ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置及び運動特性測定方法
【課題】より正確な運動特性データの取得を可能とする。
【解決手段】ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3がハード・ディスク7径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するために用いる運動特性測定用駆動装置1であって、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3を、旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持するヘッド固定支持部9と、ハード・ディスク7を回転駆動可能に支持し旋回移動の中心軸に対し相対的に旋回可能に支持されたディスク駆動部11と、ディスク駆動部11を前記中心軸回りに旋回駆動してヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の旋回移動を相対的に形成する旋回駆動部13とを備えたことを特徴とする。
【解決手段】ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3がハード・ディスク7径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するために用いる運動特性測定用駆動装置1であって、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3を、旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持するヘッド固定支持部9と、ハード・ディスク7を回転駆動可能に支持し旋回移動の中心軸に対し相対的に旋回可能に支持されたディスク駆動部11と、ディスク駆動部11を前記中心軸回りに旋回駆動してヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の旋回移動を相対的に形成する旋回駆動部13とを備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ等の情報処理装置に内蔵されるハード・ディスク・ドライブ(HDD「Hard Disk Drive」)に取り付けられるヘッド・ジンバル・アッセンブリの動作持の運動特性を測定するために供されるヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置及び運動特性測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハード・ディスクを用いる磁気ディスク駆動装置(HDD)のスライダにおいては、高速で回転するハード・ディスク上をスライダが僅かに浮上した状態となり、スライダに内蔵されたトランス・ジューサを介してハード・ディスクに対するデータの記録や再生を行う。
【0003】
この種の磁気ディスク駆動装置では、ハード・ディスク停止に際しスライダをトラック外に退避させるための手段として、ロード・アンロード(L/UL「Load/Unload」)方式を採用するものが知られている。
【0004】
L/UL方式はランプ・ロード方式とも呼ばれ、一般にハード・ディスクの外周側に合成樹脂製のランプ・ブロックを備えている。ハード・ディスクを停止させるに、ヘッド・サスペンションが退避位置まで移動すると、その間に、ヘッド・サスペンションの先端部分のタブがランプ・ブロックの斜面に摺動ガイドされ、スライダがハード・ディスク上から離間するようになっている。
【0005】
このような離間により、ハード・ディスク停止時にスライダがハード・ディスクに接触しないようにすることができる。
【0006】
しかし、タブがランプ・ブロックの斜面に摺動ガイドされるとき、ランプ・ブロックの摩耗により微小異物が発生してハード・ディスクに影響を与える恐れがある。
【0007】
また、スライダがハード・ディスクから離れる瞬間の挙動によりハード・ディスクに損傷を与える恐れもある。
【0008】
さらに、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ(ヘッド・サスペンションにフレキシャ及びスライダを取り付けた組立体)は、ハード・ディスクのトラックからトラックへの移動及びトラック・フォローイングのために、ボイス・コイル・モータ(VCM「Voice Coil Motor」)により駆動される。
【0009】
このようなトラック間移動及びトラック・フォローイングは、正確に行われることが肝要であり、ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性を把握し、その特性を適正化する必要がある。
【0010】
これらより、ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性を単品レベルで簡便に測定するための測定装置が必要となる。
【0011】
この場合、L/UL動作中、或いはトラック移動中のスライダの挙動を高速度カメラやレーザー・ドップラー速度計で観察するが、ハード・ディスク径方向へ旋回移動中のヘッド・ジンバル・アッセンブリの観察では、データの正確さにおいて限界がある。
【0012】
【特許文献1】特開平11−96527号公報
【特許文献2】特開2006−244582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
解決しようとする問題点は、ハード・ディスク径方向へ移動中のスライダの観察では、データの正確さにおいて限界があった点である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、より正確な運動特性データの取得を可能とするため、ヘッド・ジンバル・アッセンブリがハード・ディスク径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するために用いる運動特性測定用駆動装置であって、前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリを、前記旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持するヘッド固定支持部と、前記ハード・ディスクを回転駆動可能に支持し前記旋回移動の中心軸に対し相対的に旋回可能に支持されたディスク駆動部と、前記ディスク駆動部を前記中心軸回りに旋回駆動して前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリの旋回移動を相対的に形成する旋回駆動部とを備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリがハード・ディスク径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するために用いる運動特性測定用駆動装置であって、前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリを、前記旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持するヘッド固定支持部と、前記ハード・ディスクを回転駆動可能に支持し前記旋回移動の中心軸に対し相対的に旋回可能に支持されたディスク駆動部と、前記ディスク駆動部を前記中心軸回りに旋回駆動して前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリの旋回移動を相対的に形成する旋回駆動部とを備えた。
【0016】
このため、ヘッド・ジンバル・アッセンブリをハード・ディスク径方向へ旋回駆動させない状態でヘッド・ジンバル・アッセンブリがハード・ディスク径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得することができる。
【0017】
したがって、例えば高速度カメラでヘッド・ジンバル・アッセンブリのスライダ側を撮像し運動特性データを取得するとき、スライダ等に容易にピントを合わせることなどにより、より正確なデータ取得を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
より正確な運動特性データの取得を可能とするという目的を、ディスク駆動部をヘッド・ジンバル・アッセンブリの旋回移動に対応する中心軸回りに旋回駆動してスライダのハード・ディスク径方向への旋回移動を相対的に形成することで実現した。
【実施例1】
【0019】
[運動特性測定用駆動装置]
図1は、本発明実施例1を適用したヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置を示すブロック構成図、図2は、同概略斜視図、図3は、同揺動動作を示す斜視図である。
【0020】
図1のように、運動特性測定用駆動装置1は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のスライダ5側がハード・ディスク7径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するために用いるものである。スライダ5は、書き込み、読み取り用のトランス・ジューサを備えている。
【0021】
この運動特性測定用駆動装置1は、ヘッド固定支持部9とディスク駆動部11と旋回駆動部13とを備えている。
【0022】
前記ヘッド固定支持部9は、前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3を、前記旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持するものであり、アッパー・ビーム19にトルク・メータ17を介して固定軸15を支持した構成となっている。
【0023】
ここで、一般にHDDのヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の旋回移動は、例えばボイス・コイル・モータ(VCM)の駆動により行われる。このVCMの駆動軸中心に相当する中心軸を、前記旋回移動に対応する中心軸とする。
【0024】
したがって、図2では、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3が、ヘッド固定支持部9の固定軸15に固定支持され、この固定軸15の軸中心が、VCMの駆動軸中心に相当する中心軸である。
【0025】
この固定軸15は、ヘッド固定支持部9に備えられたトルク・メータ17に結合されている。トルク・メータ17は、前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3に働く前記中心軸回りのトルクを運動特性データとして取得するためのデータ観察部である。換言すると、トルク・メータ17は、例えばHDDでのL/ULにおけるスライダ5の旋回移動時にVCMの駆動軸に働くトルクを、固定軸15に働く運動特性データとして取得するためのデータ観察部である。
【0026】
このトルク・メータ17は、アッパー・ビーム19に取り付けられ、アッパー・ビーム19は、ベース・フレーム21から延設されている。
【0027】
前記ディスク駆動部11は、HDDと同様な構造に形成され、前記ハード・ディスク7をモータにより回転駆動可能に支持し、前記旋回移動の中心軸に対して旋回可能に支持されている。
【0028】
このディスク駆動部11は、ハード・ディスク7の外周側に、前記スライダ5側の後述するタブ(図10参照)が乗り上げ可能なロード・アンロードL/UL対応の合成樹脂製のランプ・ブロック23が設けられている。なお、このディスク駆動部11は、特別に形成することもできるが、通常のHDDからヘッド・ジンバル・アッセンブリ3を取り外してハード・ディスク7及びその駆動系、ランプ・ブロック23等をそのままとしたものをディスク駆動部11として使用することもできる。
【0029】
このディスク駆動部11の旋回可能な支持は、前記固定軸15と同心の揺動運動軸25に対して行われ、揺動運動軸25は、前記旋回駆動部13に結合されている(図1参照)。
【0030】
旋回駆動部13は、揺動運動軸25を介してディスク駆動部11を前記中心軸回りに揺動旋回駆動して前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のスライダ5側がハード・ディスク7径方向へ行う旋回移動を相対的に形成する。この旋回駆動部13は、モータ及び減速機などから成っている。
【0031】
そして、旋回駆動部13によりディスク駆動部11を図2矢印のように揺動旋回駆動すると、図3の破線図示のようにディスク駆動部11を静止したヘッド・ジンバル・アッセンブリ3に対して揺動旋回動作させることができ、スライダ5側のハード・ディスク7径方向への旋回移動を相対的に形成することができる。
【0032】
また、ハード・ディスク7径方向外周側のランプ・ブロック23もスライダ5側に対して相対的に旋回移動することになる。
【0033】
このため、回転駆動されているハード・ディスク7上からランプ・ブロック23上へ乗り上げ移動するときのスライダ5の挙動、トラックからトラックへの移動及びトラック・フォローイングに際してのスライダ5の挙動を正確に観察させることができる。
【0034】
すなわち、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3をハード・ディスク7径方向へ旋回駆動させない状態でスライダ5側のハード・ディスク7径方向への旋回移動を相対的に形成することで、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のスライダ5側がランプ・ブロック23上へ乗り上げ移動するときの運動特性データ、スライダ5側がハード・ディスク7径方向へ旋回移動するときの運動特性データを正確に得ることができる。
【0035】
前記トルク・メータ17は、旋回駆動されないヘッド・ジンバル・アッセンブリ3に働く中心軸回りのトルクを取得するため、軸トルクを正確に取得することができ、ランプ・ブロック23との間の摩擦力などを運動特性データとして正確に取得することができる。
[高速度カメラ]
図4は、運動特性測定用駆動装置に高速度カメラを配置した斜視図である。
【0036】
図4のように、データ観察部として第1,第2の高速度カメラ27,29を配置している。
【0037】
第1の高速度カメラ27は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3をスライダ5側の水平方向正面から観察するように配置され、第2の高速度カメラ29は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3をスライダ5側の水平方向側面から観察するように配置されている。
【0038】
図5,図6は、カメラ観察エリアと観察状況との関係を示し、図5は、比較例に係り、図6は、本発明実施例1に係る。図5(a)が第1の高速度カメラの観察エリアを示す概念図、(b)が、観察エリアに対するヘッド・ジンバル・アッセンブリの移動状況を示す概念図、図6は、運動特性測定用駆動装置に第1の高速度カメラを配置したときの観察エリア及びヘッド・ジンバル・アッセンブリの状況を示す概念図である。
【0039】
図5の比較例は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3を、VCMによりハード・ディスク7の径方向へ旋回駆動するときにヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のスライダ5側を水平方向正面から観察する状況である。
【0040】
第1の高速度カメラの観察エリア27aは、図5(a)のようになっており、この観察エリア27aに対し、(b)のようにヘッド・ジンバル・アッセンブリ3をVCMにより旋回駆動すると、スライダ5及びタブ3aは、ハード・ディスク7のディスク面に対して平行移動し、ランプ・ブロック23上へ乗り上げてからは垂直移動も行う。
【0041】
このような平行移動及び垂直移動の状況で高倍率レンズを使用した高速度カメラでの観察では、図5(b)のように、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の旋回移動時の一部は観察できるが、全旋回移動で観察できるわけではない。
【0042】
これに対し、図6のように、第1の高速度カメラ27の観察エリア27aに対し、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3は旋回移動しないので、相対的に形成した全旋回移動時の運動特性データを容易に且つ正確に得ることができる。
【0043】
図7は、比較例に係り、ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定を示す概略平面図である。
【0044】
この図7の比較例では、HDDが、ハード・ディスク101近傍にL/UL用のランプ・ブロック103を備え、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ105がL/UL動作するときの運動特性を、高速度カメラ107(第2の高速度カメラ29に相当)により観察する。
【0045】
図8,図9は、カメラ被写界深度と観察状況との関係を示し、図8は、比較例に係り、図9は、本発明実施例1に係る。図8(a)、(c)、(e)、(g)は、高速度カメラによる観察状況を示す概念図、(b)、(d)、(f)、(h)は、ハード・ディスク及びランプ・ブロックに対するヘッド・ジンバル・アッセンブリのスライダ側の旋回移動位置を示す概念図、図9(a)は、第2の高速度カメラによる観察状況を示す概念図、(b)は、ハード・ディスク及びランプ・ブロックに対するヘッド・ジンバル・アッセンブリのスライダ側の挙動を示す概念図である。
【0046】
カメラ被写界深度との関係で、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の図8(b)、(f)、(h)の旋回移動位置では、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3及びそのスライダ5側が図8(a)、(e)、(g)ようにピンボケして観察することができず、図8(d)の位置で図8(c)のようにピントが合い観察することができたに過ぎなかった。
【0047】
これに対し、実施例1のヘッド・ジンバル・アッセンブリ3は旋回移動しないので、図9(b)のように、第2の高速度カメラ29に対し被写界深度が変化せず、図9(a)のように、相対的に形成した全旋回移動時でピントが合い観察することができた。
【0048】
なお、高速度カメラによる観察は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の運動特性データを取得できればよく、その方向は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の正面、側面に限るものではない。
[レーザー・ドップラー速度計]
図10は、運動特性測定用駆動装置にレーザー・ドップラー速度計を配置した斜視図、図11は、スライダに対するレーザー照射位置を示す平面図である。
【0049】
図10のように、データ観察部としてレーザー・ドップラー速度計31を配置している。
【0050】
このレーザー・ドップラー速度計31は、スライダ5に対するレーザー光の照射及びスライダ5で反射したレーザー光の入射を、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の旋回移動に対応する中心軸方向としている。
【0051】
図10のようなレーザー・ドップラー速度計31の配置により、図11のようにスライダ5に対して4個所33,35,37,39にレーザー光を照射し、且つ反射したレーザー光の入射を行ない、スライダ5の挙動を観察することができる。
【0052】
かかるレーザー・ドップラー速度計31によるレーザー照射を、相対的に旋回移動を形成はしているが、固定軸15に固定支持され旋回移動しないヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のスライダ5側に対して行うから、レーザー照射及び反射したレーザー光の入射を容易且つ正確に行わせ、運動特性データの取得を行わせることができる。
【0053】
なお、レーザー・ドップラー速度計31による観察は、スライダ5の側面や他の方向、スライダ5以外への照射による挙動の観測もできる。
[実施例1の効果]
本発明実施例1のヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の運動特性測定用駆動装置は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3がハード・ディスク7径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するために用いる運動特性測定用駆動装置1であって、前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3を、前記旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持するヘッド固定支持部9と、前記ハード・ディスク7を回転駆動可能に支持し前記旋回移動の中心軸に対し相対的に旋回可能に支持されたディスク駆動部11と、前記ディスク駆動部11を前記中心軸回りに旋回駆動して前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の旋回移動を相対的に形成する旋回駆動部13とを備えた。
【0054】
このため、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3をハード・ディスク7径方向へ旋回駆動させない状態でヘッド・ジンバル・アッセンブリ3がハード・ディスク7径方向へ旋回移動する状況を作り出すことができる。
【0055】
したがって、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3旋回移動時のスライダ5やヘッド・サスペンションの挙動を示す運動特性データを容易且つ正確に取得することができる。
【0056】
例えば、第1,第2の高速度カメラ27,29でヘッド・ジンバル・アッセンブリ3を撮像し、スライダ5やヘッド・サスペンションの挙動を示す運動特性データを取得するとき、全旋回移動の範囲でスライダ5やヘッド・サスペンションの挙動を示す運動特性データを取得することが可能となる。また、第2の高速度カメラ29に対して被写界深度が変化しないので、容易にピントを合わせることができ、より正確なデータ取得を容易に行わせることができる。
【0057】
レーザー・ドップラー速度計31によるレーザー照射を、相対的に旋回移動を形成はしているが、固定軸15に固定支持され旋回移動しないヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のスライダ5に対して行うから、レーザー照射及び反射したレーザー光の入射を容易且つ正確に行わせ、運動特性データの取得を行わせることができる。
【0058】
前記ディスク駆動部11は、前記ハード・ディスク7の外周側に前記スライダ5側のタブ3aが相対的に乗り上げ可能なロード・アンロードL/UL対応のランプ・ブロック23を備えた。
【0059】
このため、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のL/UL時のスライダ5やヘッド・サスペンションの挙動を示す運動特性データを、第1,第2の高速度カメラ27,29、レーザー・ドップラー速度計31、トルク・メータ17等により容易且つ正確に取得することができる。
【0060】
ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3がハード・ディスク7径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の運動特性測定方法であって、前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3を、前記旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持すると共に、前記ハード・ディスク7を回転駆動可能に支持したディスク駆動部11を前記中心軸回りに旋回駆動し前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の旋回移動を相対的に形成して前記運動特性データを計測する。
【0061】
このため、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3をハード・ディスク7径方向へ旋回駆動させない状態でヘッド・ジンバル・アッセンブリ3がハード・ディスク7径方向へ旋回移動する状況を作り出すことができる。
【0062】
したがって、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3旋回移動時のスライダ5やヘッド・サスペンションの挙動を示す運動特性データを容易且つ正確に取得することができる。
【0063】
前記ディスク駆動部11は、前記ハード・ディスク7の外周側に前記スライダ5側のタブ3aが乗り上げ可能なロード・アンロードL/UL対応のランプ・ブロック23を備え、前記ディスク駆動部11の旋回駆動により前記ランプ・ブロック23に対するスライダ5側の乗り上げ動作を相対的に形成して前記運動特性データを計測する。
【0064】
このため、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のL/UL時のスライダ5やヘッド・サスペンションの挙動を示す運動特性データを、第1,第2の高速度カメラ27,29、レーザー・ドップラー速度計31、トルク・メータ17等により容易且つ正確に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置を示すブロック構成である。(実施例1)
【図2】ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置を示す概略斜視図である。(実施例1)
【図3】ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置の揺動動作を示す斜視図である。(実施例1)
【図4】運動特性測定用駆動装置に高速度カメラを配置した斜視図である。(実施例1)
【図5】比較例に係り、(a)は、第1の高速度カメラの観察エリアを示す概念図、(b)は、観察エリアに対するヘッド・ジンバル・アッセンブリの移動状況を示す概念図である。(比較例)
【図6】運動特性測定用駆動装置に第1の高速度カメラを配置したときの観察エリア及びヘッド・ジンバル・アッセンブリの状況を示す概念図である。(実施例1)
【図7】ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定を示す概略平面図である。(比較例)
【図8】(a)、(c)、(e)、(g)は、第2の高速度カメラによる観察状況を示す概念図、(b)、(d)、(f)、(h)は、ハード・ディスク及びランプ・ブロックに対するヘッド・ジンバル・アッセンブリの旋回移動位置を示す概念図である。(比較例)
【図9】(a)は、第2の高速度カメラによる観察状況を示す概念図、(b)は、ハード・ディスク及びランプ・ブロックに対するヘッド・ジンバル・アッセンブリの挙動を示す概念図である。(実施例1)
【図10】運動特性測定用駆動装置にレーザー・ドップラー速度計を配置した斜視図である。(実施例1)
【図11】スライダに対するレーザー照射位置を示す平面図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0066】
1 運動特性測定用駆動装置
3 ヘッド・ジンバル・アッセンブリ
3a タブ
5 スライダ
7 ハード・ディスク
9 ヘッド固定支持部
11 ディスク駆動部
13 旋回駆動部
17 トルク・メータ(データ観察部)
27 第1の高速度カメラ(データ観察部)
29 第2の高速度カメラ(データ観察部)
31 レーザー・ドップラー速度計(データ観察部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ等の情報処理装置に内蔵されるハード・ディスク・ドライブ(HDD「Hard Disk Drive」)に取り付けられるヘッド・ジンバル・アッセンブリの動作持の運動特性を測定するために供されるヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置及び運動特性測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハード・ディスクを用いる磁気ディスク駆動装置(HDD)のスライダにおいては、高速で回転するハード・ディスク上をスライダが僅かに浮上した状態となり、スライダに内蔵されたトランス・ジューサを介してハード・ディスクに対するデータの記録や再生を行う。
【0003】
この種の磁気ディスク駆動装置では、ハード・ディスク停止に際しスライダをトラック外に退避させるための手段として、ロード・アンロード(L/UL「Load/Unload」)方式を採用するものが知られている。
【0004】
L/UL方式はランプ・ロード方式とも呼ばれ、一般にハード・ディスクの外周側に合成樹脂製のランプ・ブロックを備えている。ハード・ディスクを停止させるに、ヘッド・サスペンションが退避位置まで移動すると、その間に、ヘッド・サスペンションの先端部分のタブがランプ・ブロックの斜面に摺動ガイドされ、スライダがハード・ディスク上から離間するようになっている。
【0005】
このような離間により、ハード・ディスク停止時にスライダがハード・ディスクに接触しないようにすることができる。
【0006】
しかし、タブがランプ・ブロックの斜面に摺動ガイドされるとき、ランプ・ブロックの摩耗により微小異物が発生してハード・ディスクに影響を与える恐れがある。
【0007】
また、スライダがハード・ディスクから離れる瞬間の挙動によりハード・ディスクに損傷を与える恐れもある。
【0008】
さらに、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ(ヘッド・サスペンションにフレキシャ及びスライダを取り付けた組立体)は、ハード・ディスクのトラックからトラックへの移動及びトラック・フォローイングのために、ボイス・コイル・モータ(VCM「Voice Coil Motor」)により駆動される。
【0009】
このようなトラック間移動及びトラック・フォローイングは、正確に行われることが肝要であり、ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性を把握し、その特性を適正化する必要がある。
【0010】
これらより、ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性を単品レベルで簡便に測定するための測定装置が必要となる。
【0011】
この場合、L/UL動作中、或いはトラック移動中のスライダの挙動を高速度カメラやレーザー・ドップラー速度計で観察するが、ハード・ディスク径方向へ旋回移動中のヘッド・ジンバル・アッセンブリの観察では、データの正確さにおいて限界がある。
【0012】
【特許文献1】特開平11−96527号公報
【特許文献2】特開2006−244582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
解決しようとする問題点は、ハード・ディスク径方向へ移動中のスライダの観察では、データの正確さにおいて限界があった点である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、より正確な運動特性データの取得を可能とするため、ヘッド・ジンバル・アッセンブリがハード・ディスク径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するために用いる運動特性測定用駆動装置であって、前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリを、前記旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持するヘッド固定支持部と、前記ハード・ディスクを回転駆動可能に支持し前記旋回移動の中心軸に対し相対的に旋回可能に支持されたディスク駆動部と、前記ディスク駆動部を前記中心軸回りに旋回駆動して前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリの旋回移動を相対的に形成する旋回駆動部とを備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリがハード・ディスク径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するために用いる運動特性測定用駆動装置であって、前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリを、前記旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持するヘッド固定支持部と、前記ハード・ディスクを回転駆動可能に支持し前記旋回移動の中心軸に対し相対的に旋回可能に支持されたディスク駆動部と、前記ディスク駆動部を前記中心軸回りに旋回駆動して前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリの旋回移動を相対的に形成する旋回駆動部とを備えた。
【0016】
このため、ヘッド・ジンバル・アッセンブリをハード・ディスク径方向へ旋回駆動させない状態でヘッド・ジンバル・アッセンブリがハード・ディスク径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得することができる。
【0017】
したがって、例えば高速度カメラでヘッド・ジンバル・アッセンブリのスライダ側を撮像し運動特性データを取得するとき、スライダ等に容易にピントを合わせることなどにより、より正確なデータ取得を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
より正確な運動特性データの取得を可能とするという目的を、ディスク駆動部をヘッド・ジンバル・アッセンブリの旋回移動に対応する中心軸回りに旋回駆動してスライダのハード・ディスク径方向への旋回移動を相対的に形成することで実現した。
【実施例1】
【0019】
[運動特性測定用駆動装置]
図1は、本発明実施例1を適用したヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置を示すブロック構成図、図2は、同概略斜視図、図3は、同揺動動作を示す斜視図である。
【0020】
図1のように、運動特性測定用駆動装置1は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のスライダ5側がハード・ディスク7径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するために用いるものである。スライダ5は、書き込み、読み取り用のトランス・ジューサを備えている。
【0021】
この運動特性測定用駆動装置1は、ヘッド固定支持部9とディスク駆動部11と旋回駆動部13とを備えている。
【0022】
前記ヘッド固定支持部9は、前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3を、前記旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持するものであり、アッパー・ビーム19にトルク・メータ17を介して固定軸15を支持した構成となっている。
【0023】
ここで、一般にHDDのヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の旋回移動は、例えばボイス・コイル・モータ(VCM)の駆動により行われる。このVCMの駆動軸中心に相当する中心軸を、前記旋回移動に対応する中心軸とする。
【0024】
したがって、図2では、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3が、ヘッド固定支持部9の固定軸15に固定支持され、この固定軸15の軸中心が、VCMの駆動軸中心に相当する中心軸である。
【0025】
この固定軸15は、ヘッド固定支持部9に備えられたトルク・メータ17に結合されている。トルク・メータ17は、前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3に働く前記中心軸回りのトルクを運動特性データとして取得するためのデータ観察部である。換言すると、トルク・メータ17は、例えばHDDでのL/ULにおけるスライダ5の旋回移動時にVCMの駆動軸に働くトルクを、固定軸15に働く運動特性データとして取得するためのデータ観察部である。
【0026】
このトルク・メータ17は、アッパー・ビーム19に取り付けられ、アッパー・ビーム19は、ベース・フレーム21から延設されている。
【0027】
前記ディスク駆動部11は、HDDと同様な構造に形成され、前記ハード・ディスク7をモータにより回転駆動可能に支持し、前記旋回移動の中心軸に対して旋回可能に支持されている。
【0028】
このディスク駆動部11は、ハード・ディスク7の外周側に、前記スライダ5側の後述するタブ(図10参照)が乗り上げ可能なロード・アンロードL/UL対応の合成樹脂製のランプ・ブロック23が設けられている。なお、このディスク駆動部11は、特別に形成することもできるが、通常のHDDからヘッド・ジンバル・アッセンブリ3を取り外してハード・ディスク7及びその駆動系、ランプ・ブロック23等をそのままとしたものをディスク駆動部11として使用することもできる。
【0029】
このディスク駆動部11の旋回可能な支持は、前記固定軸15と同心の揺動運動軸25に対して行われ、揺動運動軸25は、前記旋回駆動部13に結合されている(図1参照)。
【0030】
旋回駆動部13は、揺動運動軸25を介してディスク駆動部11を前記中心軸回りに揺動旋回駆動して前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のスライダ5側がハード・ディスク7径方向へ行う旋回移動を相対的に形成する。この旋回駆動部13は、モータ及び減速機などから成っている。
【0031】
そして、旋回駆動部13によりディスク駆動部11を図2矢印のように揺動旋回駆動すると、図3の破線図示のようにディスク駆動部11を静止したヘッド・ジンバル・アッセンブリ3に対して揺動旋回動作させることができ、スライダ5側のハード・ディスク7径方向への旋回移動を相対的に形成することができる。
【0032】
また、ハード・ディスク7径方向外周側のランプ・ブロック23もスライダ5側に対して相対的に旋回移動することになる。
【0033】
このため、回転駆動されているハード・ディスク7上からランプ・ブロック23上へ乗り上げ移動するときのスライダ5の挙動、トラックからトラックへの移動及びトラック・フォローイングに際してのスライダ5の挙動を正確に観察させることができる。
【0034】
すなわち、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3をハード・ディスク7径方向へ旋回駆動させない状態でスライダ5側のハード・ディスク7径方向への旋回移動を相対的に形成することで、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のスライダ5側がランプ・ブロック23上へ乗り上げ移動するときの運動特性データ、スライダ5側がハード・ディスク7径方向へ旋回移動するときの運動特性データを正確に得ることができる。
【0035】
前記トルク・メータ17は、旋回駆動されないヘッド・ジンバル・アッセンブリ3に働く中心軸回りのトルクを取得するため、軸トルクを正確に取得することができ、ランプ・ブロック23との間の摩擦力などを運動特性データとして正確に取得することができる。
[高速度カメラ]
図4は、運動特性測定用駆動装置に高速度カメラを配置した斜視図である。
【0036】
図4のように、データ観察部として第1,第2の高速度カメラ27,29を配置している。
【0037】
第1の高速度カメラ27は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3をスライダ5側の水平方向正面から観察するように配置され、第2の高速度カメラ29は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3をスライダ5側の水平方向側面から観察するように配置されている。
【0038】
図5,図6は、カメラ観察エリアと観察状況との関係を示し、図5は、比較例に係り、図6は、本発明実施例1に係る。図5(a)が第1の高速度カメラの観察エリアを示す概念図、(b)が、観察エリアに対するヘッド・ジンバル・アッセンブリの移動状況を示す概念図、図6は、運動特性測定用駆動装置に第1の高速度カメラを配置したときの観察エリア及びヘッド・ジンバル・アッセンブリの状況を示す概念図である。
【0039】
図5の比較例は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3を、VCMによりハード・ディスク7の径方向へ旋回駆動するときにヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のスライダ5側を水平方向正面から観察する状況である。
【0040】
第1の高速度カメラの観察エリア27aは、図5(a)のようになっており、この観察エリア27aに対し、(b)のようにヘッド・ジンバル・アッセンブリ3をVCMにより旋回駆動すると、スライダ5及びタブ3aは、ハード・ディスク7のディスク面に対して平行移動し、ランプ・ブロック23上へ乗り上げてからは垂直移動も行う。
【0041】
このような平行移動及び垂直移動の状況で高倍率レンズを使用した高速度カメラでの観察では、図5(b)のように、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の旋回移動時の一部は観察できるが、全旋回移動で観察できるわけではない。
【0042】
これに対し、図6のように、第1の高速度カメラ27の観察エリア27aに対し、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3は旋回移動しないので、相対的に形成した全旋回移動時の運動特性データを容易に且つ正確に得ることができる。
【0043】
図7は、比較例に係り、ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定を示す概略平面図である。
【0044】
この図7の比較例では、HDDが、ハード・ディスク101近傍にL/UL用のランプ・ブロック103を備え、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ105がL/UL動作するときの運動特性を、高速度カメラ107(第2の高速度カメラ29に相当)により観察する。
【0045】
図8,図9は、カメラ被写界深度と観察状況との関係を示し、図8は、比較例に係り、図9は、本発明実施例1に係る。図8(a)、(c)、(e)、(g)は、高速度カメラによる観察状況を示す概念図、(b)、(d)、(f)、(h)は、ハード・ディスク及びランプ・ブロックに対するヘッド・ジンバル・アッセンブリのスライダ側の旋回移動位置を示す概念図、図9(a)は、第2の高速度カメラによる観察状況を示す概念図、(b)は、ハード・ディスク及びランプ・ブロックに対するヘッド・ジンバル・アッセンブリのスライダ側の挙動を示す概念図である。
【0046】
カメラ被写界深度との関係で、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の図8(b)、(f)、(h)の旋回移動位置では、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3及びそのスライダ5側が図8(a)、(e)、(g)ようにピンボケして観察することができず、図8(d)の位置で図8(c)のようにピントが合い観察することができたに過ぎなかった。
【0047】
これに対し、実施例1のヘッド・ジンバル・アッセンブリ3は旋回移動しないので、図9(b)のように、第2の高速度カメラ29に対し被写界深度が変化せず、図9(a)のように、相対的に形成した全旋回移動時でピントが合い観察することができた。
【0048】
なお、高速度カメラによる観察は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の運動特性データを取得できればよく、その方向は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の正面、側面に限るものではない。
[レーザー・ドップラー速度計]
図10は、運動特性測定用駆動装置にレーザー・ドップラー速度計を配置した斜視図、図11は、スライダに対するレーザー照射位置を示す平面図である。
【0049】
図10のように、データ観察部としてレーザー・ドップラー速度計31を配置している。
【0050】
このレーザー・ドップラー速度計31は、スライダ5に対するレーザー光の照射及びスライダ5で反射したレーザー光の入射を、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の旋回移動に対応する中心軸方向としている。
【0051】
図10のようなレーザー・ドップラー速度計31の配置により、図11のようにスライダ5に対して4個所33,35,37,39にレーザー光を照射し、且つ反射したレーザー光の入射を行ない、スライダ5の挙動を観察することができる。
【0052】
かかるレーザー・ドップラー速度計31によるレーザー照射を、相対的に旋回移動を形成はしているが、固定軸15に固定支持され旋回移動しないヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のスライダ5側に対して行うから、レーザー照射及び反射したレーザー光の入射を容易且つ正確に行わせ、運動特性データの取得を行わせることができる。
【0053】
なお、レーザー・ドップラー速度計31による観察は、スライダ5の側面や他の方向、スライダ5以外への照射による挙動の観測もできる。
[実施例1の効果]
本発明実施例1のヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の運動特性測定用駆動装置は、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3がハード・ディスク7径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するために用いる運動特性測定用駆動装置1であって、前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3を、前記旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持するヘッド固定支持部9と、前記ハード・ディスク7を回転駆動可能に支持し前記旋回移動の中心軸に対し相対的に旋回可能に支持されたディスク駆動部11と、前記ディスク駆動部11を前記中心軸回りに旋回駆動して前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の旋回移動を相対的に形成する旋回駆動部13とを備えた。
【0054】
このため、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3をハード・ディスク7径方向へ旋回駆動させない状態でヘッド・ジンバル・アッセンブリ3がハード・ディスク7径方向へ旋回移動する状況を作り出すことができる。
【0055】
したがって、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3旋回移動時のスライダ5やヘッド・サスペンションの挙動を示す運動特性データを容易且つ正確に取得することができる。
【0056】
例えば、第1,第2の高速度カメラ27,29でヘッド・ジンバル・アッセンブリ3を撮像し、スライダ5やヘッド・サスペンションの挙動を示す運動特性データを取得するとき、全旋回移動の範囲でスライダ5やヘッド・サスペンションの挙動を示す運動特性データを取得することが可能となる。また、第2の高速度カメラ29に対して被写界深度が変化しないので、容易にピントを合わせることができ、より正確なデータ取得を容易に行わせることができる。
【0057】
レーザー・ドップラー速度計31によるレーザー照射を、相対的に旋回移動を形成はしているが、固定軸15に固定支持され旋回移動しないヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のスライダ5に対して行うから、レーザー照射及び反射したレーザー光の入射を容易且つ正確に行わせ、運動特性データの取得を行わせることができる。
【0058】
前記ディスク駆動部11は、前記ハード・ディスク7の外周側に前記スライダ5側のタブ3aが相対的に乗り上げ可能なロード・アンロードL/UL対応のランプ・ブロック23を備えた。
【0059】
このため、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のL/UL時のスライダ5やヘッド・サスペンションの挙動を示す運動特性データを、第1,第2の高速度カメラ27,29、レーザー・ドップラー速度計31、トルク・メータ17等により容易且つ正確に取得することができる。
【0060】
ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3がハード・ディスク7径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の運動特性測定方法であって、前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3を、前記旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持すると共に、前記ハード・ディスク7を回転駆動可能に支持したディスク駆動部11を前記中心軸回りに旋回駆動し前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3の旋回移動を相対的に形成して前記運動特性データを計測する。
【0061】
このため、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3をハード・ディスク7径方向へ旋回駆動させない状態でヘッド・ジンバル・アッセンブリ3がハード・ディスク7径方向へ旋回移動する状況を作り出すことができる。
【0062】
したがって、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3旋回移動時のスライダ5やヘッド・サスペンションの挙動を示す運動特性データを容易且つ正確に取得することができる。
【0063】
前記ディスク駆動部11は、前記ハード・ディスク7の外周側に前記スライダ5側のタブ3aが乗り上げ可能なロード・アンロードL/UL対応のランプ・ブロック23を備え、前記ディスク駆動部11の旋回駆動により前記ランプ・ブロック23に対するスライダ5側の乗り上げ動作を相対的に形成して前記運動特性データを計測する。
【0064】
このため、ヘッド・ジンバル・アッセンブリ3のL/UL時のスライダ5やヘッド・サスペンションの挙動を示す運動特性データを、第1,第2の高速度カメラ27,29、レーザー・ドップラー速度計31、トルク・メータ17等により容易且つ正確に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置を示すブロック構成である。(実施例1)
【図2】ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置を示す概略斜視図である。(実施例1)
【図3】ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置の揺動動作を示す斜視図である。(実施例1)
【図4】運動特性測定用駆動装置に高速度カメラを配置した斜視図である。(実施例1)
【図5】比較例に係り、(a)は、第1の高速度カメラの観察エリアを示す概念図、(b)は、観察エリアに対するヘッド・ジンバル・アッセンブリの移動状況を示す概念図である。(比較例)
【図6】運動特性測定用駆動装置に第1の高速度カメラを配置したときの観察エリア及びヘッド・ジンバル・アッセンブリの状況を示す概念図である。(実施例1)
【図7】ヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定を示す概略平面図である。(比較例)
【図8】(a)、(c)、(e)、(g)は、第2の高速度カメラによる観察状況を示す概念図、(b)、(d)、(f)、(h)は、ハード・ディスク及びランプ・ブロックに対するヘッド・ジンバル・アッセンブリの旋回移動位置を示す概念図である。(比較例)
【図9】(a)は、第2の高速度カメラによる観察状況を示す概念図、(b)は、ハード・ディスク及びランプ・ブロックに対するヘッド・ジンバル・アッセンブリの挙動を示す概念図である。(実施例1)
【図10】運動特性測定用駆動装置にレーザー・ドップラー速度計を配置した斜視図である。(実施例1)
【図11】スライダに対するレーザー照射位置を示す平面図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0066】
1 運動特性測定用駆動装置
3 ヘッド・ジンバル・アッセンブリ
3a タブ
5 スライダ
7 ハード・ディスク
9 ヘッド固定支持部
11 ディスク駆動部
13 旋回駆動部
17 トルク・メータ(データ観察部)
27 第1の高速度カメラ(データ観察部)
29 第2の高速度カメラ(データ観察部)
31 レーザー・ドップラー速度計(データ観察部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド・ジンバル・アッセンブリがハード・ディスク径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するために用いる運動特性測定用駆動装置であって、
前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリを、前記旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持するヘッド固定支持部と、
前記ハード・ディスクを回転駆動可能に支持し前記旋回移動の中心軸に対し相対的に旋回可能に支持されたディスク駆動部と、
前記ディスク駆動部を前記中心軸回りに旋回駆動して前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリの旋回移動を相対的に形成する旋回駆動部と、
を備えたことを特徴とするヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載のヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置であって、
前記ディスク駆動部は、前記ハード・ディスクの近傍に前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリのスライダ側が相対的に乗り上げ可能なロード・アンロード対応のランプ・ブロックを備えた、
ことを特徴とするヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置であって、
前記運動特性データを取得するためのデータ観察部を設けた、
ことを特徴とするヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置。
【請求項4】
請求項3記載のヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置であって、
前記データ観察部は、前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリを前記中心軸交差方向から撮像する高速度カメラ、又は前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリのスライダに対するレーザー光の照射及びスライダで反射したレーザー光の入射を前記中心軸方向とするレーザー・ドップラー速度計とした、
ことを特徴とするヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置。
【請求項5】
請求項3記載のヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置であって、
前記データ観察部は、前記ヘッド固定支持部に設けられ前記前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリに働く前記中心軸回りのトルクを取得するトルク・メータである、
ことを特徴とするヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置。
【請求項6】
ヘッド・ジンバル・アッセンブリがハード・ディスク径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定方法であって、
前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリを、前記旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持すると共に、前記ハード・ディスクを回転駆動可能に支持したディスク駆動部を前記中心軸回りに旋回駆動し前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリの旋回移動を相対的に形成して前記運動特性データを取得する、
ことを特徴とするヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定方法。
【請求項7】
請求項6記載のヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定方法であって、
前記ディスク駆動部は、前記ハード・ディスクの外周側に前記スライダ側が乗り上げ可能なロード・アンロード対応のランプ・ブロックを備え、
前記ディスク駆動部の旋回駆動により前記ランプ・ブロックに対する前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリのスライダ側の乗り上げ動作を相対的に形成して前記運動特性データを計測する、
ことを特徴とするヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定方法。
【請求項1】
ヘッド・ジンバル・アッセンブリがハード・ディスク径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するために用いる運動特性測定用駆動装置であって、
前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリを、前記旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持するヘッド固定支持部と、
前記ハード・ディスクを回転駆動可能に支持し前記旋回移動の中心軸に対し相対的に旋回可能に支持されたディスク駆動部と、
前記ディスク駆動部を前記中心軸回りに旋回駆動して前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリの旋回移動を相対的に形成する旋回駆動部と、
を備えたことを特徴とするヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載のヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置であって、
前記ディスク駆動部は、前記ハード・ディスクの近傍に前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリのスライダ側が相対的に乗り上げ可能なロード・アンロード対応のランプ・ブロックを備えた、
ことを特徴とするヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置であって、
前記運動特性データを取得するためのデータ観察部を設けた、
ことを特徴とするヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置。
【請求項4】
請求項3記載のヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置であって、
前記データ観察部は、前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリを前記中心軸交差方向から撮像する高速度カメラ、又は前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリのスライダに対するレーザー光の照射及びスライダで反射したレーザー光の入射を前記中心軸方向とするレーザー・ドップラー速度計とした、
ことを特徴とするヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置。
【請求項5】
請求項3記載のヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置であって、
前記データ観察部は、前記ヘッド固定支持部に設けられ前記前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリに働く前記中心軸回りのトルクを取得するトルク・メータである、
ことを特徴とするヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定用駆動装置。
【請求項6】
ヘッド・ジンバル・アッセンブリがハード・ディスク径方向へ旋回移動するときの運動特性データを取得するヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定方法であって、
前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリを、前記旋回移動に対応する中心軸に対して固定支持すると共に、前記ハード・ディスクを回転駆動可能に支持したディスク駆動部を前記中心軸回りに旋回駆動し前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリの旋回移動を相対的に形成して前記運動特性データを取得する、
ことを特徴とするヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定方法。
【請求項7】
請求項6記載のヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定方法であって、
前記ディスク駆動部は、前記ハード・ディスクの外周側に前記スライダ側が乗り上げ可能なロード・アンロード対応のランプ・ブロックを備え、
前記ディスク駆動部の旋回駆動により前記ランプ・ブロックに対する前記ヘッド・ジンバル・アッセンブリのスライダ側の乗り上げ動作を相対的に形成して前記運動特性データを計測する、
ことを特徴とするヘッド・ジンバル・アッセンブリの運動特性測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−55723(P2010−55723A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222264(P2008−222264)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】
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