説明

ヘアカラーリング剤およびブリーチ剤

【課題】塗布後の毛髪表面上での定着性に優れたヘアカラーリング剤およびブリーチ剤の提供。
【解決手段】本発明は、非水溶性鉱物および水溶性高分子が配合されたヘアカラーリング剤またはブリーチ剤である。配合される非水溶性鉱物は、例えばケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムカリウム等のケイ酸塩鉱物であり、非水溶性鉱物の配合量は、0.1質量%以上が好ましい。ヘアカラーリング剤には、例えば酸性染料等の直接染料が配合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布後の毛髪表面上での定着性に優れたヘアカラーリング剤およびブリーチ剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
顔料や色素を毛髪に付着させる一時染毛料、染料を毛髪に直接染着させる酸性染毛料等の半永久染毛料、化学反応によって染料を毛髪に染着させる酸化染毛剤等の永久染毛剤等は、毛髪色を変化させるためのヘアカラーリング剤として従来から使用されている。毛髪全体の色を均一にするためには、毛髪の根元間近にまでヘアカラーリング剤を塗布することが求められる。但し、ヘアカラーリング剤が頭皮に付着すると、被施術者によってはアレルギー症状等が問題になることがあるので、その付着を避けることが望まれる。また、毛髪を脱色するためのブリーチ剤についても、その付着を避けることが望まれる。
【0003】
ヘアカラーリング剤やブリーチ剤が頭皮に付着することを抑えるためには、これらの毛髪への付着性を改善することが考えられる。例えば特開2002−3348号公報には、付着性が改善されたヘアカラーリング剤として、ジェランガム、芳香族アルコール及び/又は低級アルキレンカーボネート、並びに直接染料が配合されたものが開示されており、このヘアカラーリング剤の付着性を向上させるには、水溶性ベントナイト、水溶性ヘクトライト、水溶性無水ケイ酸等の水溶性無機化合物を配合すると良いことが前記公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−3348号公報
【0005】
ヘアカラーリング剤やブリーチ剤の頭皮への付着を抑えるためには、これらの毛髪表面上での定着性を向上させれば良いと考えられる。そして、その定着性が向上すれば、ヘアカラーリング剤およびブリーチ剤を根元により近い毛髪部位に塗布することも可能となる上に、塗布時間を長くすることも可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、塗布後の毛髪表面上での定着性に優れたヘアカラーリング剤およびブリーチ剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、毛髪に塗布した後のヘアカラーリング剤およびブリーチ剤の定着性向上について鋭意検討を重ねた結果、非水溶性鉱物を水溶性高分子と共に配合すれば、その定着性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明に係るヘアカラーリング剤またはブリーチ剤は、非水溶性鉱物および水溶性高分子が配合されたことを特徴とする。ここで、「非水溶性鉱物」とは、水に不溶であると共に、ベントナイトのような吸水による膨潤性を有さない鉱物を意味する。
【0009】
本発明に係るヘアカラーリング剤またはブリーチ剤は、ケイ酸塩鉱物が前記非水溶性鉱物として配合されたものであると良く、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、およびケイ酸アルミニウムカリウムから選ばれた一種または二種以上が前記ケイ酸塩鉱物として配合されたものが良い。
【0010】
本発明に係るヘアカラーリング剤またはブリーチ剤における前記非水溶性鉱物の配合量は、0.1質量%以上が好ましい。
【0011】
本発明に係るヘアカラーリング剤は、例えば、直接染料が配合されたものである。直接染料が配合されたヘアカラーリング剤が頭皮に付着すると、その頭皮を染めやすいと言われているが、本発明に係るヘアカラーリング剤は毛髪での定着性が良いので、頭皮への付着が抑えられる。このヘアカラーリング剤には、酸性染料等が直接染料として配合される。
【発明の効果】
【0012】
非水溶性鉱物が水溶性高分子と共に配合された本発明に係るヘアカラーリング剤およびブリーチ剤は、毛髪表面上での定着性に優れる。そのため、根元近くにまで塗布されたヘアカラーリング剤またはブリーチ剤が流れて皮膚に付着することを抑えることが可能となる。また、本発明に係るヘアカラーリング剤およびブリーチ剤は毛髪表面上での定着性に優れるから、浴比(毛髪の所定表面に対するヘアカラーリング剤またはブリーチ剤の量)が施術中安定化し、毛髪色、髪質等を均一化できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施形態に基づき以下に説明する。
本実施形態に係る毛髪処理剤は非水溶性鉱物および水溶性高分子が水に配合されたものであり、染毛するためのヘアカラーリング剤および毛髪を脱色するためのブリーチ剤が本実施形態に係る毛髪処理剤に該当する。
【0014】
毛髪処理剤は、毛髪にそのまま塗布する一剤式のものであっても良く、毛髪への塗布直前に2以上の剤を混合して調製される多剤式のものであっても良い。毛髪への塗布時のおける剤型は、例えば、ジェル状、またはクリーム状である。
【0015】
毛髪処理剤の粘度は、毛髪への塗布の観点からは、5000Pa・s以下が良く、100〜5000Pa・sが好ましく、300〜5000Pa・sがより好ましく、900〜2000Pa・sがさらに好ましい。非水溶性鉱物および/又は水溶性高分子の配合量を増やすと粘度が高まり、非水溶性鉱物および/又は水溶性高分子を減らすと粘度が低下するので、前記粘度範囲に設定することが可能である。なお、前記粘度は、応力制御型レオメーターによる定常流測定で定められる値であり、このときの測定条件は、直径35mm及び傾斜角2°のコーンプレートセンサーを用い、測定温度25℃、せん断速度0.1sec−1での30秒経過後の値である。
【0016】
毛髪処理剤を用いた毛髪処理においては、当該毛髪処理剤を毛髪に塗布し、その後、毛髪を洗浄、乾燥すればよい。
【0017】
(非水溶性鉱物)
本実施形態の非水溶性鉱物は天然に産出する無機化合物であり、毛髪処理剤に一種または二種以上の非水溶性鉱物粒子が配合される。この非水溶性鉱物としては、例えば、ケイ酸塩鉱物である。非水溶性のケイ酸塩鉱物としては、例えば、タルク等のケイ酸マグネシウム、カオリン等のケイ酸アルミニウム、マイカ等のケイ酸アルミニウムカリウムが挙げられる。好ましい非水溶性ケイ酸塩鉱物は、タルクである。
【0018】
非水溶性鉱物の形状は、板状、棒状、球状等、特に限定されない。非水溶性鉱物のレーザー光回折散乱法により求めたメジアン径は、0.5〜30μmが良く、0.5〜10μmが好ましい。また、鉱物粒子の厚さに対する直径で表されるアスペクトは例えば5〜100であり、アスペクト比が大きいものが好ましい。
【0019】
非水溶性鉱物を毛髪処理剤に配合する量は、特に限定されない。毛髪処理剤の定着性を特に良好にするためには、非水溶性鉱物の配合量は、毛髪処理剤を100質量%としたとき、0.1質量%以上が良く、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましい。また、毛髪処理剤の毛髪への塗布を均一化させるためには、非水溶性鉱物の配合量は、10.0質量%以下が良く、7.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましい。
【0020】
(水溶性高分子)
天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子、合成水溶性高分子等の公知の水溶性高分子から選択された一種または二種以上を、本実施形態の水溶性高分子として使用できる。
【0021】
天然水溶性高分子としては、例えば、アルギン酸、カラギーナン、寒天、ファーセレラン等の海藻抽出物;グアーガム、クインスシード、コンニャクマンナン、タマリンドガム、タラガム、デキストリン、デンプン、ローカストビーンガム等の種子粘質物;アラビアガム、ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム等の樹液粘質物;アラビノガラクタン、ペクチン、マルメロ等の果実粘質物;小麦タンパク質、大豆タンパク質等の植物系タンパク質;アルブミン、カゼイン、ゼラチン等の動物系タンパク質;キトサン、ヒアルロン酸等の動物系ムコ多糖;カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、シクロデキストリン、デキストラン、プルラン等の産生粘質物;ヒアルロン酸等の微生物系ムコ多糖;が挙げられる。半合成水溶性高分子としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース等のセルロース誘導体;デンプンリン酸エステル、デンプングリコール酸ナトリウム等のデンプン誘導体;カチオン化グアーガム、カルボキシメチル・ヒドロキシプロピル化グアーガム、ヒドロキシプロピル化グアーガム等のグアーガム誘導体;が挙げられる。合成水溶性高分子としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸/メタクリル酸アルキル)コポリマー、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、(アクリル酸ジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー等のポリアクリル酸系高分子;高重合ポリエチレングリコール;が挙げられる。これら例示した水溶性高分子の一種または二種以上を選択でき、例えば、ポリアクリル酸系高分子単独、ポリアクリル酸系高分子二種(例えば、カルボキシビニルポリマーおよびポリアクリル酸アミド)と高重合ポリエチレングリコールとの組合せである。
【0022】
毛髪処理剤に適度な粘性を付与するために、増粘剤として公知の水溶性高分子を用いることが好ましい。増粘剤となる水溶性高分子は、例えば、水との会合体を形成するための水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基等の親水基を有するものであり、この親水基を有する水溶性高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸アミド、(アクリル酸/メタクリル酸アルキル)コポリマー、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、(アクリル酸ジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー等のポリアクリル酸系高分子である。
【0023】
水溶性高分子の毛髪処理剤への配合量は、毛髪処理剤を100質量%としたとき、0.01〜20質量%が通常であり、0.1〜10質量%が良く、1〜8質量%が好ましい。毛髪への均一塗布と塗布後の定着性を良好にするためには、0.1〜10質量%が良く、1〜8質量%が好ましい。また、ポリアクリル酸系高分子の配合量は、0.2質量%以上が良く、0.5質量〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
【0024】
(ヘアカラーリング剤)
本実施形態のヘアカラーリング剤に該当するものは、(1)直接染料が配合された染毛料、および、(2)毛髪の染毛時に反応が必要になる反応型染料が配合された染毛剤、等である。直接染料および反応型染料が配合されたものは染毛料および染毛剤の双方に該当するから、ヘアカラーリング剤における前記(1)及び(2)の分類は便宜的なものである。
【0025】
上記(1)の染毛料は、反応を伴うことなく毛髪を染毛可能な直接染料が配合されたものである。この染毛料には、酸性染料、天然染料、ニトロ染料、および分散染料等の直接染料から選択された一種または二種以上が配合される。直接染料は頭皮を染着することがあるので、染毛料の頭皮への付着を避けることが特に望まれる。
【0026】
直接染料として汎用性が高い酸性染料は染毛料中において陰イオンとして存在し、当該イオンの毛髪への吸着により染毛が実現される。直接染料は、アゾ染料、アントラキノン染料、キノリン染料、トリフェニルメタン染料等であり、酸性染料と酸性染料以外の直接染料とを併用することもある。
【0027】
酸性染料としては、例えば、赤色2号(Amaranth)、赤色3号(Erythrosine)、赤色102号(New Coccine)、赤色104号の(1)(Phloxine B)、赤色105号の(1)(Rose Bengal)、赤色106号(Acid Red)、赤色201号(Lithol Rubine B)、赤色227号(Fast Acid Magenta)、赤色230号の(1)(Eosine YS)、赤色230号の(2)(Eosine YSK)、赤色231号(Phloxine BK)、赤色232号(Rose Bengal K)、赤色401号(Violamine R)、赤色502号(Ponceau 3R)、赤色503号(Ponceau R)、赤色504号(Ponceau SX)、赤色506号(Fast Red S)、黄色4号(Tartrazine)、黄色5号(Sunset Yellow FCF)、黄色202号の(1)(Uranine)、黄色202号の(2)(Uranine K)、黄色203号(Quinoline Yellow WS)、黄色402号(Polar Yellow 5G)、黄色403号の(1)(Naphthol Yellow S)、黄色406号(Metanil Yellow)、黄色407号(Fast Light Yellow 3G)、橙色205号(Orange II)、橙色207号(Erythrosine Yellowish NA)、橙色402号(Orange I)、緑色3号(Fast Green FCF)、緑色204号(Pyranine Conc)、緑色205号(Light Green SF Yellowish)、緑色401号(Naphthol Green B)、緑色402号(Guinea Green B)、紫色401号(Alizurol Purple)、青色1号(Brilliant Blue FCF)、青色2号(Indigo Carmine)、青色202号(Patent Blue NA)、青色203号(Patent Blue CA)、青色205号(Alphazurine FG)、褐色201号(Rezorich Brown)、黒色401号(Naphthol Blue Black)が挙げられる。ヘアカラーリング剤における酸性染料の配合量は、特に限定されないが、例えば0.01〜5質量%である。
【0028】
本実施形態の染毛料には、50〜95質量%の水と共に公知の染毛料原料を配合することができる。この配合可能な原料としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の有機酸;塩酸、リン酸等の無機酸;パラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン等の炭化水素;アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、乳酸ラウリル、乳酸セチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、モノオレイン酸等のエステル;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール等の高級アルコール;ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩等のアニオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のノニオン界面活性剤;メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性アミノ官能性ポリシロキサン等のシリコーン;エデト酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸等のキレート剤;パラオキシ安息香酸エステル、ジブチルヒドロキシトルエン等の防腐剤または酸化防止剤;ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸等の紫外線吸収剤;香料;が挙げられる。
【0029】
また、直接染料の毛髪内部にまでの浸透を促進するために、浸透促進剤を染毛料に配合することが好ましい。浸透促進剤としては、例えば、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコール、フェニルプロパノール、α−メチルベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール、p−アニシルアルコール等の芳香族アルコール;エタノール、イソプロパノール等の脂肪族一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の脂肪族多価アルコール;炭酸エチレン、炭酸プロピレン等のアルキレンカーボネート;が挙げられる。浸透促進剤の配合量は、特に限定されないが、例えば1質量%以上である。その配合量が多すぎても浸透促進剤の効果に大差はないので、20質量%以下の配合量であると良い。
【0030】
染毛料のpHは、配合される直接染料の種類により適宜設定される。酸性染料を配合する場合、酸性染料が酸性条件で毛髪にイオン結合させて染毛するものであるので、有機酸または無機酸を使用して染毛料のpHを酸性に設定する(この酸性染料を配合した染毛料のpHは、2〜4程度である。)。
【0031】
上記(2)の染毛剤は、反応を経て毛髪を染着可能な公知の反応型染料が配合されたものである。この染毛剤に配合される反応型染料は、例えば、酸化反応により発色する酸化染料、ポリフェノール等の非酸化染料、メラニン前駆物質である。
【0032】
酸化染料が配合された染毛剤は市場における汎用性が高い。この酸化染料が配合された染毛剤を、本実施形態に係る染毛剤として以下に説明する。
【0033】
本実施形態に係る染毛剤は、酸化染料およびアルカリ剤が配合された第1剤と、酸化剤が配合された第2剤とが毛髪への塗布直前に混合されて調製されるものである(第1剤と第2剤の混合比は、例えば、第1剤:第2剤=1質量部:0.3〜3質量部。)。非水溶性鉱物および水溶性高分子は、第1剤および第2剤の何れかに配合されていると良く、その配合態様としては、第1剤に非水溶性鉱物および水溶性高分子が配合された態様;第2剤に非水溶性鉱物および水溶性高分子が配合された態様;第1剤に非水溶性鉱物が配合され、第2剤に水溶性高分子が配合された態様;第1剤に水溶性高分子が配合され、第2剤に非水溶性鉱物が配合された態様;等が挙げられる。また、非水溶性鉱物および水溶性高分子が配合された第3剤を調製し、第1〜3剤を混合したものを染毛剤としても良い。
【0034】
染毛剤のpHは、公知の染毛剤と同様、適宜調整される。pHは通常9〜11程度であるが、アルカリ性であると毛髪損傷が懸念されるので、6〜8程度のpHに調整しても良い。
【0035】
上記第1剤の酸化染料として、酸化反応により単独で発色する公知の染料中間体、および染料中間体により酸化されて色調を呈する公知のカップラーから選択された一種または二種以上を採用できる。染料中間体としては、硫酸トルエン−2,5−ジアミン、塩酸ニトロパラフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン等のフェニレンジアミン誘導体;塩酸2,4−ジアミノフェノール、オルトアミノフェノール、パラアミノフェノール等のフェノール誘導体;等が挙げられる。また、カップラーとしては、塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール、塩酸メタフェニレンジアミン等のフェニレンジアミン誘導体;5−アミノオルトクレゾール、メタアミノフェノール等のアミノフェノール誘導体;レゾルシン;等が挙げられる。第1剤における酸化染料の配合量は、特に限定されないが、例えば0.05〜10質量%である。
【0036】
第1剤に配合されるアルカリ剤は任意原料であり、酸化染料の毛髪内部への浸透性を高めるための毛髪の膨潤を促進する。一種または二種以上のアルカリ剤を配合することができ、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金属炭酸塩;リン酸ナトリウム等の金属リン酸塩;アンモニア;炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン等のアルカノールアミン;アルギニン等の塩基性アミノ酸;等が挙げられる。第1剤におけるアルカリ剤の配合量は、特に限定されないが、例えば0.01〜20質量%である。
【0037】
20〜95質量%の水と公知の染毛剤原料を本実施形態の第1剤に配合することができる。第1剤に配合できる酸化染料以外の原料としては、例えば、直接染料;パラフィン、エステル油等の油剤;イソプロピルアルコール、1,3−ブチレングリコール、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;セチルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩等のアニオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸グリセリンエステル等のノニオン界面活性剤;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性アミノ官能性ポリシロキサン等のシリコーン;アスコルビン酸、亜硫酸塩等の酸化防止剤;エデト酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸等のキレート剤;が挙げられる。
【0038】
第2剤に配合される酸化剤は、酸化染料の発色に要する酸化反応を促進するものであり、一種または二種以上の酸化剤が第2剤に配合される。酸化剤としては、例えば、過酸化水素、臭素酸塩が挙げられる。第2剤における酸化剤の配合量は、特に限定されないが、例えば0.3〜7質量%である。
【0039】
20〜95質量%の水と公知の染毛剤原料を本実施形態の第2剤に配合することができる。第2剤に配合できる酸化剤以外の原料例としては、第1剤に配合できる原料と同じ原料が挙げられる。
【0040】
(ブリーチ剤)
本実施形態のブリーチ剤は、非水溶性鉱物および水溶性高分子が配合されている以外は公知のブリーチ剤と同じである。このブリーチ剤には、過酸化水素、過炭酸塩、過ホウ酸塩、臭素酸塩等のから選択された一種または二種以上の酸化剤が配合される。
【実施例】
【0041】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱することがない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
下記表1に記載の原料を水に配合してヘアカラーリング剤を調製し、ヘアカラーリング剤をヘアカラー用コームで頭皮の根元近傍にまで塗布することによりヘアカラー処理を行った。この全ての処理において、同一人がヘアカラーリング剤の塗布を行った。
【0043】
ヘアカラーリング剤を毛髪に塗布後約15分間のヘアカラーリング剤の定着性について、ヘアカラーリング剤が根元に向けて流動したかに着目して目視評価した。ここでの評価基準は、以下の通りとした。
◎:ヘアカラーリング剤の流動形跡が認められず、全く問題がなかった。
○:ヘアカラーリング剤の流動形跡が少し認められたが、問題がなかった。
△:ヘアカラーリング剤の流動形跡が認められたが、問題になるものではなかった。
×:ヘアカラーリング剤の流動形跡が認められ、頭皮への付着に注意を要した。
【0044】
次表1に、ヘアカラーリング剤の評価結果を配合原料と共に示す。
【表1】

【0045】
表1に示す通り、鉱物を配合しなかった比較例1〜3では、評価結果が「×」となっており、水溶性高分子によるヘアカラーリング剤の定着性が認められたものの、その定着性が低かったことを確認できる。これに対して、鉱物を配合した実施例1a〜1eおよび2では、ヘアカラーリング剤の定着性に優れていたことを確認できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水溶性鉱物および水溶性高分子が配合されたことを特徴とするヘアカラーリング剤またはブリーチ剤。
【請求項2】
ケイ酸塩鉱物が前記非水溶性鉱物として配合された請求項1に記載のヘアカラーリング剤またはブリーチ剤。
【請求項3】
ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、およびケイ酸アルミニウムカリウムから選ばれた一種または二種以上が前記ケイ酸塩鉱物として配合された請求項2に記載のヘアカラーリング剤またはブリーチ剤。
【請求項4】
前記非水溶性鉱物の配合量が0.1質量%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のヘアカラーリング剤またはブリーチ剤。
【請求項5】
直接染料が配合された請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘアカラーリング剤。
【請求項6】
前記直接染料として、酸性染料が配合された請求項5に記載のヘアカラーリング剤。

【公開番号】特開2010−229106(P2010−229106A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80399(P2009−80399)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】