図。
【図5】本発明のハーフミラーを有したプロンプター装置の概略図。
【図6】本発明の実施例1における設定情報と原稿情報とを重畳した時の制御部の処理フローを示すフローチャート。
【図7】本発明の実施例1における設定情報と映像情報とを重畳した時の制御部の処理フローを示すフローチャート。
【図8】本発明の実施例2におけるプロンプター装置のシステムの構成図。
【図9】本発明の実施例2における優先順位設定手段のデータベース。
【図10】本発明の実施例3におけるプロンプター装置のシステムの構成図。
【図11】本発明の実施例3における顔検出枠と測距枠を示す図。
【図12】本発明の実施例3における制御部の処理フローを示すフローチャート。
【図13】本発明の実施例3における複数人の顔検出枠を示す図。
【図14】本発明の実施例4におけるプロンプター装置のシステムの構成図。
【図15】本発明の実施例4における顔登録データを示す図。
【図16】本発明の実施例4における制御部の処理フローを示すフローチャート。
【図17】本発明のデジタルビデオにおける概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかわるプロンプター装置の概略を示す図である。
【実施例1】
【0010】
以下、図1から図5を参照して、本発明の第1の実施例について説明する。まず、本発明のプロンプター装置は、被写体を撮影する撮像光学部と、被写体であるアナウンサー等に見せるための文字等の情報を表示する表示部を備えている。ここで、被写体の撮影とは、光学系を介して被写体の像を撮像素子上に形成し、その撮像素子上に形成された被写体像を光電変換して記憶する動作を指しても良いし、また単に被写体の像を結ぶ動作を指しても構わない。
最初に、図1及び図2を参照しながらプロンプター装置と、その周辺機器を含む撮影システムの概略の構成を説明する。
【0011】
撮像光学部1は、ズーム倍率を変化させるためのズーム群及び焦点調整するためのフォーカス群等のレンズ群や、アイリス機構や、フィルタ機構や、音声を取得するためのマイクや、撮像光学部1のフォーカス値などの設定情報を記憶し出力する機能、などを有する。撮像光学部1は、光学系と撮像素子を通して撮影された被写体像の映像信号を出力する。また撮像光学部1は、後述する画像入力部6に対して撮像光学部1の設定情報を出力する。ここで言う設定情報とは、後述する被写体2が必要な日時表示の情報や、被写体距離の情報や、音響に関する情報や、撮影中又は撮影停止を示す情報等である。以降、撮像光学部1から画像入力部6aに出力される情報を、設定情報と定義する。尚、ここでの撮像光学部は、撮像素子等を備える撮像装置本体(カメラ本体)と、その撮像素子に対して被写体からの光を導くレンズ装置とを備えることとしたが、撮像光学部はレンズ装置のみであっても構わない。
【0012】
撮像光学部1が撮影する被写体2は、放送局のアナウンサー、ニュースキャスター、司会者、出演者等であり、撮像光学部1の近傍に配置された後述する表示部9の画像情報を見ながら、視線を撮像光学部1から視線を外さずに話すことができる。
【0013】
距離計測手段3は、撮像光学部1に内蔵されているか又は撮像光学部1の近傍に設けられ、被写体2との距離を計測する測距センサであり、被写体までの距離Lを、少なくとも一対以上のラインセンサを有した位相差検出方式で測定し、測定した測距値を、後述する制御部7に出力する。或いは、撮像光学部1のフォーカス群の位置より焦点距離値を制御部7に出力しても良い。以降、距離計測手段3から制御部7に出力される値と、フォーカス群の位置より求められる焦点距離値を含め、距離情報と定義する。ここでの被写体までの距離Lとは、主被写体(合焦の対象となっている被写体)と撮像素子との距離、主被写体と合焦状態を検出する合焦検出素子との距離、主被写体と撮像光学部との距離等であれば良く、主被写体と撮像光学部のいずれかの部位までの距離としても構わない。また、ここでの被写体までの距離Lは、必ずしも実際の距離である必要は無く、被写体までの距離に相当するデータを含む距離情報であれば足りる。
【0014】
原稿入力装置4は、パソコンのキーボード等で被写体2が必要なテキスト情報を文字データ形式で入力し、その情報を画像入力部6へ出力する。以降、原稿入力装置4から画像入力部6に出力される情報を、原稿情報と定義する。
【0015】
原稿用カメラ5は、被写体が机の上に置いた紙の原稿等を撮影するために、被写体の上方部に配置されている。原稿用カメラ5で撮影された映像は、画像データとして画像入力部6に出力される。以降、原稿用カメラ5から画像入力部6に出力される映像を、映像情報と定義する。ここで、撮影する原稿は、被写体の机の上の原稿に限られることはなく、被写体とは別の場所に用意された情報を撮影して、被写体であるアナウンサー等に提供する場合等の映像情報も含むものとする。
【0016】
以後、設定情報、原稿情報、映像情報からなる、表示部9に表示させるための情報の元となる情報を、画像元情報と呼ぶ。
【0017】
撮影者または被写体2が制御部7に接続された操作部8を操作することによって、表示部に表示させたい情報が、設定情報、原稿情報、映像情報の中から少なくとも1つ選択される。以後、どの情報が選択されたかを示す情報を選択情報と記す。制御部7は、画像入力部6から選択された情報を取得する。操作部8で2つ以上の情報が選択された場合、制御部7は、選択された情報を重畳して表示部9に表示するための画像情報を作成し、表示部9に出力する。例えば、図3(a)の例では、制御部7は、設定情報と原稿情報とを重畳した画像情報を表示部9に出力している。また、図3(b)の例では、制御部7は、設定情報と映像情報とを重畳(合成)した画像情報を表示部9に出力している。
【0018】
また、制御部7は、距離情報に基づき、画像情報をどのような大きさで表示部9に表示するかを制御する表示制御手段7aを有する。表示制御手段7aは、制御部7の不揮発性のメモリに記憶された図4に示すような距離情報と画像情報との関係を基に、表示部9に表示する画像情報の大きさを算出する。ここでいう画像情報の大きさとは、画像情報をどの程度の大きさで表示部9に表示するかを表す量である。例えば、文字データ形式の画像情報を有する場合には、表示する文字の大きさ(一文字の大きさ)を表す量となるので、フォントサイズ等の文字サイズに対応するものである。従って、画像情報が大きい(拡大して表示する)ほど、表示部9の画面内に一度に表示できる情報量は少なく、画像情報が小さい(縮小して表示する)ほど、表示部9の画面内に一度に表示できる情報量は多いことになる。図4(a)の直線sは、距離情報が大きく(被写体距離が長く)なればなるほど、画像情報が大きくなる(画像情報を拡大表示する)ことを示す。例えば、被写体2と距離計測手段3との距離が長い時を図3(a)に示し、距離が短い時を図3(c)に示す。図3(a)に対し、図3(c)は、距離が短くなった分、表示部9に表示される文字のフォントサイズが小さくなり、表示される情報量が増えることになる。
【0019】
また図4(a)の交点hに示すよう、距離情報の値が0に近づいても、ある一定の画像情報の大きさhを確保しても良い。また、直線sと交点nと直線tとを結ぶ非線形の直線が示すように、画像情報の大きさに上限を設けても良い。交点hの値及び画像情報の大きさに上限tは、撮影者が操作部8より入力することにより、又は、表示部9のモニタサイズに基づいて算出することにより、与えられるようにしてもよい。上限が必要な理由は、直線sでは、被写体2と距離計測手段3との距離が長くなるほど、画像情報の大きさが大きくなり、表示部9に示す文字等の情報量が少なくなる為に、画像情報を必要以上に拡大表示しすぎると、むしろ被写体2にとって意味のない画像情報となってしまうためである。また図4(a)の例示した距離情報と画像情報との関係に限らず、図4(b)の曲線u、曲線v、曲線wに示すような非線形な相関関係に基づき、画像情報の大きさ(画像情報を表示する倍率)を制御しても良い。本発明では上述のように、合焦の対象となっている主被写体(アナウンサー等)までの距離が長くなれば表示する画像情報(文字)の大きさを大きくし、距離が短くなれば表示する画像情報の大きさを小さくするようにしている。つまり、主被写体が撮像光学部から遠ざかる方向に移動した場合には、表示する画像情報を拡大するように変更し、主被写体が撮像光学部に近づく方向に移動した場合には、表示する画像情報を縮小するように変更する。ここで、入力された画像情報の大きさについて記載していないが、入力された画像情報を前述の大きさの文字に変換するための拡大操作、縮小操作は周知の技術を用いて適宜行うこととする。また、ここでは、表示する情報が文字の場合を主に記載したがこの限りではなく、写真や動画等の映像であっても構わない。
【0020】
撮影者又は被写体2は、操作部8を操作することによって、制御部7で重畳して画像情報を作成するための画像入力部6からの画像元情報の選択や、制御部7の表示制御手段7aの有効無効の設定や、撮影開始又は停止や、撮像光学部1のズーム倍率等の変更や、表示部9のモニタサイズの入力等を、操作することができる。
【0021】
制御部7から表示部9に出力された画像情報を表示する表示部9と撮像光学部1との位置関係は2通りある。その一つは、図1のプロンプター装置の概略図に示したように、表示部が撮像光学部1近傍に配置されている場合である。図1の例では表示部9は撮像光学部1の上部に配置されている場合を示した。もう一つは、図5のプロンプター装置の概略図に示したように、表示部9を、撮像光学部1の前方下側に表示部9の表示画面方向を上方に向けて配置し、表示部9の表示画面に対し、45°傾斜したハーフミラー10が撮像光学部1の前方に配置される場合である。
【0022】
次に、図6を参照して、実施例1における設定情報と原稿情報とを重畳した時の制御部7の処理フローについて説明する。図6は、画像入力部6が、撮像光学部1の設定情報と原稿入力装置4の原稿情報とを重畳し、制御部7へ画像情報を出力する時のフローチャートである。
【0023】
ステップS101で、制御部7は、操作部8で選択された選択情報に基づいて、画像入力部6からの画像情報(原稿入力装置4からの原稿情報と撮像光学部1からの設定情報)を読込み、ステップS102へ進む。
【0024】
ステップS102で、距離情報を距離計測手段或いは撮像光学部から読込み、ステップS103へ進む。
【0025】
ステップS103で、図4に示す制御部7に記憶された表示制御手段7aの距離情報と画像情報との相関関係に基づき、画像情報の大きさ(画像情報を表示する倍率等)を算出する。
【0026】
ステップS104で、ステップS103で算出された結果に基づき、原稿情報と設定情報を拡大や縮小した上で或いは拡大縮小せずに重畳して画像情報を作成し、表示部9に出力する。
【0027】
次に、図7を参照して実施例1における設定情報と映像情報とを重畳した時の制御部7の処理フローについて説明する。図7は、画像入力部6が、撮像光学部1の設定情報と原稿用カメラ5の映像情報とを重畳し、画像情報を出力する時のフローチャートである。
【0028】
ステップS111で、制御部7は、操作部8で選択された選択情報に基づいて、画像入力部6からの情報(原稿撮影カメラ5からの映像情報と撮像光学部1からの設定情報)を読込み、ステップS112へ進む。
【0029】
ステップS112では、距離情報を距離計測手段或いは撮像光学部から読込み、ステップS113へ進む。
【0030】
ステップS113では、図4に示す制御部7に記憶された表示制御手段7aの距離情報と画像情報との相関関係に基づき、画像情報の大きさ(画像情報を表示する倍率等)を算出する。
【0031】
ステップS114では、表示部9に対し、画像情報の大きさを変化させた時に表示される表示部9の表示枠を、プレビュー表示するよう、映像情報と所定の位置に表示される設定情報を重畳した画像情報に、表示枠を重ねた画像情報を表示部9に出力する。例えば、図3(b)に示す破線枠が、プレビュー表示された時の表示部9の表示となる。
【0032】
ステップS115では、まず表示部9に表示されたプレビュー表示の破線枠の位置を変更する為に、破線枠の基準位置を決定する要求を表示部9に表示する。次に被写体2あるいは撮影者が操作部8を操作することによって、基準位置を選択した信号が制御部7に入力される。
【0033】
ステップS116では、ステップS115で選択された基準位置とステップS113で算出された結果である画像情報の大きさ(表示枠)に基づき、表示枠内の画像情報が表示部9のフルスクリーンで表示され、設定情報が変更された画像情報内の所定の位置に表示されるように、制御部7は画像情報を生成し表示部9に出力する。例えば、ステップS115で選択した基準位置とステップS113で算出された結果に基づき、表示部9に表示された画像情報を図3(d)に示す。
【0034】
なお制御部7が設定情報、原稿情報、映像情報を重畳する時、表示部9へ表示される表示色を各情報によって変化させてもよい。例えば、設定情報を赤色、原稿情報を青色で表示するように重畳して画像情報を作成し、表示部9に表示してもよい。
【0035】
なお表示制御手段7aによって、画像情報の大きさが変化した時、制御部7によって、表示部9に表示される画像情報のスクロール速度を変化させても良い。例えば、特許文献1に示すよう、表示される画像情報の大きさが小さく文字数が多い場合は、スクロール速度を遅くし、表示される画像情報の大きさが大きく文字数が少ない場合は、スクロール速度を早くすれば良い。
【0036】
本実施例では、原稿入力装置4から入力された文字データ形式の原稿情報と、原稿撮影カメラ5から入力された画像データ形式の映像情報を例示して説明した。文字データ形式の原稿情報については、テキスト情報が含まれていて、表示するページレイアウト(上下左右のマージン位置等)やフォント、フォントサイズ等を指定することによって、情報の内容に影響を与えることなく、改行位置や改頁位置などの体裁を自在に変更可能な例として取り上げた。また、画像データ形式の映像情報については、映像情報内の配置等の構成を含む内容を変更することができない情報の例として取り上げた。従って、原稿入力装置4の一例として挙げたパソコンのような装置で編集された電子情報であっても、ページレイアウトやフォントなどを変更することが出来ないデータタイプの情報は、上記の実施例で画像データ形式の映像情報に対して実施した画像情報の大きさの変更方法を適用することで本発明の効果を享受することが出来る。また、パソコンのような装置で編集された電子情報で、文字データ形式のデータと文字データ以外の例えば画像データ形式等のデータが混在する情報については、その混在するデータに対してページレイアウトやフォント等を変更することが出来るソフトウエアを使用することによって、制御部において画像情報の大きさを適宜変更し、本発明の効果を享受することが出来ることに留意されたい。
【0037】
実施例1の効果として、被写体とプロンプター装置との距離に応じ、表示される画像情報の大きさが制御されるため、アナウンサー等の被写体が画像情報を見やすい状況を維持できるプロンプター装置を提供することができる。
【実施例2】
【0038】
以下、図8、9を参照して、本発明の第2の実施例について説明する。上述した実施例1と同じ部分は省略する。図8を参照しながらプロンプター装置を有する撮影システムの構成を説明する。
【0039】
制御部20は、優先順位設定手段20bを有し、優先順位設定手段20bは、設定情報と原稿情報の、文字や図形等の各文字群に対し、表示部9に表示する優先順位を設定し、データベース上に保存する。データベースは、不揮発性のメモリに記憶されているか、あるいは、操作部21を操作することにより優先順位を設定したり書き込みすることが可能なメモリに記憶されている。優先順位設定手段20bのデータベースの例を図9に示す。図9では、もっとも優先順位の高い項目を原稿情報とし、次に優先順位の高い項目を設定情報の撮影中又は撮影停止とした。また制御部20は、実施例1の制御部7の機能に加え、距離情報に基づいて決定される画像情報の大きさと、優先順位設定手段20bで設定された優先順位に基づき、優先順位の高い項目を優先的に表示する表示制御手段20aを有する。表示制御手段20aは、決定された画像情報の大きさと表示部のスクリーンサイズに基づいて、必要に応じて、優先順位が低く設定されている項目を表示しない判断をする。
【0040】
表示制御手段20aの制御を、図9と図3(a)と図3(c)とを用いて説明する。図9では、優先順位を、原稿情報>設定情報の「撮影中(ON AIR)又は停止」>設定情報の「時刻」>設定情報の「日付」>・・・・、と設定している。次に距離情報に対応して、表示部9に表示された画像情報は、図3(c)に示すように、優先順位の高い原稿情報と、設定情報の「撮影中(ON AIR)」と、設定情報の「時刻」と、設定情報の「日付」であるとする。そして、距離情報の値が大きくなるように変化すると、表示制御手段20aの制御により、変更後の距離情報に対応して図3(a)に示すよう、原稿情報と、設定情報の「撮影中」と、設定情報の「時刻」とは文字の大きさが大きく表示され、設定情報の「日付」は表示から消去される。
【0041】
表示制御手段20aは、画像元情報を重畳して作成する、表示部9に出力する画像情報内の情報量が所定の閾値を超えないように、優先順位の高い画像元情報から優先的に重畳する画像元情報として使用する。実施例2の効果として、優先順位の高い画像情報を優先的に表示し、画像情報の大きさを制御するため、被写体とプロンプター装置の距離が遠く離れても、被写体2が必要な画像情報を見やすくなるプロンプター装置を提供することができる。また、被写体とプロンプター装置の距離が遠く離れ、画像情報を大きく表示する場合に、優先順位の高い順に表示部9に情報を表示するので、限られたスクリーン内で、被写体に必要な画像情報を、状況に応じ視認しやすく提供することができる。
【実施例3】
【0042】
以下、図10乃至13を参照して、本発明の第3の実施例であるプロンプター装置について説明する。上述した実施例1と実施例2と同じ部分については説明を省略する。図10を参照しながら本実施例のプロンプター装置を有する撮影システムの構成を説明する。
【0043】
制御部30は、表示制御手段30aと、顔検出手段30bと、を備える。顔検出手段30bは、撮像光学部1で得られた映像データ内で、人物の顔を認識してその撮影映像内での領域を検出する。例えば、人物の顔領域の検出方法としては、撮像画像の肌色領域の形状から判定する方法(特許文献2参照)や、撮影画像と複数の標準パターンとのパターンマッチング法によって判定する方法(特許文献3参照)等が適用可能である。
【0044】
撮像光学部1で得られた画像内に、顔検出手段30bが人物の顔を検出すると、例えば、図11(a)に示すように検出した人物の顔を破線枠で示す。一方、図11(b)は、撮像光学部1が撮影する映像に対し、距離計測手段3が測距可能な35箇所の位置を35個の破線の円で示したものである。距離計測手段3は、撮影画面上を複数個に分割したそれぞれの範囲において測距することができる。
【0045】
次に、図12を参照して、実施例3における制御部7の顔検出手段30bが、人物の顔を検出した直後の表示制御手段30aの処理フローについて説明する。
【0046】
ステップS301では、顔検出手段30bが顔検出した撮像画面上の位置を算出する。
【0047】
ステップS302では、ステップS301で算出された顔検出した撮像画面上の位置に対する、距離計測手段3の測距値を読み込む。例えば、図11(b)では、No.9の破線枠に対する測距値となる。この時、顔の画像が複数の測距位置にまたがる場合は、複数個の測距値を平均化しても良い。
【0048】
ステップS303では、測距値に応じ、画像情報の大きさを算出する。
【0049】
ステップS304は、ステップS303で算出された測距値に基づき、画像入力部6から入力された情報の大きさを拡大又は縮小又は変更せずに、重畳して画像情報を作成し、画像情報を表示部9に出力する。
【0050】
なお、顔検出手段30bが少なくとも1人以上の顔を検出した場合には、撮像光学部1の映像を表示するファインダー32に顔検出の枠を表示し、撮影者が操作部8を操作することにより特定の人物を選択し、その選択された人物の距離情報をもとに画像情報の大きさを制御しても良い。例えば、図13は、ファインダー32に顔検出の枠が表示され、撮影者が操作部8を人物選択手段として操作することにより顔検出枠Aを対象被写体として選択した時の表示を示す。
【0051】
なお、本実施例は顔検出手段30bが顔検出した撮像画面上の位置を、距離検出手段3が測距していたが、顔検出手段30bが顔検出しなくても、操作部8で撮像画面上の位置を特定し、特定された位置を測距し、画像情報の大きさを制御しても良い。
実施例3の構成を有することにより、撮像光学部1に被写体2が映し出されれば、自動的に撮像映像内で被写体2の顔を検出するため、撮影者が操作部9によって被写体2の位置を特定する作業が軽減される、という効果を享受できる。さらに、撮影中に撮像光学部1と被写体2の相対的な位置関係が変化した時、例えば、撮像光学部1が旋回した時や被写体2が前後左右に動いた時にも、自動的に撮像映像内で被写体2の顔を検出し、検出した位置の距離情報に応じて画像情報の大きさを制御するため、撮影者が操作部9によって被写体2の位置を特定する作業を軽減することが可能となる、という効果を享受できる。
【実施例4】
【0052】
以下、図14乃至16を参照して、本発明の第4の実施例におけるプロンプター装置について説明する。上述した実施例1から実施例3と同じ部分についての説明は省略する。図14を参照しながらプロンプター装置を有する撮影システムの構成を説明する。
【0053】
制御部40は、表示制御手段40aと、優先順位設定手段40bと、顔検出手段40cと、を備える。
【0054】
優先順位設定手段40bは、撮像光学部1が撮影した人物の顔の特徴点に基づき顔登録データ(顔情報)を生成する。例えば、検出した顔の特徴点の位置、特徴点から顔パーツの大きさ、各特徴点の相対距離などから、人物の顔登録データを生成する。生成された顔登録データは、制御部40に記憶される。図15に示すよう、記憶された顔登録データは、操作部8によって、優先順位を設定入力できる。また記憶された顔登録データに対し、操作部8やその他の入力手段により、氏名や視力等の個人情報を追加入力できるようにしてもよい。
【0055】
次に、図16を参照して、実施例4における制御部40の顔検出手段40cが、複数の人物を検出した直後の表示制御手段40aの処理フローについて説明する。
【0056】
ステップS401では、顔検出手段40cが検出した人物の数Nを記憶する。また検出したそれぞれの人物に対し番号(1〜N)を割当て、記憶する。例えば図13では、顔検出枠A=1、顔検出枠B=2、顔検出枠C=3と番号を割当てる。また後述するステップS405の顔の認識処理数iをi=0と初期化する。
【0057】
次に、ステップS402で、顔検出手段40cが顔検出した全ての人物の撮像画面上の位置を算出し、ステップS403へ進む。
【0058】
ステップS403では、ステップS402で算出された撮像画面上の位置に対する、距離計測手段3の測距値を読み込み、ステップS404へ進む。
【0059】
ステップS404では、顔の認識処理数iをインクリメントし、ステップS405へ進む。
【0060】
ステップS405では、記憶された顔の認識処理数iの値と一致する割当番号の顔領域に対して、顔の特徴点を抽出する顔認識処理を実行して、新規の顔登録データを生成し記憶する。ステップS405での顔認識処理は、ピンボケの無い鮮明な画像より顔認識処理を実行するために、撮像光学部1のフォーカス群やアイリス機構などを駆動してもよい。
【0061】
次に、ステップS406で、i≧Nであるか否かを判定し、i≧Nの時はステップS407へ進み、i<Nの時はステップS404へ戻り次の人物の顔認識処理をする。
【0062】
ステップS407では、ステップS405で生成された新規の顔登録データの特徴点と、過去の優先順位が付けられた顔登録データの特徴点が一致するか否かを判定する。特徴点が一致する顔が含まれている場合は、ステップS408へ進み、含まれていない場合はステップS410に進む。
【0063】
ステップS408では、ステップS407で特徴点が一致すると判定された顔登録データの内、もっとも優先順位の高い顔領域を判定し、ステップS409に進む。ステップS409では、ステップS408で判定された優先順位の高い顔の距離情報に応じ、さらに、該優先順位の高い顔として認識された人物に対応する視力等の付帯データに対応させて、表示部9に表示する画像情報の大きさを算出し、ステップS411に進む。
【0064】
ステップS410では、複数の顔に対する距離情報の平均値に応じ、画像情報の大きさを算出する。あるいは、複数の顔の中で撮像画面中央にある顔に対応する距離情報に応じて、画像情報の大きさを算出してもよい。あるいは、複数の顔に対応する距離情報の中でもっとも値の小さい距離情報に応じて、画像情報の大きさを算出してもよい。この後、ステップS411に進む。
【0065】
ステップS411では、ステップS409あるいはステップS410で算出された結果に基づき、画像入力部から入力された情報の大きさを拡大又は縮小、又は、変更することなく、重畳して画像情報を作成し、表示部9に出力する。
【0066】
実施例4においては、顔認識した複数の被写体2の内、画像情報を見やすく提供すべき、優先順位の高い人物を自動的に判定し、画像情報の大きさを調整するため、撮影者が操作部9によって被写体2の位置を特定する作業を軽減することができる。
【0067】
なお、上述した実施例では、表示部9に表示された画像情報は、1人の人物に対する画像情報と示していたが、複数人に対して画像情報を表示しても良い。例えば、表示部9の表示を各人物に応じ画像情報の大きさを変化させる、あるいは表示部9の表示を複数分割し各人物に応じ画像情報を表示することもできる。または、複数の表示部を備えるシステムによって、複数の人物それぞれに表示部を割り当てることにより、人物それぞれに対して必要な情報を個々の人物に対する最適な画像情報として提供することもできる。
【0068】
なお、上述した実施例では、文字の大きさを変化させることで表示部9の表示を見やすくしたが、撮像光学部1の絞り値や、計測された照度の値などによって、表示部9の文字色や、背景色を変化させて、表示を見やすくしてもよい。
【0069】
本発明は、原稿を表示するデジタルカメラやデジタルビデオカメラや表示装置など、表示機能を有する種々の電子機器に利用することができる。例えば図17はデジタルビデオカメラの概略図を示す。この場合、デジタルビデオに対する原稿情報は、メモリーカード等の記憶素子に内蔵して読込ませたり、又は、デジタルビデオに備えたキー操作部から入力したり、ネットワーク機能を使用して読み込むことが可能である。また表示部9は、対面式のモニタを使用することで被写体2は原稿を読むことができる。
【0070】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 撮像光学部
3 距離計測手段
6 画像入力部
7 制御部
7a 表示制御手段
9 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを有し、被写体を撮影する撮像光学部と、
画像を表示するための表示画面を有する表示部と、
被写体までの距離を計測する距離計測手段と、
前記距離計測手段で得られた被写体までの距離が長いほど、前記画像を前記表示画面に大きく表示させるように前記表示部を制御する制御手段と、
を備える、ことを特徴とするプロンプター装置。
【請求項2】
画像元情報を入力する画像入力部を備えることを特徴とする請求項1に記載のプロンプター装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記距離計測手段により得られた被写体まで距離に応じて、画像データ形式の前記画像元情報に対しては表示する倍率を変更し、文字データ形式の前記画像元情報に対しては文字サイズを変更することにより、画像元情報の大きさを変更する、ことを特徴とする請求項2に記載のプロンプター装置。
【請求項4】
前記画像入力部に入力される画像元情報は、文字データ形式の原稿情報と、前記撮像光学部の設定情報と、画像データである映像情報の、少なくとも1つ以上を含み、
前記制御手段は、前記距離計測手段で得られた被写体までの距離に応じて、画像元情報の大きさを変更し、重畳して、画像情報を作成し、前記表示部に出力する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のプロンプター装置。
【請求項5】
画像データ形式の画像元情報の基準位置を決定する操作部を有し、前記制御手段は、該基準位置を基準として前記画像情報を作成し前記表示部に出力する、ことを特徴とする請求項3に記載のプロンプター装置。
【請求項6】
画像元情報の、前記表示部に表示する、優先順位を設定する優先順位設定手段を有し、
前記制御手段は、画像元情報を重畳して作成する画像情報内の情報量が閾値を超えないように、前記優先順位の高い画像元情報を優先的に重畳する、ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載のプロンプター装置。
【請求項7】
前記撮像光学部から得られる画像内で人物の顔領域を検出する顔検出手段を有し、
前記制御手段は、該顔検出手段が検出した人物までの距離情報に基づいて、画像元情報の大きさを変更する、
ことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載のプロンプター装置。
【請求項8】
前記顔検出手段が複数の人物を検出した時、撮影者が1人の人物を特定するための人物選択手段を有し、
前記制御手段は、特定された1人の人物の距離情報に基づいて、画像元情報の大きさを変更する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプロンプター装置。
【請求項9】
前記優先順位設定手段は複数の顔情報それぞれに対して優先順位を設定し、
前記制御手段は、前記顔検出手段が、複数の顔領域を検出した時、優先順位の高い顔情報に対する被写体の距離に基づいて、画像元情報の大きさを変更する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のプロンプター装置。
【請求項10】
前記距離計測手段は前記撮像光学部に設けられた測距センサであり、該距離計測手段で得られる被写体までの距離は該測距センサの測距値に基づく、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のプロンプター装置。
【請求項11】
前記距離計測手段は前記表示部の近傍に設けられた測距センサであり、該距離計測手段で得られる被写体までの距離は該測距センサの測距値に基づく、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のプロンプター装置。
【請求項12】
前記表示制御手段の有効無効を設定する手段を有したことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のプロンプター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−41172(P2013−41172A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178858(P2011−178858)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】