説明

ヘビの捕獲方法並びに捕獲装置

【課題】ハブなどを捕獲する方法並びに装置に関し、例えば1m程度以下の狭い領域に柔軟な網を張っておくだけで捕獲でき、しかも餌を必要とせず、放置しておくだけでヘビを捕獲可能とする。
【解決手段】メッシュ寸法の異なる複数のネットをメッシュ寸法の順に対向状態に吊り下げておくと共に、隣接するネット間に少なくとも80cm間隔で仕切りを設けておき、目の粗いネット側から進入して来たへびが、目の粗いネットから目のより細かいネットに順次進入するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沖縄や奄美地方に多いハブなどのようなヘビ類を捕獲する方法並びに装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘビ類の捕獲手段としては種々の構造が提案されているが、網を利用した手段としては、実開昭58−59472 号公報に記載のように、コンクリート製基台に植設した支柱を、蛇の身長相当の高さまで外側に約30°傾斜させ、蛇の身長相当の高さにて鉛直に延ばしてあり、各支柱間に網を張った構造がある。
【0003】
また、実開昭57−177476号公報に記載のように、上下一対の網を横向きV字状にして箱体の入口に設け、V字状に開いた開口から入り、奥の狭い部分を通過すると逆行できない構造も提案されている。
【0004】
【特許文献1】実開昭58−59472
【特許文献2】実開昭57−177476
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のような網付きの柵構造は、広い領域にわたって複雑な柵構造を設置する必要があり、コスト高となる。また、ヘビの進入防止はできても捕獲はできないので、ヘビの減少にはならない。一方、特許文献2の構造は、捕獲箱中に誘導する構造であるため、生きた餌が必要となるなど、常時管理する必要があり、人的な負担が大きい。したがって、ヘビが生息していそうな領域でないと効果的でない。
【0006】
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、例えば1m程度以下の狭い領域に柔軟な網体を張っておくだけで捕獲でき、しかも餌を必要とせず、放置しておくだけでヘビを捕獲可能な方法と装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、メッシュ寸法の異なる複数のネットをメッシュ寸法の順に対向状態に吊り下げておくと共に、隣接するネット間に少なくとも80cm間隔で仕切りを設けておき、目の粗いネット側から進入して来たへびが、目の粗いネットから目のより細かいネットに順次進入するようにしたことを特徴とするへび捕獲方法である。
【0008】
このように、メッシュ寸法の異なる複数のネットをメッシュ寸法の順に対向状態に吊り下げておくと共に、隣接するネット間に少なくとも80cm間隔で仕切りを設けておくため、目の粗いネット側から進入して来たへびが、目の粗いネットから目のより細かいネットに順次進入しようとしても、目が細かいので進入しづらく、鱗の作用で後退もできない。また、80cm以内の位置に仕切りが有って行き止まりとなるので、蛇行して、進入して来た目の粗いネットからUターンして逃げ出すことは困難となり、隣接するネット間に捕獲されることになる。また、目のより細かい次のネットに頭部が進入した後は、柔軟で安定性の悪いネットに少なくとも2箇所が支持されているため、安定良く蛇行するための力が入らず、隣接する二つのネットに支持された状態から脱出不能となり、捕獲される。したがって、特別に餌を置く必要もなく、放置状態でも捕獲可能となる。
【0009】
請求項2は、請求項1の捕獲方法に実施する捕獲装置であり、メッシュ寸法の異なる複数のネットをメッシュ寸法の順に対向状態に吊り下げてなり、メッシュ寸法の最も粗いネットをへびの進入側に配置してなる構造である。このように、メッシュ寸法の異なる複数のネットをメッシュ寸法の順に対向状態に吊り下げてなり、メッシュ寸法の最も粗いネットをへびの進入側に配置してあるため、隣接間隔を狭くしておけば、ヘビは直進しようとして、隣接する少なくとも二つのネットに進入して、身体が2枚の柔軟なネットの網目に宙づり状に支持された状態となるため、不安定で蛇行が困難な状態となり、しかも鱗で後退も不可能となる。その結果、Uターンや後戻りも出来ず、捕獲状態となる。
【0010】
請求項3は、メッシュ寸法の最も細かいネットの両側にメッシュ寸法がより粗いネットを配置してなることを特徴とする請求項2に記載のへび捕獲装置である。このように、メッシュ寸法の最も細かいネットの両側にメッシュ寸法がより粗いネットを配置してあるため、両方から到来して、メッシュ寸法の粗いネットから細かいネットに進入したヘビを捕獲できる。
【0011】
請求項4は、各ネットの下側10cm以下をへびが通過不能にしてあることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のへび捕獲装置である。このように、各ネットの下側10cm以下をへびが通過不能にしてあるため、到来したヘビは必ず各ネットの10cm以上の高い位置を通過することになる。その結果、ネットの不安定な位置の網目を通過することになり、安定よく蛇行して通過することはできない。結局、蛇行前進が不可能で、捕獲状態となる。
【0012】
請求項5は、隣接するネット間に、80cm以下の間隔で、へびが通過不可能な仕切りを設けてあることを特徴とする請求項2、請求項3または請求項4に記載のへび捕獲装置である。このように、隣接するネット間に、ヘビの身長より十分に短く、蛇行に要する少なくとも80cmより短い間隔で、へびが通過不可能な仕切りを設けてあるため、メッシュ寸法がより粗いネットを通過した際に、次のメッシュ寸法の細かいネットに進入せずにUターンしようとしても、仕切りが有るために行き止まりとなる。その結果、ヘビは蛇行してUターンすることもできず、したがって、逃げ出すことはできず、隣接するネット間に捕獲される。あるいは、次のメッシュ寸法の細かいネットに進入するため、不安定で蛇行不能な状態となって捕獲されることになる。
【0013】
請求項6は、へびが乗り越え不能な高さの誘導ネットを両端または片方の端部に連結してなることを特徴とする請求項2から請求項5までのいずれかの項に記載のへび捕獲装置である。このように、へびが乗り越え不能な高さの誘導ネットを両端または片方の端部に連結してあるため、広い領域に誘導ネットを張っておけば、広い領域内のヘビは全部前記の捕獲装置の位置に誘導されて捕獲されることになる。
【0014】
請求項7は、少なくとも両側に支柱を立て、両側支柱の上端間に水平方向のネット支持バーを渡し、両側支柱の下端間に水平方向のネット支持バーを接地状態に渡してなるネット支持手段を3組以上、所定の間隔をおいて配設してなることを特徴とする請求項2から請求項6までのいずれかの項に記載のへび捕獲装置である。このように、両側に支柱を立て、両側支柱の上端間に水平方向のネット支持バーを渡し、両側支柱の下端間に水平方向のネット支持接地バーを渡してあるため、各ネットの上下左右が上下のネット支持バーと左右の支柱で柔軟状態に支持されることになる。そして、このような構成のネット支持構造が、3組以上、例えば8〜15cm程度の所定の間隔をおいて配設してあるため、これらのネットをヘビの通路を横切るように設置するだけで容易にヘビ捕獲できる。
【0015】
請求項8は、前記の片方の支柱の上端同士、下端同士を連結管で連結し、他方の支柱の上端同士、下端同士を連結管で連結してなり、しかも前記の連結管、支柱およびネット支持バーがそれぞれ塩化ビニール管であることを特徴とする請求項7に記載のへび捕獲装置である。このように、前記片方の支柱の上端同士、下端同士を連結管で連結し、他方の支柱の上端同士、下端同士を連結管で連結してあるため、一体のヘビ捕獲装置となり、取り扱いが簡便となる。その結果、現場に搬送して設置するだけで直ちに使用でき、現場作業が大幅に削減される。また、前記の連結管、支柱およびネット支持バーがそれぞれ塩化ビニール管であるため、塩化ビニール製の水道管を市販の連結具で連結する要領で容易に製作できる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1のように、メッシュ寸法の異なる複数のネットをメッシュ寸法の順に対向状態に吊り下げておくと共に、隣接するネット間に少なくとも80cm間隔で仕切りを設けておくため、目の粗いネット側から進入して来たへびが、目の粗いネットから目のより細かいネットに順次進入しようとしても、目が細かいので進入しづらく、鱗の作用で後退もできない。また、80cm以内の位置に仕切りが有って行き止まりとなるので、蛇行して、進入して来た目の粗いネットからUターンして逃げ出すことは困難となり、隣接するネット間に捕獲されることになる。また、目のより細かい次のネットに頭部が進入した後は、柔軟で安定性の悪いネットに少なくとも2箇所が支持されているため、安定良く蛇行するための力が入らず、隣接する二つのネットに支持された状態から脱出不能となり、捕獲される。したがって、特別に餌を置く必要もなく、放置状態でも捕獲可能となる。
【0017】
請求項2のように、メッシュ寸法の異なる複数のネットをメッシュ寸法の順に対向状態に吊り下げてなり、メッシュ寸法の最も粗いネットをへびの進入側に配置してあるため、隣接間隔を狭くしておけば、ヘビは直進しようとして、隣接する少なくとも二つのネットに進入して、身体が2枚の柔軟なネットの網目に宙づり状に支持された状態となるため、不安定で蛇行が困難な状態となり、しかも鱗で後退も不可能となる。その結果、Uターンや後戻りも出来ず、捕獲状態となる。
【0018】
請求項3のように、メッシュ寸法の最も細かいネットの両側にメッシュ寸法がより粗いネットを配置してあるため、両方から到来して、メッシュ寸法の粗いネットから細かいネットに進入したヘビを捕獲できる。
【0019】
請求項4のように、各ネットの下側10cm以下をへびが通過不能にしてあるため、到来したヘビは必ず各ネットの10cm以上の高い位置を通過することになる。その結果、ネットの不安定な位置の網目を通過することになり、安定よく蛇行して通過することはできない。結局、蛇行前進が不可能で、捕獲状態となる。
【0020】
請求項5のように、隣接するネット間に、ヘビの身長より十分に短く、蛇行に要する少なくとも80cmより短い間隔で、へびが通過不可能な仕切りを設けてあるため、メッシュ寸法がより粗いネットを通過した際に、次のメッシュ寸法の細かいネットに進入せずにUターンしようとしても、仕切りが有るために行き止まりとなる。その結果、ヘビは蛇行してUターンすることもできず、したがって、逃げ出すことはできず、隣接するネット間に捕獲される。あるいは、次のメッシュ寸法の細かいネットに進入するため、不安定で蛇行不能な状態となって捕獲されることになる。
【0021】
請求項6のように、へびが乗り越え不能な高さの誘導ネットを両端または片方の端部に連結してあるため、広い領域に誘導ネットを張っておけば、広い領域内のヘビは全部前記の捕獲装置の位置に誘導されて捕獲されることになる。
【0022】
請求項7のように、両側に支柱を立て、両側支柱の上端間に水平方向のネット支持バーを渡し、両側支柱の下端間に水平方向のネット支持接地バーを渡してあるため、各ネットの上下左右が上下のネット支持バーと左右の支柱で柔軟状態に支持されることになる。そして、このような構成のネット支持構造が、3組以上、例えば8〜15cm程度の所定の間隔をおいて配設してあるため、これらのネットをヘビの通路を横切るように設置するだけで容易にヘビ捕獲できる。
【0023】
請求項8のように、前記片方の支柱の上端同士、下端同士を連結管で連結し、他方の支柱の上端同士、下端同士を連結管で連結してあるため、一体のヘビ捕獲装置となり、取り扱いが簡便となる。その結果、現場に搬送して設置するだけで直ちに使用でき、現場作業が大幅に削減される。また、前記の連結管、支柱およびネット支持バーがそれぞれ塩化ビニール管であるため、塩化ビニール製の水道管を市販の連結具で連結する要領で容易に製作できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明によるヘビの捕獲方法並びに捕獲装置が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図1は、本発明によるヘビの捕獲装置の全容を示す模式図で、(1)は平面図、(2)は正面図である。本発明による捕獲装置1は、複数枚のネットN1…N5から成り、中央のCネットの網目が最も細かく例えば1cm程度であり、その両側のBネットの網目が次に細かく例えば2cm程度であり、その外側のAネットの網目が最も粗く例えば3cm程度である。なお、各ネットN1…の高さは70cm程度が適当である。
【0025】
このように、外側ほど網目が大きな複数のネットN1…N5からなる捕獲装置の左右両側の端部に、誘導ネット2、3を連結してある。誘導ネット2、3は網目が例えば5mm程度、ネット全体の高さは、例えば1m程度が適する。したがって、誘導ネット2、3に直面したヘビは、5mmの網目を通過できないため、この誘導ネット2、3に沿って捕獲装置1側に誘導されて、捕獲装置1の両側の網目の大きなAネットを各矢印の方向に通過しようとする。
【0026】
図2は、図1のX−X位置の拡大断面図であり、各ネットN1…N5の間隔は10cm程度が適しているが、8〜15cmの範囲であればよい。いま、右外側の粗目のAネットからハブS1が進入してきたとすると、次の中目のBネットの網目に進入した場合は、その後の進入が困難になる。すなわち、ハブの殆ど全長が地表を這っている場合は、自由に蛇行して前進できるが、図示のように、複数のネットN1、N2に跨がって進入して来た場合は、ネットN1、N2の細い網糸上に接して宙づり状に支持されることになるため、実質的に接地面積が小さくなり、ハブにとっては十分な力が入らず、円滑な蛇行運動が困難となる。
【0027】
結局、尻尾側の多少の長さは、地表に接しているために、多少は前進できたとしても、前方には網目の最も細かなCネットが存在するだけであって、その網目は通過不可能であるため、Cネットに突き当たってしまい、それ以上は動きが取れない状態となる。ハブの習性として、うろこがネットに引っ掛かった状態となって、後退は不可能なため、複数のAネット、Bネットの網糸の上に支持された状態となり、それ以上の移動は不可能となる。その結果、Aネット、Bネット上に捕獲された状態となる。左側からネットN5→N4→N3の順に進入してきた場合も同じことである。
【0028】
図3は、Aネットの別の実施形態を示す正面図であり、Aネットの下端に、高さ5〜10cm程度の板や網目が0.5cm程度の細かいネット5を張っておくことによって、ヘビなどが5〜10cm以下の低い位置の網目に進入できないようにしてある。ヘビ類の場合、頭を持ち上げた状態で前進するという習性があるので、図2で説明したようにして捕獲は可能であるが、信頼性を高めるには、5〜10cm以下は進入不能にしておくのが確実である。その結果、ヘビ類は常に5〜10cm以上の高い位置のみを進入することになり、そのためにネットの網目中に一旦進入したヘビは常に、ゆるく柔軟に張られているネットの網目中に不安定な状態に支持されるので、前進も後退も不可能となり、確実に捕獲されることになる。
【0029】
次に、次のBネットやCネット中に前進しないで、横に反れようとするヘビもいる。その場合の対策について説明する。図4は図1の捕獲装置1の平面図であり、各ネットN1…N5の全長Lが1mと仮定すると、網目が0.5mm程度の仕切り6、7を、左右の端部から約20cmの位置に設けて、隣接する各ネットN1…N5間を塞いである。したがって、左右の仕切り6と7との間隔は60cm程度となる。
【0030】
いま、ヘビS2のように、最初の網目の粗いネットAに進入して、次のネットB中に進入しようとしても、大型のヘビの場合は、Bネットの小さな網目を通過できずに、S3のように隣接するネットA・B間の約10cmの間隔に逃げようとする。そして、仕切り7の位置まで到来すると、該仕切り7に突き当たって、それ以上前進不可能となる。このとき、元のネットAを逆方向に進入してUターンしようとしても、約80cmといった短い領域では、1.5〜2.0mといった大型のヘビは蛇行運動が困難となる。その結果、隣接するネットAとBと仕切り7との間の狭い領域に捕獲された状態となる。ヘビS3とは逆に、左向きに反れようとしても、左側には仕切り6が有るので、同様に蛇行運動が円滑にできず、捕獲状態となる。前記の誘導ネット2、3は、仕切り6、7の位置まで延ばしておいて、ヘビが仕切り6と7との間の60cm程度の領域に入り込むように誘導することは言うまでもない。したがって、装置の全長Lを60〜80cmにしてもよい。あるいは、誘導ネット2、3を、網目の最も細かいCネットに接続してもよい。
【0031】
隣接するネットA・B間に反れないで、次のBネットの網目を通過しようとするヘビもいる。その場合の対策として、Bネットと次の網目の最小のCネットとの間には、左右の仕切り6〜7間にさらに1又は複数の仕切り8、9を張って、左右の仕切り6〜7の領域を2〜3等分する。その結果、左右の仕切り6〜7の60〜80cmの領域が30cm又は20cmの仕切り間隔となる。
【0032】
その結果、小型のヘビS4がBネットを通過して、次のCネットに進入しようとした場合、Cネットの網目が細かすぎて通過できないため、前記のヘビS3の場合と同様に、Cネットに進入できないで、仕切り6〜9側に反れようとする。ところが、仕切り6〜9に突き当たって前進不能となり、Bネット側にUターンしようとしても、スペースが狭すぎて円滑に蛇行運動ができず、Uターンも不可能なって、捕獲状態となる。あるいは、2枚のAネット、Bネット中に進入したために、図2のように宙づり状態に支持されて力が入らず、蛇行運動が不可能となり、2枚のAネット、Bネットの網糸の上に支持された状態で捕獲される場合もある。
【0033】
また、小型のヘビの場合は、最小網目のCネット中に進入はしたが、網目が小さすぎて通過できないとか、3枚のネットA、B、Cに支持されて、不安定な状態に宙づり状態となって、蛇行のための力が入らず、そのまま捕獲状態となる場合もある。なお、図4は、手前側の粗目のネットA側からヘビが進入した場合を想定して説明したが、後方のネットN5側から進入して来た場合も、同様の動きをすることによって、ネットN5〜N3間に捕獲される。
【0034】
このように、ヘビが間隔をおいた複数枚のネット中に進入して宙吊り状態に支持されて、力が入らず蛇行運動が困難又は不可能となるようにすることが好ましい。そのためには、各ネットN1〜N5をピーンと張るのでなく、容易に揺れやすいように緩めに張るのがよい。
【0035】
本発明のヘビ捕獲装置は、畑や原野などにおいて、杭などの支柱を要所に打ち込んで、これらの支柱を利用して各ネットN1〜N5を吊り下げ状態に取付けることができるが、各ネットN1…N5を取付けるための複数の支柱をユニット状態にすることも可能である。図5はヘビ捕獲装置を構成するための、ネットの支持骨組のユニットを示す斜視図である。
【0036】
この図において、水平方向の下端支持バー10〜14は、畑地や原野などの地表に接地する接地バーであり、それぞれの左右両端は連結バー15、16で互いに連結されている。そして、それぞれの接地バー10〜14の左端には、支柱17…21を立てて、それぞれの支柱上端間を水平の連結バー22で連結してある。また、各接地バー10〜14の右端には、支柱23…27を立てて、それぞれの支柱上端間を水平の連結バー28で連結してある。そして、左右の互いに対応する各支柱17−23間、18−24間、19−25間、20−26間、21−27間に水平方向の上端支持バー29〜33を渡して互いに連結してある。
【0037】
これらの各支柱や水平バーは、塩化ビニール製の水道管などが適しているが、木製の棒体などを用いてもよく、特に材質は限定されない。また、各連結部は、互いに接着したり、ネジ止めなども可能であるが、図示例では、塩化ビニール管などの連結に用いるT状のチーズやL状のエルボなどの市販品で連結してもよい。
【0038】
そして、図1から図4における各ネットN1〜N5の上下左右を前記の各バーや支柱で支持する。すなわち、手前のネットN1の上端は上端支持バー29で支持し、下端は下端支持バー10で支持する。ネット左端は左側の支柱17で支持し、ネット右端は右側の支柱23で支持する。支持に際しては、ネットN1の上下端や左右端を支持バーや支柱に紐や糸、針金などで縛りつけるなど、任意の手法で連結支持できる。ただし、各ネットN1…N5は、ピーンと張るのでなく、ゆるめに張って、柔軟性を持たせることによって、ヘビが蛇行しようとしても、力が入りにくいようにするのがよい。また、ネットN1…N5は、柔軟性を高めるためにも、剛性の高い金網ではなく、合成樹脂や植物性その他の柔軟な糸や紐などで編まれた柔軟性に富んだネットが適している。
【0039】
このようにして、ネットN2〜N5の上下端も対応する上下の支持バーに取付け支持し、左右端は左右の対応する支柱に取付け支持することによって、5枚のネットN1〜N5を実装できる。図4における各仕切り6〜9は、それぞれの左右端を隣接する左右のネットN1…N5に紐や糸、針金などを用いて取付け連結する。こうして1組のヘビ捕獲装置が完成する。このヘビ捕獲装置の使用に際しては、図1の誘導ネット2と3との間に設置すると、より広い領域のヘビ類を誘導して来て捕獲できる。なお、装置下端の水平の接地バー10〜14の下側に隙間ができて、ヘビが通過できないように、塞いでおくことは言うまでもない。。
【0040】
なお、図1、図4のヘビ捕獲装置は、各ネットN1〜N5の全長を60〜80cmとし、その両端に仕切り6、7を張った構造でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、メッシュ寸法の異なる複数のネットをメッシュ寸法の順に対向状態に所定の間隔で吊り下げてなる捕獲装置を用いると、生きた餌が無くても、ヘビが通過しそうな位置に設置したり、誘導ネットを併用して広い領域のヘビを誘導し捕獲できるので、ハブなどによる被害を確実に回避でき、安全な生活や農作業などが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明によるヘビの捕獲装置の全容を示す模式図で、(1)は平面図、(2)は正面図である。
【図2】図1のX−X位置の拡大断面図である。
【図3】Aネットの別の実施形態を示す正面図である。
【図4】図1の捕獲装置の拡大平面図である。
【図5】ヘビ捕獲装置を構成するネットの支持ユニットを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 捕獲装置
N1…N5 ネット
A 網目サイズが最も粗いネット
B 網目サイズが中間のネット
C 網目サイズが最も細かいネット
2・3 誘導ネット

5 板又は網目が0.5cm程度の細かいネット
6・9 網目が0.5mm程度の仕切り
10…14 水平方向の下端支持バー(接地バー)
15・16 連結バー
17…21 支柱
22・28 連結バー
23…27 支柱
28…32 上端支持バー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュ寸法の異なる複数のネットをメッシュ寸法の順に対向状態に吊り下げておくと共に、隣接するネット間に80cm以下の間隔で仕切りを設けておき、目の粗いネット側から進入して来たへびが、目の粗いネットから目のより細かいネットに順次進入するようにしたことを特徴とするへび捕獲方法。
【請求項2】
メッシュ寸法の異なる複数のネットをメッシュ寸法の順に対向状態に吊り下げてなり、メッシュ寸法の最も粗いネットをへびの進入側に配置してなることを特徴とするへび捕獲装置。
【請求項3】
メッシュ寸法の最も細かいネットの両側にメッシュ寸法がより粗いネットを配置してなることを特徴とする請求項2に記載のへび捕獲装置。
【請求項4】
各ネットの下側10cm以下をへびが通過不能にしてあることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のへび捕獲装置。
【請求項5】
隣接するネット間に、80cm以下の間隔で、へびが通過不可能な仕切りを設けてあることを特徴とする請求項2、請求項3または請求項4に記載のへび捕獲装置。
【請求項6】
へびが乗り越え不能な高さの誘導ネットを両端または片方の端部に連結してなることを特徴とする請求項2から請求項5までのいずれかの項に記載のへび捕獲装置。
【請求項7】
少なくとも両側に支柱を立て、両側支柱の上端間に水平方向のネット支持バーを渡し、両側支柱の下端間に水平方向のネット支持バーを渡してなるネット支持手段を3組以上、所定の間隔をおいて配設してなることを特徴とする請求項2から請求項6までのいずれかの項に記載のへび捕獲装置。
【請求項8】
前記片方の支柱の上端同士、下端同士を連結管で連結し、他方の支柱の上端同士、下端同士を連結管で連結してなり、しかも前記の連結管、支柱、ネット支持バーがそれぞれ塩化ビニール管であることを特徴とする請求項7に記載のへび捕獲装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−20(P2006−20A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177475(P2004−177475)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(504230350)
【Fターム(参考)】