説明

ヘテロ元素を含むシロキサン化合物およびポリマー

ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーを説明する。本ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーは、直鎖状構造、環状構造、分岐状構造、および、三次元ネットワーク構造、および、それらの組み合わせを有していてもよい。本ヘテロシロキサンポリマーは、熱硬化性有機ケイ素ポリマーから誘導された硬化する化学物質を用いて硬化が可能であり、ゲル、コーティング、薄いプレート、部品およびその他の有用な物品を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、シロキサン化合物、より具体的には、ヘテロ元素を含むシロキサン化合物に関し、また、ヘテロ元素を含むシロキサン化合物およびヘテロ元素を含むシロキサンポリマーの製造方法に関する。本発明はまた、IIB、IIIA、IVA、IVB、VBおよびVIB族からの元素に基づいてたポリマーの屈折率を制御および増加させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の用途、特にエレクトロニクスおよびフォトニクス分野において、高い屈折率(RI)の材料が要望されている。例えば半導体をベースとした発光装置の製造において、半導体デバイス(例えば、波長範囲400〜700nmにおいて1.8〜4.0のRI範囲を有するサファイア、窒化ガリウム、砒化ガリウム、および、リン化ガリウム)からレンズへの光の移動を整合させるポリマーが用いられる。屈折率整合ポリマーがないと、反射による損失が起こると予想され、抽出される光効率は低い。ポリマーのRIを制御できる能力は、技術者がシステムの光抽出特性を制御することを可能とするだろう。シロキサンポリマーは、可視波長範囲内で狭い範囲の屈折率を示し(632nmで約1.35〜1.65)、Si−OおよびSi−有機物質の結合物の密度および相対量の影響を最も強く受ける。現在のメチルシロキサンは約1.4のRIを有し、フェニルシロキサンは、1.6未満のRIを有する。これらの値は、光抽出効率を改善するのに要求されるRI値より低い。
【0003】
その他の例は、光導波路の形成であり、この光導波路は、多層フィルムの形態であってもよいし、または、クラッドファイバーの形態であってもよい。クラッドファイバーの場合、主として高RI材料中で光エネルギーが伝わるように、低RI材料が、それより高いRIの材料を取り囲む。このような用途において、光エネルギーが最大効率で伝播するように、高RI材料と低RI材料とのRIの比率は最大化されるべきである。
【0004】
1つのアプローチによれば、より高いRIを有する高分子材料への必要性は、TiOのような高い屈折率を有する無機ナノ粒子を用いて取り組まれている。このアプローチを用いて整調可能な屈折率を有する複合材料を得ることは、論理上可能であるが、克服するしなければならない多数の問題がある。まず、高い屈折率のナノ粒子の供給が限定されていることである。高RI粒子を低RIマトリックスに添加することによって複合材料RIが生成する可能性があるが、この方法は光散乱の作用のために非効率的である。ナノ粒子に関する問題として粒子の凝集が起こる可能性があり、さらに、所定のマトリックス中での分散を改善するために、表面官能化が必要であることが多い。しかしながら、これは、シリカ以外のナノ粒子を用いる場合は容易ではない。その上、表面官能化は粒子の結晶の性質に影響を与え、その結果として、一般的にそれらの屈折率は減少する。その上、粒子分散の安定性は限定的である場合が多く、調合物中でその他の添加剤の作用を受けやすい。最終的に、マトリックスのレオロジーおよびその他の特性は、ナノ粒子の体積分率が変化すると共に変化する可能性がある。
【0005】
高分子マトリックスへのナノ粒子の取り込みの複雑さを考慮すると、より望ましいアプローチは、ポリマーの屈折率を調節するように選択が可能な、様々な電子分極率を有する複数の無機−有機成分を含むポリマーを構築することと予想される。誘電材料の屈折率は、分子分極率および密度に比例する。屈折率をデザインするための分子工学を用いることは、光学特性をうまく取り扱うための効率的な方法である。
【0006】
屈折率に関する分子工学を達成する方策の1つは、IV族またはIVB族をベースとした金属−有機化合物種をシロキサンポリマー主鎖に取り入れることであり、例えば、シロキサンポリマー内にゲルモキサン化学種(MeGeO)を取り込むことである。比較すると、Si−OおよびSi−C結合の屈折は1.80および2.52であるのに対して、Ge−OおよびGe−C結合の屈折は2.47および3.05である。この結合の屈折は分極率の増加に関連しているため、ポリマー中で化学的にカップリングさせた場合、上記Ge置換基の取り込みによって、純粋なシロキサンポリマーよりも屈折率が高められると予想される。Sn−O、Sn−C、Ti−O、および、Ti−C結合は、それらのSiおよびGe類似体よりも高い屈折を示す。
【0007】
このようなヘテロ元素を含むシロキサンポリマーの従来のシロキサンに対するその他の利点は、それらの溶解性の改変である。
例えば、シロキサンポリマーにジメチルゲルモキサン単位を導入することによって、酸および塩基加水分解に対する溶解挙動が変更されたポリマーが生産される可能性が生じる。溶解挙動の改変によって、ゲルマノシロキサンポリマーの環境運命に関する利点を提供することができる。Si−O−Ge架橋は、酸性媒体中および塩基性媒体中の両方において、Si−O−Si架橋よりも迅速に加水分解される。結果として、シロキサンポリマー中のMeGe−O−Si架橋は、少量でも分解速度を高めることができる。
【0008】
しかしながら、ジメチルゲルモキサンの化学に関して限定的な調査しかない。環状化合物([MeGeO])に関するIRおよび分子量の測定データが報告されている。オキサゲルメタンの前駆体として、環状ゲルマノキサン(germanoxane)化合物が報告されている。公開特許出願(WO93/02088)は、生体適合性油としてのゲルモキサン化合物の使用を考察している。
【0009】
ゲルマノシロキサンおよびその他のIV族〜IVB族のヘテロポリマーの合成に関する文献は限られた数しかない。また、例えばゲルマノシロキサンポリマーの製造方法としての共加水分解の使用に関しても、限定的な成功しか報告されていない。これは、中性または酸性条件下ではGe−OがGe−Clに逆戻りしてしまうためである。共加水分解の限定的な成功により、オルガノシロキシドとオルガノハロゲンゲルマンとを併用してSi−O−Ge結合を形成することが達成されている。しかしながら、この方法は費用がかかるものであり、1つのSi−O−Ge結合を有する化合物を生産することしかできない。
【0010】
数々の特許で、電子工学的および光学的な用途に使用するためのゲルマノシロキサンポリマーおよび樹脂の合成が考察されている。米国特許第7,057,002号は、有機溶媒中で、酸またはアルカリ性触媒および水の存在下で、式Aで示される第一の単量体、および、式Bで示される第二の単量体を加水分解して、重縮合することによって製造されたシロキサンベースの樹脂を説明している:
式A:
【0011】
【化1】

【0012】
式中Rは、水素原子、C1〜3アルキル基、または、C6〜15アリール基であり;X、XおよびXは、それぞれ独立して、C1〜3アルキル基、C1〜10アルコキシ基、または、ハロゲン原子であり(ただしそれらのうち少なくとも1つは加水分解性(hydrolyzable)である);mは、0〜10の整数であり;および、pは、3〜8の整数であり、および、
式B:
(R4−aGe(X
式中Rは、水素原子、C1〜3アルキル基、または、C6〜15アリール基であり;Xは、C1〜10アルコキシ基、または、ハロゲン原子であり;および、aは、1〜4の整数である。このアプローチの目的は、ゲルマニウムを用いない方法と比較して、元々の電子特性(誘電率)を変更させることなく改変されたケイ素ポリマーで作製されたフィルムの機械特性を改善する手段を開発することである。低密度、低い誘電率のシロキサンポリマーフィルムが得られている。
【0013】
WO97/22653は、主として、カルボキシルを含むポリジアルキルゲルマノシロキサンの形成方法を目的としている。これは、ポリゲルマノシロキサン組成物の製造方法を教示している。この方法は、極性溶媒中でアルキルゲルマニウム酸化物化合物を加水分解すること、および、極性溶媒と不混和性の第二の溶媒中で、この溶液と、アルキルハロシランまたはアルキルアルコキシシランの溶液とを組み合わせること、および、第二の溶媒から生成物を単離することを含む。この組成物は、以下の式を有するものであり得る:
−(RGeO)(RSiO)
式中R〜Rは、同一または異なって、アルキル、アルケニルおよび官能化したアルキル、ならびに、アルケニルラジカル、例えばビニルおよびシアノアルキルラジカル(例えばシアノプロピル)であり、nまたはmは正の整数であり、ここでn+mは3より大きく、n/(n+m)は0.01〜0.60の範囲である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】WO93/02088
【特許文献2】米国特許第7,057,002号
【特許文献3】WO97/22653
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
高い屈折率を有し、さらにこのようなポリマーの実用的な製造方法に適した塩基性ポリマーの必要が未だにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、直鎖状構造、環状構造、分岐状構造および三次元ネットワーク構造、および、それらの組み合わせを有する塩基性のヘテロ元素を含むシロキサンポリマーを提供するものであり、これにより上記必要性が達成される。さらにこの必要性は、ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーの製造方法によっても達成される。さらにこの必要性は、熱硬化性の有機ケイ素ポリマーから誘導された硬化する化学物質を用いてヘテロシロキサンポリマーを硬化すること、および、ゲル、コーティング、薄いプレート、部品およびその他の有用な物品を製造することによっても達成される。本ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーは、オルガノシロキサンの化学で説明されているものに類似した、補強材系中のマトリックスとして用いることができる。このような補強材は、不連続であってもよいし(すなわちシリカのような粒子を含むもの)、または、連続したものでもよく(すなわちガラス繊維または炭素繊維を含むもの)、有用なエラストマー、ゴム、複合材料などを製造する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、一般的に、ヘテロ元素を含むシロキサン化合物(heteroelement siloxane compound)、より具体的には、ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーで作製されるヘテロ元素を含むシロキサン化合物に関し、また、ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーの製造方法に関する。ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーは、金属修飾されたシロキサンポリマーであり、加えて、有機性の置換基を有する主族元素で修飾されたシロキサンポリマーも含まれる。ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーは、Si−O−Si結合、加えて、M−O−Si結合、および/または、M−O−M結合を含み、ここでMは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族およびVIB族から選択されるヘテロ元素である。好ましいヘテロ元素としては、これらに限定されないが、IVA族、IVB族およびV族、Nb、Ta、Mo、W、Zn、Al、Ga、In、Tlが挙げられる。便宜上、考察は、ゲルマニウムベースの有機化合物種で修飾されたシロキサンポリマーに焦点を当てることとする。しかしながら、当業者であれば、このようなポリマーおよび方法は、他のIIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族およびVIB族元素にも同様に適用が可能であることを認識しているものと思われる。
【0018】
本ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーは、主鎖中に、ケイ素、酸素、および、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族およびVIB族元素を含む。ヘテロ元素を含むシロキサン化合物は、これらに限定されないが、コーティング、フィルム、ゲル、薄いプレート、または、ファイバーなどの物品にすることができる。ヘテロ元素を含むシロキサン化合物は、本ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーから作製される。ヘテロ元素を含むシロキサン化合物は、不活性ガスまたは反応ガスの雰囲気中で、硬化されてもよいし、または、未硬化でもよいし、または、熱分解されていてもよい。コーティングは、平らではない表面、または、三次元の物体に、ヘテロ元素を含むシロキサン前駆体ポリマーを塗布した状態である。フィルムは、半導体ウェーハまたはガラス基板のような比較的平らな物品または表面に、ヘテロ元素を含むシロキサン前駆体ポリマーを塗布した状態である。ゲルは、ヘテロ元素を含むシロキサン前駆体ポリマー上での硬化反応によって生じたバルク材製品である。
【0019】
本ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーは、形成されたままの状態で用いることができる。あるいは本ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーは、さらなる反応のための前駆体として用いることができる。このような前駆体ポリマーに追加の化学物質(硬化剤など)を適用して、それらを「硬化性」材料に変換することもでき、続いて硬化工程によって、このような材料を高度に架橋されたポリマー材料に変換してもよく、このような材料は様々な形態をとることができ、このような形態としては、これらに限定されないが、バルク、コーティングまたはフィルムが挙げられる。これらの方法は当業界公知である。あるいは、このような前駆体ポリマーに追加の化学物質を適用して、それらをゲルに変換してもよい。この方法は、当業者によく知られている。このようなヘテロ元素ゲル材料は、フィルム技術を実施するものにはよく知られているであろうあらゆる技術を用いてコーティングまたはフィルムなどを形成するのに用いられる。このようなコーティング/フィルムを、熱、紫外線、反応ガスなどを用いて硬化して、高度に架橋されたコーティング/フィルムを形成することができる。
【0020】
本発明のゲルマノシロキサンポリマーの一つのタイプは、以下の一般式で示すことができる:
(RSiO)(RGeO) 式I
式中R、R、RおよびRは、独立して、以下の基:(A)C〜C10ヒドロカルビル基、または、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、または、水素から選択される。R、R、RおよびRで示されるC〜C10ヒドロカルビル基、および、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基は、より典型的には、1〜6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含む非環式ヒドロカルビル、および、ハロゲンで置換されたヒドロカルビル基は、分枝状または非分岐状の構造を有していてもよい。R、R、RおよびRで示されるヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、および、デシル;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、および、メチルシクロヘキシル;アリール基、例えばフェニル、および、ナフチル;アルカリール基、例えばトリル、および、キシリル;ならびに、アラルキル基、例えばベンジル、および、フェネチルが挙げられる。R、R、RおよびRで示されるハロゲンで置換されたヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、および、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルが挙げられ;および、(B)アルケニル基(これは、シリコーン樹脂内で同一でもよいし、または異なっていてもよい)は、典型的には、2〜約10個の炭素原子、あるいは、2〜6個の炭素原子を有し、例として、これらに限定されないが、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、および、オクテニルが挙げられる。下付き文字mおよびnは、1より大きい整数であるか、または、1である。
【0021】
本ゲルマノシロキサンポリマーは環状構造を有しており、末端基がない。環のサイズ(n+mの合計)は、48もの大きさでもよいが、より一般的には30未満であり、または、より一般的には25未満であり、または、より一般的には12未満であり、または、より一般的には3〜8の範囲である。Si−OおよびGe−O単位は、環状のリング内にランダムに配置されていてもよいし、または、ブロック様式で配置されていてもよい(すなわち、Ge−O単位が一つに集まっており、それに続いてSi−O単位などが同様に集まっている状態)。本ポリマーは、環状構造が混在しているものでもよく、加えて、異なる環サイズを有する環状化学種が様々な比率で存在しているものでもよい。
【0022】
これらのポリマーは、一般式RSiX’、および、RGeX’’で示される前駆体を反応させることによって製造することができる(式中X’およびX’’は、独立して、ハロゲン、および、アルコキシ基から選択される)。ハロゲンは、一般的には塩化物であるが、臭化物、ヨウ化物またはフッ化物も可能である。適切なアルコキシ基としては、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、アセトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、およびその他のものが挙げられる。上記前駆体は、塩基性条件下で、非極性有機溶媒、または、非極性溶媒と水相との混合物を含む2相の溶媒系を用いる方法によって加水分解されて縮合される。適切な非極性溶媒としては、これらに限定されないが、トルエン、ベンゼン、ヘプタン、石油エーテル、および、その他が挙げられる。塩基性条件により、上記前駆体の加水分解が触媒され、さらに、中和経路で生成した酸性化学種も消費される。それにより、Ge−O結合(および、程度は少ないがSi−O結合)のGe−XまたはSi−X(前駆体の状態)への逆戻りが確実に最小化される。
【0023】
当業者であれば認識しているものと予想されるが、ハロシランおよびハロゲルマン前駆体の添加は、同時に行ってもよいし、または、連続的に行ってもよい。連続的な添加は、まずシラン前駆体を加水分解すること(従って、シロキサンオリゴマーを生産すること)によって行ってもよいし、または、まずゲルマン前駆体を加水分解すること(従って、ゲルモキサン環状オリゴマーを生産すること)によって行ってもよい。添加の順番は、環状ゲルマノシロキサン環中でのSiOおよびGeO基の配置に影響を与えると予想される。
【0024】
合成方法の改変法において、ハロゲンが結合している前駆体は、対応するアルコール溶媒に加溶媒分解することにより、アルコキシが結合している前駆体に変換することができる。適切な溶媒としては、これらに限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、およびその他のものが挙げられる。その後、形成されたアルコキシド前駆体を、上記のハロゲン化物前駆体と類似の方法で加水分解して、上記の式Iで示されるゲルマノシロキサンポリマーを生産することもできる。当業者であれば認識しているものと予想されるが、前駆体の加水分解/縮合反応は、中性または酸性条件下で行ってもよいが、それにより、(例えば中性条件の場合)反応速度が犠牲になると予想され、さらに、反応の可逆性のために、ゲルマノシロキサンポリマーの予め決定された(望ましい)化学量論から有意な偏差が生じる可能性がある。
【0025】
本発明のゲルマノシロキサンポリマーのその他のタイプは、以下の一般式で示すことができる:
ZO−(RSiO)(RGeO)−ZR 式II
式中R、R、RおよびRは、独立して、以下の基:(A)C〜C10ヒドロカルビル基、または、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、または、水素から選択される。R、R、RおよびRで示されるC〜C10ヒドロカルビル基、および、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基は、より典型的には、1〜6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含む非環式ヒドロカルビル、および、ハロゲンで置換されたヒドロカルビル基は、分枝状または非分岐状の構造を有していてもよい。R、R、RおよびRで示されるヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、および、デシル;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、および、メチルシクロヘキシル;アリール基、例えばフェニル、および、ナフチル;アルカリール基、例えばトリル、および、キシリル;ならびに、アラルキル基、例えばベンジル、および、フェネチルが挙げられる。R、R、RおよびRで示されるハロゲンで置換されたヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、および、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルが挙げられ;および、(B)アルケニル基(これは、シリコーン樹脂内で同一でもよいし、または異なっていてもよい)は、典型的には、2〜約10個の炭素原子、あるいは、2〜6個の炭素原子を有し、例として、これらに限定されないが、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、および、オクテニルが挙げられ;R、R、Rは、独立して、R、R、RおよびRから選択され、さらに、水酸化物基を含んでいてもよい;および、Zは、独立して、SiまたはGeから選択される。
【0026】
式IIで示されるポリマーは、直鎖状構造を有する。式IIで示されるポリマーは、1%〜99%の範囲のnを有していてもよく、ここで同時に、mは、99%〜1%の範囲であり得る。式IIで示されるポリマーは、低分子量(m+nが2の場合、下限である)から、極めて高分子量のポリマー(例えば、m+nが10,000より大きい場合、このポリマーは、数百万レベルのMWを有する可能性がある)の数平均分子量(MW)の範囲を有してもよい。
【0027】
そのポリマーがどの程度まで極めて高分子量の値を達成するかを決定する要素の1つは、Si−O/Ge−O基の比率である。例えば、Si−O/Ge−O基の比率が低い場合、そのポリマーが固体になり、従って重合が停止する可能性が極めて高い。ポリマーの分子量の増加を制御するその他の要素群は反応条件であり、主として、温度、時間、溶媒のタイプ、ならびに、触媒のタイプおよびレベルである。
【0028】
本ゲルマノシロキサンポリマーは、SiOおよびGeO基を、ランダムな配置で含んでいてもよいし、または、ブロック状の配置で含んでいてもよい。
直鎖状のゲルマノシロキサンポリマーは、開環重合のような有機ケイ素化学においてよく知られている方法に類似した方法を用いて製造することができる。この方法によれば、例えば上記式Iで説明されているものような環状のゲルマノシロキサンポリマーは、これらに限定されないが、酸性もしくは塩基性触媒、または、酸もしくは塩基の塩などの適切な触媒の使用によって開環を受けるように作成することができる。酸触媒としては、これらに限定されないが、アレニウスタイプ(プロトン供与体)、例えば硫酸(HSO)、または、酢酸(CHCOOH)、または、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)、または、ルイスタイプの酸(電子受容体)、例えば塩化第二鉄(FeCl)、または、塩化アルミニウム(AlCl)が挙げられる。これらは、ホモジニアスに作用させてもよいし、または、ヘテロジニアスに作用させてもよい。式IIで示されるゲルマノシロキサンポリマーの形成において有用なヘテロジニアスな酸の例は、アルミノケイ酸塩粘土であり、例えばベントナイト粘土である。塩基性触媒の例としては、これらに限定されないが、アミン、例えばアンモニア(NH)、または、メチルアミン(CHNH)、ホスフィン、および、アルカリ金属、および、アルカリ土類の水酸化物、例えばKOHまたはCsOHが挙げられる。塩触媒の例としては、これらに限定されないが、シラノレート、例えばカリウムシラノレート、酢酸塩、例えば酢酸ナトリウム、または、アンモニウム、または、ホスホニウム塩、例えば塩化テトラブチルアンモニウム、または、臭化テトラエチルホスホニウムなどが挙げられる。当業者であれば認識しているであろうが、これらの例は、本方法の範囲を限定することを目的としておらず、開環重合反応を実施するためにそれよりもかなり多くの種類の触媒が使用可能である。
【0029】
上記反応は、有機性の媒体、非極性および極性の両方、ならびに、溶媒の混合物中で起こる。適切な溶媒としては、これらに限定されないが、飽和脂肪族炭化水素、例えばn−ペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、および、ドデカン;脂環式炭化水素、例えばシクロペンタン、および、シクロヘキサン;芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、および、メシチレン;環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)、および、ジオキサン;ケトン、例えばメチルイソブチルケトン(MIBK);ハロゲン化アルカン、例えばトリクロロエタン;ハロゲン化芳香族炭化水素、例えばブロモベンゼン、および、クロロベンゼン、および、その他の溶媒、例えばイソプロパノール、ブタノール、および、石油エーテルが挙げられる。
【0030】
式Iで示される開始のゲルマノシロキサンポリマーに加えて、上記反応混合物には末端をブロックする基、または、末端をブロックする前駆体が含まれていてもよく、これらは、直鎖状ポリマーが十分に成長できるような予め決定された時間枠内で反応に添加される。多数の末端のブロックが存在し、これらは一般的に、RZX、または、RZ−O−ZRのタイプであり、ここで式中Zは、独立して、GeまたはSiから選択され、Xは、典型的には、ハロゲン化物、アルコキシド、または、水酸化物である。式IIで示されるポリマーに関する末端のブロックのいくつかの典型的な例としては、これらに限定されないが、MeSiCl、MeGeCl、または、(ViMeSi)Oが挙げられ、ここで式中Meはメチル基(CH−)であり、Viはビニル基(CH=CH−)である。当業者であれば認識しているものと予想されるが、式IIで示されるポリマーの製造は、式Iで示される環状のゲルマノシロキサンポリマーを反応容器から分離させなくても行うことができる。言い換えれば、式IIで示されるポリマーは、適切な反応条件下での前駆体RSiX、および、RGeX(および、末端をブロックする前駆体)の反応から直接得ることができる。直鎖状の成分から環状の成分を精製し分離するために、生成物を蒸留する必要がある場合がある。
【0031】
式IIで示されるゲルマノシロキサンポリマーを製造する方法の改変法は、シロキサンの環状化学種、および、ゲルモキサンの環状化学種を独立して作製すること、続いて、適切な溶媒系(例えば上述したもの)中で、適切な開環触媒(例えば上述したもの)の存在下でそれらを反応させることを含む。この方法で製造されたゲルマノシロキサンポリマーは、Si−O−Ge架橋を介して連結した(RSiO)および(RGeO)のランダムブロックを含む。後者の式において、xおよびyは、SiOおよびGeOブロックの数である。末端のブロックは、上述の方法と同様に用いられる。
【0032】
式IIで示されるゲルマノシロキサンポリマーを製造するその他の方法は、ハロゲン化物、ヒドロキシル基またはアルコキシ基のような反応性の末端基を有する直鎖状ポリシロキサン前駆体と、ゲルマニウム前駆体、例えばRGeX、または、環状ゲルモキサン組成物とを反応させることである。Xが塩化物のようなハロゲン化物を示す場合、上記反応は、生成した酸が消費されて縮合反応が右側に進むように塩基性条件下で起こることが好ましい。Xがアルコキシドを示す場合、上記反応は、塩基性条件下で発生させることも好ましいが、中性または酸性条件も考慮することができる。
【0033】
上記の方法で使用するための直鎖状シロキサンポリマーの例は、式HO−(SiMeO)−SiMeOH(z=100)で示すことができる。高分子量のゲルモキサンポリマーの存在の報告が確かである限りにおいて(J.Am.Chem.Soc.1955,82,4166に記載のBrownおよびRochowによる参考文献を参照)、式IIで示されるゲルマノシロキサンポリマーを製造するための代替法は、例えばヒドロキシル基またはアルコキシ基を、類似の末端のヒドロキシルまたはアルコキシ基が結合している直鎖状の高分子量ゲルモキサンポリマーと縮合するのに有用な官能性を有する末端基が結合している直鎖状シロキサンポリマーを縮合することである。
【0034】
本発明のゲルマノシロキサンポリマーのその他のタイプは、以下の一般式で示すことができる:
−(RGe−O)−(RSi−O)− 式III
式中R、R、RおよびRは、独立して、以下の基:(A)C〜C10ヒドロカルビル基、または、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、または、水素から選択される。R、R、RおよびRで示されるC〜C10ヒドロカルビル基、および、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基は、より典型的には、1〜6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含む非環式ヒドロカルビル、および、ハロゲンで置換されたヒドロカルビル基は、分枝状または非分岐状の構造を有していてもよい。R、R、RおよびRで示されるヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、および、デシル;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、および、メチルシクロヘキシル;アリール基、例えばフェニル、および、ナフチル;アルカリール基、例えばトリル、および、キシリル;ならびに、アラルキル基、例えばベンジル、および、フェネチルが挙げられる。R、R、RおよびRで示されるハロゲンで置換されたヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、および、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルが挙げられ;および、(B)アルケニル基(これは、シリコーン樹脂内で同一でもよいし、または異なっていてもよい)は、典型的には、2〜約10個の炭素原子、あるいは、2〜6個の炭素原子を有し、例として、これらに限定されないが、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、および、オクテニルが挙げられる。下付き文字mおよびnは正の整数であり、ここでn+mは3より大きく、n/(n+m)は、0.60より大きい。
【0035】
式IIIで示されるゲルマノシロキサンポリマーは、反応性を有する末端基を含み、このような末端基は、製造方法から予め決定され、最も一般的にはハロゲン化物または水酸化物である。有機ケイ素化学の分野において、式IIIで示されるポリマーは通常、加水分解物として知られている。それらの製造方法は上記の式IIで説明されている方法に類似しているが、末端をブロックする末端基の添加は行われない。
【0036】
本発明のゲルマノシロキサンポリマーのその他のタイプは、以下の一般式で示すことができる:
−(RSiO)(RGeO)(RZO) 式IV
式中R、R、RおよびRは、独立して、以下の基:(A)C〜C10ヒドロカルビル基、または、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、または、水素から選択される。R、R、RおよびRで示されるC〜C10ヒドロカルビル基、および、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基は、より典型的には、1〜6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含む非環式ヒドロカルビル、および、ハロゲンで置換されたヒドロカルビル基は、分枝状または非分岐状の構造を有していてもよい。R、R、RおよびRで示されるヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、および、デシル;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、および、メチルシクロヘキシル;アリール基、例えばフェニル、および、ナフチル;アルカリール基、例えばトリル、および、キシリル;ならびに、アラルキル基、例えばベンジル、および、フェネチルが挙げられる。R、R、RおよびRで示されるハロゲンで置換されたヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、および、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルが挙げられ;および、(B)アルケニル基(これは、シリコーン樹脂内で同一でもよいし、または異なっていてもよい)は、典型的には、2〜約10個の炭素原子、あるいは、2〜6個の炭素原子を有し、例として、これらに限定されないが、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、および、オクテニルが挙げられる。RおよびRのうち少なくとも一方は、ヒドリド、または、アリールもしくは置換されたアリール基であり;Zは、独立して、GeまたはSiから選択され;n、mおよびpは正の整数であり、ここでn+m>3であり、n/n+m+pは0.01〜0.99の範囲であり、および、p≧1である。式IVで示されるゲルマノシロキサンポリマーの製造方法は、上述の式IIで示されるポリマーに関する方法に類似している。式IVで示されるポリマーに関して、前駆体の例としては、これらに限定されないが、HMeSiCl、または、PhMeSiCl、または、HPhSiCl、または、HMeGeCl、または、HPhGeSiCl(式中Meはメチルであり、Phはフェニルである)が挙げられる。前駆体のその他の典型的な例は、MeSiCl、および、MeoGeClである。末端をブロックする基の非存在下で、本ゲルマノシロキサンポリマーは加水分解物であり、反応性を有する末端基を有し、最も一般的には、ヒドロキシル、塩化物またはアルコキシ基を有する。
【0037】
本発明のゲルマノシロキサンポリマーのその他のタイプ は、以下の一般式で示すことができる:
−(RSiO)(RGeO)(R10ZO3/2− 式V
式中R、R、R、RおよびR10は、独立して、以下の基:(A)C〜C10ヒドロカルビル基、または、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、または、水素から選択される。R、R、RおよびRで示されるC〜C10ヒドロカルビル基、および、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基は、より典型的には、1〜6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含む非環式ヒドロカルビル、および、ハロゲンで置換されたヒドロカルビル基は、分枝状または非分岐状の構造を有していてもよい。R、R、RおよびRで示されるヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、および、デシル;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、および、メチルシクロヘキシル;アリール基、例えばフェニル、および、ナフチル;アルカリール基、例えばトリル、および、キシリル;ならびに、アラルキル基、例えばベンジル、および、フェネチルが挙げられる。R、R、RおよびRで示されるハロゲンで置換されたヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、および、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルが挙げられ;および、(B)アルケニル基(これは、シリコーン樹脂内で同一でもよいし、または異なっていてもよい)は、典型的には、2〜約10個の炭素原子、あるいは、2〜6個の炭素原子を有し、例として、これらに限定されないが、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、および、オクテニルが挙げられる。Zは、独立して、GeまたはSiから選択され;m、nおよびqは正の整数であり;および、m+n+qは、4より大きい。整数qは、ネットワーク中の分岐点の数を意味する。当業者であれば認識しているものと予想されるが、架橋を形成するポイントの数が大きければ(qの数がより大きい場合)、粘度がより大きくなるため、加工上の問題を処理する必要が生じる場合がある。さらに、架橋を形成するポイント間の距離も、材料のレオロジー特性に影響を与える。
【0038】
このような分岐状ゲルマノシロキサンポリマーの製造方法は、式IIのポリマーに関して説明されている方法に類似しているが、それに加えて、一般式R10ZX[式中Xは、ハロゲン(非常に多くの場合、塩化物)、水酸化物基またはアルコキシ基(例えば、メトキシもしくはエトキシ、または、アセトキシなど)である]を有する前駆体を取り込ませる。R10ZX前駆体の例としては、これらに限定されないが、MeSiCl、または、PhSiCl、または、MeGeCl、または、PhGeCl、または、MeSi(OMe)、または、MeGe(OMe)などが挙げられる。末端をブロックする前駆体の基が用いられない場合、分岐状ゲルマノシロキサンポリマーは、反応性を有する末端官能基、例えば塩化物、水酸化物またはアルコキシド基を多数有する。反応混合物中で末端をブロックする前駆体の基が用いられる場合、分岐状ゲルマノシロキサンポリマーは、反応性の末端基を有さない。
【0039】
本発明のゲルマノシロキサンポリマーのその他のタイプは、樹脂状の構造を有しており、典型的には、Tおよび/またはQシロキサン、および/または、ゲルモキサン単位を、Mおよび/またはDシロキサン、および/または、ゲルモキサン単位と組み合わせて含むポリマーである。このようなゲルマノシロキサン樹脂は、以下の2種の一般的な硬化のタイプを有するものがあり得る:(a)ヒドロシリル化硬化が可能なタイプ、および、(b)縮合硬化が可能なタイプ。このような2種の硬化タイプは、商業的に極めて有用である。その他の硬化タイプを用いてもよく、例えば過酸化物硬化もしくはラジカル硬化、または、電子ビーム硬化などが使用可能である。当業者であれば、これらのおよびその他の硬化系について熟知している。これら両方のタイプの樹脂に関する一般式は、以下の一般式で示すことができる:
[(RSiO1/2(R’R’R’GeO1/2(RSiO)(R’R’GeO)(RSiO3/2(R’GeO3/2(SiO4/2(GeO4/2] 式VI
式中w、v、y、x、z、r、s、tは、加水分解性の前駆体の量によって予め決定されたモル分率であり、v、x、rまたはtの少なくとも1つは、ゼロではない。上記の式において、RおよびR’基は必ずしも同一ではないが、典型的にはそれらは同一である。このような指定の場合、R’基はゲルマニウムの核に結合しており、R基はケイ素の核に結合している。
【0040】
ヒドロシリル化硬化が可能なゲルマノシロキサン樹脂は、ケイ素(および/またはゲルマニウム)に結合したアルケニル基、または、ケイ素(および/またはゲルマニウム)に結合した水素原子を有する。このようなゲルマノシロキサン樹脂は、典型的には、RSiO3/2単位(および/またはR’GeO3/2単位)、(すなわちT単位)、および/または、SiO4/2単位(および/またはGeO4/2単位)、(すなわちQ単位)を、RSiO1/2単位(および/またはR’R’R’GeO1/2単位)、(すなわちM単位)、および/または、RSiO単位(および/またはR’R’GeO単位)、(すなわちD単位)と組み合わせて含み、ここで式中RおよびRは、C〜C10ヒドロカルビル基、または、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基(いずれも脂肪族不飽和を含まない)であり、RおよびR’は、RまたはR’基、アルケニル基、または、水素である。例えば上記ゲルマノシロキサン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、または、MDQ樹脂であり得る。本明細書で用いられる用語「脂肪族不飽和を含まない」は、ヒドロカルビルまたはハロゲンで置換されたヒドロカルビル基が、脂肪族炭素−炭素二重結合、または、炭素−炭素三重結合を含まないことを意味する。
【0041】
およびR’で示されるC〜C10ヒドロカルビル基、および、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基は、より典型的には、1〜6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含む非環式ヒドロカルビル、および、ハロゲンで置換されたヒドロカルビル基は、分枝状または非分岐状の構造を有していてもよい。RおよびR’で示されるヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、および、デシル;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、および、メチルシクロヘキシル;アリール基、例えばフェニル、および、ナフチル;アルカリール基、例えばトリル、および、キシリル;ならびに、アラルキル基、例えばベンジル、および、フェニルエチルが挙げられる。RおよびR’で示されるハロゲンで置換されたヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、および、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルが挙げられる。
【0042】
およびR’で示されるアルケニル基は、ゲルマノシロキサン樹脂内で同一でもよいし、または異なっていてもよく、典型的には、2〜約10個の炭素原子、あるいは2〜6個の炭素原子を有し、例として、これらに限定されないが、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、および、オクテニルが挙げられる。その他の実施態様において、RおよびR’は、主として水素であり得る。以下に、ヒドロシリル化硬化が可能なタイプの樹脂である式VIの例を示す:
【0043】
【化2】

【0044】
式VIで示されるゲルマノシロキサン樹脂は、典型的には約500〜約50,000の数平均分子量(Mn)を有し、あるいは約500〜約10,000、あるいは約1,000〜約3,000であり、ここでこの分子量は、低角レーザー光散乱検出器、または、屈折率検出器、および、シリコーン樹脂(MQ)標準を用いるゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。
【0045】
本ゲルマノシロキサン樹脂の製造方法は、適切な有機溶媒中で、好ましくは生成した酸を中和するために塩基性条件下で、加水分解性の前駆体(例えばクロロシラン)とクロロゲルマン前駆体との適切な混合物を共加水分解することを含む。有機相から水相を分離して、さらに有機相を中和した(水で洗浄するか、または、塩基の添加によって)後に、ゲルマノシロキサン加水分解物の「粘性を高める」(分子量を高める)が、これは、一般的には熱の適用、および/または、縮合触媒の使用によってなされる。「粘性を高める」工程中に、加水分解物中に存在するヒドロキシル基が縮合して、シロキサン、および/または、ゲルモキサン、および/または、ゲルマノシロキサン結合、および、HOが形成される。
【0046】
ヒドロシリル化硬化可能なゲルマノシロキサン樹脂は、典型的には、最終的な形態、例えば熱硬化性ゲル、コーティング、フィルム、薄いプレート、ファイバーまたはその他の有用なあらゆる形態に硬化させるために、架橋剤、および、ヒドロシリル化触媒を使用する。架橋剤は、ゲルマノシロキサン樹脂のケイ素に結合したアルケニル基およびゲルマニウムに結合したアルケニル基と反応が可能なケイ素に結合した水素原子(および/またはゲルマニウムに結合した水素原子)を有する化合物であり得る。また架橋剤は、ゲルマノシロキサン樹脂のケイ素に結合した水素原子(および/またはゲルマニウムに結合した水素原子)と反応が可能なケイ素に結合したアルケニル基(および/またはゲルマニウムに結合したアルケニル基)を有する化合物であってもよい。RおよびR’がアルケニルである場合、架橋剤は、1分子あたり平均して少なくとも2つのケイ素(および/またはゲルマニウム)に結合した水素原子、あるいは、1分子あたり平均して少なくとも3つのケイ素(および/またはゲルマニウム)に結合した水素原子を有する。一般的に理解されていることであるが、架橋は、ゲルマノシロキサン中の1分子あたりのアルケニル基の平均数、および、架橋剤中の1分子あたりのケイ素(および/またはゲルマニウム)に結合した水素原子の平均数の合計が、4より大きい場合に起こる。架橋剤は、本ゲルマノシロキサン樹脂を硬化させるのに十分な量で存在する。
【0047】
架橋剤は、典型的には有機ケイ素化合物であり、さらにオルガノハイドロジェンシラン、オルガノハイドロジェンシロキサン、または、それらの組み合わせと定義することもできる。また架橋剤は、オルガノゲルマニウム化合物であってもよく、さらにオルガノハイドロジェンゲルマン、オルガノハイドロジェンゲルモキサン、または、それらの組み合わせと定義することもできる。また架橋剤は、オルガノゲルモシラン化合物であってもよく、さらにオルガノハイドロジェンゲルモシラン、オルガノハイドロジェンゲルマノシロキサンx、または、それらの組み合わせと定義することもできる。このような有機ケイ素化合物、および/または、オルガノゲルマニウム化合物、および/または、オルガノゲルモシラン化合物の構造は、直鎖状、分岐状、環状、または、樹脂状であり得る。非環式ポリシラン、ポリゲルマン、ポリシロキサン、ポリゲルモキサン、ポリゲルモシラン、および、ポリゲルマノシロキサンの場合、ケイ素に結合した水素原子、および、ゲルマニウムに結合した水素原子は、末端の位置、ペンダントの位置に存在していてもよいし、または、末端の位置とペンダントの位置の両方に存在していてもよい。シクロシラン、シクロゲルマン、シクロシロキサン、および、シクロゲルモキサンは、典型的には3〜12個のケイ素(またはゲルマニウム)原子を有し、あるいは3〜10個のケイ素(またはゲルマニウム)原子、または、あるいは3〜4個のケイ素(またはゲルマニウム)原子を有する。
【0048】
オルガノハイドロジェンシランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、または、ポリシランであってもよい。オルガノハイドロジェンゲルマンは、モノゲルマン、ジゲルマン、トリゲルマン、または、ポリゲルマンであってもよい。RおよびR’が主としてアルケニル基である場合、本発明の目的に適したオルガノハイドロジェンシランの例としては、これらに限定されないが、ジフェニルシラン、2−クロロエチルシラン、ビス[(p−ジメチルシリル)フェニル]エーテル、1,4−ジメチルジシリルエタン、1,3,5−トリス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラン、ポリ(メチルシリレン)フェニレン、および、ポリ(メチルシリレン)メチレンが挙げられる。本発明の目的に適したオルガノハイドロジェンゲルマンの例としては、これらに限定されないが、ジフェニルゲルマン、ジエチルゲルマン、ジ−n−ブチルゲルマン、および、t−ブチルゲルマンが挙げられる。また当業者であれば認識しているものと予想されるが、このタイプのゲルマノシロキサン樹脂にとって、水素が結合しているゲルマノシランは適切な架橋剤であり得る。
【0049】
およびR’が主として水素である場合、本発明の目的に適したアルケニルが結合しているシランの例としては、これらに限定されないが、以下の式:
ViSi、PhSiVi、MeSiVi、PhMeSiVi、PhSiVi、および、PhSi(CHCH=CH
で示されるシランが挙げられ、式中Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Viはビニルである。本発明の目的に適したアルケニルが結合しているゲルマンの例としては、これらに限定されないが、テトラアリルゲルマンのようなゲルマンが挙げられる。また当業者であれば認識しているものと予想されるが、アルケニルが結合しているゲルマノシランは、このタイプのゲルマノシロキサン樹脂にとって適切な架橋剤であり得る。
【0050】
またオルガノハイドロジェンシランは、以下の式を有していてもよい:
HRSi−R−SiRH 式VII
式中Rは定義された通りであり、上記で例示されたものが挙げられ、さらに、Rは、以下の構造から選択される式で示される脂肪族不飽和を含まないヒドロカルビレン基である:
【0051】
【化3】

【0052】
式中gは、1〜6である。
式VIIで示されるオルガノハイドロジェンシランの具体的な例(式中RおよびRは上述した通りであり、上記で例示されたものが挙げられる)としては、これらに限定されないが、以下の構造から選択される式で示されるオルガノハイドロジェンシランが挙げられる:
【0053】
【化4】

【0054】
式(IV)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン樹脂を形成するための反応は、ヒドロシリル化反応に適したあらゆる標準的な反応装置で行うことができる。適切な反応器としては、ガラスおよびテフロンで内側を覆ったガラス製反応器が挙げられる。好ましくは、反応装置は、撹拌器のような撹拌手段を備えたものである。また、上記反応は、水分の非存在下で、不活性雰囲気中で、例えば窒素またはアルゴン中で行われることも好ましい。
【0055】
シリコーン樹脂(a)、有機ケイ素化合物(b)、ヒドロシリル化触媒(c)、および、任意に有機溶媒(d)は、どのような順番で合わせてもよい。典型的には、シリコーン樹脂(a)および、任意に有機溶媒(d)を導入する前に、有機ケイ素化合物(b)およびヒドロシリル化触媒(c)を合わせる。反応は、典型的には約0〜約150℃の温度で、あるいはほぼ室温(約23±2℃)〜約115℃の温度で行われる。温度が約0℃未満である場合、典型的には、反応速度は極めて遅い。反応時間は数々の要因に依存しており、このような要因としては、例えばシリコーン樹脂(a)および有機ケイ素化合物(b)の構造、および、温度が挙げられる。反応時間は、典型的には、ほぼ室温(約23±2℃)〜約150℃の温度で、約1〜約24時間である。最適な反応時間は、慣例的な実験で決定することができる。
【0056】
ヒドロシリル化触媒(c)は、白金族金属(すなわち、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、および、イリジウム)を含むよく知られたヒドロシリル化触媒に属するものか、または、白金族金属を含む化合物に属するものいずれでもよい。白金族金属として好ましくは、ヒドロシリル化反応中での高い活性に基づき、白金である。
【0057】
適切なヒドロシリル化触媒の例としては、これらに限定されないが、ヘキサクロロ白金酸の錯体、および、Willingによって米国特許第3,419,593号(これは、参照により本発明に包含させる)で開示された所定のビニルを含むオルガノシロキサンが挙げられる。このタイプの触媒は、ヘキサクロロ白金酸と、1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとの反応生成物である。
【0058】
またヒドロシリル化触媒は、表面上に白金族金属を有する固体支持体を含む担持されたヒドロシリル化触媒であってもよい。都合のよい形態としては、例えば反応混合物をろ過することによって、担持触媒を式(IV)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン樹脂から分離してもよい。担持触媒の例としては、これらに限定されないが、炭素担持白金、炭素担持パラジウム、炭素担持ルテニウム、炭素担持ロジウム、シリカ担持白金、シリカ担持パラジウム、アルミナ担持白金、アルミナ担持パラジウム、および、アルミナ担持ルテニウムが挙げられる。
【0059】
ヒドロシリル化触媒(c)の濃度は、シリコーン樹脂(a)への有機ケイ素化合物(b)の付加反応を触媒するのに十分な濃度である。典型的には、ヒドロシリル化触媒(c)の濃度は、シリコーン樹脂(a)と有機ケイ素化合物(b)との合計重量に基づいて、約0.1〜約1000ppmの白金族金属、あるいは約1〜約500ppmの白金族金属、あるいは約5〜約150ppmの白金族金属を提供するのに十分な濃度である。白金族金属が約0.1ppm未満の場合、反応速度は極めて遅い。約1000ppmより高濃度の白金族金属の使用は、反応速度の明らかな増加は起こらないため、経済的ではない。
【0060】
有機溶媒(d)は、少なくとも1種の有機溶媒を含む。有機溶媒(d)は、本発明の方法の条件下で、シリコーン樹脂(a)、有機ケイ素化合物(b)、または、得られたオルガノハイドロジェンポリシロキサン樹脂との反応を起こすことのない、構成要素(a)、(b)およびオルガノハイドロジェンポリシロキサン樹脂と混和性を有するあらゆる非プロトン性または双極性非プロトン性有機溶媒が可能である。本発明の目的に適した有機溶媒(d)の例としては、これらに限定されないが、飽和脂肪族炭化水素、例えばn−ペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、および、ドデカン;脂環式炭化水素、例えばシクロペンタン、および、シクロヘキサン;芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、および、メシチレン;環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)、および、ジオキサン;ケトン、例えばメチルイソブチルケトン(MIBK);ハロゲン化アルカン、例えばトリクロロエタン;および、ハロゲン化芳香族炭化水素、例えばブロモベンゼン、および、クロロベンゼンが挙げられる。有機溶媒(d)は、1種類の有機溶媒であってもよいし、または、2種またはそれ以上のそれぞれ上述したような異なる有機溶媒を含む混合物であってもよい。有機溶媒(d)の濃度は、反応混合物の総重量に基づき、典型的には0〜約99%(w/w)であり、あるいは約30〜約80%(w/w)、あるいは約45〜約60%(w/w)である。
【0061】
式VIで説明されている硬化性ゲルマノシロキサン樹脂のその他のタイプは、縮合硬化性樹脂である。縮合硬化性シリコーン樹脂は、典型的には、ケイ素に結合したヒドロキシまたは加水分解性の基を有するシリコーン樹脂、および、任意にケイ素に結合した加水分解性の基を有する架橋剤、および/または、縮合触媒を含む。このようなシリコーン樹脂は、典型的には、Tおよび/またはQシロキサン(および/またはゲルモキサン)単位を、Mおよび/またはDシロキサン(および/または、ゲルモキサン)単位と組み合わせて含むポリマーである。一実施態様によれば、式VIで示されるゲルマノシロキサン樹脂は、−H、−OHまたは加水分解性の基であるRおよびR’基を含み、このようなゲルマノシロキサン樹脂樹脂は、1分子あたり平均して少なくとも2つのケイ素に結合した(および/またはゲルマニウムに結合した)水素原子、ヒドロキシ原子、または、加水分解性の基を有する。本明細書で用いられる用語「加水分解性の基」は、ケイ素(および/またはゲルマニウム)に結合した基が、触媒の非存在下で、ほぼ室温(約23±2℃)〜約100℃の範囲のいずれかの温度で、数分以内、例えば30分以内に水と反応して、シラノール(Si−OH)および/またはゲルマノール(Ge−OH)基を形成することを意味する。加水分解性の基の例としては、これらに限定されないが、−Cl、−Br、−OR、−OCHCHOR、CHC(=O)O−、Et(Me)C=N−O−、CHC(=O)N(CH)−、および、−ONHが挙げられ、ここで式中Rは、C〜Cヒドロカルビル、または、ハロゲンで置換されたC〜Cヒドロカルビルである。
【0062】
で示されるヒドロカルビルおよびハロゲンで置換されたヒドロカルビル基は、典型的には1〜8個の炭素原子を有し、あるいは3〜6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含む非環式ヒドロカルビル、および、ハロゲンで置換されたヒドロカルビル基は、分枝状または非分岐状の構造を有していてもよい。Rで示されるヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、非分岐および分岐アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、および、オクチル;シクロアルキル、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、および、メチルシクロヘキシル;フェニル;アルカリール、例えばトリル、および、キシリル;アラルキル、例えばベンジル、および、フェネチル;アルケニル、例えばビニル、アリル、および、プロペニル;アリールアルケニル、例えばスチリル;および、アルキニル、例えばエチニル、および、プロピニルが挙げられる。Rで示されるハロゲンで置換されたヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、および、ジクロロフェニルが挙げられる。
【0063】
ゲルマノシロキサン樹脂中の上記基の典型的には少なくとも50モル%、あるいは少なくとも65モル%、あるいは少なくとも80モル%が、水素、ヒドロキシ、または、加水分解性の基である。本明細書で用いられる基のモル%は、ゲルマノシロキサン樹脂中のRおよびR’基のモル総数に対する、ゲルマノシロキサン樹脂中のケイ素(および/ゲルマニウム)に結合した基のモル数の比率に100を掛けた値と定義される。
【0064】
縮合硬化性ゲルマノシロキサン樹脂の具体的な例としては、これらに限定されないが、以下の式が挙げられる:
【0065】
【化5】

【0066】
式中Meはメチルであり、Phはフェニルであり、かっこの外側の下付き数字は、モル分率を意味し、下付き文字nは、シリコーン樹脂が500〜100,000の数平均分子量を有するような値を有する。前記の式中の単位の配列は、多少なりとも本発明の範囲を限定するように考察されないべきである。
【0067】
上記したように、式VIで示されるゲルマノシロキサン樹脂は、典型的には、約500〜約100,000の数平均分子量(Mn)を有する。あるいは、このようなシリコーン樹脂は、約500〜約10,000のMn、あるいは約1,000〜約6,000のMnを有していてもよく、ここでこの分子量は、低角レーザー光散乱検出器、または、屈折率検出器、および、シリコーン樹脂(MQ)標準を用いるゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。
【0068】
式VIで示される縮合硬化性ゲルマノシロキサン樹脂は、有機溶媒中で、好ましくは、一般的に加水分解反応によって生成した酸性副産物を中和するのに十分な塩基の存在下で、加水分解性シランとゲルマン前駆体との適切な混合物を共加水分解することによって製造することができる。より一般的に使用される加水分解性の前駆体は、クロロシラン前駆体である。例えば、RSiO3/2単位、R’GeO3/2単位、および、RSiO1/2単位を含むゲルマノシロキサンポリマー樹脂は、石油エーテルのような有機溶媒中で、NaOHの存在下で、前駆体RSiCl、R’GeCl、および、RSiClを共加水分解することによって製造することができる。当業者であれば認識しているものと予想されるが、シロキサンおよびゲルマノキサン単位の望ましい分布/構造/構成を有する樹脂のネットワークを確実に成長させるために、クロロシランおよびクロロゲルマンの加水分解反応の反応速度の差を考慮に入れる必要がある。また、ヒドロシリル化硬化性樹脂のケースにおいて上述した反応のような「粘性を高める」反応を、有機溶媒中で、縮合触媒の非存在下または存在下で、縮合硬化性ゲルマノシロキサン樹脂の加水分解物を用いて行うこともできる。
【0069】
縮合触媒の例としては、これらに限定されないが、アミン、および、鉛、スズ、亜鉛および鉄のカルボン酸との錯体が挙げられる。具体的には、縮合触媒は、スズ(II)およびスズ(IV)化合物、例えばジラウリン酸スズ、ジオクタン酸スズ、および、テトラブチルスズ;および、チタン化合物、例えばチタンテトラブトキシドから選択することができる。典型的には、これらの触媒は低濃度で用いられ、例えば約0.01〜約10%で用いられる。
【0070】
上記したように、縮合硬化性ゲルマノシロキサン樹脂は架橋剤をさらに含んでいてもよい。架橋剤は、式(RSiX4−qで示されるものでもよく、式中Rは、C〜Cヒドロカルビル、または、C〜Cハロゲンで置換されたヒドロカルビルであり、Xは、加水分解性の基であり、qは、0または1である。Rで示されるヒドロカルビルおよびハロゲンで置換されたヒドロカルビル基、および、Xで示される加水分解性の基は上述した通りであり、上記で例示されたものが挙げられる。また架橋剤は、式(R’)GeX4−qで示されるものでもよく、式中R’は上記のRと同様である。架橋剤の具体的な例としては、これらに限定されないが、アルコキシシランまたはアルコキシゲルマンが挙げられ、例えばMeSi(OCH、(CHCHGe(OCHCH、Ge(OCHCH、Ge(OCH、CSi(OCHである。
【0071】
架橋剤は、1種またはそれ以上のシラン、1種またはそれ以上のゲルマン、または、 それらの組み合わせであり得る。
架橋剤が存在する場合、縮合硬化性ゲルマノシロキサン樹脂中の架橋剤の濃度は、縮合硬化性樹脂を硬化(架橋)させるのに十分な濃度である。架橋剤の正確な量は、望ましい硬化の程度に依存し、一般的に、ゲルマノシロキサン樹脂中のケイ素(およびゲルマニウム)に結合した水素原子、ヒドロキシ基または加水分解性の基のモル数に対する、架橋剤中のケイ素(およびゲルマニウム)に結合した加水分解性の基のモル数の比率が増加するにつれて増加する。架橋剤の最適な量は、慣例的な実験によって容易に決定することができる。
【0072】
さらにその他の実施態様において、式VIで説明されているゲルマノシロキサン樹脂は、フリーラジカル硬化性のゲルマノシロキサン樹脂であってもよい。フリーラジカル硬化性のゲルマノシロキサン樹脂の例としては、これらに限定されないが、過酸化物硬化性のゲルマノシロキサン樹脂、フリーラジカル光開始剤を含む放射線硬化性のゲルマノシロキサン樹脂、および、高エネルギー放射線硬化性のゲルマノシロキサン樹脂が挙げられる。典型的には、フリーラジカル硬化性のゲルマノシロキサン樹脂は、ゲルマノシロキサン樹脂、および、任意に架橋剤、および/または、フリーラジカル開始剤(例えば、フリーラジカル光開始剤、または、有機過酸化物)を含む。
【0073】
このようなゲルマノシロキサン樹脂は、以下から選択される少なくとも1つの方法で硬化(すなわち架橋)が可能なあらゆるゲルマノシロキサン樹脂であり得る:(i)ゲルマノシロキサン樹脂に、フリーラジカル光開始剤の存在下で約200〜約800nmの波長を有する放射線を照射すること、(ii)有機過酸化物の存在下でゲルマノシロキサン樹脂を加熱すること、および、(iii)ゲルマノシロキサン樹脂に電子ビームを照射すること。このようなゲルマノシロキサン樹脂は、典型的には、T単位および/またはQ単位を、Mおよび/またはD単位と組み合わせて含むポリマーである。
【0074】
例えば、式VIで説明されているゲルマノシロキサン樹脂は、アルケニル、または、アルキニル基を含んでいてもよい。アルケニル基は、RおよびR’基に関して上述したものと同じものが可能であり、アルキニル基は、同一でもよいし、または異なっていてもよく、典型的には、2〜約10個の炭素原子、あるいは、2〜6個の炭素原子を有し、例として、これらに限定されないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ヘキシニル、および、オクチニルが挙げられる。
【0075】
フリーラジカル開始剤は、典型的には、フリーラジカル光開始剤、または、有機過酸化物である。さらにフリーラジカル光開始剤は、約200〜約800nmの波長を有する放射線を照射することによってゲルマノシロキサン樹脂の硬化(架橋)を開始させることができるあらゆるフリーラジカル光開始剤であり得る。フリーラジカル光開始剤の例としては、これらに限定されないが、ベンゾフェノン、ハロゲン化ベンゾフェノン、および、アセトフェノンが挙げられる。またフリーラジカル光開始剤は、ポリシランであってもよく、例えばフェニルメチルポリシランである。フリーラジカル光開始剤は、1種類のフリーラジカル光開始剤でもよいし、または、2種またはそれ以上の異なるフリーラジカル光開始剤を含む混合物でもよい。フリーラジカル光開始剤の濃度は、ゲルマノシロキサン樹脂の重量に基づいて、典型的には0.1〜6%(w/w)であり、あるいは1〜3%(w/w)である。
【0076】
またフリーラジカル開始剤は、有機過酸化物であってもよい。有機過酸化物の例としては、これらに限定されないが、過酸化ジアロイル、例えば過酸化ジベンゾイル、過酸化ジ−p−クロロベンゾイル、および、過酸化ビス−2,4−ジクロロベンゾイル;過酸化ジアルキル、例えば過酸化ジ−t−ブチル、および、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン;過酸化ジアラルキル、例えば過酸化ジクミル;過酸化アルキルアラルキル、例えば過酸化t−ブチルクミル、および、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン;および、過酸化アルキルアロイル、例えば過安息香酸t−ブチル、過酢酸t−ブチル、および、過オクタン酸t−ブチルが挙げられる。有機過酸化物は、1種類の過酸化物でもよいし、または、2種またはそれ以上の異なる有機過酸化物を含む混合物でもよい。有機過酸化物の濃度は、ゲルマノシロキサン樹脂の重量に基づいて、典型的には約0.1〜約5%(w/w)であり、あるいは約0.2〜約2%(w/w)である。
【0077】
硬化が完了したら、縮合による硬化またはフリーラジカルによる硬化のいずれにおいても、例えばゲル、コーティング、フィルム(フリースタンディング、または、基板上に)、薄いプレート、ファイバー等のゲルマノシロキサン化合物を生産することができる。
【0078】
場合によっては、これらは、類似のシロキサン材料と比較して改善された特性を1種またはそれ以上有している可能性があり、このような特性としては、例えば改善された機械特性、改善された硬度、改善された反応性、極性溶媒中での改善された溶解性、または、より高い屈折率が挙げられる。ゲルマノシロキサンの特性は、主として、シロキサンおよびゲルマノキサン単位の化学量論、それらのポリマー内の相対的な配置(分布)、ケイ素およびゲルマニウム核上のオルガノ官能基、ゲルマノシロキサンポリマーの分子量、および、ゲルマノシロキサンポリマーの構造に依存する。
【0079】
ゲルマノシロキサンの屈折率は、シロキサンの屈折率よりも高い。屈折率の改善は、ゲルマノシロキサンポリマー中のオルガノゲルマニウムのオキソ単位の数、および、ポリマーの密度(所定の分子量を有するポリマーに関して)に関する。一般的に、その他のあらゆる条件が同じであれば、生成物の密度が高くなると、比例的に屈折率も高くなると予想される。
【0080】
上述のゲルマノシロキサンポリマーは、それらの硬化前、加水分解物および硬化された形態で、複合型の調合物および系中のマトリックスとして用いることができる。これらは、必要に応じて充填剤(不連続および連続)を含んでいてもよい。適切な充填剤としては、これらに限定されないが、シリカ、もしくはアルミナ、もしくはチタニアのような粒子、または、ガラス繊維、もしくは炭素繊維のような長繊維が挙げられる。本ゲルマノシロキサンポリマーのシロキサン類似体と比較して改善された特性を、不連続相(すなわち充填剤)の特性と合わせると、光学および機械特性のような改善された特性を有する材料を生産することができる。当業者であれば認識しているものと予想されるが、調合物および複合材料の製造中に起こる加工上の問題が存在する可能性がある。複合材料のゲルマノシロキサンは、フィルム、モノリス、ファイバー(不連続および連続)、および、薄いプレートのような改善された硬度および光学特性を有するコーティングとして有用な可能性がある。
【0081】
貯蔵寿命、硬化時間および硬化温度を調節するのに用いることができるその他の任意の成分としては、阻害剤として知られているものが挙げられ、これは当業者によく知られている。これらの化合物は、典型的には、それらの形成定数に基づいて触媒系と錯体を形成し、効果的にヒドロシリル化の主要な反応と競合させることができる。有効な阻害剤として機能できる適切な化合物は、一般的に、リン、酸素、硫黄またはアミノ基を含むものである。例としては、多くのものなかでも、トリエチルアミン、トリフェニルホスフィン、ジメチルスルホキシド、酢酸ブチルが挙げられる。
【0082】
合成された液状ポリマー中には水素が存在する。ここで水素含量は、予想される分子構造に関連する。しかしながら、このような材料が硬化されてゲル、フィルムまたは同種のものを形成すると、その構造は程度の差はあるが無定形である。水素含量は、元のポリマーに等しいか、または、元のポリマーよりも減少すると予想される。
【0083】
本発明の一実施態様は、実験式:SiGe(式中w+x+y+z=1;0.5y<w+x<1.5y;および、0.1y<w+x<6zである)で示されるゲルマノシロキサン化合物である。
【0084】
本ゲルマノシロキサン化合物は、0〜50原子パーセントの水素を含む様々な物品に製造することができ、このような物品としては、これらに限定されないが、ゲル、コーティング、フィルム(フリースタンディング、または、基板上に)、薄いプレート、および、ファイバーが挙げられる。
【0085】
以下に、共加水分解反応の一実施態様を示す。ジメチルゲルマニウム塩化物を、ジメチルケイ素塩化物と反応させ、ゲルマノシロキサンを形成する。
【0086】
【化6】

【0087】
以下に、開環重合反応の一実施態様を示す。
【0088】
【化7】

【実施例】
【0089】
実施例1−MeGeClおよびMeSiClの共加水分解
三首の丸底フラスコに、撹拌子、コンデンサー、温度計、および、追加の漏斗を備え付けた。加水分解が完了したら、水を添加して、HCl濃度を18重量%にした。この系にNaOHをHClを中和するモル量で添加した。6.98g(0.175mol)の量のNaOHを、29.0g(1.61mol)の脱イオン水に溶解させ、室温に冷却した。この水溶液に5.6g(0.043mol)のMeSiClを滴下した。29.0g(0.31mol)の量のトルエンを添加した。続いてこの2相系に、7.5g(0.043mol)のMeGeClを滴下した。MeGeCl添加後のpHは約4.0であり、望ましい値よりもわずかに酸性寄りであった。MeGeCl添加が完了した後に、この反応混合物を2時間撹拌した。この2相を分液漏斗を用いて分離した。トルエン相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。
【0090】
トルエン相を、シリコンウェーハ上にスピンコーティングした。2つのサンプルを作製した。第一のサンプルを、0.45μmのワットマン(Whatman)フィルターに通過させてろ過し、1000rpmで15秒スピンコーティングした。第二のサンプルを、0.20μmのワットマンフィルターに通過させてろ過し、1000rpmで10秒スピンコーティングした。両方のウェーハ上にコーティングが観察されたが、低品質であった。これらのサンプルは、600nmで1.45〜1.50のRI値を示したが、これは、標準的なシロキサン材料をそれほど超えるものではない。これは、ウェーハ上でのゲルマニウム含量が低いことによる可能性が高い。これは、低いコーティング品質、または、スピンコーティング工程中のゲルマニウム化学種の損失が原因である可能性がある。
【0091】
実施例2−MeGeClおよびMeSiClの共加水分解
A.25モル%のMeGeCl/75モル%のMeSiCl
250mLの丸底フラスコに、温度計、コンデンサー、添加漏斗、機械式撹拌器、および、加熱マントルを備え付けた。9.26gの量のNaOHを9.40gの脱イオン水に溶解させ、反応フラスコに添加し、これを氷槽中に置いて、溶液を10℃に冷却した。このNaOH溶液に、約12mLのMeSiClを滴下した。この反応液を冷却し、この反応液に約5gのMeGeClを滴下した。約27mLの石油エーテルを添加した。この反応液を35〜45℃で4時間還流した。反応生成物をろ過して、残留したNaClを除去した。水相と有機相とを分離した。水相を石油エーテルで洗浄した。有機相をCaSOで乾燥させた。N流下で石油エーテル相を乾燥させることにより、生成物を得た。最終産物は粘性の液体であった。
【0092】
B.50モル%のMeGeCl/50モル%のMeSiCl
250mLの丸底フラスコに、温度計、コンデンサー、添加漏斗、機械式撹拌器、および、加熱マントルを備え付けた。9.37gの量のNaOHを9.63gの脱イオン水に溶解させ、反応フラスコに添加し、これを氷槽中に置いて、溶液を10℃に冷却した。続いてこの溶液に7.4mLのMeSiClを滴下し、この溶液を10℃に冷却した。3.39gの量のNaOHを5.01gの水に溶解させ、反応液に添加した。MeGeClを添加する前に、これを行って反応溶液を塩基性にした。この反応液に、10mLの量のMeGeClを滴下した。この反応液を10℃に冷却し、約37mLの石油エーテルを添加した。この反応液を45〜55℃で4時間還流した。反応生成物をろ過して、残留したNaClを除去した。石油エーテルを用いてフラスコをリンスし、続いて水相と一緒に分液漏斗に注入した。水相と有機相とを分離した。水相を石油エーテルで洗浄した。石油エーテル相を硫酸カルシウムで一晩乾燥させた。N流下で石油エーテル相を乾燥させることにより、生成物を得た。最終産物は、液体と結晶様の沈殿との混合物であった。
【0093】
C.75モル%のMeGeCl/25モル%のMeSiCl
250mLの丸底フラスコに、温度計、コンデンサー、添加漏斗、機械式撹拌器、および、加熱マントルを備え付けた。6.22gの量のNaOHを6.72gの脱イオン水に溶解させた。丸底フラスコに氷槽を付けた。NaOH/水溶液を約10℃に冷却し、この反応液に2.5mLのMeSiClを滴下した。この反応液を約10℃に冷却した。丸底フラスコに10mLの量のMeGeClを滴下した。この溶液を冷却して10℃に戻し、20mLの石油エーテルを添加した。この反応を約40℃で4時間還流した。反応生成物をろ過して、残留したNaClを除去した。水相と有機相とを分離した。水相を石油エーテルで洗浄した。有機相をCaSOで乾燥させた。N流下で石油エーテル相を乾燥させることにより、生成物を得た。最終産物の大部分が多少の液体を含む結晶であった。
【0094】
D.50モル%のMeGeCl/50モル%のMeSiClの同時の加水分解
250mLの丸底フラスコに、温度計、コンデンサー、添加漏斗、機械式撹拌器、および、加熱マントルを備え付けた。9.21gの量のNaOHを10.77gの脱イオン水に溶解させた。丸底フラスコに氷槽を付けた。NaOH/水溶液を約15℃に冷却した。10gの量のMeGeCl、および、7mLのMeSiClを添加漏斗中で一緒に混合した。続いて反応液に、この混合物を滴下した。続いて37mLの石油エーテルを反応液に添加した。添加が完了したら、氷槽を取り除き、この反応液を約40℃で4時間還流した。反応生成物をろ過して、残留したNaClを除去した。水相と有機相とを分離した。有機相をMgSOで乾燥させた。N流下で石油エーテル相を乾燥させることにより、生成物を得た。最終産物は、多少の結晶/沈殿を含む液体であった。
【0095】
GC−MS、IR、GPCおよびNMRを用いて生成物を解析した。これらの試験から、シロキサン、ゲルモキサンおよびゲルマノシロキサン化学種の混合物が存在することが示された。様々なゲルマニウムレベルで形成された化学種間にほとんど差はなかった。共加水分解法により、低分子量の化学種が高い比率で生産され、そのうちの多くが環状であった。
【0096】
表1に、合成されたポリマーの要約を示す。
【0097】
【表1】

【0098】
実施例3−開環重合
(MeGeO)を以下のようにして作製した。100mLの丸底フラスコに、温度計、コンデンサー、添加漏斗、磁気式の撹拌棒、および、加熱マントルを備え付けた。8.99gの量のNaOHを9.14gの脱イオン水に溶解させた。丸底フラスコに氷槽を付けた。20gの量のMeGeClを40分間かけて滴下した。続いて、28mLの石油エーテルを添加した。MeGeClおよび石油エーテルの添加中の温度は約10〜20℃であった。この反応混合物を約4時間還流した。反応液が十分に混合されたことが観察された。水相と有機相とを分液漏斗を用いて分離した。水相を30mLの石油エーテルで4回洗浄した。分液漏斗の壁上にゲル様の液滴が観察された。石油エーテル相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、生成物をN流下で再結晶させた。最終産物は、白色の結晶質の物質であった。
【0099】
A.345フルイド[(MeSiO)4,5,6]+(MeGeO)の開環重合
50mLの丸底フラスコに、窒素パージ、温度計、コンデンサー、添加漏斗、磁気式の撹拌棒、および、加熱マントルを備え付けた。このフラスコに、1.32gの量の(MeGeO)、9.02gのダウ・コーニング(Dow Corning)(登録商標)345フルイド(345 Fluid)、および、0.43gのカリウムトリメチルシラノレートを添加し、撹拌した。この反応液を加熱し、65℃で全ての成分を溶解させて溶液にした。熱を約130℃に高め、この反応液を2時間撹拌した。粘度の増加が観察された。pHが約6になるまで酢酸を滴下した(フィッシャー・ショート・レンジ・アルカシッドpHペーパー(Fisher Short Range Alkacid pH paper)で試験したところ、pH6.0〜8.5であった)。酢酸添加後に白色の沈殿が形成された。このサンプルを遠心分離し、ろ過して沈殿を除去した。
【0100】
B.PDMS+(MeGeO)の開環
ポリジメチルシロキサン(PDMS)をMeSiClの標準的な加水分解によって生産した。20gのMeSiClを57.55gのHOに滴下し、約7時間反応させた。pHが中性になるまで生成物を水で洗浄した。
【0101】
50mLの丸底フラスコに、窒素パージ、温度計、コンデンサー、添加漏斗、磁気式の撹拌棒、および、加熱マントルを備え付けた。このフラスコに、3.195gの量のPDMS、0.77gの(MeGeO)、および、0.0230gのカリウムトリメチルシラノレートを添加し、撹拌した。この反応混合物は、極めて粘性となり、撹拌が困難であった。ダウ・コーニング(登録商標)345フルイド(1.55g)を添加して溶液を希釈し、撹拌を改善した。反応液を2時間で130℃に加熱した。溶液が高粘度であったため、反応中十分に撹拌することが困難であった。pHが約6になるまで酢酸を滴下した(フィッシャー・ショート・レンジ・アルカシッドpHペーパーで試験したところ、pH6.0〜8.5であった)。酢酸添加後に白色の沈殿が形成された。最終産物は、高粘性の流体であった。このサンプルはろ過しなかった。
【0102】
表2に、ポリマーの要約を示す。
【0103】
【表2】

【0104】
2種のゲルマノシロキサンポリマーを、スピンコーティングによって直径100mmのSi<100>ウェーハに塗布した。一方のポリマーは、34%Ge/66%Siであり、他方は、46%Ge/54%Siであった。これらのポリマーをトルエンと混合し、それぞれ49.5重量%および46.9重量%の溶液を形成した。ケム・マット・テクノロジー(Chem Mat Technology)のスピンコーターKW−4Aを1000rpmで30秒用いて、各サンプルをスピンコーティングした。この溶液を、0.2μmのワットマンフィルターに通過させてろ過した。空気中で、300℃に設定された熱いプレート上でサンプルを1分間加熱した。
【0105】
全ての屈折率試験は、分光エリプソメーターで、波長範囲200〜1000nmを用いて、75度の入射角で行われた。コーシーの分散モデルを用いてエリプソメーターのデータを数学的にフィッティングし、波長の指標に対するフィルム厚さおよび屈折率を抽出した。屈折率は波長に伴って減少しており、これは誘電材料に特徴的である。フィルムの吸光係数は、波長400〜1000nmの値での系の検出限界か、またはそれより低かったが、これは、そのフィルムが可視光中で透明であることを示す。
【0106】
フィルム組成を、ラザフォード後方散乱分光法によって決定した。
表3に、ウェーハ表面上の5ポイントで測定した平均のフィルム厚さ、基準のフィルムの元素組成、および、平均の屈折率を示す。ウェーハ上のフィルム厚さは、ウェーハ表面の全幅にわたり20%変化した。フィルムごとに報告されている屈折率(RI)値は、波長632nmでの値である。フィルムの屈折率は、ウェーハ表面の全幅にわたり6%変化した。
【0107】
【表3】

【0108】
水および有機溶媒中での数種のゲルマノシロキサンの溶解性を評価した。溶媒中に上記材料を入れ、激しく振盪した。振盪後に、および、サンプルを1日そのままにした後に、観察を行った。1相の溶液になった場合は、サンプルが所定の溶媒中で可溶性であることを示す。溶媒中に液体サンプルを放置して、観察された量が元の添加した量よりも少ない場合、そのサンプルは部分的に可溶性であるとみなした。サンプルを溶媒に添加した際に、溶媒が曇ってサンプル量が減少した場合、その材料は部分的に可溶性であるとみなした。サンプルを溶媒に添加した際に、いずれも不変のまま場合、それらは可溶性ではないとみなした。表4に結果を示す。
【0109】
【表4】

【0110】
シロキサン鎖へのゲルマニウム化学種の添加は、比較的高いゲルマニウム含量でポリマーの溶解性に影響を与えた。最も興味深いことは、ゲルマニウム含量を増加させることによりシロキサンの水溶性を調節することができることである。
【0111】
本発明を説明するために所定の代表的な実施態様および詳細を示したが、当業者には明らかであろうが、添付の請求項で定義された本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書において開示された組成および方法の様々な変化を施すことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロ元素を含むシロキサン化合物で作製された物品であって、該物品は、約1.5より大きい屈折率を有し、該物品は、0〜50原子パーセントの水素を含み、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサン化合物は、Si、O、CおよびMを含むヘテロ元素を含むシロキサンポリマーで作製され、ここでMは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサン化合物は、実験式:Siで示され、ここでMは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;w+x+y+z=1;0.5y<w+x<1.5y;および、0.1y<w+x<6zである、上記物品。
【請求項2】
前記ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーが:
(RSiO)(RMO)
[式中R、R、RおよびRは、独立して、C〜C10ヒドロカルビル基、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、水素、または、アルケニル基から選択され;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;mおよびnは、1より大きい整数であるか、または、1であり;および、n+mの合計は、48未満であり;および、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーは、環状構造を有する];
または、
ZO−(RSiO)(RMO)−ZR
[式中R、R、RおよびRは、独立して、C〜C10ヒドロカルビル基、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、水素、または、アルケニル基から選択され;R、RおよびRは、独立して、R、R、RおよびR、または、水酸化物から選択され;Zは、独立して、SiまたはMから選択され;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;mおよびnは、1より大きい整数であるか、または、1である、および、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーは、直鎖状構造を有する];
または、
X−(RSi−O)−(RM−O)−X’
[式中R、R、RおよびRは、独立して、C〜C10ヒドロカルビル基、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、水素、または、アルケニル基から選択され;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;XおよびX’は、ハロゲン化物、水酸化物、および、アルコキシドから選択され;mおよびnは正の整数であり、ここでn+mは3より大きく;および、n/(n+m)は、0.60より大きい];
または、
−(RSiO)(RMO)(RZO)
[式中R、R、RおよびRは、独立して、C〜C10ヒドロカルビル基、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、水素、または、アルケニル基から選択され;および、RおよびRの少なくとも一方は、ヒドリド、または、アリールもしくは置換されたアリール基であり;Zは、独立して、MまたはSiから選択され;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;n、mおよびpは正の整数であり、ここでn+m>3であり、n/n+m+pは0.01〜0.99の範囲であり、および、p≧1である];
または、
−(RSiO)(RMO)(R10ZO3/2
[式中R、R、R、RおよびR10は、独立して、C〜C10ヒドロカルビル基、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、水素、または、アルケニル基から選択され;Zは、独立して、MまたはSiから選択され;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;m、nおよびqは正の整数であり;m+n+qは、4より大きく;および、qは、分岐点の数である];
または、
[(RSiO1/2(R’R’R’MO1/2(RSiO)(R’R’MO)(RSiO3/2(R’MO3/2(SiO4/2(MO4/2
[式中RおよびR’は、独立して、脂肪族不飽和を含まないC〜C10ヒドロカルビル基、または、脂肪族不飽和を含まないハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基から選択され;RおよびR’は、独立して、R、R’、アルケニル基、または、水素であり;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;および、w、v、y、x、z、r、s、tは、加水分解性の前駆体の量によって予め決定されたモル分率であり、v、x、rまたはtの少なくとも1つは、ゼロではない]
を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記物品が、約1.7〜約2.8の屈折率を有する、請求項1または2に記載の物品。
【請求項4】
Mが、Geである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーの製造方法であって、該方法は:
式RSiX’、および、RMX''で示される前駆体[式中R、R、RおよびRは、独立して、C〜C10ヒドロカルビル基、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、水素、または、アルケニル基から選択され;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;および、X’、および、X''は、独立して、ハロゲン、および、アルコキシ基から選択される]を溶媒系中で加水分解して、縮合し、式:
(RSiO)(RMO)
[式中mおよびnは、1より大きい整数であるか、または、1であり;および、n+mの合計は、48未満である]
で示される環状構造を形成すること、
を含む、上記方法。
【請求項6】
前記溶媒系が、非極性有機溶媒、および、水相を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記非極性有機溶媒が、トルエン、ベンゼン、ヘプタン、石油エーテル、および、それらの組み合わせから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記前駆体が、塩基性条件下で加水分解され、縮合される、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記前駆体が、同時に添加される、請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記前駆体が、連続的に添加される、請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
MX''前駆体が加水分解される前に、前記RSiX’前駆体が加水分解される、請求項5〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
X’およびX''がハロゲンであり、ここで該ハロゲン化物前駆体は、RSiOHおよびRMOHに加水分解され、さらに加水分解および縮合されて前記環状構造を形成する、請求項5〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーを硬化することをさらに含む、請求項5〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーの製造方法であって、該方法は:
式:
(RSiO)(RMO)
[式中R、R、RおよびRは、独立して、C〜C10ヒドロカルビル基、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、水素、または、アルケニル基から選択され;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;mおよびnは、1より大きい整数であるか、または、1であり;および、n+mの合計は、48未満である]
で示される環状構造を提供すること;
溶媒系中で、触媒の存在下で、該環状構造を反応させて、式:
P−(RSiO)(RMO)−P’
[式中PおよびP’は、X、または、末端をブロックする基から選択され、Xは、独立して、ハロゲン化物、水酸化物、または、アルコキシドから選択される、および、mおよびnは、1より大きい整数であるか、または、1である]
で示される直鎖状構造を形成すること、
を含む、上記方法。
【請求項15】
式中PおよびP’は、末端をブロックする基であり、ここで前記環状構造は、RZX、RZ−O−ZR[式中R、RおよびRは、独立して、R、R、RおよびR、または、水酸化物から選択され;Xは、ハロゲン化物、アルコキシド、または、水酸化物から選択され;および、Zは、独立して、SiまたはMから選択される]、または、それらの組み合わせから選択される末端をブロックする前駆体と反応し、直鎖状構造:
ZO−(RSiO)(RMO)−ZR
[式中mおよびnは、1より大きい整数であるか、または、1である]
を形成する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記環状構造が、酸性または塩基性条件下で反応する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記環状構造が、式RSiX’、および、RMX’’で示される前駆体[式中R、R、RおよびRは、独立して、C〜C10ヒドロカルビル基、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、水素、または、アルケニル基から選択され;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;および、X’、および、X’’は、独立して、ハロゲン、および、アルコキシ基から選択される]を、溶媒系中で加水分解および縮合することによって形成される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記環状構造を、式(RZO)で示される前駆体[式中RおよびRの少なくとも一方は、ヒドリド、または、アリールもしくは置換されたアリール基である]と反応させ、式:
P−(RSiO)(RMO)(RZO)−P’
[式中PおよびP’は、X、または、末端をブロックする基から選択され、Xは、独立して、ハロゲン化物、水酸化物、または、アルコキシドから選択され、Zは、独立して、SiまたはMから選択され;および、n、mおよびpは正の整数であり、ここでn+m>3であり、n/n+m+pは0.01〜0.99の範囲であり、および、p≧1である]
で示される直鎖状構造を形成することをさらに含む、請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記環状構造を、式R10ZX[式中R10は、アルキル、アルケニル、官能化したアルキル、または、官能化したアルケニル基から選択され、Xは、ハロゲン、水酸化物基、または、アルコキシ基であり、Zは、SiおよびMから選択される]で示される前駆体と反応させて、式:
P−(RSiO)(RMO)(R10ZO3/2−P’
[式中PおよびP’は、X、または、末端をブロックする基から選択され;Xは、独立して、ハロゲン化物、水酸化物、または、アルコキシドから選択され;Zは、独立して、SiまたはMから選択され;qは、正の整数であり;および、m+n+qは、4より大きい]
で示される直鎖状構造を形成することをさらに含む、請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーの製造方法であって、該方法は、溶媒系中で、触媒の存在下で、環状(RSiO)化合物、および、環状(RMO)化合物を反応させて、式:
P−(RSiO)(RMO)−P’
[式中R、R、RおよびRは、独立して、アルキル、アルケニル、官能化したアルキル、または、官能化したアルケニル基から選択され;PおよびP’は、X、または、末端をブロックする基から選択され;Xは、独立して、ハロゲン化物、水酸化物、および、アルコキシドから選択され;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;および、mおよびnは、1より大きい整数であるか、または、1である]
で示される直鎖状構造を形成することを含む、上記方法。
【請求項21】
PおよびP’が末端をブロックする基であり、ここで前記環状化合物は、RZX、RZ−O−ZR、または、それらの組み合わせから選択される末端をブロックする前駆体と反応し、ここで式中R、RおよびRは、独立して、R、R、RおよびR、または、水酸化物から選択され;Xは、ハロゲン化物、アルコキシド、または、水酸化物から選択され;および、Zは、独立して、SiまたはMから選択され、直鎖状構造:
ZO−(RSiO)(RMO)−ZR
[式中mおよびnは、1より大きい整数であるか、または、1である]
を形成する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記環状化合物が、酸性または塩基性条件下で反応する、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記環状化合物を、式(RZO)で示される前駆体[式中RおよびRの少なくとも一方は、ヒドリド、または、アリールもしくは置換されたアリール基である]と反応させ、式:
P−(RSiO)(RMO)(RZO)−P’
[式中PおよびP’は、X、または、末端をブロックする基から選択され、Xは、独立して、ハロゲン化物、水酸化物、または、アルコキシドから選択され、Zは、独立して、SiまたはMから選択され;および、n、mおよびpは正の整数であり、ここでn+m>3であり、n/n+m+pは0.01〜0.99の範囲であり、および、p≧1である]
で示される直鎖状構造を形成することをさらに含む、請求項20〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記環状化合物を、式R10ZXで示される前駆体[式中R10は、アルキル、アルケニル、官能化したアルキル、または、官能化したアルケニル基から選択され、Xは、ハロゲン、水酸化物基、または、アルコキシ基であり、Zは、SiおよびMから選択される]と反応させて、式:
P−(RSiO)(RMO)(R10ZO3/2−P’
[式中PおよびP’は、X、または、末端をブロックする基から選択され;Xは、独立して、ハロゲン化物、水酸化物、または、アルコキシドから選択され;Zは、独立して、SiまたはMから選択され;qは、正の整数であり;および、m+n+qは、4より大きい]
で示される直鎖状構造を形成することをさらに含む、請求項20〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーの製造方法であって、該方法は、
式X−(SiRO)−SiRX’で示される直鎖状ポリシロキサン前駆体[式中RおよびRは、独立して、アルキル、アルケニル、官能化したアルキル、または、官能化したアルケニル基から選択され、XおよびX’は、独立して、ハロゲン化物、水酸化物、および、アルコキシドから選択され、zは、1より大きい整数であるか、または、1である]を、
MX[式中RおよびRは、独立して、アルキル、アルケニル、官能化したアルキル、または、官能化したアルケニル基から選択され、Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり、Xは、ハロゲン化物、水酸化物、および、アルコキシドから選択される]、または、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族からの元素を含む環状有機化合物から選択される第二の前駆体と溶媒系の存在下で反応させ;
式:
P−(RSiO)(RMO)−P’
[式中PおよびP’は、X、または、末端をブロックする基から選択され;Xは、ハロゲン化物、水酸化物、および、アルコキシドから選択され;および、mおよびnは、1より大きい整数であるか、または、1である]
で示される直鎖状構造を形成すること、
を含む、上記方法。
【請求項26】
Pが、末端をブロックする基であり、ここで前記直鎖状ポリシロキサン前駆体および第二の前駆体は、RZX、RZ−O−ZR、または、それらの組み合わせから選択される末端をブロックする前駆体[式中R、RおよびRは、独立して、R、R、RおよびR、または、水酸化物から選択され;Xは、ハロゲン化物、アルコキシド、または、水酸化物から選択され;および、Zは、独立して、SiまたはMから選択され]と反応し、直鎖状構造:
ZO−(RSiO)(RMO)−ZR
[式中mおよびnは、1より大きい整数であるか、または、1である]
を形成する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記直鎖状ポリシロキサン前駆体が、酸性または塩基性条件下で反応する、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記直鎖状ポリシロキサン前駆体および第二の前駆体を、式(RZO)で示される前駆体[式中RおよびRの少なくとも一方は、ヒドリド、または、アリールもしくは置換されたアリール基である]と反応させ、
式:
P−(RSiO)(RMO)(RZO)−P’
[式中PおよびP’は、X、または、末端をブロックする基から選択され、Xは、独立して、ハロゲン化物、水酸化物、または、アルコキシドから選択され、Zは、独立して、SiまたはMから選択され;および、n、mおよびpは正の整数であり、ここでn+m>3であり、n/n+m+pは0.01〜0.99の範囲であり、および、p≧1である]
で示される直鎖状構造を形成することをさらに含む、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記直鎖状ポリシロキサン前駆体および第二の前駆体を、式R10ZXで示される前駆体[式中R10は、アルキル、アルケニル、官能化したアルキル、または、官能化したアルケニル基から選択され、Xは、ハロゲン、水酸化物基、または、アルコキシ基であり、Zは、SiおよびMから選択される]と反応させ、式:
P−(RSiO)(RMO)(R10ZO3/2−P’
[式中PおよびP’は、X、または、末端をブロックする基から選択され;Xは、独立して、ハロゲン化物、水酸化物、または、アルコキシドから選択される;Zは、独立して、SiまたはMから選択され;qは、正の整数であり;および、m+n+qは、4より大きい]
で示される直鎖状構造を形成することをさらに含む、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記触媒が、酸触媒、塩基性触媒、酸触媒の塩、塩基性触媒の塩、または、それらの組み合わせから選択される、請求項14〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記溶媒系が、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、クロロメタン、トリクロロエタン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、石油エーテル、n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルイソブチルケトン、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、または、それらの組み合わせから選択される、請求項14〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーを硬化することをさらに含む、請求項14〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーの製造方法であって、該方法は:
1種またはそれ以上のRSiO3/2前駆体、R’MO3/2前駆体、SiO4/2前駆体、および、MO4/2前駆体を、1種またはそれ以上のRSiO1/2前駆体、R’R’R’MO1/2前駆体、RSiO前駆体、および、R’R’MO前駆体[式中RおよびR’は、独立して、脂肪族不飽和を含まないC〜C10ヒドロカルビル基、または、脂肪族不飽和を含まないハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基から選択され、RおよびR’は、独立して、RまたはR’基、アルケニル基、または、水素から選択され;および、Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族の金属から選択される元素である]と反応させ、
式:
[(RSiO1/2(R’R’R’MO1/2(RSiO)(R’R’MO)(RSiO3/2(R’MO3/2(SiO4/2(MO4/2
[式中w、v、y、x、z、r、s、tは、加水分解性の前駆体の量によって予め決定されたモル分率であり、v、x、rまたはtの少なくとも1つは、ゼロではない]
で示される樹脂を形成すること、
を含む、上記方法。
【請求項34】
溶媒をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記溶媒が、飽和脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、環状エーテル、ケトン、ハロゲン化アルカン、ハロゲン化芳香族炭化水素、および、それらの組み合わせから選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ヒドロシリル化架橋剤をさらに含む、請求項33〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ヒドロシリル化架橋剤が、ケイ素に結合した水素原子を有する化合物、Mに結合した水素原子を有する化合物、ケイ素に結合したアルケニル基を有する化合物、Mに結合したアルケニル基を有する化合物、または、それらの組み合わせから選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ヒドロシリル化架橋剤が、オルガノハイドロジェンシラン、オルガノハイドロジェンシロキサン、オルガノハイドロジェンゲルマン、オルガノハイドロジェンゲルモキサン、オルガノハイドロジェンゲルモシラン、オルガノハイドロジェンゲルマノシロキサン、または、それらの組み合わせから選択される、請求項36〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
ヒドロシリル化触媒をさらに含む、請求項33〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記ヒドロシリル化触媒が、白金族金属、白金族金属を含む化合物、または、それらの組み合わせから選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ヒドロシリル化触媒が、担持触媒である、請求項39〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記前駆体が、約0〜約150℃の温度で反応する、請求項33〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
縮合触媒をさらに含む、請求項33〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記縮合触媒が、アミン、および、鉛、スズ、亜鉛および鉄のカルボン酸との錯体から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
縮合架橋剤をさらに含む、請求項33〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記縮合架橋剤が、式(RSiX4−q、または、(R’)MX4−q[式中Rは、C〜Cヒドロカルビル、または、C〜Cのハロゲンで置換されたヒドロカルビルから選択され、Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり、Xは、加水分解性の基であり、qは、0または1である]で示される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記反応が、塩基の存在下で起こる、請求項33〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
フリーラジカル開始剤をさらに含む、請求項33〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記フリーラジカル開始剤が、ベンゾフェノン、ハロゲン化ベンゾフェノン、アセトフェノン、ポリシラン、有機過酸化物、または、それらの組み合わせから選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
炭素、酸素、および、少なくとも2種のIV族/IVB族元素の組み合わせの濃度を制御して、対応するシロキサンポリマーの屈折率よりも高い目的の屈折率を達成することを含む、高分子材料の製造方法。
【請求項51】
ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーであって:
(RSiO)(RMO)
[式中R、R、RおよびRは、独立して、C〜C10ヒドロカルビル基、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、水素、または、アルケニル基から選択され;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;mおよびnは、1より大きい整数であるか、または、1であり;および、n+mの合計は、48未満であり;および、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーは、環状構造を有する]
を含む、上記シロキサンポリマー。
【請求項52】
n+mの合計が、12未満である、請求項51に記載のヘテロ元素を含むシロキサンポリマー。
【請求項53】
、R、RおよびRが、メチル基である、請求項51または52に記載のヘテロ元素を含むシロキサンポリマー。
【請求項54】
(RSiO)および(RMO)単位が、前記環状構造中でランダムに配置されている、請求項51〜53のいずれか一項に記載のヘテロ元素を含むシロキサンポリマー。
【請求項55】
ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーであって、
ZO−(RSiO)(RMO)−ZR
[式中R、R、RおよびRは、独立して、C〜C10ヒドロカルビル基、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、水素、または、アルケニル基から選択され;R、RおよびRは、独立して、R、R、RおよびR、または、水酸化物から選択され;Zは、独立して、SiまたはMから選択され;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;mおよびnは、1より大きい整数であるか、または、1である]
を含み、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーは、直鎖状構造を有する、上記シロキサンポリマー。
【請求項56】
(RSiO)単位が、前記ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーの1〜99モル%を構成し、および、(RMO)単位が、前記ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーの99〜1モル%を構成する、請求項55に記載のヘテロ元素を含むシロキサンポリマー。
【請求項57】
、R、R、R、R、RおよびRが、メチル基である、請求項55または56に記載のヘテロ元素を含むシロキサンポリマー。
【請求項58】
(RSiO)および(RMO)単位が、前記直鎖状構造中でランダムに配置されている、請求項55〜57のいずれか一項に記載のヘテロ元素を含むシロキサンポリマー。
【請求項59】
ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーであって、
X−(RSi−O)−(RM−O)−X’
[式中R、R、RおよびRは、独立して、C〜C10ヒドロカルビル基、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、水素、または、アルケニル基から選択され;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;XおよびX’は、ハロゲン化物、水酸化物、および、アルコキシドから選択され;mおよびnは正の整数であり、ここでn+mは3より大きく;および、n/(n+m)は、0.60より大きい]
を含む、上記シロキサンポリマー。
【請求項60】
ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーであって、
−(RSiO)(RMO)(RZO)
[式中R、R、RおよびRは、独立して、C〜C10ヒドロカルビル基、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、水素、または、アルケニル基から選択され;および、RおよびRの少なくとも一方は、ヒドリド、または、アリールもしくは置換されたアリール基であり;Zは、独立して、MまたはSiから選択され;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;n、mおよびpは正の整数であり、ここでn+m>3であり、n/n+m+pは0.01〜0.99の範囲であり、および、p≧1である]
を含む、上記シロキサンポリマー。
【請求項61】
ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーであって、
−(RSiO)(RMO)(R10ZO3/2
[式中R、R、R、RおよびR10は、独立して、C〜C10ヒドロカルビル基、ハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基、水素、または、アルケニル基から選択され;Zは、独立して、MまたはSiから選択され;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;m、nおよびqは正の整数であり;m+n+qは、4より大きく;および、qは、分岐点の数である]
を含む、上記シロキサンポリマー。
【請求項62】
ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーであって、
[(RSiO1/2(R’R’R’MO1/2(RSiO)(R’R’MO)(RSiO3/2(R’MO3/2(SiO4/2(MO4/2
[式中RおよびR’は、独立して、脂肪族不飽和を含まないC〜C10ヒドロカルビル基、または、脂肪族不飽和を含まないハロゲンで置換されたC〜C10ヒドロカルビル基から選択され;RおよびR’は、独立して、R、R’、アルケニル基、または、水素であり;Mは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;および、w、v、y、x、z、r、s、tは、加水分解性の前駆体の量によって予め決定されたモル分率であり、v、x、rまたはtの少なくとも1つは、ゼロではない]
を含む、上記シロキサンポリマー。
【請求項63】
前記アルケニル基が、2〜10個の炭素原子を有する、請求項62に記載のヘテロ元素を含むシロキサンポリマー。
【請求項64】
前記ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーが、約500〜約100,000の数平均分子量を有する、請求項62または63に記載のヘテロ元素を含むシロキサンポリマー。
【請求項65】
Mが、IVA族、IVB族、または、V、Nb、Ta、Mo、W、Zn、Al、Ga、In、Tlから選択される元素である、請求項51〜64のいずれか一項に記載のヘテロ元素を含むシロキサンポリマー。
【請求項66】
前記ヘテロ元素を含むシロキサンポリマーで作製されたフィルム、コーティングまたはゲルが、約1.7〜2.8の屈折率を有する、請求項51〜65のいずれか一項に記載のヘテロ元素を含むシロキサンポリマー。
【請求項67】
半導体の発光活性を有する素子、レンズ、および、ヘテロ元素を含むシロキサン化合物を含む発光装置であって、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサン化合物は、Si、O、CおよびMを含むヘテロ元素を含むシロキサンポリマーで作製され、ここでMは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサン化合物は、実験式:Siで示され、ここでMは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;w+x+y+z=1;0.5y<w+x<1.5y;および、0.1y<w+x<6zであり、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサン化合物は、装置の光の放出/輸送特性効率を調節するために用いられる、上記装置。
【請求項68】
半導体の発光活性を有する素子、レンズ、および、ヘテロ元素を含むシロキサン化合物を含む発光装置であって、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサン化合物は、Si、O、CおよびMを含むヘテロ元素を含むシロキサンポリマーで作製され、ここでMは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサン化合物は、実験式:Siで示され、ここでMは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;w+x+y+z=1;0.5y<w+x<1.5y;および、0.1y<w+x<6zであり、ここで該装置は、該ヘテロ元素を含むシロキサン化合物でカプセル化される、上記装置。
【請求項69】
ヘテロ元素を含むシロキサン化合物で構成される少なくとも1つの素子で形成された光導波路構造であって、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサン化合物は、Si、O、CおよびMを含むヘテロ元素を含むシロキサンポリマーで作製され、ここでMは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサン化合物は、実験式:Siで示され、ここでMは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;w+x+y+z=1;0.5y<w+x<1.5y;および、0.1y<w+x<6zであり、該ヘテロ元素を含むシロキサン化合物の屈折率を制御することによって光路およびエネルギー損失を制御することができる、上記構造。
【請求項70】
ヘテロ元素を含むシロキサン化合物を含む光ファイバー材料であって、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサン化合物は、Si、O、CおよびMを含むヘテロ元素を含むシロキサンポリマーで作製され、ここでMは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり、ここで該ヘテロ元素を含むシロキサン化合物は、実験式:Siで示され、ここでMは、IIB族、IIIA族、IVA族、IVB族、VB族またはVIB族から選択される元素であり;w+x+y+z=1;0.5y<w+x<1.5y;および、0.1y<w+x<6zである、上記材料。

【公表番号】特表2010−518234(P2010−518234A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549186(P2009−549186)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/052875
【国際公開番号】WO2008/097877
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】