説明

プール水利用システム

【課題】プールの水位に基づいて、プールが設けられる領域への人の出入りを規制することを可能とするプール水利用システムを提供することである。
【解決手段】プール水利用システム100は、学校101に設けられる屋上プール8と、非常時において、屋上プール8に溜められているプール水を通常時に学校101内の設備に用いられている設備用水の代わりの水として利用するように切り替える切替部と、屋上プール8の水位を検出する水位検出器11と、切替部を制御する制御盤14と、を備え、制御盤14は、屋上プール8の水位に基づいて、屋上部への人の出入りを規制する手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プール水利用システムに係り、特に、非常時において、建物に設けられるプールの水を利用するプール水利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
小学校や中学校等といった学校等の施設は、地震等の災害発生時の一時的な避難場所として利用されることが多い。そして、学校等の施設には、遊泳のためのプールが設置されていることがあり、災害発生時に当該プールに溜められているプール水を利用することが種々考えられている。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、災害発生時、各家庭の水道供給が止まった場合、学校などにあるプール水を利用し学校内の上水・下水を確保するシステムが開示されている。ここでは、学校内の水道供給システムの破損場所に対応しながら、プールの水にろ過機・浄水機を通した飲料水レベルの水の供給を確保し飲料水・水洗トイレ用水として使用することが述べられている。
【0004】
また、本発明に関連する技術として、例えば、特許文献2には、非常時に水道供給ラインが破壊され断水した時、緊急避難所に水泳用プールが施設されている場合、そのプールに貯水されている水を緊急避難所の水洗トイレ洗浄水用生活用水として使用することが述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3065687号公報
【特許文献2】登録実用新案第3049563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、災害発生時にプール水を利用することが種々考えられているが、プール水を利用すると水位が低くなってしまうことがあり、プールが遊泳に適さない状態となる可能性もある。
【0007】
本発明の目的は、プールの水位に基づいて、プールが設けられる領域への人の出入りを規制することを可能とするプール水利用システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るプール水利用システムは、建物に設けられるプールと、非常時において、プールに溜められているプール水を通常時に建物内の設備に用いられている設備用水の代わりの水として利用するように切り替える切替部と、プールの水位を検出する水位検出部と、切替部を制御する制御部と、を備え、制御部は、プールの水位に基づいて、プールが設けられる領域への人の出入りを規制する手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るプール水利用システムにおいて、プールが設けられる領域に対して人が出入りするための出入口扉に設けられる錠部を備え、制御部は、プールの水位が所定の水位よりも大きいときは錠部を開錠し、プールの水位が所定の水位よりも小さいときは錠部を施錠することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るプール水利用システムにおいて、錠部の開施錠状態を表示するための開施錠状態表示部を備え、制御部は、錠部が開錠されている、あるいは、錠部が施錠されていることを開施錠状態表示部に表示することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るプール水利用システムにおいて、プールの水位状態を表示するためのプール水位状態表示部を備え、制御部は、プールの水位状態をプール水位状態表示部に表示することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係るプール水利用システムにおいて、プールの利用可否状態を表示するためのプール利用可否状態表示部を備え、制御部は、プールの水位が所定の水位よりも大きいときはプールが利用可能であることをプール利用可否状態表示部に表示し、プールの水位が所定の水位よりも小さいときはプールが利用不可能であることをプール利用可否状態表示部に表示することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係るプール水利用システムにおいて、制御部は、人の操作によって錠部の開錠制御あるいは施錠制御を行うための操作部を有していることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係るプール水利用システムにおいて、人の操作またはプールの水位のいずれかに基づいて、錠部の開施錠制御がなされているかを表示するための扉操作状態選択表示部を備え、制御部は、人の操作に基づいて錠部の開施錠制御がなされていることを扉操作状態選択表示部に表示し、あるいは、プールの水位に基づいて錠部の開施錠制御がなされていることを扉操作状態選択表示部に表示することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係るプール水利用システムにおいて、制御部は、開施錠状態表示部とプール水位状態表示部とプール利用可否状態表示部と扉操作状態選択表示部のうち少なくとも1つを有していることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係るプール水利用システムにおいて、開施錠状態表示部とプール利用可否状態表示部とのうち少なくとも1つが、プールが設けられる領域に対して人が出入りするための出入口扉の近傍に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
上記構成のプール水利用システムによれば、プールの水位に基づき、必要な場合にプールが設けられる領域への人の出入りを規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る実施の形態において、プール水利用システムを示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において、水位検出器の具体的な構成を示す図である。
【図3】本発明に係る実施の形態において、プール案内表示盤の具体的な構成を示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、制御盤の具体的な構成を示す図である。
【図5】本発明に係る実施の形態において、屋上プールのプール水の水位に応じて、屋上プールが設けられる領域への出入口を規制する手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る実施の形態において、プール水利用システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。また、以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は、プール水利用システム100を示す図である。プール水利用システム100は、水道本管1と、水道本管用バルブ2と、水道メータ3と、貯水槽4と、揚水ポンプ5と、高架水槽6と、屋内給水配管7と、屋上プール8と、プール用バルブ9と、トイレ用水代替用配管10と、水位検出器11と、屋上出入口扉12と、プール案内表示盤13と、制御盤14とを含んで構成される。
【0021】
水道本管1は、飲料水・トイレ用水等に必要な水を、学校101・家庭・企業等といった人々が生活等する場所に送るための配管である。図1には、水道本管1に流れる水が学校101の設備に用いられる設備用水として供給される様子が示されている。
【0022】
水道本管用バルブ2は、制御盤14によって開閉弁制御がなされる弁であり、開弁したときは水道本管1から学校101側に水が供給されることを許容し、閉弁したときは水道本管1から学校101側に水が供給されることを禁止する。
【0023】
水道メータ3は、水道本管1から学校101に供給された水道量、換言すれば、学校1101での水の使用量を表示するためのメータである。
【0024】
貯水槽4は、水道本管1から水道本管用バルブ2を介して供給された水を一旦貯水するためのタンクである。
【0025】
揚水ポンプ5は、貯水槽4に溜められた水を汲み上げて学校101の屋上に設置された高架水槽6に供給するための電動式ポンプである。
【0026】
高架水槽6は、学校101の屋上部に設置され、揚水ポンプ5によって汲み上げられた水を溜めるタンクである。図1に示される学校101は5階建ての建物であり、高架水槽6はその上の屋上部に設置されている。
【0027】
屋内給水配管7は、高架水槽6に溜まった水を学校101内の各階に設置されたトイレ(不図示)に用いられるトイレ用水として供給するための配管である。高架水槽6から学校101内に向かって延伸する屋内給水配管7の各先端には、それぞれ各階のトイレに接続されている。
【0028】
屋上プール8は、学校101の屋上部に設置される遊泳用のプールである。屋上プール8は、高架水槽6から供給された水を、通常時は、遊泳のためのプール水として溜めている。
【0029】
プール用バルブ9は、制御盤14によって開閉弁制御がなされる弁であり、開弁したときは屋上プール8からトイレ用水代替用配管10に水が供給されることを許容し、閉弁したときは屋上プール8からトイレ用水代替用配管10に水が供給されることを禁止する。
【0030】
トイレ用水代替用配管10は、災害発生時において、屋上プール8に溜められたプール水を学校101内の各階のトイレに、屋内給水配管7を介して供給されるトイレ用水の代わりの水を供給するための配管である。屋上プール8から学校101内に向かって延伸するトイレ用水代替用配管10の各先端には、それぞれ各階のトイレに接続されている。
【0031】
水位検出器11は、屋上プール8に溜まったプール水の水位状態を検出するためのセンサ装置である。水位検出器11によって検出された屋上プール8の水位情報は、制御盤14に伝送される。図2は、水位検出器11の具体的な構成を示す図である。図2に示されるように、水位検出器11は、渇水水位センサ32と、遊泳下限水位センサ33と、遊泳上限水位センサ34とを含んで構成される。
【0032】
渇水水位センサ32は、屋上プール8のプール水が渇水状態にあるか否かを判断するための水位を検出するセンサである。ここで、渇水水位センサ32により、図2に示される矩形の範囲A内に屋上プール8のプール水の水面31が位置していると検出される場合には、制御盤14によって屋上プール8のプール水が渇水状態でない判断される。そして、渇水水位センサ32により、図2に示される矩形の範囲Aの下限320よりも屋上プール8のプール水面31が下回っていると検出される場合には、制御盤14によって屋上プール8のプール水が渇水状態であると判断される。
【0033】
遊泳下限水位センサ33は、屋上プール8のプール水の水量が遊泳可能な水量であるか否かを判断するための水位を検出するセンサである。ここで、遊泳下限水位センサ33により、図2に示される矩形の範囲B内に屋上プール8のプール水の水面31が位置していると検出される場合には、制御盤14によって屋上プール8が遊泳可能であると判断される。そして、遊泳下限水位センサ33により、図2に示される矩形の範囲Bの下限330(遊泳可否を判断するための基準水位)よりも屋上プール8のプール水の水面31が下回っていると検出される場合には、制御盤14によって屋上プール8が遊泳不可能である判断される。
【0034】
遊泳上限水位センサ34は、屋上プール8への給水を停止するか否かを判断するための水位を検出するセンサである。ここで、遊泳上限水位センサ34により、図2に示される矩形の範囲C内に屋上プール8のプール水の水面31が位置していると検出される場合には、制御盤14によって屋上プール8への給水を停止する必要があると判断とされる。そして、遊泳上限水位センサ34により、図2に示される矩形の範囲Cの下限340よりも屋上プール8のプール水の水面31が下回っていると検出される場合には、制御盤14によって屋上プール8への給水が必要と判断される。
【0035】
再び図1に戻って、屋上出入口扉12は、学校101内から屋上プール8が設置される屋上部へ人が出入りするための出入口扉である。屋上出入口扉12には、制御盤14によって開施錠制御がなされる錠部120を備えている。
【0036】
プール案内表示盤13は、屋上プール8の利用可否状態や屋上出入口扉12の錠部120の開施錠状態を表示するための表示装置である。図3は、プール案内表示盤13の具体的な構成を示す図である。プール案内表示盤13は、屋上出入口扉12の近傍に配置されている。プール案内表示盤13は、プール利用可能表示部41と、プール利用不可能表示部42と、屋上扉開錠表示部43と、屋上扉施錠表示部44、インターホン45とを含んで構成される。ここで、プール利用可能表示部41とプール利用不可能表示部42とを併せてプール利用可否状態表示部と呼び、屋上扉開錠表示部43と屋上扉施錠表示部44とを併せて開施錠状態表示部と呼ぶ。
【0037】
プール利用可能表示部41は、制御盤14からの信号によって、屋上プール8が利用可能な状態であることを表示するための表示部である。
【0038】
プール利用不可能表示部42は、制御盤14からの信号によって、屋上プール8が利用不可能な状態であることを表示するための表示部である。
【0039】
屋上扉開錠表示部43は、制御盤14からの信号によって、屋上出入口扉12の錠部120が開錠されている状態であることを表示するための表示部である。
【0040】
屋上扉施錠表示部44は、制御盤14からの信号によって、屋上出入口扉12の錠部120が施錠されている状態であることを表示するための表示部である。
【0041】
インターホン45は、制御盤14のインターホン65との間で通話を可能とするための通信部である。
【0042】
再び図1に戻って、制御盤14は、プール水利用システム100の全体を制御する機能を有する制御装置であるが、プール案内表示盤13と同様に、屋上プール8の利用可否状態や屋上出入口扉12の錠部120の開施錠状態を表示する等といった表示装置としても機能している。図4は、制御盤14の具体的な構成を示す図である。制御盤14は、屋上プール8が設置される屋上部から離れた場所、例えば、図1に示されるように、学校101の1階の管理室等に設置されている。制御盤14は、プール利用可能表示部61と、プール利用不可能表示部62と、屋上扉開錠表示部63と、屋上扉施錠表示部64と、インターホン65と、遊泳上限水位異常表示部51と、遊泳下限水位異常表示部52と、渇水水位表示部53と、強制施錠表示部54と、強制開錠表示部55と、自動開施錠表示部56と、開施錠操作部57と、バッテリ58と、水道本管用バルブ開閉処理部142と、揚水ポンプ作動処理部144と、プール用バルブ開閉処理部146と、開施錠処理部148と、表示処理部149とを含んで構成される。ここで、プール利用可能表示部61とプール利用不可能表示部62とを併せてプール利用可否状態表示部と呼び、屋上扉開錠表示部63と屋上扉施錠表示部64とを併せて開施錠状態表示部と呼ぶ。そして、遊泳上限水位異常表示部51と遊泳下限水位異常表示部52と渇水水位表示部53とを併せてプール水位状態表示部と呼び、強制施錠表示部54と強制開錠表示部55と自動開施錠表示部56とを併せて扉操作状態選択表示部と呼ぶ。
【0043】
プール利用可能表示部61は、屋上プール8が利用可能な状態であることを表示するための表示部である。
【0044】
プール利用不可能表示部62は、屋上プール8が利用不可能な状態であることを表示するための表示部である。
【0045】
屋上扉開錠表示部63は、屋上出入口扉12の錠部120が開錠されている状態であることを表示するための表示部である。
【0046】
屋上扉施錠表示部64は、屋上出入口扉12の錠部120が施錠されている状態であることを表示するための表示部である。
【0047】
インターホン65は、プール案内表示盤13のインターホン45との間で通話を可能とするための通信部である。
【0048】
遊泳上限水位異常表示部51は、屋上プール8のプール水の水位が必要以上に高い水位であることを表示するための表示部である。
【0049】
遊泳下限水位異常表示部52は、屋上プール8のプール水の水位が少なく遊泳に適さない状況であることを表示するための表示部である。
【0050】
渇水水位表示部53は、屋上プール8のプール水が渇水状態であることを表示するための表示部である。
【0051】
強制施錠表示部54は、開施錠操作部57の操作によって、屋上出入口扉12の錠部120が強制施錠されていることを表示するための表示部である。
【0052】
強制開錠表示部55は、開施錠操作部57の操作によって、屋上出入口扉12の錠部120が強制開錠されていることを表示するための表示部である。
【0053】
自動開施錠表示部56は、開施錠操作部57の操作によって、屋上出入口扉12の錠部120が、屋上プール8のプール水の水位に基づいて自動的に開施錠されていることを表示するための表示部である。
【0054】
開施錠操作部57は、屋上出入口扉12の錠部120を強制的に施錠するか、屋上出入口扉12の錠部120を強制的に開錠するか、屋上出入口扉12の錠部120が、屋上プール8のプール水の水位に基づいて自動的に開施錠させるかを選択するためのスイッチ回路である。
【0055】
バッテリ58は、プール水利用システム100を構成する機器の停電補償用のバッテリである。
【0056】
水道本管用バルブ開閉処理部142は、通常時(地震等の災害発生時でないとき)に水道本管用バルブ2を開弁し、地震等の災害発生時、換言すれば、非常時に水道本管用バルブ2を閉弁する機能を有する。また、水道本管用バルブ開閉処理部142は、水位検出器11から屋上プール8の水位情報を取得して、屋上プール8のプール水の水面31が矩形の範囲C内に位置するときは、屋上プール8の水位が十分高いため通常時であっても水道本管用バルブ2を閉弁する。なお、水道本管用バルブ開閉処理部142は、非常時であることを示す外部からの信号を取得する機能を有し、当該外部からの信号がないときは通常時であると判断し、当該外部からの信号があるときは非常時であると判断する。
【0057】
揚水ポンプ作動処理部144は、通常時に揚水ポンプ5を作動させ、非常時に揚水ポンプ5を停止する機能を有する。また、揚水ポンプ作動処理部144は、水位検出器11から屋上プール8の水位情報を取得して、屋上プール8のプール水の水面31が矩形の範囲C内に位置するときは、屋上プール8の水位が十分高いため通常時であっても揚水ポンプ5を停止する。なお、水道本管用バルブ開閉処理部142は、非常時であることを示す外部からの信号を取得する機能を有し、当該外部からの信号がないときは通常時であると判断し、当該外部からの信号があるときは非常時であると判断する。
【0058】
プール用バルブ開閉処理部146は、通常時にプール用バルブ9を閉弁し、非常時にプール用バルブ9を開弁する機能を有する。なお、水道本管用バルブ開閉処理部142は、非常時であることを示す外部からの信号を取得する機能を有し、当該外部からの信号がないときは通常時であると判断し、当該外部からの信号があるときは非常時であると判断する。
【0059】
開施錠処理部148は、開施錠操作部57によって屋上出入口扉12の錠部120を強制的に施錠するように選択されている場合には、屋上出入口扉12の錠部120を強制的に施錠する。また、開施錠処理部148は、開施錠操作部57によって屋上出入口扉12の錠部120を強制的に開錠するように選択されている場合には、屋上出入口扉12の錠部120を強制的に開錠する。さらに、開施錠処理部148は、屋上出入口扉12の錠部120が屋上プール8のプール水の水位に基づいて自動的に開施錠するように選択されているときは、水位検出器11から屋上プール8の水位情報を取得し、遊泳下限水位センサ33により矩形の範囲B内に屋上プール8の水面31が位置していることが検出されたときは屋上出入口扉12の錠部120を開錠し、矩形の範囲Bの下限330よりも屋上プール8のプール水面31が下回っていることが検出されたときは屋上出入口扉12の錠部120を施錠する。
【0060】
表示処理部149は、開施錠処理部148による屋上出入口扉12の錠部120の開施錠状態を、プール案内表示盤13の屋上扉開錠表示部43、屋上扉施錠表示部44と、制御盤14の屋上扉開錠表示部63、屋上扉施錠表示部64に表示させる機能を有する。また、表示処理部149は、水位検出器11から屋上プール8の水位情報を取得し、屋上プール8の利用可否状態を、プール案内表示盤13のプール利用可能表示部41、プール利用不可能表示部42と、制御盤14のプール利用可能表示部61、プール利用不可能表示部62とに表示させる機能を有する。さらに、表示処理部149は、水位検出器11から屋上プール8の水位情報を取得して、屋上プール8の水位状態を、制御盤14の遊泳上限水位異常表示部51、遊泳下限水位異常表示部52、渇水水位表示部53に表示させる機能を有する。そして、表示処理部149は、開施錠操作部57によって、屋上出入口扉12の錠部120が強制的に施錠されている状態、屋上出入口扉12の錠部120が強制的に開錠されている状態、屋上出入口扉12の錠部120が屋上プール8の水位に基づいて自動的に開施錠されている状態のうちいずれ状態が選択されているかを、制御盤14の強制施錠表示部54と強制開錠表示部55と自動開施錠表示部56に表示させる機能を有する。
【0061】
続いて、上記構成のプール水利用システム100の動作について、図1〜図5を用いて説明する。図5は、屋上プール8のプール水の水位に応じて、屋上プール8が設けられる領域である屋上部への出入口を規制する手順を示すフローチャートである。ここでは、制御盤14の開施錠操作部57により屋上出入口扉12の錠部120が屋上プール8のプール水の水位に基づいて自動的に開施錠されるように選択されているものとして説明する。まず、最初に、地震等の災害が発生しているか否かを判断する、換言すれば、非常時であるか否かを判断する(S10)。S10の工程は、制御盤14の水道本管用バルブ開閉処理部142、揚水ポンプ作動処理部144、プール用バルブ開閉処理部146の工程によって実行される。S10の工程において、非常時でないと判断される、換言すれば、通常時のままであると判断されれば、再びS10へと戻る。
【0062】
S10の工程において、非常時であると判断されれば、災害発生時の対応処理が行われ、具体的には水道本管用バルブ2を閉弁し、揚水ポンプ5を停止し、プール用バルブ9を開弁する(S12)。S12の工程は、制御盤14の水道本管用バルブ開閉処理部142、揚水ポンプ作動処理部144、プール用バルブ開閉処理部146の機能によって実行される。
【0063】
次に、屋上プール8のプール水の水面31が図2に示される矩形の範囲Bの下限330を下回ったか否か、換言すれば、屋上プール8が利用できない状態となっているか否かを判断する(S14)。S14の工程は、制御盤14の開施錠処理部148の機能によって実行される。S14の工程において、屋上プール8のプール水の水面31が矩形の範囲B内に位置しており、屋上プール8が利用できる状態であると判断したときは再びS14へと戻る。
【0064】
S14の工程において、屋上プール8のプール水の水面31が矩形の範囲Bの下限330を下回り、屋上プール8が利用できない状態と判断されたときは、屋上出入口扉12の錠部120を施錠する(S16)。S16の工程は、制御盤14の開施錠処理部148の機能によって実行される。S16の工程の後はEND処理へと進む。
【0065】
上記のように、プール水利用システム100によれば、地震等の災害発生時(非常時)に、水道本管1から学校101に供給されるトイレ用水の代わりに、屋上プール8のプール水をトイレ用水として利用することができる。これにより、非常時に学校101が緊急避難場所として指定され多くの人が集まってきたときに、仮に、水道本管1から学校101への水の供給が途絶えた場合であってもトイレを好適に使用することができる。また、プール水利用システム100によれば、非常時に屋上プール8のプール水をトイレ用水として利用したときに、プール水の水面31が下がって屋上プール8が遊泳できない状態となったときは屋上出入口扉12の錠部120が施錠される。これにより、屋上プール8が遊泳できない状態となっているときに、人が学校101の屋上部に出入りすることを規制することができ、より安全に屋上プール8を非常時のトイレ用水として利用することができる。
【0066】
また、プール水利用システム100によれば、屋上プール8の利用可否状態や屋上出入口扉12の錠部120の開施錠状態をプール案内表示盤13によって表示することができるため、屋上プール8を利用しようとする人に対して、それらの状況を好適に伝達することができる。
【0067】
さらに、プール水利用システム100によれば、制御盤14が屋上プール8の設置される屋上部から離れた場所、例えば、学校101の1階の管理室に設置されているため、管理人が遠隔で監視することができる。そして、当該管理人が、プール利用可能表示部61やプール利用不可能表示部62等といった各表示部を見ながら、開施錠操作部57を操作することによって、屋上出入口扉12の錠部120を、手動で強制的に開施錠するか、屋上プール8のプール水の水位に基づいて自動的に開施錠するかを選択することができる。
【0068】
次に、プール水利用システム102について説明する。図6は、プール水利用システム102を示す図である。プール水利用システム102とプール水利用システム100との相違点は、貯水槽4、揚水ポンプ5、高架水槽6の代わりに、減圧式逆流防止器21と直結加圧型ポンプユニット22が用いられている点であるが、その他の点は全く同じ構成である。したがって、プール水利用システム102によってもプール水利用システム100と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0069】
1 水道本管、2 水道本管用バルブ、3 水道メータ、4 貯水槽、5 揚水ポンプ、6 高架水槽、7 屋内給水配管、8 屋上プール、9 プール用バルブ、10 トイレ用水代替用配管、11 水位検出器、12 屋上出入口扉、13 プール案内表示盤、14 制御盤、21 減圧式逆流防止器、22 直結加圧型ポンプユニット、31 水面、32 渇水水位センサ、33 遊泳下限水位センサ、34 遊泳上限水位センサ、41 プール利用可能表示部、42 プール利用不可能表示部、43 屋上扉開錠表示部、44 屋上扉施錠表示部、45 インターホン、51 遊泳上限水位異常表示部、52 遊泳下限水位異常表示部、53 渇水水位表示部、54 強制施錠表示部、55 強制開錠表示部、56 自動開施錠表示部、57 開施錠操作部、58 バッテリ、61 プール利用可能表示部、62 プール利用不可能表示部、63 屋上扉開錠表示部、64 屋上扉施錠表示部、65 インターホン、100,102 プール水利用システム、101 学校、120 錠部、142 水道本管用バルブ開閉処理部、144 揚水ポンプ作動処理部、146 プール用バルブ開閉処理部、148 開施錠処理部、149 表示処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられるプールと、
非常時において、プールに溜められているプール水を通常時に建物内の設備に用いられている設備用水の代わりの水として利用するように切り替える切替部と、
プールの水位を検出する水位検出部と、
切替部を制御する制御部と、
を備え、
制御部は、
プールの水位に基づいて、プールが設けられる領域への人の出入りを規制する手段を有することを特徴とするプール水利用システム。
【請求項2】
請求項1に記載のプール水利用システムにおいて、
プールが設けられる領域に対して人が出入りするための出入口扉に設けられる錠部を備え、
制御部は、
プールの水位が所定の水位よりも大きいときは錠部を開錠し、
プールの水位が所定の水位よりも小さいときは錠部を施錠することを特徴とするプール水利用システム。
【請求項3】
請求項2に記載のプール水利用システムにおいて、
錠部の開施錠状態を表示するための開施錠状態表示部を備え、
制御部は、
錠部が開錠されている、あるいは、錠部が施錠されていることを開施錠状態表示部に表示することを特徴とするプール水利用システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1に記載のプール水利用システムにおいて、
プールの水位状態を表示するためのプール水位状態表示部を備え、
制御部は、
プールの水位状態をプール水位状態表示部に表示することを特徴とするプール水利用システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1に記載のプール水利用システムにおいて、
プールの利用可否状態を表示するためのプール利用可否状態表示部を備え、
制御部は、
プールの水位が所定の水位よりも大きいときはプールが利用可能であることをプール利用可否状態表示部に表示し、
プールの水位が所定の水位よりも小さいときはプールが利用不可能であることをプール利用可否状態表示部に表示することを特徴とするプール水利用システム。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか1に記載のプール水利用システムにおいて、
制御部は、
人の操作によって錠部の開錠制御あるいは施錠制御を行うための操作部を有していることを特徴とするプール水利用システム。
【請求項7】
請求項6に記載のプール水利用システムにおいて、
人の操作またはプールの水位のいずれかに基づいて、錠部の開施錠制御がなされているかを表示するための扉操作状態選択表示部を備え、
制御部は、
人の操作に基づいて錠部の開施錠制御がなされていることを扉操作状態選択表示部に表示し、あるいは、プールの水位に基づいて錠部の開施錠制御がなされていることを扉操作状態選択表示部に表示することを特徴とするプール水利用システム。
【請求項8】
請求項7に記載のプール水利用システムにおいて、
制御部は、
開施錠状態表示部とプール水位状態表示部とプール利用可否状態表示部と扉操作状態選択表示部のうち少なくとも1つを有していることを特徴とするプール水利用システム。
【請求項9】
請求項5から請求項8のいずれか1に記載のプール水利用システムにおいて、
開施錠状態表示部とプール利用可否状態表示部とのうち少なくとも1つが、プールが設けられる領域に対して人が出入りするための出入口扉の近傍に設けられていることを特徴とするプール水利用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−67465(P2012−67465A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211297(P2010−211297)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)