説明

ヘキサヒドロキシジフェノイル化合物

【課題】本発明は、文献未記載の新規ヘキサヒドロキシジフェノイル化合物を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明のヘキサヒドロキシジフェノイル化合物は、一般式(I)


[式中、Rは、フェノール性水酸基の保護基を示す。Rは、RO−基又はROCH−基を示す。R及びRは、共に水酸基の保護基を示す。nは1又は0を示す。但し、nが1を示す場合、RはRO−基を示し、nが0を示す場合、RはROCH−基を示すものとする。]
で表される光学活性な化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘキサヒドロキシジフェノイル化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘキサヒドロキシジフェノイル(HHDP)基は、エラジタンニン類に共通して含まれる化学構造の一部を構成している。エラジタンニン類については、ポリフェノール類に関する最近のブームに乗って、抗酸化性、抗菌性、抗腫瘍性等の種々の薬理作用が報告されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4等)。
【非特許文献1】K. S. Feldman, Phytochemistry, 2005, 66, 1984-2000
【非特許文献2】S. Taniguchi, Yakugaku Zasshi, 2005, 125, 499-507
【非特許文献3】H. Ito, Natural Medicines, 2005, 59, 57-62
【非特許文献4】T. Yoshida, T. Hatano, H. Ito, Yuki Gosei Kagaku Kyokaishi, 2004, 62, 500-507
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、今日まで知られているエラジタンニン類は、いずれも植物由来のものであり、そのため、薬理作用を有するエラジタンニン類の研究は極めて限定されたものである。
【0004】
本発明の課題は、有機合成により大量製造が可能な新規エラジタンニン類縁体を提供し、それにより広範囲にわたるエラジタンニン類の研究を可能ならしめることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、大量製造が可能な新規エラジタンニン類縁体を化学的に合成することに成功した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
【0006】
本発明は、一般式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、Rは、フェノール性水酸基の保護基を示す。Rは、RO−基又はROCH−基を示す。R及びRは、各々水酸基の保護基を示す。nは1又は0を示す。但し、nが1を示す場合、RはRO−基を示し、nが0を示す場合、RはROCH−基を示すものとする。]
で表される、光学活性なヘキサヒドロキシジフェノイル化合物を提供するものである。
【0009】
上記一般式(I)で表される光学活性なヘキサヒドロキシジフェノイル化合物には、下記一般式(Ia)、一般式(Ib)、一般式(Ic)及び一般式(Id)で表されるヘキサヒドロキシジフェノイル化合物が包含される。
【0010】
【化2】

【0011】
[式中、R、R及びRは前記に同じ。]
本明細書において、Rで示されるフェノール性水酸基の保護基としては、フェノール性水酸基の保護基として公知のものでよく、例えば、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基等のアリールアルキル基;メチル基、tert−ブチル基等のアルキル基;メトキシメチル基、エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;ベンジルオキシメチル基等のアリールアルキルオキシアルキル基;アリル基等のアルケニル基;プロパルギル基等のアルキニル基;tert−ブチルジメチルシリル基等のシリル基;アセチル基等のアルカノイル基;ベンゾイル基等のアリールカルボニル基;テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。これらの中でも、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、メトキシメチル基、アリル基等が好ましい。
【0012】
本明細書において、R及びRで示される水酸基の保護基としては、水酸基の保護基として公知のものでよく、例えば、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基等のアリールアルキル基;メチル基、tert−ブチル基等のアルキル基;メトキシメチル基、エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;ベンジルオキシメチル基等のアリールアルキルオキシアルキル基;アリル基等のアルケニル基;プロパルギル基等のアルキニル基;tert−ブチルジメチルシリル基等のシリル基;アセチル基等のアルカノイル基;ベンゾイル基等のアリールカルボニル基;テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。これらの中でも、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、メチル基、メトキシメチル基、アリル基等が好ましい。
【0013】
上記一般式(I)で表される本発明の化合物の製造方法について、以下に説明する。
【0014】
一般式(Ia)で表されるヘキサヒドロキシジフェノイル化合物は、例えば、下記反応式−1に示すようにして製造される。
【0015】
【化3】

【0016】
[式中、R及びRは前記に同じ。MOMはメトキシメチル基を示す。]
反応式−1によれば、一般式(Ia)で表される本発明化合物は、一般式(II)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物とをエステル化反応させ、次いで得られる一般式(IV)で表される化合物を脱メトキシメチル化し、更に得られる一般式(V)で表される化合物をカップリング反応させることにより製造される。
【0017】
一般式(II)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物とのエステル化反応は、例えば、後述する合成例3に示すような反応条件下で行われる。一般式(IV)で表される化合物の脱メトキシメチル化は、例えば、後述する合成例4に示すような反応条件下で行われる。一般式(V)で表される化合物のカップリング反応は、例えば、後述する合成例5に示すような反応条件下で行われる。
【0018】
一般式(Ib)で表されるヘキサヒドロキシジフェノイル化合物は、上記反応式−1において、一般式(II)で表される化合物の代わりに一般式(II’)
【0019】
【化4】

【0020】
[式中、Rは前記に同じ。]
で表される化合物を使用する以外は上記反応式−1に示す方法と同様にして製造される。
【0021】
上記反応式−1において出発原料として用いられる一般式(II)の化合物及び一般式(II’)の化合物は、公知の化合物であり、これらの化合物は、例えば、下記反応式−2に示すように、式(VI)で表される化合物と一般式(VII)で表される化合物とをエステル化反応及びエーテル化反応させ、次いで得られる一般式(VIII)で表される化合物を還元することにより製造される。
【0022】
【化5】

【0023】
[式中、Rは前記に同じ。Etはエチル基を示す。DMFはジメチルホルムアミドを示す。] 上記反応式−1において出発原料として用いられる一般式(III)の化合物は、例えば、下記反応式−3に示すようにして製造される。
【0024】
【化6】

【0025】
[式中、R及びMOMは前記に同じ。Meはメチル基を示す。THFはテトラヒドロフランを示す。]
反応式−3によれば、一般式(III)で表される化合物は、一般式(IX)で表される化合物をメトキシメチル化し、次いで得られる一般式(X)で表される化合物を加水分解することにより製造される。
【0026】
一般式(IX)で表される化合物のメトキシメチル化反応は、例えば、後述する合成例1に示すような反応条件下で行われる。一般式(X)で表される化合物の加水分解反応は、例えば、後述する合成例2に示すような反応条件下で行われる。
【0027】
上記反応式−3において出発原料として用いられる一般式(IX)の化合物は、公知の化合物であり、該化合物は、例えば、下記反応式−4に示すように、一般式(XI)で表される化合物をアセチル化し、次いで得られる一般式(XII)で表される化合物と一般式(XIII)で表される化合物とを反応させ、更に得られる一般式(XIV)で表される化合物を脱アセチル化することにより製造される。
【0028】
【化7】

【0029】
[式中、R及びMeは前記に同じ。Acはアセチル基を示す。]
一般式(Ic)で表されるヘキサヒドロキシジフェノイル化合物は、例えば、下記反応式−5に示すようにして製造される。
【0030】
【化8】

【0031】
[式中、R、R及びMOMは前記に同じ。]
反応式−5によれば、一般式(Ic)で表される本発明化合物は、一般式(XV)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物とをエステル化反応させ、次いで得られる一般式(XVI)で表される化合物を脱メトキシメチル化し、更に得られる一般式(XVII)で表される化合物をカップリング反応させることにより製造される。
【0032】
一般式(XV)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物とのエステル化反応は、例えば、後述する合成例7に示すような反応条件下で行われる。一般式(XVI)で表される化合物を脱メトキシメチル化は、例えば、後述する合成例7に示すような反応条件下で行われる。一般式(XVII)で表される化合物のカップリング反応は、例えば、後述する合成例8に示すような反応条件下で行われる。
【0033】
一般式(Id)で表されるヘキサヒドロキシジフェノイル化合物は、上記反応式−5において、一般式(XV)で表される化合物の代わりに一般式(XV’)
【0034】
【化9】

【0035】
[式中、Rは前記に同じ。]
で表される化合物を使用する以外は上記反応式−5に示す方法と同様にして製造される。
【0036】
上記反応式−5において出発原料として用いられる一般式(XV)の化合物及び一般式(XV’)の化合物は、公知の化合物であり、これらの化合物は、例えば、下記反応式−6に示すように、式(XVII)で表される化合物から、一般式(XIX)で表される化合物、一般式(XX)で表される化合物、一般式(XXI)で表される化合物を経由して製造される。これら一連の反応には、この種反応における公知の反応条件を適宜採用することができる。
【0037】
【化10】

【0038】
[式中、Rは前記に同じ。]
上記各反応式に示される方法により得られる各々の目的化合物は、通常の分離手段により反応混合物より分離され、精製される。このような分離及び精製手段としては、例えば蒸留法、再結晶法、カラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、親和クロマトグラフィー、プレパラティブ薄層クロマトグラフィー、溶媒抽出法等を挙げることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明のヘキサヒドロキシジフェノイル化合物は、分子内にHHDP基を有し、単一の軸不斉を持っていることから、各種医薬品、例えば、抗菌剤、抗腫瘍剤等の他、抗酸化剤、金属触媒のリガンド等の各種用途に使用できる。
【0040】
本発明のヘキサヒドロキシジフェノイル化合物は、有機化学合成により容易に且つ大量に製造され得るので、工業的な利用価値が極めて高い。
【0041】
例えば、本発明のヘキサヒドロキシジフェノイル化合物は、後記参考例1及び参考例2に示すように、(1R)−4,5,6,4’,5’,6’−ヘキサベンジルオキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジメタノールに誘導することができる。この化合物中のベンジル基を部分的にメチル基に置換した化合物、例えば、下記一般式(XXII)
【0042】
【化11】

【0043】
[式中、Bnはベンジル基を示す。Meは前記に同じ。]
で表される化合物は、感染したH9リンパ球におけるHIV複製を阻害する強い活性を有している(Y. Kashiwada, L. Huang, R. E. Kilkuskie, A. J. Bodner, K.-H. Lee, Bioorg. Med. Chem. Lett. 1992, 2, 235-238)。
【0044】
また、本発明のヘキサヒドロキシジフェノイル化合物は、後記参考例3〜8に示すように、種々の化合物に誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に実施例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。
合成例1
メチル 4−ベンジルオキシ−3,5−(ジメトキシメトキシ)ベンゾエート(5)の製造
【0046】
【化12】

【0047】
2リットルのなすフラスコ中で、メチル 4−ベンジルオキシ−3,5−ジヒドロキシベンゾエート(4)(30.0g,109mmol)をジメチルホルムアミド(700ml)に溶解し、氷浴で冷却し、水素化ナトリウム(鉱油に60%懸濁,1300mg;NaHとして770mg,328mmol)を加え、1時間撹拌した。バブラーを使用して、反応系中からの水素の発生が完結したことを確認し、メトキシメチルクロリド(24.9ml,328mmol)を加え、室温まで徐々に加温しながら 2.5時間撹拌した。反応の進行をTLC及びマススペクトルにより確認した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加え、乾燥させた。綿栓濾過を行い、濾液を減圧下で濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル600g,n−ヘキサン:酢酸エチル=8:1→6:1→5:1→3:1→2:1)に付し、標記化合物(5)(無色シロップ,36.3g,100mmol,収率92%)を得た。
【0048】
化合物(5)の物性値は以下の通りである。
IR(ZnSe,薄膜)νmax(cm−1):
2953,1723,1591,1499,1435,1393,1329,1120,1155,1109,1047
H−NMR(400MHz,CDCl)(δppm):
7.44(s,2H,Ar−CH),7.39−7.18(m,5H,Ar−H),5.11(s,4H,メトキシメチル基におけるCH),5.05(s,2H,PhCH),3.80(s,3H,エステル部位におけるOCH),3.40(s,6H,メトキシメチル基におけるOCH
13C−NMR(100MHz,CDCl)(δppm):
166.2(s,1C,C=O),150.8(s,2C,Ar),142.9(s,1C,Ar),137.2(s,1C,Ar),128.2(d,2C,ベンジル基におけるAr),128.2(d,2C,ベンジル基におけるAr),128.0(d,1C,ベンジル基におけるAr),125.5(s,2C,Ar),111.9(d,2C,Ar),95.3(t,2C,メトキシメチル基におけるCH),75.1(t,1C,Bn位),56.2(q,2C,メトキシメチル基におけるOCH),52.0(q,1C,エステル部位におけるOCH
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C1922として)385.1263,測定値385.1259
なお、上記において、Arはアリール基を意味する。以下の合成例においても同じである。
【0049】
合成例2
4−ベンジルオキシ−3,5−(ジメトキシメトキシ)安息香酸(6)の製造
【0050】
【化13】

【0051】
2リットルのなすフラスコ中で、合成例1で製造したメチル 4−ベンジルオキシ−3,5−(ジメトキシメトキシ)ベンゾエート(5)(36.3g,100mmol)をメタノール(200 ml)及びテトラヒドロフラン(300ml)の混合溶媒に溶解し、水酸化リチウム水溶液(21.0g,500mmol、水100ml中)を加え、撹拌しながら、3時間還流した。反応の進行をTLCにより確認した後、室温まで冷却し、1N塩酸を加えてクエンチし(pH=5.0)、反応溶液を減圧下で濃縮して、メタノール及びTHFを除去した。フラスコに残った水を含む混合物を、酢酸エチルで3回抽出した後、集めた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。綿栓濾過を行い、濾液を減圧下で濃縮して得られた粗結晶を酢酸エチル/n−ヘキサンから再結晶させ、標記化合物(6)(白色粉末,28.8g,82.7mmol,収率82%)を得た。
【0052】
化合物(6)の物性値は以下の通りである。
mp 113−116℃
IR(ZnSe,薄膜)νmax(cm−1):
2957,2631,1686,1591,1433,1325,1227,1157,1111,1047,922
H−NMR(400MHz,(CDCO)(δppm):
7.58−7.53(m,4H,Ar−H),7.37−7.30(m,3H,Ar−H),5.27(s,4H,メトキシメチル基におけるCH),5.15(s,2H,PhCH),3.48(s,6H,エステル部位におけるOCH
13C−NMR(100MHz,(CDCO)(δppm):
167.2(s,1C,C=O),152.0(s,2C,Ar),151.9(s,1C,Ar),144.0(s,1C,Ar),138.8(s,1C,Ar),129.1(d,2C,ベンジル基におけるAr),129.0(d,1C,ベンジル基におけるAr),128.7(d,1C,Ar),128.7(d,1C,Ar),126.6(s,1C,Ar),112.9(d,1C,Ar−CH),112.8(d,1C,Ar−CH),96.2(t,1C,ベンジル位),75.6(t,1C,メトキシメチル基におけるCH),75.5(t,1C,メトキシメチル基におけるCH),56.5(q,1C,メトキシメチル基におけるOCH),56.4(q,1C,メトキシメチル基におけるOCH
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C1820として)371.1107,測定値371.1100
なお、上記において、Phはフェニル基を意味する。以下の合成例においても同じである。
【0053】
合成例3
(2S,3S)−2,3−ジメトキシ−1,4−ブタンジオール ジ[4−ベンジルオキシ−3,5−(ジメトキシメトキシ)ベンゾエート](10)の製造
【0054】
【化14】

【0055】
500mlのなすフラスコ中で、(2S,3S)−2,3−ジメトキシ−1,4−ブタンジオール(9)(2.81g,18.7mmol)をベンゼンに溶解させ、エバポレーションによる共沸操作を三度繰り返した後、ジクロロメタン(187ml)に溶解し、合成例2で製造した4−ベンジルオキシ−3,5−(ジメトキシメトキシ)安息香酸(6)(15.0g,43.1mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(21.5g,112mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(20.6g,169mmol)を加え、室温で1.5時間攪拌した。反応の進行をTLC及びマススペクトルにより確認した後、反応混合物を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム、水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。綿栓濾過を行い、濾液を減圧下で濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル530g,n−ヘキサン:酢酸エチル=6:1→4:1→3:1→2:1→1:1→1:2)に付し、標記化合物(10)(白色結晶,13,1mg,16.2mmol,収率89%)を得た。
【0056】
化合物(10)の物性値は以下の通りである。
mp 78.5−80.5℃
[α]24=+1.7°(c=1.00,CHCl
H−NMR(400MHz,CDCl)(δppm):
7.54(s,4H,Ar−H),7.47−7.45(br−d,4H,Ar−H),7.37−7.30(m,6H,Ar−H),5.18(s,8H,メトキシメチル基におけるCH),5.13(s,4H,PhCH),4.60−4.56(br−d,2H,酒石酸エステル),4.48−4.44(br−d,2H,酒石酸エステル),3.73(ddd,2H,酒石酸エステル),3.56(s,6H,酒石酸エステルにおけるOCH),3.46(s,12H,メトキシメチル基におけるOCH
13C−NMR(100MHz,CDCl)(δppm):
165.8(s,2C,C=O),151.1(s,2C),143.4(s,2C),137.4(s,2C),128.5(d,4C,ベンジル基におけるAr),128.5(d,4C,ベンジル基におけるAr),128.3(d,2C,ベンジル基におけるAr),125.5(s,2C),112.4(d,2C,ガロイル基におけるAr),95.7(t,2C),79.0(d,2C,酒石酸エステル),75.4(t,2C),64.0(t,2C),59.6(q,2C),56.5(q,2C)
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C425016として)833.2997,測定値833.3002
なお、上記において、Bnはベンジル基を意味する。以下の合成例においても同じである。
【0057】
合成例4
(2S,3S)−2,3−ジメトキシ−1,4−ブタンジオール ジ[4−ベンジルオキシベンゾエート](11)の製造
【0058】
【化15】

【0059】
1リットルのなすフラスコ中で、合成例3で製造した(2S,3S)−2,3−ジメトキシ−1,4−ブタンジオール ジ[4−ベンジルオキシ−3,5−(ジメトキシメトキシ)ベンゾエート](10)(5.00g,6.17mmol)をジメチルクロロメタン(620ml)に溶解し、トリフルオロ酢酸(62ml,805mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応の進行をTLC及びマススペクトルにより確認した後、氷浴で冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチした。この混合物をジクロロメタンで3回抽出した後、有機層を水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加え、乾燥させた。綿栓濾過を行い、濾液を減圧下で濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル450g,クロロホルム:メタノール=1:0→300:1→100:1)に付し、標記化合物(11)(白色アモルファス,2.74g,4.32mmol,収率71%)を得た。
【0060】
化合物(11)の物性値は以下の通りである。
mp 69.1−70.8℃
[α]24=−25.5°(c=1.00,CHCl
H−NMR(400MHz,CDCl)(δppm):
7.53−7.51(br−d,4H,Ar−H),7.37−7.30(m,6H,Ar−H),7.15(s,4H,ガロイル基におけるAr−H),5.19(s,4H,PhCH),4.57−4.54(br−d,2H,酒石酸エステル),4.39−4.35(br−d,2H,酒石酸エステル),3.82(ddd,2H,酒石酸エステル),3.52(s,6H,酒石酸エステルにおけるOCH
13C−NMR(100MHz,CDCl)(δppm):
166.4(s,2C,C=O),151.5(s,2C),139.1(s,2C),138.6(s,2C),129.4(d,4C,ベンジル基におけるAr),129.1(d,4C,ベンジル基におけるAr),128.9(d,2C,ベンジル基におけるAr),126.4(s,2C),110.0(d,2C,ガロイル基におけるAr),79.8(d,2C,酒石酸エステル),74.6(t,2C),64.4(t,2C),59.4(q,2C,酒石酸エステルにおけるOCH
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C343412として)657.1948,測定値657.1946。
【0061】
合成例5
(8S,9S,16aR)−2,15−ジベンジルオキシ−1,3,14,16−テトラヒドロキシ−8,9−ジメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ジベンゾ[h,j][1,6]ジオキサシクロドデシン−5,12−ジオン(12)の製造
【0062】
【化16】

【0063】
50mlのなすフラスコ中で、塩化第二銅(212mg,1.58mmol)及びn−ブチルアミン(0.697ml,6.30mmol)をメタノール(22ml)に溶解し、30分間室温で攪拌した。また、10mlの試験管中で、合成例4で製造した(2S,3S)−2,3−ジメトキシ−1,4−ブタンジオール ジ[4−ベンジルオキシベンゾエート](11)(200mg,0.315mmol)をアセトニトリルに溶解させ、エバポレーションによる共沸操作を三度繰り返したものをメタノール(10ml)に溶解し、カニューレを用いて前述の50mlなすフラスコに加え、室温で40分間撹拌した。反応の進行をTLC及びマススペクトルにより確認した後、飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチした。この混合物をジエチルエーテルで4回抽出した後、有機層を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。綿栓濾過を行い、濾液を減圧下で濃縮し、標記化合物(12)(黄色シロップ)を得た。
【0064】
化合物(12)の物性値は以下の通りである。
[α]25=+14.2°(c=1.00,CHCl
H−NMR(400MHz,(CDCO)(δppm):
7.55−7.53(br−d,4H,Ar−H),7.38−7.31(m,6H,Ar−H),6.63(s,2H,ガロイル基におけるAr−H),5.18(d,2H,PhCH),5.13(d,2H,PhCH),4.39(d,2H,酒石酸エステル),4.13−4.10(br−d,2H,酒石酸エステル),3.58(br−d,2H,酒石酸エステル),3.45(s,3H,エステル部位におけるOCH
13C−NMR(100MHz,(CDCO)(δppm):
168.3(s,2C,C=O),150.4(s,2C),150.2(s,2C),138.9(s,2C),136.8(s,2C),131.4(s,2C),129.3(d,4C,ベンジル基におけるAr),129.1(d,4C,ベンジル基におけるAr),128.7(d,2C,ベンジル基におけるAr),115.0(s,2C),108.4(d,2C,ヘキサヒドロキシジフェノイル基におけるAr),78.9(d,2C,酒石酸エステル),74.8(t,2C),61.2(t,2C),57.8(q,2C,酒石酸エステルにおけるCH
mp 104.8−105.9℃
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C343212として)655.1791,測定値657.1786
上記のH−NMRデータから、得られる化合物(12)は、単一の軸不斉を持っていることを確認した。
【0065】
合成例6
(8S,9S,16aR)−2,15−ジベンジルオキシ−1,3,8,9,14,16−ヘキサメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ジベンゾ[h,j][1,6]ジオキサシクロドデシン−5,12−ジオン(13)の製造
【0066】
【化17】

【0067】
30mlのなすフラスコ中で、合成例5で製造した(8S,9S,16aR)−2,15−ジベンジルオキシ−1,3,14,16−テトラヒドロキシ−8,9−ジメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ジベンゾ[h,j][1,6]ジオキサシクロドデシン−5,12−ジオン(12)の全量をアセトン(9.5ml)に溶解し、ヨードメタン(0.196ml,3.15mmol)及び炭酸カリウム(653mg,4.73mmol)を加え、終夜加熱還流した。反応の進行をTLC及びマススペクトルにより確認した後、綿栓濾過を行い、炭酸カリウムを除去した。濾液をジクロロメタンで希釈し、有機層を水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。綿栓濾過を行い、濾液を減圧下で濃縮して得られた粗結晶をジクロロメタン/n−ヘキサンから再結晶させ、標記化合物(13)(黄色結晶,106mg,0.154mmol,合成例5及び合成例6の総収率49%)を得た。
【0068】
化合物(13)の物性値は以下の通りである。
mp 202.2−202.7℃
[α]25=+101°(c=1.00,CHCl
H−NMR(400MHz,CDCl)(δppm):
7.44−7.42(br−d,4H,Ar−H),7.30−7.22(m,6H,Ar−H),6.79(s,2H,ガロイル基におけるAr−H),5.11(d,2H,PhCH),5.03(d,2H,PhCH),4.41(d,2H,酒石酸エステル),4.10−4.06(br−d,2H,酒石酸エステル),3.78(s,6H,ヘキサヒドロキシジフェノイル基におけるOCH),3.58(s,6H,ヘキサヒドロキシジフェノイル基におけるOCH),3.52(dd,2H,酒石酸エステル),3.44(s,6H,酒石酸エステルにおけるOCH
13C−NMR(100MHz,CDCl)(δppm):
167.9(s),153.2(s),152.8( s),143.3(s),137.7(s),128.6(d,4C,ベンジル基におけるAr),128.4(d,4C,ベンジル基におけるAr),128.1(d,2C,ベンジル基におけるAr),122.8(s),167.9−122.8(s,隠れたsピーク),107.0(d,2C,ヘキサヒドロキシジフェノイル基におけるAr),78.4(d,2C,酒石酸エステル),75.1(t,2C),61.8(t,2C),61.1(q,2C),58.7(q,2c),56.3(q,2c)
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C384012として)711.2417,測定値711.2398
得られる化合物(13)につきX線構造解析を行ったところ、軸不斉はRであることを確認した。
【0069】
合成例7
(2S,3S)−1,4−ジベンジルオキシ−2,3−ブタンジオール ジ[4−ベンジルオキシベンゾエート](16)の製造
【0070】
【化18】

【0071】
使用に先立って、ベンゼンを用いて(2S,3S)−1,4−ジベンジルオキシ−2,3−ブタンジオール(14)を乾燥した。この乾燥物をジクロロメタン(10ml)に溶解し、4−ベンジルオキシ−3,5−(ジメトキシメトキシ)安息香酸(6)(2.59g,7.44mmol)、樟脳スルホン酸(384mg,1.65 mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(2.54g,13.2mmol)及びジメチルアミノピリジン(404mg,3.31 mmol)を加えた。混合物をアルゴン気流下、室温で12時間撹拌した。1Mリン酸水溶液を加え、水性混合物を酢酸エチル20mlで3回抽出した。一般的な乾燥操作の後、濾液をエバポレートして粗製の(2S,3S)−2,3−ジベンジルオキシ−1,4−ブタンジオール ジ[4−ベンジルオキシ−3,5−ジヒドロキシベンゾエート](15)を無色油状物として得た。
【0072】
粗製の化合物(15)のテトラヒドロフラン(8ml)溶液に、イソプロピルアルコール(25ml)及び濃塩酸(0.5ml)を加えた。混合物を50℃で9時間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。エバポレーターによりイソプロピルアルコールを回収し、水性混合物を酢酸エチル20mlで3回抽出した。有機層を合わせ、水30mlで1回、次いで飽和食塩水30mlで1回洗浄した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル100g、n−ヘキサン/酢酸エチル=6/1→0/1)で精製し、無色アモルファス固体として、標記化合物(16)(2.41g,収率92%)を得た。
【0073】
化合物(15)の物性:
[α]24=+12.1°(c=1.12,CHCl
IR(ZnSe,薄膜)νmax(cm−1):
3033,2905,1721,1590,1329,1217,1194,1048,758,698
H−NMR(400MHz,CDCl)(δppm):
3.43(s,12H),3.72−3.80(m,4H),4.47(d,2JHH=11.9Hz,2H),4.56(d,2JHH=11.9Hz,2H),5.10(s,4H),5.13(d,2JHH=8.4Hz,4H),5.15(d,2JHH=8.4 Hz,4H)5.65−5.70(m,2H),7.20−7.36(m,16H),7.44−7.46(m,4H),7.49(s,4H)
13C−NMR(100MHz,CDCl)(δppm):
56.5(q,4C,OCH in the MOM),68.4(t,2C),72.2(d,2C),73.5(t,2C),75.4(t,2C),95.7(t,4C),112.6(d,4C,Ar−galloyl),125.5(s,2C),127.8(d,2C,Ar−Bn),127.9(d,4C,Ar−Bn),128.2(d,2C,Ar−Bn),128.4(d,8C,Ar−Bn),128.5(d,4C,Ar−Bn),137.5(s,2C),137.9(s,2C),143.5(s,2C),151.0(s,4C,Ar−galloyl at MOM),165.3(s,2C,C=O)
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C545823Na16として)985.3623,測定値985.3642。
【0074】
化合物(16)の物性:
mp 139−141℃
[α]25=+13.4°(c=1.52,CHCl
IR(ZnSe,薄膜)νmax(cm−1):
3424,1707,1597,1455,1364,1215,1055,754,698
H−NMR(400MHz,CDCl)(δppm):
3.70(brd,3JHH=3.9Hz,4H),4.44(d,2JHH=12.1Hz,2H),4.53(d,2JHH=12.1Hz,2H),5.11(s,4H),5.62−5.65(m,2H),7.17(s,4H,Ar−galloyl−H),7.22−7.28(m,10H,Ar−Bn−H),7.34−7.38(m,10H,Ar−Bn−H)
13C−NMR(100MHz,CDCl)(δppm):
68.3(t,2C),71.9(d,2C),73.5(t,2C),75.6(t,2C),110.1(d,4C,Ar−galloyl),125.4(s,2C),128.0(d,2C,Ar−Bn),128.1(d,4C,Ar−Bn),128.6(d,4C,Ar−Bn),128.8(d,4C,Ar−Bn),129.0(d,6C,Ar−Bn),136.7(s,2C),137.5(s,2C),137.9(s,2C),149.2(s,4C,Ar−galloyl at hydroxy group),165.9(s,2C,C=O)
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C464223Na12として)809.2574,測定値809.2560。
【0075】
合成例8
(7S,8S,14aS)−2,13−ジベンジルオキシ−1,3,12,14−テトラヒドロキシ−7,8−ジベンジルオキシメチル−7,8−ジヒドロ−ジベンゾ[f,h][1,4]ジオキサデシン−5,10−ジオン(17)の製造
【0076】
【化19】

【0077】
使用に先立って、アセトニトリルを用いて化合物(16)(76.1mg,0.100mmol)を乾燥した。乾燥物をメタノール(3.0ml)に溶解した。他のフラスコに、塩化第二銅(68.3 mg,0.500mmol)及びn−ブチルアミン(146mg,2.00mmol)を加えた。塩化第二銅及びn−ブチルアミンの混合物にメタノール(7.0ml)を加え、室温で20分間撹拌して、ブルーの塩化第二銅−n−ブチルアミン錯体の溶液を調製した。塩化第二銅−n−ブチルアミン錯体溶液に、化合物(16)のメタノール溶液を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を1M塩酸水溶液及び飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチした。メタノールをエバポレーターにより除去した後、水性混合物を酢酸エチル10mlで3回洗浄した。有機層を合わせ、1M塩酸水溶液60mlで1回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mlで1回、水20mlで2回及び飽和食塩水20mlで1回順次洗浄した。一般的な乾燥操作の後、濾液をエバポレートして標記化合物(17)を黄色アモルファス固体として得た。
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C464023Na12として)807.2417,測定値807.2401。
【0078】
参考例1
(8S,9S,16aR)−1,2,3,14,15,16−ヘキサベンジルオキシ−8,9−ジメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ジベンゾ[h,j][1,6]ジオキサシクロドデシン−5,12−ジオン(18)の製造
【0079】
【化20】

【0080】
1.2gの(2S,3S)−2,3−ジメトキシ−1,4−ブタンジオール ジ[4−ベンジルオキシベンゾエート](11)を用いて、合成例5と同じ方法で製造した(8S,9S,16aR)−2,15−ジベンジルオキシ−1,3,14,16−テトラヒドロキシ−8,9−ジメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ジベンゾ[h,j][1,6]ジオキサシクロドデシン−5,12−ジオン(12)の全量をアセトン(22ml)に溶解し、ヨードメタン(176mg,1.06mmol)、炭酸カリウム(1.46g,10.6mmol)及びベンジルクロライド(1.22ml,10.6mmol)を加え、撹拌しながら、終夜加熱還流した。反応の進行をTLC及びマススペクトルにより確認した後、綿栓濾過を行い、炭酸カリウムを除去した。濾液を酢酸エチルで希釈し、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。綿栓濾過を行い、濾液を減圧下で濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル36g,酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1→3:1→2:1→1:1)に付し、標記化合物(18)(無色シロップ,866mg,0.872mmol,合成例5及び参考例1の総収率42%)を得た。
[α]24=+35.7°(c=1.13,CHCl
H−NMR(400MHz,(CDCO)(δppm):
7.60−7.58(br−d,4H,Ar−H),7.46−7.38(m,10H,Ar−H),7.28−7.27(br−t,6H,Ar−H),7.22(s,2H,Ar−H),7.18−7.16(br−t,6H,Ar−H),7.01−6.99(m,4H),5.28(d,2H,PhCH),5.24(d,2H,PhCH),5.02(d,3H,PhCH),4.97(d,3H,PhCH),4.80(d,2H,PhCH),4.48(d,2H,酒石酸エステル),4.23−4.20(br−d,2H,酒石酸エステル),3.65(br−dd,2H,酒石酸エステル),3.49(s,6H,酒石酸エステルにおけるOCH
13C−NMR(100MHz,CDCl)(δppm):
168.4(s,2C,C=O),153.5(s,2C),153.0(s,2C),145.2(s,2C),138.9(s,2C),138.8(s,2C),138.0(s,2c),130.5(s,2c),129.4(d,ベンジル基におけるAr),129.1(d,ベンジル基におけるAr),129.0(d,ベンジル基におけるAr),128.9(d,ベンジル基におけるAr),128.8(d,Ar−Bn),128.7(d,ベンジル基におけるAr),128.5(d,ベンジル基におけるAr),129.4−128.5(2つの隠れたdピーク),124.2(s,2C),109.7(d,2C,ヘキサヒドロキシジフェノイル基におけるAr),78.7(d,2C,酒石酸エステル),76.1(t,2C),75.6(t,2C),71.9(t,2c),61.7(t,2c),58.0(q,2C,酒石酸エステルにおけるOCH
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C625612として)1015.3669,測定値1015.3626。
【0081】
参考例2
(1R)−4,5,6,4’,5’,6’−ヘキサベンジルオキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジメタノール(19)の製造
【0082】
【化21】

【0083】
30mlのなすフラスコ中で、上記参考例1で製造した(8S,9S,16aR)−1,2,3,14,15,16−ヘキサベンジルオキシ−8,9−ジメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ジベンゾ[h,j][1,6]ジオキサシクロドデシン−5,12−ジオン(18)(600mg,0.604mmol)をジエチルエーテル(6ml)に溶解し、水素化リチウムアルミニウム(57.6mg,1.51mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応の進行をTLC及びマススペクトルにより確認した後、ジエチルエーテル、水及び飽和酒石酸ナトリウムカリウム水溶液を加えてクエンチし、アルミニウム塩を捕捉し、無水硫酸マグネシウムを加え、乾燥させた。綿栓濾過を行い、濾液を減圧下で濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル36g,n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1→3:1→2:1→1:1)に付し、標記化合物(19)(無色シロップ,429mg,0.504mmol,81%)を得た。
[α]24=−75°(c=1.12,CHCl
H−NMR(400MHz,(CDCO)(δppm):
7.65(d,4H,Ar−H),7.49−7.39(m,10H,Ar−H),7.37(s,2H,Ar−H),7.22(2,2H,Ar−H),7.18−7.16(br−t,6H,Ar−H),7.01−6.99(m,4H),5.30(s,4H),5.16(d,2H),5.07(d,2H),4.99(s,4H),4.57(s,2H),4.43(dddd,4H)
13C−NMR(100MHz,CDCl)(δppm):
153.7(s,2C),151.7(s,2C),142.1(s,2C),139.1(s,2C),139.0(s,2C),138.4(s,2C),138.0(s,2c),129.4(d,ベンジル基におけるAr),129.3(d,ベンジル基におけるAr),129.1(d,ベンジル基におけるAr),129.0(d,ベンジル基におけるAr),128.9(d,ベンジル基におけるAr),128.7(d,ベンジル基におけるAr),128.7(d,ベンジル基におけるAr),128.3(d,ベンジル基におけるAr)128.3(d,ベンジル基におけるAr),123.1(s,2C),110.3(d,2C,ヘキサヒドロキシジフェノイル基におけるAr),76.0(t,2C,−OCHAr),75.4(t,2C,−OCHAr),71.7(t,2C,−OCHAr),63.0(t,2c,−CHOH)
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C5650として)873.3403,測定値873.3370
参考例3
(7S,8S,14aS)−1,2,3,12,13,14−ヘキサベンジルオキシ−7,8−ジベンジルオキシメチル−7,8−ジヒドロ−ジベンゾ[f,h][1,4]ジオキサデシン−5,10−ジオン(20)の製造
【0084】
【化22】

【0085】
化合物(17)のアセトン(2ml)溶液に、炭酸カリウム(82.9mg,0.600mmol)及び臭化ベンジル(103mg,0.600mmol)を加えた。この混合物をアルゴン気流下、14時間還流した。反応混合物をコットン−セライトパッドを通して濾過した。濾液をエバポレートし、残渣を酢酸エチル10mlで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液10mlで3回、水10mlで1回及び飽和食塩水10mlで1回順次洗浄した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル3.0g、n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1→1/1)で精製し、黄色アモルファス固体として、標記化合物(20)(37.6mg)を得た。
mp 78−80℃
[α]25=−16.9°(c=0.955,CHCl
IR(ZnSe,薄層)νmax(cm−1):
3063,2926,1746,1593,1372,1192,1097,737,696
H−NMR(400MHz,CDCl)(δppm):
3.70−3.79(m,4H),4.48(d,2JHH=12.2Hz,2H),4.62(d,2JHH=12.2Hz,2H),4.64(d,2JHH=11.0Hz,2H),4.80(d,2JHH=10.9Hz,2H),4.95(d,2JHH=11.0Hz,2H),4.98(d,2JHH=10.9Hz,2H),5.08(d,2JHH=11.3Hz,2H),5.18(d,2JHH=11.3Hz,2H),5.49(s,2H),6.90(s,2H),6.96−7.01(m,4H),7.07−7.13(m,6H),7.21−7.42(m,26H),7.43−7.47(m,4H)
13C−NMR(100MHz,CDCl)(δppm):
67.7(t,2C),71.2(t,2C),73.3(t,2C),75.3(d,2C),75.4(t,2C),75.5(t,2C),107.0(d,2C),121.5(s,2C),127.4(d,2C),127.6(d,4C),127.8(d,2C),127.9(d,4C),127.9(d,6C),128.0(d,4C),128.1(d,2C),128.2(d,4C),128.4(d,4C),128.5(d,4C),128.6(d,4C),129.7(s,2C),136.5(s,2C),137.5(s,2C),137.6(s,2C),137.7(s,2C),144.1(s,2C),152.5(s,2C),152.7(s,2C),168.0(s,2C)
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C746423Na12として)1167.4295,測定値1167.4281。
【0086】
参考例4
(1R)−4,4’,5,5’,6,6’−ヘキサベンジルオキシ−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジメタノール(21)の製造
【0087】
【化23】

【0088】
リチウムアルミニウムハイドライド(13.8mg,0.320mmol)のジエチルエーテル(4ml)の撹拌された混合物に、アルゴン気流下、0℃で、(7S,8S,14aS)−1,2,3,12,13,14−ヘキサベンジルオキシ−7,8−ジベンジルオキシメチル−7,8−ジヒドロ−ジベンゾ[f,h][1,4]ジオキサデシン−5,10−ジオン(20)(146mg,0.130mmol)のジエチルエーテル(16ml)溶液を滴下した。混合物をアルゴン気流下、0℃から室温で1.5時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(6ml)で希釈し、水(0.05ml)でクエンチした。湿った混合物に硫酸マグネシウム及びセライトを加え、コットン−セライトパッドを通して濾過した。濾液をエバポレートした後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル3.0g、n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1→1/1)で精製し、無色オイルとして、標記化合物(21)(68.7mg,収率62%)を得た。
【0089】
この化合物のNMRデータは、Kashiwada, Y.; Huang, L.; Ballas, L. M.; Jiang, J. B.; Janzen, W. P.; Lee, K-H. J. Med. Chem. 1994, 37, 195-200 に記載のものと一致した。
[α]25=+77.2°(c=0.940,CHCl
IR(ZnSe,薄膜)νmax(cm−1):
3391,3063,2876,1595,1455,1123,1098,696
H−NMR(400MHz,CDCl)(δppm):
2.68(br s,2H),4.19(br s,4H),4.60(d,2JHH =11.0Hz,2H),4.98(d,2JHH=11.0Hz,2H),5.02(d,2JHH =10.8Hz,2H),5.07(d,2JHH=10.8Hz,2H),5.21(d,2JHH=11.7Hz,2H),5.25(d,2JHH=11.7Hz,2H),6.83(brd,3JHH=6.6Hz,4H),7.06(s,2H),7.12−7.21(m,6H),7.24−7.31(m,6H),7.34−7.46(m,10H),7.53(brd,3JHH=6.9Hz,4H)
13C−NMR(100MHz,CDCl)(δppm):
63.5(t,2C),71.0(t,2C),75.2(t,2C),75.5(t,2C),110.6(d,2C),122.4(s,2C),127.5(d,4C),127.6(d,4C),127.8(d,2C),128.1(d,4C),128.2(d,4C),128.3(d,4C),128.6(d,4C),128.8(d,4C),136.4(s,2C),136.7(s,2C),137.1(s,4C),141.2(s,2C),150.6(s,2C),152.8(s,2C)
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C565023Naとして)873.3403,測定値873.3382。
【0090】
参考例5
(8S,9S,16aR)−2,15−ジベンジルオキシ−1,3,14,16−テトラアリルオキシ−8,9−ジメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ジベンゾ[h,j][1,6]ジオキサシクロドデシン−5,12−ジオン(22)の製造
【0091】
【化24】

【0092】
合成例5と同様にして化合物(11)(100mg,0.158mmol)から化合物(12)を製造し、精製することなく次の工程に使用した。粗製の化合物(12)のアセトン(5ml)溶液に、炭酸カリウム(873 mg, 6.32 mmol)を加え、次いでアリルブロマイド(84.2 mg, 0.696 mmol)を加えた。混合物をアルゴン気流下に16時間還流した。反応混合物をコットン−セライトパッドを通して濾過した。濾液をエバポレートし、残渣を酢酸エチル(10ml)で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液10mlで3回、水で1回及び飽和食塩水で1回順次洗浄した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル3.0g、n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1→1/1)で精製し、無色オイルとして、標記化合物(22)(81.4mg)を得た。
[α]26=+60.9°(c=0.685,CHCl
IR(ZnSe,薄膜)νmax(cm−1):
2932,2880,2830,2361,1736,1593,1497,1482,1455,1408,1331,1246,1196,1157,1096,1013,994,926,851,743,698
H−NMR(400MHz,アセトン−d)(δppm):
7.57−7.54(m,4H,Ar−Bn−H),7.40−7.30(m,6H,Ar−Bn−H),7.00(s,2H,Ar−HHDP−H),6.13(dddd,3JHH=17.2Hz,10.5Hz,5.5Hz,2H,CHCHCHO),5.76(dddd,3JHH=17.2Hz,10.5Hz,5.5 Hz,2H,CHCHCHO),5.49(dq,2JHH=4JHH=1.6Hz,3JHH=17.2Hz,2H,CHCHCHO),5.29(dq,2JHH=4JHH=1.6Hz,3JHH=10.5Hz,2H,CHCHCHO),5.18(d,2JHH=11.1Hz,2H,PhCH),5.09(d,2JHH=11.1Hz,2H,PhCH),5.09(dq,2JHH=4JHH=1.6Hz,3JHH=17.2Hz,2H,CHCHCHO),4.96(dq,2JHH=4JHH=1.6Hz,3JHH=10.5Hz,2H,CHCHCHO),4.69−4.60(m,4H,CHCHCHO),4.48(ddt,4JHH=1.6Hz,3JHH=5.5Hz,2JHH=12.6Hz,2H,CHCHCHO),4.42(d,2H,tartrate),4.35(ddt,4JHH=1.6Hz,3JHH =5.5Hz,2JHH=12.6Hz,2H,CHCHCHO),4.19−4.15(m,2H,tartrate),3.61−3.60(m,2H,tartrate),3.46(s,6H,OCH3−tartrate)
13C−NMR(100MHz,アセトン−d)(δppm):
168.3(s,2C,C=O),153.1(s,2C,Ar−HHDP at O−Allyl),152.8(s,2C,Ar−HHDP at O−Allyl),144.5(s,2C),138.9(s,2C),135.7(d,2C,CHCHCHO),134.4(d,2C,CHCHCHO),130.3(s,2C),129.2(d,8C,Ar−Bn),128.8(d,2C,Ar−Bn),123.9(s,2C),118.0(t,2C,CHCHCHO),116.7(t,2C,CHCHCHO),109.3(d,2C,Ar−HHDP),78.7(d,2C,tartrate),75.8(t,2C,PhCH),74.7(t,2C,CHCHCHO),70.5(t,2C,CHCHCHO),61.5(t,2C,tartrate),57.9(q,2C,OCH tartrate);
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C464812として)815.3043,測定値815.3017。
【0093】
参考例6
(1R)−4,4’,5,5’,6,6’−ヘキサベンジルオキシ−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジカルボアルデヒド(23)の製造
【0094】
【化25】

【0095】
窒素置換し、塩化メチレン2mlが入った丸底フラスコに、−80〜−70℃でオキサリルクロライド(62mg,0.49mmol)を加えた。この混合物にジメチルスルホキシド(53 mg,0.68mmol)を滴下した。この混合物に化合物(19)(153mg,0.180mmol)及びジメチルスルホキシド(21mg,0.27mmol)の塩化メチレン3ml溶液を滴下し、1時間撹拌した。反応混合物をトリエチルアミン(182mg,1.80mmol)でクエンチし、室温まで温めた。混合物を1M−塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した。これを硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した。溶媒を除去し、標記化合物(23)を黄色固体として(150mg,0.177mmol,収率98%)得た。
mp 132−134℃
[α]25=−24.4°(c=1.02,CHCl
IR(ZnSe,薄膜)νmax(cm−1):
3033,2872,1686,1584,1455,1320,1098,970,739,698
H−NMR(400MHz,CDCl)(δppm):
4.62(d,2JHH=11.2Hz,2H),4.82(d,2JHH=11.2 Hz,2H),5.08(d,2JHH=11.0Hz,2H),5.14(d,2JHH=11.0Hz,2H),5.24(s,4H),6.83(br d,3JHH= 7.6Hz,4H),7.08−7.20(m,6H),7.22−7.34(m,9H),7.37−7.48(m,9H),7.50−7.54(m,4H),9.41(s,2H)
13C−NMR(100MHz,CDCl)(δppm):
71.0(t,2C),74.7(t,2C),75.4(t,2C),107.1(d,2C),124.8(s,2C),127.5(d,4C),127.7(d,4C),127.8(d,2C),128.1(d,4C),128.3(d,8C),128.7(d,8C),131.0(s,2C),136.1(s,2C),136.5(s,2C),136.9(s,2C),146.5(s,2C),151.1(s,2C),153.3(s,2C),190.0(d,2C)
HRMS−ESI(m/z):[M+Na]
計算値(C564623Naとして)869.3090,測定値869.3057。
【0096】
参考例7
(1R)−4,4’,5,5’,6,6’−ヘキサベンジルオキシ−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸(24)の製造
【0097】
【化26】

【0098】
化合物(18)(86.0mg,0.0866mmol)のテトラヒドロフラン4ml溶液に、水素化リチウム(36.3mg,0.866mmol)−水(1ml)を加えた。混合物を22時間還流した。反応混合物を1M−塩酸でクエンチした。エバポレーションによりテトラヒドロフランを反応混合物から除去し、残った水性の混合物をジエチルエーテル10mlで3回抽出した。有機層を合わせ、1M−塩酸10mlで1回、水10mlで1回及び飽和食塩水10mlで1回順次洗浄した。混合物を再結晶(酢酸エチル/n−ヘキサン)により精製し、標記化合物(24)(63.2mg,収率83%)を白色粉末として得た。
【0099】
この化合物のNMRデータは、Khanbabaee, K.;Basceken, S.; Flork, U. Tetrahedron Asymmetry 2006, 17, 2804-2812 に記載のものと一致した。
mp 147−148℃
[α]25=−61.2°(c=1.08,CHCl3)
IR(ZnSe,薄膜)νmax(cm−1):
3031,2876,1698,1591,1564,1497,1455,1414,1366,1325,1279,1217,1161,1096,970,910. 739,696
H−NMR(400MHz,アセトン−d)(δppm):
7.65(s,2H,Ar−H),7.62(s,2H,Ar−H),7.60(s,2H,Ar−H),7.47−7.43(m,4H,Ar−H),7.40−7.37(m,6H,Ar−H),7.28−7.25(m,6H,Ar−H),7.18−7.16(m,6H,Ar−H),6.94−6.91(m,4H,Ar−H),5.30(s,4H,PhCH),5.06(d,2JHH=11.0Hz,2H,PhCH),4.99(d,2JHH=11.0Hz,2H,PhCH),4.95(d,2JHH=11.0Hz,2H,PhCH),4.88(d,2JHH=11.0Hz,2H,PhCH
13C−NMR(100MHz,アセトン−d)(δppm):
168.0(s,2C,C=O),152.6(s,2C),151.9(s,2C),146.4(s,2C),139.0(s,2C),138.7(s,2C),138.2(s,2C),129.4(d,4C,Ar−Bn),129.2(d,5C,Ar−Bn),129.1(d,4C,Ar−Bn),129.0(s,2C),128.9(d,5C,Ar−Bn),128.7(d,6C,Ar−Bn),128.3(d,6C,Ar−Bn),127.2(s,2C),112.3(d,2C,Ar−HHDP),75.9(t,2C,PhCH),75.1(t,2C,PhCH),71.8(t,2C,PhCH
HRMS−ESI(m/z):[M−H]
計算値(C564610として)877.3013,測定値877.2982。
【0100】
参考例8
(1R)−4,5,6,4’,5’,6’−ヘキサベンジルオキシ−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸 ジメチルエステル(25)の製造
【0101】
【化27】

【0102】
メタノール3ml及びテトラヒドロフラン1.5mlに化合物(18)(380 mg, 0.383 mmol)を溶解した液に、ナトリウムメトキシド(207 mg, 3.83 mmol)を加えた。この混合物をアルゴン気流下、55℃で一夜撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、コットン−セライトパッドを通して濾過した。濾液に、IR-120 PLUS (H)を加え、撹拌した。次いで濾液をエバポレートした。得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル11.0g、n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1→2/1)で精製し、無色オイルとして、標記化合物(25)(340mg,収率98%)を得た。
【0103】
この化合物のNMRデータは、Kashiwada, Y.; Huang, L.; Ballas, L. M.; Jiang, J. B.; Janzen, W. P.; Lee, K-H. J. Med. Chem. 1994, 37, 195-200 に記載のものと一致した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

[式中、Rは、フェノール性水酸基の保護基を示す。Rは、RO−基又はROCH−基を示す。R及びRは、各々水酸基の保護基を示す。nは1又は0を示す。但し、nが1を示す場合、RはRO−基を示し、nが0を示す場合、RはROCH−基を示すものとする。]
で表される、光学活性なヘキサヒドロキシジフェノイル化合物。

【公開番号】特開2009−132707(P2009−132707A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287597(P2008−287597)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(503092180)学校法人関西学院 (71)
【Fターム(参考)】