説明

プローブ顕微鏡の探針位置合せ方法およびその方法により操作されるプローブ顕微鏡

【課題】 光学顕微鏡等の試料観察手段に対して、プローブ顕微鏡観察位置を精度よく設定できる位置合せ方法およびプローブ顕微鏡の提供すること。
【解決手段】 試料表面およびカンチレバー形状を光学顕微鏡等の観察可能な手段にて、事前に既知の構造からなる試料を用いて、試料観察用手段より求めた試料観察位置とカンチレバーに構成された探針位置を確認し、その相対位置関係を記録した後、カンチレバー位置を指定する第一のマーキングと第一のマーキングに連動して表示される前記相対位置関係にある第二のマーキングを製作し、第二のマーキングを基に試料位置合せをするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料表面の表面粗さや段差などの形状情報や、誘電率や粘弾性などの物理情報を測定するプローブ顕微鏡の試料測定位置への探針の位置合せ方法およびその方法により操作されるプローブ顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、微細形状の評価としての形状測定として、原子分解能を有する、原子間力顕微鏡をはじめとする、プローブ顕微鏡が期待されている。プローブ顕微鏡の一種である原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)は走査トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope:STM)の発明者であるG.Binnigらによって考案されて以来、新規な絶縁性物質の表面形状観察手段として期待され、研究が進められている。
【0003】
プローブ顕微鏡の概略システム構成の一例として、図6を用いて説明する。
【0004】
測定対象の試料51は試料を三次元に移動させる微動機構52上に配置されている。微動機構52は、電圧を印加すると変形を生じる圧電素子が用いられ、試料51をこの試料と相対した位置に配置された探針53に対して微小な位置合せを行うものである。探針53はカンチレバー54と称する片持ち状の梁材の先端に構成されている。
【0005】
一般的なカンチレバーの形状の一例を図7に示す。カンチレバー基板64に片持ち梁状のカンチレバー54が設けられ、カンチレバー54の先端に主に四角垂状で高さは1〜2μmの微細な探針(プローブ)53が形成されている。そして、これらのカンチレバー基板64やカンチレバー54および探針53はシリコンまたはシリコン系の材料からなり、異方性エッチング技術などを用いて一体ものとして加工されている。
【0006】
カンチレバー54を有したカンチレバー基板64は、カンチレバーホルダ55に保持される。
【0007】
また、微動機構52は試料51と探針53を3次元的に移動させるステージ等からなる粗動機構56上に構成されている。ここでは、粗動機構56は、ステッピングモータ駆動によるネジ送り機構が用いられている。
【0008】
カンチレバー54側に探針53が試料表面から受ける原子間力等の物理量力により片持ち状の梁材の変形を検出する変位検出系57が構成されている。変位検出系57は、カンチレバー54の裏面に照射する半導体レーザ58と、その反射光を検出する4分割された光検出器59とから構成され、カンチレバー54の変位により光検出器に入射するする位置が変化することでカンチレバーの変位(たわみ変形)を検出する光てこ検出と呼ばれる方式が使用されている。
【0009】
光検出器59の信号はアンプ60を介して、試料51と探針53のZ軸(鉛直方向)距離を制御するZ軸制御フィードバック回路61に送られ、微動機構52を稼動させて、探針53と試料51のZ軸位置関係が制御される。探針53と試料51の面内走査はXY駆動回路62からの信号により微動機構を走査して行われる。そして、Z軸制御およびXY駆動等はコンピュータおよび制御系63により制御させる。
【0010】
粗動機構56を用いてカンチレバー54の先端の探針53を試料51表面に近づけていく。そして、試料51表面から探針53が受ける原子間力や磁気力、粘弾性等の物理量力によるカンチレバー54の変形を変位検出系57で検出して、所定の変形に達したときに、測定領域に探針53が位置合せされたと判断して、粗動機構56を停止するとともに、試料側または、カンチレバー側に構成された試料51と探針53を相対的に移動させる微動機構52のZ軸を制御して探針53と試料51表面距離を保つ、また、微動機構52のZ軸を制御しつつ、粗動機構56を駆動させて、微動機構52のZ軸の変位量を調整して、探針53と試料51表面の位置合せを行う。そして、カンチレバー54の変形値が一定になるように制御し、微動機構56を試料面内に対して走査しながら計測することで試料面内の形状や物性を視覚的に画像化する。
【0011】
プローブ顕微鏡で測定したい場所を指定する手段として、光学顕微鏡を用いているのが一般的であり、カンチレバーと試料の間を斜め方向から観察する方法やプリズム等の光学部材を用いて直上観察を行う方法等がある(例えば、特許文献1参照)。斜めから観察した場合、光学顕微鏡と反対側の奥行き具合が不確かな分、位置合せ精度が悪いことになる。その点、直上観察の場合は位置合せがし易いといえる。通常、直上観察の場合、探針のついた方とは逆のカンチレバー背面に光学顕微鏡の焦点をあわせて探針位置を確認し、その位置をもとに、試料表面上に光学顕微鏡の焦点をあわせてプローブ顕微鏡にて観察したい位置を決めることになる。この場合、図8aに示すように光学顕微鏡71、探針72、試料73の観察対象である74に対して光路75と試料と探針を位置合せする位置合せ手段(粗動機構)の移動経路76が一致している場合、探針72と試料73間の近接位置77においては、問題なく観察対象74に探針72を位置合せすることができ、光学顕微鏡71で観察したい観察対象をプローブ顕微鏡で観察ができる。しかしながら、調整をしない限り光学顕微鏡と粗動機構は異なる部材で構成されているため、装置構成上ずれが生じてしまう。図8bに示すように、直上観察の場合でも誤差78が生じ、位置合せ精度が悪い場合がある。その誤差は光学顕微鏡の焦点位置に対して近接位置77が大きいほど幾何学的関係の倍率で変動するといえる。探針を試料に近づけて位置合せすればその差は少なくなるといえるが、その場合、光学顕微鏡はカンチレバーの背面を観ているため、カンチレバー観察時の焦点位置と試料を観察時の焦点位置に差がなくなり、試料表面を観察するときカンチレバーの影が邪魔をして試料表面を観察できないことになる。
【0012】
また、プローブ顕微鏡の走査領域は数十ミクロンが一般的で、位置合せ精度が悪い場合、プローブ顕微鏡での走査領域を外れることがある。その場合、プローブ顕微鏡の走査領域を大きくする方法も考えられるが、より小さいものを観察したい場合、プローブ顕微鏡の走査領域が大きいとデータ取得間隔が大きい分、分解能が低下し、観察対象を探すのに時間を要することになる。
【0013】
また、光学顕微鏡と組み合わせて例として探針とは別の位置に光学顕微鏡を配置し、カンチレバー交換ごとに、既知の試料を基に試料観察位置と探針位置をステージ等の移動機構により調整する方法がある(例えば、特許文献2,3参照)。また、プローブ顕微鏡探針位置とは離れた位置に配置した光学顕微鏡を用いて探針位置を補正する方法がある(例えば、特許文献4,5参照)。この方法においては位置合せ精度的にはあるといえるが、装置が大掛かりとなり、小型の装置に関しては不向きといえる。
【0014】
そこで、観察したい位置を容易に位置合せできるプローブ顕微鏡が求められている。
【特許文献1】特許 第3023686号公報
【特許文献2】特許2909829号公報
【特許文献3】特開平6−201372
【特許文献4】特開平9−203740
【特許文献5】特開平4−58102
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記の問題点を解決し、試料表面へのプローブ顕微鏡観察位置とカンチレバー先端の探針とを容易に、かつ、精度よく位置合せを行い得る探針の位置合せ方法ならびにその方法により操作されるプローブ顕微鏡の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
【0017】
本発明のプローブ顕微鏡は、試料表面およびカンチレバー形状を光学顕微鏡等の観察可能な手段にて、事前に既知の構造からなる試料を用いて、試料観察用手段より求めた試料観察位置とカンチレバーに構成された探針位置を確認し、その相対位置関係を記録した後、カンチレバー位置を指定する第一のマーキングと第一のマーキングに連動して表示される前記相対位置関係にある第二のマーキングを製作し、第二のマーキングを基に試料位置合せをするようにした。
【0018】
また、事前に既知の構造からなる試料を用いて、試料観察用手段より求めた試料観察位置とカンチレバーに構成された探針位置を確認したときの観察手段からのカンチレバーおよび試料観察位置、そして、プローブ顕微鏡観察作業時に行われる観察手段からのカンチレバーおよび試料観察位置の違いに対して幾何学的補正を加えて試料観察時に表示されたマーキングを基に試料位置合せをすることで探針を試料観察位置に位置合せをするようにした。
【発明の効果】
【0019】
光学顕微鏡等の試料表面およびカンチレバー形状観察可能な手段にて、事前に既知の構造からなる試料を用いて、光学顕微鏡等の試料観察用手段より求めた試料観察位置とカンチレバーに構成された探針位置間の相対位置を補正されたマーキングにて、試料上の観察対象位置を特定することにより、装置構成上から生じる位置合せ誤差を低減することができ、ソフトウェア的運用による比較的簡単な構造にて精度の良い観察位置の特定が可能になる。
【0020】
これにより、光学顕微鏡での観察とプローブ顕微鏡観察領域内での精度の良い位置合せができ、測定結果の信頼性が向上したプローブ顕微鏡を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るプローブ顕微鏡の第一実施形態を、図1、図2aから2fを参照して説明する。尚、以下の実施形態では、図6で説明したプローブ顕微鏡の概略システム構成と基本的には同一の構成については、その説明を省略する。
【0022】
図1は、本発明に係る第一実施形態のプローブ顕微鏡の構成図である。
【0023】
図6にて説明したようなプローブ顕微鏡ユニット1が除振台の定盤2に構成されている。プローブ顕微鏡ユニット1の上部に構成された光テコ方式によるカンチレバーの変位を検出する機能を有する光学ヘッド3の上方に光学顕微鏡4およびCCDカメラ6がアーム7およびポール8を介して除振台定盤2に設置されている。試料表面およびカンチレバー観察は光学顕微鏡像としてCCDカメラを介してコンピュータ内でデジタル処理されディスプレイ上に表示される。粗い焦点調整としてはポール8に対してアーム7を上下することで行われる。また、カンチレバー表面と試料表面間の微調整的な焦点変更は光学顕微鏡4の焦点調整用リング5を手動操作することで焦点調整を行う。
【0024】
次に、装置固有の光学顕微鏡の光路と試料、探針間の位置合せをする位置合せ手段(粗動機構)の移動経路の誤差を以下の手順で算出する。
1.既知の構造からなる試料を用意する。本実施例では10ミクロンピッチで数字が描かれたシリコン製の構造パターンを用いた。
2.カンチレバーを装置にセットする。本実施例ではカンチレバー先端部に探針が形成されているシリコン製のカンチレバーを用いた。
3.カンチレバーに光学顕微鏡の焦点をあわせ比較的観察視野領域が広い光学顕微鏡像を表示する。
4.図2aに示すように、CCD画像11に示されたカンチレバー12の先端にある探針13の位置に探針位置を示す第一のマーキングをする(探針位置決定)。十字マーキング14はCCD画像11上に上書きされ、光学顕微鏡の焦点を変えても表示は残るようにしてある。
5.試料表面に焦点をあわせる。
6.図2bに示すように、先の十字マーキング14をパターン試料15上の任意観察位置に合わせる。通常、CCD画像11上で中央位置のパターンを選択する。
7.探針を試料表面にアプローチしてプローブ顕微鏡観察を行う。測定結果としてたとえば図2cのような画像が得られる。
8.図2dに示すように、図2cのパターン数字16のプローブ顕微鏡観察結果よりCCD画像11に第二のマーキングをする(プローブ顕微鏡観察を実際に行った位置を決定)。第一のマーキングである十字マーキング14と第二のマーキングである×字マーキング17の差、18,19が装置固有の光学顕微鏡の光路と試料、探針を位置合せする位置合せ手段(粗動機構)の移動経路の誤差となる。そして、第一のマーキング14と第二のマーキング17が連動するように相対位置関係として算定し、装置内の記憶手段に記憶する(広観察領域時の相対位置関係の算定と記憶)。
以上の作業にて装置固有の誤差である広観察領域時の相対位置関係の算定が終了する。装置固有の値であるから装置の構成を変えない限り、カンチレバーを交換しても、この作業は行う必要はない。なお、上述の例には、既知の構造からなる試料を用いたが、直接測定に供する試料を用いることも可能である。ただし、既知の構造からなる試料を用いる方が、観察位置を容易に特定しやすいため好ましい。
次に、2回目以降の通常の測定を行う作業を説明する。
1.試料をセットする。
2.カンチレバーを装置にセットする。
3.カンチレバーに光学顕微鏡の焦点をあわせ光学顕微鏡像を表示する。
4.探針位置に第一のマーキングをする(観察時の探針位置)。図2eに示すように十字マーキング14および連動する第二のマーキングである×字マーキング17(観察時の探針位置と前記記憶した広観察領域時の相対位置関係の算定結果とに基づく前記プローブ顕微鏡観察が実際に行われると仮想した位置)がつけられる。
また、画面上ふたつのマーキング表示をした場合の試料観察の見え方を考慮して、ソフトウェア操作で画面表示において第二のマーキングを表示の有無を切り替えるようにした。
5.試料表面に焦点をあわせる。
6.図2fに示すように第二のマーキングである×字マーキング17が表示される。
第一のマーキング14と第二のマーキング17とは連動しているため、区別をするように本実施例ではマーキング形状を変えてある。また、色を変える方法もある。また、試料観察用に観察手段である光学顕微鏡の焦点や倍率を変えた時点で探針位置のマーキングを消してもよい。これは、位置合わせを行うためのマークの誤認を無くし、より確実な位置合せ工程とする点でより好ましい。
7.第二マーキングである×字マーキング17を実際の探針位置と仮想して試料の観察位置20にあわせる。
8.探針を試料表面にアプローチしてプローブ顕微鏡観察を行う。
以上のような操作をカンチレバー交換ごとに行い、試料交換のみの場合は第二マーキング17を用いて試料観察位置を特定すればよい。
【0025】
本発明に係る第二実施形態に関して図3a、3bを参照して説明する。基本的手順に関しては第一実施形態と同等である。
【0026】
図3aに示すようにCCD画面21に示されたカンチレバー22の先端に探針23が構成されていない場合、想像してマーキングすることになり、誤差要因となる。そこで、第二実施形態では、探針位置を指定する際に、カンチレバー22の外形の3点24,25,26を指定し、カンチレバー設計情報より探針の位置を特定するようにした。これによりカンチレバーの先端ではなく内側に構成されている探針位置の作業者による指示誤差を減らすことができ、試料観察位置の特定が可能となる。
【0027】
第三実施形態では、探針位置を指定する際に、カンチレバーの外形を画像認識ソフトウェアにて特定し、カンチレバー設計情報より探針の位置を特定するようにした。システム的には画像認識機能を付加することになり高価となるが作業者による指示誤差を減らすことができ、試料観察位置のより正確な特定が可能となる。
【0028】
第四実施形態として、ウェーハ等の大きな試料観察用プローブ顕微鏡に本発明を用いた装置構成について図4を参照して説明する。
【0029】
ユニット部31は除振台定盤32の上に構成されている。除振台としてはパッシブ型やアクティブ型があり、低周波に振動成分が存在する場合はアクティブ型が有効である。また、ユニット部31は除振台定盤32上に弾性材33を介してベース34上に構成されている。ベース34上には試料35を面内方向に位置合わせする粗い位置合せ機構36であるXYステージが用いられている。また、前記粗い位置合せ機構36上には試料面内回転ステージ37が構成されており、試料台38を介して試料35が固定されている。また、ベース34にはアーム39が構成されており、アーム39には鉛直方向の位置合せ機構であるZ軸ステージ40が固定されており、Z軸ステージ40を介して、微小位置合せ機構である微動機構41が構成されている。微動機構41には電圧印加により微小ひずみを生じるピエゾ圧電素子が用いられている。また、微動機構41の先端にはカンチレバー42が固定されており、本実施例の装置では、真空吸着による固定方法をもちいている。また、Z軸ステージ40によりカンチレバー42の先端の探針を試料35の表面に位置合せして、カンチレバー42のたわみ変形を微動機構41に構成した光テコ機構(図面記載なし)により検出して、試料表面形状を計測する。また、本実施例では光学顕微鏡ユニット43が構成されている。微動機構41の先端に設けられたカンチレバー42付近に鏡を取りつけ、この鏡を介して、カンチレバー42および試料35の表面が観察可能である。
【0030】
前記光学顕微鏡ユニット43にはCCDカメラおよび倍率変更のズーム機構、焦点調整機構が構成されており、本実施形態の装置では光学顕微鏡の焦点および倍率がコンピュータおよび外部調整できるシステムになっている。倍率や焦点調整が外部制御できることから、最初の観察時に算定した広観察視野領域下での探針位置と実際のプローブ顕微鏡観察位置の相対位置関係に対して、その際に使用した試料の厚み及び観察手段の観察視野領域の変化(高倍率観察)に伴い生じる誤差を考慮して補正することが可能である。具体的には、2回目以降の観察時に探針位置と仮想する第二のマーキング17は、1回目に決定した値を基準にして、コンピュータおよび外部制御の調整値を用いて、比例的配分等の幾何学的補正を加味して表示するようにした。たとえば図5aと図5bに示すような補正関係44,45を加味することになる。補正値に関しては装置固有の値であり、先の探針位置と実際のプローブ顕微鏡観察位置の相対位置関係を算定する場合と同様に、既知形状の試料を用いることで容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第一実施形態のプローブ顕微鏡の概要を示す構成図。
【図2】(a)〜(f) 本発明の第一実施形態の作業を説明した状態図。
【図3】(a)〜(b) 本発明の第二実施形態の作業を説明した状態図
【図4】本発明の第四実施形態に用いたプローブ顕微鏡の概要を示す構成図。
【図5】(a)〜(b) 本発明の第四実施形態のマーキング状態を説明した状態図。
【図6】プローブ顕微鏡の概略システムを示す構成図。
【図7】一般的なカンチレバー形状を示した構成図。
【図8】(a)〜(b) 位置合せ誤差の発生状態を説明した図。
【符号の説明】
【0032】
1 プローブ顕微鏡ユニット
2,32 除振台の定盤
3 光学ヘッド
4,71 光学顕微鏡
5 焦点調整用リング
6 CCDカメラ
7 アーム
8 ポール
11,21 CCD画像
12,22,42,54 カンチレバー
13,23 探針
14 十字マーキング
15 パターン試料
16 パターン数字
17 ×字マーキング
18、19 誤差
20、74 試料の観察対象
24,25,26 カンチレバー外形点
31 ユニット部
33 弾性材
34 ベース
35,51,73 試料
36 XYステージ
37 回転ステージ
38 試料台
39 アーム
40 Z軸ステージ
41,52 微動機構
43 光学顕微鏡ユニット
44、45 補正値
53,72 探針
55 カンチレバーホルダ
56 粗動機構
57 変位検出系
58 半導体レーザ
59 光検出器
60 アンプ
61 Z軸制御フィードバック回路
62 XY駆動回路
63 コンピュータおよび制御系
64 カンチレバー基板
75 光路
76 位置合せ手段(粗動機構)の移動経路
77 近接位置
78 誤差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に探針を有したカンチレバーと、該カンチレバーと試料との距離を制御する粗動機構および微動機構と、前記試料表面と前記カンチレバー先端の探針位置を観察可能な観察手段と、前記試料および前記探針位置を相対的に移動させる移動機構とを備え、前記探針を試料表面に近接または接触させて、前記試料表面の形状情報または物理情報を計測するプローブ顕微鏡における試料の任意の観察位置への探針の位置合せ方法において、
前記観察手段によって前記試料表面上における前記カンチレバー先端の探針位置を決定する工程と、
該探針位置を目標として前記探針を試料表面に近接又は接触させてプローブ顕微鏡観察を実際に行った位置を決定する工程と、
前記探針位置および前記プローブ顕微鏡観察を実際に行った位置の広観察視野領域時の相対位置関係を算定する工程と、
1回目の観察時に前記広観察視野領域時の相対位置関係の算定結果を記憶する工程と、
次回以降の試料観察位置に対する探針の位置合わせの際、観察時の探針位置と前記記憶した広観察視野領域時の相対位置関係の算定結果とに基づくプローブ顕微鏡観察が実際に行われると仮想した位置を試料の観察位置へ位置合せする工程と、
を備えることを特徴とするプローブ顕微鏡の探針の位置合せ方法。
【請求項2】
前記記憶した広観察視野領域時の相対位置関係の算定結果に基づき前記プローブ顕微鏡観察を実際に行った位置を探針位置と仮想して試料観察位置へ位置合せする工程が、
前記探針位置および前記プローブ顕微鏡観察を実際に行った位置を、前記プローブ顕微鏡観察時に前記観察手段により観察したそれぞれの点から狭観察視野領域時の相対位置関係を算定し記憶する工程と、
前記広観察視野領域時の相対位置関係の算定結果と前記狭観察視野領域時の相対位置関係の算定結果の差異に基づいて観察視野領域の広狭に対する幾何学的補正値を算定する工程と、
該幾何学的補正値に基づいて前記プローブ顕微鏡観察を実際に行った位置の位置情報を補正する工程と、を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のプローブ顕微鏡の探針の位置合せ方法。
【請求項3】
前記1回目の観察時の前記広観察視野領域時の相対位置関係が、既知構造の試料を用いた観察とし、前記探針位置およびプローブ顕微鏡の実際の観察位置の読み取りを容易にしたことを特長とする請求項1又は2のいずれかに記載のプローブ顕微鏡の探針の位置合せ方法。
【請求項4】
前記カンチレバーの探針へのマーキングが、前記観察手段によりカンチレバー外形を選択し、カンチレバー設計形状情報をもとに、探針位置をマーキングすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプローブ顕微鏡の探針の位置合せ方法。
【請求項5】
カンチレバー外形の選択方法がカンチレバー外形の少なくても3点の頂点を選択することで、カンチレバー設計形状情報をもとに、探針位置をマーキングすることを特徴とする請求項4に記載のプローブ顕微鏡の探針の位置合せ方法。
【請求項6】
前記カンチレバーの探針へのマーキングが、前記観察手段の情報を画像認識し、カンチレバー設計形状情報をもとに、探針位置をマーキングすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプローブ顕微鏡の探針の位置合せ方法。
【請求項7】
次回以降の試料観察位置に対する探針の位置合わせの際、観察時の探針位置と前記記憶した広観察領域時の相対位置関係の算定結果とに基づくプローブ顕微鏡観察が実際に行われると仮想した位置のみを表示し、前記観察時の探針位置を非表示とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプローブ顕微鏡の探針の位置合せ方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のプローブ顕微鏡の探針の位置合せ方法により操作されることを特徴とするプローブ顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−38543(P2010−38543A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197941(P2008−197941)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)